トイレの印象を左右する壁紙。リフォームのタイミングで、色や柄の壁紙を取り入れて、自分好みの空間にしてみたいと思っても、どんなクロスを選べばいいのか、悩む人も多いでしょう。今回はトイレの壁紙リフォームでのクロスの選び方のコツなどを、インテリア会社「サンゲツ」に伺いました。費用の相場やおしゃれな画像、写真と共にご紹介します。
記事の目次
トイレの壁紙 クロスの色の選び方
トイレなら好きな色を取り入れやすいが、黒などの濃い色は注意
トイレは過ごす時間も短く、プライベートな空間なので、比較的大胆に好きな色や柄の壁紙を取り入れやすい場所です。
ただし、黒などの濃い色をトイレの内装に取り入れたい場合は、少し注意しておきたいポイントもあります。
「黒系や強い濃色のクロスを取り入れたい場合は、少し圧迫感を感じることもあるので、壁の一面にアクセントクロスとして取り入れるなど、バランスを取っていただくのがオススメです。
全体的に暗い色のクロスを取り入れて、レストランやホテルなどのイメージでコーディネートをされる方もいらっしゃいますが、全面に黒系などの濃い色のクロスを取り入れてしまうと、トイレの水洗に使うリモコンが反応しづらくなるケースもあるようなので、注意が必要です」(サンゲツ、以下同)
リモコンの赤外線が壁紙に反射して便座に信号を届けるような機器の場合、黒い壁紙などは赤外線を吸収してしまうため反射せず、リモコンが反応しづらくなることもあるようです。
濃い色のダークな色のクロスは、シックで、おこもり感を演出するのにはぴったりの色ですが、トイレの機器によっては、黒系の濃い色のクロスを全面に採用するのは避けた方がいい場合もあるため、事前にリフォーム会社などと相談しておくと安心です。
人気のスモーキーカラー
リビングなど、ほかの住空間でも人気のスモーキーカラーのクロスはトイレの壁紙としても人気です。トイレ全体のベースカラーとして取り入れても、落ち着ける空間を演出しやすい色でもあります。
「淡い色のクロスは狭い空間でも圧迫感を感じにくく、アクセントクロスとしてだけではなく、空間全体に取り入れるようなコーディネートもしやすいカラーです。
くすみのあるブルーや薄いグレーなど、ブルーグレーのクロスは根強い人気がある色味ですが、最近ではグレージュのほか、ピンクなど暖色よりのくすみカラーも人気があります」
トイレの壁紙 クロスの柄の選び方
狭い空間は小柄がベター
トイレに大柄の壁紙も採用することはNGではありませんが、狭い空間に大柄を取り入れると圧迫感を感じることもあります。トイレのような少しコンパクトな空間の場合は、小柄を選ぶ方が失敗は少ないといえるでしょう。
「定番の小花柄以外にも、地にデザインが入っているような、地模様と呼ばれる柄のクロスもトイレによく採用される柄物のクロスです。地模様のクロスは、色のクロスとも比較的合わせやすいので、柄×色という壁紙のコーディネートにも挑戦しやすいと思います」
トイレに大柄の壁紙を取り入れたいのであれば、あまり輪郭がはっきりしていない柄やワントーンのものであれば、圧迫感は感じにくいのでオススメです。
大柄ではっきりとした柄を取り入れたい場合は、アクセントクロスとしてポイント的に取り入れる方が、やはりまとまりやすく、バランスの取れたコーディネートになります。
根強い人気の北欧調
トイレのクロスに限ったことではありませんが、北欧調の柄の壁紙も根強い人気があります。
北欧調のクロスというと、少し彩度を抑えたカラーに、動物や植物、自然といったモチーフをポップにデザインしたものが多く、ナチュラルで明るい印象の空間にぴったりです。
「北欧調のクロスはアクセントクロスとして一面に取り入れて、まわりにすっきりとした色を合わせれば、柄のクロスであっても、主張が強すぎないので、コーディネートもしやすく、挑戦しやすいと思います。
また、植物やお花など、ボタニカルな柄もトレンドの一つですが、北欧調のクロスにはボタニカルな柄を取り入れたものも多く、トレンド感のあるクロスも選びやすいです」
トイレの壁紙 クロスの素材や機能の選び方
リフォームの場合は厚手の壁紙がオススメ
壁の下地の状態によって、施工費が左右されることもあるので、壁紙選びでは色や柄だけでなく、施工性も重要なポイントです。
「リフォームの場合は薄手のものよりも厚手の壁紙の方が、下地をひろいにくくオススメです。仕上がりに差が出ることもあるので、リフォーム推奨品以外の壁紙を希望する場合は、施工会社と相談することをオススメします」
汚れを落としやすい機能や消臭・抗菌機能のあるタイプも
汚れや臭いが気になるトイレの場合、汚れを拭き取りやすい壁紙など、機能性を備えた壁紙を取り入れる人も少なくありません。
「サンゲツのフィルム汚れ防止壁紙はビニールクロスの表面にフィルム加工が施されていることで、汚れが拭き取りやすく、お手入れのしやすいクロスです。中性洗剤のほかに、アルコール成分の入ったウェットシートなどで拭くことも可能なので、トイレの壁紙として適したクロスになっています。
そのほかにも、クロスに表面強度とストレッチ性をプラスしたハードストレッチ壁紙は、表面の撥水コートが水をはじくので、拭き取りもしやすく、トイレの壁紙としてよく採用されています」
一般的なビニールクロスの場合は、汚れによっては落としにくいものもあり、アルコール成分の入った洗剤などは使えないものもあります。子供が小さく、尿の飛び散りなどが気になる場合などは、メンテナンスのしやすい機能性壁紙を選ぶのもいいでしょう。
また、お手入れのしやすさ以外にも、消臭材を加工した消臭壁紙や、表面に付着したウイルスを分解する抗ウイルス壁紙など、お手入れのしやすさ以外の機能の選択肢も豊富です。
機能性を重視する場合、色や柄など、デザインの選択肢は限られることもありますが、シンプルな内装を希望している場合は、欲しい機能を壁紙で取り入れてみるのもいいかもしれません。
フィルム汚れ防止壁紙 | 汚れを拭き取りやすく、キズに強い。防臭効果も |
---|---|
ハードストレッチ壁紙 | キズや汚れに強く、ひび割れを軽減。撥水コート、抗菌機能付き |
抗ウイルス壁紙 | 表面に付着したウイルスを分解 |
抗アレル壁紙 | アレル物質の働きを低減 |
吸放湿性壁紙 | 室内の湿気をコントロールし、結露やカビの発生を軽減 |
通気性壁紙 | 壁を通して湿気を排出 |
トイレの壁紙リフォームの費用相場
かかる費用は選ぶクロスに影響される
壁紙のリフォームには、壁紙の材料費と施工費がかかります。
素材が一般的なビニールクロスとは異なるものや、輸入壁紙、機能性壁紙などは価格が少し高額になるものもありますが、通常住宅で採用されるスタンダードなビニールクロスの壁紙であれば、材料費は1m2当たり1200円程度が一般的な価格です。
ランク | 種別 | 材料価格(1m2当たり) |
---|---|---|
A | 一般品 | ~1000円 |
AA | ~1200円 | |
AB | ~1500円 | |
B | ~2000円 | |
C | 中級品 | ~2500円 |
D | 高級品 | ~3500円 |
S | 特選品 | ~5000円 |
SS | 5001円~ |
2019年4月時点リフォーム実施者調査(SUUMO)によると、材料費に施工費も合わせた材工費の目安は、1m2当たり約1300円~1400円(ビニールクロスの場合)です。広さが1.5m2程度のトイレの壁・天井の面積が12m2とすると、トイレの壁紙リフォームの材工費は約1万5600円~1万6800円が目安となります。
また、クロスの張り替えリフォームの場合、既存のクロスを撤去する費用も必要になりますが、撤去費用については簡易的な方法の場合で1m2当たり100円程度、12m2なら約1200円が目安です。
ただし、トイレなどの狭いスペースの場合、単順にm2単価で算出するのではなく、リフォーム業者によっては、手間代なども含めた一式の価格で費用を見積もることもあります。
床の張り替えを同時に行うのもオススメ
壁紙がきれいになると、それまであまり気にならなかった、汚れやキズなどが気になってしまうこともあるので、トイレの壁紙リフォームを検討するのであれば、床の張り替えリフォームも同時に検討するのもオススメです。
床材も壁紙と一緒にリフォームをすれば、トイレの空間全体をトータルでコーディネートすることができます。
「トイレの床材はクッションフロアが使用されることが多く、ストーン調のデザインや木目のヘリンボーン柄も人気です。トイレの内装は壁紙から決めていくことが多いので、床材は壁紙のテイストに合ったものをセレクトすると、すっきりとまとまりのある空間になります」
クッションフロア以外にも、タイル状のフロアタイルをトイレの床に採用するケースもあります。フロアタイルの方がクッションフロアよりもやや費用はアップする傾向はありますが、石や木など、素材のリアルな質感を楽しめたり、デザイン性の高いものが豊富にそろうという点が魅力です。
床に特徴的なデザインのものをセレクトしたい場合は、壁紙をシンプルなものにしてバランスを取るのもいいそうです。
また、トイレは小さな空間なので、目地がないデザインの方が広く感じられるといいます。
「目地がないデザインの場合、空間が広く感じられるという点に加え、掃除がしやすいというメリットもあります。
一方、目地があるデザインを選ぶ場合は、格子サイズが小さめのものにするとトイレのサイズ感にフィットしやすくなります」
トイレのリフォームでは、壁・天井・床をトータルでコーディネートした方が、バランスがとりやすいのはもちろんですが、まとめて行ってしまった方が、数回に分けて行うよりもトータルコストを抑えられる可能性も高いので、近い将来、リフォームを検討する予定があるのなら、まとめてリフォームするということも考えてみてもいいかもしれません。
トイレというコンパクトでプライベートな空間なら、自分の好みや遊び心を取り入れた空間づくりにもチャレンジしやすいものです。リフォームでは好きな色や柄、欲しかった機能など、さまざまな選択肢から壁紙選びを楽しんでみてはいかがでしょうか。
トイレの壁紙リフォームでは好みの色や柄を自由に取り入れて、居心地のよい空間に
トイレはプライベートな空間なので、壁紙は好きな色や柄を取り入れて、自由なコーディネートにチャレンジしやすい場所です。コーディネートの失敗を防ぐポイントとしては、まず、全面的に黒などの濃い色の壁紙を取り入れる場合はトイレ機器の作動に問題がないか確認をすること。また、大柄やビビッドなカラーに挑戦する場合は、アクセントクロスとして取り入れるとバランスをとりやすくなります。くすみカラーなどの淡いカラーのクロスは全面的に取り入れるコーディネートも人気で、北欧調のクロスなどはトレンド感もあり、居心地のよい空間を演出できます。トイレの壁紙リフォームの材工費の目安は1.5m2程度の広さのトイレの場合で約1万5600円~1万6800円ですが、機能性壁紙や輸入壁紙などを選ぶ場合は、少し材料費がアップすることもあります。
サンゲツ
構成・取材・文/島田美那子