「北千住」の路地を歩いて好きなものに出会う

著: DAIKI 

ここ数年「住みたい街ランキング」で順位をぐぐっと上げてきた「北千住」。

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私が足立区に引越してきた6年前は26位にランキングしていたものの、特段目立ったコメントもなく、なんとなくランクインしていたような状態でした。それが2015年、2016年には「穴場だと思う街」ランキングで堂々1位を獲得。テレビなどでも「今北千住が熱い」というような取り上げられ方をされ、ついに北千住の時代が来たかと。

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とはいえ、実際に北千住がどんな街なのか、案外知られていないような気がしているのも事実だったりします。メジャーな観光名所があるわけでもなく、用事がなければ電車で通り過ぎるだけの場所。花火大会があるのは知ってる。あとはなんとなく飲み屋が多くて・・・そんなイメージの方も多いような。ただ、一度北千住に足を踏み入れてみれば、昔ながらの下町の空気と新しい風が混じり合った独特の空気感が存在する、実はすごく住みやすく面白い街だと実感していただけるのではないかと思います。今回は、そんな北千住の街のなかでも私が特に気に入っている、好きな場所を実際に散策してご紹介したいと思います。

北千住は路地が面白い

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北千住と言えば活気にあふれた商店街。駅の東西にそれぞれ特徴的な商店街があるのですが、私が好きで気に入っているのはその商店街から縦横に延びる路地。家と家の間を走る細い路地、「ここは入っても大丈夫・・・?」とちょっと不安になるような猥雑な路地。そんな路地こそが北千住の面白い場所だと思っています。

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カメラが趣味で、街にいるネコを被写体に写真を撮るのが好きなのですが、ネコといえば路地。路地に行けばネコに会えてネコの写真が撮れる!といろいろな街でカメラ片手に路地をぶらぶら歩くのが好きなんです。元々は北千住の路地もネコ目当てで歩いていたのですが、歩いてみると「こんなところにこんなお店が?」「この路地はここに繋がるのか!」なんて歩くたびに新たな発見があって、そこから北千住の路地散策そのものが好きになってしまいました。ということで、北千住駅を挟んで東西に広がる路地の魅力をご案内していきますね。

 昭和の空気が色濃く残る東口の路地

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まずは北千住駅の東口へやってきました。駅前に広がるのは「学園通り」旭町商店街。東口のメインストリートです。学園通りの学園とは商店街に面した場所にある中高一貫の男子校「足立学園」のことを指しています。

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北千住の東口といえば、2012年に東京電機大学が東口の駅前に移転してきました。これによって東口のロータリーが整備され、キャンパス周辺は新しい人の流れが生まれています。元々飲み屋さんの多い通りでしたが、カフェやコンビニなど学生が使うお店が増えてきています。飲み屋さんも、駅前は学生さんが多く使うであろうチェーン店が増えていますね。一方、商店街を進むと昔から長く続いていそうな味のあるお店がちらほら。スーパーやドラッグストアなどもあり、土日は家族連れで買い物されている姿も多く見かけます。

東口の路地は昭和が色濃く残る住宅街

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それでは旭町商店街から路地へ入っていきましょう。路地に入るとそこは昭和の空気が色濃く残る住宅街。学生が増えたせいか、新しいアパートなども見られるようになりましたが、築年数がなかなか古そうな家屋が多く残るエリアです。このあたりに長く住まれている方も多いのでしょうね。ここの路地でネコを見つけて写真を撮っていると「この子はあそこの家の子なのよ」なんておばあちゃんに声をかけられることもしばしば。

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迷路のように入り組んだ路地を歩けば、小さいころに住んでいた場所もこんな感じだったかなー、なんて懐かしさを感じます。

路地で飲むメイド・イン・北千住のクラフトビール

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そんな路地に今年新しくオープンした「さかづきBrewing」さんは醸造所併設のビアレストラン。いわゆるブルーパブと呼ばれる形態のお店です。3月の開店以来、多くのお客さんでにぎわっています。土曜日の開店直後にお邪魔したのに、すでに3分の2くらいは席が埋まっていてその人気ぶりがうかがえます。来客している方々の様子をうかがうと、地元の方らしきお客さんが多いんですよね。家族連れだったり、主婦の集まりだったり。

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オーナー夫妻が醸造するクラフトビールは常時3~4種類が飲めるようになっています。同じ種類のビールでも少しずつ改善・改良されて同じビールは二度飲めないかも?この日飲んだ「イングリッシュスタイル・ペールエール」は少し酸味を感じつつも、麦芽の香ばしさや苦味などのさまざまな風味が混じり合う奥深い味わい。飲みごたえのある一杯。メイド・イン・北千住のクラフトビールが味わえる「さかづきBrewing」さん。新しくてオシャレなんだけど、ワイワイとにぎわう店内はどことなく下町の雰囲気がありますね。気取らずに、路地散策の合間にちょっと一杯。次に来るときはどんなビールが飲めるかな、と楽しみにしながらお店を後にします。

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メイド・イン・北千住のクラフトビールを堪能して、もう少し東口を散策してみることにします。路地を抜けると、「柳原千草通り」という商店街が見えてきます。通りに面して歴史を感じさせる商店が連なっている商店街ですが、道幅は狭く路地のよう。この一体は戦災を免れた地区だそうで、歴史を感じる看板のお店が点々と残っています。すでに店を閉めてしまったところも多く、商店街としての活気があるとは言い難いのですが、なんというか味のある、ノスタルジックな場所です。

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東口の路地で出会ったネコはなかなかワイルドでした。なんだか昔かたぎの居酒屋の大将のようなたたずまい。

エネルギッシュな西口へ

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東口の路地を散策したあとは駅の反対側、西口へ。北千住の駅から西口へ出るとペデストリアンデッキがあり、駅ビルである「ルミネ」と「マルイ」が繋がっています。東口に東京電機大学ができて学生が増えていますが、それ以上に若者が多く、よりエネルギッシュなのは西口でしょうか。いわゆる北千住の繁華街。そんな西口にも魅惑の路地がいくつもありますよ。

活気にあふれる「千住ほんちょう商店街」

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西口の駅前通りを挟んで南北に、北千住を代表する2つの商店街があります。北側は宿場町の名残を残した「宿場町通り」、そして南側には北千住のメインストリートとも言うべき商店街「千住ほんちょう商店街」があります。およそ400mの長さの商店街にはスーパーやお惣菜のお店などが並び、多くの買い物客でにぎわう北千住のなかでも最も活気のある商店街と言えます。この商店街は特に飲食店の数も種類も多いのが特徴で、居酒屋、焼肉、ホルモン、カフェ、欧米、アジアン料理からアフリカ料理までそろってしまう多様性。とにかく元気な商店街です。

 細く静かな路地にたたずむ、築100年超の古民家カフェへ

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そんな活気にあふれる千住ほんちょう商店街からも無数の路地が延びています。商店街の活気から一転、とても静かな路地ですが、そんな路地にはいろいろな出会いがあるもの。一本の路地を進んでいくと、通りのなかでも一際古い、一軒の家屋が見えてきました。

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こちらは築100年を超える米蔵を改装したカフェ「傳吉商店」さん。まさに北千住の隠れ家と言えるようなお店です。初めてここに来たときは「ここが本当にカフェなのか・・・?」と2度3度通りすぎてしまうくらい、細い路地に溶け込んだ店構え。

この傳吉商店さんをはじめ、北千住には古い家屋をリノベーションしたカフェなどの店舗が増えてきました。その多くが、大通りや商店街から一本入った路地にあったりするんですよね。「あれ、こんなところにこんなお店が?」という発見があるのも北千住の路地が好きな理由だったりします 

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10席ほどの小さな店内でゆったりとした時間が流れるなか、カフェオレとホットケーキで一服。厚みのあるホットケーキはじっくり焼き上げるため20分ほど待ちます。それでも、カフェオレを飲みながらのんびりと流れる時間が心地よく待っていられる感じ。焼き上がったホットケーキはふかふか。メープルシロップの程よい甘さとバターが絡んで至福の美味しさ。路地歩きでちょっと疲れた身体に染み渡ります。

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商店街へ戻ると、この日はお祭り。商店街を神輿が練り歩いています。大人も子どもも笑顔で神輿を追いかけながら商店街を歩く姿はいいですね。このあたりの下町らしさも北千住の魅力。

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次はどこの路地に入ろうか、と商店街を歩いているとネコと出会いました。首輪をしているのでここのお店で可愛がられているのでしょうかね。人通りの多い場所でも堂々と毛づくろいをしていました。北千住のネコはすっかり人の社会に溶け込んでいる印象を受けます。

さらにディープな路地へ

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商店街からまた別の路地へ入ってみましょう。商店街から駅の方角へ延びる細い路地を進んでいきます。西口の駅近くは新旧さまざまな飲み屋が軒を連ねる飲みや横丁「ときわ通り」があるのですが、そこに近づくにつれてなかなかディープな空気が漂ってきます。

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立ち飲み、焼き鳥、ホルモンからスペインバルまでなんでもござれの飲み屋横丁。昼間なのでまだ静かですが、夜になるとお酒が入ってご機嫌な人々で溢れています。これもまた北千住の魅力。

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そんなディープな飲み屋横丁の一本裏手にこれまたオシャレな古民家カフェを発見。

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こちらは「わかば堂」さん。女性に人気の店舗で、開店時間には行列ができているほど。古民家のレトロな感じを残しながらリノベーションされた店内にはフランスのアンティーク家具が置かれ、オシャレでかわいらしい雰囲気の店内。客層は女性グループやカップルが多いみたいですね。北千住を取り上げる雑誌や書籍には必ずといっていいほど紹介されているお店ですが、まさか飲み屋横丁のすぐそばにあったとは。

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女性グループやカップルの楽しげな会話が聞こえるオシャレなお店で、男1名、ランチビールで喉を潤します。原宿や代官山みたいな街だったら男1人で入るには躊躇してしまいそうなところですが、「ちょっと入ってみようかな?」と思わせるのは下町・北千住の空気のせいでしょうか。

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ちなみにランチの人気メニューは「国産牛肉の赤ワイン煮」。赤ワインでしっかり煮込まれてホロホロと柔らかく、噛めば牛肉の旨味がじゅわっとしみ出る逸品です。ごちそうさまでした。

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飲み屋が多いエリアというせいか、看板ネコがいました。「おひとり様でも、お飲み物だけでもお気軽に!」なんて言われてしまうとフラッと入ってしまいそうです。

ネコも住む街、北千住

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ちょっと歩けばネコに出会う北千住の路地。飲食店をはじめ商店が多いので、ネコにとってなにかと生活しやすい環境なのでしょう。もちろんネコがいることについては、ボランティアの方をはじめいろいろなご苦労もあるとは存じます。それでも、そこにネコがいることは北千住の一部なのかな、と思ったりします。

ごった煮のような街、北千住

今回、路地を散策しながら北千住を歩いてみて改めて感じたのは「なんでもあるもんだなぁ」というところ。交通の便もいいし、あちこちに商店街やスーパーがあって日常の買い物もできる。オシャレな隠れ家カフェもあれば、いろいろな飲み屋があってその日の気分で店を選べたりもする。個人的なところで言えばネコにも会えるし。決して洗練されてはいないけど、色々ないいところががさっと集まった「ごった煮」のような街・北千住。北千住のいいところを一言で言うのは難しいかもしれませんが、この「ごった煮」感が北千住の魅力なのかも。

まだまだごった煮の具材となるいいところはたくさんありそうです。私も引き続きネコを追いかけて路地を歩きながら、北千住のいいところを探してご紹介していければと思っております。

 

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著者:DAIKI (id:daiki_bassist)

DAIKI

1979年生まれ、東京都足立区在住。写真、カメラとPerfumeそしてNegiccoが好きな会社員です。「ネコと夜景とビール」というブログで街中で出会ったネコの写真を載せたり限定醸造ビールの紹介などを書いています。

ブログ:ネコと夜景とビール Twitter:@daiki_photo