調査開始以来5年連続で1位に君臨していた吉祥寺が、初めてトップから2位に。昨年はシングル、DINKS、ファミリーと全てのライフステージで1位だったが、今年はDINKSが2位、シングルは4位となった。吉祥寺駅のリニューアルや「キラリナ京王吉祥寺」のオープンなど話題に事欠かなかった2014年に比べ、昨年は特に大きな変化が見られず、街自体が注目される機会が少なかったことも順位を下げた一因かもしれない。
とはいえ、街の魅力はまったく色あせていない。デパートや商店街、スーパー、飲食店の充実ぶりは言うに及ばず、ライブハウスやミニシアター、さらに最近は「ハーモニカ横丁」といった赤ちょうちんが並ぶ飲み屋街にも多くの若者が集う。「衣・食・住」に「遊」を加えた街の充実ぶりは、やはり群を抜いている。また、メインの通勤路線である中央線と京王井の頭線はいずれも新宿、渋谷まで20分程度。都心に通勤する人々にとっては近すぎず遠すぎない距離感で、仕事とプライベートを程よく切り分けることができる。
一方、住民にとって憩いの場所である井の頭公園では現在、2017年の開園100周年に向けた自然再生の取り組みが行われている。昨年11月からは、池の水を抜いて外来魚の駆除や水質改善をはかる「かいぼり」がスタート。今後も定期的に実施し、最終的には底まで見通せるような清らかな池を目指す予定だ。100年前の美しい景観が戻れば、さらに心地よい空間になるだろう。
住宅事情に目を向けると、吉祥寺駅北口の「吉祥寺本町」「吉祥寺東町」、南口の「吉祥寺南1丁目」「井の頭3丁目」あたりに住宅街が広がる。いずれもにぎやかな駅前とは打って変わって静かな住宅街で、家賃相場はワンルームマンションの場合で平均7万4000円。1K・1DKは平均7万8000円。持ち家の場合は、吉祥寺駅徒歩10分程度、ファミリータイプの新築マンションだと物件価格は8000万円を超えてくる。(SUUMO掲載情報より抜粋、2016年3月7日時点)
現在吉祥寺では、前述した井の頭公園の環境改善をはじめ、安全性・利便性を高める街の再整備が計画されている。2007年に策定された、吉祥寺グランドデザインに基づく駅周辺の再整備はひと段落したが、今後も引き続き道路の拡張による町全体の回遊性向上、電柱・電線地中化と街路樹植栽による美観の向上など、将来にわたって住民が快適に暮らせる街づくりに期待がかかる。