こまめにお手入れをしていても、年数がたつと汚れや劣化が気になってくるのがキッチン・浴室・トイレなどの水回り。いざマンションの水回りをリフォームしたいと考えたときには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
こちらの記事では、マンションの水回りをリフォームする場合の費用相場や注意点について、年間約1000件のリフォームを手がけるアクアラボの取締役・小林雅人さんにお話を伺いました。
お得なセットプランや各社のリフォーム事例も合わせてチェックし、理想の住まいを形にしましょう。
記事の目次
マンションの水回りリフォームを考えるべきタイミング
集合住宅だからこそタイミングが難しいマンションの水回りリフォーム。リフォームの中でも水回りに強い専門家として数多くの希望を形にしてきたアクアラボの小林さんに、マンションの水回りリフォームを検討するべきタイミングを伺いました。
設備の劣化
「マンションの場合は、居住年数よりもマンション自体の築年数が重要です。一般的なマンションであれば、15年〜20年ほどで設備の劣化が目立ちはじめます。特に築年数に比例して多くなるのが漏水事故。周囲に迷惑をかけてしまう前に、設備点検や水回りのリフォームを検討するのが得策です」(アクアラボ小林さん・以下同)
マンションの水回りリフォームでは、水回り設備を変えるだけでなく、あわせて配管も更新した方がいい場合があります。
「マンションリフォームでは、水回り設備の老朽化をきっかけに、全体を見直す方が多いです。リフォームをお考えの場合は配管もしっかりチェックしましょう」
生活スタイルの変化
子どもの成長や家族の加齢に伴い、「自宅の水回り設備の使い勝手が気になるようになった」と感じる方もいるのではないでしょうか。こうした生活スタイルの変化から生じる使いにくさも水回りをリフォームするべきタイミングの一つといえます。
「水回り設備は年々性能が上がっています。利便性だけでなく、お手入れのしやすさを求めてリフォームを決断するお客様も非常に多いです。水回りの設備を変えることで、自宅で過ごす時間をこれまで以上に快適にできます」
中古マンションの購入時
最近では中古マンションを購入して自分たち好みにリフォームを楽しむ30〜40代も増加しています。リフォームを前提としている場合は、水回りをどのように変えていくのか入居前に決めておきましょう。
「中古マンションを購入される方は、水回りのリフォームを前提としていることがほとんど。物件を購入してから、入居前にリフォームを済ませる方が圧倒的に多いです。物件を購入する際は、リフォーム費用も考慮しながら検討しましょう」
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マンションの水回りリフォームの費用相場と工期
続いて、キッチン・浴室・トイレ・洗面台、それぞれのリフォーム費用や工期はどのくらいになるのか見ていきましょう。
キッチンリフォームの費用相場と工期
キッチンに限らず、どの設備もグレードによって価格は変動しますが、システムキッチン本体の交換は一般的なもので100万円前後。どのメーカーも平均2〜3グレードを用意しているので、予算や用途に合わせて選びましょう。
また、配管によって制限される場合もありますが、壁付けタイプから対面式キッチン、L型からI型など、レイアウト・種類を変更することも状況によっては可能です。
キッチンのみの工期はおよそ3〜5日程度ですが、レイアウト変更や配管工事、内装工事を伴う場合は、費用・工期ともに増加します。
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お風呂リフォームの費用相場と工期
タイル目地で掃除がしにくい在来浴室は、保温性が高く外気の影響を受けにくいユニットバスに変更できます。もちろん、ユニットバスからユニットバスへの交換もOK。リラクゼーションを追求した多彩な機能を持つ浴槽も人気ですが、グレードによって費用が大きく変わるので必要な機能を厳選しましょう。
ユニットバスの交換費用は80万円〜110万円前後。在来浴室からユニットバスへの交換は80万円〜160万円前後が目安となります。工期は平均4〜6日ですが、在来浴室からユニットバスへのリフォームは1週間程度。浴室の位置を変えたり、浴槽のサイズを変えたりする場合は工期が延びるので、使えない期間の対処法を考えておきましょう。
トイレリフォームの費用相場と工期
トイレのリフォームは、工事内容や選択する商品のグレードによって費用が大きく変動します。費用相場は20万円〜40万円前後。ウォシュレットの設置、和式から洋式トイレへの交換、床・壁紙の張り替えも可能です。トイレの位置を変える場合は90万円程度かかる場合もあります。便座交換のみであれば2時間ほど、トイレの内装リフォームを含めても2日前後で施工完了できます。
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洗面台リフォームの費用相場と工期
最近では、鏡やキャビネットを変えてみたり、タイルを張ってみたりと自由なデザインを楽しむ方も多い洗面台。既製品の洗面台に交換する場合の費用は10万円〜35万円程度。化粧台をオリジナルで造作する場合は25万円〜が目安となっています。また、洗面所の内装も含めたリフォームを行う場合は25万円〜45万円が相場です。
「最近では、洗面台のデザインにこだわる方が増えてきました。他の設備同様、洗面台にもグレードがあるので、どれを選ぶかによって費用が大きく変わってきます。デザインの良さだけで即決せず、予算に合わせて選ぶことをおすすめします」
洗面台の交換のみであれば2、3日で完了できますが、洗面所全体をリフォームする場合は1週間程度見ておくとよいでしょう。
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水回りリフォームの3点・4点セット(パック)で費用を抑える
ほぼ同じタイミングで寿命を迎える水回りの設備。ここでは、水回りをまとめてリフォームしたいときに便利なセットプラン(パック)についてご案内します。
水回りリフォームのセットプラン(パック)とは
マンションの水回りリフォームを検討中の方からは「まとめて新しくしたい」「少しでも費用を抑えたい」という要望をよく耳にします。そんなときに活用したいのが、キッチン・浴室・トイレ・洗面台といった水回り設備を3点もしくは4点まとめてリフォームできるセットプラン(パック)です。
水回りリフォームのセットプラン(パック)の費用相場
「標準的なグレードで水回りをまとめてリフォームしたい場合は、水回りのセットプランがおすすめです。セットプランなら、4点(キッチン・浴室・トイレ・洗面台)のリフォームを同時に行うことができます。リフォーム会社や選ぶ設備にもよりますが、費用相場は180万円〜200万円程度です」
中古マンションを購入する方は、水回り4点をまとめてリフォームするケースが多いといいます。一部の設備を数年前に変えている場合は単体でのリフォームを選ぶなど、状況に合わせて使い分けてください。
水回りリフォームセットプラン(パック)のメリット
一部のリフォーム会社が用意している水回りリフォームのセットプランを選ぶことで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
リフォームの費用が安くなる
水回りリフォームセットプランの最大のメリットは、費用を安く抑えられること。一気にまとめて工事を行うことで、個別に依頼するよりも費用を大幅にカットできます。
リフォームの手間を一度に抑えられる
予算や状況に応じて「キッチンだけ」「お風呂だけ」と徐々に新しくしていくのも一つの手段ですが、リフォームにかける時間や手間も省けるのがセットプランの魅力です。一度にまとめてプランニングできるので、お金も時間も効率よく使うことができます。
水回りに統一感が出る
水回りの設備を同時にリフォームすることで、デザインを統一することができます。部位別にリフォームを行ったり、リフォーム会社が変わったりすると、デザインがバラバラになってしまい、一体感のない空間になるケースもあるものです。
また、メーカーによってデザインや重視しているポイントが異なるので、いつか直すのであればカラーや柄、素材感などにもこだわって、統一感のある住まいを目指しましょう。
水回りリフォームセットプラン(パック)のデメリット
水回りリフォームをする際に活用したいセットプランのメリットを紹介しましたが、セットプランならではのデメリットもあります。デメリットも把握した上で、失敗のない水回りリフォームを実現しましょう。
設備選択の自由度が低い
「リフォーム会社によって内容は異なりますが、セットプランでは設備やグレードを自由に選べない場合もあります。価格にインパクトのあるセットプランほどその傾向が強く、希望をかなえるためにはオプション費用がかかることが多いので、プランの内容や対応範囲もしっかりと確認をしてください」
分からないことはリフォーム会社に問い合わせ、契約前に不明点を解消しておきましょう。
リフォームの工事範囲が決まっている
セットプランでは工事内容が決まっているケースが多く、「内装も合わせて変更したくなった」など、工事範囲が増える場合は追加費用がかかってしまいます。予期せぬ出費を防ぐため、セットプランの内容は契約前にきちんと把握しておきましょう。
「ここ数年の物価上昇によって、マンションの階数によって運搬料が加算されたり、マンションに到着してから行う荷上げの費用が別途かかったりするケースもあります。どんな工事が可能か、どのようなサービスがセットプランに含まれているのか、事前に確認しておくと安心です」
セットプラン以外にも!水回りリフォームの費用を抑えるコツ
水回りをまとめてリフォームできるセットプラン以外にも、費用を抑えられるコツがあります。国や自治体による補助金制度もあるので、うまく活用しましょう。
メーカーやグレードにこだわらない
リフォーム費用を抑えるためには「メーカーやグレードにこだわらないこと」も重要なポイントです。メーカーによっても価格に差があるため、ショールームに足を運んだり、複数のリフォーム会社に見積もりを取ったりしながら、商品を吟味しましょう。
「リフォーム会社に相談する前に、メーカーのショールームへ商品を見に行ってしまうとグレードの高いものが基準となってしまいます。まずは、リフォームの目的や予算を家族でしっかりと話し合った上で、希望に沿うものを見つけてください」
水回りリフォームが得意なリフォーム会社に依頼する
リフォーム会社を確定する前に、過去にどのような施工を行っているのか入念にチェックしましょう。事前のリサーチからリフォーム会社の特徴やこだわり、強みも見えてくるものです。希望とマッチする得意分野を持つリフォーム会社との出合いが、理想をかなえる近道になるでしょう。
補助金や助成金制度を活用する
マンションの水回りリフォームを行うときに使える補助金があります。
子育てエコホーム支援事業について説明しましょう。
子育てエコホーム支援事業/国土交通省
子育てエコホーム支援事業は、国の省エネキャンペーンの一環として行われている補助事業です。名称に「子育て」とありますが、子育てをしていなくても一定のリフォームをする人すべてが対象になります。
補助対象工事から水回り設備を抜粋すると、必須工事の一つに「エコ住宅設備」があります。これには一般に水回りリフォーム時によく採用される節水型トイレや高断熱浴槽、節湯水栓が含まれています。
いずれかの必須工事を行うと、併せて行うリフォームも補助対象となります。
その中には子育てに役立つ機器として、ビルトイン食洗機、掃除しやすいレンジフード、ビルトイン自動調理対応コンロ、浴室乾燥機が含まれています。
キッチンリフォームや浴室リフォームの際に欲しい機器です。
補助額は、対象工事・機器によって異なりますが、補助上限額は1戸あたり20万円です。
ただし、子育て世帯※1と若者夫婦世帯※2は上限額が引き上げられ、さらに既存住宅を購入してリフォームする場合は60万円に引き上げられます。
※1 申請時点において2005年4月2日以降※に出生した子を有する世帯。
※2024年3月31日までに工事着手するものについては、2004年4月2日以降
※2 申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降※に生まれた世帯。
※2024年3月31日までに工事着手するものについては、1982年4月2日以降
補助金の申請はこの事業に登録済みのリフォーム会社など工事事業者が行い、最終的に施主が受領します。
申請期間は2024年12月31日まで。
申請の予約もでき、その場合は2024年11月30日まで。
期限前でも予算に達し次第、締め切られます。
マンション水回りリフォームの体験談
マンションリフォームを体験した人に水回りリフォームで起きたトラブルや失敗について聞いてみました。
キッチン移設問題から依頼するリフォーム会社が絞れた(Sさん/ファミリー)
Sさんは築24年になるマンションを全面リフォームし、壁付けキッチンを対面キッチンに変えました。その際、床の高さを上げずに対面キッチンにすることにこだわりました。
対面キッチンにするには、キッチンの位置を変えるとともに、給排水のための配管の延長工事を行う必要があります。この場合、問題になるのは排水管で、水が流れるように勾配を確保しなければなりません。そのためには、ある程度床下に空間がなければなりませんが、その点でSさんのケースは問題がありました。
「うちのマンションの床の構造は二重床※で、対面キッチンに変更するための排水管の移動距離は30cm~50cm程度でしたが、コンクリートスラブからの床の高さが勾配をとるにはぎりぎりでした。
床の高さは設計図を見るかぎり5cmほどでしたが、実際に必要な勾配がとれるかどうかは解体してみないとわからないといわれました。対面キッチンに変更することは、リフォームしようと思ったきっかけでもあったので絶対条件。でも、床の高さを上げて今より天井が低くなることは絶対に避けたかったのです」
※マンションの構造体である床のコンクリートスラブと床材の間に空間をもたせ、配管を行っている構造
床の高さが5cmとなると、30cm~50cmの配管延長といえども排水勾配を確保できるギリギリのところです。
「対面キッチンへの変更について全部で6社に相談をしました。うち4社は話し合いの過程で信頼が置けずお断りしました。お断りした理由はさまざまです。
1社はそもそも分譲時の設計図を間違えて他の住戸を見ていました。驚きあきれましたが、もちろんそんな基本的なミスをする会社は問題外。2社目は、無料見積もりの段階では現地調査はしない、10万円で仮契約してくれたら現地調査をするというのです。調査してみてできないといわれたら10万円が無駄になると思い、お断りしました。
3社目は当初できないといったにもかかわらず、他社はできそうといっているところもありますよ、というと、じゃあできます、と前言を翻したので信頼できそうになく、お断りしました。4社目は、現地で確認もせずに、できます!といいました。しかし、現地も見ないで断言する姿勢には信頼が置けませんでした。
後の2社は、当初難しいかもといっていましたが、現地調査でビルトイン食洗機の床下からのぞいて既存の排水管やコンクリートスラブまでの高さなどを確認してくれました。現地を確認しての言葉は信用ができました。最終的にはその2社から、よりデザイン面で希望に合う提案をしてくれた1社に絞って、無事、床の高さを上げずに対面キッチンが実現しました」
マンションの水回りリフォームは配管の問題が肝心です。1社にできないといわれたとしても、希望どおりのリフォームができる会社が見つかるかもしれません。必ず複数社に相談することが大切です。
【DATA】
Sさんのリフォーム
種別:マンション
築年数:24年
専有面積:65m2
リフォーム内容:全面リフォーム
工期:5カ月
リフォーム費用:1600万円
家族構成:夫婦+子ども
リフォーム会社の提案どおりにキッチン本体の収納を扉式にして後悔(Tさん/一人暮らし)
「一人暮らしなので、友だちを呼んでワイワイ楽しむのにも、対面キッチンだと話しながら料理ができていいなと思って、既存の壁付けキッチンを撤去して対面キッチンに変えました。その際にキッチンのシンクや調理台の下の収納を今風の引き出しではなく、昔ながらの扉式のタイプにしちゃって、ちょっぴり後悔しています」というTさん。
そのいきさつをお聞きすると、必ずしも明確に希望して扉式にしたのではなかったことがわかります。
「リフォーム会社の人が選んでくれた扉式のキッチンのカタログを見せてくれたときに、これでいいですよ、といっちゃったのです。賃貸のときはずーっと開き扉のキッチンでしたからそんなものかなとまるで違和感がなく。でも後で遊びに行った友だちの家のキッチンが引き出し式の収納で、あ、これいいなと思ったのです。引き出し収納の開け閉めのしやすさやモノの出し入れのしやすさ、たっぷり収納できることに初めて気がついたという感じ。リフォーム会社が扉式を提案してくれたときに、もっとよく考えるべきでしたね」
Tさんは、間口が約190cmとコンパクトなキッチンを採用しました。そのキッチンに高さを揃えてL字型のカウンターを造作し、十分なスペースと収納は確保しました。
「カウンターはリフォーム会社のアイデアで、調理台にもなるし、収納も増えて気に入っています。せっかくいいキッチンにしてくれたのに、引き出し収納を採用しなかったことが悔やまれます。リフォーム会社はこちらの予算も考慮して提案してくれたのかもしれませんが。引き出し式との価格差を考えると、予算的にはこれがよかったのかもしれないと思ったりもしますけど」
設備選びはカタログの写真だけではわかりにくいことも多いもの。使い勝手やサイズ感などはショールームに行って実物を見て判断するのがいいでしょう。そのうえで見積もりをもらって、比較検討するのが失敗を避ける方法です。
【DATA】
Tさんのリフォーム
種別:マンション
築年数:35年
専有面積:45.2m2
リフォーム内容:全面リフォーム
工期:3カ月
リフォーム費用:775万円
家族構成:本人
マンションの水回りリフォーム施工事例6選
マンションの水回りリフォームを実現した各リフォーム会社の施工事例をご紹介します。デザインや設備、費用面にも注目しながら、参考にしてみてください。
綿密な計算による水回りの移動で理想の間取りに
独立型キッチンの壁を取り払い、昔ながらの間取りから広々としたLDK空間を実現。洗面、浴室の位置を入れ替えることで、キッチンと廊下の2方向から入れるようにするなど、スムーズな家事動線をつくり出しています。使い勝手の良さとデザイン性を兼ね備えた、素敵な住まいです。
【DATA】
リフォーム費用:739万円
リフォーム部位:キッチン、洗面、バス、トイレ、リビングダイニング、洋室、書斎、収納
設計・施工/アクアラボ
中古マンションのリノベでスタイリッシュな空間に
広々とした3LDKの間取りをさらに広い2LDKに全面改装したこちら。配管や設備も一新することで、閉塞感のあったキッチンを光の入る場所に動かし、グレイッシュな落ち着いたインテリアで大人な雰囲気に仕上げています。対面キッチンをはじめ、水回りを新しくしたことで利便性とデザイン性がアップしました。
【DATA】
リフォーム費用:825万円
リフォーム部位:LDK、浴室、トイレ、洗面室、収納、洋室、玄関、廊下
設計・施工/BWスタジオ
会話が弾むステンレストップの対面キッチンに
築18年の中古マンションをゆったりとくつろげる癒やしの空間にリフォーム。壁や建具の色合いにこだわり、海外のコンドミニアムのような雰囲気を演出しています。
パントリーを備えた対面式のステンレストップキッチンはもちろん、スキップフロアのリビング、デスク&本棚を備えたワークデスクなど、随所に施主のこだわりを感じます。
【DATA】
リフォーム費用:957万円
リフォーム部位:キッチン、浴室・バス、トイレ、洗面所、リビング・ダイニング、収納、寝室、階段、玄関、書斎、洋室
設計・施工/アートリフォーム
水回り設備の入れ替えでアメリカ西海岸風のLDKに
予算内で理想のキッチンと開放的なリビングを実現。アメリカ西海岸をイメージした爽やかな空間は、ブルーデニムのクロス、アーチ型の開口部、付け梁に埋め込まれた照明器具など細部までデザイン性にこだわっています。生活しながらリフォームできたのも高評価のポイントとなりました。
【DATA】
リフォーム費用:568万円
リフォーム部位:キッチン、浴室・バス、トイレ、洗面所、リビング・ダイニング、収納、玄関、廊下
設計・施工/Life Line (ライフライン)
収納スペースを増やしてすっきり快適な住まいに
開放感とシンプルな雰囲気を重視したリフォームで、23畳の広々としたリビングが完成。II型で作業しやすいキッチンからも外の景色を眺められ、爽やかな空間を楽しめます。
洗面所や玄関にも収納スペースをたっぷりと設けることで、快適さを保てる空間になっています。
【DATA】
リフォーム費用:750万円
リフォーム部位:キッチン、バス、トイレ、洗面所、リビング・ダイニング、収納、玄関、廊下、洋室、書斎
設計・施工/Life Line (ライフライン)
お手入れのしやすさと収納力を重視した水回りリフォーム
設備の老朽化が気になったことからリフォームを決心。水回りの設備交換を中心に、リビングの床や収納の新設を行いました。新しい設備に求めたのは「お手入れのしやすさ」と「収納力アップ」。
特にキッチンは収納が増えたことで片付けやすく、調理スペースも増えたことで、長く快適に使える環境に生まれ変わりました。
【DATA】
リフォーム費用:442万円
リフォーム部位:キッチン・システムキッチン、浴室・バス・ユニットバス、トイレ、洗面所・脱衣所、リビング・ダイニング、収納、玄関
設計・施工/朝日住宅リフォーム
マンションの水回りリフォームを実施する流れ
水回りのリフォームをスムーズに進めるために作業手順を見ていきましょう。それぞれの段階でチェックするべきポイントや注意点も異なります。
リフォーム会社を選定する
リフォームする予算や時期、希望を決めたらどのリフォーム会社に依頼をするか検討しましょう。リフォーム会社はたくさんあるので、公式サイトやSNSで施工事例や口コミをチェックしておくと参考になります。複数のリフォーム会社に相談した上で、信頼できるパートナーを選びましょう。
現場確認
リフォーム会社へ相談に行くと、後日現地調査が行われます。多くの人が暮らすマンションでは管理規約や使用細則を守る必要があるため、事前に水回りのリフォームが可能かどうかも確認しておきましょう。水回りの移動を検討している場合は、水回りを得意としているリフォーム会社に相談するのがおすすめです。
見積もり
リフォームの希望がまとまったら、現場確認の内容をもとにリフォーム会社に見積もりを取ります。コストを重視したもの、デザイン性を重視したものなど、さまざまなプランを提案してもらうことで予想外のアイデアが出てくるかもしれません。
リフォーム会社と契約
管理規約の遵守はもちろん、近隣への配慮や事前申請書の作成、共用部分の養生など、一戸建て以上にマンションリフォームには注意点がたくさんあります。トラブルなくリフォームを成功させるためにも、マンションリフォームの実績がある会社を選びましょう。
打ち合わせ
具体的な費用やプランについてリフォーム会社と話し合い、工事請負契約書を交わします。契約書に捺印をする前に、最終的な金額と工事内容を確認するだけでなく、着工の日程や工事期間、保証期間、アフターフォローについてもチェックしましょう。
施工
施工中は近隣に迷惑がかからないように配慮することも大切です。工事を始める前に、近隣住人に挨拶を済ませ、工事日程のアナウンスをするとトラブル回避につながります。
また、大規模な工事になる場合は仮の住まいが必要になることもあるので、期間中の住居についても準備を進めておきましょう。
施主確認・引き渡し
リフォームが完了したら、リフォーム会社や施工会社の担当者と一緒に竣工検査を行います。部屋に住みながら行われるリフォーム工事では、1部屋ずつ作業を進め、終わった箇所から使用できるようになります。
なお、傷や不具合を見つけたらすぐに担当者へ伝えましょう。施主確認が終わってからでは、誰による過失か判断が難しくなり、責任範囲が曖昧になってしまいます。追加費用などの無用なトラブルを防ぐためにも重要です。
水回りリフォームの業者を選ぶポイント
リフォーム会社には、マンションリフォームが得意な会社、水回りリフォームに強い会社など、さまざまなタイプがあります。一戸建てほど自由が利かないマンションリフォームでは、業者選びが非常に重要です。
「最近はネットでリフォーム会社を選ばれるケースがとても多いです。施工事例や大まかな価格帯も確認できるので、希望にあったリフォーム会社はないか事前にリサーチしておきましょう。口コミを見ることで得られる第三者の評価もとても参考になります。実際に10社、20社とリフォーム会社へ足を運ぶのは大変なので、ネットでのリサーチから2〜3社に絞っておくことをおすすめします」
事例を参考に希望をかなえてくれそうな業者を選ぶ
担当者の人柄が良くても、実力が伴っていなければ安心して任せられません。
過去の施工事例を見ながら、希望するリフォーム内容に近いものはあるか、どういったデザインが得意かを確認し、要望を実現してくれそうなリフォーム会社に依頼しましょう。
現場の環境をしっかり確認してくれる業者を選ぶ
間取りやキッチンの向きの変更をしたいと考えていても、マンションの構造上、給排水管やダクト、電気の配線の位置を動かせないケースもあります。そのため、見積もりや契約を進める前に、リフォームのプロに現場の構造を確認してもらいましょう。
また、リフォーム工事は完了までに日数がかかるため、近隣住民や駐車場の利用にも配慮できるリフォーム会社が理想的です。
コミュニケーションが円滑な業者を選ぶ
リフォームは人と人とのやり取りになりますから、純粋に会話をしていて楽しい担当者であるかどうかもポイントです。リフォームのイメージを共有できる、気持ち良くコミュニケーションを取れる人であるか。また、受け答えや態度は悪くないか、時間や期日を守ってくれているかもチェックすべきポイントです。
マンションの水回りリフォームの注意点
水回りのリフォームを行う場合、マンションの構造によっては設置できない設備や機器があることも理解しておきましょう。リフォームを始める前に知っておくと安心できる注意点を挙げていきます。
「配管を古いものから新しいものに変える際は、マンション内のパイプスペースから廊下、部屋の中を通って水回りに行くため、天井や床を剥がして行う大規模工事も予想されます。その場合は配管更新のための費用もかかり、付随して床の解体や内装工事など、思わぬところに費用が発生することも考慮しなければいけません」
設備はショールームで使い勝手を確認する
リフォームの希望内容や予算が決まったら、メーカーのショールームを利用してみましょう。ショールームとは、各メーカーの新商品や人気モデルが展示されている施設のこと。最新の設備を体験できる絶好の機会でもあります。毎日使うキッチンや浴室は、実物を見て使い勝手をイメージすることが大切です。
マンションの管理規約を必ず確認する
既に住んでいる方も、これから中古マンションを購入予定の方も、水回りのリフォームを検討しているのなら法律に基づき定められた「マンションの管理規約」を必ず確認しておきましょう。
水回りの移動が禁止されていたり、床を剥がして行う大規模工事はNGとされていたりと、マンションごとにルールは違います。
キッチンはレイアウトを変更できない場合も
キッチン周辺の床下の状態や高さ、配管の位置によっては希望通りにレイアウトを変えられない場合もあります。事前に管理規約を確認しておくのはもちろん、レイアウト変更ができるものかどうか、リフォーム会社へ相談してみましょう。
設置できない機器もある
マンションが特殊な構造である場合は、サイズが決まっている機器を設置できないこともあります。希望の機器がある場合は採用できるかどうかをリフォーム会社に相談しておきましょう。
工事期間中はリフォーム箇所を使用できない
キッチン、浴室、トイレは毎日の生活に欠かせない設備です。リフォーム中は使用できないので、最寄りの銭湯を利用する、食事は外食で済ませるなど、工事期間の対策を考えておきましょう。
まとめ
今回は、マンションの水回りリフォームの基礎知識をお届けしました。
アクアラボ・小林さんが重視していたのは「ショールームへ見学に行く前に、まずは家族会議を行って、リフォームの目的と予算を決めること」。
水回り設備にはそれぞれグレードがあり、価格帯もメーカーや機種によって異なりますが、目的と予算を明確にすることで、リフォーム会社との打ち合わせもスムーズに進めることができるはずです。今回ご紹介した費用相場や事例を参考に、理想の水回りリフォームをかなえましょう。
マンションリノベーションの費用や間取り変更、おしゃれな実例やリアルな体験談を紹介
取材協力/アクアラボ
構成/梨本明世(ドコドア)、林直樹
取材・文/松永春香、林直樹