中古マンションを購入してリノベーションする費用はいくら? 体験談やおしゃれな施工事例、失敗しない秘訣を紹介

中古マンションを購入してリノベーションする場合、リノベーション費用はどれくらいかかるのでしょうか。リノベーション会社に依頼するタイミングは物件を購入する前? それとも後? どんなマンションでも好みの間取りに変更できる? そんな中古マンションを購入してリノベーションする基礎知識を、一級建築士の柏崎文昭さんに教えてもらいました。あわせておしゃれな施工事例や体験談もご紹介します。

リノベーションの費用の疑問に一級建築士が回答。マンション・一戸建てリフォームの体験談も参考にしよう

LDKのリノベーション

中古マンションを購入してリノベーションした施工事例(写真提供/アクアラボ

記事の目次

中古マンションを購入してリノベーションするメリット・デメリット

新築マンションを購入するのではなく、中古マンションを購入してリノベーションすると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。確認しておきましょう。

【メリット】新築マンション購入よりもコストを抑えやすい

新築マンションや中古マンションそれぞれの価格や状態、立地、リノベーションの内容等で異なりますが、多くの場合で新築マンションを購入するより、中古マンションを購入してリノベーションするほうが安く抑えやすくなります。

【メリット】自分たちのライフスタイルに合わせた住まいにできる

既に間取りが決まっている新築マンションに対し、中古マンション購入&リノベーションなら、自分たちのライフスタイルや好みに合わせた間取りや仕様にすることができます。

リノベーションの打ち合わせ

リノベーションでは、自分たちのライフスタイルにあった間取りや仕様にするためにマンションの躯体(くたい)のみにして、水まわり設備や間取り、内装を一新します。

【メリット】住みたいエリアで暮らせる

既に人気エリアには多くの住宅やマンション等があり、今から新築マンションが建つ可能性は少ないことがあります。しかし中古マンションなら、たいていは住みたいエリアにありますから、売却物件が見つかれば希望する街で暮らすことができます。

中古マンションを購入してリノベーションした体験者のNさんも、希望のエリアで見つけることができました。「希望エリアは、新築マンションは価格が高く、なかなか手が出せない場所でした。リノベーション会社と一緒に探して、築35年の今の物件を見つけました。実は別のエリアでも条件の良い物件を見つけたのですが、自分の好きな場所で好きな住まいで暮らすことがクオリティ・オブ・ライフを高めると思い、こちらに決めました」。

【デメリット】リノベーション費用は住宅ローンが使えない

中古マンションの購入には住宅ローンが利用できますが、リノベーション費用は住宅ローンが使えないため、リフォームローンを利用しなければなりません。リフォームローンはたいてい住宅ローンよりも金利が高いので、資金計画は慎重に行いましょう。

なお、最近は中古マンションを購入してリノベーションする人が増えていることもあって、リフォーム一体型ローンを取り扱う金融機関も増えています。リフォーム一体型ローンとは中古住宅の購入費用とリノベーション費用を同時に借りることができるローンのこと。

リフォームローンより金利が低い場合が多く、住宅ローンとリフォームローン別々に借りるより手間がかからないのがメリットです。どんな金融機関が扱っているのか、借入条件なども含めて一度調べてみてはいかがでしょうか。

【デメリット】間取り変更ができないケースがある

下記で詳しく解説しますが、マンションの構造は大きく「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があり、壁式構造の場合は室内にある壁(建物を支える耐力壁)を撤去できないため、間取り変更に制約があります。

■ラーメン構造と壁式構造の間取りの違い

ラーメン構造と壁式構造の間取り

上記はあくまでイメージで、ラーメン構造の柱の張り出し方や、壁式構造の耐力壁(取り壊せない壁)の位置はマンションによって変わります。また壁式構造は耐力壁のほかに、取り壊せないタレ壁(天井から少し垂れ下がっている壁)もあります。いずれもリノベーション会社に現地で見てもらって判断するようにしましょう。

ただ、それを逆手に取って好みの間取りの住まいにすることも十分可能です。中古マンション購入&リノベーションの体験者・Nさんも壁式構造の中古マンションを好みの住まいにリノベーションしました。

「リノベーション会社の担当者と一緒に物件を探したのですが、今の物件を見ながら、撤去できない壁を、逆にゆるやかなエリア分けに利用するアイデアを提案されました。確かに、ドアなど建具を設けないので住まい全体がワンルームのような開放感があり、それでいて映画鑑賞や読書をするスペース、寝室、キッチンと役割を壁によってゆるやかに分けることができます。さらに、インテリアのイメージをその場でスケッチしてもらったので、壁式構造でも自分のライフスタイルを実現できると確信できました」。

中古マンションを購入してリノベーションする費用

購入した中古マンションをリノベーションする費用はいくらくらい必要なのでしょうか。一級建築士の柏崎文昭さんに教えてもらいました。

フルリノベーションは中古マンション購入費に加え1300万円は必要

中古マンションを購入してフルリノベーションする場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか。フルリノベーションでは床、壁、天井をすべて取り払い、マンションの躯体のみにしてから、新しく作り直します。

そのため、新たな床材や壁材、天井材や建具、設備等に加えて、解体費用もかかります。特に最近は設備価格や人件費が高騰していて「一般的な70m2・3LDKのフルリノベーションなら、最低でも1300万円、少し設備や仕様にこだわればあっという間に1600万円超と、こだわるほどに膨らんでいきます」と柏崎さん。

中古マンションを購入してリノベーションする場合、物件の購入価格に加え、最低でも1300万円は必要。設備や仕様にこだわるならさらに費用がかかります。予算内に収めるために、どんな仕様にしたいのか、絶対にこだわりたい部分はどこかをハッキリ決めておきましょう。

リフォームローンを組むタイミングはいつ?

ローンを組んで中古マンション購入&リノベーションする場合、中古マンションの購入時と、リノベーション工事の開始時の2回ローンを申し込む必要があります。ここでは大まかな流れを説明します。

まず中古マンションを購入します。購入したい物件が決まったら不動産会社を通して購入を申し込みます。同時に住宅ローンの事前審査を受けておきます。

購入を申し込んだ後、売り主と不動産売買契約を結んだら、住宅ローンの本審査を申し込みます。本審査をクリアしたら金融機関と住宅ローン契約を結び、物件の引き渡しとなります。

続いて、リノベーションするためのリフォームローンを組む段取りに入ります。

まずリノベーションを依頼するリノベーション会社と打ち合わせをして、物件の現地調査を行ってもらい、プランと見積もりをもらいます。

ある程度の費用の目安がついたら、リフォームローンを金融機関に申請します。審査が通ったらリノベーション会社と工事請負契約を結び、リノベーション工事が始まります。

なるべく早くリノベーションしたいなら、早めにプランと見積もりを決めるためにも、リノベーション会社に物件選びから協力してもらうといいでしょう。そのためには、あらかじめリノベーション会社を数社選び、その中から1社に絞って物件選びから手伝ってもらいましょう。

中古マンション購入&リノベーションの体験者・Nさんの場合も、物件選びからリノベーション会社に手伝ってもらいました。「物件探しと同時に、リノベーション会社も選びました。各社の施工事例を見ながら自分の好みのデザインを実現してくれそうな会社をいくつか選び、どれくらいの予算でどんなリノベーションができるのか伺いました。そうやって比較検討した中から1社を選び、物件選びを手伝ってもらいました」。

また、最近は中古マンションの購入とリノベーション費用をまとめて貸してくれる金融機関も増えています。ローンの申し込みが1回で済みますから、中古マンション購入&リノベーションを検討したら早めに調べてみましょう。

中古マンション購入からリノベーション完了までの流れ

(図作成/SUUMO編集部)

【FP監修】リフォームローンの種類や金利と選び方。審査、住宅ローンとの違いなどを解説 

失敗しない物件の選び方とは? 中古マンション購入時に注意したいこと

どんな中古マンションでもリノベーションすれば希望通りの住まいになる、とは限りません。購入してから思い通りのリノベーションが行えずに後悔しないよう、下記に注意して中古マンションを選びましょう。

耐震強度の基準を満たしているか確認

レトロ調のインテリアが好みだから古いマンションがいいと考えている人もいるでしょう。しかし、地震の多い日本では建物の耐震基準がたびたび見直されています。ですから耐震性能に注意が必要です。

「マンションの場合、1981年6月1日に設けられた新耐震基準に適合しているかがポイントになります」と柏崎さん。

「こう言うと、1981年6月1日以降に竣工したマンションなら大丈夫と思う人がいるかもしれませんが、竣工時期ではなく、建築確認が下りた日付が重要になります。1981年6月1日以前に建築確認が下りていて、竣工がそれ以後であることは十分あり得ます」。

そのため、不動産会社に新耐震基準に適合した物件かどうか、確認するようにしましょう。

また、新耐震基準以前(旧耐震基準)の物件だとしても、その後に耐震診断を受けて、それに応じた耐震補強が行われているマンションもあります。いずれにしても1981年前後やそれ以前の中古マンションを検討するなら、不動産会社に確認しましょう。

より安心感を求めたいなら、住宅品質確保促進法(品確法)により住宅性能表示制度が始まった2000年以降のマンションを検討してみましょう。

住宅性能表示制度により、建物には耐震等級の表示が義務づけられました。耐震等級1が新耐震基準を満たすことを示し、耐震等級2はその1.25倍、耐震等級3は1.5倍の耐震強度という意味です。不動産会社に問い合わせれば確認できるので、購入時の判断材料の1つにしましょう。

希望のリノベーションが行えるか構造を確認

希望通りのリノベーションが行えるかどうかは、まずマンションの構造が左右します。

先述の通り、マンションの構造には「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があります。ラーメン(ドイツ語で額縁や枠の意味)構造は、柱と梁(はり)で長方形を構成します。室内に動かせない耐力壁(建物を支える壁)がないので、間取りを自由に変えることができます。

一方で、基本的に室内に柱や梁が張り出し、張り出し具合は物件により異なります。ただし、室内の張り出しがない逆梁アウトフレーム工法を用いたマンションもあります。

逆梁アウトフレーム工法

左が逆梁アウトフレーム工法、右が通常工法。逆梁アウトフレーム工法では梁と柱をバルコニーに出すので、室内はすっきりします。一方でバルコニーが狭くなりがちになるほか、梁の部分を足がかりにして子どもが誤って乗り上げる危険性があるので注意が必要です。

もう一つの壁式構造は、床・天井・壁で空間を支えます。そのため、室内にある耐力壁を撤去することはできませんが、ラーメン構造に対し、室内に凹凸がないので家具の配置がしやすくなります。

パイプスペースの位置や、管理規約を確認

希望通りのリノベーションを行うには、パイプスペースの位置や、管理規約の確認も欠かせません。

まずパイプスペースの位置(間取り図に「PS」と表記される部分)の確認です。水まわり設備とパイプスペースが離れていると、排水管の勾配がとれず、流れなくなります。壁付けキッチンを対面式にするなど、水まわり設備の位置を変更したい場合はパイプスペースの位置を確認しておきましょう。

勾配をとるために、水まわり設備の床を高める方法もありますが、床に段差ができるというデメリットもあります。リノベーション会社と相談しながら間取りを決めたほうがよいでしょう。

アイランドキッチン

四方が壁に接していないため、家族や知人と一緒に調理を楽しめるアイランドキッチン。ただし、壁から離れすぎるとパイプスペースからの勾配がとれないため、床を上げるなど対策が必要です。

一方、管理規約の確認も忘れずに行いましょう。床の遮音性能をはじめ、マンションによって使用する建材の性能が定められています。管理規約によって希望する建材が使えない場合もありますから、注意が必要です。

こうしたパイプスペースの位置や管理規約の制約に対し、リノベーション会社によっては対処ノウハウを持っている場合もあるので、やはりリノベーション会社と一緒に確認したほうがよいでしょう。

マンションの管理状況・状態を確認

中古マンションを購入してリノベーションすれば終わり、ではなく、そこから始まる快適な生活を得ることこそ、本来の目的です。そのためには、この先の生活を左右する、マンションの管理状況や状態を確認しておきましょう。

まずマンションの外観や廊下などを見て、外壁のタイルが浮いていないか、あるいは塗装が剥げていないか、ヒビ割れしていないか等を確認しましょう。そうした劣化が放置されている場合、管理体制がずさんである可能性があります。そうなると今後の修繕積立金の値上がりにもつながりかねません。

またエントランスや駐輪場、ゴミ置き場などを見ると、日々の管理状況や住民のマナーなどが見えてきます。今後ご近所さんになる人々のことを知ることは、購入の判断の1つになるはずです。

さらに、不動産会社に長期の大規模修繕計画や、それが計画通り実行されてきたかも確認しておきましょう。その際に、今後の修繕の見通しや、修繕積立金の値上げの可能性があるのかなど、不明な点や疑問点を確認しておくとよいでしょう。

中古購入&リノベーションはワンストップリノベーションという方法も

ここまで見てきたように、中古マンション購入&リノベーションは物件選びからリノベーション会社に協力してもらうと何かと安心できます。そこで登場したのが「ワンストップリノベーション」サービスです。

ワンストップリノベーションとは

ワンストップリノベーションとは、物件探しからリノベーション、資金計画、減税や補助金制度の利用申請などを、サービスを提供する会社が窓口となってすべて行ってくれるというものです。

ワンストップリノベーションのメリット

不動産会社やリノベーション会社、金融機関等々とのやりとりが1つの窓口で済むため、スムーズに中古マンションの購入からリノベーションまで行えます。またサービスを提供する会社によっては、物件の購入資金とリノベーション費用をまとめて借り入れることもできます。

会社選びの注意点

一方、購入物件が決まると、その後にリノベーション会社を変えることが難しくなります。そのため、どんなリノベーションができるのか、どんなデザインテイストが得意なのか、事前に施工事例を見て確認しておくことが重要です。

また、サービスを提供する会社によって、取り扱う中古物件が異なるので、選択肢が狭まる可能性もあります。これまでどんな物件を手がけてきたのか、これも会社のホームページ等で確認しておきましょう。

中古マンション購入&リノベーションした先輩の体験談

中古マンション探しや購入、続いてリノベーションをリノベーション会社に依頼など、何かとやることが多い中古購入&リノベーション。体験者はどんなふうに中古マンション購入&リノベーションしたのでしょうか? 失敗や後悔はあるのでしょうか? 希望するエリアで中古マンションを購入&リノベーションしたNさんに話を聞きました。

●お話を聞いたNさん
家族構成:単身
購入した中古マンションの築年数:築35年
購入した中古マンションの広さ:45.20m2
リノベーションの当初予算:500万円
リノベーション費用:775万円

Q.中古購入&リノベーションをしようと思ったきっかけ

それまで賃貸住宅で暮らしていましたが、それなりに自分らしいインテリアにできたので楽しんでいました。しかし年齢を重ねるうちに「一生賃貸で暮らすのは嫌だな」と思うようになり、資産として中古マンションを購入し、クオリティ・オブ・ライフを高めようとリノベーションすることにしました。

リノベーション会社はどのように選んだか?

デザインにこだわってリノベーションをしたかったので、自分の好みのテイストをかなえてくれそうなリノベーション会社を探しました。

各社の施工事例をくまなく見て、5社まで絞りました。しかし、まだ購入する物件が決まってなかったため、いずれも正確な見積もりをもらうことはできませんでした。そこで「こんなリノベーションをしたい」とざっくりと伝えて、口頭で見積もりを伺いました。

それでも、例えば「相見積もり(複数の会社に見積もりを取る)で比較したい」と言ったら、それなら見積もりは有料になると言われるなど、各社の対応はまちまちでした。

その中でも対応がよく、私がこうしたいといったら「それなら」とその場でスケッチを描いて提案してくれるなど、完成のイメージがしやすかった1社に決めました。

リノベーションの打ち合わせ

現地を一緒に確認しながら、リノベーション会社の担当者がNさんとの会話を元に「こんな感じにできますよ」「こうしたらどうでしょう?」とスケッチを描いてくれたことで、リノベーション後の暮らしのイメージがしやすくなったそうです。

Q.予算内に収めるためにどうしたか?

デザインや仕様にこだわったこともあり、気づくと予算を200万円ほどオーバーしてしまいました。そこで各部屋の入り口をアーチ壁にすることをやめるなど、いくつかデザインのアイデアを諦めました。

Q.リノベーションについて失敗や後悔はある?

断熱です。暮らしてみて初めて、冬は寒く、夏は暑いことに気がつきました。デザインを重視して、躯体をむき出しにした住まいにしたのですが、実は築約40年のマンションの最上階、しかも角部屋です。

そのため、築年数相当に断熱性能の低い窓がバルコニー側と一方の壁にあり、冬は冷えるし、夏は断熱材のない天井と壁に容赦なく日光が照りつけます。しかも、エアコンはリビングに1台あるきりで、とても住戸全体を温めたり、涼しくすることができませんでした。

そこでリノベーション後に、窓には樹脂サッシの複層ガラス窓を内窓として設置しました。国の補助金制度も使いましたが、ほぼすべての窓に備えたので、それでも実費で約70万円かかりました。また、スポットクーラーとヒーターも追加で購入しました。

中古マンションを購入しておしゃれにリノベーションした施工事例

新築マンションではなかなか手に入れられない、自分たちのライフスタイルに合った住まいを中古マンション購入&リノベーションでかなえた人たちはたくさんいます。その中の一例を、下記で紹介します。

築28年の3LDKを、キャットウォークのあるミニマムライフに最適な住まいに

夫妻2人と愛猫2匹との暮らしに、中古マンションを購入した施主。ちょうどよい広さでしたが、細かく仕切られ、和室もある3LDKでした。しかし、あまり物を置かないシンプルでミニマムな暮らしがしたかった施主夫妻にとって、理想の間取りは1LDK。そこでリノベーションによって理想の暮らしの実現を目指しました。

まず壁やドアを取り払い、LDK+寝室に使う1部屋という1LDKへと大きく間取りを変更。しかも、寝室の扉を全開すると住まい全体が1つの空間になります。また「収納が多すぎると物をため込んでしまう」と考え、収納スペースをキッチンの背後と寝室それぞれに備えた大型収納2カ所に集約しました。

一方、2匹の愛猫のために、スチールラック製のキャットウォークを用意。圧迫感がないように半透明のポリカーボネート素材が敷かれ、床材には傷や汚れに強いフロアタイルが選ばれました。こうして夫妻と愛猫2匹にとって快適で、理想的な1LDKの住まいが出来上がりました。

LDKのリノベーション

天井に備えたキャットウォークの床材には、ダウンライトの光が透過する半透明の素材を採用。下から愛猫の肉球が見えると施主に好評です(写真提供/朝日住宅リフォーム)

キッチン収納のリノベーション

キッチンの後ろには冷蔵庫まで隠せる大型収納を設置。半透明の扉を備えたことで、閉めれば生活感が見えない一方、圧迫感もありません(写真提供/朝日住宅リフォーム)

寝室のリノベーション

リビングと寝室を仕切る3枚引き戸は、天井までの高さのハイドアで、閉じても天井を高く感じさせます。奥行きのある大容量クロゼットにもハイドアを採用しました(写真提供/朝日住宅リフォーム)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:830万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、浴室・バス、トイレ、洗面所、収納、玄関、寝室、その他
リノベーション面積:52m2
住宅種別:マンション
築年数:28年
設計・施工:朝日住宅リフォーム

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

設備の老朽化が気になる築24年の3LD・Kをヴィンテージ感のある3LDKに

駅近という好立地にある築24年のマンション。設備の老朽化や閉鎖的な間取り、古さを感じる内装が気になりましたが、施主はリノベーションを前提に購入することにしました。

まず、閉鎖的だったキッチンは壁を取り払い、リビングダイニング側に向いた対面式キッチンに変更。またリビングの隣にある洋室は、壁を取って引き戸を設置しました。透過性のある引き戸のため、閉めていても圧迫感がなく、全開放すればLDKの一部として空間を広く利用できます。

さらに、ダクトレールやダウンライトなどを採用するなど、照明の設置位置や種類をしっかりと計画。リビングダイニングの壁一面には施主の選んだグレーのアクセントクロスを採用するなど、空間の隅々まで施主好みの内装に変えました。浴室も既存よりひと回り大きくして、手足を伸ばして入浴できます。ほのかにビンテージ感もあるホテルライクな新居から「もう離れられない!」と施主も大喜びです。

LDKのリノベーション

洋室の開き戸を全開にすれば広々とした空間に。洋室の壁に造り付けられたブックシェルフが空間のアクセントになっています(写真提供/朝日住宅リフォーム)

洋室のリノベーション

リビング横の洋室の、壁一面に造り付けのブックシェルフ。最上段まで本を並べることで、梁を隠してインテリア性を高めています(写真提供/朝日住宅リフォーム)

洋室のリノベーション

もともと洋室とリビングを仕切る壁があったのですが、その壁をすべて取り払い、天吊りタイプの引き戸を採用しました(写真提供/朝日住宅リフォーム)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:945万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、浴室・バス、トイレ、洗面、収納、玄関、洋室、その他
リノベーション面積:68m2
住宅種別:マンション 築年数:24年
設計・施工:朝日住宅リフォーム

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

壁の位置をミリ単位で調整して間取り変更を実現した築27年のマンション

自分たちらしい住まいをかなえるため、築27年のマンションを購入してリノベーションすることにした施主。まず、閉鎖的だったキッチンの不要な壁を取り払い、アイランドキッチンを主役に据えました。さらにリビングに隣接していた和室を撤去してリビングを拡張。

キッチンの壁を撤去する際に撤去できない柱がありましたが、白いタイルで装飾してインテリアとして活用しました。またキッチン&ダイニングテーブルの頭上は下がり天井&間接照明を備えるなど、デザインには徹底的にこだわりました。

さらに在宅ワークがはかどる独立した書斎やファミリークロゼットを新設したり、既存の狭かった浴室はひと回り大きなサイズに。さらに寝室はセミダブル+シングルベッドが収まるスペースを確保しました。

限られた面積でこれらを入れ込み、かつ使いやすくするため、壁の位置調整はミリ単位で行われたそう。また、ドアの選び方1つとっても工夫が施されています。こうして手に入れた自分たちらしい住まい。施主は想像以上に満足度が高いと大喜びでした。

LDKのリノベーション

梁など凹凸が多いので、あえて天井を下げたり、高くできるところはより高くするなど、デザイン上のバランスが図られました(写真提供/アクアラボ)

収納のリノベーション

リビングからアクセスできるファミリークロゼット。掃除機を充電できるコンセントや、採光&通気を考慮してデザイン性のある室内窓も備えられました(写真提供/アクアラボ)

寝室のリノベーション

希望通りのスペースを確保した寝室。スペース効率を高めるため、奥のクロゼットはドアではなくロールスクリーンが用いられました(写真提供/アクアラボ)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:970万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洋室、寝室、浴室・バス、トイレ、洗面室、収納、書斎、玄関、その他
リノベーション面積:約85.412
住宅種別:マンション
築年数:27年
設計・施工:アクアラボ

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

希望の立地に眺望の良い物件を見つけ、スタイリッシュな住まいを実現

「できるだけLDKには物を置かず、ゆったりとした時間を過ごせるようにしたい」「大容量で機能的なウォークインクロゼットが欲しい」「躯体現しやオーク無垢のフローリングを実現したい」など、やりたいことが明確にあった施主。中古マンションを購入してリノベーションすることで、それらの夢を叶えることにしました。

物件選びからリノベーション会社に相談して、希望の立地に眺望の良いマンションを購入。まず、ゆったりとした時間を過ごせるように、既存の和室と廊下のそれぞれ一部を取り込んでLDKを拡張しました。もちろん希望通りに、天井とバルコニー側の壁は躯体現しで仕上げ、床はオーク無垢のフローリングを採用しました。

LDKにできるだけ物を置かないためにも、収納計画は重要。要望していたウォークインクロゼットはもちろん、玄関に大きな土間を設けました。ほとんどの荷物がこの2カ所でカバーできるだけでなく、エントランス~土間~WIC~ホールが回遊できるので、外出の用意もスムーズです。こうして施主は、LDKで好きな物だけに囲まれた、ゆったりとした時間を過ごせる毎日を手に入れました。

LDKのリノベーション

アクセントクロスが張られたリビングの壁には、小物を置けるカウンターを造作。また好きな絵画を飾れるピクチャーレールも設置しました(写真提供/ハコリノベ)

LDKのリノベーション

リビングの入り口には、収納機能もある造作のベンチを設置しました。壁の上部には隣接する洋室の採光・通風のための窓が設けられ、リビングドアとともに空間のアクセントになっています(写真提供/ハコリノベ)

土間のリノベーション

玄関横には大きな土間を設けました。棚は可動式なので、大きな荷物もそのまま収納できます(写真提供/ハコリノベ)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1000万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、玄関、洗面所、廊下、洋室
住宅種別:マンション
リノベーション面積:72.40m2
築年数:34年
設計・施工:ハコリノベ

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

築26年の4LDKを、膨大なコレクションの収納と個性的な3LDK+Sに

書籍やスニーカー、プラモデル、フィギュアなど多種多様かつ膨大なコレクションを所有している施主夫妻。自分たちのライフスタイルに合う住まいを実現するため、中古マンションを購入してリノベーションすることを選択しました。

まずは北側にあった2部屋を1部屋にまとめて、広い収納スペースに変更。書籍を収める書庫部分は回遊できるように書棚をレイアウトしました。一方のスニーカー用のシューズクローク部分は、大きさにあわせて効率よく収納できるよう可動できる棚板を設置するなど、コレクションに応じた収納方法が採用されています。

一方で、布団で寝るのが施主のスタイルのため、和室は残しました。ただし、小上がりのある和室に変更しています。また、廊下には和室の押し入れの下に、人が1人寝転べるスペースを用意。ここに籠もって本や漫画を読んだりできるようになっています。こんな風に、施主のこだわりがたっぷり詰まった、個性的な新居が完成しました。

和室のリノベーション

和室は独立させずにリビングの1角に配置して、小上がりに変更。濡れ縁を備えました。友人たちが遊びに来た時の談笑の場や、お風呂上がりに一息つくスペースにもなっています(写真提供/東京ガスリノベーション)

LDKのリノベーション

既存の洋室を取り込んでリビングダイニングのスペースを拡大(写真提供/東京ガスリノベーション)

収納のリノベーション

大容量の収納スペースの一部には、コレクションのスニーカーを収める造作のオープン棚が設置されました(写真提供/東京ガスリノベーション)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1209万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洋室、和室、浴室・バス、洗面室、トイレ、収納、廊下、玄関、その他
リノベーション面積:80.87m2
住宅種別:マンション
築年数:19年
設計・施工:東京ガスリノベーション

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

配管や構造の制約がある中で、水まわりの位置変更やサイズアップを実現

家族4人のライフスタイルに合う住まいを求め、施主は中古マンションを購入してリノベーションすることにしました。購入した築30年の高層マンションは大きな梁など、構造の制約がいくつかあり、対面式キッチンや浴室のサイズアップをいかに実現するかが課題でした。

まず独立していたキッチンは、移動させてリビングダイニングに取り込みました。またキッチンのリビング側にカウンターを新たに備え、L型キッチンのように使えるように。さらに既存の位置ではサイズアップが難しかった浴室は、配管の位置を考慮しながら洗面室と位置を入れ替えることで実現しました。

そのほか、自転車も置ける大容量のシューズインクロゼットを新設したり、家事が楽になる動線に間取りを変更するなど、家族4人が快適に暮らせる住まいを実現。多彩なクロスの中から入念にセレクトしてアクセントに取り入れるなど、デザインにもこだわった理想の空間に仕上がりました。

LDKのリノベーション

グレーのアクセントクロスを採用するなど、ブルックリンスタイルのインテリア。上質なクロスを選択することで上質な雰囲気に仕上げられました(写真提供/東京ガスリノベーション)

キッチンのリノベーション

キッチンの奥にパントリーと大容量のシューズインクロゼットを配置。その先が玄関なので、帰宅してすぐパントリーに荷物を置いたり、ゴミ出しもスムーズな動線になっています(写真提供/東京ガスリノベーション)

シューズインクロゼットのリノベーション

以前キッチンがあった場所は、自転車やベビーカーもしまえる広いシューズインクロゼットに、その奥にパントリーがあります。子どもの靴など汚れ物を洗えるシンクも備えられました(写真提供/東京ガスリノベーション)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1100万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、寝室、洋室、浴室・バス、洗面室、トイレ、収納、玄関、その他
リノベーション面積:81.56m2
住宅種別:マンション
築年数:30年
設計・施工:東京ガスリノベーション

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

床が高くなる制約を逆に活かした、キッチンが主役の住まいへリノベーション1190万円

リノベーション前提で築18年のマンションを購入した施主。前のオーナーが退去し、いざリノベーション会社とともに訪れると、キッチンを移動するには配管経路の確保のために床を上げる必要がありました。

この制約を逆手に取って、キッチンを床より1段高いステージとし、住まいの主役とすることに。目の前のリビングダイニングだけでなく、窓越しに外の景色にまで視線が抜けるアイランドキッチンを設置しました。アイランドキッチンのため、施主夫妻が2人でキッチンに立つこともできます。

一方、玄関にはシューズインクロゼットが新設されました。そのほかにも、寝室に配置された大容量のウォークインクロゼットが、洗面室や廊下へ抜けられるようになるなど、生活動線がスムーズな間取りに。こうしてリノベーションで理想の住まいをかなえることができました。

LDKのリノベーション

キッチンの床にはタイルを採用し、上質な空間に仕上げられました。写真左の奥にはパントリーも新設されています(写真提供/アクアラボ)

洗面室のリノベーション

メイクコーナーとして使えるカウンターを備えた、造作の洗面化粧台(写真提供/アクアラボ)

シューズインクロゼットのリノベーション

既存の下駄箱をなくし、シューズインクロゼットが備えられたことで、拡大した玄関スペース(写真提供/アクアラボ)
【リノベーション前】

リノベーション前

【リノベーション後】

リノベーション後

【DATA】
リノベーション費用:1190万円
リノベーション部位:リビング・ダイニング、キッチン、洋室、寝室、浴室・バス、洗面室、トイレ、収納、玄関、その他
リノベーション面積:約77m2
住宅種別:マンション
築年数:18年
設計・施工:アクアラボ

※表示されている価格帯および本体価格は施工当時のもので、現在の価格とは異なる場合があります。

まとめ

中古マンションを購入してフルリノベーションするには、リノベーション費用だけでも最低1300万円はみておきましょう。それでも新築マンションの購入と比べてトータルコストを抑えやすく、それでいて自分たちのライフスタイルにフィットした住まいを手に入れることができます。

そのためには、中古マンションや、リノベーション会社選びを慎重に行うことが不可欠。失敗すると、希望の間取りができなかったり、イメージしていたインテリアをかなえることが難しくなります。

中古マンション購入&リノベーションを検討したら、まずはリノベーション会社を探すことから始めましょう。リノベーション会社によっては、体験者のNさんの場合のように、物件選びでアドバイスしてくれたり、壁が移動できないなど、一見デメリットに思えることを逆手に取るようなアイデアを提供してくれることもあります。

また、リノベーション前提で中古マンションを購入する場合、資金計画や段取りも重要になります。物件を購入してからリノベーション開始、そして完了までスムーズに行うためにも、リノベーション会社は早めに選ぶようにしましょう。

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監修/一級建築士 柏崎文昭(甚五郎設計企画)
構成・取材・文/籠島康弘 イラスト/KAZMOIS