22年続く「モーニング娘。」史上、初の東北出身のメンバーである、石田亜佑美さん。10期オーディションに合格後、14歳で地元・仙台市から上京しました。
「仙台のアーケードを歩けなくなるくらいの有名人になるのが夢」と力強く語る石田さん。地元TV局でレギュラー番組を持つ彼女に、仙台愛からおすすめ手土産まで聞きました。
いつも心に「東北魂」
―― 地元仙台で開催されるモーニング娘。のコンサートで、石田さんはよく「東北〜!」って、叫んでますね。
石田亜佑美さん(以下、石田):私が「東北6県でひとつ」と考えるようになったのは、ファンのみなさんのおかげなんです。「宮城県仙台市出身」と自己紹介しているけれど、「モーニング娘。に東北出身の子が入ってうれしい!」と、他県のファンの方もよろこんでくれたんですよ。そこから、「東北を私のホームにしたい」と思うようになりましたね。
―― 東北愛が伝わったのか、東北楽天ゴールデンイーグルスの「イーグルスガール」に就任されましたね。
石田:イーグルスって、東北の象徴なんですよ。なにより「東北」楽天ゴールデンイーグルス、なのがいいなって思うんです。一つひとつの県じゃなくて「東北でひとつのチーム」って感じが大好きです。最初からずっと強かった球団ではないし、ドラマがあるんですよね。2013年にイーグルスが日本一になったときは、東北中がお祭りのように浮かれたのを覚えています。東北復興のアイコンだし、ずっと応援しています。
109への憧れを抱えて上京
―― 石田さんが仙台から上京したのは、14歳のときですよね。モーニング娘。になる以前から、「いつか東京に出たい」という気持ちはありましたか?
石田:まだ子どもだったし、東京のことは全然知らなかったんですけど、渋谷のマルキューへの憧れは強かったですね。中学校の修学旅行先が、東京だったんですよ。自由行動の日は、好きなところに行けることになっていたので、迷わず渋谷の109に決めて、楽しみにしていたんです。でも、直前に震災があって、行けなくなってしまって……。
―― ギャルカルチャーに、少し興味があったんですか?
石田:いえ、『ピチレモン』を読んでいるような、普通の中学生でした。でも、私にとって渋谷といえば109のイメージだったんです。東京について、それしか知らなかったんですよ。TV番組のお買い物企画で出てくるし、渋谷には109しかないものだと思い込んでましたね。まさか渋谷がこんなに大きな街だったなんて、上京してから知りました。
―― 仙台の若者向けビルといえば「フォーラス」。石田さんは、どんなところでお買い物していたんですか?
石田:通っていた小学校は、子どもだけで行動していいエリアが規則で決まっていて、あんまり仙台駅の方面まで遊びに行くことはなかったんです。「フォーラス」や「イービーンズ仙台」は、当時の私にとっては「大きくなってからの楽しみ」という感じでしたね。家族で出かけるときに、たまに服を買ってもらったくらいです。
何も言わなくても、あたたかく見送ってくれた同級生たち
―― モーニング娘。に加入が決まって上京が決まったとき、地元の友達はどんな反応でしたか?
石田:オーディションを受けたことも、受かったことも、同級生には言わないでいたんです。でも、本当はみんな、日本武道館で加入が発表された翌日には、知っていたみたいなんですよ。それまでと全然変わらない態度で接してくれて、ありがたかったですね。
―― 合格したら浮かれてしまいそうですが、なんで内緒にしていたんですか?
石田:なんだか恥ずかしくて、友達にもなかなか言えなかったんですよ。もちろん「モーニング娘。になれた」ことはうれしいし、とても凄いことなんですけど、当時の私は入ることが決まっただけ。まだ自分の力でなにかを成し遂げたわけではないから、自分から言うことでもないなと思ったんです。
―― 14歳なのに、大人ですね。地元の友達との別れは、寂しくなかったですか。
石田:モーニング娘。としてのデビューが決まって、私が東京に引越すときに、最後の英語の授業中、クラスのみんなが、サプライズをしてくれたんです。「写真を撮るのが上手です」みたいな例文をやってたら、急に先生の寸劇みたいなのが始まって(笑)。みんなと一緒に集合写真を撮ったの、懐かしいですね。
―― 昔からの友達は、今の石田さんを変わらず応援してくれていますか?
石田:実は、モーニング娘。になることが決まったときに、携帯電話の番号もメールアドレスも、全部変えちゃったんです。「アイドルになるんだから」って。だから、びっくりした子もいるかもしれない。でも、今でも仙台でコンサートがあるたびに、来てくれる友達もいます。やっぱりうれしいですね。
東京に出て来てから感じた、ふるさとの良さ
―― 仙台も都会ですが、東京で生活するようになって感じた地元とのギャップは?
石田:電車は苦戦しましたね。とくに、新宿駅に慣れるまでに、5年くらいかかりました。路線図をアプリで入念に確認して乗り換えるんですけど、どの階段を降りたらスムーズなのか、さっぱり分からなくって。お仕事の集合場所も、出口が分からないとたどり着けない。遅刻するわけにもいかないし、毎回ヒヤヒヤしていました。
―― 新宿駅は難しいですよね。東京の人間でも、たまに混乱しますよ。
石田:でも、上京して数年経ってから仙台に帰ったときに、「あれ、全然電車が来ないな」って思ったんです。仙台は結構都会だし、そこそこ電車の本数も多いけど、数分で次々と電車がやってくる東京の感覚に慣れちゃった自分に、驚きましたね。
―― 仙台シックになることはありませんでしたか?
石田:それが、加入してしばらくはあんまりなかったんです。東京も仙台もそれぞれ素敵な街で、両方好き。でも、数年経ってから急に、「仙台に帰りたい」って思うことがあって。
―― なにがあったんでしょう?
石田:新メンバーだったころは、目の前のお仕事やレッスンを、一生懸命やるだけで毎日がいっぱいいっぱい。地元を思い出すことも、寂しさもなかったんです。でも、数年間頑張って、活動の厳しさやアイドルの大変さを思い知ったころに、ふと「短い時間でいいから、仙台に帰ろう」って、頭に浮かぶようになりました。
―― やっぱり地元は落ち着くんですね。
石田:仙台駅に降りた瞬間、ホッとしましたね。もちろん、ブログの更新など、東京を離れていてもやることはあるし、全部休むことはできないんですけど、仙台の地に足をつけただけで落ち着くことができました。仙台独特の空気って、あるんですよ。
仙台までくるなら「秋保」まで足を延ばして欲しい
―― 石田さんは、年4回以上仙台でコンサートに出演しています。全国からやってくるファンの方におすすめのスポットは?
石田:ちょっと遠いんですけど「秋保(あきう)」エリアがおすすめです。仙台駅からは、電車とバスで約50分くらいですね。以前、自転車で秋保を巡る旅ロケをしたんですけど、自然が豊かで、畑がいっぱいあって、リフレッシュできました。
―― 秋保のおすすめグルメはありますか?
石田:秋保温泉と秋保大滝の間に「太田とうふ店」という豆腐屋さんがあるので、ぜひ立ち寄って欲しいですね。竹の中に豆腐が入っていて、お塩をかけていただくんです。水が澄んで綺麗だからなのか、とっても美味しいんです。
![太田とうふ店](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/S/SUUMO/20200220/20200220180551.png)
太田とうふ店のお豆腐(モーニング娘。'20 天気組オフィシャルブログより)
―― ヘルシーだし、とっても美味しそうです。
石田:仙台にはホテルがたくさんあるけど、ちょっと離れて、南三陸などの民宿に泊まってみて欲しいです。現地の方と交流しやすいので。仙台の方って、おもてなし精神がとても強いんですよ。地元のイベンターさんとお仕事をしていても、本当に思います。
スタッフのスマホで店舗情報を確認してくれる、親切な石田さん
―― 仙台駅から近い定番スポットだと、石田さんのお気に入りは?
石田:冬に行われる「光のページェント」はイルミネーションが綺麗です。あとは、伊達政宗像があるエリア。仙台の街が一望できるし、昔の仙台の写真があって、見比べるのも楽しいです。歴史の勉強になりますよ。
![光のページェント](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/S/SUUMO/20200220/20200220180546.png)
石田さんおすすめのイベント、光のページェント(モーニング娘。'20 天気組オフィシャルブログより)
牛タンだけじゃない! 石田さんが推す、仙台グルメ
―― まだいまいち知られてない、仙台のPRポイントは?
石田:牛タンが有名だけど。せり鍋を食べてほしいです。せり鍋、宮城以外の地域では、あまり馴染みがないですよね。せりは、春の七草で知られる葉物野菜。地元のスーパーでは普通に売っているので、私も帰省したときにつくりました。根っこの部分も歯応えがあって、美味しいんです。野菜を余すところなく食すって、素晴らしいですよね。
―― たしかに、東京だと馴染みがないです。宮城ならではの味なんですね。
石田:あとは、海鮮を堪能してほしいです。私、最近まで雲丹と牡蠣が食べられなかったし、生魚も苦手だったんです。でも、南三陸にある「さんさん商店街」で食べられる「きらきら丼」をきっかけに、好きになりました。いくらも、本当に輝いてるし、信じられないくらい美味しくって、感動したんですよ。ここで雲丹を食べたら、他で食べられなくなっちゃうかも。季節によって丼の中身が変わるので、いつ行っても楽しいと思います。
「いくらが光ってるんですよ!」と、きらきら丼を手で表現してくれました
―― 仙台といえば『萩の月』ですが、それ以外のお土産でおすすめは?
石田:ケーキ屋さん「アルパジョン」の「くまの手シューラスク」。シュー生地を焼き上げたラスクなんです。お手ごろ価格だし、女子ウケがいいですね。ささかまだったら「鐘崎」が好きです。一個買うと、おまけをつけてくれるんですよ。駅の中でも買えるし、お得感があっていいです。
―― 節約大好きの石田さんらしい、お得情報! 何味がお気に入りでしょうか。
石田:牛タン味、チーズ味、ずんだ味とか、色々あるんですけど、プレミアムな笹かまぼこ「大漁旗」がおすすめ。ちょっと高いんですけど、ぜひ普通のささかまと食べ比べて欲しいです。お値段以上ですよ。
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お話を伺った人:石田亜佑美
1997年1月7日生まれ、宮城県仙台市出身。2011年に10期メンバーとしてグループに加入。ブログ
「モーニング娘。'20コンサートツアー春 ~MOMM~(ミュージック オブ マイ マインド)」が3月14日(土)オリンパスホール八王子公演よりスタート。
<モーニング娘。'20 ディナーショー「Happy Night」も開催決定!>
3/29(日):グランドプリンスホテル新高輪 「飛天」(東京)
4/5(日):名古屋観光ホテル「那古の間」 (愛知)
聞き手:小沢あや
コンテンツプランナー / 編集者。音楽レーベルでの営業・PR、IT企業を経て独立。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」連載中。SUUMOタウンに寄稿したエッセイ「独身OLだった私にも優しく住みやすい街 池袋」をきっかけに、豊島区長公認の池袋愛好家としても活動している。 Twitter note