スタイリッシュなデザインを楽しめるだけでなく、快適な室内空間の実現も期待できる機能性壁材、それがLIXIL(リクシル)の「エコカラット」です。本記事では、エコカラットの特徴をはじめ、メリットやデメリット、設置に適した場所など、エコカラットを効果的に活用するための情報を幅広くまとめました。さらに、エコカラット選びの参考になる人気ランキングや商品価格についても、エコカラット商品担当・石原正文さんに詳しくお話を伺いました。理想の住まいづくりに役立つ、リフォームのイメージが広がるおしゃれな施工事例も必見です。

記事の目次
エコカラットとは
エコカラットは、屋内壁に施工することで室内の余分な湿気や生活臭、さらにはホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着してくれる機能性タイル建材です。調湿・脱臭・有害物質の低減といった高い性能に加え、デザインのバリエーションも豊富で、玄関やリビングはもちろん、トイレなどさまざまな空間に調和します。空間のテイストや機能性のニーズに応じた取り入れ方が可能です。
特徴
エコカラットは、住宅設備機器メーカー・LIXILが開発・製造している壁材です。独特の素材を使用しているため、建物に使用することで室内の湿度調整やにおい対策などの効果が期待できます。
日本では1990年代ごろから住宅の気密性が高まり、さまざまな化学物質を建築に用いる機会が増えたことで、シックハウス症候群や湿気による住宅トラブルが多発し、社会問題となりました。
こうした室内の空気汚染を改善できる建材の開発を目指し、国とLIXILが共同開発したのがエコカラットです。1999年の発売以降、調湿性能の向上やラインナップの拡充を重ね、進化を続けています。
素材
エコカラットの素材は、多孔質セラミックスです。
「多孔質セラミックスと呼ばれるエコカラットは目に見えない無数の孔(あな)を持っているため、珪藻土や調湿壁紙と比べて高い吸放湿性能を有しています。2014年には、吸放湿する際に湿気だけを吸い、調湿建材でありながら、水拭き清掃ができる『エコカラットプラス』を発売。2019年からは全シリーズにこのエコカラットプラスを採用しています」(LIXILエコカラット商品担当 石原正文さん、以下同)
発売当初は、珪藻土のバスマットのように水が染み込む構造でしたが、水まわりでも使用できるよう、表層に緻密な層を設けたのがエコカラットプラスです。湿気を吸収しながらも水や汚れは通しにくい構造で、水拭きによるお手入れも可能です。

サイズ
エコカラットの1枚当たりのサイズは、デザインによって909×303角平、606×303角平、異形状ボーダーネット張りや25×202角ネット張りなど、多種多様に展開しています。1ケース当たりの枚数もデザインで異なり、施工場所に合わせてカット・加工ができます。
エコカラットのメリット・効果
エコカラットは、デザイン性と機能性を兼ね備えた内装壁材です。調湿や脱臭、有害物質の低減など、暮らしを快適にする多くの効果が期待できます。ここでは、LIXILでの試験結果もふまえ、エコカラットを取り入れることで得られるさまざまなメリットや効果について紹介します。
調湿性能が高い
エコカラットの大きなメリットのひとつは、高い調湿性能です。湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥しているときには湿気を放出することで、室内の湿度を快適に保とうとします。LIXILの実験では、同じ調湿機能を持つ珪藻土の約6倍、調湿壁紙の25倍以上の吸放湿量があることが確認されました。この性能により、カビやダニの繁殖防止や結露の抑制といった効果が期待されます。さらに、洗濯物を部屋干しした際の湿気による不快感も軽減され、空気が澄んでいるように感じるという声も寄せられています。

短時間で素早く脱臭する
エコカラットには優れた脱臭性能があり、試験結果から短時間でにおいを低減する効果が確認されています。住宅にはさまざまなにおい発生源がありますが、トイレやキッチンの生ゴミ、タバコ、ペットなど、複数のにおい成分が混ざった複合臭にも効果を発揮してくれます。また、空気がこもりやすいトイレでもアンモニア臭を素早く軽減できる点も魅力です。家の中のさまざまな場所でエコカラットの特性を実感でき、快適な空間づくりに役立ちます。

有害物質を低減してくれる
エコカラットには、ほかの建材から揮発する汚染物質を吸着し、低減する効果も期待できます。シックハウス症候群の原因のひとつとされるホルムアルデヒドやトルエンなどの有害物質は、家具や建材に使われる接着剤や塗料から揮発することがあります。
LIXILの試験では、室内の空気中に含まれているホルムアルデヒドなど有害物質を吸着し濃度を低減する効果が確認されました。室内のホルムアルデヒドが高濃度の場合でも、1日で厚生労働省のガイドライン(0.08ppn)未満に下がっています。子どもはおとなより空気環境の影響を受けやすいため、エコカラットは家族の安全な環境づくりに役立ちます。


※試験方法は、一般財団法人 日本建築センター 新建築技術認定事業「室内空気中の揮発性有機化合物汚染 低減建材認定基準」の試験方法に準拠し、小型チャンバーによる定常法を用いて試験を実施。ADPACシステムを使い(温度28°C・相対湿度50%・換気回数0.5回/h・試料負荷率2.2 (温湿度・換気率一定) m²/m³)で、ホルムアルデヒドガスを定常的にチャンバー内に流して濃度を測定。
インテリア性を向上させる
エコカラットは、優れた調湿・脱臭機能などの実用性に加え、デザイン性の高さでも人気の壁材です。重厚な雰囲気やナチュラルテイスト、モダン調、スタイリッシュなものまで、豊富なバリエーションがそろっており、リビング・玄関・トイレなど、空間に合わせて自由に選べます。お気に入りのデザインを取り入れることで、インテリア性を高めながら、機能性も兼ね備えた空間づくりが可能です。
「発売時は色やデザインもシンプルなものが中心でしたが、機能性の向上とともにデザイン性も進化し、石目調や木目調などデザインの選択肢も豊富になりました」

メンテナンス性を維持できる
優れた調湿機能がありながらも水を吸収しにくいエコカラットは、ほかの調湿建材では難しい水拭き清掃が可能です。水はねを気にせず使えるため、洗面所やトイレなどの水まわりにも適しています。泥汚れや皮脂汚れ、コーヒーのシミなども、洗剤やスポンジを使ってしっかり除去できます。
「以前のエコカラットは水はねや汚れが飛ぶところでは汚れが染み込んでしまうため設置できない建材でしたが、エコカラットプラスに進化し、掃除用洗剤やメラミンスポンジを使って掃除ができるようになりました。清掃を繰り返しても摩耗に強く、高いメンテナンス性を維持できるのも特徴のひとつです」
エコカラットのデメリット・注意点
多くのメリットを持つエコカラットですが、取り入れる上で知っておきたい弱点や注意点がいくつかあります。機能性やデザイン性に優れている反面、設置場所や施工方法によっては思わぬ不便を感じることがあるかもしれません。リフォームしてから後悔することがないよう、事前にデメリットについてもしっかり把握しておきましょう。
衝撃によって割れる可能性がある建材。施工や使い方に注意する
「エコカラット自体は素材として衝撃によって割れる可能性がある建材ですが、エコカラットを施工する場合は接着剤を下地全面に塗って施工をするため、きちんと施工できている場合は衝撃で割れにくくなります」
ただし、エコカラットは壁紙とは異なるため、施工の際にはメーカーのマニュアルに準拠した正しい手順での取り付けが必要です。また、エコカラットは一枚一枚が焼き物でできた硬質な壁材のため、画びょうを直接刺すことはできず、フックやビスを直接打ち込むと、タイルのひび割れや破損の原因になるおそれがあるため、注意が必要です。

効果を発揮するには十分な面積が必要となる
エコカラットが空間全体の調湿効果を発揮する目安として、床面積のおよそ1/4以上に相当する壁面積への施工が推奨されています。例えば、12畳のリビング・ダイニングであれば、約4〜6m²の壁面に施工するのがひとつの目安です。必ずしも壁全面に張る必要はありませんが、十分な調湿効果を得るためには、ある程度の面積にエコカラットを施工する必要があります。なお、この推奨面積は、設置する部屋の広さや用途によって比率が変わります。
「空間によって湿度による環境変化の状況は異なるため、推奨施工面積はその点を加味したものとなっています。例えば、トイレは常時水がたまる環境であることに加え、ほかの空間よりも狭いという特性があります。そのため、エコカラットは少し広めに施工しないと効果を感じにくいということから、床面積に対する推奨施工面積の割合はトイレのほうがリビングよりも多くなっています」
| 使用部屋 | 推奨面積目安 | |
|---|---|---|
| リビング | 12畳(19.4m2程度) | 4〜6m2 |
| 寝室 | 8畳(13.0m2程度) | 3〜4m2 |
| 子ども部屋 | 6畳(9.7m2程度) | 2〜3m2 |
| 洗面室 | 2畳(3.3m2程度) | 1〜2m2 |
| トイレ | 1畳(1.6m2程度) | 1m2 |
※通気の悪いところでは、定期的な窓開けなどの十分な換気対策が必要です。
油汚れには弱く、コンロ周りへの施工は避けた方がよい
エコカラットは、表面に無数の微細な孔を持つ構造によって調湿・脱臭などの機能を発揮しますが、その特性上、油汚れには弱いという性質があります。そのため、キッチンで採用されることも多いエコカラットですが、油はねの多いコンロ周辺では使用できません。
「油のように粘度の高い汚れが付いてしまうと調湿、脱臭機能を発揮できなくなってしまうため、コンロ周りのように油はねが気になる箇所への施工はできません。
そのほかに施工できない箇所としては、常に水がかかる浴室や外壁。また、地下室や押し入れ内部など空気の流れが少ない場所は、施工ができないというわけではありませんが、期待するほどの効果を実感できない可能性が高くなります」
過度な加湿や揮発性化学物質は機能性を下げる可能性がある
エコカラットは優れた調湿機能を持っていますが、過度な加湿状態では本来の性能を十分に発揮できなくなることがあります。エコカラットが必要以上に湿気を吸収してしまうと、吸湿量の限度を超え、調湿機能が低下する恐れがあるからです。特に、加湿器の長時間使用による過剰な湿度や、水蒸気を直接エコカラットに当てるような状況では、効果が十分に期待できません。
また、塗料スプレーや床用ワックスなど、揮発性の化学物質を含む製品を近くに置くと、エコカラットがそれらの物質を吸着し、吸着能力が飽和してしまう可能性があります。こうした状態では、調湿や脱臭などの本来の機能が低下してしまうため、使用環境には注意が必要です。
しっかりと換気しないと吸着した湿気やにおいを保持し続ける
エコカラットは湿気を吸収・放出して湿度を調整しますが、機能を維持するには室内の換気が欠かせません。換気が不十分な状態では湿気を吸い続けて飽和し、調湿効果が低下する恐れがあります。さらに、湿気がたまったままだとカビの原因にもなるため、天気のよい日や空気が乾燥している日は窓を開けて積極的に換気を行い、湿気やにおいを屋外に逃がすことが重要です。
【リビング・ダイニング】エコカラットの施工例
「自宅で鍋や焼肉をよくする」「ペットを飼っている」という方は、エコカラットをリビング・ダイニングに使用すると、エコカラットによる脱臭効果を強く実感できるかもしれません。
なお、家族がくつろぐリビング・ダイニングの壁には、壁掛けテレビを取り付けたいケースもあると思いますが、エコカラットの上に直接、壁掛けテレビを取り付けることは推奨されていません。リフォームのタイミングで壁掛けテレビを導入するのであれば、テレビを取り付ける部分にはエコカラットを張らず、壁面の強度を確保してから設置しましょう。既存のエコカラットの壁に壁掛けテレビを設置したいという場合は、専用の設計・施工マニュアルがあるため、専門家に依頼して設置してもらうのが安心です。不用意にフックやビスを打ち込むと、割れる可能性があります。
エコカラットでリビングをスタイリッシュにアップデート
隣接していた和室を取り込み、広々とした開放感あふれるLDKにリフォームした施工例です。インテリアは淡いグレーをベースに落ち着きのある色合いを採用し、建具や床、壁面を統一感ある雰囲気にまとめています。
「自分たちがこだわった住まいだからこそ、暮らしの満足感が違いますね」と施主。エコカラットは、テレビを設置した壁面全体にストーン調の素材感あるデザインのものを配置しています。ひび割れ模様や流れを感じさせる風合いで砂岩の天然石を再現した壁が、インテリアをスタイリッシュかつ高級なイメージに引き上げます。

エコカラットがダイニングのアクセントに
ダイニングの突き当たりの壁一面に、吸放湿機能や脱臭性能に優れたエコカラットを採用した施工例です。食事をしながらその美しい壁を眺めることで、リフォームの満足感を日々実感できるという点でも高く評価されています。
また、白いクロスの一角に凹凸のあるデザインを取り入れることで、温かみのある風合いと自然な陰影が生まれ、空間に立体感と上質さが加わりました。ダイニングを中心に「収納の充実」「書斎の設置」「目を楽しませるデザイン」をテーマに、機能性と快適性を両立させた空間を創造しています。

木目調のエコカラット壁に壁掛けテレビを設置
リビングに設置されたテレビボードのデザインが印象的な住まいの施工例です。壁掛けテレビを設置する壁全面に、木目調でナチュラルテイストのエコカラットを採用し、造り付けキャビネット下の間接照明と相まって洗練された雰囲気を生み出しています。
リビング以外にも、オールステンレスのキッチンやウォークインクローゼットを併設した花柄クロスの寝室、アクリル建具で緩く仕切られたオープンな2階の子ども部屋などのリフォームが行われ、思いが詰まった住まいに生まれ変わりました。ライフスタイルの変化に合わせて容易に間取りが変えられる可変的な住まいです。

【玄関】エコカラットの施工例
高い脱臭性能を持つエコカラットは玄関とも相性のよい内装材です。家族・来客が多い住宅や、これからシューズクロークを新設される住宅などは、エコカラットを取り入れることで、においやカビに頭を悩ませる機会を減らせそうです。
また、家の顔ともいわれる玄関はおしゃれに演出したいという人が多いものです。玄関に花や小物などを飾れる十分な装飾スペースを確保するのは難しくても、エコカラットは壁に張ることで手軽に空間の意匠性をUPさせることができるので、玄関の雰囲気作りにも役立ちます。
家の第一印象を左右する玄関をエコカラットでおしゃれに変身
マンションの2部屋を統合し、家族がゆったりと暮らせる住まいを実現した住宅です。空間を明るく広く見せるため、内装は白を基調にコーディネート。リビングの床には大理石テイストのフローリングを採用し、住まいの第一印象を決める玄関にはエコカラットを取り入れ、機能とデザインの両立を図っています。
丸みを帯びた凸のあるタイル調デザインのエコカラットが印象的な玄関は、明るい照明により陰影が浮かび上がり、洗練された雰囲気を演出。また、湿度や臭いが気になりやすいキッチン横の壁にもエコカラットを施工し、調湿・脱臭効果によって快適な空間へと生まれ変わりました。

【寝室】エコカラットの施工例
日常の疲れやストレスをしっかりと解消するためにも、寝室は特に快適な環境に保ちたいという人も多いのではないでしょうか。一晩でかく汗の量は約コップ1杯分ともいわれています。湿気もにおいもこもりがちな寝室にエコカラットを取り入れれば、調湿性や脱臭効果を感じられることに加え、カビやダニの繁殖を抑える効果も期待できます。
エコカラットで寝室を極上のリラックス空間に
カーペットを敷き込み、壁の一部をエコカラットに変更したことでリラックスできる空間に生まれ変わった寝室。独立していた収納をオープンにすることで壁の上部に開口を設けて通気性を確保しています。間取りを整理し、30年以上暮らした住まいの悩みをリフォームで解消しました。
壁一面に取り入れたエコカラットは織物の表情を豊かに表現したデザインを採用。上品なグレーカラーが寝室の落ち着きのある雰囲気によく合います。

【トイレ&洗面所】エコカラットの施工例
短時間で嫌なにおいを軽減できるエコカラットはトイレも快適な空間に変えてくれます。エコカラットでトイレのデザイン性をUPさせれば、使用するたびに気分も上がりそうです。
エコカラットはその調湿性能の高さから湿度の高い洗面所にも選ばれています。湿度を調整することでカビなどを抑制できれば掃除の手間がかかりません。また、デザイン性の高いエコカラットを張るだけで手軽に高級感を出せるため、ホテルライクな洗面所にリフォームしたいという方にはぴったりです。
トイレの壁にエコカラットを採用
築30年の一戸建て住宅を理想の住まいにリフォームした施工例です。打ち合わせを重ねて完成したのは、お気に入りのキッチンを中心にした開放的で動きやすい空間です。
増築部分には、エコカラットを大胆に取り入れたトイレを新設しました。採用したのは、ナチュラルな石目調の凹凸デザインとライトベージュのカラー。明るく温かみのある雰囲気を演出しながら、優れたデザイン性と機能性を兼ね備えた空間が完成しています。

エコカラットはDIYで失敗せず取り入れられる?
エコカラットをDIYで取り入れたい方には、簡単に取り付けられるマグネットタイプの「エコカラット セルフ」という選択肢があります。
「より簡単に、手頃な価格で取り付けられるのがエコカラット セルフです。エコカラット セルフの施工方法は、まずベースシートをハンドタッカーで壁に留め付け、マグネット付きのエコカラットを取り付けるだけ。マグネットで張り付けているので、季節や気分に合わせてアートを掛け替えるように、簡単に張り替えることができます」
エコカラット セルフは正方形の909mm角と、長方形タイプの606mm×1212mmの2サイズ展開。狭小スペースにちょうどいいサイズ感です。ほかのシリーズ同様に、キッチン周りのような油はねが気になる箇所でなければ、室内どこでも使用可能です。ただし、タッカーで留めるため、コンクリート壁は取り付けが不可能。プラスターボードのような石膏ボードであることが取り付け条件です。
後悔しないためのエコカラットの選び方
エコカラットはデザインの選択肢が豊富で、選ぶ楽しみがある一方、自宅に合う商品を選ぶのが難しい場合もあります。幅広いラインナップから好みの一点を見つけるには、施工後のイメージを明確にする、施工面積に合わせてデザインを選ぶ、施工箇所によってはテクスチャーの選び方にも注意して選ぶのがおすすめです。
エコカラットで実現したいイメージを明確にする
エコカラットは、41柄・120種類以上のデザインが展開されており(2025年7月現在)、豊富なバリエーションの中から自分の好みに合った一点を選べます。ただし、選ぶ際には第一印象だけで決めるのではなく、家族と話し合いながら、じっくりと検討しましょう。理想とするイメージや施工する場所の条件をあらかじめ整理しておくことが大切です。納得のいく選択が、長く満足できる空間づくりにつながります。
取り入れる面積に合わせてデザインを選ぶ
バリエーションが豊富なエコカラットですが、その反面「選び方が分からない」と迷う方も少なくありません。選び方のひとつの基準として、施工面積に合ったサイズを意識することが
、エコカラットのデザインの魅力や特性を最大限に活かせることを忘れてはいけません。
「玄関やトイレのような狭いスペースにはモザイク系のものをアクセントとして使ってみてはいかがでしょう。エコカラットは照明と組み合わせることで印象深く演出することもできます。照明で陰影を持たせ、空間コーディネートをお楽しみください」
なお、エコカラットは製造工程の違いによりデザインごとに形状やサイズ、価格が異なりますが、基本的な機能性はすべてのシリーズで共通です。価格やデザインの見た目だけでなく、施工場所や面積とのバランスにも注目して選びましょう。
施工箇所によってはテクスチャーも注意して選ぶ
エコカラットには、立体的な凹凸のあるデザインや、手触りがザラザラとした質感のタイプが多くあります。そのため、洋服やカーテンといった布製品がエコカラットに触れると、繊維が引っかかったり、摩擦によって傷んだりする可能性があります。特に、カーテンの近くや廊下にエコカラットを施工する場合は、見た目のデザインだけではなく表面の質感も考慮し、引っ掛かりにくいフラットなタイプを選ぶと安心です。
「引っかかりが気になる場合は表面が滑らかなデザインを選んでみてはいかがでしょうか。 2024年4月に発売されたエコカラットプラス マジェスティックスレートのように凹凸が少ないデザインもあります。表面に凹凸があるデザインを選ぶことで暮らしに支障がないかどうかも、商品選定時に注意したい重要なポイントにもなります」

エコカラットの価格
エコカラットは希望の柄や種類によって商品価格が異なります。
エコカラットの価格は1m2当たり、9600円から2万4000円(2025年7月時点)です。このエコカラット自体の価格に加え、リフォーム時には施工費、諸経費、消費税などがかかります。
例えば、12畳のリビングにエコカラットを4m2施工する場合で試算すると、2万4000円の商品(例:エコカラットプラス マジェスティックスレート/3.8枚/m2)であれば、本体価格のみで9万6000円です。9600円の商品(例:エコカラットプラス シルクリーネ/11.3枚/m2)を施工する場合は、本体価格のみで約3万8000円となります。
また、商品価格以外にかかる費用については、施工場所によっては加工する際の手間賃が上乗せされる場合もあります。施工費用は、エコカラットの使用枚数や施工する面積などによって決まるため、リフォーム会社へ確認しましょう。

エコカラットの人気ランキングTOP10
エコカラット人気ランキングを1位から10位まで紹介します。
※2024年4月~2025年3月の売り上げ実績より。
※各商品価格は代表サイズのみを記載しています。
1位/エコカラットプラス「ストーングレース」
大きな砂岩の流れ模様が上質な空間を演出するエコカラットプラスストーングレース。天然石を忠実に再現したデザインで部屋を高級感あふれるモダン空間に切り替えられます。

2位/エコカラットプラス「サンティエ」
エコカラットでは初となる輝く光沢の粒をテクスチャーに取り入れた2023年発売のデザイン。自然な石の風合いを再現した表面は、重厚感のある質感と光とともに変化する表情を持ち合わせます。

3位/エコカラットプラス「ディニタ」
複雑で自然な石をリアルに再現した品格のある石積みのデザインで空間を格上げしてくれます。部分的に光沢の異なる釉薬(ゆうやく)を施していることから、照明や光の照射条件によって見え方が変わるのも特徴です。

4位/エコカラットプラス「ルドラ NX」
クォーツサイトの石柄を表現したモノトーンのクールな意匠は、モダンでミニマルなインテリア空間にオススメ。

5位/エコカラットプラス「ヴァルスロック」
スイスのヴァルス地方で採掘される石材の意匠を使いやすくアレンジされたデザインです。

6位/エコカラットプラス「マジェスティックスレート」
光沢感のある粒が含まれており、優雅なスレート柄と大きな形状が特徴です。

7位/エコカラットプラス「ラフクォーツ」
クォーツサイトをモチーフとした自然な素材感が印象的なデザイン。

8位/エコカラットプラス「ネオトラバーチン」
石を再現した質感と3つの形状を組み合わせたパターンが特徴のデザイン。大空間のアクセントに最適です。

9位/エコカラットプラス「グランクォーツ」
クォーツサイトの荒々しい石模様を活かした迫力のあるデザインが特徴。

10位/エコカラットプラス「ヴィスト NX」
ライムストーンの繊細な柄と陰影感のあるレリーフの組み合わせでナチュラルな空間を演出します。

まとめ
LIXILのエコカラットは、優れた調湿性や脱臭性を備えた高機能な壁材です。さらに、豊富なデザインやカラーバリエーションにより、インテリアとしての魅力も兼ね備えています。ただし、効果を最大限に引き出すには、設置場所や使用条件に応じた製品選びや施工面積、日々の換気といった点への配慮も必要です。導入の際には、専門家と相談しながら慎重に計画を立て、自宅に合った最適なデザインと機能を選びましょう。エコカラットを上手に取り入れることで、暮らしの質を高め、より心地よい空間づくりが実現します。
取材協力/LIXIL(リクシル)
構成・取材・文/松永春香