窓のリフォーム工事を検討している人には、2025年はチャンスかもしれません。なにしろ、「先進的窓リノベ2025事業」「子育てグリーン住宅支援事業」といった国による補助金制度が数多く用意されているのですから。さらに都道府県や市区町村でも補助金制度を設けており、併用して使えるものも多数あります。ではどんな窓なら対象になるのでしょうか。補助金の金額は? 申請はどうすればいい? そんな窓リフォームの補助金制度に関するさまざまな疑問点を、一級建築士のYuuさん(本名・尾間紫さん)に教えてもらいました。

記事の目次
2025年に窓のリフォームで使える補助金制度の一覧
2024年に窓のリフォームで利用できる国の補助金制度の中で注目したいのが、下記の「先進的窓リノベ2025事業」「子育てグリーン住宅支援事業」「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」です。それぞれの補助額や申請期間をまず確認しておきましょう。
窓のリフォームで利用できる国の補助金制度
| 制度の名前 | 補助金の上限 | 申請期間 |
|---|---|---|
| 先進的窓リノベ2025事業 | 最大200万円/一戸まで | 2025年3月下旬(予定)〜予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで) |
| 子育てグリーン住宅支援事業 |
・必須工事3つのうち、すべてを行う場合_最大60万円/一戸 ・必須工事3つのうち、いずれか2つを行う場合_最大40万円/一戸 |
2025年3月下旬(予定)〜予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで) |
| 既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | ・戸建住宅120万円/一戸(玄関ドア5万円を含む) ・集合住宅15万円/一戸(玄関ドアも改修する場合は上限20万円/一戸) ※どちらも補助対象経費の1/3以内 |
2025年2月14日〜3月7日 |
「先進的窓リノベ2025事業」は、窓のリフォームだけで最大200万円まで補助してくれる制度です。また「子育てグリーン住宅支援事業」は、子育て世帯“以外”や“窓以外のリフォーム”でも利用できます。3つめの「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、後述しますが、基本的には住まいの断熱リフォームと合わせて利用する補助金制度です。
窓のリフォームで利用できる自治体の補助金制度
国の補助金制度以外にも、都道府県や市区町村で窓のリフォームに対して補助金制度を用意している場合があります。
例えば東京都の令和6年度「既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア・断熱材・浴槽)」では、高断熱窓へのリフォームに対して以下のいずれかの小さい額を助成してくれました。①助成対象経費の1/3(※1000円未満切り捨て)②1住戸当たり100万円③助成対象経費に国からの補助事業による補助金を充当する場合にあっては、助成対象経費の3分の2の額(先進的窓リノベ事業の補助金を充当する場合は助成対象経費の6分の5の額)から当該補助金の額を控除した額。
令和7年度の補助金制度はまだ発表されていませんが、リフォームの際は詳細をホームページなどで確認するようにしてださい。
マンションでも外窓を交換できる!?
「分譲マンションの場合、内窓の取り付けは専有部での工事になるので、基本的にはリフォームが可能です。ただし、必ず管理規約を確認する必要があります」(Yuuさん、以下同)。
「既存の窓(屋外に面している窓)の交換に関しては、以前はマンションすべての窓を一括で変更する大規模修繕工事で対応する必要があるなど、難易度が高い状況にありました。しかし平成28年(2016年)3月に国土交通省から『マンションの管理の適正化に関する指針』が公示されたことで、リフォームが可能なマンションが増えています」。
具体的には同指針の公示により「マンション標準管理規約」が改訂され、一括による工事でなくても、工事方法や窓の材質・性能等が問題なければ、区分所有者が管理組合に申請して承諾されると、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができるようになっています。まずは管理組合に確認してみるといいでしょう。
「先進的窓リノベ2025事業」の補助金の金額や補助対象の要件など
「先進的窓リノベ2025事業」は、その名から分かるように、「先進的窓リノベ事業」の2025年版です。同事業は2023年に初めて行われました。その2025年版である「先進的窓リノベ2025事業」は、2024年版から若干の変更があります。詳細を見てみましょう。
「先進的窓リノベ2025事業」とは
2023年に、既存住宅の省エネ化を促す目的で始まったのが「先進的窓リノベ事業」。その2025年版にあたるのが、2025年3月下旬から申請の受付が行われる「先進的窓リノベ2025事業」です。
2024年版と比べると、内窓の補助金が減額されていることが2025年度版の特徴です。特に断熱性能の低いグレードほど、減額率が高くなっています。一方で外窓と玄関ドアは2024年版と基本は同額です。また、極小サイズ(ガラス1枚が0.1㎡未満・サッシが0.2㎡未満)と、中高層集合住宅の外窓と玄関ドアの交換(いずれもカバー工法)に設定されていたBグレード(熱交換率が最も低いグレード)が補助金の対象外になっています。
補助対象
住宅の所有者がリフォーム事業者と契約して行う、断熱窓や断熱玄関ドアへのリフォーム工事が対象となります。対象となる住宅は居住用に限られ、店舗や施設等は対象外です。また、対象住宅の所有者には、管理組合や管理組合法人も含まれますので、集合住宅でも補助を受けることができます。
なお、先進的窓リノベ2024事業で補助金の交付を受けて取り付けた製品は、先進的窓リノベ2025事業では対象外となります。
「また工事請負契約を伴わない窓のリフォーム工事は対象外です。DIYでは補助金の対象となりませんので注意を」
なお、「子育てグリーン住宅支援事業」の対象製品は、先進的窓リノベ2025事業でも一部補助の対象になっています。この場合、両事業を併用することはできますが、同じ工事箇所を両事業でそれぞれ補助金を受け取ることはできません。
補助対象の窓
下記のリフォーム工事によって取り付けられる窓とドアが対象になります。いずれも同事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限ります。
なお、同事業の対象は2024年11月22日以降に着手した工事です。この場合の工事とは、断熱窓への改修を含むリフォーム工事全体を指します。
いずれも本事業に認定されている商品に限ります。
補助額
補助額は下記の通りです。戸建住宅・低層集合住宅(3階建て以下)と、中高層集合住宅(4階建て以上)で補助額が異なる工事があります。
(「先進的窓リノベ2025事業」概要を元にSUUMO編集部が作成)
| ガラス交換 | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/5万5000円 中/3万4000円 小/1万1000円 |
| S | 大/3万6000円 中/2万4000円 小/7000円 |
| A | 大/3万円 中/1万9000円 小/5000円 |
| 内窓設置 | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/10万6000円 中/7万2000円 小/4万6000円 |
| S | 大/6万5000円 中/4万4000円 小/2万8000円 |
| A | 大/2万6000円 中/1万8000円 小/1万2000円 |
| 外窓交換(カバー工法) | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/22万円 中/16万3000円 小/10万9000円 |
| S | 大/14万9000円 中/11万円 小/7万4000円 |
| A | 大/11万7000円 中/8万7000円 小/5万8000円 |
| 外窓交換(はつり工法) | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/18万3000円 中/13万6000円 小/9万1000円 |
| S | 大/11万8000円 中/8万7000円 小/5万9000円 |
| A | 大/9万2000円 中/6万9000円 小/4万6000円 |
| ドア交換(カバー工法) | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/22万円 中/16万3000円 小/10万9000円 |
| S | 大/14万9000円 中/11万円 小/7万4000円 |
| A | 大/11万7000円 中/8万7000円 小/5万8000円 |
| ドア交換(はつり工法) | |
|---|---|
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|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/18万3000円 中/13万6000円 小/9万1000円 |
| S | 大/11万8000円 中/8万7000円 小/5万9000円 |
| A | 大/9万2000円 中/6万9000円 小/4万6000円 |
※ガラス交換、内窓設置は上記「戸建住宅・低層集合住宅(3階建以下)の場合」と同額です。
(「先進的窓リノベ2025事業」概要を元にSUUMO編集部が作成)
| 外窓交換(カバー工法) | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/26万6000円 中/18万1000円 小/11万2000円 |
| S | 大/18万円 中/12万2000円 小/7万5000円 |
| A | 大/14万8000円 中/10万1000円 小/6万2000円 |
| 外窓交換(はつり工法) | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/26万6000円 中/18万1000円 小/11万2000円 |
| S | 大/18万円 中/12万2000円 小/7万5000円 |
| A | 大/14万8000円 中/10万1000円 小/6万2000円 |
| ドア交換(カバー工法) | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/26万6000円 中/18万1000円 小/11万2000円 |
| S | 大/18万円 中/12万2000円 小/7万5000円 |
| A | 大/14万8000円 中/10万1000円 小/6万2000円 |
| ドア交換(はつり工法) | |
|---|---|
![]() |
|
| 窓の性能区分 | 窓の大きさ別の補助額 |
| SS | 大/26万6000円 中/18万1000円 小/11万2000円 |
| S | 大/18万円 中/12万2000円 小/7万5000円 |
| A | 大/14万8000円 中/10万1000円 小/6万2000円 |
上記の通り、補助額は窓やドアの断熱性能、対象の窓・ドアのリフォーム方法によって異なります。上記のSS/S/Aとは、窓・ドアの断熱性能の区分を示しているもので、断熱性能の高い順(および補助額の高い順)にSS>S>Aとなります。
補助額の上限
補助額の上限は、200万円/一戸です。
補助金を受ける対象者が工事請負契約を結んだリフォーム会社など、工事請負業者が申請します。補助金は工事請負業者に交付され、補助金対象者に下記のいずれかの方法で還元されます。
1:契約代金に充当(補助金額を差し引いた工事金額で契約)
2:工事請負業者が現金で対象者に支払う
つまり、申請はリフォーム会社など工事施工業者が行います。施主が申請する必要はなく、手続きに協力を行います。なお、工事施工業者は事前に本事業の「事業者登録」が必要になります。
補助額の対象工事
補助金の対象となる工事は「2024年11月22日以降に着手した工事」です。
補助金の申請期限
補助金の交付申請受付期限は「2025年3月下旬(予定)~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日)」です。
補助金がいくらもらえるかシミュレーションしてみよう
補助額の詳細は上記の通りですが、では一戸建て/マンションでそれぞれどれくらい補助金がもらえるのでしょうか。下記のモデルケースでSUUMO編集部が試算してみました。ぜひ参考にしてみてください。

※断熱性能はすべて「A」(試算/SUUMO編集部)
| 窓サイズとドア | 1階の外窓・玄関ドアを交換した場合の補助額 | 2階に内窓を設置した場合の補助額 |
|---|---|---|
窓サイズ大![]() |
11万7000円×2 =23万4000円 |
2万6000円×1 =2万6000円 |
窓サイズ中![]() |
8万7000円×2 =17万4000円 |
1万8000円×4 =7万2000円 |
窓サイズ小![]() |
5万8000円×5 =29万円 |
1万2000円×4 =4万8000円 |
玄関ドアサイズ中![]() |
8万7000円×1=8万7000円 | なし |
| 合計 | 93万1000円 | |
上記の場合、補助額は93万1000円です。

※断熱性能はすべて「A」(試算/SUUMO編集部)
| 窓サイズ | ベランダ側の外窓を交換、他に内窓を設置した場合の補助額 | |
|---|---|---|
窓サイズ大![]() |
2万6000円×2 =5万2000円 |
|
窓サイズ中![]() |
1万8000円×1 =1万8000円 |
|
窓サイズ小![]() |
1万2000円×1 =1万2000円 |
|
| 合計 | 8万2000円 | |
上記の場合、補助額は8万2000円です。
「子育てグリーン住宅支援事業」の補助金の金額や補助対象の要件など
「子育てグリーン住宅支援事業」というと、一見子育て層以外は関係のない補助金制度に思えるかも知れません。確かに一定の省エネ水準以上の住宅を「新築」する場合は、「子育て世帯」や「若者世帯」に限定されています。
しかし、一定の省エネ水準以上をクリアするリフォームの場合は、「子育て世帯」や「若者世帯」だけでなく「全世帯」が対象になります。
「子育てグリーン住宅支援事業」とは
「子育てグリーン住宅支援事業」とは、エネルギー価格をはじめとした物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯の、省エネ性能の高い住宅の取得や、住宅の省エネ改修に対して支援することを目的とした事業です。2024年まで実施されていた「子育てエコホーム支援事業」に代わる事業です。
補助対象
「住宅の省エネ改修、つまり省エネリフォームの場合は、「子育て世帯」や「若者世帯」という世帯制限はなく、全世帯が対象となります」。
対象となるのは3つの必須工事と、任意工事と呼ばれる子育て対応改修、バリアフリー改修等です。3つの必須工事の中の2つ以上の工事を実施した場合が補助対象になります。
また、必須工事と任意工事を合わせた補助額の合計が5万円以上で補助対象になります。
なお「先進的窓リノベ2025事業」と重複した工事箇所を申請することは出来ませんが、同事業の交付決定を受けている工事箇所は、必須工事の「1:開口部の断熱改修」を行ったものとして取り扱われます。つまり、「子育てグリーン住宅支援事業」の必須工事のひとつである「1:開口部の断熱改修」を行うために、わざわざ「先進的窓リノベ2025事業」と工事箇所を分けて申請する必要はない、ということです。
同様に、「子育てグリーン住宅支援事業」で申請しなくても「給湯省エネ2025事業」や「賃貸集合給湯省エネ2025事業」で交付決定を受けている場合は、「3:エコ住宅設備の設置」を行ったものとして取り扱われます。
補助対象の窓
対象となる窓のリフォーム工事(上記【必須】のリフォーム工事に当たる「開口部の断熱改修」)は、下記の通りです。先述した「先進的窓リノベ2025事業」と同じく、ドア交換も対象となります。
また、同事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限ります。
対象となる窓のリフォーム工事(上記【必須】のリフォーム工事に当たる「開口部の断熱改修」)は、下記の通りです。先述した「先進的窓リノベ2025事業」と同じく、ドア交換も対象となります。
また、同事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限ります。
●ガラス交換
既存の外窓(屋外に面している窓)のサッシをそのまま利用し、ガラスのみ複層ガラス等に交換するリフォーム工事です。
●内窓設置
既存の外窓(屋外に面している窓)の内側に新たに内窓を設置するリフォーム工事です。既存の内窓を交換する工事も含みます。
●外窓交換
既存の外窓(屋外に面している窓)を新しい窓に交換するリフォーム工事です。「先進的窓リノベ2025事業」と違い、既存の外窓の交換方法は関係ありません。
●ドア交換
玄関ドアなど、屋外に面しているドアを交換するリフォーム工事です。「先進的窓リノベ2025事業」と違い、既存のドアの交換方法は関係ありません。
補助額
対象となるガラス・内窓・外窓・ドアは、それぞれのサイズによって補助額が異なります。
(「子育てグリーン住宅支援事業」概要を元にSUUMO編集部が作成)
| ガラス交換 | |
|---|---|
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|
| サイズ | 1枚あたりの補助額 |
| 大(1.4㎡以上) | 1万4000円 |
| 中(0.8㎡〜1.4㎡未満) | 1万円 |
| 小(0.1㎡〜0.8㎡未満) | 4000円 |
| 内窓設置(内窓交換を含む) | |
|---|---|
![]() |
|
| サイズ | 補助額 |
| 大(2.8㎡以上) | 1万70000円 |
| 中(1.6㎡〜2.8㎡未満) | 1万3500円 |
| 小(0.2㎡〜1.6㎡未満) | 1万1000円 |
| 外窓交換 ※工法は不問 | |
|---|---|
|
|
|
| サイズ | 補助額 |
| 大(2.8㎡以上) | 3万4000円 |
| 中(1.6㎡〜2.8㎡未満) | 2万7000円 |
| 小(0.2㎡〜1.6㎡未満) | 2万2000円 |
| ドア交換 ※工法は不問 | |
|---|---|
|
|
|
| サイズ | 補助額 |
| 大
(開き戸:1.8㎡以上、引き戸:3.0㎡以上) |
4万9000円 |
|
小 (開き戸:1.0㎡〜1.8㎡未満、引き戸:1.0㎡〜3.0㎡未満) |
4万3000円 |
なお、ガラス・外窓・内窓・ドアはいずれも、任意工事の「子育て対応改修」において「防犯性の向上」や「生活騒音への配慮」に資する製品に対して補助額が、同じく任意工事の「防災性向上改修」においても対象のガラスや窓に対して補助額が決められています。これらが重複して対象となる場合、最も高い補助額が交付されます。
「リフォーム工事を行う窓の性能によっては、『先進的窓リノベ2025事業』において、こちらより高い補助を受けられる場合がありますので確認してみましょう」
補助金の上限
先述した【必須工事】のうち、3つすべて行う場合(Sタイプ)と、いずれか2つ行う場合(Aタイプ)で、それぞれ補助額の上限が代わります。
なお、「子育てエコホーム支援事業」では子育て世帯とその他の世帯で補助額の上限が異なりましたが、「子育てグリーン住宅支援事業」ではリフォームにおいてはすべての世帯で同じ上限額となります。
(「子育てグリーン住宅支援事業」概要を元にSUUMO編集部が作成)
| 補助要件 | 補助額の上限 |
|---|---|
| Sタイプ/必須工事3つをすべて行う場合 | 60万円/戸 |
| Aタイプ/必須工事3つのうち、いずれか2つを行う場合 | 40万円/戸 |
補助金の申請方法
補助金を受ける対象者が、工事請負契約を結んだリフォーム会社など、工事請負業者が申請します。補助金は工事請負業者に交付され、補助金対象者に下記のいずれかの方法で還元されます。
1:契約代金に充当(補助金額を差し引いた工事金額で契約)
2:工事請負業者が現金で対象者に支払う
つまり、申請はリフォーム会社など工事施工業者が行います。施主が申請する必要はなく、工事施工業者の申請手続きに協力を行います。なお、工事施工業者は事前に本事業の「事業者登録」が必要になります。
補助金の対象工事
補助金の対象は「2024年11月22日以降に着手したリフォーム工事」です。
補助金の申請期限
補助金の交付申請受付期限は「2025年3月下旬(予定)~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日)」です。
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」の補助金の金額や補助対象の要件など
窓だけでなく、住宅全体の断熱性能を高めたい、リビングだけでも断熱性能を高めたいという人に検討してほしいのが「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」です。
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」とは
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」とは、断熱性能の高い窓を含む「高性能建材」を用いて住宅の断熱性能を高めるリフォームを支援してくれる制度です。住宅全体の断熱性能を高めるリフォームだけでなく、リビングなど普段過ごすエリアだけ断熱リフォームを行う場合も補助金を受けることができます。
補助対象
補助の対象となるのは住宅の所有者、または所有予定者で、対象となる住宅に住民票を置いている人です。対象となる住宅は居住用に限られ、店舗や施設等は対象外です。
また申請者が所有する住宅に、申請者自身が居住しておらず親族が居住している場合は、申請時に居住者(親族)の住民票を提出することを条件に申請が認められています。
対象住宅の所有者には、管理組合や管理組合法人も含まれますので、集合住宅でも補助を受けることができます。また、賃貸住宅の所有者も対象です。
先述の通り、住宅全体の断熱リフォームをする「トータル断熱」と、リビング(居間)をメインに断熱リフォームをする「居間だけ断熱」の2つがあります。
補助対象の窓
「トータル断熱」「居間だけ断熱」ともに、本事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限ります。
「トータル断熱」は「天井・外壁・床・窓/ガラス」という4つの部位の組み合わせによって、地域区分ごとに最低改修率(延床面積に対する補助対象の床面積の合計)が決められていて、それを満たす必要があります。また、居間または主なる居室(就寝を除き日常生活上在室時間が長い居室等)を中心に改修することが求められます。
「居間だけ断熱」は居間の窓すべてを改修する必要があります。窓の改修は外窓(屋外に接している窓)の交換か、内窓の設置を指し、ガラスの交換は対象外です。居間の窓すべてを改修すれば、他の部屋の窓や玄関ドアの改修も補助の対象になります。
補助額
「トータル断熱」「居間だけ断熱」どちらも、補助率は補助対象経費の3分の1以内です。補助対象経費とは補助対象となるリフォーム工事に必要な建築材料の購入経費や工事に必要な経費のことです。
また、補助金額は以下のAとBを比較して、いずれか低い金額に補助率を乗じて算出されます。
A)基準単価を用いて算出した補助対象経費
B)見積書による補助対象製品の購入費等の補助対象経費
補助金の上限
一戸建てとマンションとで補助金の上限が異なります。
一戸建ての場合、上限は120万円/戸(玄関ドア5万円を含む)です。マンション等集合住宅の場合、上限は15万円/戸(玄関ドアも改修する場合は上限20万円/一戸)です。
補助金の申請方法
上記「先進的窓リノベ2025事業」や「子育てグリーン住宅支援事業」と違い、「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」への申請は、リフォームを行う住宅の所有者、マンションなら管理組合など代表者が行います。
書類の作成などでリフォーム会社の助けが必要な場合もあり、不慣れなリフォーム会社だと申請者の負担が大きくなるので、慣れているリフォーム会社を選んだほうがいいでしょう。
申請するためには、必要書類を提出して交付決定通知を受けたのち、該当する工事の契約・着工となります。その後、工事が完了したら、再び必要書類を提出。本事業の担当者による審査や現地調査を終えた後に「交付額確定通知書」が発行され、それを受領した後に「精算払請求書」を提出し、補助金が申請者に入金されます。
補助金の申請期限
現時点では、令和7年(2025年)2月14日〜3月7日(金)までの公募が行われました。以降も公募が予定されていますので、同事業のホームページ等をチェックしてみましょう。

窓・サッシリフォームの費用相場ともらえる補助金。断熱窓で、冬暖かく、夏涼しく
どの補助金制度を使うのがオトク? 併用はできる?
窓のリフォームに対する補助金制度は、紹介したものだけでも3つあります。それぞれ特徴があり、どれを選んで利用すればいいのか迷う人もいるでしょう。そこで、「先進的窓リノベ2025事業」「子育てグリーン住宅支援事業」「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」それぞれの特徴や補助額の比較、具体的な利用方法などをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
国のリフォーム補助金制度、違いと特徴
3つの補助金制度の、それぞれの詳細は上記の通りですが、では3つの違いは何でしょうか。ざっくりとそれぞれの特徴や、利用を検討したほうがいいユーザー像をまとめると、下記のようになります。
●先進的窓リノベ2025事業
「高断熱な窓ほど補助額が高くなり、特に高性能な窓に対する補助額が高いのが特徴です。また、一戸あたりの補助の上限額が200万円と最も高くなっています」。
以上を踏まえると、手軽なリフォームでとにかく窓の断熱性能を高めたいという人に向いています。
●子育てグリーン住宅支援事業
リフォーム工事に関しては、どんな世帯でも利用できる制度ですが、その名の通り⼦育て世帯・若者夫婦世帯にとっては、よりメリットのある制度です。
「窓の断熱だけでなく、その他のリフォーム工事も補助対象になっています。例えば任意の工事の中には『子育て対応改修』があります。ここではビルトイン食洗機の設置や掃除しやすいレンジフード、浴室乾燥機、宅配ボックスなど、家事が楽になる設備を備える工事が対象になります。すべての世代に有用なのはもちろんのこと、特に子育てや共働きで忙しい⼦育て世帯・若者夫婦の暮らしが快適・便利になる補助金制度なのです」。
●既存住宅における断熱リフォーム支援事業
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、その名の通り住宅の断熱性能を高め、CO2削減を図るためのリフォームに対して補助をしてくれる制度です。
そのため、一戸建ての「トータル断熱」「居間だけ断熱」どちらも、窓だけでなく天井や外壁、床などの断熱性能を高めるリフォーム(上限120万円)に加え、蓄電システムや蓄熱システム(エコキュート等の電気ヒートポンプ式給湯器)にもそれぞれ20万円まで、熱交換型換気設備等やEV(電気自動車)の充電設備の設置にもそれぞれ5万円までの補助がでます。
「『既存住宅における断熱リフォーム支援事業』は、窓だけでなく住宅全体の省エネ化を図りたい人に向いているといえるでしょう」。
窓のリフォーム方法は、大きく分けて3つある
「窓のリフォーム」といっても3つの方法があり、「先進的窓リノベ2025事業」と「子育てグリーン住宅事業」では、リフォーム方法によって補助額も異なります。それぞれ、どんな方法で、どんなメリット/デメリットがあるのか、確認しておきましょう。
なお、「サッシ」という言葉を聞くことが多いと思いますが、窓の部位の名称は下記のようになり、サッシは下記の「枠」+「框(かまち)」部分を呼ぶことが多いようです。ですから「アルミサッシ」という場合、窓の枠と框がアルミ製ということです。

既存の外窓のガラスだけ交換する(ガラス交換)
既存の外窓のガラスのみ交換する方法です。既存の外窓の枠とフレームはそのまま用います。

●メリット
ガラス部分の交換のみですから、工事が手軽です。
●デメリット
既存の外窓のサッシを用いるため、サッシの断熱性能を高めることができません。サッシからも熱が出入りするので、断熱性能が低いサッシの場合、そこに結露が集中してしまうことがあります。
「以上を踏まえると、既に樹脂製や樹脂+アルミ製の断熱性能の高いサッシを用いた窓を備えていて、さらに断熱性能を高めたいという人に向いているリフォーム方法です」。
既存の外窓の内側に窓を備える(内窓設置)
屋外に面している既存の外窓の、室内側に窓を追加する方法です。

●メリット
工事の時間が、窓1面なら最短で1時間、マンションで3〜4窓なら半日程度で済むなど、簡単に工事できます。また防音効果を高めることもできます。
「管理規約で既存の外窓の交換が認められていないマンションでも、多くの場合内窓の設置が認められているので、導入しやすい方法です(事前に管理規約の確認が必要です)」。
●デメリット
外気を取り入れたり、外へ出る際などに窓を2回開ける必要があります。また掃除の手間が増えます。
上記の通り工期も短く、たいていの場合は外窓交換よりも費用を抑えやすくなるので、手っ取り早く窓の断熱性能を高めたい人に向いています。
既存の外窓を取り外して新しい窓を設置する(外窓交換)
既存の外窓(屋外に面している窓)を取り外して新しい窓を設置する方法は、「カバー工法」と「はつり工法」の2つあります。
まず「カバー工法」とは、まず既存の外窓の枠を残して、ガラスとフレームを取り払います。次に古い枠に新しい枠を被せるように取り付け、ガラスとフレームも備えます。

●メリット
既存の外窓同様、窓の開閉が1回で済みます。
●デメリット
枠が太くなるので、その分ガラス面積が既存の外窓より小さくなります。
一方の「はつり工法」は枠ごと取り外して、新しい窓を備える方法です。

●メリット
既存の外窓同様、窓の開閉が1回で済みます。外壁と内装工事を伴うので、一戸建てなら、合わせてサイズを変更することも可能です。
●デメリット
外壁と内装工事を伴うので、費用が最もかかります。また工期も1週間程度は見ておいたほうが良いでしょう。
このように「カバー工法」「はつり工法」どちらも、最新の窓の性能を享受しやすくなります。また、既存の外窓と開閉方法を変えることもできます。例えば引き違い窓の既存の外窓を、左右にウインドキャッチャー(すべり出し窓)を備えて、外気を取り入れやすくする、という具合です。
以上を踏まえると、断熱性能を高めたいだけでなく、窓の快適性や日常の使いやすさを重視する人は外窓交換が向いているといえます。
「先進的窓リノベ2025事業」で選べる窓の種類と選び方
上記で見てきたように、例えば「先進的窓リノベ2025事業」なら「SS/S/A」という「断熱性能」の違いで補助額も変わります。では窓のどこを見て違いを判断すればいいのでしょうか。詳しく見てみましょう。
窓の断熱性能は「ガラス」「フレーム」で変わる
夏なら屋外の暑さが室内へ、冬なら室内の暖かさが屋外へ、窓から出入りしようとします。窓からは実に多くの熱量が流出しているので、窓の断熱性能を高めることで、室内を快適にすることができ、光熱費の削減にもつながります。

窓の熱の出入り口、つまり窓の断熱性能を左右する要素は、「ガラス」「フレーム」「封入するガス」「スペーサー」の4つがあります。
●ガラス
用いられるガラスの枚数が増えるほど、ガラスとガラスの間に空間が生まれるので熱を伝えにくくなり、断熱性能が高まります。高断熱の窓は、最低でも2枚以上のガラスを用います。2枚用いたガラスは「複層ガラス」、3枚用いたガラスは「トリプルガラス」といわれています。
さらに、ガラスの内側に熱を反射する特殊な金属膜をコーティング処理した2枚ガラスを「Low-E複層ガラス」、3枚ガラスを「Low-Eトリプルガラス」と呼びます。Low-Eガラスは太陽の熱や室内の暖房の熱を反射することで、室内の快適性を高めてくれます。
●サッシ
戦後の日本では、安価で加工がしやすいため大量生産に適していたアルミ製のサッシ(アルミサッシ)が一気に普及しましたが、アルミよりも熱を伝えにくい素材を使うことで断熱性能を高められます。
基本的に、フレーム素材を熱が伝わりにくい順に並べると下記のようになります。
木≧樹脂>アルミ+樹脂>アルミ
以上のガラスとサッシに加え、「封入するガス」「スペーサー」によって断熱性能が変わります。
●封入するガス
2枚以上のガラスとガラスの間に封入するガスも、種類によって熱の伝わり方が違います。
基本的に、熱が伝わりにくい順にならべると下記のようになります。
真空>クリプトンガス>アルゴンガス>乾燥空気
●スペーサー
スペーサーとはガラスとガラスの間に空間を作るために挟み込む部品です。このスペーサーも樹脂製とアルミ製があり、樹脂製を用いたほうが断熱性能は高くなります。
このように「ガラス」「フレーム」「封入するガス」「スペーサー」の組み合わせ次第で断熱性能が変わりますが、それに伴い価格も変わります。
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熱貫流率とは
熱貫流率とは、熱の伝わりやすさを示す言葉です。U値という表記がされ、「W/(m2・K)」という単位で表します。この数値が小さいほど熱が伝わりにくい、つまり断熱性能が高くなります。
「窓全体の熱貫流率は「Uw」、ガラス中央部熱貫流率は「Ug」、フレームの熱貫流率は「Uf」で表します」。
「先進的窓リノベ2025事業」の性能区分「SS/S/A」とは?
「先進的窓リノベ2025事業」の性能区分は、下記のように熱貫流率で区分されています。この数値が小さいほど断熱性能が高くなりますから、補助額も高い順に「SS/S/A」となります。つまり、同事業では「A」の熱貫流率1.9W/(m2・K)以下の窓等へのリフォームが求められます。
| 性能区分 | 熱貫流率(Uw) |
|---|---|
| SS | 1.1以下 |
| S | 1.5以下 |
| A | 1.9以下 |
防火地域や準防火地域は窓の選び方に注意
防火地域や準防火地域では「延焼のおそれのある部分の開口部」に防火窓が必須となります。断熱性能の高い窓にも防火窓があるので、そちらを選ぶようにしましょう。

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窓リフォームの工期に注意
補助金制度を利用して窓のリフォームをする場合、工期に注意する必要があります。
フルリフォームなど工期が長いと、申請タイミングを逃しかねない!?
内窓の設置だけなら半日程度で工事は終わりますが、既存の外窓を交換する(はつり工法)場合、1週間程度かかることもあります。
「また窓は基本的に開口部のサイズに合わせたオーダーメイドのため、製作に時間がかかります。普段は2週間程度ですが、2023年は補助金効果で混雑して納期に3か月かかったケースもあり、納期にも注意が必要です」。
工期や納期だけでなく、補助金を申請するタイミングにも注意が必要です。上記3つの補助金制度は、いずれも予算の上限に達すると申請受付が終了します。また、申請するタイミングは当該工事が完了して引き渡しが行われた時点です。
例えば「せっかく補助金制度を使えるのだからいっそのことフルリフォームをしよう」とか「補助金も多いけど、その分出費も増えるなら、ついでにあそこもリフォームしよう」など考えていると、検討期間や実際の工期が延びがちになり、ようやく申請しようと思ったら予算の上限に達していた、ともなりかねません。
そんな時は「交付申請の予約」を利用する方法もあります。交付申請の予約とは、補助金の交付が見込まれるリフォーム工事交付申請予定額を一定の期間、確保(予約)することをいいます。
「先進的窓リノベ2025事業」の場合、交付申請の予約の有効期間は、手続きから3カ月または2025年12月31日のいずれか早い日までとなります。申請は事業者登録を済ませたリフォーム会社から行ってもらいます。
まとめ
このように、窓をリフォームするなら2025年は絶好の機会。光熱費の高騰に頭を悩ませているのであれば、国の補助金制度を使って賢く窓をリフォームして、住まいの断熱性能を高めて、光熱費を削減してはいかがでしょうか。
国の補助金制度は3つあり、「先進的窓リノベ2025事業」はとにかく窓をリフォームしたい人向け、「子育てグリーン住宅支援事業」は全世帯で利用できるけど、窓以外もリフォームしたい人向け、「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は窓だけではなく、住まい全体の断熱を高めたい人向けという具合に、それぞれ違いがあります。
「断熱性能の高い窓ほど補助額は高くなりますが、同時に窓の価格を含めた工事費も高くなり、結果的に出費も増えます。必ずリフォーム会社に相談して見積もりを比べながらどんなリフォームにするか、検討するようにしましょう」。
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取材協力/一級建築士 Yuu(尾間紫)
取材・構成・文/籠島康弘 イラスト/田中英樹
雑誌「カーセンサー」編集部を経てフリーライターに。中古車からカーシェアリング、電気自動車までクルマにまつわる諸々の記事執筆を手がける。最近は住宅雑誌の記事も執筆していて、自分が何屋なのかますます分からなくなってきた。









