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東京都以外で唯一のトップ10入りとなった鎌倉市。古都・鎌倉を中心とした自然豊かなエリアで、三方を山に囲まれ、南側は相模湾に面している。かつてはその支持層の大半がシニアだったが、20歳~49歳を対象にした今回の「住みたい行政区」ランキングで上位を獲得したことから、若い世代の注目度も高いとみえる。
市の顔は、鎌倉駅を中心に広がる市街地。言わずと知れた古都の拠点である。源頼朝が都を開いた800年前から計画的な都市整備が進められ、現在も残る主要道路の多くが往時の名残をとどめている。鶴岡八幡宮をはじめとする希少な歴史遺産は観光地として人気が高く、その門前に延びる小町通りには土産物店が立ち並ぶ。一年を通じて、観光客でにぎわいを見せるエリアだ。
また、近年はIT関連のベンチャーやスタートアップがこぞって鎌倉に拠点を構えるという、興味深い動きもある。一帯をシリコンバレーならぬ「カマコンバレー」と称し、ITを駆使した地域活性化を目論むプロジェクトも進行中だ。例えば、鎌倉市限定のクラウドファンディング「iikuni(イイクニ)」を立ち上げ、「鎌倉を良くする」ための活動に対して出資を募っている。すでに鎌倉薪能の能舞台でジャズフェスティバルを開催したり、鎌倉に“プチ移住”したい人にテラスハウスを提供したりと、ユニークな試みが実現した。
一方、市域全体に視野を広げると、古都のイメージにとどまらない多様な魅力が見えてくる。まずは北部。JR大船駅を中心とした市街地は、新宿駅まで乗り換えなし50分という交通の利を活かし、一大ベッドタウンが築かれている。駅東口では再開発も進行中で、2018年までに商業施設や住居を含む複合ビル、都市計画道路やペデストリアンデッキが整備される予定だ。
市の東部に位置する湘南モノレール・湘南深沢駅の近辺にも市が主導する再開発案が持ち上がっていて、当地を鎌倉(小町)、大船に次ぐ第3の拠点とする構想がある。JR東日本鎌倉車両センター跡地の広大な敷地を利用した、大型商業施設の建設や大学の誘致などが検討されているが、現在のところ具体的な計画には至っていない。
市の南側、相模湾沿いには海水浴客でにぎわう由比ガ浜や、夕景の美しさで知られる七里ヶ浜などがあり、こちらはリゾート地のたたずまいだ。いずれも都心まで電車で1時間と、通勤圏内で海辺の暮らしが叶ってしまう。
画期的な行政の取り組みもある。鎌倉市は特に、美しい景観を維持するための施策に力を入れていて、2015年4月から全国の自治体で初めて家庭ごみの有料化をスタート。ゴミそのものを減らし、市全体の環境美化につなげたい構えだ。また、10年前から「まちづくり条例」を制定し、宅地の緑地率を高めたり、自動販売機の色を統一したりと、市を挙げて景観保全に努めてきた。
長い歴史が刻まれた美しい街並みは、地元住民にとっても誇りだ。利便性を高める再開発やITによる街おこしは魅力的だが、街の価値を保ち続けるためには何より、鎌倉ならではの景観美を保ち続けることが望まれる。