外壁塗装と屋根塗装はセットがお得?足場代の節約効果、劣化サインの見極め方、費用相場などを徹底解説

外壁・屋根のひび割れや色あせ、はがれ、屋内の雨漏り……こうしたトラブルを解消する有効な手段が、家の最も外側にある外壁と屋根の塗装をし直すことです。美観や耐久性を上げられる外壁&屋根塗装には、多様な工法や材質があるほか、この2つを同時に行うのがお得という話もあります。本記事では同時に塗装した場合の効果や、塗り直しのタイミングを見定める外壁・屋根の劣化サイン、費用相場なども併せて解説します。

外壁塗装と屋根塗装はセットがお得?足場代の節約効果、劣化サインの見極め方、費用相場などを徹底解説

記事の目次

外壁塗装と屋根塗装は「同時」がお得!

住まいの最も外側を覆っている外壁と屋根の表面に塗られた塗装。一年中降り注ぐ紫外線や冬の寒さ、雪、夏の猛暑、雨風などによる損傷から住まいを守ると同時に、見た目の印象を上げる美観効果、耐久・耐火・断熱など諸機能の向上、カビの発生を防いで快適な住環境を保つ、などさまざまな役割を担っています。

ただ、年月の経過とともに、外壁、屋根の塗膜は剥がれてしまうもの。劣化サインが出た後も放置し続けていると住まいに深刻なダメージが起きる可能性もあります。外壁や屋根が本来の機能を取り戻し、快適な住環境を維持するためには定期的な塗装工事が必要です。

そんな外壁・屋根塗装は、同時に行うことで多くのメリットを得ることができます。

【メリット1】足場代を節約できる

外壁・屋根塗装をする場合は、住宅の外側を囲う足場が不可欠です。総床面積が120m2程度の2階建て(1階・2階いずれも60m2程度)で、外観デザインにあまり凹凸のないシンプルな家の場合、足場代は25万~35万円が目安になります。外壁塗装、屋根塗装を別々に行うと、当然、足場代もその都度必要になりますが、同時に行えば足場代負担は1回分で済みます。

【メリット2】工期を短縮できる

外壁、屋根、それぞれの塗装に一定の時間はかかるものの、それでも別々に塗装を依頼するよりはまとめて行うほうが工期は短くなります。また、塗装工事のために足場を組むことで家の中の日当たりが悪くなったり、近隣の住まいに配慮する期間が生じたりするケースがありますが、これらの期間を短くできることもメリットです。

【メリット3】塗装会社とのやりとりが一度で済む

外壁・屋根を別々に塗装すると、当然工事は二度になり、会社探し、現地調査、打ち合わせ、日程調整などの手間が二倍になります。しかし同時塗装であれば、工事は当然ながら一度。依頼する会社も一社で済み、効率的です。

【メリット4】外観の統一感を出しやすい

外壁、あるいは屋根のみの塗装を行うと、施工完了時、いずれかの色味と微妙に合わずちくはぐな印象に……というケースも。しかし、同時塗装なら基本的に会社が1社であり、統一感のあるデザインになることが期待できます。

外壁塗装の工期は、建物の規模や劣化状況、塗料の種類などによって変動します。延べ床面積約100m2、外壁面積約170m2ほどの一般的な住宅の場合、屋根は4日~7日程度、外壁は8日~10日程度がそれぞれ目安となります。

外壁がモルタルの住宅でも工期は8日~10日が目安になりますが、サイディング(仕上げ用の板材)を外壁に張っている住宅は、シーリング(外壁材の隙間)の打ち替えもあるため、さらに2日~3日は長く見込んでおいたほうが良いでしょう。

しかし外壁・屋根を同時に塗装すれば、足場の設置や養生シートの敷設が一度で済むため、工期はトータル2週間程度に。工期の短縮、費用も抑えることができます。

外壁塗装と屋根塗装、塗り替えのサインは?

塗料の種類やグレードにもよりますが、外壁の塗り直し周期は12年~13年、紫外線にさらされる面積が大きく、外壁より劣化が早いとされる屋根の塗り直し周期は8年~10年おきくらいが適切とされています。また、外壁と屋根の塗り直しを同時に行うなら、10年に一度程度が目安と言えます。

外壁・屋根塗装を適切な時期に行わないと、雨漏りによる建物の構造部分の腐食や、シロアリ発生を招くリスクも生じます。劣化のサインを見落とさないことが重要です。

では、塗り直しが必要になる劣化のサインは、具体的にどのようなものなのでしょうか。屋根と外壁では異なり、用いられている建材によっても違います。

屋根の劣化のサイン

・紫外線などによる色あせ
紫外線などによる色あせ

・雨水などによるサビ
雨水などによるサビ

・カビ、コケ
カビ、コケ

・雨漏り
雨漏り

屋根の劣化サインが現れるのは、スレートや金属製の屋根材の場合です。和瓦やスペイン瓦など「瓦」が付く素材は、原則的に塗装リフォーム不要です。瓦が割れているなど損傷している場合は交換、補修工事を行いましょう。

屋根を目視して劣化の具合を確認する際、その家にバルコニーがあればロングタイプの「自撮り棒」を使ったスマホ撮影がおすすめです。長さ2mくらいまで伸ばせるタイプなら使い勝手が良いでしょう。バルコニーがない家は、スポーツ観戦用など手軽に入手できる双眼鏡で少し離れた場所から確認してみてください。

外壁の劣化のサイン

・手で触ると粉が付く「チョーキング」
手で触ると粉が付く「チョーキング」

・ひび割れ
ひび割れ

・シーリング材の割れやはがれ
シーリング材の割れやはがれ

・カビ、コケ
カビ、コケ

住宅の外壁に用いられる建材は、モルタルとサイディングが主流です。チョーキングの粉は塗膜の下にある塗料の粉で、触ると手に付くのは塗膜がはがれて塗料の層がむき出しになっている状態を示しており、早めに塗装を検討することが必要です。ひび割れや、シーリング材の割れ、はがれがある場合、塗装時に併せて補修工事をお願いすると良いでしょう。

外壁と屋根の同時塗装にはデメリットもある

外壁・屋根を同時に塗り直すことで多くのメリットが得られる半面、考慮すべきデメリットもあります。

【デメリット1】一度に支払う費用が高くなる

外壁・屋根の同時塗装で、別々に実施するよりもコストが抑えられると前述しました。ただ、外壁・屋根それぞれの費用が同時に必要になるなるため、一度に支払う金額が高くなることは念頭に置く必要があります。

【デメリット2】工期が長くなる可能性がある

外壁と屋根、両方の塗装日数が必要になるため、屋根だけ、あるいは外壁だけで別々に施工する場合の1回あたりの工事と比べると工事日数が長くなる場合があります。さらに、期間が長くなった分だけ気候の影響を受ける可能性が高まり、工事期間が延びてしまうケースも考えられます。塗装の完了日を延ばしたくない方や、雨や台風のシーズン、日照時間の少ない冬場に依頼される方は注意してください。

外壁・屋根塗装それぞれの費用相場

ここからは気になる費用相場について解説していきます。<総床面積が120m2程度で、1階と2階が同じ面積の総2階の一戸建てで屋根の形がシンプルなケース>で、外壁・屋根、それぞれの塗装の金額の目安を見ていきましょう。

外壁塗装

外壁塗装工事の費用金額は60万~150万円となります(材料費と施工費)。これに加えて、前述どおり、足場代が25万~30万円程度必要です。費用は塗料の種類やグレードによって変わるほか、塗装をする外壁の面積に比例して、塗料などの材料や職人さんの手間がかかるため費用は高くなります。つまり、家が大きくなるほど外壁の塗装費用がアップするわけです。

■外壁塗装の費用相場(延床面積が約120m2、総2階、凹凸が少ない家の場合)
材料費+施工費(人件費など) 60万~150万円
足場代 25万~30万円

外壁の施工面積の目安は「延床面積×1.7」。シンプルな形の2階建てなら、この計算式に塗料のm2あたりの単価を掛けることで、大まかな塗装工事の費用が分かります。※係数は建物の形状や窓の大きさにより変動します。

ただ、外壁塗装の費用感で注意したいのは、延床面積がほぼ同じでも、住宅の形で施工面積が異なり、塗装費用も異なることです。

施工する外壁の面積が小さいのは、やはり、凹凸の少ないシンプルな形の家です。下の図を見てください。上図(正方形)は4つの四角形を凹凸なく組み合わせた図。一方、下図は4つの四角形を少しずらして配置したもの。この2つを真上から俯瞰すると、下図のほうが外壁に当たる外枠の線が長くなるのが分かります。外壁の量が多くなれば、そこに塗る塗料が増え、作業するための足場の量も多くなるため、材料費や工事費がアップするのです。

シンプルな形の家と凹凸の多い家の外壁量の違い

(図作成/SUUMO編集部)

屋根塗装の費用相場

総屋根面積は約60m2と仮定し、建物の外側に張り出している軒部分を追加した施工面積に塗装をすると、材料費+施工費(人件費など)は35万~50万円が目安となります。これに加えて、外壁塗装同様、足場代が25万~30万円程度必要です。

■屋根塗装の費用相場(総屋根面積が約60m2の場合)
材料費+施工費(人件費など) 35万~50万円
足場代 25万~30万円

ただ、屋根塗装の場合、注意したいのは、屋根の形状や勾配によって施工する面積が異なることです。

下の図を見てください。上図の総2階の一戸建ての床面積は1階・2階ともに60m2。1階と2階が同じ面積であり、屋根の総面積は60m2です。一方、下図は1階と2階の床面積が異なり、張り出した1階部分にも屋根があるため、屋根の総面積は80m2。下の一戸建ては塗り直しの面積が広くなり、その分材料費や手間も増えることになります。

同じ延床面積でも家の形によって屋根の面積が異なることを示す図

(図作成/SUUMO編集部)

形が複雑なデザイン性の高い屋根の場合は、施工面積が大きくなるだけでなく、塗装に技術が必要になったり、作業時間が長くなったりします。その結果、材料費や人件費が高くなる場合があります。

また、屋根の勾配によっても費用は異なります。屋根の勾配が急なほうが施工面積は大きくなるほか、急勾配でも安定した塗装作業を行うための特殊な足場を設置することになり、足場代も高額になる場合があります。

外壁・屋根同時塗装する場合の費用相場

では、実際にセットで塗装した場合の費用イメージを見てみましょう。先ほどの条件(延床120㎡、総2階)で試算すると、以下のようになります。

項目 単独工事の場合(目安) 同時工事の場合(目安)
外壁塗装の施工費 60万~150万円 90万~180万円
屋根塗装の施工費 35万〜50万円
足場代 25万〜30万円(1回分)×2回 25万〜30万円(1回分)
合計 145万〜260万円 110万〜210万円
※上記は一例です。塗料のグレードや劣化状況により変動します。

別々に工事を行うと、その都度「足場代(約25万〜30万円)」がかかりますが、同時に行えばこの足場代が1回分で済みます。つまり、セットにするだけで約25万〜30万円の節約効果が期待できるのです。

なお、外壁・屋根、いずれも塗装費用の内訳はほぼ共通しています。

材料費:20%
人件費:40%
足場代:20%
諸経費:20%

屋根塗装にかかる費用の内訳の目安のグラフ

(グラフ作成/SUUMO編集部)
■塗料の種類別の耐久性・価格・特徴はこちらをチェック
【塗料の種類別】外壁塗装の費用相場。もらえる助成金や依頼先の選び方は?

塗装会社の選び方5つのポイント

外壁・屋根の塗り直しをするにあたり、どのようにリフォーム会社を選べば良いのでしょうか。まずは以下の5つのポイントを参考にしてみてください。

知っている工務店などに聞いてみる

まずは家を建てた工務店や、家の購入でやりとりをした不動産会社に相談してみると良いでしょう。まったく縁がない会社に相談するより、多少なりとも自分が住んでいる住宅を知っているほうが何かと安心できるはず。あるいは、過去に内装のリフォームをした方なら、リフォーム工事を依頼した会社に問い合わせしても良いでしょう。

インターネット、口コミを参考にする

インターネットで会社を探し、利用者の口コミ、評判を参考にするのもひとつの手です。これまでの塗装事例、実績などが載っていると判断しやすいでしょう。外壁と屋根の塗装セットプランを提案している会社は実績があり、同時塗装のノウハウを持っている場合が少なくありません。

相見積もりを取って比較する

適正な価格の塗装を実現するためには、やはり、複数の会社から「相見積もり」を取ることが大切です。塗料や工程によって金額が変わることにも注意して比較検討してください。極端に短い工期、安い費用を提示してきた会社には、どのような計算でその数字になるのか、理由を聞いて確認しておくと良いでしょう。

会社の信頼度、情報共有の確かさをチェック

国家資格である一級塗装技能士が在籍しているか、塗装工事完了後、何年間保証してくれるか、使用した塗料や塗布量、実施施工内容、検査結果などの写真、塗装箇所などを記載した書類などの共有はあるか、といった要素は、塗装会社選びにおいて非常に大切です。複数の会社に相見積もりを取る際、忘れず確認するようにしましょう。

飛び込み営業の会社はNG

「近くで屋根の塗装をしていたら、お宅の屋根に傷がついているのが見えました。工事をしないと雨漏りしますよ…」などと飛び込みで訪ねてくる会社は原則NG。実際には、まだ塗り直す必要はなかったり、強盗や空き巣の下見のために営業を装ったりするケースもあります。不審な訪問には対応しない、敷地に入れないようにしてください。

■工事を円滑に進めるためのポイント、工事中の生活の注意点

●工事中、塗料の臭いが家の中にこもりそう、対処の方法は?

  • 近年の塗料(水性塗料)はシンナー臭がかなり抑えられているが、全く無臭ではない。
  • 特に下塗りや溶剤系塗料を使う工程では臭いが発生する。
  • 窓を閉め切り、換気扇を回さない(外気を取り込まない)工夫や、臭いの強い工程の日中は外出するなどの対策が有効。
  • 事前に塗装会社へ「臭いの少ない塗料を使いたい」と相談するのも良い。

●騒音の発生はないか

  • 足場の設置・解体時には、金属をたたく大きな音が響く。
  • 塗装前の洗浄を行う際は、高圧洗浄機のエンジン音や洗浄音も比較的大きい。
  • 塗装作業自体は静かであり、騒音発生のリスクはほとんどない。
  • 音が出る日は事前に近隣へ挨拶をしておくとトラブル防止に。

●家の中が暗くなる、電気を点けて対応するのみ?

  • 塗料が付かないように窓をシートで覆う養生のため、室内が薄暗くなる。基本的には照明をつけることで対応できる。
  • 最近では外の光を通す透明な養生シートや、半分だけ開閉できる養生方法もある。

●工事中、洗濯はどうするか

  • 足場がある期間は外干しはできない。
  • 塗料の飛散や臭い移りのリスクがあるため、部屋干しか、コインランドリーの利用がおすすめ。

●足場が組まれる前にやっておくべきことは

  • 建物の周囲の荷物(植木鉢、自転車、掃除用具など)を片付けておく必要がある。
  • エアコンの室外機など動かせないものは塗装会社が養生してくれるのが一般的。
  • 植物などは移動させておくと安心。
  • 足場に干渉しそうな樹木を特定して、必要があれば枝葉を切っておく。
  • 塗料が飛び散って樹木の枝葉に付くことを防ぐためビニールなどで養生する。
  • 敷地の形状によって駐車場に足場を立てることになる場合、一時的に駐車場を借りるなどの代替手段を講じる。

●いつも以上に防犯意識を高く持つ

  • 誰でも簡単に足場に登れてしまう状況が2~3週間続くことに。窓の戸締りに注意を。
  • 特に2階以上の防犯はいつにも増して厳重に。

まとめ

外壁と屋根を同時に塗装することは、「足場代の節約」「工期の短縮」「デザインの統一」という合理的なメリットがあります。 費用は一時的に大きくかかりますが、長期的なメンテナンスコストで見れば、別々に行うよりも数十万円単位でお得になるケースが大半です。

「うちはまだ大丈夫かな?」と思っても、築10年を過ぎたら一度プロの目で点検してもらうのがおすすめ。まずは、複数の会社に見積もりを依頼し、今の家の状態と適正な工事費用を把握することから始めてみませんか?

取材協力/坂 瑞貴さん(プロホームインスペクター)
さくら事務所。大手リフォーム会社にて営業・設計・施工管理、大手ハウスメーカーにて営業・設計に従事した後、リフォーム会社を設立。リフォームや注文住宅の設計・施工に従事。リフォーム・新築・インスペクションを含めて1000件以上の現場実績を持つ。
さくら事務所では、リフォーム・リノベーション工事チェック・完成検査を行うホームインスペクションのサービスも用意している。
執筆/保倉 勝巳
約20年にわたって住宅情報誌、webなどの制作に携わり、住まいとそこに暮らす人々を取材。近年は特に、マンションの間取り研究、東京都心部の街や歴史の魅力紹介、資産価値維持に注力するマンション管理組合の活動取材にも力を注いでいる。