住み心地を大きく左右する水まわりや間取りのリフォーム。「イメージしていたリフォームができなかった……」なんてことがないよう、「できる」・「できない」を理解しておこう。
- キッチンやトイレの移動は可能?
- マンションの場合、水まわりの移動は床下の配管がどこまで動かせるかがポイント。
給水管、給湯管は比較的移動しやすいが、排水管と換気扇は移動距離が長いと水の流れが悪くなったり、空気の吸い込みが悪くなったりすることも。このため水まわりの移動には躯体のコンクリートと床の間に十分な空間が必要。床下にどれくらいの空間があるかは、建てられた年代やそれぞれのマンションの構造によって違う(下図参照)。
床下が狭くても床を上げて空間を広げる方法もあるため、移動可能な範囲はリフォーム会社などの専門家に判断してもらおう。
排水管は階下の天井裏に |
築年数の古いマンションに見られる、階下の天井裏を排水管が通るタイプ。 排水管が動かせないため水まわりの移動ができない。水もれなどのトラブルも問題 |
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仕上床の下に排水管 |
その後、コンクリートスラブと自分の住戸の床の間を配管が通るタイプが主流に。 スラブと床の間に高さがあまりないと、排水管に勾配がつけられないため水まわりの移動に制約が出る |
床下空間にゆとり |
最近は梁の向きがひっくり返った逆梁工法が多くなり、床下空間にゆとりのあるマンションも。 排水管の勾配がつけやすいため、水まわりの位置を広範囲で変更可能 |
- 間取りの変更は自由にできる?
- マンションの場合、専有部分は間取りの変更が可能だが、変更の自由度は構造によって異なる(下図参照)。
ラーメン構造で住まいの内側がすべて専有部分になる場合は、部屋の間仕切りをすべて取り外すことが可能なため、かなり自由な間取り変更ができる。
柱や梁のない壁式構造で、一部がコンクリートの壁でできている間仕切りは、構造体で共用部分になるため変更はできない。
工法 | 工法の特徴 | リフォームの自由度 |
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ラーメン構造 |
柱と梁で建物を支える構造。中高層・超高層マンションのほとんどがこの構造。 部屋の隅に柱の凹凸があり、低層階ほど柱は太くなる |
室内の間仕切り壁はほとんど取り外しが自由で、大がかりな間取り変更がしやすい構造。 一戸建ての木造軸組工法同様、リフォームの自由度はとても高いといえる |
壁式構造 |
壁と床で箱型をつくり、建物を支えている構造。 5階建て以下の中低層マンションに多く採用されている |
住戸内の壁の中に建物を支える構造壁が含まれており、すべての間仕切りを撤去することはできないため、間取り変更に制約がある |
- 隣り合った住戸をつなげることはできる?
- 住戸と住戸を区切っている壁は共用部分。2戸続きで住戸を購入し、どちらも自分の所有だとしても、その間の壁はマンション全体の所有になるため、取り外すことはもちろん、穴をあけてドアを設けることもできない。
- 全室にエアコンを付けられる?
- エアコンは消費電力が大きいため、住戸内の電気の全体容量と、各部屋に配電している経路の容量を確認することが必要。全室にエアコンを設置するためには、まず、この電気容量の問題をクリアしなければならない。
さらに、エアコンは室外機とセットになっているため、エアコンを付けたい部屋の外部に室外機置き場がなければ増設はできない。
ただし、隣り合った部屋であれば、各室のエアコンを冷媒管でつなぎ、2台のエアコンに対して室外機を1台で済ませるマルチタイプという方法もある。
- コンセントの数は増やせる?
- コンセントの数はいくらでも増やせるが、問題になるのは使用する電気の量。マンション全体で電気の総容量が決まっているため、各住戸に配電される容量にも限度がある。使用する電気製品を増やしたい場合、使用容量がオーバーするとブレーカーが落ちてしまい、せっかく買った電気製品が使えないということも。
電気製品が増えるためのコンセント増設であれば、使える電気の容量にどれくらい余裕があるのかを管理組合で確認しよう。
- 床暖房を設置できる?
- 床暖房には熱源が電気のもの、ガスのものがあるが、どちらも燃料の消費量が大きいので、各住戸での使用可能量を管理組合に問い合わせを。
問題なければ床暖房の設置は可能。