住まいの印象を決めるのが外観デザインとともに門扉や塀、アプローチなどの外構・エクステリアです。
外構は必ずしも多くの費用を使って豪華にしつらえなくてもシンプルにおしゃれな演出でかっこよく見せることができます。
そんな外構・エクステリアについて、費用を抑えておしゃれに見せる方法や、費用別の実例を見ながらアイデアを探っていきましょう。
記事の目次
- 1. 外構・エクステリアリフォームの中心費用は30万円~60万円
- 2. 外構工事・エクステリアリフォームの費用を抑える方法
- 3. おしゃれな外構・エクステリアリフォームのポイント
- 4. 60万円以下でできる外構工事・エクステリアリフォームの種類
- 5. 60万円未満の外構工事・エクステリアリフォーム実例
- 6. 60万円超120万円未満でできる外構工事・エクステリアリフォームの種類
- 7. 60万円超120万円未満の外構工事・エクステリアリフォーム実例
- 8. 120万円以上でできる外構工事・エクステリアリフォームとは
- 9. 120万円以上の外構工事・エクステリアリフォーム実例
- 10. リフォームを依頼する外構・エクステリアの業者を選ぶポイント
外構・エクステリアリフォームの中心費用は30万円~60万円
リクルートの「リフォーム実施者調査」(2019年)によると、外構・エクステリアリフォームを実施した人が要した費用で最も多かったのが30万円~60万円です。多額の費用をかけなくても自分なりの外構・エクステリアを実現していることがわかります。
外構工事・エクステリアリフォームの費用を抑える方法
外構工事・エクステリアリフォームの費用はどこで増減するのでしょうか?
賢く住まいの外まわりを演出するために、まずコストを抑えるポイントを知っておきましょう。
エクステリアの素材選びでコストを抑制
例えば門扉やフェンスの既製品はアルミ製が一般に多く使われています。同じアルミ製でもアルミを型に入れて押し出し成形したのがアルミ形材、アルミを溶かして鋳型に流してつくるのがアルミ鋳物です。
安いのはアルミ形材で、デザインも豊富なことからよく用いられています。アルミ鋳物は、レトロ風など凝ったデザインにできるのが特徴です。デザインにもよりますが、アルミ形材のほうが安い製品からあります。アルミ鋳物は装飾が増えるほど高くなります。
アルミ形材もアルミ鋳物もデザインに凝ったものほど高くなるので、シンプルなデザインの製品を選ぶのがコストダウンの秘訣(ひけつ)です。
アルミ製のフェンスにも同じことがいえます。
※価格はカタログ記載価格(2022年9月時点)
オープンなシンプル外構でコストを抑制
外構はデザイン性などに凝ればキリがありませんが、それだけ費用もかさみます。逆にやりたいことを絞ってデザインもシンプルにするほど費用は安くなります。
例えば玄関ドアや窓に十分な防犯機能を持たせれば、門扉は必ずしも設置する必要はありません。フェンスも同様です。むしろ門扉やフェンスを省くことで周囲には開放的な印象を与え、ご近所づきあいにプラスになる効果も期待できます。
郵便ポストなどがワンポイントでおしゃれな印象を与えてくれるので、ちょっとしたモノ選びに工夫を凝らせば、安くても遊び心のある外構ができそうです。
外構は一度にまとめてやると割安に
せっかく屋内のリフォームが終わってきれいになったのに、外構が元のままでは気分的にも盛り上がりません。
外構は住みながらでもできるので、門扉だけ取り付けてフェンスは後回しにするなど、ついつい後回しになりがちです。ところがこのように工事をバラバラにやるとそれだけ割高になってしまいます。工事は一度にやるほうが割安になるのです。
外構・エクステリアもできるところはDIYで
外構・エクステリアは比較的DIYがしやすい分野です。ホームセンターに行けば人工芝もウッドデッキの材料も枕木や飛び石も売られています。フェンスなども売られています。
DIYをすればある程度の道具と材料費だけで済みますから、それだけ費用は安く上がります。どんな道具が必要なのかお店に人にも相談してみましょう。
休日に楽しみながら庭づくりをするのもいいものではないでしょうか。
ただ照明の取り付けなど電気工事は専門家にまかせなければいけません。またカーポートなど大きなものの工事は危険を伴うのでプロに任せましょう。
おしゃれな外構・エクステリアリフォームのポイント
外構・エクステリアは住まいの印象を大きく左右します。
絶対おしゃれに見てもらいたい!という場合にどうすればいいのでしょうか?そのポイントを紹介します。
見せることを意識する外構デザイン
住まいもファッションと同じです。見てほしいという気持ちがなければ魅力あるものになりません。その上で大事なことは、これもファッションと同じで、外観も含めて全体のコーディネートです。
とくに外観との調和が大切で、そこがアンラバンスだとしっくりきません。
ガーデニングの緑で家のまわりを演出する
ガーデニングの趣味を兼ねて外構を自分でするのもいいでしょう。好きなことならふだんからきちんと手入れが行き届いた庭になりますし、造園業者に頼むようなお金もかかりません。しかも緑は家の印象に温かみを添えてくれます。
60万円以下でできる外構工事・エクステリアリフォームの種類
外構・エクステリアは多額の費用をかけなくても満足のいくリフォームができます。60万円以下でも以下のような工事が可能です。
●門扉の交換
アルミ製門扉の普及品なら15万円~20万円程度で可能です。
●デッキ
最近はメンテンナスの手間がかからない樹脂製のデッキがよく用いられていますが、間口1間(約1.82m)、奥行き1.5m程度なら約20万円~30万円で可能です。
●砂利の敷き詰め
土のままでは雑草が生えるので手入れが大変ですが、砂利を敷き詰めれば安価で問題を解消できます。砂利を敷くだけなら1m2あたり約3000円~4000円でできます。
既存の整地や防草シートの敷き込みなど別途費用がかかる場合があります。
コンクリートのテラスにする場合は1m2当たり約4万円~8万円かかります。
●玄関アプローチ
玄関アプローチをタイルや天然石張りにする場合、施工面積によりますが、60万円以内でできる場合もあります。
●カーポート
ポリカーボネートの屋根がついたカーポートも1台用なら30万円くらいから設置できます。
門扉の素材はアルミ形材?鋳物?樹脂? リフォーム費用の違いは?
門扉はアルミ形材とアルミ鋳物が主に使われていますが、安いものからあるのはアルミ形材で、鋳物はかなりの高級品まであります。
ほかに樹脂系の製品もあり、木粉を混ぜて木の雰囲気を出したものなどがあります。樹脂系を採用したリフォーム費用はアルミ形材と大きくは変わりません。
リフォーム費用の違いは、アルミ形材が約12万円~50万円、アルミ鋳物が約12万円~100万円、樹脂系が約12万円~70万円です。
門扉の種類 | リフォーム費用 |
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アルミ形材 | 約12万円~50万円 |
アルミ鋳物 | 約12万円~100万円 |
樹脂 | 約12万円~70万円 |
ベランダ(バルコニー)の防水費用と交換リフォームの費用相場
ベランダ(バルコニー)は10年ごとぐらいで定期的に防水工事のやり直しが必要です。
工事の際に10年保証をつけてもらうとよいでしょう。
防水施工の方法は、FRP防水、シート防水、ウレタン防水などがありますが、費用は大きく変わらず、間口2間、奥行き1mの一般的なベランダなら約10万円からできます。
樹脂製と木材でデッキのリフォーム費用はどう変わる
天然木を使ったウッドデッキは手入れが大変で長持ちしないので、最近は樹脂製のデッキが多く用いられるようになっています。
デッキを設ける費用は、樹脂製のほうが高く約20万円~30万円、天然木は約15万円~(樹種によって異なる)ですが、樹脂製のほうが耐久性に優れているので結果的にはおトクです。
種類 | リフォーム費用 |
---|---|
樹脂製デッキ | 約20万円~30万円 |
天然木のデッキ | 約15万円~ |
玄関アプローチのリフォーム費用はいくら?
玄関アプローチを美しく見せるにはタイルや天然石を張るなどの方法があります。
既存の状態にもよりますが、例えば古いタイルや天然石が張ってあり、それを剥がして新しいタイルを張る場合は約10万円~15万円(施工面積5m2の場合)、天然石張りにする場合はそれより高くなり約15万円~30万円を見ておきましょう。
素材の種類 | リフォーム費用 |
---|---|
タイル張り | 約10万円~15万円 |
天然石張り | 約15万円~30万円 |
ブロック塀のリフォーム費用はいくら?
ブロック塀は、20mくらいなら約50万円~70万円でできます。
古くなった既存のブロック塀を解体してつくりなおす場合は、既存のブロック塀の解体費用を約10万円~15万円(高さ1m、長さ20m程度で)見込む必要があります。
ブロック塀新設 | 約50万円~70万円 |
---|---|
ブロック塀解体費用 | 約10万円~15万円 |
カーポートは交換と新設でリフォーム費用が変わる
屋根のついたカーポートは既製品が出ていますが、カーポートの新設は約40 万円~で、既存のカーポートが古くなり交換する場合は、解体費用約10万円がそれに加わります。
カーポート新設 | 約40 万円~ |
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カーポート交換 | 約50 万円~(解体費含む) |
60万円未満の外構工事・エクステリアリフォーム実例
リフォーム費用7万円/家のまわりに砂利を敷き詰めて雑草対策
家のまわりに雑草が生えてくるので困っていました。
そこで防草シートを敷いた上に砂利を敷いて対策をしました。
雑草が生える心配もなくなり、雰囲気も明るくなりました。
【DATA】
リフォーム費用:7 万円
リフォーム内容:防草シート+砂利
工期:1日
築年数:26~30年
設計・施工:松本巧舎
リフォーム費用16万円/門扉をアコーディオン型から開き戸に交換
開け閉めが大変だったアコーディオンタイプの門扉を、両開きタイプの門扉に交換しました。白いカラーでシンプルな縦格子のデザインを採用し、外壁の色ともマッチして爽やかな印象です。
【DATA】
リフォーム費用:16万円(概算)
リフォーム内容:門扉の交換
工期:1日
築年数:不明
設計・施工:松本巧舎
60万円超120万円未満でできる外構工事・エクステリアリフォームの種類
リフォーム費用が60万円超120万円未満だと、できる外構・エクステリアリフォームの幅は広がります。
●門扉+フェンス
実際にリフォームする場合は、門扉とフェンスを同時に行うことが多く、その場合、結果的には60万円を超えてしまうことも多いです。
●デッキ+庭づくり
デッキやサンルームもそれ自体は60万円未満でもできる工事ですが、それが設置される庭にコンクリートを打ってテラスにしたり、芝生や植栽の工事を行うことで費用はアップします。
●タイルや天然石の使用
タイルや天然石は材料費が高いので、アプローチや塀に用いることで費用がアップします。
フェンスは素材と長さが費用に影響
アルミ製フェンスはアルミ形材とアルミ鋳物で費用が変わります。
高さ1mで長さが10mならリフォーム費用は約25万円~60万円ですが、20mなら50万円~120万円となります。
60万円超120万円未満の外構工事・エクステリアリフォーム実例
リフォーム費用75万円/ブロック塀にタイルを上張り
以前の外壁はブロック塀でしたが、古びて汚れも目立ってきたので、上張り用のタイルをその上から張りました。それによって住まいの印象がガラリと変わりました。
なお、裏側は塗装できれいにしました。
【DATA】
リフォーム費用:75万円(単独工事の場合の概算)
リフォーム内容:ブロック塀をタイルで上張り
工期:3カ月以上(上記工事を含む全体工事)
築年数:30年以上
設計・施工:ウェルファー(彩工舎)
リフォーム費用80万円/和風の門扉・塀をモダンなスタイルにチェンジ
昔ながらの和風テイストの外構をスッキリした雰囲気にしたい、門扉に防犯性をもたせたい、今風のポストにしたい、という希望からリフォームを決意。
スライド式の門扉とフェンスを横スリットで統一、ポストも同一メーカーのものを採用し、すっきりした見た目になりました。
【DATA】
リフォーム費用:80万円
リフォーム内容:門扉、塀、ポスト
工期:5日
築年数:30年以上
設計・施工:ハイステージ
リフォーム費用100万円/アプローチにタイルと木調フェンス
以前のアプローチはコンクリートの部分と砂利の部分に分かれていましたが、自転車が止めにくいのが悩みでした。
そこで全体をタイル張りにし、かつ隣地とのプライバシー確保のためフェンスも施工。
フェンスは木目の風合いを出したアルミ製を採用しました。
タイルの色と相まって温かい雰囲気のアプローチになりました。
【DATA】
リフォーム費用:100万円
リフォーム内容:アプローチ、フェンス
工期:2週間
築年数:6~10年
設計・施工:サタケ工業
120万円以上でできる外構工事・エクステリアリフォームとは
庭が広くなるほど外構・エクステリアフォームの費用は上がる
外構・エクステリアリフォームで費用が高くなる大きな要因は、施工面積が広くなることです。
例えばフェンスでも長さが10mと20mではリフォーム費用が倍くらいになります。
材料費の違いも施工面積が広いほど全体の差額に影響します。
広い庭ほどフェンスも長くなりますし、アプローチも広くなります。
庭の広さに応じて外構・エクステリアリフォームの費用は上がると思ってよいでしょう。
外構・エクステリア全体を複合リフォームすると費用は上がる
外構・エクステリアリフォームの費用が上がるもう一つの要因は、複合的なリフォームです。門扉、フェンス、アプローチ、造園と複合要素が増えるほど費用は上がりますが、デザインを統一できるよさがあります。リフォーム会社とじっくり打ち合わせを行い、予算内に収まるようプランニングをしてもらうことが大切です。外構リフォームのスケッチを描いてもらい、イメージを確かめてから発注するのがよいでしょう。
ガレージはカーポートよりずっと高い
カーポートは屋根つきの既製品を設置しますが、ガレージは同じ既製品を使うにしても床・壁・屋根・シャッターの付いた独立した建物になります。
設置スペースがあれば、ガレージの設置は可能ですが、基礎工事やコンクリート工事が必要で、設置費用は約200 万円~となります。
120万円以上の外構工事・エクステリアリフォーム実例
リフォーム費用122万円/メンテナンスフリーのデッキを新設
手入れの行き届かなかった庭にメンテナンスフリーの樹脂製デッキを設置しました。
周辺には芝生を植えて子どもがのびのびと遊べる庭になりました。
【DATA】
リフォーム費用:122万円
リフォーム内容:庭、デッキ
工期:2週間
築年数:11~15年
設計・施工: ハイステージ
リフォーム費用160万円/サンルームを新設し、土をコンクリートで覆う
収納を補うため、使われていなかったスペースにサンルーム(床面積6m2)を設置し、土の部分はコンクリートで覆い、雑草対策を施しました。
【DATA】
リフォーム費用:160万円
リフォーム内容:サンルーム(6m2)、テラス
工期:10日
築年数:6~10年
設計・施工: ハイステージ
リフォーム費用185万円/玄関まわりをスタイリッシュに
アプローチと門柱など玄関まわりの汚れが目立っていたことから床、門柱も含めて全て新しくリフォームしました。
門柱を道路近くに移動させ、床は新たにタイルを張り替え、スタイリッシュな空間になりました。
【DATA】
リフォーム費用:185万円
リフォーム内容:玄関まわり
工期:1カ月
築年数:11~15年
設計・施工:柿本ホーム産業
リフォームを依頼する外構・エクステリアの業者を選ぶポイント
外構・エクステリアリフォームを依頼する場合、総合的にリフォームを行っている会社に依頼する方法と外構・エクステリアを専門に行っている会社に依頼する方法があります。
総合的なリフォーム会社に依頼するメリットは、外構・エクステリア以外も併せて依頼できるところです。例えば外壁の塗り替えなども併用して依頼し、全体のコーディネーションを考えてもらうことができます。
外構・エクステリア専門会社に依頼するメリットは、専門知識の豊富さです。得意とする会社ならではのアドバイスを得られることがあります。
ただ、総合的なリフォーム会社は、外構・エクステリア専門の会社と協力関係にあることも多く、総合的な会社を通して専門会社に工事を行ってもらうこともできます。
現場を見に来てもらい、話を聞くうちにその会社の得意なこともわかってくるので、気になる会社があったら実際に来てもらい話を聞いてみるのがよいでしょう。
構成・取材・文/林直樹 監修・試算協力/柏崎文昭(甚五郎設計企画)