ハリセンボン・近藤春菜さんがタワマン住まいの後に選んだ街「豪徳寺」。魅了された理由は?

取材、編集: 小沢あや(ピース株式会社) 構成: 伊藤美咲 撮影:小原聡太

人気お笑いコンビ・ハリセンボンの近藤春菜さん。都心部のタワーマンションに住んでいた春菜さんが、次に選んだ街は豪徳寺でした。

利便性重視の暮らしから、ややローカルな豪徳寺エリアを選んだ理由はどこにあるのでしょうか。豪徳寺から離れた今でも「大好きな街」と語る春菜さんが惹かれた理由と行きつけの店、街の人々との交流の仕方についても伺いました。

都心部のタワマンから豪徳寺へ。小田急線沿いに「帰ってきた」安心感

―― 春菜さんは都心部のタワーマンションから、突然小田急線沿いの豪徳寺へ引越したそうですね。これまでとは暮らしもガラッと変わったのではないでしょうか。

近藤春菜さん(以下、春菜):地元が狛江市なので、昔から小田急線の狛江駅と喜多見駅を利用していたんです。おじいちゃんが小田急電鉄に勤めていたので、小さいころは電車といえば小田急線しかないと思ってたくらい。

春菜:だから豪徳寺に引越して再び小田急線ユーザーになったときは、「帰ってきたな」という印象がありました。背伸びして住んでいたタワマンから引越してきたので、豪徳寺は実家のような安心感がありましたね。

―― 豪徳寺はありのままで過ごせる街だったんですね。

春菜:商店街のお店に入ると、「いらっしゃい」ではなく「おかえり」って言ってくれるんです。だから芸人としてではなく、オフの「近藤春菜」としていられました。仕事柄、人が多いところやにぎやかな現場にいることが多いので、落ち着きたいときは豪徳寺の静かな遊歩道を歩くことでリラックスするときもありました。小田急線のこのエリアは駅の間隔も短いので、隣の駅までも歩いてすぐ。梅ヶ丘の店にも、よく行っていました。

「人との触れ合いが心に染みた」豪徳寺の一番の魅力は人の温かさ

―― 有吉弘行さんも豪徳寺に住んでいた時期がありますし、ほかの芸人さんからも、豪徳寺が好きだという声を聞きます。みなさんがこの街に惹かれる理由はどこにあると思いますか?

春菜:私は豪徳寺で素敵な老夫婦に出会ったことがきっかけで、「絶対にこの街に住みたい」と決意して引越しました。住んでから「実は芸人が多い街」と知ったんですが、なんでみんな豪徳寺を選ぶんでしょうね?私は、この街の人の温かさに惹かれました。実家が二世帯住宅でおじいちゃん・おばあちゃん子だったので、人との触れ合いがすごく心に染みたんですよね。豪徳寺〜梅ヶ丘はファミリー層やおじいちゃん世代の方々も多い街なので、ほっこりするんです。

―― 地域の方々はテレビなどを通じて春菜さんのことを知っている方も多いと思いますが、どのように交流を深めていったのでしょうか?

春菜:知っていただいているからこそ、みなさんから声を掛けてもらえるんですよね。若い人が多い都心に住んでいたころは、雑に声を掛けられて嫌な思いをしたこともあったんですけど、豪徳寺の人々は声の掛け方が気持ち良かったんです。だからフラットにお話できましたし、街になじむスピードも早かったのかなと思います。仕事の合間にごはんを食べに行くと「この間のテレビ見たよ」とか「うちの息子が〜」といろんな話をしてくれて、すぐ仲良くなりました。

―― みなさんが春菜さんのことを知ってるとはいえ、そこまで街に溶け込めるのはすごいですね。

春菜:それは狛江に住んでた経験が大きいと思います。今の家はお隣さんのことも知らないですけど、小さいころから実家の近所の人とはよく話していたので、それの延長という感覚です。「豪徳寺の街に住んでいる人は仲間だ」という意識がありました。

―― 仕事以外の時間でも「芸人らしくいなきゃ」「気が抜けないな」と思うことはなかったですか?

春菜:なかったですね。私はアイドルではないので、どの面を見られても「芸人ってこんな感じなんだ」って思ってもらえるんですよ(笑)。とくに、梅ヶ丘エリアの「ヒミツキチ」というガラス張りで外からも見えやすい居酒屋にも、気兼ねなく行ってましたね。むしろ自分が芸人であることを忘れられていたのかもしれません。

中華屋にお肉屋に定食屋。行きつけのお店は「絶妙な距離感が心地よい」

―― 春菜さんの行きつけのお店を教えてください。

春菜:街中華の「代一元」はよく食べに行ってましたね。いつも頼んでいたのはマーボーメン、半ライス、半餃子。その隣にあるお肉屋さん「鳥武商店」では焼き鳥やクリスマスのチキンを買いましたし、友達が鶏肉を買って水炊きをつくってくれたこともありました。あとは定食屋さんの「いなだ」で旬のお魚や卵焼きを食べたり、わんちゃんと入れる「ピコンバー」っていうカフェにも行ったりしていて。

よく買っていたのは、「からあげ天」のからあげや、梅ヶ丘にある「寿司の美登利」のお寿司。ほかには「浜口水産」の五島列島の素材を使ってつくられたかまぼこや、梅ヶ丘駅前の「アルパジョン」のケーキと手土産用のリーフパイも買っていました。

―― たくさんお店に足を運ばれていますね。春菜さんがお店をリピートする基準は?

春菜:ごはんが美味しいことと、居心地の良さですね。通っていたお店の方々は、気にかけてくれるけど、ほっといてくれる部分もあって。絶妙な距離感がよかったです。

―― お店はどのように開拓していったのでしょうか。

春菜:住人同士が繋がっている街なので、ごはん屋さんがおすすめのバーを教えてくれたり、「この店知り合いがやってるんだよね」って紹介してくれたりするんですよね。通りがかっただけではわからないような飲み屋さんも、たくさん教えてもらいました。

豪徳寺でごはんを食べたあと、ちょうど地下のバーから出てきたおばさまに「春菜ちゃん!ここ飲みに行きなよ!すごく楽しいから!」と突然お店を紹介されたこともあります。ノリで入ってみたら、DJの流す音楽に合わせて踊っているようなところで。面白くて、私も一緒に踊っていました。

―― 楽しそうですね!でも、「入って大丈夫かな?自分に合わなかったらどうしよう」と心配になることはなかったですか?怖いかも……とか。

春菜:全然なかったですね。むしろ「おもろっ!行ってみたい!」って感じで(笑)。街への偏見になってしまうかもしれないですけど、例えば渋谷の若者に「飲み行こうよ」って言われたら「怖いな」と思っちゃうんですけど、豪徳寺のおばさまに悪い人はいないだろうと(笑)。純粋に「街のいいお店を紹介したいんだろうな」と思いました。

―― 食材や日用品の買い物はどこでされていましたか?

春菜:梅ヶ丘エリアには「Odakyu OX」「サミット」「ワイズマート」の三つのスーパーがあったので、コロナ禍で自炊せざるを得ない状況だったときは、すごく助かりました。よく利用していたのは「サミット」で、魚や肉を選ぶときは、ちょっと遠くの「オオゼキ」も利用していましたね。

一時期、「台風が来るからガスカートリッジを準備した方がいい」と言われたときがあったんですけど、サミットにもオオゼキにも売ってなくて。「ワイズマート」でやっと買えたときは、「ワイズ、さすがだな!」と思った記憶があります(笑)。最初に行ったスーパーで目当てのものが売ってなくても、ほかの店とハシゴしやすかったので便利でした。

豪徳寺は一人暮らしを始めるにもおすすめな街

―― お話を聞いて、春菜さんの豪徳寺〜梅ヶ丘への愛をたくさん感じました。最近またお引越ししたそうですが、なぜ大好きな街を出てしまったのでしょうか。

春菜:5年間MCを担当していた「スッキリ」の卒業をきっかけに、「すべての環境をガラッと変えたい」と思ったんですよね。そのためには住む場所も変えるべきだと思って、出ることを決めました。引越してからも、豪徳寺はすごく好きな街です。今でもたまに飲みに行きますし。日々ライフスタイルや心境が変わっていく中で、豪徳寺はそのときの自分にすごく合っていたのだと思います。

―― 豪徳寺は、これから一人暮らしを始める方にもおすすめな街だと思いますか?

春菜:めちゃくちゃおすすめです。治安が良いので、初めて一人暮らしをする学生さんも親御さんも安心して住める街だと思います。

お話を伺った人:近藤春菜さん(ハリセンボン)

1983年2月23日生まれ。東京都出身。東京NSC同期生の箕輪はるかさんとお笑いコンビ「ハリセンボン」を2003年に結成し、数々のバラエティ番組などに出演。最近は声優としてゲームソフト「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン」のキャラクター「フルッカ」を担当し、大きな話題に。

取材、編集:小沢あや(ピース)