「スマホには山梨の推しショットが詰まってるんです」。つばきファクトリー・河西結心さんが語る地元・山梨の魅力

取材、編集: 小沢あや(ピース株式会社) 原稿協力: 結井ゆき江 撮影:小原聡太

高校3年生でハロー!プロジェクトのオーディションに合格し、つばきファクトリーへ加入を果たした河西結心さん。「山梨の高校を卒業する」と決め、在学中は東京と山梨を行き来する生活だったそうです。

2022年8月にはメジャーデビュー5周年記念ライブ『つばきファクトリーの夏祭り 2022 ~灼熱~』を山梨県の河口湖ステラシアターで開催し、初の凱旋ライブも達成しました。「山梨は最高に住み心地がいい!」と語る河西さんに、地元の魅力を伺います。

東京から1時間半でアクセス可能ながら豊かな自然と食

―― 河西さんはつばきファクトリーへ加入後、高校3年生の間は山梨から東京へ通ったんですね。

河西結心さん(以下、河西):そうなんです。でも山梨って、実は県庁所在地のある甲府から新宿まで、特急に乗れば1時間半くらいで行けるんです。毎日通うのは大変な距離ですけど、できないことはないんですよ。

――意外と近いんですね。東京に住んでいると、山梨出身の方と知り合う機会って少ない気がして。みなさん地元が好きで、県外に出ないんじゃないか? なんて推測しているのですが、いかがですか。

河西:たしかに、そうかもしれないです! 友達は、「高校を卒業したら、県外へ行きたい」って言っていたけど、結局地元が好きで出ない子も多いですね。私も地元が大好きで、上京してからもよく帰っています。

――ずっとここにいたい、と思えるポイントは。

河西:山梨の魅力はたくさんあるけど、一番は「山なし」なのに「山あり」県で自然が豊かなところ。私の実家も山が近くて、幼いころからよく遊びに行きました。普段の生活でも、自然の豊かさを感じることばかりです。

――小さなころから自然の中で遊ぶことが多かったですか?

河西:私はサイクリングが好きなので、隣町までママチャリで1時間くらいかけて走っていました。天気のいい日は山の中にまで光が差すから気持ちがよくて、自然を感じるんです。


サイクリング中も富士山がドーン!:河西さん提供写真

河西:山梨では畑を所有する人も多くて、私も祖父の畑仕事や田植え、稲刈りを手伝っていました。りんごや柿、かぼちゃ、茄子……いろいろ植えてあるんですよ。天候も魅力的で、山に囲まれているから台風の被害が少ないんです。

それに、山梨はなにより、ザ・フルーツ王国なんです。桃狩りもぶどう狩りもできて、四季折々のフルーツを楽しめます。

――県内には、果物や野菜の直売所もたくさんありますよね。

河西:はい。私、フルーツが大好きなんです。上京してから、とくに違いを感じたのは桃ですね。東京って、柔らかい桃が好まれるじゃないですか。私は硬い桃が好きなんです。しかも硬ければ硬いほど、いい!


硬い桃の良さを力説する河西さん

――硬い桃が好きなのは、山梨県民あるあるなんですか?

河西:硬い桃って、鮮度がいい証拠なんです。山梨では畑の作物を物々交換することが多いから「地元ではいつももぎたてを食べていたんだな」と思います。

――なるほど。山梨といえば富士山ですが、河西さんの育った町からは見えましたか?

河西:見えました。私は山梨側から見える富士山が大好きなんです。もちろん、静岡側からも見えるんですが、やっぱり場所によってちょっと見え方が変わるんですよ。上京してからは、「富士山が恋しいな」ってよく思います。いつでも地元の富士山を見られるように、写真を撮ってるんです。スマホの中には、山梨の空や景色のデータがいっぱいです。


富士五湖から見た富士山の様子:河西さん提供写真

――河西さんも、山頂まで登ったことも?

河西:それが、まだないんです。今年か来年には挑戦したいですね。5合目までは車で登れるので、家族でドライブはしますよ。あまの屋の「富士山めろんぱん」が大好きで、行ったら絶対に買います!

地域で交流する、山梨独自の「無尽」文化

――ちょっと気になるんですが、山梨への移住を考えると、雪にハードルを感じる方もいらっしゃるかと思います。雪の日の県民あるあるは?

河西:山梨でも雪が積もる地域と積もらない地域があって、私が住んでいた地域はそこまで積もらないところだったんです。でも一度、大雪で車が止まっちゃったことがあって……。そのときは、周りにいたみんなが出てきてくれて、スコップを持ってきて雪かきをしました。困ったときにすぐに助け合えるのは、思いやりのある人が多い山梨だからこそだと思います。

――山梨では普段から地域の人が集まる機会が多いんでしょうか?

河西:「無尽 (むじん)」という文化があります。もともとは近所に住むおじいちゃん、おばあちゃんの集会だったんですけど、だんだん若い人にも浸透したみたいです。地域の人みんなでお金を積み立てて、一緒にお花見をしたり、バーベキューしたり、旅行したりするんですよ。

――独特の文化ですよね。別の地域からの移住者も、すぐに馴染めるでしょうか。

河西:馴染めますよ! 自分の本当のおじいちゃん、おばあちゃんみたいに気軽に話しかけてみてください。本当にみんなやさしいから。一度心を開けば、かわいがってくれるはずです。

ときどき料理を持ち寄って公民館みたいなところで食事をすることもあるんです。私も、知らない人がいたときは自分から話しかけていましたね。

――河西さんは初対面でも物怖じしない性格なのかな、と感じていたのですが、それも無尽の影響なのでしょうか?

河西:たしかに、あまり人見知りしないですし、活かされているかもしれませんね。

帰省すると、無尽の仲間から「応援しているよ」とよく声をかけてもらいます。それに、中高の友達も、つばきファクトリーのライブがあると、チケットを買って観に来てくれるんですよ。いつも地元の方が応援してくれて、すごくうれしいです。

ほうとう鍋はひとり一個所有!?

――河西さんにとってのソウルフードはありますか?

河西:山梨といえば「ほうとう」です。実家にはほうとう鍋がひとり一鍋あります。キッチンのコンロで煮たものを、みんなで食卓に並べていました。

――ひとり一鍋! ほうとう鍋は、関西人にとってのたこ焼き器みたいな感じなんですかね?

河西:そうなのかも! みんな「ほうとうはおうちで食べるもの」って認識ですね。友達と「お店へ食べに行ってみない?」と話すこともあるんですけど、つい自宅で食べちゃうから、うちのほうとう以外を知らないんですよね。

ほうとうは味噌によって味が変わるので、家庭ごとの味があるんです。私の実家はおばあちゃんの手づくり味噌を使っています。

――河西さんが、自分でほうとう鍋をつくることもあるんですか?

河西:ありますよ。祖母に教えてもらったレシピで、かぼちゃをたくさん入れるのがポイント。食べるときにかぼちゃをつぶすと甘くなっておいしいんです。

実家では普段の料理で使う調味料も山梨のもので、テンヨの「特選しょうゆ」や「だしつゆビミサン」が活躍しています。麺だと「はくばく」がおすすめです。

信玄餅が有名な山梨 密かなおすすめは「身延饅頭」

――ほうとう以外に、河西さんのおすすめの山梨名物を教えてください。

河西:有名なのは、「吉田のうどん」ですね。基本的には麺にコシがあって、歯ごたえがすごい! でも、お店によって麺の硬さなどにも違いがあるんです。新鮮な馬肉が入っているメニューもあって、山梨ならではですよね。よく父と一緒に富士五湖をドライブした後、色んなお店に行きました。

――吉田のうどんってたくさんの店舗数があるから、どこを選べばいいかわからないんですよね。

河西:毎回違うお店に行くのが私たち流で、地図上で検索したときに一番上に出てきたお店へ行くようにしていました。どこもおいしいので、まったく知らないお店に入っても、いつも満足できるんです。


吉田のうどん:つばきファクトリー オフィシャルブログより

河西:お食事だと、ほかには清里にある「ROCK」というお店のカレーも有名です。いつも行列ができるほど人気で、店内の雰囲気もよくて、なによりとってもおいしいですよ。

個人的に気になるのは「清泉寮」のソフトクリーム。まだ行ったことはないですけど、富士山を一望できる大展望テラスがあるそうです。今度帰ったときは、絶対に行きたいです!

――ぜひ! よく帰省しているという河西さんですが、メンバーへのお土産や差し入れの定番は何ですか?

河西:ベタですが、実家に帰ったら「桔梗信玄餅」を必ず買うので、いつも渡していますね。2022年に河口湖ステラシアターでライブをしたときは、楽屋にシャインマスカットをたくさん持っていきました。

――やっぱりフルーツなんですね。

河西:フルーツ以外にもおいしいものがたくさんあります。上京してから恋しくなるのは「身延饅頭」。幼いころはあまりお饅頭を食べなかったんですが、「身延饅頭」だけは自分から「食べたい!」って伝えて、両親によく買ってもらいました。

帰省したときに持って帰るのは、「井筒屋醤油」や、「はくばく」のほうとうですね。山梨の味が感じられるから、自宅に常備して重宝しています。

甲府駅近くだと、「涼ごこち 山梨県産白桃ゼリー」もおすすめです。最初はお土産のために買ったんですが、あまりにおいしくて、結局全部一人で食べてしまいました(笑)。あと、「入兆青果」のフルーツサンドも大好き! 帰省するときは必ず買います。


「入兆青果」のミックスフルーツサンド:つばきファクトリー オフィシャルブログより

河西:県内に3店舗ある「寺崎COFFEE」のカップケーキもおすすめです。本当に美味しすぎてびっくりしますよ。山梨には最近、おしゃれなカフェが増えていて、「マナカフェ」も素敵でした。

目指すは「山梨観光大使」

――河西さんって、本当に地元が大好きなんですね。上京するときは、かなり覚悟が必要だったんじゃないですか?

河西:そうですね。つばきファクトリーへ加入したのは高校3年生のときで、進路を考える時期だったんです。「ラストチャンスだ」と思って応募したけど、こんなに忙しい日々が待っているなんて、夢にも思いませんでした。

私にとって、東京はテレビや雑誌のようなキラキラしたイメージで、家族で買い物へ行くところだったんです。「いつか、この街並みに溶け込めるようになりたい」って憧れたけど、いざ山梨を離れるとなるとつらくて。だから忙しくても、高校卒業までは山梨で頑張りたいと思って、東京との二拠点生活に踏み切りました。

――最後に山梨県民として、今後の展望をお聞かせください。

河西:山梨でライブをもっともっとしたいです。山梨でコンサートする機会って、ほかの芸能人の方も少ないと思うんです。だから、つばきファクトリーから山梨のライブカルチャーを活性化していきたい。それに、ファンの方たちにも山梨を好きになってほしいから、ライブ帰りに食べに行けるうどんや温泉のリストも発信したいです。

あと、山梨では「信玄公祭り」に参列したいですね。私は女の子なので信玄公にはなれないけど、甲府の道を歩きたいです。

今の一番の目標は、山梨県の観光大使になること。私の知らない山梨のいいところがまだまだあると思うので、勉強して山梨の魅力をもっと発信できたらいいなと思っています。

お話を伺った人:河西結心

2003年7月30日生まれ。山梨県出身。2021年7月につばきファクトリーへ加入。10枚目のトリプルA面シングルとなる『間違いじゃない 泣いたりしない / スキップ・スキップ・スキップ / 君と僕の絆 feat. KIKI』が好評発売中。オフィシャルブログ

編集:小沢あや(ピース)