栄総合9位

昨年の12位から9位にランクアップしたのは、名古屋のメイン商業地である栄。2014年は「フォーエバー21」や「ストラディバリウス」、「アメリカンイーグル アウトフィッターズ」のようなカジュアルファッションの店が入った商業施設「名古屋ゼロゲート」が栄ミナミエリアに誕生。久屋大通沿いには、花と緑に囲まれたガーデン内にレストランやカフェ、雑貨ショップが入居する「久屋大通庭園フラリエ」がオープンした。ほかにも駅前に地上12階建ての商業ビルが建設され、メインテナントとして「ドン・キホーテ名古屋栄店」が開店。周辺では希少な24時間営業であり、新たなランドマークとしてにぎわっている。話題性が高かったことが、栄エリア人気再燃の理由だろう。

さらに2015年3月27日には、「名古屋パルコ」の新ビル「ミディ」がオープンしたばかり。パンケーキブームを巻き起こしたハワイのカフェレストランやニューヨーク発のセレクトショップなど、名古屋初登場のテナントが入居する。また2015年春の竣工を目指し、栄三丁目では「（仮称）S3プロジェクト」が進行中。地下1階地上7階建てのビルに「丸善 名古屋店」などが出店予定なので、周辺のビジネスパーソンに重宝されそうだ。

栄駅は市内を東西に走る名古屋市営地下鉄東山線と南北に走る名城線が乗り入れる。名古屋駅へは東山線で5分の距離。「オアシス21」内にバスターミナルもあり、市内の各エリアへのアクセスが良好だ。名古屋市営地下鉄名城線久屋大通駅とは地下街でつながっているため、雨降りや寒い日でもウインドーショッピングが楽しめる。現在は地下街「セントラルパーク」が2015年秋に向けて大幅にリニューアル中。周辺住民の増加に対応し、すでに輸入食材店やコンビニエンスストアが開店している。

エリアの中心を南北に貫く久屋大通は、幅100mのメインストリート。名古屋テレビ塔や公園、噴水広場を含み、木々の緑に癒やされる。広く知られた商業地区でありながら、ゆったりと散策もできる街並みが魅力だ。「愛知芸術文化センター」や「名古屋市科学館」もあり、文化的な側面も併せ持つ。

久屋大通の西側を並行して走る大津通は、週末に歩行者天国を定期開催。栄交差点から矢場町北交差点までの約700mが車両進入禁止になるため、歩行者は開放的な気分でウインドーショッピングが楽しめる。2015年春も開催が決定している。

暮らすにあたり気になるのが食料品の買い物。少し前まで栄エリアにはスーパーがなく、デパ地下で食料品を買うという概念があったが、2010年、久屋大通沿いにおしゃれなスーパー「ナゴヤ キッチュ エ ビオ」がオープン。生鮮食品はもちろん、オーガニック食材や珍しい輸入品も手に入る。また、毎週土曜日は商業施設「オアシス21」でオーガニックの朝市が開催されるので、散歩がてらのぞくのも楽しい。

そんな栄地区の住宅街といえば、「東区泉1」や「東区泉2」。久屋大通や桜通と隣接するエリアだが、大通りを1本入れば静かな環境が広がるので、近年はタワーマンションも増えている。周辺は飲食店が豊富なだけでなく、公園や児童館、病院といった子育て世代にうれしい施設もそろっている。

家賃は駅から徒歩9分築10年3LDKのマンションで15万円。徒歩7分築14年1LDKのマンションで7万5000円。分譲の場合は徒歩10分の2LDK〜3LDKの新築マンションが2990万円〜4100万円台。戸建ては新築・中古ともに見つけにくいエリアとなっている（SUUMO掲載情報より抜粋、2015年3月2日時点）。

また名古屋市では「栄地区グランドビジョン−さかえ魅力向上方針−」として、2027年のリニア中央新幹線開業に向けた、栄地区のまちづくりの基本方針を打ち出している。現在利用されていない地区の開発や、老朽化したビルなどの建て替えを中心に、久屋大通公園と沿道とがより一体化するような空間形成や周辺の再開発を行うとしているので、今後の動きに注目したい。

また、名古屋駅から栄駅へ多くの人を誘引するべく、区間の動線の強化を検討。それに伴い、栄駅と名古屋駅との中間エリアも変化中だ。その一つである伏見エリアでは地上40階建ての「（仮称）栄一丁目御園座共同ビル計画」があり、歌舞伎の顔見世公演などが行われていた御園座のビルの建て替え工事が進んでいる。2017年冬ごろに共同住宅や劇場がオープン予定。さらに納屋橋エリアでは「納屋橋東地区市街地再開発事業」が進み、2017年夏ごろを目指し高層マンションや商業棟など4棟を建設する。また、納屋橋エリアには新駅建設の構想も上がっている。

トレンドに敏感で、ライフスタイルの感度が高い層からニーズがあり、再開発が期待される栄。今後どれだけ飛躍を遂げるのか楽しみだ。