【2025年版】内窓(二重窓)リフォームの施工方法と工期。もらえる補助金も解説

断熱効果や防音効果がある便利な内窓。いまなら内窓を備えるリフォームやリノベーションをすると補助金がもらえます。高騰する光熱費をできるだけ節約したい、あるいは子育て中なので音漏れを防ぎたいという人は設置を検討したい内窓ですが、そもそも内窓とは何でしょう? 二重窓と違うのでしょうか? 内窓のガラスや窓枠は普通の窓とどう違うのでしょう? どんなタイプの内窓があって、どんな窓リノベーションなら補助金制度が使えるのか、一級建築士のYuuさん(本名・尾間紫さん)に、内窓について教えてもらいました。

内窓のデザイン

ナチュラルテイストのリビングに合わせた内窓の例(写真提供/YKK AP「マドリモ 内窓 プラマードU」)

記事の目次

内窓とは

まずは「内窓」とは何か? からおさらいしておきましょう。

「内窓」とは内側の窓のこと、「二重窓」とは2つのサッシを付けた状態のこと

「内窓」とは、屋外に面する窓(外窓)の内側に備える窓のことです。「内窓を備えることで窓が二重になるため「二重窓」と呼ばれることがありますが、厳密には内側に備えた窓が「内窓」、外側が「外窓」となります」(Yuuさん、以下同)

例えば「内窓を備えるリフォーム」「二重窓にするリフォーム」という使い方になります。

内窓

屋外側に面した外側の窓を「外窓」、その内側に備えた窓を「内窓」といい、窓が二重になっている状態が「二重窓」や「二重サッシ」と呼ばれています。

補助金を受けられる内窓は、たいていガラスを2枚使った窓

「基本的に、外窓の内側に備える窓ならガラスが1枚でも2枚でも「内窓」です。ただ、より断熱効果が高い内窓は、ガラスを2枚使った複層ガラスです」。なお、後述する補助金制度の補助対象も、ほとんどが複層ガラスを使った内窓です。

複層ガラスを用いた内窓のガラスとは、下記のような構造になっています。

●複層ガラスの内窓の構造

複層ガラス樹脂窓の構造

Low-E複層ガラスを用いた樹脂窓の図解例。上記の4つの要素が窓の断熱性能を左右します(YKK AP「APW 330」を参考にSUUMO編集部でイラスト化したもの)

内窓のメリット・デメリット

内窓を備えると、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。リフォームを検討する前に押さえておきましょう。

外窓と内窓の間の空気層のイラスト

外窓(既存の窓)の内側に内窓を備えると、外窓と内窓の間に空気層ができます。そのため、さまざまなメリットが生まれます。

●断熱性能が高まる
「内窓を備えることで、外窓と内窓との間に空気層ができます。空気は熱の伝導率(熱の伝わり方)が低いため、夏なら屋外の熱が室内へ、冬なら暖房で温められた室内の空気が外に流出しにくくなります」。

●結露を抑えられる
結露とは、空気中の水蒸気が冷たいものに触れたりした時に水滴になる現象のことです。冷たい飲み物を入れたガラスコップの外側に、水滴がつくのと同じ理屈です。

しかし内窓を備えることで、熱を伝えにくい空気層が生まれ、外が寒くても、室内側では結露が発生しにくくなります。

「ちなみに、内窓を備えると『結露が発生しにくくなる』のであって、条件次第では結露が起こるので注意してください」。

例えば室内の空気中に水蒸気が多いと(湿度が高いと)、空気が乾燥している時よりも結露が発生しやすくなります。そのため寒い冬に室内でお鍋を楽しんだり、洗濯物を室内干ししたりすると、室内の湿度が高くなりすぎることがあります。そんな時は、内窓を備えていても結露が発生しやすくなるので、換気をするなどの注意が必要です。

「また、外窓の内側に結露が発生することがあります。結露を放っておくと、カビやダニが繁殖して健康に悪影響を与えかねませんから、日頃から外窓と内窓の隙間が結露によって濡れていないか確認して、適宜拭き取るようにしましょう」。

結露のメカニズム

湿気を含んだ空気が外窓と内窓の間に閉じ込められて、外窓から伝わった外気の冷気によって結露が発生することがあります。

●防音効果が高まる
外窓と内窓との間に生まれる空気層は、防音壁のような役割も果たします。音は『空気の振動で伝わる音』と『建物を伝わる音』の2種類がありますが、空気層が『空気の振動で伝わる音』の広がりを減少させてくれるのです。また内窓を取り付けることで窓全体の密閉性が向上し、サッシの隙間からの音も低減してくれます」。

空気の振動で伝わる音とは、例えば道路を走る車の音や、人の話し声などがあります。また室内側からは子どもの泣き声やテレビの音などです。

一方で建物を伝わる音とは、道路の掘削工事やオーディオの低音などによる振動音が伝わって聞こえる音などです。

●防犯対策にもなる
泥棒の侵入経路で最も多いのが窓です。窓に鍵がかかっていてもガラスを割って鍵を開け、室内に入ってきます。しかし内窓を備えることで、ガラスを割る手間が増え、鍵も2つあけなければならなくなります。

泥棒は時間のかかる侵入は諦めやすい傾向があるので、内窓を備えることは防犯対策にもなります。

内窓のデメリット

では内窓のデメリットとはなんでしょうか。下記を確認しておきましょう。

●価格が高い
高性能な内窓は、複層ガラスの内側にLow-E被膜処理を施したり、サッシ部分にアルミより熱の伝導率が低い樹脂を用いたりするため、価格が高くなります。

●掃除がしにくい
窓が2つあるため、窓拭きなどの掃除の手間が単純に2倍になります。また内窓の屋外側やサッシ部分は、外窓を開けてからでないとうまく拭けないので、内窓を拭くために外窓の開け閉めが必要になります。

●窓の開閉が面倒
窓の開け閉めする動作も、単純に2倍になります。例えば洗濯物を干すためにバルコニーへ出る際、掃き出し窓の内窓のロックを解除して開け、次に外窓のロックを解除して開けて、ようやくバルコニーに出ることになります。

「この時『普段は右側の窓からバルコニーに出るので、左側のバルコニーにプランターの棚を置いている』というような場合は、さらに出入りが面倒になります。引き違い窓の場合、外窓の鍵は通常左側についているので、①内窓のロックを解除する②内窓の左側を全開にする③外窓のロックを解錠する④内窓の左側を閉める⑤内窓の右側を開ける⑥外窓の右側を開ける、という動作になるからです。これが『左側から出入りしている』場合なら、④と⑤がなくなり、⑥の代わりに外窓の左側を開ける、という手順にできます」。

このように、内窓を備えるとどのような動作手順になるか、あらかじめ考えて、必要であれば家具等の位置を変更するなどしたほうがよいでしょう。

窓の開閉が面倒

窓の鍵は左側についていますから、内窓の左側を全開にしないと外窓のロックを解除することができないので、注意しましょう。

●設置できない窓がある
基本的にたいていの場合は内窓を備えることは可能ですが、一部の窓には内窓を備えることができません。例えば、天窓に内窓を備えることは、落下の危険がありますからメーカーは取り付けないようにと注意しています。また内窓を取り付けると内側に開く内開き窓や内倒し窓など、一部の窓は開閉ができなくなります。

ただし、外側に滑り出すように開く窓の場合、開閉用のハンドルが邪魔になるように思えますが、窓の枠の内側に十分スペースがあれば、あるいは枠の内側を広げれば(ふかし枠を備えれば)ハンドルが内窓に干渉しないようにすることができます。

滑り出し窓に内窓

滑り出し窓の場合でも、引き違い窓を内窓に備えることができれば、従来通り外窓も開閉できます。

また出窓の場合も、下記のように内窓を備えることができます。

出窓に内窓

出窓の場合も引き違い窓を内窓に備えれば、出窓の床板部分にものを置くこともできます。

滑り出し窓や出窓のように、従来とは見た目が変わる場合があります。断熱性能を高めたいなど、内窓を設置する目的をリフォーム会社に相談しながら、内窓を設置するのか、それとも外窓(既存の窓)を交換したほうがいいかを検討するようにしましょう。

内窓のガラスの種類

内窓のガラスは1枚のものもありますが、最近の内窓は2枚のガラス(複層ガラス)が用いられているタイプが増えています。また、下記で紹介する補助金制度の対象となる内窓のほとんどが複層ガラスです。

複層ガラスには主に下記の4種類があります。

Low-E複層ガラス遮熱タイプ(遮熱高断熱複層ガラス)

「『Low-E複層ガラス』とは、複層ガラスの内側にLow-E被膜処理をしたガラスのことです。窓の遮熱性能を高めることで、室内の涼しさや暖かさを保つ効果があります。2枚あるガラスのうち、屋外側のガラスにLow-E被膜処理を施したものを遮熱タイプと呼び、より遮熱効果が高くなります。西日や朝日などの差し込みが厳しい部屋の窓などに向いています」。

Low-E複層ガラス遮熱タイプ

イラストの赤い部分がLow-E被膜処理を施したガラス。熱い日差しをカットするとともに、室内の冷気や暖気を外に逃がさないようにします。

Low-E複層ガラス断熱タイプ(高断熱複層ガラス)

「上記と同じく『Low-E複層ガラス』ですが、室内側のガラスにLow-E被膜処理を施したものを断熱タイプと呼び、太陽の熱を採り入れながら、室内の冷気や暖気を外へ逃がさないようにします。日が当たりにくいような窓や、寒い地域などに向いています」。

Low-E複層ガラス断熱タイプ

イラストの赤い部分がLow-E被膜処理を施したガラス。太陽の熱を取り入れながら、室内の冷気や暖気を外へ逃がさないようにします。

複層ガラス

ガラスを2枚使ったものが「複層ガラス」と呼ばれます。上記の「Low-E複層ガラス遮熱タイプ(遮熱高断熱複層ガラス)」や「Low-E複層ガラス断熱タイプ(高断熱複層ガラス)」も、複層ガラスの一種です。Low-E被膜処理が施されていない場合は、上記2つの複層ガラスより価格が安くなります。

防犯ガラス

割れにくい防犯ガラスを用いた内窓もあります。2枚のガラスの間に特殊な膜を挟むことで割れにくくします。防犯ガラスを用いた高断熱の内窓もあります。

内窓のサッシの種類

窓は、サッシの種類によって断熱性能が変わります。

「サッシとは、本来サッシュと呼ばれていて、金属製の窓枠を意味していましたが、現在ではアルミ、アルミと樹脂の混合、樹脂、木などさまざまな材質があります」。

内窓の場合は、「樹脂」になります。

樹脂サッシの特徴

アルミと比べて樹脂は断熱性能が高い素材です。樹脂サッシとガラス1枚を組み合わせた内窓もありますが、樹脂サッシとLow-E被膜処理が施された複層ガラスを組み合わせると、さらに断熱性能が高くなります。

「さらに断熱性能を高めるには複層ガラスの間にガスを充てんしたり、真空にしたりなどの方法がありますが、こうした工夫を施すほど、価格が高くなります」。

樹脂サッシのリフォーム費用相場は? メーカー別樹脂サッシや施工実例を紹介! 

内窓の選び方

内窓にはさまざまな種類がありますし、同じ性能でもガラスやサッシの色柄にバリエーションがあります。その中からどのようにして選べばいいのでしょうか。

遮熱優先か?断熱優先か?はリフォーム会社に相談しながら選ぶ

より高性能な内窓を求めるなら、ガラスはLow-E被膜処理が施された「複層ガラス」を選ぶとよいでしょう。

先述の通り、Low-E被膜処理された複層ガラスには、遮熱優先の「Low-E複層ガラス遮熱タイプ(遮熱高断熱複層ガラス)」と、断熱優先の「Low-E複層ガラス断熱タイプ(高断熱複層ガラス)」があります。どちらを選べばよいかは、立地条件などによって異なります。

「例えば西側の窓でも、隣家等との位置関係で夏でも日差しがほとんど差し込まないのであれば、断熱を優先して選ぶ方法もあります。あるいは寒冷地であれば、冬の西日は貴重な“熱”になりますから、断熱を優先することもあります」。

では自分の家の場合はどうか?ということは、やはりリフォーム会社や建築家など、専門家に相談しながら決めたほうがよいでしょう。

また高い断熱性能の内窓を備えるほど、どうしても予算は膨らみます。今後他の部位のリフォームも検討している等で、窓だけにあまり予算をかけたくないのであれば、メリハリをつけるのも1つの方法です。

例えば家族が最も長い時間を過ごすリビングと、ヒートショック対策として浴室や脱衣所だけでも複層ガラスを用いた高性能な内窓を取り付け、他はそれよりも安価な単一ガラスの内窓にする、といったメリハリをつける手もあります。この辺もリフォーム会社と相談しながら決めるとよいでしょう」。

取り付け場所に合わせてガラスの種類を選ぶ

内窓のガラスは、透明以外にも柄や色にいくつか種類があります。例えば浴室など、プライバシーの気になる窓に透明以外のガラスを使った内窓を用いる方法もあります。もちろん既に外窓(既存の窓)に曇りガラス等を使っている場合は、内窓は透明でよいでしょう。

●ガラスの種類の例
型ガラス
Low-E複層ガラス断熱タイプ
片側に凹凸の模様をつけたガラスです。光を通しながら視線を遮ります。
すり板ガラス
Low-E複層ガラス断熱タイプ
透明ガラスの片側に珪砂(ケイシャ)などでサンドブラスト加工し、不透明にしたガラスです。
和紙調ガラス
Low-E複層ガラス断熱タイプ
和紙柄模様など、和紙の風合いを表現したガラス。組子と組みあわせることで和障子の趣を演出します。※浴室には使用できません
ガラスの柄は複数あり、プライバシー確保だけでなく、インテリアに合わせて選ぶこともできます(写真提供/YKK AP「マドリモ 内窓 プラマードU」)

インテリアに合わせてサッシやガラスの色柄等を選ぶ

「内窓は、上記のガラスの柄だけでなく、サッシの色や柄がたくさんあります。また格子柄も用意されるなど、デザインのバリエーションも豊富です」。

そのため、断熱性能だけでなく、インテリアに合わせて内窓を選ぶことができます。

和モダンな内窓

和モダンのインテリアに似合う内窓(写真提供/YKK AP「マドリモ 内窓 プラマードU」)

洋風なデザインの内窓

洋風でエレガントな雰囲気を引き立てる内窓(写真提供/YKK AP「マドリモ 内窓 プラマードU」)

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内窓の工事方法と工期、取り付け方での注意点は?

先述した内窓のデメリット以外にも、内窓を備える工事で注意しておきたいことがあります。下記で確認しておきましょう。

工事方法と工期

「最初に、リフォーム会社に窓のサイズを採寸してもらい、それぞれの窓に合わせて内窓の製作を行います。その後、既存の外窓の内側に内窓の枠から取り付けていきます」。

工期は1窓あたり約1時間ですみます。ただし、内窓の大きさや、下記のふかし枠を取り付ける場合など諸条件によって工期は異なります。

「製作期間も時期によって変わります。通常時であれば2週間程度ですが、補助金などで注文が殺到する時期の場合、3カ月ほどかかることもあります」。

窓枠に内窓を取り付ける余裕がない場合はふかし枠が必要

既存の外窓に付いている窓枠の奥行きが足りない場合、「ふかし枠」を使って窓枠を延長します。

ふかし枠

内窓を取り付けるために必要な窓枠の奥行きが足りない場合、室内側に窓枠を“延長”します。

「ふかし枠をつけると、室内側に少し張り出すことになります。窓の近くに収納などがある場合は、ふかし枠が付いても邪魔になることがないか、近くのドアと干渉して開かなくなることがないかなど、確認しておきましょう」。

カーテンレールやカーテンボックスはいったん取り外す場合もある

「カーテンレールやカーテンボックスが内窓と干渉しない位置にある場合は問題ありません。しかし窓枠の内側にカーテンレールがついているなど、内窓の枠と干渉しあう場合は、いったん取り外す必要があります。

また、ふかし枠の取り付けなどで、カーテンそのものが内窓にぶつかるなど干渉してしまう場合は、既存と同じスタイルでカーテンの再取り付けができない場合もあります」。

取り外す必要があるかどうかは、リフォーム会社による事前の採寸時にわかりますから、その際に取り外して、どのように移設するのかなど、相談するとよいでしょう。

マンションに内窓を取り付けるときの注意点

マンションの場合、内窓は専有部になるので、基本的には区分所有者の判断で取り付けることが可能です。ただし、リフォーム前に必ず管理規約を確認するようにしましょう。

「いずれの場合においても、マンションでリフォームをする場合には、管理組合への確認と申請が必要となります」。

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窓リノベ(先進的窓リノベ2025事業)とは? 最大200万円の補助金を受け取るには?

「窓リノベ」と略されて呼ばれることもある「先進的窓リノベ2025事業」。内窓の設置だけでなく、外窓や玄関ドアの交換でも補助金が受け取れる制度です。その詳細を確認しておきましょう。

先進的窓リノベ2025事業なら最大200万円の補助金を受け取れる

「先進的窓リノベ2025事業」は断熱性能の高い窓や玄関ドアに対して、補助金が支給される制度です。補助金の上限は一戸あたり200万円まで。窓や玄関ドアを変えたり内窓を備えたりして、住宅全体の断熱性能を高めたい人に向いています。

■先進的窓リノベ2025事業の概要
(事業の概要をもとにSUUMO編集部でまとめたもの)
補助対象
  • 住宅の所有者等が工事施工業者と契約して行う、窓(ガラス)の交換(断熱改修)
  • 住宅の所有者とは①住宅を所有する個人またはその家族②住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人③賃借人④集合住宅の管理組合・管理組合法人
  • 窓の交換と同一契約内で同時に行う玄関ドアの交換(断熱改修)も対象
  • 店舗や施設等は不可
補助対象の工事 下記の工事が対象。いずれも本事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限る。
  • ガラス交換
    ※既存窓のガラスのみを取り外し、既存サッシをそのまま利用して、複層ガラス等に交換する工事。
  • 内窓の設置
  • 外窓交換
    ※既存窓のガラスを取り外し、既存窓枠の上から新たな窓枠を覆い被せて取り付け、複層ガラス等に交換する「カバー工法」と、既存窓のガラスおよび窓枠を取り外し、新たな窓枠を取り付け、複層ガラス等に交換する「はつり工法」のいずれかの方法で行う。
  • ドア交換
    ※既存ドアの枠を残して取り除き、既存枠の上から新たに枠を取り付け、ドアを交換する「カバー工法」と、既存ドアを枠ごと取り外し、新たな枠を取り付け、ドアを交換する「はつり工法」のいずれかの方法で行う。
補助金の上限 下記工事に対する補助額の合計。ただし一戸あたり5万円〜200万円まで。
※外窓の交換は「戸建住宅・低層集合住宅」と「中高層集合住宅」とで補助金額が異なるので注意。低層集合住宅とは地上3階以下の集合住宅、中高層集合住宅は地上4階以上の集合住宅を指す。
※なお、マンションでも個別に外窓の交換ができるようになってきているが、管理組合への申請が必要なので、事前に管理組合に確認したほうがよい。

  • ガラス交換:5000円〜5万5000円/1枚
  • 内窓設置:1万2000円〜10万6000円/1カ所
  • 戸建住宅・低層集合住宅の外窓交換(カバー工法):5万8000円〜22万円/1カ所
  • 戸建住宅・低層集合住宅の外窓交換(はつり工法):4万6000円〜18万3000円/1カ所
  • 中高層集合住宅の外窓交換(カバー工法):6万2000円〜26万6000円/1カ所
  • 中高層集合住宅の外窓交換(はつり工法):6万2000円〜26万6000円/1カ所
申請の受付期間 2025年3月下旬~予算上限に達するまで
(遅くとも2025年12月31日まで)
対象の工事日 2024年11月22日以降に対象工事に着手したもの

補助金の対象になる内窓は、どんな窓?

「先進的窓リノベ2025事業」では基本的に断熱性能の高い内窓が補助の対象となります。具体的には熱貫流率(熱の伝わりやすさを示す数値)が1.9W/(㎡・K)以下の内窓です。断熱性能は3段階に分けられていて、熱貫流率の数値が低い内窓ほど、補助額が高くなります。

補助金がいくらもらえるかシミュレーションしてみよう

では一戸建て/マンションでそれぞれどれくらい補助金がもらえるのでしょうか。下記のモデルケースでSUUMO編集部が試算してみました。参考にしてみてください。

●一戸建て_延床面積約110m2(4LDK)の場合の補助金額

一戸建て間取り図

1階の外窓を交換(カバー工法)+2階に内窓を設置+玄関ドアを交換した場合
※断熱性能はすべて「A」
●SUUMO編集部による試算
窓サイズとドア 1階の外窓・玄関ドアを交換した場合の補助額 2階に内窓を設置した場合の補助額
窓サイズ大
窓サイズ大
11万7000円×2
=23万4000円
2万6000円×1
=2万6000
窓サイズ中
窓サイズ中
8万7000円×2
=17万4000円
1万8000円×4
=7万2000円
窓サイズ小
窓サイズ小
5万8000円×5
=29万円
1万2000円×4
=4万8000円
玄関ドア
玄関ドア
8万7000円×1
= 8万7000円
なし
合計 93万1000円
●マンション_4階建て以上の専有面積約75m2(3LDK)の場合の補助金額

マンション間取り図

すべての窓に「A」グレードの内窓を備えた場合
●SUUMO編集部による試算
窓サイズ すべての窓に内窓を設置した場合の補助額
窓サイズ大
窓サイズ大
2万6000円×2
=5万2000円
窓サイズ中
窓サイズ中
1万8000円×1
=1万8000円
窓サイズ小
窓サイズ小
1万2000円×1
=1万2000円
合計 8万2000円

「子育てグリーン住宅支援事業」も利用できる

内窓を備えるリフォームで利用できる補助金制度には、もう一つ「子育てグリーン住宅支援事業」があります。名称に「子育て」と入りますが、リフォームの場合はすべての世代で利用可能です。
「子育てグリーン住宅支援事業」では3つの必須工事が設定されていて、その中の「1:開口部の断熱改修」で内窓が補助の対象となっています。また、同事業が認定した、一定の省エネ性能がある内窓であることが条件の1つです。補助金額は「大/中/小」というサイズによって金額が異なります。
上記「先進的窓リノベ2025事業」との併用も可能ですが、同じ窓には利用できません。ただし、「先進的窓リノベ2025事業」の交付決定を受けている工事箇所は、必須工事の「1:開口部の断熱改修」を行ったものとして取り扱われます。つまり、「子育てグリーン住宅支援事業」の必須工事のひとつである「1:開口部の断熱改修」を行うために、わざわざ「先進的窓リノベ2025事業」と事箇所を分けて工申請する必要はない、ということです。
また、窓の性能によっては「先進的窓リノベ2025事業」の補助金額のほうが高い場合があるので、申請する前に比較してみましょう。
なお、「子育てグリーン住宅支援事業」は、窓以外にもビルトイン食洗機の設置や掃除しやすいレンジフード、浴室乾燥機、宅配ボックスなど、家事が楽になる設備を備える工事や、その他の工事も補助の対象になるのが特徴です。
内窓以外にもリフォームを検討しているなら、まずは「子育てグリーン住宅支援事業」でどんなリフォームが補助の対象になっているのか、確認しましょう。

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まとめ

掃除や出入りで手間が増えますが、工期が短くて、窓を交換するより費用を抑えやすく、マンションでも取り入れやすい内窓の設置。住まいの断熱性能や遮音性を高めるには、最も手っ取り早いリフォーム方法だと言えるでしょう。

内窓の断熱性能によって室内の快適度が変わります。またLow-E被膜処理がどの面に施されるかによって遮熱や断熱効果が変わります。

確かに「先進的窓リノベ2025事業」がある2025年は内窓を設置するには絶好の機会ですが、どんな内窓を備えるかは、リフォーム会社などと相談しながら、予算組みも含めて慎重に選ぶようにしましょう。

なお、上記で紹介した補助金制度はいずれも予算の限度に達したら募集を終了します。申請は工事が完了してからですので、工期が比較的長いフルリフォームでの利用を考えているならば、早めの行動が肝心です。

取材・構成・文/籠島康弘 イラスト/田中英樹

執筆・取材/籠島 康弘
雑誌「カーセンサー」編集部を経てフリーライターに。中古車からカーシェアリング、電気自動車までクルマにまつわる諸々の記事執筆を手がける。最近は住宅雑誌の記事も執筆していて、自分が何屋なのかますます分からなくなってきた。
Yuuさん

●取材協力
尾間 紫(Yuu)さん

一級建築士事務所Office Yuu代表。 長年リフォーム業界の第一線で数多くの相談、設計、工事に携わってきた。その経験を活かし、住宅リフォームコンサルタントとして幸せなリフォームを実現するためのノウハウを自身のwebサイト「リフォームのホント・裏話」で発信するほか、セミナー講演や執筆、人材育成研修などで活躍中