
広島県出身で、幼少期から広島東洋カープを愛してきたアイドルグループ「OCHA NORMA」のサブリーダー・広本瑠璃さん。「地元最高です」と語る彼女に、広島のおすすめグルメや球場での楽しみ方など、故郷への思いをたっぷり伺いました。
新幹線から見えるスタジアムが、広島に帰ってきた実感をくれる

―― 東京から広島までは距離があり、新幹線で4時間ほどかかります。広本さんは上京後、どれぐらいのペースで帰省されていますか?
広本瑠璃さん(以下、広本):お休みが3日以上続くときには帰省しているので、年に3回は帰っています。新幹線の窓から「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」が見えると、「あー、帰ってきたー!」って実感します。
―― 帰省したときによく行くスポットはどこですか?
広本:八丁堀の「ひまわり」という、昼はつけ麺屋、夜は焼肉屋になるお店です。母がずっと通っていた店で、広島特有の辛いつけ麺がおいしいんですよ。
―― 広島のつけ麺は、どんな味わいなんでしょう。
広本:細めのストレート麺を、ごまがたっぷり入った醤油ベースの辛いつけダレにつけて食べるんです。特徴は、キャベツや玉ねぎ、きゅうり、かいわれ大根などのお野菜がたくさんのっているところかなあ。「ひまわり」はゆで卵ものっていて。辛いものが食べられるようになってからは、時間が合うときに母と一緒に行くようになりました。
ほかによく行くのは、国営公園の「備北(びほく)丘陵公園」。いくつものエリアに分かれていて、ネモフィラやひまわり、チューリップなどそれぞれお花のシーズンがあるので、開花時期と帰省が重なったときは家族で見に行っています。アスレチックもありますよ。
―― その時々で季節を感じられそうな公園ですね。幼少期の思い出の場所は?
広本:小さな頃によく行ったのは「呉(くれ)ポートピアパーク」。「呉ポー」と呼んでいた大きな公園で、ここでお父さんと自転車の練習をしました。幼稚園生のときの遠足の行き先は、入園するとヒヒ山のヒヒが出迎えてくれる「安佐(あさ)動物公園」でしたね。そこに広い芝生があって、みんなでお弁当を食べたのを覚えています。
―― ここまで、すべて具体的にさらさらと話されていて、早くも広本さんの地元愛を感じています。学生の頃は、どんなところに行きましたか?
広本:高校生になったタイミングで、広島市の「紙屋町シャレオ」という地下街に「ゴンチャ」の広島1号店ができたんですよ(※現在は閉店)。友達とちょっと遠回りして帰りながら、飲みに行きましたね。
あとは、「広島本通商店街」にずっと行ってました。「ゆめタウン広島」と、「ソレイユ(現・イオンモール広島府中)」でもよく遊びましたね。地元が大好きで、東京への憧れもあまりなかったです。
―― 地元が大好きな広本さんが、芸能活動や上京を意識したのはいつですか?
広本:中学2年生ぐらいでした。小学4年生の頃、通っていたダンススクールで知り合った方に「アクターズスクール広島」を紹介していただいて。オーディションを経てアクターズスクールに入所したことで、今までは遠い存在だったアイドルの知識が増えていきました。そしてだんだんと「わたしもこんな風になりたい」と思うようになったんです。
―― アクターズスクール時代に立ったステージで、とくに印象深い場所は?
広本:「ひろしまフラワーフェスティバル」です。当時最大の野外ステージだった「さくらステージ」に、たくさん出演させていただきました。
あとは、歌が苦手だったので、ボイストレーニングの先生と相談して、1人でステージに立つ機会を増やした時期があったんです。歌唱力とパフォーマンス力を鍛えるために「広島PARCO」前の「アリスガーデン」で、隔週ペースで開催される「ロコフェス(ひろしまロコドルフェスティバル)」に、毎回出ていたのも思い出ですね。
「我馬」のラーメンや「ちから」のうどん やっぱり大好きな広島グルメ

―― 広島はグルメも充実しています。広本さんが「広島に来たら、これだけは食べなきゃ!」と思うお店は?
広本:3つあります(即答)。1つ目は、広島県限定で店舗を展開(※取材時点。その後兵庫県に1店舗オープン)している「広島ラーメン 我馬(がば)」。広島風のとんこつラーメンが、県民にすごくなじむ味付けなんです。卓上トッピングの辛いモヤシも、すごくおいしくておすすめです。
2つ目は広島市のチェーン店「ちから」のうどん。昔から、とくにカレーうどんが大好きなんですよ。すごくサラサラトロトロで、出汁の旨味もあって、子どもでも食べられるちょうどいい辛さがクセになります。広島ならではの、やわらかめでつるっといける麺も好みで。心温まる味です。
最後は「そごう広島店」の地下にある「釜山キムチ」。小さい頃から祖母と通っているキムチのお店です。すごくあっさりだけど辛みも強くて、祖母いわく「本場の韓国にすごく近い味」。幼少期からずっと食べているので、これがわたしのベストキムチです!
―― 広島といえばお好み焼きも有名です。知る人ぞ知るお店は?
広本:実家では家でつくって食べるので、実はわたし、お店では広島ではお好み焼きをあまり食べたことがなくて。「お好み焼き 徳川」に行くぐらいなんですよ。徳川は関西風なので、母に広島でおすすめのお好み焼きについて聞いてみたら、「八昌(はっしょう)」がおすすめだそうです。いつも行列で、とてもおいしいと有名なお店なんですよ。
―― 広島でコンサートをするときの差し入れや、OCHA NORMAのメンバーへのお土産には、どんなものを買うんでしょうか。
広本:「ハロ!コン」のときは、同じく広島出身のJuice=Juice・段原瑠々さんがもみじ饅頭を配っているんです。なので、バランス的にも「わたしはしょっぱいものを」と考えて、まるか食品の「イカ天 瀬戸内れもん味」を持って行っています。
OCHA NORMAのメンバーに好評なお土産は、楓乃樹の「メープルもみじフィナンシェ」です。この前は「メープルバターサンド」も買って帰りました。
それから、ちからの「一番だしパック」を、自分用に3袋ほどまとめて買って帰ったりもします。お鍋の出汁として使って、〆をうどんにするのがおすすめです。
東京と広島の往復生活を支えてくれた地元の友達

―― 上京して、広島との違いを感じたことは?
広本:電車に対する感覚ですかね。広島ではバスのような感覚で広島電鉄の路面電車に乗っていて、JRなどの電車に乗るのは遠出するときくらいだったんです。でも、東京では毎日のように短距離移動で電車を使うので……。すごく驚いたし、慣れるのに時間がかかりました。
あとは、お祭りも地域によって雰囲気が違うことを知りました。広島の「とうかさん」や「えびす講」というお祭りでは、「100m道路(平和大通り)」にずらっと屋台やお化け屋敷などの出店が並んで、街全体がお祭りムードになるんです。でも、この前行った中目黒のお祭りは、近隣のお店が少し店先を広げて食べ物を提供するスタイル。いろんなお祭りがあるんですね。
―― デビュー前からレッスンのために東京と広島を行き来して、移動だけでも大変だったと思います。アイドルになる夢を追いながら、どんな心境だったのでしょうか。
広本:勉強や学校生活の面では、友達に助けられました。単位制の高校に通っていたんですが、クラスメイトがすごく優しくて、あったかくて。学校をお休みして東京に行くこともある中で、単位を落とさないか、不安を感じることもあったんです。それでも友達が「大丈夫だよ」「授業のこと、全部教えてあげる」と言ってくれて。休んだ翌日に登校すると「おつかれ〜!」って絶対に声をかけてくれたんです。そんなみんなの優しさに支えられて、楽しい毎日を過ごしていました。
―― すてきなご友人ですね。
広本:8月に広島で開催した、OCHA NORMAの5thシングル発売記念イベントの情報もチェックして、仕事や学校が終わったら行きたいってメッセージをくれたんですよ。あとは、個人のInstagramにアップした写真を見て「この間の写真、めっちゃかわいかった」って連絡をくれたり。離れていても見守ってくれているのがすごく伝わって、ありがたいし、うれしいです。
―― 無事にデビューが決まって上京することになったとき、ご友人はどんな反応でしたか?
広本:めちゃめちゃ応援してくれて、上京する日にはサプライズで新幹線乗り場まで来てくれました。お花や「るり がんばって」ってうちわを持って待機してくれていて(笑)。広島のみんなが、背中を押してくれました。
実家の夕食は、カープの試合中継とともに

―― 広本さんは、幼い頃から広島東洋カープのファンだそうですね。
広本:そうなんです。わが家では野球中継が始まる18時から夕食だったので、試合がある日は毎日ごはんを食べながら観戦して、応援して。ずっとカープの情報が入ってくる環境で育ちました。「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」に家族で行くこともありました。
―― 観戦のとき、よく食べる球場グルメは?
広本:「サンポテ」です。四角い袋に入った細いポテトが大好きで、行ったら必ず食べていました。あとは、パフォーマンスがある7回ぐらいのタイミングで、祖父が必ず「カープうどん、食うか?」「肉? きつね? 両方にする?」って聞いてくれるので、「きつねでお願いします」と頼んでました(笑)。
―― 広本さんはInstagramで、「始球式を目指すアイドル」として投球練習の様子もよくアップされていますね。
広本:始球式に出ることは、カープを好きになった小さい頃からの夢なので、いつかかなえたいです。それから、アイドルという人前に出る職業につくことができたので、球場で応援歌を歌っているときのビジョンに映ってみたいですね。
―― 中国放送でレギュラーをされている「ザ・ギース尾関高文とOCHA NORMA広本瑠璃の年の差ラジオ」では、来週のカープの試合の様子を予想するコーナーもされていますよね。
広本:おこがましいんですが、選手の活躍を予想させていただいています。東京にいると、広島にいたときよりもカープの情報は減ってしまうので、広島にいるおじいちゃんに「中国新聞」を送ってもらって、最新状況を追い続けています。今はYouTubeでもカープの情報を知ることができるので、そこもチェックしていますね。選手のラフな様子も知ることができて、ありがたいです。
OCHA NORMAとしての大きな夢は広島グリーンアリーナでの単独公演

―― 今年の夏で、終戦80年を迎えました。広島での平和教育についてもお話を聞きたいです。
広本:広島では、夏休みの8月6日が登校日になっています。毎年、被爆者の方にお話を伺いました。被爆したときの思いや、家族や周囲の方が亡くなったこと、「自分だけが生きている」という事実を抱えて生活することなど、お話を聞くと苦しく思うことが多くて。同じ広島で、生まれた時代が違うだけです。今自分が置かれている状況がどれだけ恵まれているのか、しみじみと感じていました。
広島では、戦争や原爆について学ぶ機会が多かったので知識も増えましたが、上京してみてそれが当たり前ではないことにも気づきました。戦後80年が経ち、被爆者の方も減る中で、今も世界で戦争が起きていますよね。夢を持ったり、友達と毎日笑ったりしていることはすごくありがたいことなんだと、伝えられたらいいなと思います。
―― 今後、広島の街で、OCHA NORMAとしてかなえたい夢は。
広本:広島の大きい会場といえば、「広島グリーンアリーナ」。夢は大きく、そこでOCHA NORMAの単独コンサートをしてみたいです!「ひろしまフラワーフェスティバル」にも出たいですね。毎年、広島各地から人が集まって楽しむ大きなお祭りなので。
また、まだ全員で広島のテレビに出演したことがないので、広島でコンサートをしたタイミングなどに、みんなで出られたらいいですね。昔、テレビ新広島さんの『ひろしま満点ママ!!』という番組で、アクターズスクールのユニットでパフォーマンスをさせてもらったことがあるんですよ。そんな風に、OCHA NORMAでもパフォーマンスを披露できないかなって考えています。
―― 広島での単独公演が実現したときに、ファンのみなさんにおすすめしたいおでかけコースは?
広本:いっぱい行ってほしいところがあるから難しいけど……広島はおいしいものがたくさんあるんですよ。広島駅の北口のほうに、「ミニヨン」というシュークリームのおいしいお店があるので、おやつはそこで買って。おなかがすいていたら「我馬」「ちから」「ひまわり」には行ってみてほしいですね。
広島市内なら、海を感じられる「宇品(うじな)」という地域もおすすめです。海辺に雑貨屋さんやベーカリーが並んでいて、雰囲気がすごく好きなんですよね。県内にまで広げるなら、遊園地の「みろくの里」や、尾道から出る「しまなみ海道」を外れたところにあるジェラート屋さん「ドルチェ」もお気に入りです。伯方の塩味のジェラートがすごくおいしいです。
―― たくさんの広島の魅力をありがとうございました。最後に、広本さん個人としてやってみたい活動があればぜひ教えてください。
広本:尾関さんとラジオを始めて、その魅力をすごく知ったので、いつか1人で広島のラジオのパーソナリティをやってみたいです。広島とOCHA NORMA両方の魅力を、もっと知ってもらう機会をつくれたらって。
あとは、広島のテレビ局でリポーターをやってみたいですね。小学生のとき、学校帰りにテレビをつけると、リポーターさんが街頭でクイズを出題するコーナーがやっていて、それを見て一緒に答えるのがルーティンだったんです。中国放送さんの『イマナマ!』だったかな。そんなふうに、広島の街に出るロケをやりたいです。

お話を伺った人:広本瑠璃
2003年生まれ、広島県出身。2021年12月にハロー!プロジェクトに加入し、アイドルグループ「OCHA NORMA」のサブリーダーを務める。OCHA NORMAは、5thシングル「女の愛想は武器じゃない/学校では教えてくれないこと」を2025年8月27日にリリースした。
編集:ピース株式会社
