毎日身支度を整える洗面所。機能性はもちろんですが、せっかくリフォームをするのなら、おしゃれな空間にしたいものですよね。今回はシンプル派からこだわり派まで、満足できる洗面所リフォームのポイントをインテリアコーディネーターの古屋茂子さん(生活デザイン設計室 サンク)に教えてもらいました。おしゃれな事例も併せてご紹介します。
記事の目次
失敗しない、おしゃれな洗面所リフォームのポイント
収納力がおしゃれな空間をつくる
洗面所はタオル類、洗剤などのストック、洗面まわりの掃除用具など、収納したいものが多い反面、スペースは限られていることが多く散らかりやすい場所です。リフォームで散らかりづらい洗面所をつくることができれば、掃除もお手入れもラクになり、おしゃれな空間をキープしやすくなります。
「洗面所は毎日使う場所ですが、窓や収納棚の壁を確保すると、どうしても限られたスペースになりがちです。広い場所よりも、狭い場所の方が同じ面積でもスペースの価値は高くなるので、収納もできるだけ効率よく計画しましょう」(古屋さん、以下同)
古屋さんによると、収納計画の基本は『しまいやすく出しやすい』こと。それに加え、何がどこにあるのか、家族の全員が把握しておくことも片付いた空間を保つ秘訣だそうです。
例えば、洗面所の収納は洗面台自体に収納が充実しているタイプのものを選ぶことで、しまいやすく、出しやすく、かつ、何がどこにあるのか把握しやすい収納環境を整えることができます。洗面台だけでは収納が足りない場合は、サイドキャビネットやリネン庫、フリーの棚を設置しておくという方法もあります。
既製品の棚ではなく、収納棚を造作する場合は、扉などをつけるとコストアップするので、カゴやラックなどの小物を活用するのもオススメです。
内装に好みのカラーやテイストを取り入れる
クロスは色や柄、機能など種類が豊富なため、洗面所の雰囲気をつくるのには効果的なアイテムです。
「清潔感のある雰囲気にしたい場合は白を基調としたさわやかな内装がおすすめです。また、近年では、防カビ以外にも、耐水性や防汚性などを備えた、水回り向きのさまざまな高機能クロスがあります。白いクロスであれば、そのような機能性壁紙の選択肢も比較的豊富で、選びやすいでしょう」
また、洗面所はプライベートな場所なので、リビングなどよりも、カラーや柄の壁紙に挑戦しやすい空間でもあります。
「例えば、ホテルライクな雰囲気の洗面所にするのであれば、和モダンの雰囲気のクロスやナチュラルな色味の無地のものなどが取り入れやすいと思います。個性的な空間にしたいのなら、柄のクロスをセレクトするのも良いでしょう」
全面的に色や柄のクロスを取り入れるのは気がひけるという場合は、アクセントクロスとして、壁の1面に色や柄を取り入れるだけでも、自分らしい好みの雰囲気を演出することが可能です。
洗面所の内装のアクセントとして、モザイクタイルを取り入れたデザインも人気です。
「洗面所にタイルを張るのであれば、洗面台の正面の壁などに張り、タイルの存在感を際立たせるために小さめの鏡を採用するのがオススメです。大きな鏡が良いという場合は、タイルを鏡の周囲を囲む額縁のように配置するのも効果的です」
手軽にモザイクタイルの雰囲気を楽しみたいという場合は、タイルを張る以外にも、タイル調のクロスにするという方法もあります。
おしゃれな洗面台の選び方
使いやすく選択肢豊富な一体型の洗面台
洗面台を構成するミラー、照明、洗面ボウル、水栓、収納などが一体になった一体型の洗面台は、多くのメーカーからサイズもデザインも機能性もさまざまな製品が出ていて、選択肢も豊富です。
「大多数の方が必要とするものを兼ね備えているのが一体型の洗面台です。必要なものは備わっている上に、掃除のしやすさや収納の工夫などもされているので、選ぶ際に一定の安心感があります。また、メーカー保証がつくというのもうれしいポイントです」
洗面台の造作でインテリア性アップ
一体型の洗面台に自分好みのものがない場合は、それぞれのパーツを組み合わせて、自分好みの洗面台を造作するという選択肢もあります。
造作洗面台はこだわりを反映させる分、コストアップする可能性もありますが、一体型の洗面台でもグレードによって価格はさまざまなので、一概に造作洗面台の方が費用がかかるということではありません。
造作するのであれば、洗面台をウッド調のものにしたり、水栓や照明にアイアンを用いたり、タイル張りのカウンターにするなど、工夫次第で自分好みのテイストにコーディネートできるのが魅力です。既製の洗面台では満足できないという人は、自分好みの洗面台をオリジナルでつくるのもいいでしょう。
一方で、使いやすくお手入れしやすいものが多い一体型の洗面台に対し、パーツを選んで、自分好みに造作する場合はデザインのほかにも、サイズ感や位置などにも注意しておく必要があるといいます。
「例えば、洗面ボウルは形や深さなどによって水はねが違います。お手入れなどを考えると、ある程度深さのあるものを選ぶのがオススメです。また、身長によって、使いやすいカウンターの高さも異なるので、カウンターの高さを決める際も注意が必要です。
照明についても、洗面所全体の照明のほかに、顔まわりを照らす照明が必要になりますが、顔まわりを照らす照明は頭の陰にならない位置にして、自分を照らすというよりも、鏡を照らすような位置に設置するといいでしょう。さらに、照明の色も青白い色ではなく、温かみのある色を選ぶようにしましょう」
家族人数が多いならダブルボウルやサブの洗面台も
既製の洗面台でも、オリジナルの洗面台でも、洗面台を選ぶ際には、機能やデザインに加え、ライフスタイルに合うサイズ感なども重要です。
例えば、家族人数が多い場合、広いカウンターに洗面ボウルを2つ設置するダブルボウルにすれば、忙しい朝の洗面所の混雑が避けられ、ストレス減にもつながります。
「ダブルボウルの洗面台にしたい場合は、ある程度のスペースが必要です。大人1人が立つのに、約60㎝の幅が必要なので、2人並んで使用できる洗面台となると、ぴったり並んでも120㎝以上必要です。余裕をもって使用したいとなると、2mくらいの幅が必要になります」
ダブルボウルの洗面台にするほど洗面所に広いスペースが取れない場合は、玄関やリビングのそばなどに、サブの洗面台を設けるのも方法の一つです。サブの洗面台を設けておけば、洗面所の混雑防止だけでなく、帰宅後すぐの手洗い場として、また来客用の手洗いスペースとしても便利です。
洗面台リフォームの費用相場
一体型の標準的な洗面台の費用相場は約5万円~30万円
2019年4月時点リフォーム実施者調査(SUUMO)によると、設置費用などは含まない、洗面台のみの費用の目安は、標準的な製品の場合で約5万円~30万円です。
洗面台の価格は間口の広さやグレード、付帯する機能などに左右され、例えば、一体型洗面台の場合は収納量などのほかに、鏡が一面鏡か三面鏡かなどでも価格は数万円単位で変わります。一体型の洗面台については、各メーカーがサイズやデザイン、機能などさまざまな製品を用意しているため、予算に合ったものを選ぶといいでしょう。
洗面所リフォーム、おしゃれな事例6
機能性やデザインなど、洗面室のリフォームでこだわるポイントは人それぞれです。ここからはリフォームで洗面室を使い勝手よく、おしゃれに一新した事例をご紹介します。
ピンクの洗面台と大理石のモザイクタイルでエレガントな印象
リフォームではお気に入りのキッチンを中心に内装や間取り変更を計画。洗面室もキッチンとの調和を考えて、キッチンと同じクチーナ製の洗面台を採用しました。ダブルボウルと大きな鏡で、広々と使える洗面台のカラーは上品なピンク。大理石のモザイクタイルをあしらった壁とも調和して、エレガントな印象です。
存在感のある洗面台を採用した分、リフォームでは洗面室のスペースを広げて圧迫感も解消。洗面室のデッドスペースには収納棚を造作し、すっきりと使いやすく、ゆとりのある空間になりました。
白ワントーンですっきりと清潔感のある内装に
明るい住まいをテーマに、住まい全体の内装は白を基調にコーディネート。洗面室についても、内装、洗面台、収納など、全てを白ワントーンでまとめてコーディネートしたことで、シンプルモダンな清潔感のある洗面室になりました。
洗面台の横には天井までたっぷりと収納できるトールサイズのキャビネットを設置。収納量を確保することで、片づけやすく散らかりにくくなり、すっきりとした空間を保ちやすくなっています。
木製カウンターでナチュラルモダンに
木製の洗面台は洗面室に合わせて造作したもの。カウンターの下には収納スペースを設け、カゴなどを用いて小物などをスッキリ収納しています。スクエア型の洗面ボウルもこだわりの一品。白を基調とした内装に木製カウンターが映え、ナチュラルモダンな印象です。
また、L字型のカウンターには、大きなミラーを2つ設置。化粧のしやすさにも配慮しています。
内装は北欧テイストに、使い勝手にもこだわり
洗面室にはヘリンボーン張りのタイルやヘキサゴンタイル風のフロア材を採用。スモーキーカラーのクロスに木の風合いが調和する北欧テイストでまとめられています。
耐水性に優れたカウンターには深さのある洗面台を設置。ペットのシャンプーがスムーズに行えるよう、病院用の流しをアレンジして造作しました。
モルタル仕上げの壁でクールな空間に
ショールームでセレクトした洗面ボウルに合わせ、使いやすい洗面台を造作。周囲の壁はモルタルで仕上げています。アイアンを用いた照明や、建具の色合いが無機質なモルタルの壁と調和し、インダストリアル風のクールでスタイリッシュな空間になりました。
さらに、モルタル仕上げの壁の厚みを活かしてつくったニッチは、歯ブラシなどの小物の収納スペースとして活用できるデザインになっています。
思い切った配色でパリのアパルトマン風
セカンドハウスとしてパリのアパルトマン風の空間にリフォームした中古マンションの洗面室は、住まい全体との統一感をもたせ、カラフルなクロスをチョイス。
生活感がでないよう、オリジナルのデザインで洗面台を造作し、ポップで遊び心のある空間に仕立てました。
洗面所は毎日使う空間だからこそ、自分の好みのデザインや機能を取り入れて、気分よく過ごせる空間づくりをしたいものですよね。今回紹介した洗面所リフォームのポイントや施工事例も参考に、おしゃれな洗面所リフォームをプランニングしてみてはいかがでしょうか。
洗面所リフォームでは好みのテイストやデザインを自由に取り入れよう
洗面所リフォームでまずポイントとなるのは収納。限られたスペースながら、収納するものも多いので、リフォームの際に散らかりづらいような収納計画を立てることが、おしゃれな洗面所をキープすることにつながります。内装については、白をベースに清潔感のある空間にするのもよいですが、好きな色や柄をクロスなどで取り入れて、自分好みの空間にするのもオススメです。洗面所の主役でもある洗面台については、選択肢が豊富で、機能が充実している一体型洗面台を選ぶ以外にも、全てのパーツを自分で選んでオリジナルの洗面台を造作するという方法もあります。
●取材協力
生活デザイン設計室 サンク 古屋茂子さん
●画像協力
アクアラボ
サンゲツ
サンリフォーム
LIXIL
構成・取材・文/島田美那子