気づかないうちに変わりつつあった地元「三崎口」

著: megaya 

地元である三浦市を離れ、東京に引越して3年以上がたった。僕は一人暮らしを始める前までは、三浦市という場所があまり好きではなかった。活気や気力といったものをこの街から感じなかったからだ。事実、神奈川県で唯一の消滅可能性都市(少子化・人口移動によって将来消滅する可能性があると言われている都市)でもある。

観光客や若者が年々減っていっているにもかかわらず、市として何かを変えようという雰囲気をまったく感じない部分も嫌いだった。街としてどこか閉鎖的な空気が漂っているように思えた。海がキレイという以外には何もないこの街に、僕は魅力を少しも感じなかった。

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僕の実家の最寄駅は三崎口駅という京急電鉄の終点だ。三崎口駅の周りには何もない。「田舎の駅」といった感じの駅だ。この駅から東京に出ていくときに、未練や後悔など微塵もなかった。むしろ「やっとこの何もない街から抜け出せる」という清々しい気持ちすらあった。

都内で働き始めると、自分が地元の人間よりすごい仕事をしているという自尊心で満たされた。僕は大学を中退して、その後フリーターをしていた時期が長かったので、大学を真っ当に卒業している友人たちに劣等感がある。絶対に負けたくない、そんな意地があった。

より勉強になる会社を探して、転職を2回した。今の会社に入社してからは、日々充実しており、成長できている気がした。地元の友人より何歩も先に進んでいる自信があり、「やっぱり自分はこれからも東京で生きて行くんだ」と、ぼんやりと考えていた。地元である三浦市が消滅したとしても、自分には関係のない出来事だな、とも思い始めていた。

しかし、会社に慣れてきたころに驚くべきことを知った。それは会社の社長が僕の地元の三浦市に、毎年「夏小屋」という海の家を開業しているという話だ。

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あの何もない街のどこに惹かれて海の家をやり出したのかは分からないが、社長は三浦市に一度訪れたときになんとも言えない魅力を感じたらしい。僕にはまったく理解のできない感覚だった。

さらに驚いたことに、都内には社長と同じように三浦市に魅力を感じている人が他にもいた。「三浦市で何かをしよう」と思っている人がたくさんいた。それは、僕には信じられないことだった。

出身地が三浦市でない人と三浦市のことを話しているうちに、僕は少しずつ地元を見つめ直すようになっていた。本当に自分の地元は終わってしまった街なのだろうか、何も知らないまま地元を出てきてしまっただけなのではないだろうか、と思い始めるようになった。

今回この記事を書くにあたって、良い機会と思い久しぶりに三浦市を歩いてみることにした。すると地元なのに、新しい発見が数多くあった。

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三浦市では2月〜3月ごろになると、河津桜が満開になる。そして「三浦海岸桜まつり」というのを行っているのだが、僕は一度も行ったことがなかった。

そもそもこの桜まつり自体が数年前までまったく盛り上がっておらず、やっている意味があるのかないのか分からないくらい小じんまりとしていた印象があった。

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しかし、初めて歩いてみて驚いた。想像しているよりも何十倍もキレイだったのである。1000本以上の河津桜が咲き乱れ、1kmほど続いている。三浦市は夏しか魅力がないと勝手に思い込んでいたのは大きな間違いであったことに気付いた。

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それからこの桜並木を見に大勢の観光客が訪れていることにも驚いた。まさか遠方から人が来るほどのイベントになっているとは思ってもいなかった。

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実家の近くには「三崎下町商店街」という商店街がある。僕が引越す前は、この場所からお店がどんどんと消えてしまっていたが、今は東京から来た人たちがお店を開業し、少しずつにぎわいを見せているらしい。

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手打ちそばの「葉山商店」もその一つで、東京で働いていた店主が開いたお店とのことだ。そばとしらす丼のセットには湯葉などもついており、これだけボリュームがあって1200円。

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「ミサキ イタリアーノ ボッカ」というイタリアンのお店も少し前に開業した。三浦半島の新鮮な野菜を使ったバーニャカウダや、ピザなどを海を眺めながら味わうことができる。

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「ミサキドーナツ」というドーナツ屋さんには、開放感のある2階があり、三浦市のゆっくりとした時間を味わうことができた。

それから、今までは昔ながらのお店しか商店街にはなかったので、こういった新しいお店が増えていることに驚いた。自分がどこか”閉鎖的”と思っていた三崎では、今までではありえなかったことだ。お店が増えているのを見ると、少しずつではあるが三崎も変わってきているのかもしれないと思った。

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変わっていく部分もあるが、変わらないところもある。「うらり」という市場では新鮮な魚を買うことができて、こういった場所に来ると昔ながらの三崎を感じる。

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三浦市は海以外の自然でいうと「小網代の森」という場所もある。僕は小学生のころにこの森で友人と秘密基地をつくったりして、よく遊んでいた。

散歩するだけでも豊かな自然を楽しむことができる。夏にはホタルを見ることもできる。この森は糸井重里さんも訪れたことがあり、ほぼ日刊イトイ新聞にも記事として取り上げられたこともある。

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昔は木が生い茂っており道らしい道はなかったが、今は整備されていて誰でも歩きやすいようになっていた。

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歩いていると、ふとした瞬間の景色に目を奪われることがあった。変わっていく部分ももちろんあるのだけど、こういった風景は変わらないで欲しいとも思った。

自分の住んでいた三浦市には誰も興味がなく、このまま死んでいく土地だと勝手に思い込んでいた。しかし一度離れてみて、外からの視点で改めて見てみたら、少しずつではあるが変化してきていることに気づいた。それを手助けしてくれている人が大勢いることも知った。

自分の地元がこれからどうなっていくかは分からない。もしかしたら本当にいつか消滅してしまうかもしれない。僕らのような若い世代が何かをしないといけないということは頭では分かっている。

しかし、まだ僕は完全には地元が好きにはなれない。心のどこかで何か引っかかるものがあるのだ。それがプライドなのか何なのかはまだ分からない。だけれど、変化していく三浦市を見ていると、「少しでも自分も将来的に何か出来ないかな」と思えるようになってくる。東京で一生懸命働きながらも、変化していく三浦市を見逃さないようにして、少しずつ「自分ができること」を探していけたらいいな、と思う。

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著者:megaya (id:megaya0403

megaya

大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webエンジニア。「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、ライター業もやっています。デイリーポータルZ、それどこ、価格.comマガジンなど。

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