キッチンは作業場であると同時に、家族とのコミュニケーションの場であり、
何よりインテリアを楽しむ場でもありたいもの。
最近のキッチンはますますおしゃれな空間を追求するようになっています。
ここではインテリアにスポットを当てて、おしゃれなキッチンにリフォームするコツを紹介しましょう。
記事の目次
- おしゃれなキッチン・台所にリフォームするインテリアの選び方
- キッチンの扉・天板の素材選びにこだわるリフォーム
- リフォームするキッチンに合わせて壁や床などのインテリアを選ぶ
- キッチン前の壁はタイル?それともキッチンパネル?
- 腰壁を造作し、キッチンの手元を隠す
- 壁付けか対面キッチンかレイアウトの違いで印象が変わる
- 造作カウンターでカフェのような雰囲気にリフォーム
- キッチンの壁面・背面収納は隠すか見せるか
- 吊戸棚をはずすと開放的なキッチンに
- LDK全体のバランスを考慮してキッチンを配置する
- 作業しやすくおしゃれなキッチン・台所の照明の選び方
- おしゃれなキッチン・台所にリフォームするインテリアのアイデア実例
- キッチン・台所をおしゃれにリフォームするために大切なことは?
おしゃれなキッチン・台所にリフォームするインテリアの選び方
おしゃれなキッチンにリフォームするインテリア選びは、キッチン本体の素材や色・柄と内装材の選び方がポイントになります。
床材は、クッションフロア、複合フローリング、むく材が主なもの。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
◆クッションフロア
ビニール系の素材でクッション性があり、色・柄が豊富。
安価で工事費が安くなるのが特徴。
◆複合フローリング
合板を基材として表面に樹脂シートや突板(薄くスライスした板)を貼ったもの。反りや変形に強く安定性がある。 価格はクッションフロアよりは高いが、むく材より安いものが多い。
◆むく材
むく材のフローリングは足ざわりもよく調湿効果があり、見た目にも上質感があるが、気温などによって反ったり、伸び縮みすることがある。
価格は樹種によって異なる。
上記は一長一短があり好みによりますが、おしゃれにリフォームするなら、最近のリフォームのトレンドでもあるむく材が人気です。
キッチンの扉・天板の素材選びにこだわるリフォーム
キッチンの見栄えに影響する2大要素は収納扉と天板の素材。どれを選ぶかでキッチンの雰囲気が大きく変わります。キッチンリフォームの際には、ショールームで実物を見ながら、自分の好みに合うかどうかに十分注意して素材を選びましょう。
収納扉はグレードの異なる種類が用意されている
収納扉は、素材や表面の仕上げによってどのキッチンメーカーも数段階のグレードを用意しています。さらに各グレードの扉には、多数の色が設定されているので、どれを選ぶかでキッチンの雰囲気が変わります。
天板はステンレスか人造大理石かで雰囲気が変わる
天板(ワークトップ)は、ステンレスと人造大理石が主なものです。どちらを選ぶかは好みの問題が大きいので、周りのインテリアとの取り合わせも考慮して検討しましょう。
なお、ステンレスにも人造大理石にもグレードの異なる種類があるので、ショールームで実物を確認しながら選ぶのが良いでしょう。
むく材のキッチン扉も最近の人気
最近のシステムキッチン扉のトレンドの一つにむく材の扉があります。造作では時々見かけますが、既製品ではウッドワンのシステムキッチンがむく材の扉として知られています。むく材のフローリングなど本物の木を使った温もりのあるインテリアにマッチするのが特徴です。
リフォームするキッチンに合わせて壁や床などのインテリアを選ぶ
キッチンと周囲のスペースの調和がとれていると空間が落ち着きます。それにはキッチン本体と内装材の選び方がポイントになります。
木のキッチンには上の写真のように木のインテリアが似合います。
下の写真のように、モルタルの土間風仕上げの床とステンレスキッチンの組み合わせもぴったりです。
LDK全体をリフォームするケースが増えた今、キッチンもインテリアの一部としてとらえる視点が求められているようです。リフォームのプランを考える前に、いろいろな施工例を見てイメージを膨らませてリフォーム会社に要望を伝えましょう。
キッチン前の壁はタイル?それともキッチンパネル?
壁付けキッチンの正面の壁は不燃材を用いることが法律で決められています。以前はタイル張りが多かったのですが、最近は手入れがラクなキッチンパネルも増えました。
その一方で見直されてきたのがタイル張りの良さです。つるっとしたキッチンパネルにない見た目の雰囲気が人気となり、リフォームの機会にあえてタイル張りにするケースが増えています。
キッチンパネルは汚れ落としがラクですが、少し味気ないと感じる人もいるのでしょうか。
腰壁を造作し、キッチンの手元を隠す
壁付けキッチンを対面キッチンとして用いる際に目隠しとして用いるのが腰壁ですが、その用い方によってキッチンの雰囲気も変わります。
腰壁はダイニング側からキッチンの手元を隠す、油ハネを防ぐといった目的がありますが、下の2つの実例を見ると、キッチンの腰壁はインテリアの印象をガラリと変える効果も大きいことが分かりますね。
一般的な既製品のキッチンを用いても、まるで造作したキッチンのように、個性的な空間にすることができます。
壁付けか対面キッチンかレイアウトの違いで印象が変わる
キッチンのレイアウトは、壁付けか対面かで雰囲気が変わります。壁で仕切られた独立型でない場合、壁付けはキッチン本体があらわになることが特徴です。キッチン本体のデザイン性がインテリアに大きく影響するといって良いでしょう。
また、キッチン前の空間も広く取ることができ、作業台を置いたり、ゆとりあるスペースにダイニングテーブルを置くことができます。
一方、対面キッチンは腰壁を設けた場合、キッチン本体はあらわにならず、むしろ腰壁のデザインや背面の収納が目立ってきます。対面で、ダイニング側からキッチン本体を見せたい場合には、腰壁のないフラット対面タイプを選ぶ必要があります。
造作カウンターでカフェのような雰囲気にリフォーム
対面キッチンは、キッチンに立ちながら家族のほうを向いて会話をしながら作業できるのが特徴です。カウンターを造作して、キッチンと一体化させると、より対面キッチンのメリットが活きます。カウンターがダイニングテーブルを兼ねるので、省スペース効果もありますね。
キッチンの壁面・背面収納は隠すか見せるか
対面キッチンの場合、平面の収納が目立ちますが、扉で隠してしまうか、オープンに見せるかで、インテリアの雰囲気が変わります。
全て隠すと空間がスッキリします。一方、オープンな棚も使い分けると明るい雰囲気が加味されます。
好みの問題ですので、LDK全体のインテリアとの調和を考慮して、自分に向いたスタイルを考えましょう。
吊戸棚をはずすと開放的なキッチンに
以前はキッチンといえば吊戸棚がつきものでしたが、最近では開放感を求めて吊戸棚を省く人が増えています。
吊戸棚は省スペースにはなりますが、ものが出し入れしにくい、視界を妨げるといったデメリットもあります。そこで開放的なキッチンを好む方は、キッチン本体の上に吊戸棚を設置するのをやめ、背面の収納で収納量を補うパターンが増えました。
LDK全体のバランスを考慮してキッチンを配置する
壁付けキッチンと対面キッチンのどちらがふさわしいのかは、LDKのスペースの広さにもよります。
壁付けキッチンはどちらかといえば狭いスペースに設置して、空間を広く使えるというメリットがあります。
一方、対面キッチンはある程度スペースにゆとりがあるほうが、その良さが活きると思います。
壁付け対面、両方の要素を兼ね備えているのが、Ⅱ列型キッチンです。
コンロ側を壁付けに、シンク側を対面にするケースが多いのですが、間口が狭い空間でもⅡ列型なら余裕をもって設置できます。
作業しやすくおしゃれなキッチン・台所の照明の選び方
照明がもたらすインテリア効果も無視できません。とはいえキッチンは作業をする場ですから、手元をしっかり照らすことが大事。そのために効果を上げるのがペンダントライトやスポットライトです。
下の写真の実例でもスポットライトが効果的に手元を照らすとともに、キッチンを華やかに見せることに成功しています。
おしゃれなキッチン・台所にリフォームするインテリアのアイデア実例
ここからは、リフォーム実例を見ながらおしゃれなキッチンにするインテリアのアイデアを紹介しましょう。
白いL型キッチンと作業台、洋書で見たイメージを再現
キッチンの作業台は料理好きには格好のアイテムであるばかりでなく、海外のキッチンを思わせるかっこよさがあります。
この実例では、南側に2部屋あった洋室を一体化させて大きなLDKにしたのを機に、L型キッチンと作業台を設置しました。対面キッチンだと単調な印象になると思ったことから、洋書で見つけた写真を参考に、L型キッチンと大きな作業台を設置したもの。框(かまち)の付いた扉のデザインも家具調で格調高い雰囲気を醸し出しています。
【DATA】
リフォーム費用:250万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:一戸建て
築年数:49年
設計・施工:北条工務店一級建築士事務所
重厚感のあるカウンターでバーのイメージにリフォーム
キッチンは既製品でも腰壁やカウンターを造作することで個性を演出することができますし、用途も広がります。
この実例では、フラット対面タイプのシステムキッチンに厚みのあるカウンターを造作して、食事用のテーブルとして使用できるように考慮しました。カウンターとフローリングの色合いが調和して、木質感豊かな空間に仕上がっています。
【DATA】
リフォーム費用:234万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:マンション
築年数:16年
設計・施工:ハコリノベ
大理石調タイル張りのホテルライクなLDK
キッチンの床はフローリングやクッションフロアが多いですが、大理石風のタイル張りとしたのがこの実例。床に合わせて、キッチン本体は白い上質な人造大理石天板を採用しました。背面には背の低いカウンタータイプと天井いっぱいの引き戸収納を設置。スッキリ片付いたホテルライクな空間になりました。
【DATA】
リフォーム費用:700万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:一戸建て
築年数:46年
設計・施工:ナサホーム
観葉植物をインテリアのワンポイントに
キッチンにグリーンを添えるのもおしゃれですね。
この実例ではダイニングに向けたアイアンフレームの室内窓越しにグリーンが見えるよう配置しています。
キッチンの壁はサブウェイタイルでニューヨークテイストに仕上げました。
【DATA】
リフォーム費用:75万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:マンション
築年数:12年
設計・施工:ナサホーム
クチーナのオーダーキッチンで白を基調に統一感のある空間に
キッチンは既製品のほかに、オーダーキッチンメーカーに依頼するオーダーキッチン、リフォーム会社が施工する造作キッチンがあります。
オーダーキッチンや造作キッチンは、既製品より好みを反映しやすいのが特徴。
この実例は、オーダーキッチンメーカーのクチーナにアイランドキッチンの製作を依頼、背面の収納やダイニングテーブルまで合わせて発注することで、統一感のある空間に仕上がりました。
【DATA】
リフォーム費用:800万円(概算)
リフォーム部位:キッチン、床・壁、ダイニングテーブル
建物種別:一戸建て
築年数:44年
設計・施工:一級建築士事務所 上野工務店
ウッドワン「スイージー」でナチュラルテイストの空間にリフォーム
むく材のインテリアに似合うのがむく材を収納扉に採用したキッチン。
木質感が際立ちます。
この事例は、実家の2階をリフォームするにあたり、床材にむく材を採用、キッチンも同じメーカーのむく材の扉を選びました。収納扉は背面に移して、キッチン上部は開放的にしています。キッチン本体のダイニング側はむく材の扉を張った収納になっています。
【DATA】
リフォーム費用:250万円(概算)
リフォーム部位:キッチン、収納、飾り棚
建物種別:一戸建て
築年数:28年
設計・施工:一級建築士事務所 上野工務店
モールテックスで仕上げたオリジナルキッチンが似合う空間
リフォーム会社にオリジナルのキッチンをオーダーすることもできます。
この場合、素材やデザインが自由にでき、費用的にも予算に合わせて調整できるのがメリット。
この実例では、左官素材のモールテックスで仕上げた床に合わせて、キッチンも同じ素材で造作しており、モノトーンの空間にぴったりマッチしています。
【DATA】
リフォーム費用:120万円(概算)
リフォーム部位:キッチン
建物種別:マンション
築年数:39年
設計・施工:SCHOOL BUS|スクールバス空間設計
白いテーブルと一体化したアイランドキッチン
キッチン本体とダイニングテーブルを一体化すると調理スペースが広がり、配膳や片付けも便利に行えます。
この実例では、LDKの中心にアイランドキッチンを設置、色を合わせた白いダイニングテーブル造作して一体化しました。家族や友人がたくさん集まって食事を楽しんだり、料理教室も開ける理想のキッチンが実現しました。
【DATA】
リフォーム費用:175万円(概算)
リフォーム部位:キッチン(給排水・電気工事等含む)
建物種別:一戸建て
築年数:25年
設計・施工:東京ガスリノベーション
キッチン・台所をおしゃれにリフォームするために大切なことは?
キッチンをおしゃれにリフォームするのに大切なことは、LDKを一つの空間としてとらえ、全体のコーディネーションに気を配ることです。
特にキッチン本体と収納、床・壁の内装がポイントになります。
プランニングの際には平面図だけでなく、カラーパースやCGで色の調和などを吟味するのがよいでしょう。
キッチンのインテリアはそれぞれの好みがあり、一概にどれがいいとはいえません。
数多くの実例写真を見て、見る目を養い、自分の好みに合うインテリアを探しましょう。
好みに合う実例を見つけたら画像をストックしておき、リフォーム会社とのプランニングの際に、こういうテイストで、と伝えるとイメージが正確に伝わります。
キッチン・台所のおしゃれリフォーム実例集。素材選びからレイアウトのコツまで紹介!
構成・取材・文/林直樹