文豪が愛した武蔵野の緑をわが家の庭にする暮らし

オーベル蘆花公園の外観

物件名:
オーベル蘆花公園
所在地:
東京都世田谷区
竣工年:
2013年
総戸数:
127戸

第1種低層住居専用地域に立ち、武蔵野の景観になじむ「風景の建築」

マンションのエリア選びにおいて「用途地域」は重要な項目のひとつだ。

用途地域は、市街化区域内のエリアの特性や街づくりの目的に合わせて指定された、13種類の地域区分。建築基準法で建築できる建物の種類や用途、容積率、建ぺい率などが定められている。

13種類のうち、最も規制が厳しいのが「第一種低層住居専用地域」だ。良好な住環境を保護するために、10mあるいは12mの絶対高さの制限があるため、低層住宅がゆとりをもって並ぶ住宅街になることが多い。建てられる建築物も、一戸建てや低層マンション、教育関係の施設などに限定される。つまり、この地域に立つマンションなら、用途地域が変更されない限り、半永久的に閑静な住環境であることが約束されたようなものなのだ。

ここで紹介するオーベル蘆花公園も、その第一種低層住居専用地域に立つ、低層4階建てのレジデンス。良好な環境に加えて大きなアドバンテージなのが、物件名に冠された「蘆花公園」、正式名称「都立蘆花恒春園」がマンションの南面に位置していること。

オーベル蘆花公園のラウンジ

ガラスに囲まれたラウンジでは住人構成するマンション管理組合の理事会なども開催。外に植えられた竹が渋味を添えている

蘆花公園は明治・大正の文豪、徳富蘆花が半生を過ごした住まいと庭を中心とした公園で、広さは8万㎡超。武蔵野の風景を残す都内の名園のひとつである。

この公園に隣り合い、風景と一体化することを目指したオーベル蘆花公園の建築コンセプトは「風景の建築」。マンションの外周や敷地内の中庭には世田谷区の保存樹が多く残され、竹林や桜などの緑に包み込まれるような感覚だ。確かに武蔵野の風景になじんでいる。

オーベル蘆花公園のメインエントランス

メインエントランスも緑に囲まれている

オーベル蘆花公園の駐車場

駐車場はすべて平置き。長期的に見て維持費がかさみがちな機械式駐車場はなく、安定的な資産管理が期待できる。中央左では世田谷区の保存樹木であるケヤキの高木が存在感を示している

マンションの資産である緑の維持管理を最重要課題に

管理組合の活動も、この緑を適切に維持管理することに重点を置いている。北野理事長にお話をうかがった。

「以前はコスト面を優先して選んだ植栽管理業者に委託していました。もちろん剪定すべき箇所はきちんと仕事をしてもらったのですが、住人からはより良い植栽管理を求める声が上がるようになりました。やはり蘆花公園に面し、公園と一体となった緑に包まれたマンションであることが購入の決め手になった方が多いため、チェックの目も厳しかったのです」

そこで管理組合は、管理会社を通じてマンションのランドスケープデザインを担当したデザイナーにも協力を依頼し、植栽管理を別の業者に依頼することにしたという。

オーベル蘆花公園の敷地

2013年にはグッドデザイン賞を受賞

「コストは少し上がったのですが、このマンションの植栽にはそれに換えられない価値があるという判断でした。細かい部分まで目が行き届いた、満足のいく維持管理をしてもらえるよう試行錯誤しています」

筆者が取材に訪れたのは9月中旬。なるほどマンションの周囲と敷地の中には生き生きした樹々や竹林の緑が輝いていた。

オーベル蘆花公園の外観

蘆花公園に面した南向きの住戸。専用庭が付き、エントランスを通らず直接公道に出られる住戸もある

23区でも小鳥のさえずりが聞こえる穏やかな朝を迎えられる

今度は北野理事長に、一住人としての住み心地をうかがってみた。

「ここに来る前は、品川区の有名な商店街が生活圏にあるエリアに妻と二人で住んでいました。そろそろマンションを買おうかと考え、初めての購入だったのでスーモカウンターに相談に行ったのです。そこで候補にと薦められたのが、蘆花公園付近にあった2物件。オーベル蘆花公園は1件目に見学してほぼ即決でした。品川の買い物に便利な環境も気に入っていましたが、やはり、どこを見ても緑がたくさんある環境が魅力だったからです」

そして、北野さんが教えてくれたもうひとつの特徴が、マンションに隣り合っている建物。国の登録有形文化財になっている住宅と土蔵が立っているのだ。北野さん宅からは、それらの建物と見事な庭園が素晴らしい借景として眺められるという。

オーベル蘆花公園内にある邸宅の小径

「邸宅の小径(こみち)」と名付けられた住人専用の散策路。ここからも国の登録有形文化財になっている住宅と土蔵を眺めることができる

オーベル蘆花公園内にあるたけのこ大黒

邸宅の小径には、「たけのこ大黒」の愛称をもつ布袋様の像も

オーベル蘆花公園の住人専用キーを使って開ける門

この扉の向こうに邸宅の小径があり、住人だけが専用キーで出入りできる

「さらに、閑静な環境も気に入っています。マンションの端から、環状8号線(注:東京の主要幹線道路のひとつで交通量が多い)までは50mに満たないほどの近さなんですが、緑に囲まれているせいか喧噪は届きません。そんな場所だからか野鳥も多く飛んできます。23区でも小鳥のさえずりが聞こえる朝が体験できるというのは発見でしたね」

オーベル蘆花公園のラウンジに面した中庭

ラウンジに面した中庭には燈籠などの石碑が配置され、和の趣が漂う

資産価値にも好影響。愛犬家満足の設備とサービス

このマンションで暮らし始めてから北野さんのライフスタイルには、もうひとつの大きな変化が起きた。それは犬を飼い始めたこと。

「このマンションも含めて、地域には本当に犬を飼っている方が多いんです。最も大きな理由は犬の散歩が楽しめる蘆花公園の存在だと思いますが、加えて公園の敷地内にドッグランがあることも大きいと思います。そんな住環境に暮らしていたら、私も犬を飼いたくなってしまって」

蘆花公園のドッグランは、小型犬専用エリアと小型から大型まで入れるフリーエリア、2種類があり、計1450㎡とかなりの広さ。利用登録すれば無料で使うことができ、遠方からも愛犬家がやって来る。

「オーベル蘆花公園内では犬を飼っている家が加盟する『ペットクラブ』をつくっていまして、ペットを登録しています。ボランティアで運営されているドッグランの草むしりなどにも参加することで、飼い主同士の交流が深まります。この住環境ならではのコミュニティだと思いますね」

マンションには愛犬家にとってうれしい共用設備もある。それが「ペットサロン」だ。

オーベル蘆花公園内にあるペットサロン

ペットサロン。左が浴槽。中央の専用ドライヤーで濡れた毛を乾かす。ペットショップで使われているのと同じプロ仕様で素早く乾かすことができる

昨今の新築マンションはペット可が一般的であり、そのための施設としてペットの足洗い場やペット乗車中サイン付きエレベーターなどはよく見かける。しかし、オーベル蘆花公園のペットサロンは、足洗い場はもちろん、汚物を流せる水洗ダスト、犬の身体をすっぽり入れてシャンプーできるバス、濡れた毛を素早く乾かす強力なドライヤーも設置。ここまで充実しているのは珍しい。

ペットサロンを利用する北野理事長の愛犬

北野理事長の愛犬。ワンちゃんにとっても恵まれた環境だ(写真提供:北野理事長)

「犬・猫を飼育している住人はペットクラブ加入が必要となり、ペットクラブ会費を管理費とともに収めることになっています。その代わりにペットサロンを自由に使える上、月に2回トリマーによる毛のカットやシャンプー、爪切り、体調を診てくれたりするサービスも受けられます」

ペット可から一歩進んだ、ペットとの共生を意識したハードとソフトのサービス。今後、しっかりと維持していけば、他のマンションとの差別化ができ、資産価値の維持向上にも好影響を与えるだろう。

「実はここを購入した当時の職場は40~50分台で着ける場所にあり、通勤利便性は良かったのですが、その後仕事の関係で職場が変わり、片道2時間ほどかかる郊外に通うことになりました。ただ、都心に向かうのとは逆方向なので通勤ラッシュは無縁ですし、このマンションの住環境が非常に気に入っているので、引越す考えはまったくないですね」

北野さん宅には、ここで暮らし始めてから生まれた2歳のお子さんがいるとのこと。子育て環境としても、このマンションのロケーションは得難いだろう。両親、愛犬とともに自然豊かな武蔵野の風景を散策した記憶は、お子さんの心にも残っていくはずだ。

構成・取材・文/保倉勝巳 撮影/柴田ひろあき

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