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世田谷線に乗って、欲張りな人の街、三軒茶屋へ

著: はせおやさい 

一番長く住んだ街が、三軒茶屋でした。

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たくさんの思い出とエピソードがあって、今でも大好きな街です。最初は「職場に近いから」という理由だけで選んだのですが、暮らしてみると居心地がよくて、なんだかんだで、8年ほど住みました。小さな映画館や劇場があるし、TSUTAYAは深夜まで営業しているし、飲み屋や美味しいお店は数えきれないほどある。街を歩けば俳優さんやお笑い芸人さんとよくすれ違う、いかにもな「都会の街」です。

渋谷駅からは急行で1駅。ドラマや映画の舞台に使われたり、素敵なカフェやビストロも多いことから「おしゃれな街」というイメージがあるかもしれませんが、昔ながらの下町情緒を残すお店もたくさんあって、生活に密着した、とても住みやすい街なんです。

そして生活感あふれるお店が軒を連ねる一方で、狂言師・野村萬斎さんが芸術監督を務める劇場や、BLANKEY JET CITYなど多くの有名ロックバンドを生んだ老舗のライブハウスがあったり、芸術・音楽がとても身近に感じられる街でもあります。

親しみやすい下町の顔と、刺激的なライブ文化、そのどちらも楽しめる街。今回はわたしの目線でそんな「三軒茶屋」の魅力をご紹介できればと思います。

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とはいえ、わたしが実際に住んでいたのは、「三軒茶屋」から数駅離れた場所。三軒茶屋には歩いて行ける範囲でしたが、2両ほどの小さな路面電車「東急電鉄 世田谷線」を愛用していました。

一部の駅を除いて改札口がない世田谷線は、車内の運賃箱でお金を支払うスタイルで、日中はかなりのんびりした風情です。この電車が混むのは朝晩の通勤時間と、年に2回、世田谷線の上町駅近辺で開催される「世田谷ボロ市」の日くらいでしょうか。そのくらいおっとりとした、良い電車です。

今回、三軒茶屋についての記事を書くにあたり、「都会の街」である部分と、妙におっとりした、下町な部分の両方を紹介したいな、と考えた結果、久しぶりに世田谷線に乗りたくなりました。

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三軒茶屋はそれだけで素敵な街なのですが、そこにあの小さな世田谷線が通じていることでグッと魅力が増す、という気がしたからです。

ということで、世田谷線に乗って三軒茶屋まで、途中あちこち寄り道しながら、懐かしい街を歩いてみました。紹介する全部がわたしの好きな場所で、全部がおすすめの場所です。

途中下車の旅は「世田谷線散策きっぷ」がお得

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世田谷線は、その名の通り世田谷の東部を走る路線で、下高井戸駅(京王線に接続)から三軒茶屋駅(東急田園都市線に接続)まで10駅を結んでいます。

世田谷線の運賃は全区間一律150円ですが、途中下車するなら330円の「世田谷線散策きっぷ」がお得。迷わず買いましょう。窓口でチケットを購入すると、世田谷線版の「ことりっぷ」がもらえて便利! ぱらぱらめくりながら電車を待ちましょう。

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きっぷの裏には路線図と各駅の近くにあるスポットが紹介されています。世田谷線沿線は、神社仏閣が数多くあります。

下高井戸駅周辺で映画鑑賞&腹ごしらえ

今回は、どうせならスタートからゴールまで乗ろう! と思い、まずは下高井戸駅に。勢いあまって早起きしてしまったので、「下高井戸シネマ」で映画を観ることにしました。

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「下高井戸シネマ」は昭和30年代に「京王下高井戸東映」として開館した映画館。経営者の変更や改築、改名を経て、現在の「下高井戸シネマ」になりました。ピカピカの設備とはいきませんが、どことなく懐かしい雰囲気のある場所です。

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話題の新作から「あ!あれ見逃しちゃった!」という少し前の名作まで幅広く上映されていて、3500円の年会費を支払うと、招待券が2枚(更新時は3枚)もらえるほか、会員証を提示すればいつでも900円で映画を観ることができます。

映画のあとは、駅前の商店街へ。

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商店街をぶらぶらしたり、ノスタルジーあふれるお店で腹ごしらえをしたり。

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途中下車の旅で歴史に触れる

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さて、お腹がいっぱいになったら、いよいよ世田谷線へ。三軒茶屋に向かう前に、さまざまな歴史に触れることができる宮の坂駅で寄り道しました。

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駅から5分ほど歩いた場所にある「世田谷八幡宮」です。「宮の坂」という駅名や、「宮坂」というこの辺りの地名は、世田谷八幡宮の横にある坂に由来しているそう。

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境内には池などがあり、癒やし……。

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野外の土俵って、今ではちょっと珍しいですよね。昔は奉納相撲の勝敗で、豊作を祈願したり占ったそうです。この日はお天気もよく、土俵に落ちる日差しがとてもきれいでした。

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散策をした6月中旬ごろはあじさいの季節で、世田谷八幡宮を出て線路沿いを歩くと、たくさんのあじさいが咲いていました。山下駅から宮の坂駅までの間が見どころのようです。立派なカメラであじさいを撮影しているおじさんもいて、お互いあら、どうもどうも、という感じで会釈をして、そのまま線路の反対側へ。

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「豪徳寺」です。小田原線に「豪徳寺」という名前の駅もありますが、実は世田谷線の宮の坂駅のほうが近いのです。

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滋賀県彦根市のマスコットキャラクター「ひこにゃん」をご存じですか? 豪徳寺は「ひこにゃん」のモデルとなった、白猫伝説があるお寺なんです。売店でいただいた「招福猫児(まねきねこ)の由来」によると、鷹狩りの帰りに付近を通った彦根藩二代当主の井伊直孝が、猫に手招きされ寺でひと休みしたところ、たちまち激しい雷雨となったそうです。その縁をきっかけに、豪徳寺は井伊家の菩提(ぼだい)寺となったとのこと。

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ということで、お寺にはものすごい数の招き猫。

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ミニサイズのお守りもあり、せっかくなのでひとつ買いました。招福しておくれ~~~。

再び世田谷線に乗り、いよいよ三軒茶屋へ

お寺を眺めつつ、ぶらぶらと散歩したあとは、世田谷線に乗り込んで、びゅーんと三軒茶屋まで。

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まずは三軒茶屋でわたしが好きな場所のひとつ、「三軒茶屋バッティングセンター」に来てみました。ビルの隙間にひっそりとあるここへ行くには、ぐるぐる回る階段を上らなければいけません。それも含めて秘密の場所、という感じがして大好きです。

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以前、バッティングセンターの下には「三軒茶屋シネマ」という大変古い映画館がありました。2本立てで映画を観ることができたので、たまに来ていたのですが、座っていると屋根の上からドスン、ドスンとボールの落ちる音がするんですよね。うるさくて映画には集中できないんですが、なんだか間抜けで笑ってしまう。そういうところも大好きでした。

バッティングセンターで身体を動かしたら、三軒茶屋のシンボル「キャロットタワー」へ。

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キャロットタワーという名前の由来は、「外壁の色がニンジンに似ているから」というゆるさ。ビルの中にはオフィスのほか、食品店や雑貨店、TSUTAYAなどがあります。また、野村萬斎さんが芸術監督として携わっている劇場「世田谷パブリックシアター」や、小劇場の「シアタートラム」があり、カルチャーの香りもします。しかし、そこはいったん通過して、26階の展望ロビーへ向かいましょう。展望ロビーの入場は無料です。

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世田谷が一望できるこの景色が昔から大好きでした。高いところ、いいですよね。仕事でつらくなったり、悩みごとがあったりするとここまで昇ってきて、ぼんやりと時間を過ごしたりしていました。おじさんが日差しを浴びながら口をガバッとあけて昼寝したりしていて、とてものどかです。

同じ階にあるレストラン「スカイキャロット」からは、位置関係が幸いして、東京タワーとスカイツリーを一緒に見ることができたりもします(この日は貸切だったので入れませんでした、残念)。

さて、眺望を満喫したら地上へ降りて、茶沢通りをぶらぶら。「茶」「沢」とあるように、「三軒茶屋」と「下北沢」をつないでいます。この通りには、昔ながらのお店や美味しい飲食店が並んでおり、当時もよく歩きました。

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お肉屋さんや履物屋さん、そして通称「ゴリラビル」と呼ばれる建物を眺めながら、夕暮れの商店街を進むと、わたしが味噌の美味しさに目覚めた「坂本商店」さんの太子堂営業所があります。

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昭和25年ごろからこの地に店を構えていらっしゃるそうで、日本各地のお味噌を量り売りしてくれます。こういう古いお店があるのも、三軒茶屋の好きなところ。

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国道246号を越えた南側には、世田谷通りや茶沢通りのエリアとはまた違った風情の商店街が。

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三軒茶屋駅の南口を出て、栄通り商店街をまっすぐ進むと、こんな看板があります。伝説的バンド「JAGATARA(じゃがたら)」のボーカル・江戸アケミさんの言葉です。

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こちらは「フジヤマ」というレコード屋さんの上に掲げてあり、通りかかるたびつい見上げてしまいます。ちなみにこのお店、ロックバンド「BLANKEY JET CITY」のドラム・中村達也さんが店番をしていたことがあるそう。

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三軒茶屋には、BLANKEY JET CITYを生んだ「三軒茶屋HEAVEN'S DOOR」をはじめ、「Grapefruit Moon」「Space Orbit」など、さまざまなライブハウスやDJバーなどがあり、音楽の文化も色濃く存在しています。

夜遅くまで楽しめる街、三軒茶屋

さて日も暮れ始めたので、再び駅近くに戻ってきて、今夜の飲み場所探しです。まずは「すずらん通り商店街」へ。

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おしゃれなバーやレストランはありませんが、活気ある飲み屋と人の声でにぎわう通りです。

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「三軒茶屋でここに行ったことがない人はモグリ」とよく冗談で言われる有名店「味とめ」です。わたしも飲み会などでよくお世話になりました。店内は狭いですが、切り盛りするお母さんの代わりにお客さんが助け合って食べ物や飲み物を運んでおり、ワイワイと楽しいお店です。

今日は居酒屋とかそういう気分じゃないなあ……という場合は「エコー仲見世商店街」や「ゆうらく街」エリアへ移動しましょう。

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この地帯は戦後、闇市だったこともあり、所狭しと飲食店が連なっています。大きな居酒屋というよりは、小さな個店が寄り添っている通りです。

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奥の方はまるで迷路のように入り組んでいるのですが、何度出入りしても楽しくなれる一帯です。意外とお店の入れ替えがあるため、気になる新しいお店を物色しつつ、今夜は焼き肉にしました。

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隣の席に元世界チャンピオンのボクシング選手がいらっしゃり、ああ、三軒茶屋だなあ……と実感しました。

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たくさん歩いたあとのお肉はいいですね。

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お肉を堪能したあと、ハシゴ酒までしっかり遊んで解散しました。夜遅くまで楽しめる三軒茶屋は、2軒目、3軒目の候補に事欠くことがありません。

全部楽しみたい、欲張りなわたしにぴったりの街

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実はこの日、わたしと同じように長く三軒茶屋に住んだ人が同行していて、「三軒茶屋を住む街に選ぶ人って、どんな人だろうね?」という話になりました。

三軒茶屋のいいところは、渋谷から東急田園都市線の急行で1駅、各駅停車でも2駅という近さでありながら、ほどよく下町なところ。たしかに家賃は安くありませんが、ちょっと電車に乗るだけで映画や音楽、本など大量の文化にすぐ触れることができるアクセスの良さは、抗いがたい魅力です。行きたいライブや観たい映画、行きたいお店に足を運べたり、会いたい人に会えたり、どこでも気軽に行けます。

三軒茶屋は、そういう「やりたいこと」や「好きなこと」に貪欲な人が、少しくらい多めにお金を払ってでも住む価値のある街だ、と思います。一方で、商店街や神社仏閣など、ホッとする下町感もある。新しい文化や美味しいお店を追い求める「攻め」のスタイルと、昔ながらの雰囲気を愛する「守り」のスタイル、両方を一緒に叶えることができる、そんな街なのではないでしょうか。

今回の記事でも分かる通り、あれもこれも、ぜんぶ諦めたくない、ぜんぶ楽しみたい! と思う欲張りなわたしに、ぴったりの街だったのかもしれません。

好きな街の好きなところを書くのは楽しいな!
今日はそんな感じです。チャオ!

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(大興奮して撮った1枚……)

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著者:はせおやさい (id:hase0831)

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会社員兼ブロガー。仕事はWeb業界のベンチャーをうろうろしています。

一般女性が仕事/家庭/個人のバランスを取るべく試行錯誤している生き様をブログ「インターネットの備忘録」に綴っています。