【2024年版】トイレリフォームで使える補助金・助成金は?申請の注意点も解説!

トイレのバリアフリーリフォームや最新型の節水型トイレへの交換には、国や各自治体による補助金・助成金制度を使える可能性があります。そこで今回は、初めてのリフォームでも迷わないためにトイレリフォームで使える補助金&助成金制度について徹底解説します。申請時の注意点を押さえて、後悔しないリフォーム計画を立てましょう。

ロータンクトイレ

シンプルなデザインのロータンクトイレ(写真提供/JS Reform(日本総合住生活)

記事の目次

トイレリフォームのタイミング

家の中でも使用頻度が高いトイレ。築年数を重ねるほど着実に劣化が進んでいます。トイレリフォームを考えるべき築年数の目安や、リフォームのきっかけとなるタイミングについてご紹介します。

築10年がトイレリフォームの目安

陶器製の便器は、上手に使えば「100年使える」といわれるほど非常に丈夫です。しかし、タンクや配管、パッキンなど、トイレ内部のパーツは定期的なメンテナンスが必要です。タンクの部品は10年程度、配管やパッキンは20年程度で寿命を迎えます。電気製品にカテゴリーされる温水洗浄便座はさらに寿命が短く、5年〜10年ほど使用したら交換するべきと考えましょう。部品によって耐用年数が異なりますが、築年数10年を迎えたらトイレリフォームを考え始める必要がありそうです。

温水洗浄便座の故障

温水でシャワー洗浄ができる便利な温水洗浄便座ですが、使用頻度が高いほど早く壊れてしまう可能性があります。動作しなくなったり、異常な音が聞こえてきたりするようになった場合は故障のサインです。便器・タンク・便座を組み合わせた形のトイレであれば温水洗浄便座のみの交換もできますが、便器・タンク・便座が一体となっている一体型トイレや、タンクレストイレなどは温水洗浄便座のみの交換はできないため、故障の場合は本体ごと交換する必要があります。

トイレをチェックする業者のイメージ

トイレリフォームのきっかけとして多い温水洗浄便座の故障(写真/PIXTA)

家のリフォームと併せてメンテナンス

長年暮らしていると家中に不便な点が見えてきますが、トイレもその一つ。トイレ単体でのリフォームはもちろん、併せてキッチンや浴室、洗面台などの水回りをまとめてリフォームできると費用を抑えられるプランも多数あります。リビング・ダイニングなど、部屋のテイストと合わせてトイレの壁や床も一新して新築気分を楽しむ方も多いようです。

リフォームを相談するイメージ

家のリフォームを機にトイレリフォームも考えてみましょう(写真/PIXTA)

高齢者向けトイレへのリフォーム

毎日当たり前のように使用するトイレですが、年齢を重ねて使いにくさを感じる人も多いものです。トイレリフォームなら、段差をなくす、手すりを設置するなど、誰でも使いやすい多機能トイレに交換することができます。高齢になり、体が思うように動かせなくなってもトイレがおっくうにならないように、家族全員が安心して使えるトイレに替えられます。

手すりを設置したトイレ

手すりを取り付けることで年齢を重ねても使いやすいトイレになります(写真/リフォームスタイル

費用10万〜30万円でトイレのみ交換

設備機器の故障やライフスタイルの変化をきっかけに考え始めるトイレリフォーム。便器のみの交換であれば10万〜30万円が費用相場となります。撤去・新設するトイレがタンク付きか、もしくはタンクレスかによって本体代が前後するため、予算を考えながら検討しましょう。

タンク付きトイレであれば本体代はおよそ10万〜20万円。タンクレストイレであればおよそ20万〜30万円と、タンクレストイレのほうが高額になる傾向にあります。そこに3万〜5万円ほどの撤去・設置費用が加算されます。床や壁、天井など内装も合わせて張り替える、手洗い器のリフォームなどを加えるとなると、プラスで数万円から数十万円追加されると考えましょう。

トイレ本体の交換イメージ

トイレの交換のみは10万円〜30万円が目安です(写真/PIXTA)

【2024年版】トイレリフォームで利用できる補助金・助成金

トイレリフォームで活用できる補助金・助成金制度には、「国が実施するもの」「自治体が独自に実施するもの」があります。リフォーム内容によって補助金・助成金を受給できるかもしれないため、事前のリサーチが欠かせません。2024年現在はどのような補助金・助成金制度があるのかチェックしましょう。

「子育てエコホーム支援事業」で節水型トイレに交換

国土交通省による「子育てエコホーム支援事業」は、エネルギー価格など物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とした補助金制度です。高い省エネ性能を持つ新築住宅の取得や、住宅の省エネリフォームなどを行った場合に補助が受けられます。

リフォームでは、子育て世帯・若者夫婦世帯以外も申請が可能です。注意するべき点は、補助額の合計金額。申請する補助額が合計5万円以上でなければ、補助対象にはなりません。

さらに、どのリフォームでも対象となるわけではありません。例えば、トイレリフォームでは、【A】「エコ住宅設備の設置」項目の「節水型トイレの設置」、【B】「バリアフリー改修」項目の「手すりの設置」「段差の解消」が該当します。【A】は単体でも申請が可能ですが、【B】は【A】と組み合わせなければ申請対象にはなりません。例えば、節水型トイレの設置と合わせて浴室に手すりを付ける、キッチンの換気扇を掃除しやすいレンジフードに交換するといった任意工事が考えられます。

交付申請期間は、2024年4月2日から予算上限に達するまで。遅くとも2024年12月31日までと期間も決められているため気をつけましょう。

「子育てエコホーム支援事業」の一戸あたりの補助上限額は、子育て世帯・若者夫婦世帯(※)は30万円(長期優良住宅の認定(増築・改築)を受ける場合は45万円)。その他の世帯は上限20万円(長期優良住宅の認定(増築・改築)を受ける場合は30万円)となります。なお、子育て世帯・若者夫婦世帯で既存住宅購入を伴う場合は補助上限が60万円まで引き上げられます。

※子育て世帯とは原則申請時点で2005年4月2日以降に生まれた子どもがいる世帯のこと。若者夫婦世帯とは、原則申請時点で夫妻であり、夫妻のどちらかが1983年4月2日以降に生まれた世帯のこと

【子育てエコホーム支援事業】
対象工事

【A】※いずれか必須
(1)開口部の断熱改修
(2)外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
(3)エコ住宅設備の設置

【B】
(4)子育て対応改修
(5)防災性向上改修
(6)バリアフリー改修
(7)空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
(8)リフォーム瑕疵保険等への加入

条件

(1)エコホーム支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする方
(2)リフォームする住宅の所有者等であること

※(1)(2)を満たす方が対象

補助・助成金額 対象工事内容ごとの補助額の合計(原則、1戸あたり20万円を補助上限)。ただし、子育て世帯または若者夫婦世帯が自ら居住する住宅に行うリフォーム工事である場合は、最大60万円まで上限補助額が引き上げられる。
参照:子育てエコホーム支援事業(国土交通省)

トイレを増築やリノベで増設する費用は? トイレリフォームの疑問を一級建築士に聞いた

「介護保険」による住宅改修助成制度でトイレをバリアフリー化

厚生労働省による介護保険は、全国共通の制度です。要介護1~5、もしくは要支援に認定されている場合は、介護保険の住宅改修助成制度を利用できる可能性があります。補助金として受給できるのは介護保険の被保険者が対象であり、支給限度基準額は要介護や要支援の状態区分に関わらず20万円となっています。ただし、1割~3割は自己負担となるため、実質的な給付額は14万~18万円が上限となります。

また、対象の住宅は被保険者が実際に暮らしている家であり、被保険者証に記載されている住所である必要があります。限度額の範囲内であれば、複数回の申請も可能です。要件に該当する場合はケアマネージャーに相談をしましょう。

【介護保険における住宅改修】
対象工事 (1)手すりの取付け
(2)段差の解消
(3)滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
(4)引き戸等への扉の取替え
(5)洋式便器等への便器の取替え
(6)その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
条件 住宅改修事業者に工事内容を相談するとともに、ケアマネジャーなどが住宅改修が必要な理由書を作成した上で、施工前と施行後にそれぞれ居住自治体に申請を行う
補助・助成金額 生涯20万円(要支援、要介護区分にかかわらず定額)
  • 保険給付は原則9割(上限18万円)、所得に応じて8割(上限16万円)、7割(上限14万円)
  • 限度額の範囲内であれば、複数回の申請も可能
  • 要介護状態区分が重くなったとき(三段階上昇時)、また、転居した場合は再度20万円までの支給限度基準額が設定される
参照:介護保険制度の概要(厚生労働省)

バリアフリーリフォームの費用相場と、介護保険の助成、優遇税制、補助金制度を紹介

リフォームの相談をする車椅子の夫と妻のイメージ

介護保険の住宅改修助成制度を利用する場合はまずケアマネジャーへ相談を(写真/PIXTA)

国の「令和6年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業」でトイレをリフォーム

国土交通省による「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、既存住宅の長寿命化、省エネ化等を目的とする性能向上リフォームに対する支援制度です。一戸建てや共同住宅が対象となり、事業用の店舗や事務所は対象外となります。

補助金制度を受けるための条件は、以下4つです。
(1)少なくとも1階の床面積(階段部分を除く)が40m2以上、かつ、延べ面積が55m2以上であること。

(2)リフォーム工事の内容が、補助対象となるリフォーム工事のいずれかであること。
補助対象となるリフォーム工事は以下5種類です。
  • 特定性能向上リフォーム工事
  • その他性能向上リフォーム工事
  • 三世代同居対応改修工事
  • 子育て世帯向け改修工事
  • 防災性、レジリエンス性の向上改修工事

(3)リフォーム後の住宅が一定の性能基準を満たすこと。

(4)リフォーム工事着手前にインスペクション(現況検査)の実施、維持保全計画及びリフォームの履歴を作成すること。

なお、補助限度額は事業タイプによって異なりますが、評価基準型であれば1住戸につき80万円、認定長期優良住宅型であれば1住戸につき160万円が上限です。三世代同居対応改修工事や若者・子育て世帯の改修工事、既存住宅を購入しての改修工事などの場合は50万円を上限に加算されます。

トイレリフォームで長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金を受けられる可能性がある工事内容としては、節水型トイレの設置や、三世代同居を目的としたトイレの増設などが挙げられます。三世代同居を目的としたトイレの増設の場合は、リフォーム後にキッチン・浴室・トイレ・玄関のうち、いずれか2つ以上が複数あり、住戸内で行き来ができるなどの条件を満たす必要があるため、自宅のトイレリフォームが制度の対象となるかどうかなどは、施工するリフォーム業者に早い段階で確認しておくのが安心です。

また、この補助金を受けるためのスケジュールは、通年申請タイプの場合、住宅登録の受付期間は2024年4月15日から2024年12月13日。交付申請は2024年5月13日から2024年12月23日です。期間については、申請状況に応じて、短縮、または延長する場合があるので、最新の情報は長期優良住宅化リフォーム推進事業のHPで確認しましょう。

【令和6年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業】
対象工事(一例) 三世代同居対応改修工事(トイレ、浴室、キッチンの増設 など)
要件 リフォーム後にキッチン、浴室、トイレ、又は玄関のうち、いずれか2つ以上が複数カ所あること、かつ住戸内で行き来ができること。
補助・助成金額
(限度額)

長期優良住宅(増改築)認定を取得しないものの、一定の性能向上が認められる場合:1住戸につき80万円(130万円/戸※)※
長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合:1住戸につき160万円(210万円/戸※)※

※以下の場合、50万円を上限に加算(三世代同居対応改修工事を実施する場合/若者・子育て世帯が改修工事を実施する場合/既存住宅を購入し改修工事を実施する場合)
※1申請あたりの補助金額が10万円(補助対象工事費が30万円)以下は補助対象外

参照:長期優良住宅化リフォーム推進事業(国立研究開発法人 建築研究所)

三世代家族のイメージ

三世代同居に向けたリフォームなら「長期優良住宅化リフォーム推進事業」(写真/PIXTA)

「リフォーム減税制度」も利用できる

ご紹介した補助金・助成金制度に加え、リフォームで活用できる減税制度もあります。所得税や固定資産税について減税措置を受けられる可能性があるかもしれません。

【所得税の控除対象となるリフォーム】
適用要件を満たすリフォームを行った場合、税務署へ確定申告の手続きをすることで控除を受けられる可能性があります。

所得税の税額控除の対象となるリフォーム工事には以下の項目があります。
  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム
  • 同居対応リフォーム
  • 長期優良住宅化リフォーム
  • 子育て対応リフォーム

また、所得税については上記の所得税控除のほかにも、10年以上の住宅ローンを組んで一定のリフォームを行った場合は住宅ローン減税も対象です。

住宅ローン減税は10年以上の償還(しょうかん)期間のある住宅ローンを組んで一定の増改築等を行った場合に、毎年の住宅ローン残高(限度額は2000万円)の0.7%に相当する額を最大10年間、所得税から控除する制度です。最大控除額は140万円で、所得税から控除しきれない場合は翌年の住民税からも一部控除することができます。

次に、固定資産税の軽減措置についてです。

【固定資産税の減額対象となるリフォーム】
工事完了後3カ月以内に市区町村に申告すると、翌年度分の固定資産税減額措置を受けられます。

固定資産税の軽減措置の対象となるリフォーム工事には以下の項目があります。
  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム
  • 長期優良住宅化リフォーム

所得税と固定資産税の減税措置を受けられるリフォームは幅広くありますが、バリアフリーリフォームもその一つ。車椅子が入りやすくなるようにトイレのドアを引き戸に交換する、和式トイレを洋式トイレに交換する、トイレ内に手すりを設置する、床材を滑りにくいものにするといったリフォームが対象です。減税制度についても、工事の内容によっては要件に該当せず対象外となることがあるので注意しましょう。

和式トイレを洋式トイレにするリフォーム費用はいくら? 費用相場から洋式トイレの価格、施工事例、工事期間まで紹介

自治体ごとに補助金・助成金内容が異なる

トイレリフォームで使える補助金・助成金制度を自治体が独自に実施している場合もあります。全ての自治体に必ず制度があるというものではなく、お住まいの自治体によっては補助金・助成金制度がない場合もあります。対象となる工事は、バリアフリートイレへの改修、空き家を購入してリフォームする場合の助成、省エネ改修、耐震改修などさまざま。条件を細部まで確認することが大切です。

トイレリフォームの補助金・助成制度のイメージ

自治体によって住宅リフォーム支援制度は異なります(写真/PIXTA)

トイレリフォームにおける自治体の補助金・助成金事例

トイレリフォームを含む住宅改修に補助金・助成金を支給している4つの自治体の制度を例として解説します。見比べてみると、自治体によって補助金・助成金制度が大きく異なることが分かります。

東京都荒川区「令和6年度エコ助成」

地球温暖化の防止、ヒートアイランド対策の促進を目的として、区民、事業者、管理組合などに対し太陽光発電や屋上緑化等の施工費用の一部を助成する制度。この助成制度に含まれるのが、既存の便器を節水タイプの便器に改修する「節水トイレへの改修」です。洗浄水量や下水処理場等で使用する電力を減らし、二酸化炭素(CO2)排出を削減することを目的としています。

対象工事 節水トイレへの改修
条件
  • 1回の洗浄水量が6.5リットルを超えない便器またはそれと同等以上であると区⻑が認めた便器であること
  • 新設は対象外
  • 介護保険制度の住宅改修または荒川区高齢者住宅改修給付事業を申請する場合は申請できない
補助・助成金額
(限度額)
本体(普通便座の便器及びタンクのみ)及びその設置費用の2分の1の額
荒川区内業者と契約・施工の場合5万円、荒川区外業者と契約・施工3万円

神奈川県川崎市「高齢者住宅改造費助成事業」

身体機能の低下により支援・介護を必要とする高齢者が、住宅のバリアフリー工事を行う際、費用の一部を補助するものです。この制度を活用することで、介護保険の住宅改修では改修しきれなかった温水洗浄便座の設置やトイレの水洗化リフォームなどの費用の一部が助成されます。

対象工事 対象者の日常生活動作能力を補うためのもので、介護に係る作業労力を軽減するもの。浴室、トイレ、洗面所、居室、玄関、台所、廊下、階段等の必要最小限 の工事(事前の相談が必須)
条件
  • 川崎市内に居住する65歳以上の高齢者であること
  • 要介護認定が要支援1、2又は要介護1~5と認定され、住宅改造が必要と認められていること
  • 川崎市在宅重度障害者(児)やさしい住まい推進事業による給付を受けていないこと
  • 改造内容が建築基準法等の法令に適合していること など
補助・助成金額
(限度額)
  • 工事の対象となる助成額の上限は100万円
  • 助成額は実工事額から対象外工事額を差し引いた「基本額」に助成率を掛けた金額
  • 助成率は対象者本人やその世帯の市民税や所得税の状況に応じて異なる

埼玉県川口市「川口市水洗便所改造資金補助制度」

くみ取り式便所・浄化槽から下水道接続の切替工事を行う場合に費用の一部を補助するというもの。切替工事が終了し、職員が検査をした後に補助金申請となります。職員による立ち入り検査を行うため、2026年1月30日までに切替工事を終えなければいけません。

対象工事 公共下水道の供用開始または、私道共同排水設備が整備されてから指定する期限(※)までに完了している工事のうち、
(1)既設のくみ取り式便所を水洗式にし、公共下水道等に切り替え接続する工事
(2)既設の浄化槽を撤去し、公共下水道等に切り替え接続する工事
※供用開始・私道内に下水道管が整備された時期によって対象となる工事の完了期限と補助金の申請期限が異なる
条件 (1)川口市の下水道処理区域内の建築物の所有者又は改造工事について当該建築物の所有者の同意を得た占有者であること(会社その他の法人も含む)
(2)市税を滞納していないこと
(3)上下水道料金を完納していること
補助・助成金額
(限度額)
(1)川口市指定排水設備工事店(市内業者)に依頼した場合は、対象工事1箇所につき3万円を限度
(2)川口市指定排水設備工事店(市外業者)に依頼した場合は、対象工事1箇所につき1万円を限度
(3)対象工事に要する費用が上記の補助金の額に満たない場合は、当該工事費が補助金額

北海道釧路市「住宅エコリフォーム補助事業」

一定基準以上の省エネ改修やバリアフリー改修を行う市民に対して、改修費用の一部を補助するもので、トイレの改良も対象です。釧路市内の住宅が対象となり、空き家は含まれますが、賃貸住宅は含まれません。補助申請の受付期間は2024年10月31日(木)まで。期間内で先着順での受付となります。

対象工事 省エネ改修工事
バリアフリー改修工事
申請者の条件 以下の条件を全て満たす方が対象
(1)補助対象の住宅を所有している釧路市民または、改修工事後速やかに釧路市民になる方
(2)補助対象の住宅に居住している方または、改修後速やかに居住する方
(3)満20歳以上で市税等を滞納していない方
(4)暴力団員に該当しない方
補助・助成金額
(限度額)

補助対象工事費の10%。1戸当り最大50万円(千円未満切捨て)。高齢者同居加算あり

※補助対象額は消費税を含む補助対象となる改修工事費用(見積額)と、国の告示に定められる金額を基に市の定める標準費用額により算出した額を比較し、いずれか少ない額の合計

※同一年度において、1人1回限り、または同一住宅について1回限り申請可能。※補助対象工事費(消費税を含む)の合計が20万円以上の工事が対象

なお、自治体の補助金・助成金制度は国の補助事業と併用できますが、自治体の行う補助事業に国費が当てられている場合は併用ができません。自治体の補助制度を利用する際には、国費が充当されているかどうかを役所に確認しましょう。

国・自治体の補助金・助成金申請時の注意点

トイレリフォームの補助金・助成金を受けるためには、正しいタイミングで正確な手順を踏まなければいけません。申請時に見落としがちな注意点をリフォーム工事前に把握しましょう。

申請者は誰になるのか、申請のタイミングも要チェック

補助金・助成金制度の申請は、施主ではなくリフォーム会社(施工業者)が行うものと、自ら申請しなければいけないものがあります。事前申請が必要な場合、工事が始まってからではせっかく用意した申請書も受理されないため、概要や申請スケジュールをよく確認し、締切厳守で書類を用意しましょう。

また、補助金・助成金の受給には、工事が計画通りに完了したことを証明する報告書の提出が求められます。申請から受給まで、慎重に対応しましょう。

申請期間内であっても受付終了になる場合がある

補助金・助成金の予算は年度ごとに変わります。申請期間内であっても、補助金・助成金のために組まれた予算に達してしまえば受付終了となってしまうものです。「期間内だから大丈夫」と安心せず、まだ受付中であるかを意識しながら、早めの申請を心がけましょう。

工事完了期限が設定されている場合も

補助金・助成金の申請は、書類による申請に対して期限があるだけではなく、工事完了に対する期限も設定されているのが一般的です。補助金・助成金の申請は期間内にできていても、工事完了日が期限を過ぎてしまったら補助金・助成金制度は受けられません。書類の準備ばかりに意識が集中しないようにしましょう。

工事依頼先が指定されていないか確認

国が行う補助金・助成金制度の申請は登録事業者(施工業者)が行うほか、自治体の制度によっては工事の施工業者を指定している場合があります。どこに工事を依頼してもよいわけではないため、依頼先選びにも注意しましょう。

依頼先と握手を交わす様子のイメージ

制度によっては工事の施工業者まで指定されている場合があるので要注意(写真/PIXTA)

補助金・助成金制度の申請方法

補助金・助成金制度には、「事前申請」と「事後申請」があります。国の補助金・助成金制度では、申請を行えるのは制度に登録されている登録事業者(施工業者)のみとなりますが、申請方法を把握しておくことで、安心して交付申請を進められます。

  主な補助金・助成金制度(代表的な制度例)
事前申請 各自治体による補助金・助成金制度、介護保険(事後申請も必要)
事後申請 子育てエコホーム支援事業、長期優良住宅化リフォーム推進事業など、国による補助金・助成金制度

事前申請の流れ

事前に申請を行う場合、原則として工事着工前の段階で申請を行い、許可が下りてから工事を行います。申請者は工事を注文する施主側であることが多いです。工事が終わったら完了報告を行い、認められると補助金給付となります。

【事前申請の流れ】
(1)申請

補助金・助成金制度の申請を行います。申請のためには申請書の他にも工事費見積書などが必要になる場合があります。あらかじめリフォーム会社に作成を依頼しましょう。書類がそろったら窓口・郵送・電子申請などで申請します。

(2)審査・交付判断
補助金・助成金を受け取れるかどうか、審査と交付の判断が実施されます。交付が決定すると通知書などで連絡が届きます。

(3)契約・着工
審査が通り交付が決定したら施工業者と正式に契約を結び、工事がスタートします。工事後は施工内容を確認し、一度自己負担で工事費用を施工業者に支払うことになります。

(4)工事完了報告
最後に必要書類をそろえて完了報告を行います。一般的には、施工前・施工中・施工後の写真や領収書などの準備が必要です。

(5)補助金・助成金の入金
完了報告が認められれば指定の口座に補助金・助成金が入金されます。

事後申請の流れ

工事が完了してから申請を行う事後申請は、主に国の補助金・助成金で採用されています。申請者は制度に登録されている施工業者です。

原則として全ての工事が完了してから申請を行い、許可が下りれば補助金が支払われるというものです。最後に一度申請すれば済むため、事前申請よりも簡単に思われますが、申請に伴う証明書や写真などの準備を怠ってしまうと申請自体できなくなってしまうため、事前準備が非常に重要です。

(1)契約・着工
見積もりを取って工事内容を決定したら、補助金・助成金制度を利用する旨を施工業者に伝えます。補助金・助成金制度が定める期間内に契約・着工しなければいけません。

(2)工事完了・申請
必要書類をそろえて補助金・助成金を申請します。必要書類には、施工前・施工中・施工後の写真、決められた製品を使っているかどうかの性能証明書、納品書などが考えられます。

(3)審査後、補助金・助成金の入金
申請が認められれば指定の口座に補助金・助成金が入金されます。一般的には申請を行った施工業者の口座が指定されるため、どのように還元するかあらかじめ取り決めておきましょう。

スケジュールを立てる様子のイメージ

申請の流れをしっかりと把握しておきましょう(写真/PIXTA)

参考になる!トイレリフォーム施工事例5選

トイレリフォームは、トイレ本体のグレード、内装デザインによって印象をがらりと変えることができます。これまでに施工されたトイレリフォームのなかでも、ハイセンスな施工事例5選をご紹介します。

築52年の物件でスペースを有効活用

部屋が細かく区切られていた築52年の中古物件。広さを最大限に活かした設計で、面積以上の広さを感じられる住まいに生まれ変わりました。老朽化の目立つ水回り設備は一新。手狭だったトイレは、扉を開き戸から引き戸へ替えることで広い空間を確保しました。開き扉のデッドスペースをなくして、スペースを有効活用できるように工夫しています。

広々としたトイレ

扉を替えてスペースを有効活用したトイレ(写真提供/JS Reform(日本総合住生活)

トイレの段差を解消!掃除が楽に

トイレの段差を解消し、お掃除が楽なスリムなトイレに交換しました。トイレ本体に選んだのは、洗浄水量4.8Lの超節水を実現する「TOTO ピュアレストMR」。ウォシュレットはリモコンが壁付けタイプのSシリーズを採用しました。トイレの扉も、ドアノブから開けやすいレバータイプに変更しています。

エコリフォームされたトイレ

壁の塗装や床の張り替えは施主自身が行ったエコリフォーム(写真提供/松本巧舎

トイレの床をリフォームするときの床材選びのポイントや費用相場は?

掃除しやすく品のあるトイレ空間

TOTOのウォシュレット一体型便器「GG」を採用。汚れのたまりやすいフチをなくしたシンプルな形状で、掃除しやすいのが特徴です。紙巻器やタオル掛け、水栓金具はアンティーク風な素材で統一することで品のあるトイレ空間となりました。

アンティーク調のトイレ

水栓金具はアンティーク風の素材で統一することで上品な印象に(写真/アクアラボ

モダンな壁紙でスタイリッシュに一新

洗練されたスタイリッシュなトイレ空間を作るモダンな壁紙。便器は、丸みを帯びたデザインが特徴のTOTO「ピュアレストEX」を採用。渦を巻くようなトルネード洗浄は、少しの水でもしっかりと汚れを洗い流してくれる優れものです。

モダンな壁紙のトイレ

モダンな壁紙が目を引くトイレ空間(写真/アクアラボ

トイレの壁紙リフォーム、失敗しないクロスの色・柄・機能の選び方や費用相場も紹介

家事動線を考えフロアを変更

水回りが1階になく、ずっと不便な生活を送っていたという施主さん。トイレは1階と2階の両方にあるものの、1階のトイレを使うためには一度屋外に出なければならない構造のため、水回りを全て1階にまとめるように間取りを変更。お手入れのしやすいTOTO「ネオレスト」を選び、家事が楽に。

シンプルなトイレ空間

今後の暮らしを見据えてトイレの位置、便器を交換したトイレ(写真提供/ナサホーム

トイレリフォームの業者選びで気をつけるべきポイント

トイレリフォームを依頼する際に気をつけたい業者選びのポイントを見ていきましょう。

リフォーム内容に合わせて業者を選ぶ

トイレ本体の交換工事は、水道修理業者、工務店などの建築関係の会社、ホームセンター、家電量販店でも取り扱っていますが、内装リフォームを含む場合は、リフォーム会社への相談も検討しましょう。

注意したいのは、補助金・助成金制度を利用する際の依頼先です。国の補助金・助成金制度を活用するためには制度登録されている登録事業者にリフォームを依頼しなければいけません。その点も踏まえつつ、見積もり金額、施工業者の技術力、保証期間などを比較してみましょう。

施工業者のイメージ

補助金を利用してリフォームを行いたい場合は登録事業者であるかどうかも重要(写真/PIXTA)

施工事例や口コミを見比べてみよう

トイレリフォームを行う会社はたくさんあるため、どこに依頼すればいいか迷ってしまう方も多いでしょう。メーカーによって性能の違いがあり、リフォーム会社によって強みやデザイン性も異なります。Webサイトで過去の施工事例を見比べて、希望するリフォーム内容が得意な会社を選びましょう。

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まとめ

今回はトイレリフォームに関する補助金・助成金制度について詳しくご紹介しました。国の補助金は、バリアフリー化やエコ(節水)が主な対象となります。補助金・助成金を上手に活用しながら、理想のトイレリフォームを成功させましょう。

構成・取材・文/松永春香