カップボードの配置や選び方で、キッチンの使いやすさは左右されます。キッチンのレイアウトを考える時、まず重要なのはメインキッチンや冷蔵庫のレイアウトですが、カップボードや家電、ゴミ箱などのレイアウトも忘れてはならないポイントです。今回はリフォームの前に知っておきたいキッチン内のレイアウトのコツを、キッチンの使い方や選び方、空間のつくり方などに詳しい、キッチンスペシャリストの阿部美子さんに解説してもらいました。
記事の目次
キッチンの構成要素
キッチンを構成するのはシンク、コンロ、調理台、配膳カウンター、冷蔵庫、カップボード、家電、ゴミ箱などさまざまものがありますが、調理、配膳、片付けなど、キッチン内で行う作業の動線に合わせて、それぞれを配置することで使いやすいキッチンになります。
キッチンの配置は、冷蔵庫や収納、ダイニングテーブルのレイアウトに影響。使いやすいキッチンへのリフォームとは?
メインキッチンと冷蔵庫・カップボードの位置
シンク・コンロ・冷蔵庫を結ぶキッチントライアングル
キッチンのレイアウトについては、シンク・コンロ・冷蔵庫、それぞれの真ん中の点を結ぶキッチントライアングルの辺の合計が3.6m〜最大6.6mになると効率的というセオリーがあります。
「キッチントライアングルのそれぞれの辺の長さは、シンクの真ん中とコンロの真ん中までは120cm〜180cm、コンロの真ん中と冷蔵庫の真ん中までは120cm〜270cm、冷蔵庫の真ん中からシンクの真ん中までは120cm〜210cmです。平均の歩幅を60cmと仮定すると、それぞれの距離が2歩〜4歩くらいまでというのが目安になります」(阿部さん、以下同)
カップボードの位置はその役割で考える
カップボードの位置については、まずカップボードの役割を考えてみましょう。
「カップボードの天板は家電置き場として使われることが多い場所です。最初にどのような家電をカップボードに配置するかを考えてから、家電を使いやすい位置にカップボードを設置するのがいいでしょう。
例えば、カップボードに置く家電の代表格としては電子レンジですが、電子レンジは解凍する、温める、加熱するという用途で使われます。そのような用途を考えると、電子レンジは冷蔵庫とコンロの動線の間にあるのが、使いやすい位置になります」
また、カップボードは調理などに使用する家電を置く以外にも、食器を収納したり、下のほうにはゴミ箱を置いたりと、配膳や片付けなどにも使用します。そのため、コンロ・シンク・冷蔵庫の配置に合わせて、さまざまな視点から設置位置を決めることが必要です。
メインキッチンのタイプ別・冷蔵庫とカップボードのレイアウト例
冷蔵庫もカップボードも、コンロやシンクのあるメインキッチンのタイプによって、使いやすい位置は変わります。メインキッチンのタイプごとに、キッチン内のレイアウトの例を見ていきましょう。
I型壁付きキッチン
シンク・コンロ・調理スペースが1列に並び、壁側に配置されたレイアウトのI型壁付きキッチンは、キッチンスペース自体はコンパクトにできる一方、動線が横一直線になるため、キッチン内で作業する際、移動距離は長くなります。
例えば、壁付きI型キッチンの場合、下図A、Bのような位置に冷蔵庫やカップボードを置くケースが多いのではないでしょうか。
「まず、Aのレイアウトは家族が冷蔵庫からものの出し入れをしやすいレイアウトです。カップボードの位置もカップボードに調理家電などを配置すると想定すると、メインキッチンに近い位置なので作業もしやすいでしょう」
Bのほうは冷蔵庫とメインキッチンの距離がより近く、調理する際の動線も悪くないですが、冷蔵庫の扉の開閉について、注意が必要です。
「最近の冷蔵庫は両側から開けられるものも多いですが、左右どちらか一方が開くものもあります。Bの場合は冷蔵庫の扉は右が吊りもとで、右側に開くものにしないと食材を取り出す際に、回り込んでのぞき込むようなことになってしまいますが、右側に扉を開けると冷蔵庫の扉と壁がぶつかります。扉を十分に開けることができず、使いはじめてから後悔したという声も聞きます」
I型カウンターキッチン
シンク・コンロ・調理台が横1列に並ぶI型のメインキッチンがリビング・ダイニングのほうを向いているカウンターキッチンの場合、メインキッチンの背後という使い勝手のいい位置に、冷蔵庫やカップボードを配置しやすくなります。
同じメインキッチンの背後に冷蔵庫とカップボードを配置するにしても、冷蔵庫をキッチンの奥に置くか手前に置くかで、見た目や使い勝手が異なります。
「カップボードの奥行きは既製品の場合45cmが定番です。冷蔵庫の奥行きは55cm〜60cm程度なので、カップボードと冷蔵庫を横並びにすると、面(つら)は均一にならず、冷蔵庫が前のほうに出ることになります。
収まりよく見せたいということで、冷蔵庫を奥に配置する方もいますが、キッチンに立っている時に家族が奥の冷蔵庫に飲み物などを取りに行くと、通路でのすれ違いや動線が悪くなり、ストレスを感じることがあります。家族構成やライフスタイルによっては、冷蔵庫はキッチンの入口付近に設置するのがおすすめです」
冷蔵庫を奥に置くか、手前に置くかという選択肢のほかに、キッチン奥にパントリーを設けて、冷蔵庫や大型のカップボードはパントリー内に設置するというケースもあります。この場合、キッチン背面奥に冷蔵庫を設置するケースと使い勝手などは変わりませんが、冷蔵庫を隠すことで、生活感を軽減させられるというメリットもあります。
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L型キッチン
「上記図のような配置にする場合は、メインキッチンとカップボードの間の距離に気をつけましょう。
カップボードの下部が引き出しか、扉か、ゴミ箱などを置くオープンスペースかなどによって必要な距離は変わりますが、引き出しであれば、引き出しを手前に十分引き出せるか、扉であれば扉を開けられるか、ゴミ箱を設置するオープンスペースなどであればゴミ箱が使いやすい形状か、また、ゴミ箱を出し入れする十分な間隔があるかなど、どの場合でも出し入れに不便を感じない程度の十分な間隔を取れているかは、プランニングの際に検証が必要です」
II型キッチン
シンクとコンロを分離して、前後2列に配置したタイプのII型キッチンは振り返って作業をするため、動線は効率的です。しかし、I型よりもメインキッチンのスペースが必要になるため、背後にキャビネットを置きづらく、キッチン内にカップボードを配置しづらいこともあります。
「図のII型カウンターキッチンのレイアウトの場合、冷蔵庫とコンロが一直線になるので、カップボードに家電を並べるのであれば、電子レンジの置き場所を冷蔵庫の近くにすると効率は良くなります。
カップボードとキッチンの距離は有効寸法で90cm〜120cmくらいあると、ゆとりをもって通ることができるので、食器を取り出したり、家電を使用したりする際に遠すぎず、アクセスしやすくなります」
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アイランド型キッチン
シンク・コンロ・調理台が横並びに配置されたI型のメインキッチンの両端が、壁に接地しない状態で配置されたキッチンがアイランド型のキッチンです。
冷蔵庫やカップボードはI型のカウンターキッチン同様、メインキッチンの背面が定番位置になります。アイランド型のキッチンは通路がメインキッチンの両サイドにあるので、冷蔵庫の位置も自由に決めやすく、大きなカップボードなどを置くスペースも確保しやすいのが特長です。一方で、開放的なキッチンになる分、生活感は隠しにくいという面もあります。
「アイランド型は回遊動線になっていて、前後左右からアプローチしやすいため、家族みんなでキッチンで作業をしたり、家事のシェアをしやすいレイアウトです。
気をつけておきたい点としては、キッチンと背面のカップボードの距離です。複数人で作業する場合を想定すると、90cm〜120cmが余裕をもって作業しやすい距離ですが、家電を使用したり食器を出し入れしたりという作業を行うには90cm程度が一番アプローチしやすい距離です。
あまり距離を取りすぎると、使いづらいレイアウトになるので、使うシーンをイメージして、適切な距離を設定しましょう」
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カップボードの選び方
カップボードはキッチンのタイプや冷蔵庫の位置によって、場所やサイズの選択肢が限られますが、限られた条件のなかでも自分の使い勝手をよく考えて選ぶことで、キッチン全体の使いやすさはアップします。
既製品か造作か
カップボードは既製品を購入する以外にも、キッチンに合わせて造作するという選択肢もあります。
「カップボードを造作するのであれば、奥行きなどのサイズも自分の必要に合わせて決めることができます。デザイン性についても、既製品よりも柔軟な点が優れています。
一方で、オーダーメードになる分、既製品よりも費用がかかる傾向があるのはデメリットです」
造作の場合は、自分の希望に合わせて、収納の大きさや扉の有無なども全て自由にできるのが魅力ですが、コストがかかってしまうこともあります。
それに対し、既製品の場合は、造作する場合ほど自由につくることはできませんが、メインのシステムキッチンとコーディネートしやすいタイプのものなどもあるので、そのような製品を選べば、メインキッチンとトータルでコーディネートも可能です。
トールタイプ・カウンタータイプ・セパレートタイプ
カップボードのなかには、天井まで高さがある食器棚風のトールタイプのものや、腰くらいの高さのカウンタータイプのもの、キャビネットが上下に分かれている中央部に家電が置けるようなセパレートタイプなどがあります。
トールタイプはカウンタータイプやセパレートタイプよりも収納量を確保できますが、扉を手前に開くタイプのものか、スライドタイプのものかで、カップボードを設置するために必要な手前のスペースや収納されたものの出し入れのしやすさなどが変わります。
「扉タイプのものは手前に扉を開きます。自分がカップボードの前に立って扉を開く動作をするので、カップボードの手前に有効な作業スペースとして75cmは必要です。
スライドタイプの場合、扉タイプのように手前に扉を開くスペースは不要ですが、左右の扉が重なる部分に収納されたものが取り出しにくいことがあります」
カウンタータイプは同じ幅であればトールタイプよりも収納できる量は少なくなりますが、カウンターの上に家電を並べたり、カウンターの上の壁面に棚などを設置して、見せる収納として活用したりすることもできます。トールタイプに比べ、圧迫感もありません。
また、セパレートタイプはカウンタータイプと同じように中央部分などに家電を並べることができ、上吊戸分、カウンタータイプよりも収納量を確保できます。
カウンタータイプやセパレートタイプの場合も、キャビネットが扉タイプか、引き出しかで使い勝手が異なりますが、引き出しの場合は引き出しの奥行きも考えて、より余裕をもったスペースを確保しておくようにしておくと安心です。
使いやすいカップボードのサイズ
カップボードのサイズを考える時にまずすべきことは、使う家電を決めることだと言います。
なぜ、最初に家電を決めることが大事なのか、カップボードの幅(間口)や奥行き、高さなど、それぞれのサイズについて見ていきましょう。
幅(間口)
キッチン自体の広さによって、置くことができるカップボードの幅(間口)も変わりますが、一般的なサイズのI型カウンターキッチンを採用する場合、背面のカップボードのサイズは180cm程度が定番です。
「カップボードの間口のサイズは家電をどのくらい置く予定かによります。例えば、カウンタータイプやセパレートタイプのカップボードのカウンター部分に、電子レンジ、炊飯器、トースター、ポットなどを並べると考えると、少なくとも180cmは見ておきたいところです」
また、既製品のカップボードの場合は、60cm、75cm、90cmなど幅の異なるユニットを組み合わせることも少なくありません。
「例えば、90cm幅の上下セパレートタイプのユニットに90cm幅のトールタイプのものを組み合わせて、180cm幅にすることもできます」
奥行き
既製品の場合、カップボードの奥行きの定番は45cmですが、45cmの奥行きでは置くことが難しい家電もあるので、カップボードを選ぶ時には家電のサイズも念頭に選ぶ必要があります。
「大型のスチームオーブンなどは機種にもよりますが、奥行きが43cm〜43.5cmあります。45cmの奥行きのカップボードでも置けると思ってしまうかもしれませんが、電気コードをコンセントに差し込むための隙間や放熱のためのスペースなどが必要になるので、オーブンの扉の取っ手部分がカップボードよりも手前に出っ張るだけでなく、オーブン自体が天板から出てしまう場合もあります」
45cmの奥行きでは大型の家電を置けないという場合は、65cmなど奥行きの深いタイプのカップボードを選ぶか、造作するかという選択になります。
なお、奥行きが深いほど一見収納力はアップしますが、しまうものによっては取り出しにくくなることもあります。また、カップボードの奥行きはキッチンの通路幅にも影響するので、通路の幅も合わせて考えるようにしましょう。
トールタイプ・セパレートタイプの高さ
「壁付けするトールタイプの既製品のカップボードは、天井高に合わせたサイズになっています。例えば2m40cmの天井高の場合、カップボードは2m35cmなど、5cmほどゆとりをもたせるのが一般的ですが、壁付けするため地震などで倒れることはありません。
家具の食器棚の場合は180cmの高さが一般的ですが、その高さの場合、天井から60cmくらい隙間ができてしまいます。壁付けタイプのものとは違い、対策をしないと地震の時に倒れる心配があるので、突っ張り棒をするなど対策をするようにしましょう」
トールタイプの場合は天井近くの高い位置の出し入れがしにくいと感じることもあるかもしれませんが、セパレートタイプの場合は上吊戸の設置する高さを調整すれば、使いやすくすることもできます。
「上吊戸は設置する高さを下げることもできるので、手の届く範囲に設置すると使いやすくなります。ただし、設置する位置を下げると、その分天井と吊戸の間に空間ができてしまい、ホコリがたまってしまうのが気になるということもあります。
吊戸の上の空間はうまく活用すれば、インテリア性やデザイン性を高めることもできるので、工夫をして作業性とのバランスも取るのもいいですね」
カウンターの高さ
カウンタータイプのカップボードや、セパレートタイプのカウンター部分の高さは通常85cmです。85cmの高さに対し、それよりも15cm程高いハイカウンタータイプのものもあります。
「人が無理なく作業ができるゴールデンゾーンは肩の高さから上下20cm程度です。肩の高さは身長×0.8が目安なので、身長160cmの場合、床から128cmが肩の高さになります。
電子レンジの寸法は機種にもよりますが、高さは30cm程度が一般的です。高さ1mのハイカウンタータイプの天板に電子レンジを置くと、設置した場合の高さは130cmとなります。
電子レンジの取っ手のデザインは上から下に引くものや横に開くものなどがありますが、どちらの場合も取っ手の高さは130cmなので、前述した肩の位置と同じくらいの高さです。つまり、立った姿勢のまま、かがまずにラクに電子レンジを使うことができます。
また、この高さであれば、目でもしっかり電子レンジの中を確認することができます。安全に使うためには手が届くかだけでなく、目で確認できるというのも大事です。使う人の身長にもよりますが、身体的に作業がしやすいという点に加え、安全性や使いやすさの面においても、ハイカウンタータイプは使いやすいと思います」
ハイカウンタータイプのようにカウンターの高さが通常よりも高くなると、セパレートタイプの場合は上にもキャビネットがあるため、中央の家電を置ける部分の高さが狭くなり、置きたい家電に対して、空間の高さが足りなくなるという心配もあります。
その場合、気をつけたいのは上吊戸のサイズです。
「上吊戸で標準的に採用されるサイズは70cmのタイプです。しかし、ハイカウンタータイプを選択して、70cmの吊戸をつけてしまうと、カウンターが高くなる分、家電を置ける部分の高さが低くなってしまいます。
ハイカウンターを採用して上に吊戸をつける場合は、上吊戸のサイズを50cmなどのショートタイプのものを選ぶようにしましょう」
使い勝手を左右するカップボードの機能
主に食器などを収納するカップボードですが、使い勝手が良くなるような機能が加えられたものもあります。
ゴミ箱収納
キッチンで置き場所に困りがちなゴミ箱ですが、カップボードにゴミ箱を収納できるタイプもあります。
「カップボードのゴミ箱収納には、ワゴンタイプのものや引き出しの中に収納するタイプ、ゴミ箱を置けるようにシンプルなオープンスペースになっているものなどさまざまなタイプがあります。
ワゴンや引き出しにゴミ箱を収納するタイプはデザイン性に優れていて、空間をスマートに見せるというメリットがあります。一方、使う人によっては、収納できるゴミ箱では容量が足りなかったり、出し入れが必要になる分、使い勝手が悪いと感じることもあります。
ワゴンや引き出しタイプが使いにくい場合は、オープンスペースにゴミ箱を置くタイプのカップボードがおすすめです。視覚的なスマートさを確保しながら、家族のごみの量に合わせたサイズのゴミ箱を設置でき、ワゴンや引き出しを引き出すという工程もないので、使いやすいと思います」
炊飯器収納
蒸気対策がされていないセパレートタイプのカップボードのカウンター部分に炊飯器を置いて使用すると、上部キャビネットまでの距離や素材によっては蒸気に当たる部分が劣化する可能性があります。
炊飯器の蒸気が気になる場合は、蒸気排出ユニットなどがついたスライドテーブルに炊飯器を置けるようなカップボードを選ぶと安心です。
「スライドテーブル式の炊飯器収納は、カウンターの下などに設置されていることが多いので、大人は配膳時にかがんで作業をすることになります。また、スライドテーブルを前面に引き出して作業をすることになるので、正面に立って配膳する場合は、動作空間として前面に約80cm~90cm必要になると考えておきましょう。
炊飯器収納がないタイプのカップボードの場合、炊飯器は蒸気が排出できるような位置に移動させて使うのが安心です。移動して使うのが面倒という場合は、炊飯器自体を蒸気排出が少ないタイプのものを選ぶといいでしょう」
コンセント
カップボードにはキッチン家電を並べて使うことが多いので、コンセントを複数確保して置くことも必要です。数だけでなく、コンセントの位置も使う家電の配置やコードの長さによって場所を決めないと、使い勝手や見栄えが悪くなることもあるので、事前の計画が肝心です。
「コンセントの数や位置についても、まず家電を決めることからスタートです。何をどのような頻度で使うのか、カウンターの上にはどの家電を出しておくのかを考えることで、カップボードの間口が決まり、そのなかでどの家電をどの位置に配置するかが決まります。
家電の位置が決まれば、家電の背面から出ている電気コードの位置と高さにあわせてコンセントの位置や高さが決まります。延長コードはできるだけ使わない前提で考えておきましょう。家電にあわせてコンセントの位置を決めると、正面から見てもスマートに収まります。
最近では、キッチンで動画を見ながら作業をするということも多いので、家電用のコンセントに加え、充電用のコンセントも設けておくと安心です。
また、コンセントの設置については、電気工事が必要です。電気工事はリフォームの工程のなかでも比較的早い段階で行われるので、電気回路の取り方などはリフォーム会社と事前に相談するようにしましょう」
おしゃれなキッチンをつくるカップボードのカラーや素材
カップボードは収納力や機能性に加えて、インテリア性も重視したいポイントです。既製品であってもカラーや素材のバリエーションも豊富なので、部屋全体のイメージに合わせてトータルコーディネートすることができます。
「例えば、背面にカップボードを配置する場合、リビングからの見え方が肝心です。セパレートタイプのカップボードの場合は、カップボードの真ん中の家電を配置している部分がリビングから見えるので、中央部に張るクロスの色や柄がリビング空間のインテリアのコンセプトに合うかどうかは気をつけましょう。
また、並べる家電についても、色やデザイン、素材感が空間のイメージやコンセプトに合うかという点に配慮して選びましょう。カップボードをメインキッチンの背面ではなく、キッチンのサイドに配置する場合も、キッチンの扉や天板の素材感と家電のデザインや色が合っているかどうかで、キッチン空間のインテリア性に差が出てきます」
カップボードの選び方やレイアウト次第で、日々の家事効率だけでなく、リビングダイニングの雰囲気も変わります。ぜひ自分の使いやすいキッチンをしっかりとイメージして、後悔のないキッチンリフォームを叶えましょう。
【まとめ】カップボードのレイアウトや選び方次第で、家事効率はアップ。後悔を防ぐにはまず家電を決めてから計画するのが大事
カップボードの配置や選び方はキッチンの使い勝手に影響するものですが、まずキッチンレイアウトを考える時に一番大事なのはシンク・コンロ・冷蔵庫のレイアウトです。シンク・コンロなどのメインキッチンと冷蔵庫の位置を使いやすい動線に配置した上で、カップボードをレイアウトするようにしましょう。
カップボードは調理家電を並べて使うことも多いので、カップボードのサイズを考えるにも、レイアウトを考えるにも、まずどのような家電を配置するのかを考えるところからスタートしましょう。配置する家電の数やサイズによって、カップボードのタイプや奥行き、コンセントの数なども変わります。
また、カップボードにはスライド式の炊飯器収納や、ゴミ箱を収納するようなスペースが設けられているものもあります。どのようなタイプのカップボードを採用するかは、自分が使うシーンをイメージしながら選ぶようにしましょう。
●取材協力
ララプラスキッチン代表 キッチンスペシャリスト 阿部美子さん
専業主婦12年、住宅機器ショールーム勤務を経て、2012年からキッチン空間に特化したキッチンアドバイザーとして活動。コーチングや実践心理学を用いて構築したオリジナルメソッドで、一人ひとりに合ったキッチンの楽しみ方や使い勝手の工夫を伝えている。
●画像協力
サードカフェエンタープライズ
光テック
FIND
リビングサーラ
LIXIL(リクシル)
構成・取材・文/島田美那子
イラスト/藤井昌子