別荘リフォーム完全ガイド。別荘のリフォーム費用は? DIYはできる? 補助金は?

中古の別荘を購入してリフォームしたい、あるいは所有の別荘をDIYかリフォームで改修したいと考えているなら、失敗しないためにおさえておきたいポイントがあります。またリフォームするなら、費用の相場も把握しておきたいところ。そこで本記事では、事前に抑えておきたい別荘リフォームのポイントや、リフォーム費用の相場について、一級建築士の柏崎文昭さんに教えてもらいました。リフォームで、いつ訪れても快適な別荘ライフを実現しましょう。

木立の中の別荘

記事の目次

別荘をリフォームする前に知っておきたいこと

中古の別荘を購入してリフォームする、あるいは所有している別荘や相続した別荘をリフォームする前に、おさえておきたいポイントが4つあります。失敗しないためのそれぞれの注意点について、見ていきましょう。

耐用年数を過ぎている設備がないか確認

毎日使う自宅と違い、一定の時期しか使うことのない別荘。特に設備は、使う頻度が低くなり、その結果部品の劣化や故障に気づきにくくなりがちです。もし劣化や故障がひどければ部品交換ではなく、設備を丸ごと交換しなければならないケースも。さらに、例えば浴室なら、メンテナンスを怠ったために配管など見えない部分まで傷んでしまうと、床や壁などを剥がして……といった大がかりなリフォームをしなければならないこともあります。

まずは設備類がしっかりと使えるか、一つひとつ確認しましょう。また、陶器製のトイレ本体は半永久的に使えますが、温水洗浄便座部分は一般的に10年〜15年が寿命と言われています。このように、設備や部位によって耐用年数が異なるので、耐用年数を過ぎていないか、それぞれの設備について必ず確認するようにしましょう。

なお、トイレの温水洗浄便座ならDIYでも交換可能でしょうが、同じく交換の目安が10年〜15年のキッチンの水栓をはじめ、基本的に水まわり設備の場合は水漏れを防ぐ作業などが素人のDIYでは難しいので、なるべく専門業者に依頼するようにしましょう。

氷点下になるエリアで確認したい設備は?

冬の別荘

冬に氷点下まで気温が下がるエリアの別荘なら、水道管の破裂と、給湯器の故障も忘れずに確認しておきましょう。

氷点下まで冷えると、水道管の中の水が凍って配管を破裂させてしまいます。そのため水道管を埋設する深度が各地域で決められているのですが(凍結深度)、そこから住宅内に引き込まれている水道管は、凍結する恐れがあります。

そのため、こうしたエリアでは、電熱線に通電させることで凍結を防ぐ凍結防止帯を備えていることがあります。普段からそのエリアに暮らしている人であれば、時期がきたら凍結防止帯に通電させます。また、明日の朝は冷えるとわかれば水道管の水を抜いたり(水抜きバルブにより水を抜く)、少量の水を流しっぱなしにして対処しています。

さらに水道管だけでなく、給湯器にも注意が必要です。給湯器には水道管から供給された水が一定量あり、冬はそれを凍らせないために凍結防止帯同様のヒーター機能があります。しかし通電していないとその機能が働かなくなり、給湯器内の排水パイプが凍結して故障するのです。

例えば前の居住者がうっかり夏場に、冬の水道管&給湯器対策を忘れてブレーカーを落としたまま別荘を離れてしまうと、冬にそれらが働かずに水道管が破裂したり、給湯器が故障してしまいかねません。

こうしたことは、管理会社がしっかり管理している別荘の場合、鍵を渡して委託すれば対応しているかもしれませんが、それでも冬は、積雪による倒木や電線への着雪で停電することもよくあります。せっかく凍結防止帯のスイッチを入れていても、停電しては意味がありません。ですから、氷点下になるエリアの別荘リフォームでは、購入時や相続時など手に入れた際に水道管と給湯器の確認が欠かせないのです。

そのほか、別荘のあるエリアによる特有の傷み方もあります。例えば海の近くなら金属部分が錆びるなどの塩害、積雪地域なら雪の重みで屋根が壊れるなどの雪害です。また、山の中などで周囲に木々があり、雨どいに落ち葉が積もって排水できないことで建物を傷めたり、台風等で実は屋根が壊れていたり。こうした建物の傷みは、普段から住んでいないゆえに、気づいた時には広範囲まで傷みが広がっていた、なんてこともあり得ます。

そのため、別荘をリフォームする前には、家の周りの隅々まで確認することが欠かせません。

耐震性や断熱性は必ず確かめておく

別荘の築年数を確認することは当然ですが、そこから耐震性能を推察することも忘れずに行いましょう。

地震の多い日本では、国の耐震基準が度々改定されています。特に大きい改定が3つあります。

■耐震基準改正の変遷
①旧耐震基準  1950年に制定された建築基準法
②新耐震基準  1981年6月1日に改正
③現行耐震基準 2000年6月1日に改正

上記を踏まえると、1981年以前に建てられた別荘は、リフォームの際に耐震診断も併せて行ったほうがよいでしょう。一般住宅の場合は、多くの自治体が新耐震基準以前に建てられた木造住宅に対して補助金を出して耐震診断を行っていますが、それだけ旧耐震基準の住宅は地震で倒壊する恐れがあるということなのです。

残念ながら別荘の場合、基本的にはこうした補助金制度を使うことはできません。しかし中には補助してくれる地域もありますから、別荘のある自治体のホームページ等で確認してみましょう。

また、補助金制度が使えなくても、耐震診断の費用は木造住宅1棟あたり約10万円〜20万円ですので、ぜひ耐震診断を行い、必要に応じて耐震リフォームを行うようにしましょう。

さらに、旧耐震基準で建てられた別荘の場合、経年による断熱性能の劣化がないかも忘れずに確認したいところです。特に避暑地など、冬は氷点下になったり雪が積もるようなエリアでは結露等によって木材が傷みやすいからです。

そもそも耐震リフォームをする場合は壁を剥がしますから、断熱リフォームも一緒に行ったほうが効率的です。築年数から耐震リフォームを考えているなら、あわせて断熱リフォームも検討しましょう。

耐震工事

別荘の近くの施工会社をチェック

普段暮らしていないエリアにあることの多い別荘。そのためリフォームをどこにお願いするか、悩む人も多いはずです。

予算を抑えたいのであれば、そのエリアで活動している、いわゆる地場の工務店などを探したほうがよいでしょう。軽井沢をはじめ有名な別荘地は、周辺エリアに新築からリフォームまで請け負っている工務店等の施工会社がいくつもあります。

地場の施工会社に依頼するメリットとしては、まず近くなので対応が早いことです。さらに地場の施工会社だけでなく、水まわり設備など地場の専門業者とも繋がりがあるので、アフターメンテナンスの面でも有利です。

また工事に関する交通費を、遠方から施工にくる施工会社と比べて安く抑えられることもメリットの1つでしょう。遠方から工事にくる施工会社は、項目として交通費を立てる場合や、交通費を含んだ工事費として算出する場合があります。

そのほか、地場の施工会社なら積雪や凍結、塩害、動物や虫による被害といった、そのエリア特有の問題に対処する術を持っていることが多いので、頼りになるはずです。

一方でデメリットとしては、知識や技術レベルが、競争の激しい都市部の施工会社より劣る場合もあります。また得意な内外装デザインも各社で異なります。

そのため、見積もりで金額や工事内容を比較することはもちろん、できればその施工会社が建てた住宅等を見学させてもらい、その上で依頼先を判断するようにしましょう。

また、例えば外壁の塗り替えなどはリフォーム会社に任せずに「別荘に通いながらコツコツDIYでリフォームしたい」と思う人もいるかもしれません。確かに外壁の一部分を塗装する程度であればそれも“別荘に通う楽しみの1つ”と思えるかもしれませんが、外壁の塗装は、見た目をよくするだけでなく、雨水から建物を保護するための工事です。DIYを楽しむために、建物を傷めてしまっては本末転倒ですので、本当にDIYで済むのか慎重に考えたほうがよいでしょう。

リフォーム会社に相談

部位別の別荘リフォームの相場

基本的に、リフォーム費用は別荘でも一般住宅でも同じです。ただし先述の通り、地場の施工会社ではなく遠方から施工会社に通ってもらう場合は、どうしても交通費が余計にかかります。また、別荘らしく豪華な浴室にしたいなど、当然ですが仕様にこだわるほどに費用はかかります。

ですので、下記はあくまで一般住宅と同等のリフォームを行った場合と捉え、遠方からの交通費や、豪華仕様による出費などを除く費用と捉えてください。

キッチン・お風呂(浴室)・トイレなど水まわりリフォーム

別荘をリフォームして、あるいは中古の別荘を購入してリフォームする場合、水まわり設備を一新するだけでかなり気分は変わるはずです。

キッチン・お風呂(浴室)・トイレ・洗面所の水まわり4カ所をリフォームする場合、リフォーム費用の目安は約400万円、洗面所を除いた3カ所なら約300万円です。

■水まわりリフォーム工事の目安
リフォーム工事の内容 費用の目安
キッチンの交換 壁付のキッチンの位置は変えず、食器洗い乾燥機やオーブン付きキッチンに交換 約120万円
トイレの交換 古い洋式トイレを、多機能な温水洗浄便座付きタンクレストイレに交換 約40万円
お風呂(浴室)の交換 浴室サイズは変えずに、浴室換気暖房乾燥機付きの最新システムバスに交換 約145万円
洗面化粧台の交換 手洗い洗濯も可能な大きなボウルのある、収納の多い洗面化粧台に交換 約95万円

まずはキッチンから確認していきましょう。壁付のキッチンの位置を変えずに設備をアップグレードするだけなら、リフォーム費用の目安は上記の通りです。

しかし別荘であれば、家族や友人とキッチンを囲んで、みんなで調理や会話を楽しみたいという人もいるのではないでしょうか。

例えば壁付I型キッチンをアイランド型キッチンにリフォームする場合、キッチン本体の価格が上記より高くなるほか、給排水管や電源、照明器具の移動や交換、さらに床や壁、天井の補修も必要になります。

壁付I型キッチンをアイランド型キッチンにリフォームした場合の費用の目安は下記の通りです。

アイランド型キッチンでホームパーティ

■壁付I型キッチンをアイランド型キッチンにリフォームした場合
リフォーム工事の内容 費用の目安
壁付I型キッチン→アイランド型キッチン 壁付I型キッチンからアイランド型キッチンに変更。食器洗い乾燥機やオーブン付き 約180万〜250万円

続いてお風呂(浴室)のリフォームについて確認していきましょう。上記ではシステムバスから最新のシステムバスへリフォームした場合の費用の目安を紹介しました。

しかし、中には既存のお風呂(浴室)が在来工法によってつくられている場合もあるはずです。最近でこそ高級感や、断熱性などの機能が高いシステムバスが多いですが、今ほどシステムバスが発達していなかった時代に建てられた別荘なら、デザイン自由度の高い在来工法によってこだわりの浴室をかなえていても不思議ではありません。

在来工法のお風呂(浴室)を最新のシステムバスにリフォームする場合の費用の目安は下記の通りです。

■在来工法のお風呂(浴室)を最新のシステムバスへリフォームした場合
リフォーム工事の内容 費用の目安
在来工法のお風呂(浴室)→最新のシステムバス 在来工法の浴室を解体・撤去し、最新のシステムバスへリフォーム 約150万円〜350万円

さらに、森や海を臨む別荘らしく、眺望を楽しめる大きな窓をお風呂(浴室)に備えたいと考える人もいるでしょう。都市部の住宅地と違い、人目を阻む木立のある森の中だったり、目の前が海だけという、他人の目が気にならない立地であればなおさらのはず。

既存の窓枠を解体して、新たにシャッター付きの大きな窓に付け替える場合のリフォーム費用の目安は下記の通りです。

■お風呂(浴室)の窓をリフォームした場合
リフォーム工事の内容 費用の目安
既存の窓枠を解体して、大きな窓を備える 既存の窓(750mm×600mm)を、シャッター付きで高断熱の大きな窓(1200mm×900mm)に付け替える 約20万円〜30万円

海の見える浴室

壁や床の張り替えなど内装リフォーム

壁や天井のリフォーム費用は、基本的に施工面積と使用する部材によって変わります。70m2・3LDKの壁と天井のクロスを張り替えた場合、リフォーム費用の目安は下記の通りです。

■壁と天井クロスの張り替えのリフォーム費用の目安
リフォーム工事の内容 費用の目安
壁と天井クロスの張り替え すべての壁と天井のクロスを、汚れが付きにくい防汚機能のあるビニールクロスに張り替える 約60万円(施工面積が210m2の場合=延床面積70m2・3LDK相当)

上記では汚れが付きにくい防汚機能のあるビニールクロスに張り替えましたが、クロスはビニールクロスのほかに、紙クロスや布クロス等種類があり、ビニールクロス自体にもグレードがあって価格も異なります。こうしたクロスの選び方次第でリフォーム費用が変わることにも注意が必要です。

なお、壁は塗り壁にすることもできますが、壁に下地をつくったり、左官工事が必要なためリフォーム費用はクロスの交換よりも高くなります。

次に床のリフォーム費用を見てみましょう。

■床のフローリング張り替えのリフォーム費用の目安
リフォーム工事の内容 費用の目安
床のフローリングを張り替え 複合フローリングから、新しい複合フローリングに張り替える 約9万円〜14万円(施工面積10m2

床のフローリングを張り替えるリフォーム費用は、壁や天井クロス同様、施工面積と部材によって左右されます。

上記では施工面積10m2の費用の目安を記しましたが、例えば50m2なら5倍ですから、約45万〜70万円ということになります。

また、上記では複合フローリングから新しい複合フローリングへの張り替えで算出しましたが、無垢(むく)材を用いた無垢フローリングのほうが価格は高くなります。また同じ複合フローリングでもグレードによって価格が変わります。さらに床材をフロアタイルやカーペットなどにする場合も価格は異なります。かなえたい別荘ライフや予算に応じて、どんな床材にするか慎重に吟味しましょう。

屋根や外壁など外装リフォーム

ただでさえ屋根や外壁は常に外気にさらされ、経年変化で劣化しやすい部分です。そのため定期的な点検が欠かせませんが、留守がちになる別荘では“定期的”が難しく、長年点検を怠っていた、なんてケースもあるかもしれません。そのため中古の別荘を購入する、あるいは相続する場合は、手に入れる際に屋根や外壁の点検を行い、必要ならばリフォームを検討したいところです。

なお、屋根と外壁はいずれも足場を組んで施工しますが、足場工事は約25万円~35万円の費用がかかるため、屋根と外壁を同時にリフォームしたほうが費用を抑えられます。

まずは屋根のリフォーム費用から見ていきましょう。屋根のリフォームは以下の3つの方法があります。いずれも延床面積120m2程度の木造総2階建ての場合で、足場費用を含みます。

■屋根のリフォーム費用の目安
リフォーム方法 工事の内容 費用の目安
塗り替え 化粧スレート(彩色スレート)/セメント瓦/鋼板(トタン屋根やガルバリウム鋼板)等の塗り替え 約60万円~70万円
重ね葺き(カバー工法) 既存の屋根材の上に新しい屋根材を取り付ける 化粧スレートの上にガルバリウム鋼板を重ねて施工した場合、約100万円~200万円
葺き替え 既存の屋根材を撤去して新しい屋根材を施工する 約150万円~300万円

3つの方法それぞれのリフォーム費用の目安は上記の通りです。

塗り替えは、化粧スレート(彩色スレート)やセメント瓦、鋼板(トタン屋根やガルバリウム鋼板等)で行いますが、粘土瓦や陶器瓦では行いません。塗り替えの目安としては、屋根の点検をかねる意味でも10年と考えるとよいでしょう。

塗り替えでは対応できないほど屋根材が傷んだ場合は重ね葺き(カバー工法)か、葺き替えを行います。既存の建物の状態によって、どの方法が適切か異なるので、施工会社と相談しながら決めるようにしましょう。

外壁と屋根のリフォーム工事

続いて、外壁のリフォームを見てみましょう。外壁は主にモルタルなどの塗装仕上げと、サイディングなどを張って仕上げているものがありますが、下記ではサイディングを用いた外壁のリフォームについて説明します。

外壁も屋根と同様に3つの方法があります。こちらも延床面積120m2程度の木造総2階建ての場合で、足場費用を含んだ費用です。

■外壁(サイディング)のリフォーム費用の目安
リフォーム方法 工事の内容 費用の目安
塗り替え 既存の外壁の汚れを落としたうえで再塗装する 約80万円~120万円
重ね張り(カバー工法) 既存の外壁の上に新しい外壁材を張る 約150万円~300万円
張り替え 既存の外壁を撤去して新しい外壁材を張る 約200万円~400万円

サイディングの表面は塗膜で覆われていますが、10年~15年ごとに塗り替える必要があります。表面を指で触ると白い粉がついたり、塗膜が部分的に浮いてきたら、塗装の目安です。

塗り替えに用いられる塗料はアクリル系やウレタン系の塗料が一般的で、シリコン系や無機系、フッ素系、光触媒系などとなると耐久性はアップしますが、価格も高くなります。

何度か塗装を行っても劣化が隠せなくなったら、重ね張り(カバー工法)か張り替えを検討しましょう。

重ね張り(カバー工法)には、一般的にガルバリウム鋼板や窯業系サイディングが採用されます。

張り替える場合、外壁材のサイディングには主に窯業系・金属系・木質系・樹脂系があり、価格が異なります。

いずれにせよ、既存の建物の状態によっても適切な方法や外壁材は異なるので、施工会社と相談しながら決めるようにしましょう。

ウッドデッキのリフォーム

庭が広いならウッドデッキを備えている別荘もあるでしょう。最近は木粉と樹脂を混ぜた、耐久性の高い人工木を使用するウッドデッキがあり、一般住宅でも注目されていますが、別荘では天然木を使用したウッドデッキが多いかもしれません。

天然木のウッドデッキは雨やシロアリによる腐食を防ぐため、定期的なメンテナンスが欠かせません。しかしあまり訪れていなかった別荘では、ウッドデッキが腐食してしまい、新たに備え直さなければならない場合もあります。

ウッドデッキの解体・新設費用は、基本的に広さに比例します。また使用する木材によっても異なります。

下記は4間×1間(約13m2)のウッドデッキを解体して、新たに人工木ウッドデッキを備えた場合の費用の目安です。

■ウッドデッキのリフォーム費用の目安
リフォーム工事の内容 費用の目安
ウッドデッキの解体・新設 天然木ウッドデッキを解体し、人工木のウッドデッキを設置する 約50万円〜70万円(施工面積約13m2

ウッドデッキ

耐震・断熱リフォーム

耐震リフォームの費用は、住宅の状態によって必要になる工事内容が違うため、一概にいくらくらいとは言えません。

また耐震リフォームを行う場合、壁を取り壊したりするので、同時に断熱リフォームや、内外装のリフォーム等も行うのが現実的です。

これらのリフォームをすべて行う場合、たいていは基礎や柱、梁などの構造(躯体)部分だけを残して改修するスケルトンリフォームを行います。こうすることで間取りを変更することもできます。

スケルトンリフォームで、耐震・断熱リフォームと内外装を一新した場合の費用の目安は下記の通りです。

■耐震・断熱リフォーム+内外装を一新したリフォーム費用の目安
リフォーム工事の内容 費用の目安
70m2・3LDKの一戸建てをスケルトンリフォーム すべての設備等を解体・撤去し、設備と内装すべてを一新 約1300万円〜

もちろん設備や床材等の選び方等などで費用は変わりますが、スケルトンリフォームを行う場合は、少なくともこれくらいの予算はみておいたほうがよいでしょう。

別荘のリフォームで活用できる補助金やローンは?

一般住宅なら一定の基準をクリアするリフォームを行えば、税金の優遇措置や補助金制度がありますが、別荘の場合はどうでしょうか。

別荘のリフォームで活用できる補助金は?

現在用意されているリフォームに関する税金の優遇措置や補助金制度は、基本的に「日常的な居住のための住宅」に対しての制度です。つまり別荘はそうした税金の優遇措置や補助金制度は使えないので、予算を組む際に注意が必要です。

別荘のリフォームに使えるローンには何がある?

基本的に別荘のリフォームにはセカンドハウスローンが使えます。また金融機関によってはリフォームローンの対象に別荘も加えている場合もあります。

選択肢も多いので、まずはどんなローンがあるのか、どれくらいの金利で利用できるかなどをあらかじめ調べておいたほうがよいでしょう。

別荘をリフォームした後の注意点は?

別荘のリフォームが完了してからが、ようやく待ちに待った別荘ライフのスタートです。ただし、頻繁に訪れることのない別荘だけに、やはり訪れた際の点検は欠かせません。さらに自宅と違って、別荘ならではの税金や管理費等もあります。下記で確認しておきましょう。

別荘は点検が重要

別荘に限らず、住宅は定期的な点検を行い、必要に応じてメンテナンスをしないと、どうしても傷みがちになります。施主自らが定期的に訪れることができれば一番よいのでしょうが、避暑を目的とした寒冷地の別荘などで、どうしても足が向かない時期もあると思います。

マンションであれば管理組合があり、その管理体制が整っていれば安心ですが、一戸建ての場合は、管理会社を見つけて管理を依頼するようにしましょう。

別荘地での管理は、地場の工務店等が管理も請け負っている場合が多く、もし地場の工務店にリフォームを依頼するなら、あわせて管理も相談してみましょう。

別荘ならではの管理費に注意

まず、マンションの場合は共有施設に管理費がかかります。例えば温泉の大浴場や、プールなどがある場合は、それに伴い管理費が高くなります。

一戸建ての場合は、道路の管理維持費や除雪費、街路灯整備費、ゴミ置き場管理費などがかかります。分譲地の場合、たいていはその分譲地の管理を請け負っている管理会社がありますから、そこに管理費として支払います。分譲地でない場合や分譲地でも管理会社がない場合、こうした費用はその地域の自治会費として徴収されるのが一般的です。

そのほか管理会社によっては夏季の草刈りや不在時の掃除、敷地内の除雪など、さまざまなオプションを用意していることがありますので、その別荘を販売している不動産会社や、管理を任せる管理会社等に確認しておきましょう。

リゾートマンションのプール

「別荘」と「セカンドハウス」では税金が異なる

「別荘」と「セカンドハウス」は一見同じように見えますが、税制上では違いがあり、それに応じて税金の額も変わります。

まず別荘とは「日常の生活の用に供しないものとして家屋またはその部分のうち、専ら保養の用に供するもの」のことを言います。日常生活を送るための家ではなく、避暑や避寒など保養のために使っている住宅ということです。

一方でセカンドハウスの場合は明確な定義はありませんが、おおよそ「月1日以上の居住の用に供するもの」と言われています。最近注目されている二拠点生活の二拠点目や、遠距離通勤者が自宅とは別に職場の近くに所有する住宅がこれに当てはまります。

つまり、保養のために使うのが「別荘」、毎月1日以上は日常生活のために使うのが「セカンドハウス」なのですが、それを認定するのは各自治体です。認定の基準は自治体によっても多少違います。

セカンドハウスと認められると、「固定資産税」「都市計画税」「不動産取得税」が軽減措置の対象となります。別荘は対象にはなりません。

そのほか、別荘を所有することでかかる税金は、別荘のある場所の住民税があります。また熱海市では「別荘等所有税」がかかります。

購入や相続する際に、各自治体に確認しておきましょう。

まとめ

日常を離れて、非日常を楽しむための別荘。それなのに設備や建物の不具合で現実に引き戻されては興ざめです。楽しい別荘ライフをかなえるためにも、しっかりと隅々まで確認し、早めにリフォームしておきましょう。

また、水まわり設備を最新のものに入れ替えるだけでも気持ちよく過ごせるようになります。キッチン・お風呂(浴室)・トイレ・洗面所の水まわり4カ所をリフォームする場合、リフォーム費用の目安は約400万円です。

特に購入や相続した別荘で、前の所有者がいつ何をメンテナンスしたのかわからない場合、手に入れたらなるべく早めにリフォームすることをおすすめします。リフォームすることで設備の耐用年数や、外壁の塗り替え時期の目安などが一度リセットされることになるので、後々のメンテナンス時期や費用を想定しやすくなります。

もちろん、非日常を味わうための別荘ですから、家族や友人とわいわい楽しめるキッチンや、住宅密集地では難しい眺望のよい浴室など、こだわりの仕様にリフォームするほど、滞在時の楽しみが増えるはず。行くのが待ち遠しくなる、そんな別荘にリフォームしてみませんか。

監修/一級建築士 柏崎文昭(甚五郎設計企画)
構成・取材・文/籠島康弘
イラスト/杉崎アチャ