根や壁から水がポタポタ……はもちろん、どこから漏れているかわからない、なんてこともよくある「雨漏り」。悩んでいる家庭も多いですが、その原因は何なのでしょう。この記事では、「雨漏りの調査・修理・補修の費用はいくらかかる?」「どんな業者にお願いすればいい?」など、雨漏りの調査・修理・補修について、雨漏り調査などで数々の“雨漏り現場”を見てきた、さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)である松島伸行さんに教えてもらいました。

記事の目次
雨漏りの原因と調査方法
「ちょっとした雨漏りなら自分で補修できるかも」と思っている人もいるかもしれません。しかし、甘く見てはいけないのが雨漏り。プロであるリフォーム会社や建築家でさえ頭を悩ませるという雨漏りの場合もあるのです。それは雨漏りの原因が「あけてみないとわからない」からだそう。どういうことか、説明していきます。
雨漏りの原因は、主に建物の劣化によるもの
雨漏りの原因は、主に2つあります。1つ目は、建ててすぐの建物で、建築時に何かしらの不具合があった場合です。2つ目は建物の劣化が原因で起こる雨漏りです。建ててすぐの場合、その建物を建てた施工会社が10年間の瑕疵担保責任を負っているので、すぐに連絡して修理・補修してもらいましょう(なお、中古住宅を購入した場合は、築10年以内でも保証が引き継がれない場合がありますので、注意が必要です)。
問題は、建物の劣化が原因で起こる雨漏りです。例えば金属製の屋根材なら、紫外線や雨、風などによってひび割れやサビが発生するなど、経年で劣化していきます。耐久性があると人気のガルバリウム鋼板の屋根材でさえ、定期的なメンテナンスを怠るとサビて穴があくこともあります。
こうした劣化を見過ごしていると、そこから雨水が入り、天井や壁などから水が染み出てきて、雨漏りを起こすのです。
雨漏りの調査方法と費用相場
雨漏りを修理・補修するには雨漏りがどこから発生するのか、雨水の入り口を特定する必要があります。それを調べるのが雨漏り調査です。
雨漏り調査の基本は、雨漏りの状態を再現するため、雨の代わりに散水して、雨水がどのように流れていくのか、その経路を特定します。あとは雨漏りの原因箇所を修理・補修します。さらに、経路にある木材が雨漏りで腐っていれば修理・補修します。

雨漏り調査にかかる費用は、数万円〜50万円程度。例えば窓近くに雨漏りがあり、調査したら窓枠のコーキング(窓枠と壁の隙間を埋める材料)が劣化していた場合を考えてみましょう。原因と思われるコーキングのひび割れ箇所に散水したところ、やはり室内に水が漏れてきた……というような、わかりやすい雨漏りの場合、雨漏りの調査費用だけなら約10万円です。多くのケースで50万円以内で収まりますが、散水しても風向きや気圧など諸条件の違いで天井の染みに反応がないなど、雨漏りを再現できない場合があります。こうなると、雨漏り調査および修理・補修工事は難易度を増していきます。
例えば、屋根の一部に一カ所だけハッキリと穴があいていて、その部分に水をかけたところ、部屋の天井の染みに反応がある。このような場合なら、恐らくその屋根の穴が雨漏りの原因箇所であるとわかります。
しかし、現実には一カ所だけハッキリと穴があいているということは、ほとんどありません。もしも雨漏りの原因が屋根の経年による劣化であっても、雨漏りの発端になりそうな微細なひび割れやズレ、下地部分の劣化といったものは屋根という広い範囲にいくつもあるわけです。
また、天井の染みも、その真上の屋根に原因があるとは限りません。離れた場所から屋根の部材を伝ってその天井の位置に染みをつくることは十分あり得ます。その経路を追うためには、天井裏に入って経路を調べるか、場合によっては天井を壊すこともあります。
さらに壁から水が染み出ている場合、この水が壁からなのか、天井から流れ伝わってきたのか、窓からなのか、壁を壊して経路を調べなければなりません。これが「あけてみるまでわからない」ということです。

確かに雨漏り調査を進めるほど「怪しい範囲」が見えてきますが、その怪しい範囲の中から原因箇所を特定するまでに、どうしても時間と費用が増えていきます。
マンションの雨漏りはまず管理会社へ連絡
一戸建てではなく、マンションで雨漏りが発生した場合、建物の屋根や外壁など共用部分が原因箇所のことがあります。住戸の天井裏の配管の可能性もありますが、まずは管理会社に連絡したほうが賢明でしょう。
【箇所別】雨漏りの原因と修理・補修方法
雨漏りする箇所として考えられる建物の部位は、主に以下の5カ所。原因箇所ごとに、なぜ雨漏りが起こるのか、その修理・補修方法とともに確認していきましょう。
屋根が原因の雨漏りとその修理・補修方法
屋根には、雨漏りを防ぐ観点からいうと「一次防水」の屋根材と、屋根材の下に敷かれる防水シートなどの「二次防水」があります。基本的には一次防水で防げなかった雨水を二次防水で防ぎます。
一次防水である屋根材からの雨水の浸入口には、ひびや割れ、台風などで屋根材がズレた際にできる隙間、金属製の屋根材であればサビなどによる腐食といったものがあります。
また、屋根の頂点部分を「棟(むね)」と呼びますが、瓦屋根なら棟と瓦の隙間(下図参照)に漆喰(しっくい)を塗ります。この漆喰が雨風や地震による揺れなどで劣化したところから雨水が入ってくることもあります。同じくスレート屋根や金属屋根の場合、棟には棟板金と呼ばれる鉄製の部材で屋根材の隙間を覆いますが、この棟板金の劣化も調査する必要があります。

一方、二次防水である防水シートは、釘やタッカー(大きなホッチキスのようなもの)などで屋根の下地材に取り付けられます。防水シートが劣化して穴があいていればもちろんですが、釘やタッカーで留まっている部分が、例えば揺れや風によって屋根材がズレようとする力などで、経年によって穴のように広がったり、ちぎれたりすることもあります。そうなると一次防水の隙間などから、防水シートの劣化部分に雨水が伝わり、建物内に浸入してきます。
そのほか、雨どいに落ち葉や土埃などがつまっている状態で雨水がたまると、逆流して屋根材の隙間から入り込んだり、外壁に流れ落ちて、外壁のひび割れなどから雨漏りを起こしたりすることもあります。
屋根材が雨漏りの原因だった場合、修理・補修方法としては、まず重ね葺き(カバー工法)と呼ばれる、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねて施工する方法があります。このとき、既存の屋根材に防水シートなど二次防水を施し、その上に新しい屋根材を重ねます。ただし瓦屋根では重ね葺きはできません。
さらに、既存の二次防水の下地材も傷んでいる場合は、既存の下地材を撤去して、新しく屋根を葺き替える「葺き替え」を行います。
陸屋根(りくやね/ろくやね)が原因の雨漏りとその修理・補修方法
陸屋根(りくやね/ろくやね)とは、傾斜のない平らな屋根のこと。鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建築物によく用いられますが、スッキリとした見た目になるので、木造建築でも採用されることがあります。また陸屋根は屋上として利用されることもあります。
陸屋根は傾斜がない分、水はけが悪くなるので、基本的に防水層で覆って保護します。防水層で覆う方法は建物や施工会社によって異なりますが、大まかにいうと、ゴムや塩化ビニールのシートなどを「張る工法」と、樹脂系の材料などを「塗る工法」、「アスファルトを敷く工法」の3つがあります。
これらの防水材料が経年で紫外線や雨などによって劣化すると、雨漏りを起こします。しかし、それより注意したいのが、陸屋根のパラペット(外周部に立ち上がった壁)の角部分からの雨漏りです。

角部分は、例えばシートを張る工法なら、陸屋根に張られたシート材の端の部分が集まる部分になります。シートが暑さ・寒さで伸縮を繰り返すと、そのしわ寄せはシートの端に集中しやすいのです。そのためシートの端が集まるパラペットの角は劣化しやすく、そこから雨漏りが発生することがあります。
修理・補修方法としては、平らな部分の防水層の劣化が原因であれば、塗り替えや張り替えが必要です。またパラペットの角部分が原因であればシートの張り替えをします。
外壁が原因の雨漏りとその修理・補修方法
外壁の場合、用いられる外壁材によって雨漏りの原因と修理・補修方法が少し異なります。そこで外壁材別に説明します。
なお、外壁の場合も、屋根のように基本的に外壁材が一次防水、その下の防水シートなどが二次防水と呼ばれます。
●サイディングの場合
サイディングとは外壁に張る板材のこと。素材にはセメントを主原料とした「窯業系サイディング」や金属製の「金属系サイディング」、天然木を使った「木質系サイディング」、プラスチックの一種である塩化ビニールを用いた「樹脂系サイディング」などがあります。

樹脂系以外のサイディングは表面が防水性のある塗料で覆われています。その塗膜が紫外線や雨風などで劣化すると剥がれたり、ひび割れが生じたり、場合によってはサイディングの裏側に雨水が浸入したりします。
またサイディングはパネル状になっていて、外壁に張る際にパネルとパネルの隙間をコーキング剤で埋めます。このコーキング剤が経年でひび割れるなど劣化すると、やはり雨水が浸入します。
これらの雨水が二次防水である防水シートの留め金具まわりの隙間などから、建物の内部に浸入していきます。
ただし、サイディングの場合は通気工法(下図)を取ることが多いので、万が一サイディングの劣化で雨漏りが発生しても通気層を伝って水が下に落ちるため、建物内に雨水が染みにくくなっています。

そのため通気工法は直張り工法に比べ雨漏りしにくいのですが、サイディングやコーキングのひび割れはそのまま放っておくと、雨漏りのリスクが高まるほか、壁内部の防水シートを傷めて、それが建物の腐食などを引き起こしかねません。
サイディング(一次防水)はパネル状ですから、どの部分が劣化して雨漏りを引き起こしているのか特定できればそのパネルを交換したり、補修をしたりします。コーキングに問題があればコーキングを交換します。
また、その下の二次防水から内部に浸入していないか、通気層の部材が腐っていないか確認し、必要に応じて修理・補修します。
●モルタルの場合
モルタルとは、砂と水とセメントを混ぜてつくった外壁材です。モルタルが劣化するとひび割れを起こし、そこから雨漏りが発生します。
また、外壁の角になる部分やベランダ、窓などと接続する部分などに隙間のようにひびが入ると、そこから雨漏りします。
モルタルは、通気工法を取る場合もありますが、多くは直張り工法です。その場合は、モルタルのひび割れから入った水が建物内に浸入しやすくなります。

修理・補修方法は、ひび割れた部分を特定できれば、コーキングなどでひび割れを補修します。ただし、補修部分が目立ち、見た目が悪くなるので、気になる場合はひび割れを補修した後、壁全体の表面を塗り替える必要があります。
●タイルの場合
外壁で用いられるタイルは、主に陶磁器でつくられた小片状の薄板です。たいていモルタルを塗った上にタイルを張ります。タイルの外壁で雨漏りする場合、タイルの割れや目地のひび割れから浸入した雨水が、下地のモルタルのひび割れなどから染み込んで発生することがあります。
修理・補修方法としては、下地であるモルタルの補修とタイルの張り替え、コーキングの交換などになります。
●ALC(軽量気泡コンクリート)の場合
ALC(軽量気泡コンクリート)とは気泡の入った軽量のコンクリートのこと。たいていはパネル状になっていて、外壁に張って使用します。
劣化によってALCパネルがひび割れたり、パネルとパネルの隙間に充填されるコーキングがひび割れたりすると、そこから雨漏りが発生します。
また、最近はALCパネルの下に防水シートを張ることが多いのですが、以前は防水シートを張らない工法が一般的だったため、その場合は雨水が建物内に浸入しやすくなります。
修理・補修方法は、ひび割れた部分の補修や塗装、目地のコーキングの交換になります。
ベランダ・バルコニーが原因の雨漏りとその修理・補修方法
ベランダ・バルコニーの防水方法は、基本的に陸屋根と同じです。また雨漏りしやすい場所は、陸屋根と同じく、ベランダの手すりの壁、さらに建物の外壁との接続部分です。修理・補修方法は陸屋根と同じです。

窓が原因の雨漏りとその修理・補修方法
窓そのものからの雨漏りは、ガラスが割れたときぐらいです。たいていの場合は、窓と外壁の接続する部分から雨漏りが起こります。窓のサッシ部分と建物の防水シートを防水テープでつなぎ、外壁材とコーキングでこの弱点部分を保護しますが、外壁材やコーキングが劣化すると雨漏りします。
修理・補修方法はコーキングによる補修が一般的です。

全箇所共通する「雨漏りしやすい部分」
すべての部位でいえることですが、雨漏りしやすい部分は「取り合い」部です。建築用語の「取り合い」とは、構造体や部材同士が接合・接触する部分のことをいいます。
例えば上記で「窓と外壁の接続する部分に注意が必要」と述べましたが、そこが取り合い部だからです。
ほかにも陸屋根のパラペットの角部分、外壁とバルコニーの接続する部分など。屋根の頂点である「棟」や、下がり棟の谷部分も取り合い部です。また屋根や外壁が複雑な形状をしているほど取り合い部が多くなります。

「窓が原因の雨漏り」で述べたように、外壁材なり、屋根材といった「一次防水」を雨水が越えると、その下にある防水シートなどの「二次防水」に浸入してきます。この二次防水を越えると、雨漏りが発生します。
「取り合い」部は、この二次防水の経年による伸縮・膨張のしわ寄せがくる「端」が集まる部分のため、雨漏りしやすい部分といえるのです。
雨漏りの修理・補修費用
前述したように、雨漏りの原因はさまざま。だからこそ、原因箇所をしっかり特定したうえで、適切な修理・補修をする必要があります。では、雨漏りの修理・補修費用はいくらくらいでしょうか。
雨漏りの修理・補修の費用相場は約10万円〜数百万円
わかりやすい雨漏りの場合、調査と簡単な処置だけで済めば10万円ほどの費用で抑まるでしょう。ただし、水濡れが発覚したのち、劣化したコーキングを取って新たにコーキングを塗り直し、色あせしたフローリングを剥がして下地も傷んでいれば、それらも交換するといった修理・補修費用がかかります。
原因箇所が屋根や外壁だと思われる場合、足場を組まないと調査できないことがあり、足場の費用だけで約25万円〜40万円かかります。さらに原因箇所や経路を特定するために、ときには天井や壁を剥がさなければならないこともあります。そうなると「壁を剥がす費用」と、「剥がした壁を修復する費用」という、相反する工事費用がかかります。
例えば、屋根の瓦がズレてそこから雨水が浸入したとします。その真下の防水シートに問題がなければ、雨水は下のほうへと流れます。今度は瓦のズレた部分とは別の場所で防水シートが劣化しているとします。そうなれば、そこから雨水が内部へ浸入していくことになります。
内部に浸入してきた雨水が、そのまま天井に落ちる場合もありますが、さらに下地材などを伝い、壁まで達し、今度は壁伝いに下へ流れて……という具合に、雨水の浸入口から出口までの経路が複雑になるほど、雨漏りの調査と修理・補修も複雑になります。
また、瓦のズレはまだ目で見てわかりますが、例えばタイルの目地のひび割れはたくさんあるので、どの部分のひび割れが原因なのか、目で見ただけではわかりません。雨漏り調査の多くは、出口から追跡していくことで、雨水の浸入口を特定します。そのために天井や壁などを壊す必要が出てくるのです。
こうやっているうちに、ときに数カ月かかることもあります。そのため、雨漏りの修理・補修の費用相場は約10万円から数百万円まで、大きな開きがあるのです。
リフォームなどと一緒に行うと二度手間にならない
このように雨漏りの原因箇所や経路の特定がなかなか思うように進まないと、ときに数百万円の費用が「雨漏りの調査・修理・補修」だけにかかります。
「調査費用が膨らみそうだと思った場合は、建物の劣化状態などによっては外まわりの大規模修繕をオススメしたり、雨漏りの被害が想定される箇所をお伝えして、該当する箇所を含めたリフォームを同時に行ってはどうかとオススメしたりすることがあります」(松本さん、以下同)。
どうせ調査のために外壁が一部つぎはぎになったり、室内の天井や壁を剥がしたりするならば、その部分を含むリフォームを行うことで二度手間(費用の二重払い)を省くという方法です。
そもそも建物の劣化が原因で雨漏り修理・補修が必要な場合、建物自体の築年数が古い場合が多いはずです。例えば築40年以上であれば、現在の耐震基準に達していないこともありますし、最近の住宅と比べたら断熱性能が劣っていることもあるでしょう。また40年以上の年月が経てば、家族構成やライフスタイルだって当然変わっていることも多いでしょう。
雨漏りをきっかけに、住宅の耐震工事や大規模修繕などのリフォームを考えるというのは、費用の面でも手間や時間の面でも理にかなっているのではないでしょうか。
「雨漏りの調査をご依頼される際には、インスペクション(住宅診断)も併せて行うと、雨漏りの原因箇所以外の怪しい箇所も教えてもらえ、雨漏りの修理・補修方法についてもさらに詳しいアドバイスを受けられます。さらに雨漏り以外の劣化や、修理・補修が必要な箇所もわかりますから、セカンドオピニオンとして利用することができます」
雨漏り修理業者の選び方と見積もりのポイント
最近、屋根の点検を装って「このままだと雨漏りする」と不安を煽り、法外な費用の工事契約を結ばせる詐欺被害が増えています。こうした悪質な商法にひっかからず、適切な施工業者に依頼するにはどうすればいいか、確認しておきましょう。
訪問営業の業者は避ける
2023年10月、国民生活センターが「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」とする注意喚起を発表しました。被害状況を考えると、基本的には「訪問営業の業者で即決しない」ことがトラブル回避のポイントになります。
よくある手口の1つは、見知らぬ施工会社が「近くで工事をしているが、お宅の屋根の瓦がズレていますので、写真を撮って点検します」と、ある日訪問してくることから始まります。施主がそのままお願いすると、業者は屋根に上がり、撮ってきた写真を見せながら「このままでは雨漏りするので工事が必要です。幸い近所で工事しているから、今なら資材も工具も持ち合わせているので、割引して修理・補修しますよ」と勧誘してくるのです。
屋根のメンテナンスを怠っていて、台風にも何度かあったため、確かに気になっていた施主はそのまま修理・補修を依頼。しかし、後で考えてみるとどう考えても費用が法外に高いと気づく、というようなものです。

多くの施主は、屋根の現状を写真で見ることはほとんどないため、写真を見せられるとつい納得してしまうようですが、そもそも施工業者が屋根に上がったら、一緒に上がらない限りそこで何をされているのかもわかりません。なかには、その施工会社が自ら壊して写真を撮ってくることも。だからこそ、もし「屋根を点検しますよ」と言われても、絶対屋根に上がらせてはいけません。
点検しますよと言われたら、まずは相手の名刺をもらい、「屋根の修理・補修が必要ならば、後で連絡します」と帰すようにしてください。そのうえで、名刺にある会社名をもとにインターネットなどで口コミなどを確認しましょう。
あるいは、「近くで工事をしている」と言うのならば、工事現場の住所を聞いてそこへ出掛けていき、自分の目で仕事ぶりを確かめたり、施主から話を聞いたりするという方法もあります。
そのうえで信頼できる施工会社か、ほかに信頼できそうな施工会社がないか探すようにしましょう。もし付き合いのある施工会社があれば、そちらに屋根の確認を依頼したほうがいいでしょう。
複数業者から見積もりを取る
まずは適正な費用相場を知ることが、悪徳業者とのトラブルを避けるポイント。広告や訪問営業、ホームページなどを見て「〇〇円だから安い」と即決するのではなく、少なくとも2〜3社から見積もりを取ってみましょう。複数社から見積もりを取ることで適正な価格を把握できるのはもちろん、業者の対応力や実績を比較できるようになります。
台風や豪雨シーズン前に定期的に行っておきたいリフォーム
すでに雨漏りをしているなら、なるべく早く雨漏りの調査・修理・補修を検討すべきですが、今のところ室内に水が染み出たりしているところはない、だけど……と不安に感じているなら、まずは下記の項目を確認しましょう。
特に台風や豪雨シーズンになれば、雨漏りの危険性が高まります。また台風や豪雨によって多くの家屋が被災した場合、その修理の注文が殺到して、直るまでに時間がかかることも考えられます。備えあれば憂いなし。早めに点検やメンテナンスを行うようにしましょう。
雨漏りを疑う兆候は?
室内に水が染み出ているのを見たことはなくても、雨漏りの兆候がすでに出ている場合があります。
その1つが、「天井の染み」です。雨漏りであれば水がジワッと広がったような染みができます。丸く広がった輪ジミの場合もあれば、天井の部材に沿ってジワッと広がる染みもあります。
また外壁からの雨漏りなら、床のフローリングの壁側に染みができることがあります。染みはフローリングの変色という形で現れます。ハッキリと変色している場合もあれば、なんとなくほかと比べて青い部分(青カビの可能性)がある、といった場合もあります。
そのほか、天井や壁のクロスの一部が剥がれる場合も注意が必要です。
さらに「カビ臭い場所がある」という場合でも雨漏りの可能性があります。雨漏りによって壁の内側などにカビが発生している場合がありますし、雨漏りではなくても、壁内の結露によるものなら修理・補修したほうがよいでしょう。
上記のような兆候がある場合は、一度施工会社に相談するといいでしょう。また兆候がなくても、築年数が経っていて、下記のような定期的なメンテナンスを怠っていた場合は、施工会社に一度点検を依頼してメンテナンスを行ったり、現状の建物全体の状態を確認する意味でホームインスペクションを依頼したりするとよいでしょう。
- 天井や壁に染みがある
- 壁側のフローリングに変色している部分がある
- 天井や壁のクロスが剥がれている
- カビ臭い場所がある
屋根は屋根材によって10年〜20年に一度のメンテナンスが目安
屋根や外壁は、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンス時期や方法は屋根材によって下記のように異なります。
●瓦の屋根の場合
素焼き瓦や粘土瓦、陶器瓦の屋根は、強い衝撃を受けるなどのトラブルがなければ半永久的に長持ちします。しかし、地震や台風などで動いたり、ズレたり、風雨などによって棟(屋根の頂点部分)の漆喰が劣化したりすることもあるので、10年〜15年に1回の割合で目視による点検を行い、必要に応じて修理・補修するようにしましょう。
●スレートの屋根の場合
スレートは割れたり反ったりすることがあります。また風雨や紫外線、温度差で表層部が傷みます。そのため、おおむね10年で再塗装が必要になります。スレートの耐用年数自体は15年〜20年ですが、10年に一度のタイミングでの修理・補修・メンテナンスを検討するとよいでしょう。
なお、商品によって耐用年数は大きく異なるので、自宅の場合はどうか、施工した会社などに確認しましょう。
●ガルバリウム鋼板の屋根の場合
ガルバリウム鋼板の耐用年数自体は20年〜40年と長いのですが、塩分やホコリ、鳥の糞尿が付着したままで放置していると表面の塗膜が剥がれてサビる可能性もあります。そのため15年前後を目安に表面を再塗装するとよいでしょう。
こちらも商品によって耐用年数は大きく異なるので、自宅の場合はどうか、施工した会社などに確認しましょう。
陸屋根やベランダは10年〜15年おきに塗装・防水工事を
陸屋根やベランダはトップコート(保護塗料)の塗り替えを10年〜15年に1回の割合で行うとよいでしょう。またベランダなら日頃から排水口にゴミや土・ホコリがつまらないよう、掃除するように心がけましょう。
外壁は10年〜15年に一度のメンテナンスが目安
屋根と同じく、外壁も外壁材によって多少メンテナンス方法が異なります。なお、屋根も外壁も足場を組んでメンテナンスを行うため、一度に両方行うと足場の費用を抑えられます。
●窯業系サイディングやガルバリウム鋼板、ALC(軽量気泡コンクリート)の場合
表面の塗膜が剥がれたり、風雨や紫外線で劣化したりする前に、10年〜15年くらいで再塗装すると長持ちさせやすくなります。
なお、商品によってメーカーの推奨する再塗装のタイミングが異なるので、施工した会社などに確認しましょう。
●樹脂系サイディングの場合
樹脂系サイディングは基本、塗り替えは不要です。日頃から目視でひび割れなどがないか確認しておきましょう。
●モルタルの場合
モルタルは10年前後で表面の塗装材を塗り替えるメンテナンスを行いましょう。その際に、ひび割れなどがあれば、適宜補修を行うとよいでしょう。
●タイルの場合
タイル自体は基本的に塗装などのメンテナンスが不要ですが、定期的に下地のモルタルやパネルにひび割れなどの劣化が生じていないか、タイルの浮きの有無などを、目視で確認しておきましょう。もし複数のタイルに連続するひび割れがある場合は、下地にも割れが生じている可能性があるので、注意が必要です。
●コーキングの補修
外壁のメンテナンスでは外壁材によって、コーキングのメンテナンスも必要になります。その際に、費用の安いコーキングの「増し打ち」を提案する施工会社もありますが、可能であれば「打ち替え」が理想です。
「増し打ち」とは、既存のコーキングの痩せた部分に塗り足すことで、「打ち替え」とは既存のコーキングを一度剥がしてから新たにコーキングし直すことです。ただし、窓まわりはカッターが入りにくいなど工事が難しいため、多くの場合は増し打ちになります。
窓や天窓は外壁や屋根のメンテナンスと併せて行う
窓や天窓は、外壁や屋根と接続している部分の点検を行い、必要に応じてコーキングの補修などを行いましょう。外壁や屋根のメンテナンスと併せて行うとよいでしょう。なお、補修内容によっては国や地方自治体の補助金制度を利用できる可能性も。対象や上限金額についてチェックしてみましょう。
<補助制度(一例)>
既存住宅の断熱リフォーム支援事業(環境省)
エネルギー消費効率の改善や低炭素化を総合的に促進するため、高性能建材を用いた断熱改修を支援。2026年度には「トータル断熱(断熱材、窓、ガラスを組み合わせての断熱改修)」と「居間だけ断熱(窓を用い、居間をメインに断熱改修)」の2種類を公募。補助上限は経費の3分の1(上限120万円)。
雨漏りの修理に火災保険は適用される?
雨漏りの修理・補修は、火災保険が利用できる場合があります。どんな条件下で利用できるのでしょうか。
自然災害による雨漏りは火災保険の対象
結論から言うと、もしも雨漏りの原因が自然災害によるものであれば、火災保険の対象になり、補償金を受け取れる可能性があります。具体的には、台風などによって屋根や外壁が壊れたり、落雷で屋根に穴があいたりした場合がその一例。このほか、他人が操縦するドローンが落下して屋根が壊れて雨漏りが発生するなど、偶然の事故も補償の対象になります。契約内容によりますので、詳細は各保険会社に問い合わせて確認するようにしましょう。
なお前述したような悪質な点検商法の場合、「自然災害と偽れば、保険金で自己負担なく工事ができる」と屋根の修理・補修を促すケースもあるようです。しかし、雨漏りが経年劣化によるものだと知りながら、自然災害の事故を理由に保険金を請求すると、保険会社から保険金の返還請求や保険契約の解除をされる可能性があるほか、刑事罰(詐欺罪)に問われる可能性もありますので、絶対にしないでください。
火災保険申請時の注意点
雨漏り修理に際して火災保険を申請する場合、気づいたタイミングですぐに申請をしましょう。これは、損傷に気づいてから【原則として3年以内】に保険金の請求をする必要があるためです。期間を過ぎると時効になってしまい、保険金を受け取れなくなる可能性があるので注意しましょう。また、保険金の申請は被保険者自ら行う必要があります。保険金申請をサポートするという業者もいますが、高額な成果報酬や手数料を請求されるケースも。迷ったことがあれば、保険会社に直接問い合わせたほうがあんしんです。
まとめ
「天井に染みができたから、屋根から雨漏りしているんだろう」と思って施工会社に屋根を点検してもらい、怪しい部分を修理・補修したにもかかわらず、雨漏りがなかなか収まらない。残念ながら雨漏りの修理・補修はこうしたことが十分起こりえます。雨漏りの入り口は、ときにあまりにも微細で、出口である室内の染みからたどっていっても、経路が複雑なため、なかなか雨漏りの原因を特定できないことがあります。
また経路を特定するために、天井や壁を壊さなければならないことも。それによって雨漏りの原因が特定できたとしても、雨漏りの調査で壊した天井や壁は再び元に戻さなければなりません。そうなれば時間もお金もかかります。
なにしろ雨漏りの調査会社や施工会社といったプロでも、原因の特定に頭を悩ますことがあるほどです。ですから、素人が簡単に修理・補修できると思わないほうがよいでしょう。
例えば外壁の手の届く範囲にあるコーキングにひび割れがあり、そこから雨漏りしているなら、素人でも修理・補修できそうに思えるかもしれません。しかし、コーキング剤の充填が不十分だと、雨漏りが直りません。しかも、見た目はコーキング剤のひび割れがないため、その後プロに調査や修理・補修を依頼した際に、原因箇所の特定が遅れてしまうことも考えられます。雨漏りの修理・補修は安易に考えず、最初からプロに依頼するようにしましょう。
また、定期的なメンテナンスを行うことで雨漏りを防ぎやすくなります。メンテナンスを怠り、以前の地震や台風の影響で屋根の状態が心配であれば、現状を確認する意味でも一度メンテナンスを早めに行うようにしましょう。
- 家の雨漏りの原因の多くは、建物の劣化
- 簡単な調査・修理で済めば費用は10万円ほど。特定が難しい場合や大掛かりな修繕になる場合は数百万円になることも
- 訪問営業による被害が増加中。急に訪れた業者に屋根を見てもらうのは危険
- 自然災害による雨漏りは火災保険の補償対象となる
構成・取材・文/SUUMO編集部 イラスト/田中英樹
雑誌「カーセンサー」編集部を経てフリーライターに。中古車からカーシェアリング、電気自動車までクルマにまつわる諸々の記事執筆を手がける。最近は住宅雑誌の記事も執筆している。