YOSAKOIソーラン祭りが、一歩踏み出す自信をくれた――稲場愛香さんの札幌愛。

取材・編集: 小沢あや(ピース株式会社) 構成: 結井ゆき江 撮影: 曽我美芽
2024年4月17日に、1stシングル『圧倒的LØVE/Pink Temperature』を発売する稲場愛香さん。北海道の札幌出身で、過去にはハロプロ研修生北海道のリーダーを務めた経験も。現在は『いっとこ!』(UHB 北海道文化放送)の月1レギュラーとして、地元の魅力を伝えています。

稲場さんに、札幌で過ごした幼少期や上京時の思い、ライブの思い出などを伺いました。

幼少期の札幌暮らし スキー合宿はちょっと憂鬱?


―― 札幌市は北海道の中でも都会的なイメージがあります。稲場さんは地元で、どんな幼少期を過ごしたんですか?

稲場:札幌は都会だと言われるけど、もちろん自然豊かな場所もたくさんあるんですよ。小学校の遠足では桜の名所でもある農試公園へ行ったり、五天山公園でバーベキューをしたりしました。冬はスキーが定番。学校のグラウンドやスキー合宿ですべりました。私はあまり得意じゃなくて「怖いな」って思っちゃうタイプなので、合宿は憂鬱でしたけど(笑)。

―― ダンスが上手でスポーツ万能に見えるので意外です。雪国で寒さが厳しいエリアですが、当時、稲場さんの地元ではどんなファッションが流行していましたか?

稲場:ほかの都市とあまり変わらないと思うんですが、フレグランスの「ボディファンタジー」やkitsonのスパンコールトートバッグがはやりました。特にトートバッグはダンスのレッスン着を入れるのに人気で、肩からかけて使うのが大人っぽかったんです。

北海道らしいな、と思うファッションは、一時期人気だったエナメル生地のリュックですかね。雪が降っても、サッと拭けばいいので、布地のリュックより扱いやすいんです。渋谷ではやっていたCO&LU(ココルル)も人気でしたよ。私はピンク色やもこもこしたシルエットのリュックをよく使っていました。

―― たしかに、防水とまでいかなくても扱いやすそうですね。スノーシューズも充実しているんでしょうか?

稲場:さすがに雪で足元が冷えるので、みんなブーツですね。当時は派手な色がはやっていて、私も蛍光色のブーツを履いてました。足先はほかほか、生足で膝は出す。雪対策をしつつ、オシャレを楽しんでいました。

―― 稲場さんがお買い物するときによく行った場所はどこですか?

稲場:2022年に閉店した札幌駅直結の商業施設「パセオ」にはよく行っていました。あとは、洋服屋さんが入っていたファッションビルの「4プラ(4丁目プラザ)」も。どちらも駅前の再開発でなくなってしまったので悲しいです。

色んなお店が集まっているので、やっぱり札幌駅周辺で遊ぶことが多かったです。札幌の繁華街を「マチ」、札幌駅を「サツエキ」と呼んでいたので、「マチへ遊びに行こう。サツエキ集合ね」と友達を誘っていました。

―― マチでは、どんなことをして遊んでいましたか?

稲場:買い物したり、ゲームセンターでプリクラを撮ったりしていましたね。札幌狸小路商店街にある地下のプリクラ機が地元で「盛れる」と有名で、中学生の頃はよく通っていました。

―― 稲場さんは幼い頃からオーディションなどで東京を訪れる機会が多かったと思いますが、札幌と東京の違いで印象的だったことはありますか?

稲場:東京は建物が大きいですよね。「札幌も都会でしょ」って言われるけど、高いビルがたくさん並んで密集している光景は衝撃的でした。

渋谷のスクランブル交差点やSHIBUYA109を初めて目にしたときは、「テレビで見た場所だ!」と感動しました。当時はファッションブランド「LIZ LISA」がはやっていたので、マネキンが着ているピンクと白のフリフリのトップスにデニムのミニスカートというコーディネートをSHIBUYA109でそのまま買って、北海道で参加するオーディションの一張羅にしていました。

あとは上京してから「自分の個性をもっと出して」と言われるようになったのには驚きましたね。札幌に住んでいたときは道産子ならではの控え目な性格で、争いごとを避けることがほとんど。私と同じように芸能界を目指す子も、「みんな一緒に頑張ればいいじゃん」という雰囲気でしたから。

冬でも変わらずダンススクールへ通う日々


―― 雪が積もって、子どもだけでは移動が難しい冬の間は、どんな生活をしていたんですか?

稲場:私はいつも通り、ダンススクールに通っていましたね。母が車で送迎してくれるのですが、移動時間が夏の倍かかるから早めに出ていました。

雪って眺める分にはきれいなんですよね。冬は雪景色が当たり前だったので、雪が降らないとクリスマスが来た印象をあまり感じないんです。ホワイトクリスマスが楽しめるところは雪がたくさん降る地域ならではの良さだなと、改めて感じます。東京にいると、年末を感じることがないままいつの間にかお正月がきて驚きます。

―― 東京だと、なかなか雪が積もりませんからね。

稲場:少しでも積もると「雪だるまをつくろう!」と盛り上がりますよね。ついつい「そんなに積もってないのにな」と思ってしまいます(笑)。1~2cmの積雪量でも東京は電車が遅延するので、そこはやっぱり北海道との違いを感じますね。

思い出のライブハウスは「札幌ペニーレーン24」


―― 幼い頃から札幌のダンススクールへ通っていた稲場さんは、きっと地元のイベントに出演する機会も多かったですよね。印象的だったイベントは何ですか?

稲場:地元のお祭りにはよく出演していました。トラックの荷台がステージに変わるトラックステージも経験しましたし、ローカルアイドルとして活動していた時代は、「さっぽろ雪まつり」にスキーウェアを着て出演したこともありました。寒くて、全身もこもこの服で踊ったのを覚えています。

私は4歳からダンススクールに通っていたんですが、小学5年生のときに本格的にダンスを極めようとEXILEさんの主催するダンススクール「EXPG STUDIO」へ通い始めたんです。イベントではEXILEさんの代表曲『Someday』『銀河鉄道 999』『Choo Choo TRAIN』などを踊ってきました。今でも当時のダンスは体に染みついていますね。バックダンサーとしてNHK紅白歌合戦に出演したこともあるんですよ。

―― いろんなステージに立ってきたんですね。思い出深い場所は?

稲場:「札幌ペニーレーン24」ですね。ダンススクール、ローカルアイドル、ハロプロ研修生、カントリー・ガールズ、Juice=Juiceと、毎回お世話になった場所なんです。ステージに立つたびに「前回はこんな気持ちだったな」と自分の成長が感じられたのが印象的です。

―― 北海道公演の際、稲場さんも楽屋で地元の名産を配るそうですが、どんなものを持って行くんですか?

稲場:出演人数が少ないときは、札幌市内で人気のパン屋「どんぐり」のパンを持って行きますね。あとは、蔵生の「ミルク生チョコ」。柔らかいクッキーみたいな食感の生サブレで個包装になっているので重宝します。それに、六花亭の詰め合わせを持っていくこともあります。

ハロー!プロジェクトに所属するアイドルが勢ぞろいするコンサートのときは、出演者が約70人と大所帯だから、数がたくさん入っていて配りやすい、きのとやの「札幌農学校 北海道ミルククッキー」をよく差し入れにしていました。おいしくて大好きなんです。

「王道の差し入れがいいかなぁ」と悩みつつ、母や祖母と一緒に「何にしようか」といつも考えています。

―― ライブの打ち上げで印象的なお店やメニューはありますか?

稲場:実はお店の名前をちゃんと覚えていないんですよ……何でもおいしい土地なので!サッと入ったお店でも地元の食材を使っていることが多いので、海鮮やホッケ、じゃがバターに塩辛がのっているメニューはどこもとてもおいしかったです。

夢を叶えて上京後、活動休止した時期も……地元で療養し、復活を遂げるまで


―― 地元が大好きな稲場さんだけに、上京するときは、寂しかったのでは。

稲場:上京当時は高校生でした。すでにハロプロ研修生として月に1度は東京へ通っていたし、地元の友達は小学校からずっと一緒で、私が芸能界を目指していることを知っている人がほとんど。だから、「愛香ちゃんはいつか東京へ行くんだよね」という雰囲気でした。上京が決まったときも、「いよいよ、お引越しだね」くらいの感じで、突然のお別れという雰囲気はありませんでしたね。でも、仲のいいお友達が学校中から「頑張ってね」のメッセージを集めてくれてDVDをつくってプレゼントしてくれたんです。

―― すてきなご友人ですね。ご家族の反応はいかがでしたか?

稲場:上京への反対はなかったけど、心配はされました。でも「できることはサポートするからね」と、力強く送り出してくれましたね。母は雪の厳しい時期はもちろん、長年ダンススクールの送迎を続けてくれて、二人三脚で私のことを応援してくれたんです。

―― 晴れてカントリー・ガールズとしてデビューした後、稲場さんはぜんそくによる体調不良のため、地元で療養した期間もありました。つらい時期だったかと思いますが、地元ではどんなふうに過ごしていましたか。

稲場:地元を楽しむ余裕がなくて、ほとんど自宅の部屋で過ごしていました。メジャーデビューという大きな結果が得られたところでの挫折だったので、自分に失望したんです。当時は19~20歳くらいで、友達の中には就職活動をしている子もいたから、これからどうしていこうかと途方に暮れていました。

―― 大きな挫折だったんですね。そこから、2017年にハロプロ研修生の北海道リーダーとして復活。2018年のYOSAKOIソーラン祭りにも出演されました。

稲場:とってもうれしかったです。YOSAKOIソーラン祭りは、実際にやってみると「よさこい」というより激しく踊るクオリティの高いダンスパフォーマンスという印象でした。よさこいに対する概念が変わりましたね。鳴子(なるこ)という楽器を持って踊るんですけど、ひらひらした衣装をさばくのが大変でした。

地元の方が多く集まるイベントですし、特に私はハロー!プロジェクトの看板を背負って出演したのでプレッシャーがすごくて。振り入れも「早く覚えなきゃ」って何時間も汗だくになって練習しました。そのおかげでメンバーからは、「ハロプロってやっぱりすごいね」「振りを教えてほしい」と声をかけられることが増えたのでうれしかったです。

―― その経験を経て、同年にはJuice=Juiceへ加入。二回目の上京のときは、どんな心境だったんですか?

稲場:YOSAKOIソーラン祭りの経験が本当に印象的で、「つらい練習を乗り越えたんだから大丈夫!」と思えました。Juice=Juiceへの加入後、体力や喉など心配はあったんですが、杞憂に終わりましたね。

グループとして札幌でライブができたときは、「こうやって、また活動できているよ!」と自分の姿を友達や家族に見せることができてうれしかったですね。

セイコーマートは「カツ丼とフライドチキン」が唯一無二!


―― やっぱり、稲場さんにとって札幌は大切な場所なんですね。帰省したときによく行くお店はどこですか?

稲場:必ず行くのは新千歳空港の「北海道ラーメン道場」です。東京へ帰るときは母が空港まで送ってくれるので、一緒にラーメンを食べて締めるんですよ。どのラーメンもおいしいけど、「札幌味噌拉麺専門店けやき」と「らーめん空」がお気に入りです。空港には「新千歳空港温泉」もあるので、いつも楽しく過ごしています。

あとはお寿司ですね。私は北海道でも東京でも回転寿司へよく行くんです。「回転寿し トリトン」が有名で、私はこのお店のマグロと炙りえんがわ焦がし醤油が大好き。ただ、混んでいて最低でも1時間は待つので、時間に余裕があるときに行くようにしています。

―― ほかにも、北海道のローカルチェーンで好きなお店はありますか?

稲場:やっぱり「みよしの」の「ぎょうざカレー」ですね。1週間帰れるなら、一度は食べたいです。カレーの上にぎょうざが3個のっているんですけど、母と訪ねたときは追加で「ぎょうざ」を頼んでぎょうざとカレーのハーモニーを2倍楽しみます!

あとは札幌ステラプレイスの6階にあるフードゾーンも大好き。7階にある映画館には幼い頃から通っていたんです。

―― 北海道といえば、コンビニ「セイコーマート」も人気ですよね。稲場さんの定番メニューはありますか?

稲場:セコマは店内でつくるホットシェフが最高ですよね。「カツ丼」と「フライドチキン」は唯一無二! カツ丼は単品で、フライドチキンはおにぎりとセットで買っています。私が好きなおにぎりの具は「明太子&マヨ」 と「チーズおかか」。昔、100円パスタとして販売していた麺類も好きで、「ナポリタンスパゲティ」「和風豚焼きうどん」もよく購入していました。

「今後は車の免許を取って、北海道中を巡りたい」


―― ハロー!プロジェクトには北海道出身のメンバーが多数います。道産子同士で交流することはありますか?

稲場:卒業後、集まる機会はあまりないのですが、ハロプロ研修生の北海道リーダーを務めていたので、当時の研修生がテレビに出演すると「頑張ってるなぁ」とうれしくなっちゃいます。見えないところで、絆が繋がっている感覚ですね。

同じく北海道出身でモーニング娘。OGの飯田圭織さんがMCを務める番組『キタに恋した!』(HBC北海道放送)にゲスト出演させていただく機会があるので、先輩と地元ならではのトークができるのはうれしいです。

北海道出身だからこそのお仕事につながっていくのはありがたいですし、これからも広げていきたいですね。月1レギュラーの『いっとこ!』(UHB 北海道文化放送)ではドラマや映画、札幌市のカフェを紹介する企画を担当しているので、まだ知らない市内のお店を発掘していきたいです。

―― これから地元で挑戦していきたいこと、プライベートでもありますか?

稲場:北海道をゆっくりと旅行したことがあまりないんです。これからはプライベートやお仕事で、いろんなところに行ってみたいですね。まずは王道の函館からかな。車の免許をまだ持っていないので、お仕事に絡めて、今年中に取れたらいいな。免許を取ったら、家族を連れて遠出したいです。

―― もし、カントリー・ガールズやJuice=Juiceの元メンバーと一緒に行くとしたらどこへ行きますか?

稲場:北海道といえばたくさん有名な場所がありますが、小樽ですね。小樽のライブハウス「otaru GOLDSTONE」はよくライブで利用するので、メンバーのみんなも差し入れなどで名物を食べているとは思うんですが、歩かないとわからないすてきなお店もたくさんあるんです。オルゴール専門店の「オルゴール堂」へ行ったり、食べ歩きを一緒にしたりしたいですね。


お話を伺った人:稲場愛香(いなばまなか)

1997年12月27日生まれ、北海道札幌市出身。2014年11月「カントリー・ガールズ」を結成。2015年3月にメジャーデビューするも、2016年に療養のためグループを卒業。2017年にハロプロ研修生の北海道リーダーとして活動を再開し、2018年6月よりJuice=Juiceに加入。2022年5月 Juice=Juiceを卒業し、現在はソロとして活動する。2024年4月17日、1stシングル『圧倒的LØVE/Pink Temperature』を発売。

取材・編集:ピース株式会社 構成:結井ゆき