DPZ・林雄司さんが選ぶ「経堂」の好きなところ〜私がこの街に住む3つの理由〜

あなたが、その街に住んでる理由は何ですか? 商店街の雰囲気がいい。すてきなカフェがある。アクセスがいい……。住む人それぞれが思う“街の好きなところ”を知りたくて、「私がこの街に住む3つの理由」という企画を立ててみました。今回は「デイリーポータルZ」のウェブマスター・林雄司さんに、「経堂」の魅力を教えてもらいました。

経堂……東京都世田谷区にある街。小田急電鉄線の「経堂駅」があり、新宿方面へのアクセスがいい。また、東京農業大学をはじめ、さまざまな学校があるため学生が多い。駅の北口には「経堂すずらん通り商店街」、南口には「経堂農大通り商店街」など、商店街も数多くあり、住みやすい街として人気がある。駅前の再開発により、2011年には「経堂コルティ」というショッピングモールがオープンした。

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「経堂に住み始めて今年で5年目です。前は大田区の石川台に10年くらい住んでたんですが、会社が新宿に移転するのをきっかけに引越して。新宿に近くて、妻と2人で暮らせる間取りで、大きな本棚が置ける広い部屋があって、ちょうどいい家賃でってエリアを絞っていったら、経堂あたりで折り合いがついて。まさかそのときは二子玉川に会社が移転するとは思わず。会社へのアクセスは悪くなりましたが、街も家も気に入っているので、今はまだ引越す予定はないですね」

理由その1.農大通り商店街にある古書店「大河堂書店」

「農大通り商店街は、比較的新しいお店やチェーン店が多いんですが、この『大河堂書店』は30年以上やっていて、このあたりでも一番古いくらいのお店です。一度来たら1時間でも2時間でもいちゃう。もう1軒、すずらん通り側にも『遠藤書店』っていう古書店があって、なにげに充実していますね」

「大河堂書店は、ハガキやパンフレット、古地図とかのいわゆる『紙もの』が置いてある。神保町の古書店でも、こんなに紙ものの取り扱いがあるお店はないんじゃないかな。前に束で紙ものを買ったとき、いわゆる青紙と呼ばれる防衛召集の令状が入ってたのには、さすがにビックリしましたけど」

「これこれ」とお目当てのものを見付けてうれしそうな林さん

「ここはマンガの品ぞろえも面白い。珍しい古いマンガも、新しいけどマニアックなものもある。商店街を歩いていたときにたまたま入ったのが通い始めたきっかけですが、買いすぎて、今では家の本棚から古書店の匂いがするくらい」

この日は、ずっと欲しかったというマンガ『巨人獣』(石川球人/太田出版)を見付けてお買い上げ
  • 大河堂書店
    • 世田谷区経堂1-24-16
    • 03-3425-8017
    • 11:00〜21:00
    • 木曜休

理由その2.駅から離れると東京らしくない景色が広がる

「経堂駅の周りはお店も多くて栄えてるんですが、少し離れると『本当にここ東京23区?』と思うくらい、のんびりした風景が広がってる。昔の練馬みたいですね。農家さんがいて畑が多いし、あぜ道もあるんです」

「よく、このあたりをジョギングしたり、散歩したりするんです。ついでに無人販売所で売ってる野菜を買って帰るんですけど、買った野菜を持って走ってる人って、周囲にはドロボウに見えるんじゃないかってドキドキします」

この日の無人販売所は何も売ってなかった。残念

「環七の内側にあった世田谷区の川って、今はほとんど暗渠(あんきょ)化されていて外からは見られないんですよ。でも経堂付近ではたま〜に表に出ているのがあって、そこが萌えポイントです。ほかにも、北沢川緑道は金木犀がたくさん植えられていて、秋はものすごい香りになる。ほんとに、いい意味で東京らしくない」

「このショット、いります?」と言いながら撮影に応じてくれる林さん
  • 撮影協力:世田谷区立土と農の交流園
    • 世田谷区桜上水2-11−1
    • 03-5374-1291
    • 9:00〜17:00
    • 12月29日~1月4日は休園
      • ※普段は世田谷区在住の高齢者のいきがいづくりの施設として、野菜づくりなどの講座を開いている(平成30年度分は募集終了)

理由その3.お酒もごはんも楽しめる「洋食バル・ウルトラ」

「よく行く飲食店は?」と聞いたら真っ先に教えてくれたお店

「『ウルトラ』って“変”な名前だなあと思って入ったら、めちゃくちゃおいしいの。食事が出てくるのも早くて。ランチもやってますが、僕は夜に、妻と一緒に来ることが多いです。妻はお酒を飲まないし、僕もあんまり強くないので、夜でもガッツリ食事できるのがありがたい」

かつて下北沢にあった老舗「洋食屋マック」店主の息子さんが、2012年にオープン

「経堂は飲食店が多いし、値段もそんなに高くない。ここは駅からも近いので、出かけた帰りによく寄っています。渋谷や新宿で食べるより、地元まで帰ってきたほうがゆっくりおいしいものが食べられるのが、経堂のいいところですね」

林さんのお気に入りはマッシュポテトとひき肉のグラタン「アッシュパルマンティエ」(手前・780円)。お店イチオシの「ハンバーグステーキ」(左奥・980円)と「ラタトゥイユ」(右奥・580円)も一緒に

「この『アッシュパルマンティエ』は毎回注文します。イモ、ひき肉、チーズの組み合わせって、おいしくないわけがない。ハンバーグは今日初めて食べたけど、ふわっふわでこれもおいしいなあ」

「ウルトラにくると、いつも3回くらいオーダーしちゃうんですよね。最初に『今日はちょっとだけ食べよう』と思ってオーダーしても、おいしいからまたオーダー追加して……。ついつい食べ過ぎちゃいます」

  • 洋食バル・ウルトラ
    • 世田谷区経堂1-19-2-1F 松菱ビル
    • 03-6413-9326
    • ランチ:11:00〜15:30(LO15:00)、ディナー18:00〜23:00(LO22:30)
    • 日曜休

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最後に、林さんに「経堂に住んでよかったな」と思ったエピソードを聞いてみました。

「駅前でレストランのチラシを配っている人に『私はこの店のオーナーの父親なんですが、息子が無理に店を始めてしまったので行ってやめろと言ってください』と言われたことがあります。行きましたけどおいしかったので言いませんでした。経堂だとお店の人と世間話をすることが多い気がします。緊張感のない街です」

農大通り商店街のモニュメント「ハートフル・ファミリー」と記念撮影

 

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今回の案内人:林雄司

林雄司デイリーポータルZ編集長。2002年から街ネタや工作記事を書いている。主な編著書は「会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話」「死ぬかと思った」シリーズなど。

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写真:関口佳代
執筆・編集:はてな編集部