マンションリノベーションの費用や間取り変更、おしゃれな実例やリアルな体験談を紹介

マンションをリノベーションする場合、費用はどれだけ必要なのでしょうか。キッチンや浴室など水まわりはどれだけ変えられる? 壁は取り払える? 間取り変更の費用は? どんなマンションならリノベーションがしやすい? こうしたさまざまな疑問に対して、一級建築士の柏崎文昭さんに教えてもらいながら、おしゃれな実例と、マンションのリノベーションを行った体験者の話をもとにひもといていきます。

リノベーションと費用のイメージ

マンションのリノベーションの施工事例(写真提供/アクアラボ

記事の目次

マンションをリノベーションする流れ

リノベーションとは、既存の建物に対して、機能や価値を再生するとともに、暮らしの向上を図るために改修すること。そのため、たいていは水まわり設備や間取り、内装を一新します。

スケルトンリフォーム

リノベーションでは天井材や床材、壁、水まわり設備類など、すべて取り払い、躯体(くたい)のみにすることがほとんどです。

つまり大がかりな工事が必要になります。失敗しないためにも、まずはマンションをリノベーションする際の流れと、注意点をおさえ、段取りよくリノベーションできるようにしましょう。

リノベーション会社を探す

まずは自宅マンションや購入したマンションをリノベーションしてくれる、リノベーション会社を選ぶことが最初の、そして大事な一歩。

マンションは、一戸建てと違い、水まわりを大きく変更することが難しいなど制約が大きく、その制約をクリアするノウハウの有無でリノベーションの内容が変わります。また各社得意なデザインにも違いがあり、例えばナチュラルテイストを得意としている会社にモノトーンのモダンなインテリアを要求しても、思い描いた内装にならないこともあります。

そのため、マンションのリノベーションが得意そうか、好みのデザインが実現できそうかなどを、各社の施工事例を見て判断するようにしましょう。

施工事例を見ながら検討する

家族で各社の施工事例を見ながら、自分たちの好みに合うデザインに仕上げてくれそうなリノベーション会社を見つけましょう。

中古マンションを購入してのリノベーション体験者であるTさんも、各社の施工事例をネットで調べました。「まずマンションのリノベーションで実績のある会社をいくつか探しました。その中から、私がかなえたいと思っていたイメージが実現できそうな会社を、施工事例を見ながら探して、5社に絞りました」。

プラン・見積もりを依頼する

気になる会社が見つかったら連絡して、実現したいリノベーションの内容を説明。続いてリノベーションするマンションを見てもらい、プランと見積もりをもらいます。

なお、「無料見積もり」をうたっている場合でも、現地確認を行ってプラン・見積もりを出す場合は有料という会社もあります。先ほどのTさんも「ある会社では、相見積もり(複数の会社に見積もりを取る)は有料になると言われました」とのこと。どこまでが無料なのか確認しておきましょう。

依頼する会社を決め、工事請負契約を結ぶ

リノベーション会社から提案されたプランと見積もりを比較検討し、依頼する会社を決めます。その後はプランの詳細を詰め、最終的な費用が決まったらリノベーション会社と工事請負契約を結びます。

工事請負契約の契約書は、しっかり見ておいたほうがいいと言うのは自宅のリノベーション体験者であるSさん。「断熱材を床下に施工したのですが、偶然、契約書に書かれていた品番と違う断熱材が施工されていることに気づいたのです。断熱性能が低い材料が施工されていたため、床の断熱材をすべてやり直し。おかげで工期も延びました。面倒でも契約書は隅々まで見たほうがいいです」。

工事開始〜完了、入居

工事請負契約を結んだら、いよいよ工事開始。工事前には上下階や左右の住戸、管理人さんに挨拶しておきましょう。リノベーションの場合、住みながら工事をすることができないので、工事前に仮住まいに引っ越せるよう段取りしておきましょう。

工事が完了したら、リノベーション会社と仕上がりを確認。不具合があれば直してもらい、ようやく完成です。

マンションのリノベーション費用の目安

マンションをリノベーションする費用は、物件の状態や施工する面積、使用する設備や仕様、リノベーション会社等によって異なります。そのため一概にいくらかかるとは言えませんが、例えば水まわり設備の入れ替えなら約270万円〜440万円という具合に、ある程度の目安はわかります。

下記に主なリノベーション工事の費用の目安を紹介しますので、参考にしてください。

水まわり設備一新の費用の目安

「キッチン」「トイレ」「お風呂(浴室)」「洗面所」といった水まわり設備。これらの老朽化や故障を機にリノベーションを検討する人も多いのではないでしょうか。

まず、水まわり設備を入れ替える費用の目安を見てみましょう。

■主な水まわり設備をリノベーションで入れ替える費用の目安
リノベーション工事の内容 費用の目安
キッチンの交換 壁付けキッチンの位置は変えず、食器洗い乾燥機やオーブン付きキッチンに交換 約100万円〜150万円
トイレの交換 古い洋式トイレを、多機能な温水洗浄便座付きトイレに交換 約30万円〜60万円
お風呂(浴室)の交換 浴室サイズ(1418※)は変えずに、最新システムバスに交換
※1418は浴室の内寸が1400mm×1800mmを示す
約100万円〜170万円
洗面化粧台の交換 幅750mmで、手洗い洗濯も可能な大きなボウルのある、収納の多い洗面化粧台に交換 約40万円〜60万円

新たに備える設備のグレードや仕様、サイズ等によりますが、水まわり設備4点を一新すると費用の目安は270万円〜440万円です。

また、キッチンを交換するにあたり、壁付けから対面式キッチンへ変えたいという人もいるでしょう。その場合の費用の目安は下記の通りです。

■壁付けキッチンから対面式キッチンにリノベーションする場合の費用の目安
リノベーション工事の内容 費用の目安
壁付けキッチンを対面式キッチンに交換 食器洗い乾燥機やオーブン付きの対面式キッチンに交換 約150万円~250万円

間取り変更の費用の目安

ライフスタイルの変化に合わせて、間取りを変更したいと思う人もいるでしょう。既存の間取りや、使用する材料等によっても費用は変わりますが、下記では比較的多い「リビングの隣の和室をリビングに取り込む」施工例の費用の目安を紹介します。

■リビングに隣接する和室をリビングに取り込み3LDKから2LDKに間取り変更する場合の費用の目安
リノベーション工事の内容 費用の目安
3LDKから2LDKに間取り変更 リビングダイニングに隣接する和室と、クローズドのキッチンを取り込んで大きなLDK(30m2)にする 約250万円〜350万円

天井・壁クロスの張り替え+床材の張り替えの費用の目安

内装を一新するだけでも、気分が変わります。天井や壁のクロス交換のリノベーション費用は、基本的に施工する面積に比例します。

例えば3LDK(延床面積70m2)のマンションで、天井と壁をすべて張り替えた場合、リノベーション費用の目安は下記の通りです。

■3LDK(延床面積70m2)の天井と壁をすべて張り替える場合のリノベーション費用の目安
リノベーション工事の内容 費用の目安
天井・壁クロスの張り替え すべての天井・壁のクロスを、汚れが付きにくい防汚機能のあるビニールクロスに張り替える 約60万円(施工面積210m2=70m2・3LDK相当)

また床のフローリングを張り替える場合、「張り替える面積(施工面積)」と「床材の種類」がリノベーション費用を左右します。

ここでは複合フローリングから、新しい複合フローリングに張り替える場合の、10m2費用の目安を紹介します。

■床材を複合フローリングから、新しい複合フローリングに張り替える場合の費用の目安
リノベーション工事の内容 費用の目安
床の張り替え 複合フローリングから、新しい複合フローリングに張り替える 約9万円〜14万円(施工面積10m2

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マンションのリノベーションで注意したいこと

マンションをリノベーションする場合、注意すべき点があります。リノベーションでかなえたい間取りや、入れ替えたい設備を検討する前に、下記で確認しておきましょう。

窓や玄関ドア、バルコニーは共用部なのでNG

自分たちだけが使っていても、住戸の窓や玄関ドア、バルコニーは共用部です。そのため基本的に自分でリノベーションすることができません。

また専有部でも窓に内窓を取り付けたり、玄関ドアの室内の扉面を塗装することが禁止されている場合もあります。必ず管理組合に確認しましょう。

リノベーションする前に管理規約を確認する

例えばフローリングの遮音性能の規定があり、床材を張り替える場合は管理規約に定められた床材を使用しなければならないというケースがあります。床材に限らず、水まわりの位置変更の禁止など工事内容が制限されている場合があるので、リノベーションを検討する際には、必ず管理規約に目を通し、内容を確認しておきましょう。

PS(パイプスペース)の位置を確認しておく

PS(パイプスペース)とは上下水道管等の配管や排水管が設置されるスペースのこと。ここから離れすぎると排水管の勾配が取れないので、キッチンをはじめ水まわり設備の位置が制限されることになります。間取り図に「PS」と入っているので、位置を確認しましょう。

PSの位置

キッチンの排水管は上図のようにPS(パイプスペース)へ傾斜させる必要があります。上図は分かりやすいよう、床下空間にゆとりを持たせていますが、実際にはこれよりもっと狭かったり、直床工法など床下空間がない場合もあります。その場合、キッチンの背後の壁をふかして、そこに排水管を入れて傾斜をとるなどの方法があります。

壁式構造の場合、間取り変更に制限がある

マンションの構造は大きく「ラーメン構造」と「壁式構造」に分けられます。ラーメン構造は柱と梁(はり)で建物を支えるので、住戸内の壁を外せるため、間取り変更がしやすい構造です。

一方の壁式構造の場合、建物の外壁や住戸内にある壁(耐力壁)で建物を支えます。住戸内の壁のすべてが耐力壁ではなく、必要最小限の壁のみ耐力壁になっています。耐力壁を撤去することはできませんが、耐力壁に影響しない範囲なら間取りを変えることはできます。自宅や、購入を検討しているマンションがどの構造なのか、確認しましょう。

ラーメン構造と壁式構造

間取り変更の自由度でいえばラーメン構造のほうが高いですが、壁式構造も耐力壁(取り壊せない壁)は最小限にとどめられているので、ある程度の間取り変更は可能です。マンションによって耐力壁の位置は異なりますから、リノベーション会社に現地で確認してもいながら判断するようにしましょう。

リノベ経験者に聞いたマンションリノベーションの疑問

マンションをリノベーションする際に気をつけたいことは上記の通りですが、さらに失敗しないためにも、注意しておきたいことがあります。上記でも登場いただいたリノベーション体験者のSさんに教えてもらいましょう。

リノベーションしようと思ったきっかけは何ですか?

リノベーションしたのは築24年の2LDK(65m2)のマンションです。キッチンやトイレが老朽化したので、子どもが中学生になったのを機にリノベーションすることにしました。間取りこそ従来と同じ2LDKですが、設備や壁・床材を変えたり、新たに収納をつくるなど、真新しい2LDKにリノベーションしました。

何社から見積もりをもらいましたか?

マンションのリノベーションに定評のあるリノベーション会社を探して、6社にプランと見積もりを依頼しました。その際、設備のグレードを統一するなど、なるべく比較しやすいよう工夫しました。

壁式から対面式キッチンに変更したかったのですが、床をかさ上げせずに排水管の勾配がとれるかどうかわかりませんでした。会社によっては「可能かどうかも含め、プラン・見積もりは現地確認しないと出せないが、その場合は有料になる」と言われたり、そもそも現地確認になかなかやってこない会社などもあり、最終的に床下点検口から見てくれた2社に絞りました。

その中から選んだ1社は、私が苦手なデザイン面での提案をしっかりとやってくれることが決め手になりました。

リノベーション工事の前に挨拶はしましたか?

これまでの人間関係を壊したくないので、当然挨拶しました。同じ階の住戸と上の階の全戸です。下の階はマンションの共用スペースなので、挨拶の必要がありませんでした。

最初の見積もり金額から最終的に変更はありましたか?

当初の予算は1400万円でしたが、思いのほか設備が値上げされていて、結局1600万円ほどかかりました。そのため浴室の設備変更は、10年前に変えたこともあり、諦めざるを得ませんでした。これからリノベーションしたいと思っている人は、あらかじめ設備価格を調べておいたほうがいいですよ。過去の施工事例を参考にすると予算オーバーしてしまうかもしれません。

リノベーションで一番こだわったのは?

一番こだわったのは、床をかさ上げせずに、壁付けから対面式キッチンに変更することです。また地震への対策として、造作収納を増やすことで置き家具をやめました。扉の取っ手の形に至るまで、設備や建材選びは細部までリノベーション会社に相談しながら決めました。

これからリノベする人に伝えたいことは?

どのリノベーション会社も「あなたの希望通りにリノベーションします」と言います。けれど私のように、デザインの好みがぼんやりとしている人は、どう伝えていいのかわかりません。そこでリノベーション会社の施工事例を見ながら「こうしたい」「ああしたい」というやりとりを通して決めていくことになると思います。

そうなると、そのリノベーション会社のデザインテイストが自分に合っているかどうかが重要になります。好みの施工事例がなければ「こうしたい」が言えなくなってしまいます。

リノベーションを成功させるための第一歩は、まず自分好みの施工事例があるか、どんな施工事例があるのか、しっかりと調べることではないでしょうか。

予算1000万円未満のマンションリノベーションの施工事例

リノベーションすることで、暮らしはどのように変わるのでしょうか。体験者の施工事例を見て参考にしましょう。

老朽化した設備を一新し、将来に備えたバリアフリーで広々した住まいに

分譲時に環境や交通アクセスの良さ、さらに建物への信頼性で選んだというマンションも、気づけば築43年。ライフステージの変化に加え、設備の老朽化もあって施主は全面リノベーションすることを決意しました。

目指したのは、将来子どもたちが孫を連れて訪れたくなるような広々とした住まい。また将来に備えたバリアフリー化も行うことにしました。

3LDKの間取りは、リビングの横にあった洋室を取り込んだ2LDKに変更。またキッチンは、設備を入れ替えるのに合わせて、壁付L字型から対面式に変えました。さらに天井や壁、床のフローリングも施主好みに変えました。

一方、大きくまたがないと入れなかった浴槽は、またぎやすくて断熱性能の高い最新のシステムバスに。狭くて使いづらかったトイレや洗面所も、できるだけ広げるなどして、将来介助が必要になっても安心できるようにしました。

新しいLDKは家族で集うのが楽しくなりそうな広くて明るい空間。キッチンからは、海を眺めることもできるそうです。こうして景観も将来の視界も良好な新居が誕生しました。

LDKのリノベーション

壁付けから対面式キッチンへと変え、バルコニーとの間にあった洋室も撤去したことで隅々まで明るくなったLDK(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

トイレのリノベーション

将来、施主夫妻のどちらかに介助が必要になっても安心できるよう、床の段差をなくし、できるだけ広くしたトイレ(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

和室のリノベーション

和室は畳や壁紙を変えてリフレッシュ。押し入れだった収納スペースは、子どもたちが帰省してきた際に便利なように、衣類や寝具を収められるようにつくられたクローゼットにつくり替えられました(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:696万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洋室、和室、トイレ、洗面所、浴室、廊下、玄関
リノベーション面積:78.23m2
住宅種別:マンション
築年数:43年
設計・施工:JS Reform(日本総合住生活)

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

築34年の住まいを、家事ラクな回遊動線を備え、ゲストを招きたくなる空間に

水まわりの老朽化が気になり、子どもが生まれることを機に築37年の自宅マンションをリノベーションすることにした施主。細かく区切られていた3DKを、回遊動線を採り入れることで、どこからでも行き来しやすい、広々とした1LDKの間取りにしたいと考えました。

まず、ダイニングキッチンに洋室と和室を取り込むことで、広いLDKに。合わせて壁付けだったキッチンを対面式に変更しました。

また、浴室・洗面所〜キッチン、LDK〜クロゼット〜寝室と、回遊できる動線になるよう間取りを大きく変更。この回遊動線の邪魔にならないように、開けっぱなしにしておくこともできる引き戸が多く用いられました。

広くなったLDKにある、天井の梁で自然とゾーニングされるスペースは子どものプレイスペースに。また対面式にしたキッチンに設けられたL字カウンターは将来の子どもの勉強スペースに、さらに子どもが成長したら子ども部屋は……という具合に、子どもの成長に合わせて変化できる、懐の深い1LDKへと生まれ変わりました。

LDKのリノベーション

広くなったリビングダイニングに対面式キッチンを配置して広いLDKに。黄色のアクセントクロスが張られたスペースは子どものプレイスペース(写真提供/東京ガスリノベーション)

WICのリノベーション

寝室とリビングダイニングの間には広いウォークインクロゼットが配置されています(写真提供/東京ガスリノベーション)

土間のリノベーション

玄関のドアを開けると目の前にまっすぐ伸びる玄関土間。自転車や宅配された物等を置くことができます(写真提供/東京ガスリノベーション)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:966万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、寝室、浴室・バス、洗面室、トイレ、収納、玄関、廊下、他
リノベーション面積:63.93m2
住宅種別:マンション
築年数:37年
設計・施工:東京ガスリノベーション

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

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予算1000万円〜1500万円のマンションリノベーションの施工事例

続いて、予算1000万円〜1500万円のリノベーション例を見てみましょう。

子育てを終えた夫妻が、お互いのライフスタイルに合わせてリノベーション

子どもが独立してから、リノベーションを考えるようになった施主。いつかは、と思っているうちに、かつての子ども部屋は荷物置き場となり、水まわりにも古さが目立つように。仕事のリタイアを機に、ついにフルリノベーションすることを決意しました。

これからの夫婦2人の生活に合うよう、まずはリビングに隣接していた和室を取り込み、独立型だったキッチンを対面式にすることで、開放感のある大きなLDKにしました。

また、以前のリビングダイニングやキッチンは収納が少なく、ダイニング横に大きな食器棚を置いていましたが、新たなLDKには大容量の壁面収納を新設。おかげで日用品から家電まですっきり収めることができるようになりました。

さらに北側の和室や子ども部屋は、断熱工事を施して、夫婦それぞれの個室に変更。「リビングでのんびりしたり、自室で好きなコトに没頭したり。夫婦ともに自分達らしく過ごせる住まいになりました」。

LDKのリノベーション

狭かった独立型キッチンを対面式にして、背面に収納を設置。料理がしやすくなったのはもちろん、夫婦の会話を楽しんだり、窓越しに緑豊かな景色を眺められるので、キッチンに立つのが楽しくなったそうです(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

LDKのリノベーション

以前の和室にあった窓も加わり、明るい日差しが届くLDKに。豊かな木々の緑が窓越しに映る、心地よい住空間となりました(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

洋室のリノベーション

北側の和室を洋室に変更。押し入れは大容量のウォークインクロゼットに。湿気と寒さ対策に断熱工事が施され、ゆったりと寛げる空間になりました(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1200万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洗面化粧台、バスルーム、トイレ、洋室、収納、廊下、玄関
リノベーション面積:98.3m2
住宅種別:マンション
築年数:34年
設計・施工:JS Reform(日本総合住生活)

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

生活動線も見直し、断熱性能も高め、広くて明るいリビングを実現

リビングがとにかく狭く、茶色ベースの内装のため暗い印象で、友人を呼ぶのにも気が引けていたという施主。こうした不満が募り、20年以上暮らした住まいのフルリノベーションを決意しました。

まずは広くて明るいリビングを実現するため、洗面室やトイレ、浴室の配置が見直されました。さらに玄関側の洋室を納戸として縮小してキッチンの位置も変更し、内装は白基調に。こうして広くて明るいLDKのある住まいに生まれ変わりました。

リビングが広くなっただけでなく、間取りの変更によって生活動線も改善されました。ウォークインクロゼットとして活用する納戸は、洗面室と直結となり、洗濯や着替えなどの利便性が向上。またリビングの隣にあった和室は、リビングと続き間として利用できる子ども部屋にしたことで、キッチンに立っていても子どもを見守れます。

さらに、以前は結露がひどくてカビも目立っていたため、断熱材を増やし、すべての窓は二重サッシに。調湿効果を期待できるエコカラットも子ども部屋やトイレ、玄関などに採用されました。以前の冬はエアコンの温度設定が25度でも寒く感じていたそうですが、今は21度設定でも十分暖かく快適に過ごせるようになったそう。このように広くて快適に生まれ変わった住まいに、施主はとても満足しています。

LDKのリノベーション

広くなっただけでなく、内窓の設置や断熱材の追加で快適な空間に生まれ変わったLDK(写真提供/アクアラボ)

洗面室のリノベーション

白を基調とした空間にブルーがアクセントになり、爽やかな空間になった洗面室。右はウォークインクロゼットになっていて、動線がスムーズになっています(写真提供/アクアラボ)

玄関ホールのリノベーション

玄関ホールにも部分的にエコカラットが採用されました。また奥のリビングの扉を、開き戸から引き込み型の引き戸に変更したことで、開けっぱなしにしておけば愛犬ものびのび移動できます(写真提供/アクアラボ)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1290万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洋室、収納、浴室・バス、洗面室、トイレ、廊下、玄関、その他
リノベーション面積:約72m2
住宅種別:マンション
築年数:23年
設計・施工:アクアラボ

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

子どもの成長にともない、新しいライフスタイルに合った住まいへ

新築で購入して12年。子どもが成長するなど、ライフスタイルの変化に住まいが合わなくなってきたと感じた施主は、リノベーションすることを決意しました。リノベーションで希望した改善ポイントの1つが、生活動線です。

まずは帰宅後の動線や生活動線を考慮して、水まわりの位置を大胆に変更。玄関から洗面所、キッチン、リビングへと回遊できる動線につくり替えられました。これなら買物から帰宅すると、洗面所で手洗いを済ませてキッチンへ直行。そのまま買った物を収納したり、キッチンでの調理にすぐ取りかかることができます。

また、リビングとウォークインクロゼットの2方向からアクセスできる収納スペースが設けられ、その上に高い天井高を活かしてロフトも用意されました。こうした豊富な収納の設置によって、住まい全体がスッキリと片付くようになりました。

さらにリビングの大きな窓や洋室の掃き出し窓には、断熱性能の高い内窓を備えることで、悩まされていた結露も解消。家族みんなの暮らしが豊かになるリノベーションを実現しました。

LDKのリノベーション

以前は閉鎖的だったキッチンは、位置を変えて家族との会話が弾む対面式に。お菓子作りが趣味という施主のために、オーブンレンジを2台並べて置ける背面収納が新設されました(写真提供/サンリフォーム)

ロフトのリノベーション

高い天井高を活かして、収納スペース上に寝室として活用できるロフトを設置。ロフトへの階段は、飾り棚にも使えてデザイン性もある階段が造作されました(写真提供/サンリフォーム)

子ども部屋のリノベーション

子ども部屋の壁には、磁石が使えるマグネットウォールを備え、子どもたちの絵や工作などを飾るギャラリースペースに(写真提供/サンリフォーム)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1300万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、寝室、子ども部屋、ロフト、洗面所、トイレ、浴室、収納、玄関、その他
リノベーション面積:61.00m2
住宅種別:マンション
築年数:12年
設計・施工:サンリフォーム

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

設備の一新や断熱工事を行い、ライフスタイルに合わせた間取りに変更

結露に悩まされ、設備の老朽化も気になるようになり、築29年のマンションのリノベーションを検討するようになった施主。当初は設備の入れ替え等で済ませることも考えましたが、子どもの成長や家族のライフスタイルの変化もあり、思い切ってスケルトンリフォームをすることにしました。

まずは夏も冬も快適な空間にするため、特に結露のひどかった北側の洋室はもちろん、リビングをはじめ住まいの至るところで、断熱工事や内窓の取り付けが行われました。合わせてリビングの隣には畳スペースと、ワークスペースを新設するなど、ライフスタイルの変化に合わせた間取りに変更。

また以前は収納が少なかったので、代わりに収納家具をあちこちに置いていました。そのため、どこに何をしまったか分からなくなり、探し回ることが度々あったそう。そこで収納計画をしっかり行い、整理整頓が家族の習慣になるよう、収納が適材適所に配置されました。

老朽化が気になっていた水まわり設備はもちろん一新。給排水管の更新も行いました。快適になって、暮らしやすさも向上した新しい住まい。子どもたちの喜ぶ顔を見たら、施主は思い切ってリノベーションしてよかったと思ったそうです。

LDKのリノベーション

間取りを見直すことで、リビングダイニングの横に子どもたちの勉強部屋と、家族の誰でもくつろぎたいときに使える畳スペースを設けることができました(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

子ども部屋のリノベーション

リビングダイニングに隣接する、子どもたちの勉強部屋。ほどよい「こもり感」があり、家族の気配を感じながらも勉強に集中できます。将来は書斎として使うことも可能です(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

洋室のリノベーション

北側の個室もインテリアを一新するとともに、断熱工事と内窓の設置が行われました(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1310万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洗面室、浴室、トイレ、ワークスペース、和室、洋室、収納、廊下、玄関
リノベーション面積:87.79m2
住宅種別:マンション
築年数:29年
設計・施工:JS Reform(日本総合住生活)

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

予算1000万円で全面リフォームやリノベーションはできる!? リフォーム体験談や施工事例、費用相場を解説 

予算1500万円以上のマンションリノベーションの施工事例

最後に予算1500万円以上のリノベーション例を見てみましょう。

同じ3LDKでも、回遊性が抜群の暮らしやすい間取りに一新

築38年のマンションを、間取りや内装、設備のすべてを見直して、家事がしやすい住まいへとつくり替えたいと希望した施主。まずは家事がラクになるように、スムーズでコンパクトな動線になるよう、間取りが大きく変更されました。

そのために水まわりの位置は大きく変わりました。例えばキッチンだった部分はリビングダイニングに隣接する夫妻の寝室となり、代わりにキッチンは従来洋室だった場所に。浴室や洗面室、トイレの位置も見直されました。こうしてリビング・ダイニング、キッチン、洗面所や浴室の水まわりスペース、寝室を、ぐるりと回遊できる動線が生まれました。

キッチンをはじめとした設備が一新されたのはもちろんですが、例えばリビングは調光できる間接照明やエコカラットタイルを壁にあしらうなど、昼と夜とで表情を変える、ドラマチックなデザイン空間に一新されています。

さらに空間と調和するカップボードや、お掃除ロボットが行き来しやすいフロートタイプのテレビボードを造作してもらい、機能的で細かな配慮のある、洗練された空間を実現しました。

LDKのリノベーション

エコカラットタイルや間接照明が施され、ソフトなモノトーンでまとめられたリビングダイニング。寝室との間をガラス戸にしたことで、開放感があるほか、寝室の奥までバルコニーからの光が届きます(写真提供/サンリフォーム)

キッチンのリノベーション

対面式キッチンの背後には収納家具を設置。また既製品のカップボードと冷蔵庫の間にできた隙間を埋めるように、造作家具が備えられました(写真提供/サンリフォーム)

玄関のリノベーション

玄関もモノトーンで統一。壁にはタイルのような高級感があるエコカラットタイルが用いられました。デザイン性に加え、消臭効果にも優れている点も採用のポイントです(写真提供/サンリフォーム)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1700万円(総額)
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洋室、寝室、洗面所、トイレ、浴室・バスルーム、収納、廊下、玄関
リノベーション面積:84.00m2
住宅種別:マンション
築年数:38年
設計・施工:サンリフォーム

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

子どもの独立を機に、ずっと思い描いていた暮らしを住み慣れた住まいで実現

築34年と古さが目立ってきた自宅マンション。子どもが独立し、ライフスタイルの変化もあったので、施主は新築マンションへ住み替えることも検討したそうです。しかし、街も近隣の人々も好きだったので、今の住まいを自分たちらしく変えることを選びました。

まずリビングダイニングは、使っていなかった洋室と独立型キッチンを取り込むことで、開放的なLDKへと変更。リビングとつながった旧洋室はモダンな和のスペースに生まれ変わり、普段は仕切りとなる障子を開け放しています。

また、以前は閉鎖的だったキッチンは、リビングダイニングを一望できる対面式に変更。リビング側から生活感が見えないよう、目隠しされたパントリーも設けられています。

さらに、以前から部屋を明るいイメージにしたいと思っていた施主は、白をベースとしたリビングに、鮮やかな青が目立つアクセントクロスを差し込みました。ほかにも和室と廊下の仕切りに採用した組子の窓など、住まいの隅々まで、ずっと思い描いていた暮らしをカタチにすることができました。

LDKのリノベーション

白と青のコントラストが美しいLDK。床には温水式床暖房を備えました(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

和室のリノベーション

小上がりのある和モダンなスペース。リビングダイニング側の障子を閉めれば、客間に利用できるなど多目的に使うことができます(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))

廊下のリノベーション

玄関・水まわり・LDKとつながる動線に、新設した大容量のウオークインクロゼットが加えられ、暮らしやすさが向上しています(写真提供/JS Reform(日本総合住生活))
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1958万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洗面化粧台、バスルーム、トイレ、洋室、和室、収納、廊下、玄関 など
リノベーション面積:99.4m2
住宅種別:マンション
築年数:34年
設計・施工:JS Reform(日本総合住生活)

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

まとめ

現状の不具合を改善するだけでなく、暮らしやすさも向上させるリノベーション。そのためには、大がかりな工事が必要になり、費用もかかります。

まずは失敗しないためにも、マンションをリノベーションする際の流れと、注意点をおさえ、段取りよくリノベーションできるようにしましょう。体験者の生の声も掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

また、水まわり設備の位置を大きく動かせないなど、マンションならではの制約があります。後で「できない!」となる前に、リノベーションを検討したらまず管理規約等で確認しておきましょう。

リノベーションの費用はケースバイケースですが、躯体だけを残して新たにつくり替えるスケルトンリフォームの場合、建材や人件費の高騰も鑑みると、最低でも1300万円はみておいたほうがよいでしょう。

もちろん、スケルトンリフォームではなく、水まわり設備を中心としたリノベーション等、工事内容を吟味して費用を抑えても、暮らしやすさを向上させることができます。今の住まいのどんなところに不満を感じ、どんな暮らしをしたいのか、まずは家族みんなで話し合って、リノベーションの方向性を決めることから始めてみましょう。

監修/一級建築士 柏崎文昭(甚五郎設計企画)
構成・取材・文/籠島康弘 イラスト/徳丸ゆう