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長野県戸隠で暮らし始めて、”趣味”との距離が近づいた

著: クリハラ  

東京駅から約90分、北陸新幹線の大体中間に位置する長野駅に降り立ちました。

2014年の春、東京でくすぶっていたわたしは、転職を機に長野に引越しをしました。昨今、言われている「地方移住」みたいなやつです。「自分の手で何かつくる仕事がしたい」という漠然とした、それでいて素直な気持ちに乗っかってみることにしたのです。

あの時の長野駅は、観光で降りたことのある長野駅とはちょっと違う風景に見えました。慣れない土地で新生活がスタートするぞという、そわそわしたフィルターがかかっていたのでしょう。

長野は1998年の冬季オリンピック・パラリンピックが開催された街。あとは「山」ですね。長野駅からもよく見えますが、とにかく山。もういいよ、ってくらいに山があります。そんな多くの山のひとつ、長野駅から車で45分くらいのところにある「戸隠」という街でわたしは暮らすことになりました。

「戸隠神社」はパワースポットとして人気があるし、今の時期は戸隠スキー場で楽しむ人が多く訪れます。

紅葉、野鳥観察、登山やキャンプなど季節を感じる観光のアクティビティは豊富にあります。それらのお客さんをもてなす「戸隠そば」も絶品です。

また、長野の戸隠には伝統的な工芸品である「戸隠竹細工」があり、古くは農具として、現在では民藝品として使われています。今、わたしは職人のひとりとして、それをつくる仕事をしています。ここは、わたしがくすぶらせていた「自分の手で何かをつくりたい」という直観がハマる街でした。また、小さいころに家族と何度か訪れていた場所でもあり、不思議な縁も感じました。

竹細工の一輪挿しを作りました #クレマチス #flower #purple #竹細工

Takeshi Kuriharaさん(@kurit3)が投稿した写真 -


人生のほとんどの時間を、関東平野で過ごしてきたわたしにとって、戸隠の風景は新鮮な驚きの連続でした。特にスケールの大きな自然を前にしたときの、吸い込まれそうになる感覚はとても楽しくて、春夏秋冬、一年中ワクワクしました。


いつも使ってる郵便局の近くにあったひまわり畑

長野に来て、もともと好きだった花や植物について、より興味深く観察するようになりました。わたしの住んでいる部屋は南向きなので明るく、室内で観葉植物を育てるのにとても良い環境です。もちろん自分自身にとっても。毎朝、霧吹きで水をやりながら、ガジュマル、モンステラ、オーガスタなどの成長ぶりに一喜一憂して楽しんでいます。


住んでるアパートの裏に生えてたツクシ

田舎暮らしと言っても、わたしが住んでいるのは賃貸アパートで間取りは1LDK。家賃は東京都港区の家賃相場(1LDK)の10分の1くらいです。桁違いです。

近所付き合いという意味で、バス停で会った全然知らない人とも、普通にあいさつをするので、最初はびっくりしました。よく考えたら何も悪いことではないし、びっくりする感覚の方が不自然ですよね。会ったらあいさつをする、というのは普通のことだと思うので、わたしもそうしています。

電気ガス上下水道は当然ありますし、壁が薄いこともないし、インターネットも繋がるし、積雪寒冷対策もされてるし、住む部屋については不自由さを感じません。


近所の真っ直ぐな農道と田んぼ

暮らす環境については「何もなくて不便でしょう」と言われることもあります。「全然気になりません」みたいに強がるつもりは無くて、確かに不便なところも多いです。ほとんど車移動の生活になってしまうし、飲みに行くお店もほぼ無いし、最寄りのコンビニまで30分くらいかかるし。夜中、急にしみチョコを食べたくなったときとか、ホントに困ります。

でもその代わり、満員電車でお腹が痛くなることもなく、自分で料理にも挑戦するようになったし(夏野菜をアヒージョにするとおいしいよ!)、夜はとても暗く静かなので晴れた夜は、星が綺麗に見えます。自分で選んだ街だから、良いところも悪いところもひっくるめて「こんなもんかな」と受け止めています。


アパートの駐車場から見た夜空

長野で住み始めて、仕事で記録するために持っていたカメラを、積極的に使うようにもなりました。日々変化する風景をファインダーという枠に収め、集めていく作業がオタク気質なわたしの性格に合っていたのだと思います。必ずカメラと共に出かけ、たまたま通りがかった農道でサクッと撮ったり、涼しい夏の夜に三脚を持ち出して星を狙ったり、のめり込むのに時間はかかりませんでした。


冬将軍が本気出した時

これらの写真はすべて、家の周りや近所で撮影したものです。普段何気なく見ていた風景を別の視点から見ることが楽しく、住んでいる街がカメラ1台でこんなにワクワクするなんて面白いなと思いました。

ここは長野駅から徒歩10〜15分のところにあるヤマモト写真機店。お気に入りの散歩コースにこのカメラ屋さんがあることは知っていたのですが、玄人向けっぽい雰囲気と、クラシカルなカメラに凝りはじめたら危険だな(お財布的な意味で)と思っていたので、入ったことはありませんでした。

株式会社 ヤマモト写真機店

それがちょっとした出来心から入店し、感じの良い店員さんの後押しもうけて、今では複数台のフィルムカメラを所有し、楽しむように……。

デジタルカメラに慣れていたわたしにとってフィルムのマニュアルカメラは難しくて、満足いく仕上がりになることは、まだまだ稀です。だけど、あえてフィルムカメラで撮る選択をして、考えて、試行錯誤して、それがうまくいった1枚が撮れたときは本当にうれしくて、ビールがとても美味しく飲めるのです。たぶん一生やっていく趣味だろうなあ、と思っています。

カメラ屋さんを覗いたあとは、近くの「山小屋」というお店でカレーを食べるのがわたしの定番です。トッピングの種類がとても多くて、毎回違うのを注文しています。どれも美味しいので、全部試してみたいと思っています。全然いつになるかわかんないですけど。あと、食後に付いてくるアイス。ヨーグルト風味のさっぱりしたあのアイスで締めるところまで、トータルで好きです。

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散歩コースをそのまま進むと、観光地としてだけでなく地元の方々にも親しまれている善光寺があります。善光寺さんを中心にした門前町は散歩するのにとても良いエリア。わたしも、2カ月に1回くらいのペースで訪れています。

その善光寺さんには、「牛に引かれて善光寺参り」というエピソードがあります。

《信心のない老婆が、さらしていた布を角にかけて走っていく牛を追いかけ、ついに善光寺に至り、のち厚く信仰したという話から》思ってもいなかったことや他人の誘いによって、よいほうに導かれることのたとえ。
牛にひかれて善光寺参り(ウシニヒカレテゼンコウジマイリ)とは - コトバンク

より詳しい話は、公式サイトをご参照ください。
第1回 牛に引かれて善光寺参り | 信州善光寺

三門の前には立派な牛の像が鎮座しています。丑年生まれのわたしは、何となくこの牛に愛着を感じていて、訪れると必ず写真を撮ったり、触ったりします。

牛に引かれたわけではないけれど、長野に引越してきたことをきっかけにカメラという趣味にハマり、今まで持っていなかった視点を得ることができたように思います。暮らす街を変えて3年が経ちましたが毎日、楽しんでいます。

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著者:クリハラ (id:kurit3

クリハラ

東京生まれ。長野県戸隠に移住して3年。ブログ「私的植物生活概論」にて写真と植物目線の暮らしを更新中。戸隠の伝統的工芸品の竹細工の職人見習い。アナログとデジタル、ハイブリッドなモノ作りを目指す。特に好きな花はアネモネ。

ブログ:http://kurit3.hateblo.jp/ Twitter:http://twitter.com/kurit3