床暖房を設置するリフォームをしたいと思った時、やはり気になるのは設置費用と、どの商品にするか、ではないでしょうか。しかし床暖房を設置する方法は主に2つあり、また床暖房の機器も大きく2種類に分けられます。それぞれで費用やメリット・デメリットも異なります。そこで、まずはリフォームの設置方法とどの床暖房商品を選べばよいか理解しやすいよう、「床暖房とはどんな仕組みなのか?」といった基本的な知識を解説します。その上でリフォームの費用相場と注意点、主な床暖房メーカーの商品を紹介していきます。

記事の目次
- 1. 床暖房設置リフォームは、一戸建てでもマンションでも可能
- 2. 床暖房は電気ヒーター式と温水式の2種類
- 3. 温水式(電気)床暖房ならエコキュートとセットがオトク
- 4. 温水式(ガス)床暖房ならエコジョーズやエネファームとのセットがオトク
- 5. 床暖房を後付けするリフォーム工事費用
- 6. 床暖房を後付けするリフォーム工事期間
- 7. 温水式(電気)の床暖房のメーカーと商品
- 8. 温水式(ガス)の床暖房のメーカーと商品
- 9. 電気ヒーター式の床暖房のメーカーと商品
- 10. 床暖房リフォームの施工実例
- 11. 床暖房リフォームで費用を抑えるコツ
- 12. 床暖房リフォームの注意点
- 13 床暖房リフォームでもらえる補助金
- 14. まとめ
床暖房設置リフォームは、一戸建てでもマンションでも可能
知人の家を訪れた際に「床暖房って温かいな、ウチにも入れたいな」と思った人もいるのではなでしょうか。それと同時に「ウチに後付けできるのかな?」とも思ったかも知れません。床暖房はマンションや、一戸建てでも2階に入れられるのでしょうか?
結論からいえば、床暖房は基本的に一戸建てでもマンションでも後から設置できます。木造でも、マンションのような鉄筋コンクリートでも、設置する階数を問わず後付けできます。
床暖房は電気ヒーター式と温水式の2種類
床暖房とは床を温めることで、床から直接体に伝わる熱(伝導熱)と、床から部屋全体に広がる熱(輻射熱)の両方で温める暖房です。冬に冷えやすい足元から温めることができ、エアコンやストーブと比べて室内が乾燥しにくく、埃も舞わないことがメリットです。
一方デメリットとしては、エアコンやストーブと比べて設置費用が高いこと、種類によっては電気代を含めランニングコストがかかることなどがあります。
床を温める方法には「電気ヒーター式」と「温水式」の2種類があります。それぞれの詳細な説明については後述しますが、まずは簡単にそれぞれの特徴を比較してみましょう。
| 電気ヒーター式 | 温水式 |
|---|---|
| 使用するのは電気 | 使用するのはガス、電気、灯油などがある |
| 設置費用が比較的安い | 設置費用が比較的高い |
| 部屋が暖まるまで時間がかかる | 速やかに部屋が暖まりやすい |
| メンテナンスが楽 | 熱源などのメンテナンスが必要 |
| 長時間使う場合は低温やけどに注意 | 低温やけどなどの不安が少ない |
もちろん商品によって違いがあるため一概に上記の通りではありませんが、基本的に「電気ヒーター式」と「温水式」にはこのような違いがあります。またそれぞれの特徴を活かして家の中で併用する方法もあります。
それをおさえた上で、下記でさらに詳しく見ていきましょう。
電気ヒーター式と温水式、費用やランニングコストの違いは?
電気ヒーター式は、床に電熱線ヒーターを内蔵したパネルを設置し、電気をエネルギーとして床を温めます。温水式と比べて設置する機器が少なく、初期費用を抑えやすくなります。
一方の温水式は、床下に配管を設置し、熱源機で作った温水を循環させて温めます。温水を循環させる配管や温水を作る熱源機が必要なため、電気ヒーター式よりも設置費用がかかります。一方でランニングコストは、熱源の種類にもよりますが、電気ヒーター式より安く抑えやすくなります。
| 電気ヒーター式 | 温水式 | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 設置する機器が少ない分、初期費用を抑えやすい | 熱源機が必要なため、初期費用がかかりがち |
| ランニングコスト | 機種や使い方によっては温水式より高くなりやすい | 電気ヒーター式より安く抑えやすい |
【電気ヒーター式の床暖房】特徴と種類を解説
電気ヒーター式は設置工事が簡単で、リフォームで設置しやすいという魅力があります。ただし電気を使うため、場合によっては電力会社との契約アンペア数を増やさなければならず、それに伴い契約内容を見直す必要になることがあります。
また電気ヒーター式は、使用する機種や使い方によっては温水式と比べてランニングコストが高くなるので、日中の外出が多いから朝晩のみ床暖房を使いたいとか、キッチンのシンクの前だけといった、一部分だけ温めたいという場合に向いています。
ただし電気ヒーター式の床暖房は、床面の温度が高くなることがあり、長時間触れていると低温やけどになる可能性があります。そのため小さなお子さんがいる場合は、電気ヒーター式ほど温度が上がらない温水式の床暖房のほうが安心出来るでしょう。
また、ひと言で電気ヒーター式の床暖房といっても、大きく「PTC床暖房」「電熱線ヒーター式」「蓄熱式」の3タイプがあり、それぞれ仕組みや特徴が違います。それぞれについて下記でさらに詳しくみていきましょう。
■「PTC床暖房」
PTCとはPositive Temperature Coefficient(正温度係数)のことです。要は一定の温度より高くなると電気抵抗が上がる(電気が流れにくくなる)ため、発熱を抑えるので、無駄な電気を使わなくてすみます。現在の電気ヒーター式はこのPTC床暖房が主流です。
温度センサーがいくつも配置されているので、例えば窓の日差しで温められた場所だけ発熱しなくなりますが、それ以外の場所はそのまま発熱する、というように作動します。いわば自動温度調整機能がついた電気ヒーター式の床暖房、といったところです。
またPTC床暖房はヒーター部分が薄いので、床高を上げずに施工できます。そのためリフォームで採り入れやすい床暖房です。
■「電熱線ヒーター式」
床下に電熱線ヒーターが組み込まれたパネルを敷いて、床を温めます。従来から使われていることもあり、信頼性の高い方法です。
リフォームする場合、床下に電熱線パネルを敷くだけでいいので、初期費用が安いのが特徴の一つです。また設定によって、温めたい箇所だけを加温できるのも魅力です。
ただし長時間使う場合は、やはり上記のPTC床暖房より電気代がかかり、ランニングコストが高くなりがちです。
■「蓄熱式」
料金が割安な深夜電力で蓄熱材を温め、日中に蓄熱材からの放熱によって床を温める方法です。深夜電力を利用するため、電気代を抑えることができます。秋口にスイッチを入れて冬の終わりにスイッチを切るといった、長期的な使い方が基本です。
ただし、床下に蓄熱スペースを設けなければならないため、基本は新築向きです。リフォームで後付けする場合は初期費用がかかってしまいます。
【温水式の床暖房】特徴と種類を解説
温水式の床暖房は、電気やガス、灯油などを使って温水を作り、床を温めます。光熱費を比較的安く抑えることができるので、家にいる時間が長いなど長時間使いたい人や、リビングやダイニングなど広い部屋を温めたいという人に向いています。
ただし、温水パネルの敷設だけでなく、温水の配管や温水を作る熱源機の設置も必要となるため、電気ヒーター式と比べてリフォーム費用が高くなりがちです。
また熱源機を屋外に設置しなければならないため、設置場所を確保する必要もあります。
さらに熱源機は10年に1回程度のサイクルでメンテナンスや交換が必要になります。こうした設備の更新費用も見ておかなければなりません。
そんな温水式床暖房は、温水を作るために電気やガス、灯油などを使いますが、その中でも電気を使う「温水式(電気)」と、ガスを使う「温水式(ガス)」の2つについて、ここでは解説します。
【温水式(電気)の床暖房】特徴と種類を解説
床を温める温水を電気によって作り出すのが「温水式(電気)の床暖房」です。この方法では、電気ヒーターのように電気で発熱させて温水を作るのではなく、主にヒートポンプ技術を使って温水を作ります

ヒートポンプとは、空気の熱を冷房や暖房などに活用するシステムで、エアコンに用いられている技術です。効率良くエネルギーを生み出せるという特徴があります。
熱源機は主に「ヒートポンプ式温水暖房機」と「エコキュート」があります。どちらもヒートポンプ機能を使って温水を作ります。
「ヒートポンプ式温水暖房機」とはヒートポンプの技術を使った暖房機のことで、床暖房専用のほかにも、室内に設置する温風パネルやエアコンも稼働させることができるタイプがあります。
もう一つの「エコキュート」は、ヒートポンプ技術によって効率良く温水を作る高効率給湯器です。給湯機能だけを持つ単機能エコキュートと、床暖房や浴室乾燥機がセットになった多機能型エコキュートに分けることができます。すでに多機能型エコキュートを利用しているのであれば、そのまま床暖房のパネルを設置するだけです。
一方、現在給湯機能だけの単機能エコキュートの場合、床暖房を利用するには新たに多機能型エコキュートに買い替えるか、ヒートポンプ式温水暖房機を選ぶ必要があります。
【温水式(ガス)の床暖房】特徴と種類を解説
床を温める温水をガスによって作り出すのが「温水式(ガス)の床暖房」です。電気を使う「温水式(電気)」より、立ち上がりが早いのが特徴です。
温水を作る熱源機には、主に「エコジョーズ」や「エネファーム」、「ガス給湯暖房熱源機」があります。
「エコジョーズ」は高効率ガス給湯器と呼ばれるもので、効率良く温水を作り、キッチンや浴室などに給湯します。
「エネファーム」とはガスから水素を取り出して、空気中の酸素を化学反応させることで電気を作る機器です。発電時の熱によって温水を作り、浴室やキッチンに給湯するほか、室内の家電品を動かす電気も供給してくれます。
「ガス給湯暖房熱源機」は給湯器の中でも、床暖房機能も備えた給湯器を指します。
温水式(電気)床暖房ならエコキュートとセットがオトク
「エコキュート」はヒートポンプによって温水を作る家庭用給湯システムです。料金の安い夜間電力を使って温水を作っておき、必要に応じてキッチンや浴室、床暖房に給湯するという使い方ができます。
エコキュートとは? 床暖房とのセットのメリットは?
従来の電気温水器は、電気ポットのように電気ヒーターで直接水を温めていましたが、「エコキュート」はヒートポンプ技術を使い温水を作ります。料金プランにもよりますが、電気代を従来の電気温水器の約1/4に抑えることができます。


料金の安い夜間電力を使って光熱費を節約できるほか、電力会社によってはおトクなオール電化プラン等があります。
一方でヒートポンプユニットだけでなく、作った温水を貯めておく貯湯タンクを設置するための場所が屋外に必要になりますから、マンションには向いていません。
温水式(ガス)床暖房ならエコジョーズやエネファームとのセットがオトク
「エコジョーズ」とは、従来の給湯器より効率よく温水を作る高効率給湯器です。また「エネファーム」はガスから電気を作り、その発電時の熱で温水を作り、給湯の他に家電等の電力源としても使えます。
エコジョーズ、エネファームとは? 床暖房とのセットのメリットは?
「エコジョーズ」は、従来の給湯器が捨てていた排熱を利用することで、効率良く温水を作る給湯器です。


もともと床暖房に対応しているエコジョーズを使っている住宅なら、床暖房のために新たに熱源機を購入する費用を省けます。またガス会社によっては床暖房を含めたガス料金がおトクになるプランも用意されています。
対応していないエコジョーズを使用している場合、新たに対応するエコジョーズ等熱源機を購入する必要があります。
一方「エネファーム」は、都市ガスやLPガスの中から水素を取り出して、空気中の酸素を化学反応させることで電気を作る機器です。温水は発電時の熱によって作られ、床暖房のほか、キッチンや浴室等に給湯できます。もちろんエネファームで作られた電気は住宅内の家電等に使うことができます。こちらもガス会社によっては床暖房を含めたガス料金がおトクになるプランも用意されています。

床暖房を後付けするリフォーム工事費用
リフォームで床暖房を後付けする方法は大きく2つあり、その方法によってリフォーム費用は異なります。
まず既存の床の上に床暖房の設備を「直貼り(重ね貼り)」する方法があります。メリットとしては、既存の床を撤去しなくて済むため、比較的設置費用を安く抑えやすくなります。
一方デメリットとしては、例えば10畳の部屋に6畳分の床暖房を設置した場合、段差が出来てしまいます。段差があるとつまずきやすいので、高齢者や小さな子どもがいる場合は避けた方がよいでしょう。
もう一つの方法は、既存の床を剥がして床暖房を設置し、そこに新しい床を被せる(「張り替え」する)方法です。メリットとしては床全体を張り替えるため室内に段差のないフラットな状態にすることができます。
なお、従来は床暖房を使っていなかったなどで温水式床暖房を新設する場合、温水を作るための熱源機が必要になります。
| 直張り | 張り替え | |
|---|---|---|
| メリット | 既存の床の上に張るので、設置費用を抑えやすい | 床全体を張り替えるため、室内に段差ができない |
| デメリット | 既存の床との段差が生まれやすいので、つまずく危険がある | 既存の床の撤去費用がかかるので、初期費用がかかる |
床暖房を後付けするリフォーム工事の費用相場
床暖房を後付け・設置するリフォームを行う場合、どれくらいかかるのか。リフォームの費用相場や総額費用の目安についてまず確認しておきましょう。
既存の床に直張りする場合の費用と、床も張り替える場合の費用
既存の床にそのまま張る「直張り」の場合、床を撤去する費用がかからないため、「張り替え」より費用を抑えられます。
一方、既存の床を全面撤去して新たに床を張る「張り替え」の場合、新しい床材のほかに既存の床の撤去費用もかかるため「直張り」より費用がかかります。
部屋の広さ別:床暖房リフォーム工事の費用の目安
床暖房を設置する部屋の広さに対し、材料費・施工費込みでリフォーム費用が総額いくらになる場合が多いのか、下記に目安をまとめたので参考にしてください。
下記の試算では、電気ヒーター式はPTCというシートを用いる電気ヒーター式(PTC床暖房)で、温水式はエコジョーズを用いる温水式(ガス)式で比較しています。
また床材は床暖房用フローリング(無垢材)を使用し、人件費等施工会社の経費なども含みます。なお床暖房用の合板フローリングもありますが、熱で接着力が弱まる可能性もあるので、施工会社に確認しましょう。なお価格は、一般的に無垢材のほうが高くなります。
その他、温水式(ガス)の費用には、熱源機の購入費用も含んでいます。
なおメーカーや施工会社等によって、また設置する部屋の床面積に対して床暖房を敷設する面積の割合(敷設率)などによっても費用は異なりますから、実際に工事を行う場合は必ず見積もりで金額を確認してください。
| 部屋の面積 | 電気ヒーター式の費用相場 | 温水式(ガス)の費用相場 | ||
|---|---|---|---|---|
| 直張り | 張り替え | 直張り | 張り替え | |
| 6畳 | 約100万円 | 約109万円 | 約103万円 | 約112万円 |
| 8畳 | 約115万円 | 約124万円 | 約124万円 | 約133万円 |
| 10畳 | 約142万円 | 約153万円 | 約154万円 | 約165万円 |
| 12畳 | 約172万円 | 約183万円 | 約177万円 | 約188万円 |
| 20畳 | 約252万円 | 約267万円 | 約271万円 | 約286万円 |
上記の通り、一般的に温水式(ガス)が若干電気ヒーター式より費用がかかります。また張り替えのほうが費用はかかります。
床暖房を後付けするリフォーム工事期間
床暖房を設置する工事の期間もまた「直張り/張り替え」によって変わります。また温水式を新設するため熱源機を設置する場合、その設置時間も必要になります。
直張りの場合、工事期間は1〜2日程度で終了しますが、熱源機を新設する場合2〜3日かかる場合もあります。
張り替えの場合、施工範囲や規模によって異なりますが、電気ヒーター式の場合1日で終わることもあります。また温水式の場合は3〜4日見ておくとよいでしょう。
温水式(電気)の床暖房のメーカーと商品
温水式で電気を使う床暖房は、コロナやダイキン、パナソニックなどの商品があります。
コロナ「コロナエコ暖フロア3.9」
コロナの「コロナエコ暖シリーズ」はヒートポンプ式温水床暖房システムです。その中で「コロナエコ暖フロア3.9」は、初期費用とランニングコストが抑えられる、床暖房のエントリーモデルです。
LDK用の床暖房に特化することで上位機種より価格が安いなど、初期費用を抑えられるのが魅力のひとつ。また高効率なヒートポンプを熱源として採用しているので、使用する電力量、つまりランニングコストも抑えられます。

さらに、一般的にヒートポンプ式の床暖房は定期的に除霜を行いますが、「コロナエコ暖フロア3.9」は除霜時でも暖房を継続するシステムが採用されているので、除霜時の暖房感の低下を防いでくれます。運転音も静かな事務所の中よりも低い44dbと静かなのも特徴です。
ダイキン「ホッとエコフロア」
ダイキンの電気を効率的に使うヒートポンプ式温水床暖房にはエアコンなどとも組み合わせられる「ホッとく〜る」シリーズがありますが、「ホッとエコフロア」は床暖房専用の商品です。適用エリアは最大33畳(※1)で、4ゾーン(※2)まで対応しています。

温めるエリアは、例えばLDKで3ゾーンに分けたり、それに子ども部屋を加えて4ゾーンにしたり、といった組み合わせが可能です。
屋外・室内温度が高いときは自動的に温水温度を低くしてエネルギー消費を抑えたり、逆に屋外・室外温度が低いときは温水温度を高めて床温度を快適にしてくれます。
※1/東京地域の次世代省エネ住宅で連続運転の場合。※2/1MU56RFVの場合
パナソニック「YOU温すい」

パナソニックの「YOU温すい」は、床材内に温水パイプを内蔵した、仕上げ材一体型の床暖房システムです。床材の張り替えリフォームと同時に床暖房も入れたいという人に向いている商品です。
仕上げ材のフローリングは2種類から選ぶことができます。同社の技術(熱着色技術)で天然木の豊かな表情を引きだした、天然木突き板タイプ(6色)と、美しい木目や色味が追求されたシートタイプ(12柄)から選ぶことが出来ます。
どちらのタイプも表面コーティングにより傷や汚れがつきにくく、抗菌・抗ウイルス性能もありますから、「キレイで長持ち」します。

温水式(ガス)の床暖房のメーカーと商品
温水式でガスを使う床暖房は、リンナイや東京ガスなどの商品があります。
リンナイ「床ほっとE」
リンナイの「床ほっとE」は、配管や温水マットに独自の省エネ技術が用いられた床暖房システムです。省エネリフォームをしたいという人に向いています。

40度の低温水でも素早く温まる「REM温水マット」や断熱配管などで消費エネルギーを抑えます。一方で室内温度を20度にするのに、従来の温水式(ガス)床暖房が約1時間のところ、「床ほっとE」は約45分。暖房の立ち上がりが早いのも特徴です。

合わせて熱源機に、同社のハイブリッド給湯・暖房システムの「エコワン」を組みあわせると、省エネ効率がさらに高めることができます。
リンナイ「畳用ITMシリーズ」
リンナイの「畳用ITMシリーズ」は、和室に床暖房を取り入れたいという人に向いている床暖房です。

その名の通り、既存の畳を温水マット一体型の畳に入れ替える床暖房で、畳替えの感覚で手軽に床暖房を始められるのが特徴です。
従来の畳の厚み(55mm)はそのままですから違和感なく使えます。畳の仕上げ材は湿気に強く、防カビ・防ダニ性能にも優れています。また耐水性も高く、変色や日焼けに強い素材が用いられています。
ノーリツ「高効率温水暖房マット MD-XE/MD-XDシリーズ」
厚さ12mmと9mmという2種類の温水マットが用意されていて、用途に応じて選べる「高効率温水暖房マット MD-XE/MD-XDシリーズ」。
12mmのタイプ(MD-XE)は新設時や、床をはがす大規模なリフォームに向いています。温水マットの上に敷く仕上げ材はメーカー推奨の仕上げ材だけでもフローリング材や畳、コルク、クッションフロア、カーペット、タイルなどがあり、ライフスタイルや好みに合わせて選ぶことができます。
一方の9mmのタイプ(MD-XD)は、既存のフローリングの上に重ね張りするリフォームに向いています。仕上げ材のフローリング材と合わせて、既存の床からの厚みはプラス15mmです。メーカー推奨の6種類のフローリング材から仕上げ材を選べます。

電気ヒーター式の床暖房のメーカーと商品
電気ヒーター式は、家電メーカーのパナソニックや、建材メーカーのダイケン、リクシルなどに商品があります。
DAIKEN(ダイケン)「あたたか12-HM」
DAIKEN(ダイケン)の「あたたか12-HM」は電熱線シートを用いる電気ヒーター式の床暖房です。

仕上げ材一体型で、床材内に電熱線や、過度に温度が上がらないようにするサーモスタット等が内蔵されています。床材は美しい木目が再現された化粧シートが表面に貼られているので、無垢材と違いキズが付きにくく、ワックス掛けも不要。手軽に床暖房が使えます。

色柄のバリエーションはウォールナット柄やチェリー柄など銘木柄が計8色柄から選べます。
パナソニック「YOUほっと」
パナソニックの「YOUほっと」は、自動温度調整機能がある電気ヒーター式の床暖房(PTC床暖房)です。

仕上げ材一体型で、床材内にPTCヒーター等が内蔵されているので、床材の張り替えリフォームと同時に床暖房も入れたいという人に向いています。また100V用と200V用から選べるのも特徴の1つです。

仕上げ材のフローリングは、上記で取り上げた電気温水式の「YOU温すい」と同じく、同社の技術(熱着色技術)で天然木の豊かな表情を引きだした、天然木突き板タイプと、美しい木目や色味が追求されたシートタイプの2種類から選ぶことができます。
どちらのタイプも表面コーティングにより傷や汚れがつきにくく、抗菌・抗ウイルス性能もありますから、「キレイで長持ち」します。
LIXIL(リクシル)「HOTひといき」
LIXIL(リクシル)の「HOTひといき」は、自動温度調整機能がある電気ヒーター式の床暖房(PTC床暖房)です。

床暖房パネルが分離型なので、仕上げ材を同社指定の床暖房対応材から選べます。床材には天然木のような質感をリアルに表現したものから、耐水性・抗菌性が高く、ペットの足すべりにも対応したものまでバリエーションが幅広く、使用する部屋の用途に応じて選びやすくなっています。

床暖房リフォームの施工実例
リビングダイニングと和室を一体化し、床暖房を設置
ハワイが好きな施主が目指したのは、ハワイのコンドミニアムのような空間。購入した中古マンションのリビングダイニングと和室を一体化し、広いリビングダイニングキッチンを作りました。
印象的なブルーの壁は、施主自ら施工会社とともに塗料メーカーのショールームへ行き、千種類以上ものカラーの中から選んだもの。そんなこだわりの施主も納得のメープルの挽き板は、床暖房にも対応した床材が採用されました。

【DATA】
リフォーム費用:総額1100万円
リフォーム面積:約63m2
住宅種別:マンション
築年数:17年
設計・施工:アクアラボ
間取り変更に合わせてリビングダイニングに床暖房を設置
都心に中古マンションをリフォーム前提で購入した施主。リフォームの最大の目的は心おきなくピアノを演奏できる防音室をつくることでした。それに伴い、防音室に隣接するリビングダイニングは、キッチンを取り込んでリビングダイニングキッチンに間取りを変更することに。
もちろん傷んでいた床材やクロスは新たな素材に張り替えられ、同時に床には冬も快適に過ごせるよう電気ヒーター式の床暖房が採用されました。

【DATA】
リフォーム費用:112万円(概算)
リフォーム部位:リビングダイニング
住宅種別:マンション
築年数:30年
設計・施工:山商リフォームサービス
「旅館」がイメージの、掘りごたつ+床暖房の和室へ
3階建て鉄骨造の中古住宅を購入し、リフォームによってアトリエのある理想の住まいを目指した施主。和室は好きなので残したいと考えたのですが、実は正座が苦手でした。
そこで「旅館」をイメージして、掘りごたつと床の間のある和室にすることに。床柱や天井材など施主が選んだ素材が生かされた、落ち着いた雰囲気に仕上がりました。合わせて畳用の床暖房を備えたので、寒い日も心地よくくつろげます。

【DATA】
リフォーム費用:280万円(概算)
リフォーム部位:和室
住宅種別:一戸建て
築年数:15年
設計・施工:東京ガスリノベーション
床暖房リフォームで費用を抑えるコツ
床暖房のリフォームを検討する際に、下記の点も留意すると費用を抑えられたり、設置後に快適に過ごすことができます。
設置する面積の工夫で費用・ランニングコストを削減
設置する床暖房の商品の価格や施工費用を抑えるのではなく、設置する面積を減らせばリフォーム費用や光熱費を抑えやすくなります。
例えばソファーやベッド、タンスといった大きな家具の下まで床暖房を設置しなくても良いという人も多いのではないでしょうか。もちろん温かさを重視するなら設置面積が広いほうが効果的です。施工会社に相談しながら無理のない範囲で、設置する広さを検討するようにしましょう。
床暖房リフォームの注意点
床暖房のフローリング材・床材の選び方
床暖房の床材といえばまず思い浮かぶのが木質のフローリング材です。木質のフローリング材には主に無垢(単板)フローリング材と複合(合板)フローリング材があります。一般的に、無垢材のほうが価格は高くなります。
どちらも木材のため、温度変化や湿気、乾燥によって反りやヒビ割れを起こしやすいため、本来は床暖房にあまり向いていません。しかし最近はそうした欠点を克服した、床暖房に対応するフローリング材が増えています。
複合(合板)フローリング材には、無垢(単板)フローリング材では表面に化粧シートを張るなどして、キズや水にも強いタイプもあります。
一方、無垢(単板)フローリング材は木材の持つ温かみや柔らかさが、床暖房にピッタリです。
そのほか床暖房に対応したタイルもあります。好みに応じて、施工会社に相談しながら決めると良いでしょう。
フローリングの張り替え費用相場は? 張り替えのタイミングや床材・工法による費用の違いを解説
床リフォームの工法と費用相場。無垢材・複合フローリング・カーペット・タイル・畳を張り替え
建物全体の断熱リフォームも検討を
今の家が寒いから床暖房を入れたいと考えるのであれば、建物全体の断熱リフォームも合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
床暖房はエアコンと違い空気を暖めるわけではないので、断熱性の低い家では寒さを感じやすくなります。特に窓の性能が低いと、窓の近くでは床暖房のありがたみを感じにくくなります。
天井や壁、床も含めて断熱リフォームする際に同時に床暖房も入れることを検討するか、窓に内窓を備えて室内の熱が窓から逃げにくくするようにするのがオススメです。
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床暖房リフォームでもらえる補助金
温水式(ガス)床暖房の熱源機となるエコキュートやエコジョーズ、エネファームを購入する場合は、自治体によって補助金を受けられるケースがあります。
補助金を用意している自治体があるので確認を
温水式(ガス)で熱源機として使用する給湯器として、エコキュートやエコジョーズ、エネファームといった「高効率給湯器」は、自治体によっては補助金を受けられる場合があります。
例えば東京都の「東京ゼロエミポイント(家庭のゼロエミッション行動推進事業)」では、一定条件以上の省エネ性能を備えた高効率給湯器に買い替えた場合、ポイント数に応じた商品券とLED割引券がもらえます。
また神奈川県横浜市の「こどもみらい住宅支援事業」では、一定条件以上の省エネ性能を備えた高効率給湯器に買い替えた場合、上限30万円まで補助金が受け取れます。
このように高効率給湯器の導入に対して補助金を用意している自治体があるので、事前に確認しておくといいでしょう。
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まとめ
床暖房のメリット・デメリットは下記の通りです。
| メリット | ・足元から温まりやすい ・室内が乾燥しない ・埃が舞わない |
|---|---|
| デメリット | ・エアコンやストーブに比べて設置費用がかかる ・温水式はメンテナンスが必要 |
また床暖房には「電気ヒーター式」と「温水式」があり、それぞれ特徴が異なります。それらを踏まえると、それぞれ設置に向いている場所や使い方は下記のようになります。
| 電気ヒーター式 | 温水式 |
|---|---|
| キッチンや脱衣場など一時的に使う場所 | リビングやダイニングなど、広範囲に温めて過ごしたい場所 |
| 短い時間だけ使いたい人 初期費用を抑えたい人 |
長時間くつろいでいたい人 光熱費を抑えたい人 |
床暖房にリフォームする方法も、「直張り」と「張り替え」の2種類があり、それによって費用が異なります。6畳の部屋に床暖房を設置する場合の目安は下記の通りです。
| 部屋の面積 | 電気ヒーター式の費用相場 | 温水式(ガス)の費用相場 | ||
|---|---|---|---|---|
| 直張り | 張り替え | 直張り | 張り替え | |
| 6畳 | 約100万円 | 約109万円 | 約103万円 | 約112万円 |
上記はあくまで目安です。メーカーや施工会社等によって、また設置する部屋の床面積に対して床暖房を敷設する面積の割合(敷設率)などによっても費用は異なりますから、実際に工事を行う場合は必ず見積もりで金額を確認してください。
エアコンやストーブよりも確かに設置費用がかかる床暖房ですが、特に冷え性の方には足元からじわっと温まるのは大きな魅力でしょう。電気ヒーター式・温水式や、直張り・張り替えの違いと注意すべき点をきちんと理解した上で、自分に合った床暖房を選ぶようにしましょう。
断熱材10種類を比較。素材別に特徴も解説。リフォーム、リノベーションの際の注意点も知っておこう
構成・取材・文/籠島康弘 費用相場監修/柏崎文昭(甚五郎設計企画)
雑誌「カーセンサー」編集部を経てフリーライターに。中古車からカーシェアリング、電気自動車までクルマにまつわる諸々の記事執筆を手がける。最近は住宅雑誌の記事も執筆していて、自分が何屋なのかますます分からなくなってきた。