I型キッチン・台所の特徴と交換リフォーム費用、実例を紹介!

シンプルなI型キッチンはリフォームで最も多く採用されている形です。

でも、I型は配置によって、壁付けや対面、アイランドなどさまざまなキッチンレイアウトを実現します。
配置によって、ガラリと違うキッチン空間をつくり出せるのです。

このようなI型キッチンの特徴とI型キッチンを選んだ場合のキッチン・台所リフォームの費用相場を見ていきましょう。
I型キッチンを使ったリフォーム実例も多数紹介します。

壁付けのI型キッチンSTEDIA(ステディア)の写真

壁付けのI型キッチンSTEDIA(ステディア)(写真提供/クリナップ)

記事の目次

I型キッチンのリフォーム費用と特徴

I型キッチンは他の型と比べてシンプルで、多彩なレイアウトに対応するのが持ち味。
どう配置するのかなど、用い方によってリフォーム費用も変わってきます。
I型キッチンの特徴とリフォーム費用がどこでどう変わるのかを詳しく見ていきましょう。

I型キッチンのリフォーム費用相場

I型キッチンは、形がシンプルですが、機器の価格は普及品から高級品まで多彩なラインナップがそろっています。
しかし特別高級なものを選ばなければ、比較的リーズナブルにリフォームできるのも特徴です。
以下は、標準的なI型システムキッチンを採用した場合のリフォーム費用相場です。

その場で位置を変えずにキッチン本体を交換するリフォームと、壁付けを対面キッチンに変えるなど位置を移動するリフォームの場合では費用が変わります。

位置を変えない場合は、既存のキッチンを撤去してその場に新しいキッチンを据え付けるので床の内装工事は不要です。壁などその他の内装も変えなければ安く上がります。
位置を変えないキッチン交換のリフォーム費用の目安は、間口255cm程度のI型キッチンの交換で約90万円~130万円。

キッチンの位置を移動する場合は、内装工事、排気ダクト・給排水管の延長などの関連工事が加わります。
既存のキッチンを撤去した後は床工事が必要となります。また、キッチンの移設に合わせて、給排水の配管および換気ダクトを延長する工事が必要になります。こうしたことからキッチンを移設する場合は、壁・天井を含めた内装工事も併せて行うのが一般的です。
給排水管・換気ダクト、内装工事など関連工事を合わせると、壁付けから対面に変えるキッチンのリフォーム費用の相場は、間口255cm程度のI型キッチンの採用で約150万円~240万円となります。
内装工事は畳程度の場合を想定していますが、施工面積が広くなるにつれてリフォーム費用が上がります。

I型キッチンのリフォーム費用相場
位置を変えずにキッチンを交換 約90万円~130万円
壁付けを対面キッチンに 約150万円~240万円
※1 I型キッチン標準グレード、間口255cm程度、内装は変えない場合
※2 I型キッチン標準グレード、間口255cm程度、腰壁造作、6畳程度の内装を一新する場合

I型は壁付けにも対面キッチンにも用いられる

壁付け型は一戸建てだと窓に向かって設置するのが一般的で、自然光を浴びながら作業ができるのが魅力です。ただ、小さな子どもがいる場合、キッチンの作業中に目が離れてしまうというデメリットがあります。

一方、対面型はリビング・ダイニングの方を向いて作業ができるので、家族を見守り、会話もしながら料理を楽しめるのが魅力です。
マンションの場合だと、ベランダ方向を向いて作業ができるので、景色を見ながら開放的な気分で料理ができます。

デメリットとしては、リビング側にいる人からキッチンが見えてしまうこと。
それを落ち着かないと感じる人がいることも確かです。
最近は壁付けから対面に変えるリフォームがとても多くなっています。
特にマンションではそういう傾向が顕著に見られます。

壁付け型

壁付け型のイラスト

対面型

対面型のイラスト

I型の対面キッチンは腰壁付きも

壁付け型をリビングに向けて設置する場合は、腰壁を造作して用います。壁に向いた側は仕上げをしていないためです。それを隠すように腰壁を造作しますが、腰壁は配膳台などとして利用したり、少し広めにつくってバーカウンター的に用いることもできます。

下記のようにクリナップの場合は、対面用の腰壁もオプションとして用意しています。

腰壁付き対面キッチン

ダイニング側に腰壁をつけた対面キッチンSTEDIA(ステディア)デュアルトップ対面タイプの写真

ダイニング側に腰壁を付けた対面キッチンSTEDIA(ステディア)デュアルトップ対面タイプ。間口257.5cm、奥行き98cm、高さロータイプ、扉class5 価格98万650円(写真提供/クリナップ)

腰壁のないフルフラット対面キッチンも

最初から対面で用いることを前提につくられたキッチンもあります。

対面で用いることを前提につくられたシステムキッチンは、フラット対面タイプなどといわれますが、リビング側を向いた面も仕上げてあり、壁付け型よりは価格は高いことが多いです。

フラット対面タイプ

ダイニング側を収納として使えるように仕上げてあるSTEDIA(ステディア)フラット対面タイプの写真

ダイニング側を収納として使えるように仕上げてあるSTEDIA(ステディア)フラット対面タイプ。間口259cm、奥行き98cm、扉class5 価格142万3950円(写真提供/クリナップ)

フラット対面キッチンの油はねはどうガードする?

開放感が魅力のフラット対面キッチンですが、壁がないので、気になるのは油はね。揚げ物をしているときなどに油がダイニング方向に飛び散るとテーブルや床が汚れてしまい、後の掃除が大変ですね。
それを防止するために、フラット対面キッチンはコンロの前にガラスでできた油はねガードを置くことが多いです。こうすれば油が飛び散るのを防ぐことができ、普段はガードに付いた油汚れを掃除するだけで済みます。

ガラスの油はねガードをコンロの前に置いているフラット対面キッチンCENTROの写真

ガラスの油はねガードをコンロの前に置いているフラット対面キッチンCENTRO(写真提供/クリナップ)

対面キッチンにリフォームするメリット・デメリットは? 費用相場や収納アイデア、実例と注意点も解説 

I型ペニンシュラとアイランドキッチンの違いは?

ペニンシュラキッチンは「半島型」。
本体の片側が壁に付き、本体が壁から部屋に向かって突き出しているスタイルです。
ペニンシュラキッチンのメリットは、部屋のスペースがそれほど広くなくても設置できること。
デメリットは壁に付いた側は人の行き来ができないことでしょう。

一方、アイランドキッチンは「島」型。
本体の左右どちらも壁に付いていない形をいいます。
アイランドキッチンのメリットは、左右どちらも空いていて人の通行を妨げないこと。
来客の多い家庭に向いています。
デメリットは、部屋がある程度広くないと、設置するメリットがあまりないことです。

ペニンシュラキッチン

ペニンシュラキッチンのイラスト

片側が壁に付いたペニンシュラキッチン。一般的にはこちらのスタイルが普及している
アイランドキッチン

アイランドキッチンのイラスト

両側が空いているアイランドキッチン。両側を人が通れるので、複数で片付けを手伝ったりしやすいが、設置するには広いスペースがいる

ペニンシュラキッチンの種類やレイアウトを紹介。メリット・デメリットや選び方の基本、おしゃれなリフォーム事例も! 

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I型キッチンのリフォームで作業性を上げるレイアウトの工夫

どうせキッチンリフォームをするのなら、ただキッチンをきれいにするだけではなく、キッチンの作業性も上げたいもの。そのための基本を押さえましょう。ポイントは作業の動線と距離です。

適切なキッチン空間内の動線

キッチンの作業動線を表すのに重要なのがワークトライアングルという考え方。
これはシンク、コンロ、冷蔵庫の中心を頂点とする三角形と捉え、それぞれの間の適切な距離を示したものです。

I型キッチンをベースにすると、下の図のようになります。
それぞれの頂点間の距離が下の図の範囲で収まっていると、2~3歩で別の作業に移れます。
これより長くなると動きに無駄が出て疲れやすく、逆に短すぎると作業スペースが足りなくなり、窮屈で作業がしづらくなります。

I型キッチンのワークトライアングル

I型キッチンのワークアウトトライアングルの図

I型キッチンで冷蔵庫を背後に置くときれいな三角形が描けるワークトライアングルになる

動きやすいキッチン空間の広さは4.5畳が目安

キッチン空間の広さは、キッチン本体や収納も入れて4.5畳くらいがちょうどよいといわれています。
最近は対面キッチンとリビング・ダイニングを組み合わせたLDKパターンが多くなっていますが、この場合もキッチン空間に割く広さは4.5畳くらいを目安とすればよいでしょう。
LDK全体の広さは、15畳~20畳程度は欲しいところですが、住まい全体の広さを考慮し、何を優先するかを考えて決めましょう。

対面キッチンと家族の写真

(写真/PIXTA)

作業しやすいキッチン背後の通路幅は90cm~110cm

キッチンで作業している人の後ろを人が通ることもあります。また、しゃがんでものを取ることもありますから、キッチンの通路はある程度ゆとりが欲しいところ。
目安としては90cm~110cmくらい。80cmくらいだと、後ろを人が通るときにかなり窮屈です。
キッチンの背面には収納や冷蔵庫を置くことも多いですが、特に冷蔵庫の奥行きは事前にサイズを要チェックです。

キッチンの通路幅の目安

キッチンの通路幅の目安を示した図

キッチン本体と後ろの収納や冷蔵庫の奥行きを考慮して、通路幅を確保できるようにプランニングを

料理をする女性の写真

(写真/PIXTA)

キッチンの使いやすいレイアウト・間取りは? リフォームのコツはワークトライアングルの配置 

I型キッチンの収納量をどう確保する?

キッチンにとって収納の確保は大事なテーマ。
最近は開放感を重視して吊戸棚を省く人も増えているので、それに代わる収納の確保を考えておかなければなりません。

対面キッチンでは背面収納がポイントに

対面キッチンで吊戸棚を省いてオープンにすると開放感は増しますが、その分を周辺収納で補う必要があります。キッチン背面の壁面を生かした収納がポイントになってくるでしょう。天井いっぱいにしつらえれば、大容量の収納ができます。
リフォーム会社に造作で収納を設けてもらってもいいし、キッチンメーカーでもキッチン本体と合わせて周辺収納を用意しています。
キッチンメーカーの収納は、キッチン本体とデザインやカラーを合わせることができるのがメリット。キッチンのカタログ等でどんな収納があるのかチェックしてみましょう。

対面キッチンの背面収納の写真

対面キッチンの本体と合わせてコーディネートしてキッチン背面に設置された大容量の収納。STEDIA(ステディア)(写真提供/クリナップ)

壁付けキッチンにリフォームする場合は吊戸棚も活用

壁付けキッチンの場合は、吊戸棚が開放感を損なうこともあまりないので、そのまま活用する人が多いでしょう。ただ吊戸棚は、手が届きにくいなど使い勝手の面ではよくない面も。そこで、何らかの方法で収納を補いたいものです。
効果的なのが、小さくてもパントリーを設けること。パントリーは1畳程度のスペースさえ確保できればOKです。内部に棚を設ければ、食品などを整理してストックしておけます。
また、キッチン本体に続けて収納を増設したり、カウンターを兼ねた収納を造作したりとさまざまな手法が考えられます。

パントリーを併設したキッチンの写真

(写真/PIXTA)

壁付けキッチンの左右に収納を増設した事例の写真

壁付けキッチンの左右に収納を増設した事例(写真提供/スタイル工房)

キッチン・台所リフォームで背面・壁面収納を増やす方法。リフォーム費用と実例も紹介!

I型キッチンへの交換リフォームの実例とリフォーム費用

壁を撤去しオープンなキッチンに

以前は壁で囲われて閉鎖的でしたが、ダイニング側の壁を取り払い、ダイニングに少し組み込ませてオープンに。洗い物をしながらリビングにいる子どもの様子が見えるようになりました。壁にはこだわりのモザイクタイルを張りました。

モザイクタイルを張ったI型キッチンの事例写真

壁はこだわりのモザイクタイル張りに(写真提供/東京ガスリノベーション)

【DATA】
リフォーム費用:250万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:マンション
設計・施工:東京ガスリノベーション

フルオープンのペニンシュラキッチンに

セミオープンの暗く狭かったキッチンから、周囲の壁、吊戸棚を撤去してオープンなペニンシュラキッチンに変更。腰壁を造作して手元を見えにくくしました。

ペニンシュラキッチンの事例写真

オープン化でキッチンからの眺望がよくなった(写真提供/フレッシュハウス)

【DATA】
リフォーム費用:200万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:マンション
設計・施工:フレッシュハウス

間口270cmの大型キッチンに

来客の多いときは複数でキッチンに入れるようにと広めのスペースを確保し、システムキッチンは間口270cmとゆとりのサイズに。
背面には奥行きの浅い家電収納と引き出し収納を設け、二人分の通路も確保しました。

背面に収納を設けたI型キッチンの事例

背面の収納は同じキッチンメーカーの商品で色を合わせた(写真提供/フレッシュハウス)

【DATA】
リフォーム費用:300万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:一戸建て
設計・施工:フレッシュハウス

L型をシンプルなI型に変えカウンターを造作

L型をI型キッチンに変えることで空間を広げ、以前あった背面の壁も撤去し、開放感を出しました。
家族みんなで調理を楽しめるようにと広めのカウンターも造作しました。

グリーンの壁のI型キッチン事例の写真

奥の壁をグリーンにして明るさをアップ。カウンターの下はゴミ箱を収納(写真提供/東京ガスリノベーション)

【DATA】
リフォーム費用:200万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:一戸建て
設計・施工:東京ガスリノベーション

まとめ

I型キッチンリフォームについて述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

シンプルなI型キッチンですが、用い方によって多彩なライフスタイルに対応します。また、リフォーム費用も予算に合わせて柔軟に対応できることをお分かりいただけたでしょうか。

I型キッチン・台所を上手に導入するためには、リフォームする前に、自分がどのようなライフスタイルを求めているのか、あらためて考えておきたいもの。また、予算に応じて選べるキッチンが変わってくるので、しっかり資金計画を立てて、用意できる予算を考えておくことが肝心です。
リフォーム会社各社の施工事例を見て学ぶとともに、気になる会社があったら、相談してみるとよいでしょう。

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構成・取材・文/林直樹