団地リノベーションの費用相場や注意点を解説。おしゃれな実例や使える補助金、減税制度も紹介!

団地を安く購入して自分好みのおしゃれな空間にリノベーションしたい人のために、費用相場やおしゃれな実例を紹介します。築50年前後の物件が多い団地は、内装だけでなく、水回りなどにも不安があるのが正直なところ。団地リノベーションを失敗しないために、さまざまな注意点やノウハウを知っておきましょう。リフォームやリノベーションを手がけるフレッシュハウスの樋田明夫さんに話を聞きました。

団地のイメージ

(画像/PIXTA)

記事の目次

団地を買ってリノベーション。どんな物件がいくらで買える?

団地とはどんな住宅?

団地というと、ひとつの敷地に複数の集合住宅が建てられている風景を思い浮かべる人が多いでしょう。鉄筋コンクリート造の集合住宅は、昭和30年(1955年)に日本住宅公団が設立されて、都市圏での供給がスタート。その後、急激な経済成長とともに、住宅不足解消というニーズもあり昭和40年代、50年代と、団地は量産されていきました。

当時、団地は憧れの住宅。水洗トイレや浴室、キッチンがある鉄筋コンクリート造の団地での暮らしは、とても「近代的」なライフスタイルだったのです。当然、人気も高く、賃貸で入居するのも、分譲の住戸を購入するのも高倍率だったとか。

郊外の団地のイメージ

(画像/PIXTA)※写真はイメージです

購入することはできるの?どうやって買うの?

団地が大量供給されてから40年〜50年が経ち、団地を購入して暮らしていた人たちの高齢化が進み、空室が目立つようになりました。しかし、近年、中古物件として売り出されている団地の住戸を、おしゃれにリノベーションすることが若い世代を中心に人気です。

分譲タイプの団地は、一般的な中古マンションや中古一戸建てと同様、中古住宅として購入することができます。不動産仲介会社を通して売主から購入したり、リノベーション済みの物件を中古住宅の買取再販会社が販売していたりします。

不動産・住宅サイトSUUMO」でも、中古マンションを買うためのページから探すことができます。「キーワードから探す」の検索窓に「団地」と入力して検索すると、現在販売中の団地の住戸が表示されますので、希望のエリアで探してみましょう。

団地での暮らしや、団地を買うメリットは?

団地での暮らしや購入には、一般的なマンションとは違うメリットがあります。

・手頃な価格で手に入れやすい
団地の多くが築40年〜50年と古く、共用施設も最小限。そのため、同じエリアの中古マンションに比べて安い価格で手に入れやすいといえます。例えば下の表は東京都の同じ市で販売されている、とある団地と中古マンションの比較。どちらもリフォームやリノベーションはしない状態で売り出されています。築年数は団地の方が5年古く、駅からの距離もありますが、価格は600万円の差があります。

中古物件の価格は時期によって変動しますし、全ての団地が同条件の中古マンションより安いとは言い切れませんが、一般的には、手頃な価格で購入しやすいでしょう。

物件A(団地)と物件B(中古マンション)の比較
  物件A(団地) 物件B(中古マンション)
所在地 東京都府中市 東京都府中市
築年 1975年 1980年
専有面積 46.42m2 46.86m2
立地 私鉄駅から徒歩8分 私鉄駅から徒歩4分
方角 南向き 南・西向き(角住戸)
販売価格 1380万円 1980万円
物件A、物件Bともに2022年11月23日時点でのSUUMO掲載物件(表作成/SUUMO編集部)

・一人暮らしにちょうどいい広さの住戸が探しやすい
「40m2・3DK」「30m2・2DK」といったコンパクトなサイズの住戸が多い団地。リノベーションで1LDKやスタジオタイプ(ワンルーム)にするのにちょうどいいサイズの物件を探しているなら、団地も視野に入れるといいでしょう。

・購入後のランニングコストが安い
団地にはエレベーターのない物件が多くあります。3階以上の住戸を買うと、階段での上り下りが大変というデメリットはありますが、エレベーターの維持費や将来の交換費用がない分、管理費や修繕積立金が安く抑えられているメリットがあります。そのほか、ラウンジや豪華なエントランスといった、一般的なマンションに見られる共用施設・共用設備が少ない点も、入居後の管理費や修繕積立金が安くすむ要因になります。

・採光や通風がいい
団地は、ゆったりとした敷地に、建物と建物の間隔を大きくとって建てられていることが多く、採光や通風が良いのが大きな特徴。敷地内の植栽が豊かな団地や、公園が設けられている団地も多く、自然を感じながら、子育てものびのびできるメリットがあります。

・敷地内や周辺に生活に便利な施設がある
大規模な団地は建てられたときに、敷地内や周辺にスーパーや病院など生活に必要な施設が誘致されているケースが多くあります。また、急激な人口増加に備えて幼稚園や保育園、小学校などの教育施設が開園・開校していることも。その後、団地の高齢化や人口減少で、これらの施設が撤退や閉園・閉校していなければ、暮らしの利便性には満足できそうです。

団地のベランダで洗濯物を干すイメージ

団地は敷地内の建物と建物の間に距離があるため、採光や通風の良さが期待できる。ベランダの洗濯物もよく乾きそうだ(画像/PIXTA)

団地での暮らしやリノベーションのデメリットは?

団地は、築年数の古さや構造の問題などから、暮らしやリノベーションの際にデメリットとなることもあります。団地だけでなく一般的なマンションにも当てはまるデメリットもあるので、リノベーションを前提とした物件探しをする際の参考にしてください。

・構造によっては好みの間取りにできない
せっかくリノベーションをするなら、全ての壁を取り払って、好みの間取りをゼロからつくりたいと考える人は多いはずです。しかし、建物の構造によっては自由な間取り変更ができません。

例えば、「壁式構造」という、室内にあるコンクリートの壁(耐力壁)で建物を支える構造の場合、耐力壁は撤去することができません。また、躯体(くたい)に直接壁紙や床材を貼っている直天井(じかてんじょう)や直床(じかゆか)の場合は、天井の高さを高くすることができません。

水回りの位置の変更についても、排水管に傾斜が必要になるため、既存の水回り位置から大きく変えられないケースがあります。

・共用部分は変更できない
団地もマンションも、リノベーションやリフォームができるのは、住戸の持ち主が所有している「専有部分」のみです。壁紙や建具、住宅設備などコンクリートの躯体で囲われた空間の中は耐力壁以外は変更可能ですが、住戸の所有者たちで共有している「共用部分」は、原則変更することができません。

共用部分はエントランスや階段、エレベーター、廊下だけではありません。住戸に併設されているベランダや玄関ドア、窓ガラス、サッシも共用部分。「部屋の中はキレイにリノベーションしたのに、ベランダのフェンスのデザインが古いままで気になる…」ということもあるでしょう。後から不満が出てこないように、リノベーションできるのはどこまでかを購入前に確認しておくことが必要です。

・住み始めてから建て替えの計画が持ち上がることがある
築40年、50年と古くなった団地なら、いずれ解体や建て替えの話が持ち上がる可能性があります。購入前に、解体や建て替えの予定がないか、不動産仲介会社を通して調べてもらうことが大切です。また、リノベーションの費用は、将来、建て替えや解体されることになった場合に後悔しない金額に抑えておくのもいいでしょう。

団地のリノベーションで失敗しないために知っておきたいこと

団地を購入し、リノベーションやリフォームをする場合、一般的な中古マンションの場合とは違いがあるのでしょうか。マンションや団地、一戸建てのリフォームやリノベーションを手がけるフレッシュハウスの樋田明夫さんに話を聞きました。

古い団地はどこが劣化している?一般的なマンションとの違いは?

築40年、50年の団地の場合、建物の状態が気になります。

「建物のどこが、どれくらい劣化しているかは、団地によって異なります。また、同じ敷地内でも棟によって状態が違うことはあります。建築材や建築技術は日々進化していますから、現在に比べると40年〜50年前の躯体の質が良くないことが多くあります。コンクリートそのものの質が良くないケースもあれば、コンクリートを型枠に流し込んだ際に隙間ができてしまっているケースもあります。また、コンクリートの躯体の壁や床が傾いていたり波打っていたりで、内装をリフォームする際に下地の調整が必要なことも。また、給排水管やガス管の劣化や雨漏りもよく見られます」(樋田さん、以下同)

ただし、これらの劣化は団地だから、というわけではありません。
「古い建物であれば、マンションでも団地でも、同様にある状態です」

内装下地を施工する前の躯体

斜めになっている壁は内装下地を垂直に施工できるように処理をする。写真は、スクリューパッキンという厚みを調整できる下地調整材を設置した状態。この上に下地のボードを施工すると垂直の壁に仕上げられる(画像提供/フレッシュハウス)

断熱材が入っていない!? 団地ならではの必要な対策

ここからは、リノベーションの際に知っておきたいことなどを解説していきます。

一般のマンションでも見られますが、コンクリートの躯体に直接壁紙が張られているケースが多くあります。
「コンクリートの躯体に左官屋さんが、壁紙が張れるようキレイに下塗りをして、その後、直接壁紙を張って仕上げます。団地は、こういう施工方法が多かったんです。つまり、断熱材が施工されていないということ。冬は寒いし、夏は暑く暮らすには快適とはいえません。リノベーションするなら、コンクリートの上から下地を施工して、間に断熱材を入れる断熱工事をするのがいいでしょう。団地やマンションは、内壁をあまり厚くできないのですが、吹き付けタイプの断熱材や、薄い断熱材があります。施工を依頼する会社には、壁の下地をどのように施工するかを詳しく聞いておくことがおすすめです」

断熱材が施工されていない団地の写真

壁紙を剥がすとコンクリートの躯体がむき出しになる(画像提供/フレッシュハウス)

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内窓設置で断熱性能を高める

古い団地の窓はシングルガラスの1枚窓のケースが多くあります。夏はエアコンで冷やした空気、冬は暖房であたためた空気が主に逃げていくのは窓から。窓の断熱性を高めることで、住戸全体の断熱性能はアップします。団地も、マンションと同様に管理規約や使用細則があり、共用部分である窓のサッシの変更を勝手にできないルールになっているのが一般的。しかし、内側にもう一枚窓を設けるのは自由です。全体のリノベーションが終わってからでもできますし、施工も1日で可能です。入居後にまだ部屋の中が寒い、または暑いと感じたら、内窓の設置を検討するといいでしょう。

内窓を設置するイメージ

内窓を設置することで断熱性能がアップする(画像/PIXTA)

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騒音のリスクを抑えるためにしておきたい防音対策は?

コンクリートの躯体に直接壁紙を張っただけの状態は、断熱性だけでなく防音性能、遮音性能の面でもリスクがあるのだとか。

「壁紙を剥がしたコンクリート打ちっぱなしの内装デザインを好む方も多くいらっしゃいます。しかし、衝撃がそのまま躯体を伝うコンクリート打ちっぱなしの壁は、外に音が響きやすいですし、外からの音も気になります。防音性を高める点でも、断熱工事をするのは効果があります」

また、内窓を付けることで、断熱性だけでなく防音性、遮音性もアップさせることができます。

二重床にして遮音性能を高める

「団地の床の多くは、コンクリートのすぐ上にフローリングなどの床材をそのまま張っている『直床(じかゆか)』構造です。これも遮音性能に不安があるため、コンクリートの躯体と床材の間に空間をつくる『二重床』構造にすることも選択肢のひとつです。二重床でつくった空間には、給排水管やガス管だけでなく、電気やLANの配線を入れることができるます。最近は在宅ワークが増えて、不安定なWi-FiよりもLANケーブルを家のあちこちで使いたいという方も多いでしょう。LANケーブルを室内に這わせるよりも、床下に入れることで見た目もきれいです」

リノベーションで二重床に変更している画像

もともとは直床タイプの床だったが、コンクリートの躯体と、床の下地の間に空間をつくり二重床に(画像提供/フレッシュハウス)

古い団地は給排水管の交換をすること

団地全体の大規模修繕の際に、専有部分の給水管や排水管、ガス管も交換されていればいいのですが、更新されていない場合は全て交換した方が安心。

「購入時、リフォーム履歴を確認しましょう。その際、配管はどこをいつ交換しているのかといった詳細を確認することが必要です」

給排水管を交換しているリノベーションの現場の画像

給排水管を交換しているリノベーションの現場(画像提供/フレッシュハウス)

団地では、排水管が室内に出ているケースがある!

団地もマンションも、築年数が同様に古い物件であれば、リノベーションで必要な対策はそれほど変わりません。ただし、団地ならではの構造上の注意点があるのだとか。

「よくあるのが排水管が室内を通っているケースです。下の写真はトイレと洗面所を解体している現場の写真。トイレのすぐ横と、右の窓の横にタテに通っているのが排水管です。これは、各階の天井裏や床下を通る排水管の排水を集めて流す、縦管(たてかん)と呼ばれる管。住戸の専有部分を通っていますが、団地全体で所有している共用部分に当たります。そのため、撤去や移動はできませんし、場合によっては、壁内に隠すこともできないルールになっています。その場合は、いかにカッコよく見せるか、内装デザインの腕の見せどころとなります」

リノベーションをする際は、これが共用部分であることを理解した上で、施工することが必要。移動ができないため、リノベーション後も排水管は見える状態であること、トイレや洗面台の選択の幅が狭くなることを覚えておきましょう。

解体中のトイレと洗面所の画像

解体中のトイレと洗面所。タテに通っている2本の排水管は団地の共用部分。撤去や移動はできない(画像提供/フレッシュハウス)

浴室の壁に穴! 団地で見られる給湯器の跡

排水管のほか、団地特有の注意ポイントが浴室の壁の穴や、壁から出ている管。

「下の写真は解体中の団地の浴室です。正面の壁の左下にふさいでいる四角い穴がわかりますか?これは、オールインワン給湯器といって、壁をくりぬいてはめ込むタイプの給湯器の跡です。穴の向こうは外で、ここから排気するシステムです。つまり外壁に穴が開いているということ。そして、浴室の中にもガス管などの配管が出ています。ここにユニットバスを入れるには、壁の処理と、ガス管などにぶつからないような施工をしなければなりません。施工会社に知識がなければ、ユニットバスは入れられないと言われてしまうこともあるので、要注意です」

解体中の浴室の画像

解体中の浴室。正面の壁にオールインワン給湯器の跡。左の壁からはガス管が突き出ているのがわかる(画像提供/フレッシュハウス)

購入前は建物の状態や修繕履歴、今後の修繕予定を確認しておく

団地は完成してから数十年。建てられてから現在まで、どのようなメンテナンスをしてきたかで建物の状態は異なります。コンクリートの躯体に問題になるようなヒビ割れはないか、雨漏りはしていないかなど、建物の状態を確認しておくことは重要です。雨漏りの有無の確認は難しいのですが、これまでに雨漏りがあったという居住者の情報はないかなど、できる限り確認をしておくのがおすすめです。

「以前、中古で購入した人が中を解体して、躯体からの雨漏りが発覚、ということがありました。躯体は共用部分なので、勝手に工事をすることはできません。屋根部分の修繕を管理組合で決議してから、となるため、そのケースではリフォーム工事の着工まで4カ月待つことになりました」

中古で住宅を購入する際には、購入の契約を締結する前に、建物の専門家にチェックをしてもらうのがいいでしょう。

「そのほか、団地の管理組合が修繕をしっかりやってきたか、将来的に大規模修繕やメンテナンスをするための積立金はあるかを確認しましょう。積立金がない団地、管理組合の活動がうまくまわっていない団地は、将来も継続して住むことが難しくなります」

また、今後、共用部分にあたる給排水管などインフラ部分の修繕が計画されているかも確認しましょう。せっかくリノベーションをしたのに、翌年に大規模修繕があると給排水管の交換をするために専有部分の壁を解体する、ということになります。大規模修繕で解体した専有部分の壁は、大規模修繕の費用で内装を仕上げてもらえるのが一般的ですが、選べる壁紙の価格帯に上限があるなど、自分の好みの仕上げにするには追加で費用がかかったり、素材やデザインにこだわるなら自分でリフォーム会社を手配する必要が出てくることも。過去の修繕履歴だけでなく、今後の予定も要チェックです。

団地のリノベーション、費用の相場はどれくらい?

一般的なマンションのリノベーションと費用にどんな違いがあるのか

マンションの場合の、リノベーションを目的とした費用の相場は600万〜900万円(中心価格帯。2019年4月にSUUMOリフォームで実施したリフォーム実施者に向けた調査結果。現在の費用とは異なる)。

とはいえ、リノベーションの費用は、建物の状態や施工面積、リノベーションの内容によってかかる費用は大きく異なります。また、築年数が古いほど、交換する設備や修繕が必要な箇所が増えて費用もかさみます。特に団地の場合、断熱施工がされていない物件も多いため、簡単な断熱工事でも最低4000円/m2から、断熱材の吹き付けなどを行えばさらに費用がかかります。

施工方法によっても費用が異なりますから、必ず複数の会社に見積もりを依頼し、どのような施工をするのか、住宅設備にはどのようなものを使用するかを確認した上で、比較検討しましょう。

実例を紹介。古い団地をおしゃれな空間にしたリノベーションの成功例

築年数の古い団地を選び、快適な暮らしをするためにリノベーションをした実例を紹介します。

築51年の団地の一室。子どもとの暮らしも見据えたリノベーション

築51年の団地を相続し、生まれてくる子どもとの暮らしも考えて間取りもデザインも大きく変更。リビング・ダイニングと隣接していた洋室をつなげて、開放感いっぱいのリビング・ダイニングへ。キッチンは壁付けタイプのI型から、L型に変更することで、料理をしながら子どもの様子を見守りやすい空間に。無垢(むく)材の床や漆喰の壁、木材で造作したインテリアなど、ぬくもりのある自然素材に、金属やコンクリートなどの無骨な素材が調和したラフ&ナチュラルなデザインになりました。

団地をリノベーションした実例の画像

無垢材の床や、木材で仕上げたキッチンカウンターなどの木のぬくもりがあふれるLDK。モルタルや漆喰(しっくい)で無骨に塗装された壁がアクセントになっている(画像提供/フレッシュハウス)

団地をリノベーションした実例。洗面室の画像

リノベーション前の間取りでは洗面室には壁がなく、カーテンで仕切られていた。壁を新たに設けて洗面室を区切り、洗面スペースと洗濯機の位置を入れ替えて広い洗面化粧台を造作(画像提供/フレッシュハウス)

リフォーム前の間取り

リフォーム前の間取り(間取図提供/フレッシュハウス)

リフォーム後の間取り

リフォーム後の間取り(間取図提供/フレッシュハウス)

【DATA】
リフォーム費用:900万円
工期:2.5カ月
リフォーム面積:58m2
間取り:[ Before ] 3LDK → [ After ] 2LDK
リフォーム箇所:リビング・ダイニング、キッチン・システムキッチン、子ども部屋、寝室、玄関、廊下、洗面所・脱衣所
築年数:51年
住宅の種別:マンション
設計・施工:フレッシュハウス
※リフォーム内容は契約時のもの。費用は概算。建物の状態や契約時期によって費用は変動します。掲載した費用、工事内容などはあくまでも参考としてください。

築38年の団地。大人時間を演出する、心地よい居場所にリノベーション

築38年の実家を受け継ぎ、自分のスタイルに合わせてリノベーション。当初はDIYをしようと考えていましたが、築年数の経った団地のため、何があるかわからないと思い、団地リノベの実績がある会社に依頼することに。リビング・ダイニング、キッチン、和室を一体化。リビングはキッチンとの高低差を活かして緩やかにゾーニングされています。ソファやダイニング、ワークスペース、カウンターなど家時間を楽しめる場所を多く設けた居心地の良い住空間になりました。

団地をリノベーションした実例の画像

リビング・ダイニングはもともとあった段差を活かしたピットリビングに(画像提供/JS Reform)

団地をリノベーションした玄関の画像

隣接する廊下にシューズクロークを造作した、ゆったりとおしゃれな玄関(画像提供/JS Reform)

【DATA】
リフォーム費用:740万円
工期:66日
リフォーム面積:65.8m2
間取り:[ Before ] 3LD・K → [ After ] 2LDK
リフォーム箇所:リビング・ダイニング、キッチン、洗面化粧台、トイレ、浴室、洋室、収納、廊下、玄関、書斎
築年数:38年
住宅の種別:マンション
設計・施工:JS Reform
※リフォーム内容は契約時のもの。費用は概算。建物の状態や契約時期によって費用は変動します。掲載した費用、工事内容などはあくまでも参考としてください。

団地のリノベーションで補助金や減税は受けられる?

バリアフリーや省エネリフォームでもらえる補助金がある

団地のリフォームやリノベーションで国や市区町村から補助金や助成金がもらえるケースがあります。利用しやすいのは下記のリフォームです。

・バリアフリーリフォーム
手すりの設置や段差の解消、滑りにくい床材への変更など

・省エネリフォーム
壁や窓の断熱リフォームなど

利用する制度によって、対象となるリフォームの詳細は異なります。また、自治体によっても詳細は異なるので、補助金・助成金の申請に詳しいリフォーム会社に相談し、施工してもらうといいでしょう。なお、補助金・助成金の利用では、一般的に着工前の申請が必要です。

ローンを利用して団地を購入すると住宅ローン控除などの対象になる

・住宅ローン、リフォームローンを借りたとき「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」
住まいに関する減税制度でよく耳にするのは「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」。これは返済期間10年以上などの一定の条件を満たすローンを借りて住宅を取得・リフォームした人が対象。年末ローン残高の0.7%が一定期間(2025年末までに入居した場合は10年間)、所得税や住民税から控除される制度です。中古住宅を購入した際にも適用されます。なお、実際に控除される金額は、その人のローン残高によって異なり、納めた所得税・住民税以上の税額が戻ることはありません。

また、築年数の古い団地の場合は、住宅ローン控除が受けられないケースも多くあるので注意。住宅ローン控除は、1982年以降に建築された新耐震基準適合住宅が対象だからです。築40年前後よりも古い物件が多い団地の場合、対象外のことがあります。また、中古住宅の場合、床面積50m2以上という要件も満たす必要がありますから、床面積が50m2未満の物件も多くある団地の場合は要注意です。

なお、1981年以前の住宅の場合、「新耐震基準に適合している住宅であること」を証明する耐震基準適合証明書などが取得できれば、住宅ローン控除を適用できます。とはいえ、耐震診断の必要があったり、物件によっては必要書類が現存していなかったりというケースもあるため、住宅ローン控除の適用を受けられない場合も多くあります。

 

リフォーム減税制度で所得税などが節税になることがある

住宅ローン控除とは別に、対象の工事を行うことで所得税や固定資産税が控除されることがあります。団地のリフォームで対象になりやすいのはバリアフリー工事や省エネ工事です。

・バリアフリー、省エネリフォームなどを行なったとき
「リフォーム減税(住宅特定改修特別税額控除)」

工事限度額の10%を所得税から控除。また、対象工事と併せて行うそのほかのリフォームおよび対象工事限度額を超えた工事も一定の範囲まで控除対象となる(控除率は5%)。所得税が控除されるのは工事を行った翌年の1回のみ。

「固定資産税の軽減」
リフォームをした住宅の固定資産税の1/3〜2/3を1年度分(条件によって2〜3年度分)軽減する。

減税対象になるかは、リフォームの内容などさまざまな条件を満たす必要があります。詳細は最寄りの税務署に問い合わせましょう。

減税制度を利用するなら確定申告が必要

住宅ローン控除もリフォーム減税も控除を受けるためには確定申告が必要です。控除の1年目は、入居した翌年の確定申告期間中に申告をします。会社員など、勤務先で年末調整が受けられる人は、2年目以降は勤務先の年末調整で控除が受けられます。

節税のイメージ

団地のリフォームやリノベーションで所得税などの減税が受けられることがある(画像/PIXTA)

バリアフリーリフォームには介護保険か自治体の助成金がある

団地に長く住んでいる高齢者が、暮らしやすいようにバリアフリーリフォームを行うケースもあるでしょう。その場合、リフォームをする人が要介護認定で要支援、または要介護認定を受けていると、リフォーム費用の一部が介護保険から支給されるケースがあります。

対象になる工事は手すりの取り付けや段差の解消、床や通路の滑りにくい床材への取り替え、開き戸から引き戸や折れ戸などへの取り替えなどです。支給条件を満たすと、工事費20万円を上限に、リフォーム費用の7〜9割(介護保険自己負担割によって異なる)が支給されます。

また、自治体によっては独自の補助制度が用意されています。介護保険と併用できるケースもありますから、詳しくはケアマネジャーに相談しましょう。

【2025年版】リフォームで使える補助金と減税制度。対象のリフォーム・リノベーション、補助金額や申請方法・期限は? 

構成・取材・文/田方みき

執筆/田方 みき
広告制作プロダクション勤務後、フリーランスのコピーライターに。現在は主に、住宅ローンや税金など住宅にかかわるお金や、住まいづくりのノウハウについての取材、記事制作・書籍編集にたずさわる。