アイランドキッチンに交換する場合のリフォーム費用の相場と、メリット・デメリット、収納を設ける方法を解説。アイランドキッチンとペニンシュラキッチンの使い勝手の違いや、リフォームの実例も紹介します。

記事の目次
アイランドキッチンとは?
アイランドキッチンは、両端が壁につかない、文字どおり「島」のような形をしたキッチンです。
キッチンの両側を人が行き来できるのがアイランドキッチンの一番の特徴です。複数でキッチンを囲んで料理や片付けをできるので、家族のコミュニケーションが取りやすく、ホームパーティーにも向いた形状です。
アイランドキッチンには、2つのパターンがあり、1つはキッチン全体がアイランド形状の対面キッチンになっているタイプ。もう一つは、コンロ側は壁付けで、シンク側だけが対面になっている2列型のタイプです。2列型のほうは、キッチンを設置するスペースの間口にゆとりがないときに有効なスタイルです。
アイランドキッチンは、使い勝手の特徴のほか、何といっても見た目がおしゃれになるという特徴があります。
アイランドキッチンは、そもそも見せることを意識したキッチンなので、商品的にもどちらかといえば高価格帯に多く、デザインや仕上げに凝ったものが多いです。
ちなみに「ペニンシュラキッチン」といえば、キッチンの片方が壁についた「半島型」のキッチンを指します。こちらも対面キッチンが一般的です。

アイランドキッチンのメリットは開放性
アイランドキッチンの一番の特徴は、両端が壁についていないので、どちら側も人が行き来できることです。複数がキッチンに出入りするホームパーティーのときなどには、その開放性が活きてきますね。
また、対面式なのでキッチンにいてもダイニングやリビングにいる人と会話しながら作業ができます。
さらに、アイランドキッチンはオープンでスタイリッシュなタイプが多いので、キッチンがおしゃれな空間になり、見栄えがします。

アイランドキッチンの3大メリット
1.両側が壁につかないので複数で料理ができる
2.対面式なのでコミュニケーションがとりやすい
3.オープンでおしゃれなキッチンになる
アイランドキッチンのデメリットは広いスペースが必要なこと
アイランドキッチンは両側に通路を確保しなければいけないため、スペースにゆとりがないと、設置できない場合があります。両側を行き来する必要を感じない場合は、通路の一つはただのデッドスペースになってしまい、もったいないです。
また、開放感がある反面、キッチンが丸見えになってしまいます。人の目を意識して常にキッチンを片付けておかなければならないので、片付けるのが苦手という人には向いていません。
フルオープンなキッチンだけに、キッチン本体の側面を全て仕上げる必要があります。また、どこからでも見られるだけに、デザイン性の高いキッチンが採用されることが多く、リフォーム費用が高くなりがちです。
アイランドキッチンの3大デメリット
1.スペースにゆとりがないと設置できない
2.丸見えなので片付けが欠かせない
3.リフォーム費用が高くなる
アイランドキッチンに多いフラットタイプとは?

アイランドキッチンをスッキリみせる収納のつくり方
アイランドキッチンは一般に吊戸棚を省いて開放感を強調します。その場合、収納スペースをどこかに設けなくてはいけませんが、下の写真のようにキッチンの背後や横の壁面を活用することが一般的。そのためのスペース確保も考慮しなければいけません。
写真のキッチンのように、キッチン本体のダイニング側にも収納が設けられている場合があります。
扉のカラーをキッチン本体と対比させてコーディネートを楽しめるのもアイランドキッチンならではといえるでしょう。

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気になるアイランドキッチンの油はね対策
壁をつくらないアイランドキッチンの場合の油はね対策に利用するのは、写真のようなガラスパネルです。コンロの前に置いて、透明で開放感を維持しながら、油がダイニング側にはねるのを防止します。これがあれば油はねはそう気にする必要はありませんね。

アイランドキッチンに交換するリフォーム費用・価格は?
アイランドキッチンはキッチン本体の天板が広く、側面も全て仕上げてきれいにしているという理由から、機器本体の価格がI型などより高くなります。
それに加えて、アイランドキッチンの場合はその場で交換というケースはまれで、多くは壁付け型などから位置を移動するので、間取り変更に伴う解体工事や給排水管・換気ダクトの延長・移設、内装工事などの関連工事を伴います。
以下にI型キッチン(壁付け)からI型対面キッチンに変えた場合と、アイランドキッチンに変えた場合でリフォーム費用の相場を比較してみました。
| キッチンの型 | リフォーム費用相場 |
|---|---|
| I型 | 約150万円~240万円 |
| アイランド型 | 約190万円~240万円 |
上記リフォーム費用の違いは主にキッチン本体の価格差によるものです。当然、周辺収納を加えたり、機器や内装のグレードを上げたりすれば、リフォーム費用はもっと高くなります。
上記のリフォーム費用をベースに、予算に合わせて収納の追加や機器、内装などのグレードを調整しましょう。
狭い間取りでもアイランドキッチンにリフォームする方法
アイランドキッチンはスペースにゆとりが必要と述べましたが、実は間口が狭い空間でもアイランドキッチンにできる方法があります。それはキッチン本体をコンロのある部分とシンクのある部分に分けてⅡ列型にすることです。
Ⅱ列型なら、間口が180cm程度あればよいので、シンク側をダイニングに向けて、コンロ側を壁付けにすることで、間口の狭い空間でも両側に十分な広さの通路を確保することができます。
わが家のキッチンは狭いからアイランドは無理そうと思っていた方も、Ⅱ列型で検討してみてはいかがでしょうか。

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アイランドキッチンのリフォームはDIYできる?
キッチンのリフォームは、電気工事、水道工事など有資格者でなければできない工事を含むので専門業者以外の人には多くのことはできません。
例えば、既存の壁付けキッチンを移設してアイランドキッチンにするといった本格的な工事は有資格者でない一般の人のDIYではできないと思ってよいでしょう。
キッチンのDIYでできるのは、既存のキッチンを動かさず、表面の化粧をしなおす、つまり収納扉の表面のシートを張り替えたり、既存のシートの上から新しいシートを上張りしたりといったことだけです。
この方法なら、ホームセンターなどで売られている扉用のシートを必要なサイズにカットして張っていくだけですから、DIYに慣れている人には容易で、しかもキッチン本体には影響がありません。経年変化で汚れた扉も張り替えればすっかりきれいになります。
シートの張り替えや上張りはキッチンリフォームとしては低コストなので、賃貸住宅などの模様替えでもよく用いられる方法です。
壁付けキッチンを新たにアイランドキッチンに変えるといった工事は、電気、水道、換気などさまざまな工事がからみます。設備工事の経験が豊富なリフォーム会社に依頼しましょう。
アイランドキッチンのある間取りにリフォームする相場は?
面積が増えると必然的に増えるのが内装のリフォーム費用です。
標準的な材料で内装を一新する場合、10m2(約6畳)で床約10万円~15万円、壁・天井約5万円~10万円となります。床・壁・天井のリフォーム費用を合わせると6畳の内装費は約15 万円~25 万円になりますね。
前述のアイランドキッチンのリフォーム費用相場は6畳程度で試算していますが、これが倍の12畳で試算しなおす場合は、内装費を倍にします。 下記は内装費を12畳とした試算です。
| キッチンの型 | リフォーム費用相場 |
|---|---|
| I型 | 約160万円~265万円 |
| アイランド型 | 約200万円~265万円 |
上記は、複合フローリング、ビニールクロスなど標準的な内装材料を使った場合で、むく材や塗り壁を採用すればもっと上がります。さらに、これに収納や照明工事なども加わります。
つまり実際にかかるリフォーム費用は、施主のやりたいことに応じて決まってくるので、リフォーム会社と打ち合わせて見積もりをもらうまでは確定しないということを覚えておきましょう。
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ペニンシュラキッチンとアイランドキッチンとの違いは?
ペニンシュラキッチンは、キッチン本体の片側が壁についていて、そこから半島のように空間に突き出ているというイメージで、こう呼ばれています。
ペニンシュラキッチンは対面キッチンではよく見られるカタチですが、アイランドキッチンのように両側に通路がありません。その分、スペースが狭くても設置できるのが一番の特徴です。
壁付け型のキッチンを使って、ダイニング側に腰壁を造作するスタイルと、フラット対面キッチンを設置するケースがあります。価格的にはフラット対面キッチンのほうが高くなるケースが多いです。


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アイランドキッチンのリフォーム実例
ここからはアイランドキッチンを採用した素敵なリフォーム実例を見ていきましょう。
夫婦で料理を楽しむため高さ90cmのアイランドキッチンにリフォーム
キッチン本体の両側を人が行き来できるアイランドキッチンは、複数の人が料理や後片付けをするのに最適です。
この事例は、和室を撤去してリビング・ダイニングに一体化、広いLDKをつくるとともに、キッチンは位置を空間の中央に移動してアイランドキッチンに変更しました。
オープンながらも独立した印象をとの希望に沿って、キッチン部の天井を一段下げ黒い壁紙を張るという工夫も。背面の金屏風をイメージした壁紙がインパクトを与え、和モダンな仕上がりになっています。

【DATA】
リフォーム費用:170万円(概算)
リフォーム部位:キッチン+収納
建物種別:マンション
築年数:23年
設計・施工:アクアラボ
眺望を楽しむ開放的なアイランドキッチン
以前は独立型の閉鎖的なキッチンでしたが、眺望を楽しみながら料理をしたいという希望で、開放的なアイランドキッチンに変更しました。
換気ダクトや照明配線のため、キッチンの天井を下げて、木質感豊かな仕上げとしています。
キッチン本体のダイニング側にしっかり収納をとり、背面にはカウンター収納を充実させ、使い勝手を向上しました。

【DATA】
リフォーム費用:250万円(概算)
リフォーム部位:キッチン+収納
建物種別:マンション
築年数:14年
設計・施工:フレッシュハウス
動線のスムーズさに惹かれアイランドキッチンに
アイランドキッチンは、両側を行き来できるスムーズな動線と広い天板が特徴。
料理好きには作業スペースの広さが好評です。
この事例は娘夫婦が2階に住むにあたり、子育て中のためスムーズな動線にこだわり、結果的にアイランドキッチンを選択しました。
天板が広いため、思う存分料理ができ、デザイン性のよさも気に入っています。

【DATA】
リフォーム費用:200万円(概算)
リフォーム部位:キッチン+収納
建物種別:一戸建て
築年数:25年
設計・施工:ビーバーリフォーム
壁付けからアイランドキッチンに
家族の憩いの場としては狭かったLDKを和室を取り込むことで広く開放感いっぱいの空間に。
キッチンには左右どちらからでも入れるようにアイランドキッチンにしました。
料理や片付けをしながら家族の様子も見守ることができるようになり、会話も弾むようになりました。

【DATA】
リフォーム費用:150万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:マンション
築年数:41年
設計・施工:ROOM73/リノベ不動産
セミクローズドから開放的なアイランドキッチンに
中古マンションを購入し、和室を取り込んで広いLDKにリフォーム。
その際にセミクローズだったキッチンは、配管のために床を20cm上げて位置を移動し、オールステンレスのアイランドキッチンにしました。コンクリートむき出しの壁を中心に無機質な雰囲気を演出しました。奥にはたっぷり収納できるパントリーも設けています。

【DATA】
リフォーム費用:150万円(概算)
リフォーム部位:キッチン+レンジフード
建物種別:マンション
築年数:33年
設計・施工:ハコリノベ(サンリフォーム)
床を一段上げて腰壁付きのアイランドキッチンに
腰壁をつけると壁付け用のキッチンをアイランドキッチンにすることができます。
そのメリットは、低コストでアイランドキッチンにでき、腰壁によって手元が隠れるので、フラットなタイプと比べダイニング側からの視線を気にしなくてよいことです。
この事例は、独立型だったキッチンを床上げによって配管を通し、大きく位置を移動。
ダイニング、リビングへの動線がスムーズなアイランドキッチンに変えました。
コンロまわりは、壁で覆わず、ガラス窓にすることで視界を遮らず、アイランドキッチンらしさを活かしたリビングとの一体感のある空間になっています。

【DATA】
リフォーム費用:80万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:マンション
築年数:20年
設計・施工:ROOM73/リノベ不動産
子どもを見守れるアイランドキッチン
LDK全体を見渡せる位置に設置したアイランドキッチン。
調理スペースの広さや動線に夫妻ともに満足しています。
キッチンの隣に子どもの勉強コーナーがあり、キッチンに立ちながら勉強を見守ることもできます。
キッチン背面にはカップボードを設置し、欲しいところに収納スペースがあり、スッキリしたキッチンまわりをキープできています。

【DATA】
リフォーム費用:110万円(概算)
対象部位:キッチン、カップボード
建物種別:一戸建て
築年数:30年
設計・施工:一級建築士事務所 上野工務店
まとめ
アイランドキッチンへのリフォームについて述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。
同じI型の対面キッチンでありながらペニンシュラキッチンとは、大きな違いがあります。
アイランドキッチンのメリット・デメリットやリフォームにかかる費用を理解したうえで、アイランドキッチンのよさを引き出せるようなリフォームプランを検討してみましょう。
構成・取材・文/林直樹