横浜・山手の丘に刻まれた歴史へのオマージュ

ハイコート山手パレ244(南館)の外観

物件名:
ハイコート山手パレ244
所在地:
神奈川県 横浜市
竣工年:
2014年
総戸数:
39戸

外国人居留地の面影が残る異国情緒にあふれる街並み

港町・横浜のなかでも山手町は、ひと際、エキゾチックだ。
山の上に広がるこの街は、幕末の横浜港開港を機に外国人居留地として発展。住宅とともに、キリスト教会、教育施設などがつくられた。現在も歴史を刻んだ洋館や西洋式庭園がそこかしこに残り、街を歩けば往時の面影に浸ることができる。

白い壁と煉瓦屋根がかわいらしい山手111番館

山手111番館は1926年に建てられた洋館。スパニッシュスタイルの赤い瓦屋根と白い壁のコントラストが美しい。街の中にはこうした歴史的な建造物が点在している

西洋風のデザインの岩崎博物館

明治・大正期のパブリックホール「ゲーテ座」の跡地に立つ「岩崎博物館」は、服飾とアートのミュージアム。1980年に建設された建物にも山手らしい西洋風のデザインが施されている

丘陵地ゆえに見晴らしも抜群だ。港の見える丘公園は横浜港やベイブリッジを一望できる絶景ポイントとして知られるが、それ以外にも至るところから港町らしい景色が顔をのぞかせる。ちなみに、かつてこの地域の呼称に使われていた「BLUFF」とは「切り立った崖」という意味。まさにその地形が街の魅力に磨きをかけているのである。

アメリカ山公園の入口

アメリカ山公園の入口に刻まれた「BLUFF」の文字。この呼称は今も住民の間で親しまれている

山手のさまざまな観光名所を示すサイン

山手は横浜が誇る観光名所でもあり、休日は多くの観光客が訪れる

港の見える丘公園から眺める海と船

港の見える丘公園からの眺望。横浜港に停泊する船やみなとみらい地区も一望できる

横浜外国人墓地

幕末につくられた横浜外国人墓地。生い茂る樹木の間からは高層ビル群が顔をのぞかせる

坂道の向こうに見える横浜の海

細い坂道が至るところにあり、住民の生活路になっている。坂道の奥に海が見えるのは横浜ならでは

そんな山手は横浜屈指の高級住宅街としても名を馳せている。立ち並ぶのは、敷地の広い一戸建てが中心。たとえ新築であっても洋館風の趣のある家が多く、美しい景観が守られているのが印象的だ。

背景にあるのが、官民双方による美観保全の取り組みである。山手は横浜市が定めた風致地区であり、山手地区景観風致保全要綱も制定されている。それら加えて、地域住民たち自らも「山手まちづくり協定」を制定。その指針には、緑化の基準とともに建物の規模や形態・色彩なども細かく示されている。まさしく、この街に暮らす人たちの誇りと高い意識の表れといえるだろう。

美しい山手の街並みを散歩する

街に流れる空気はゆったりとして穏やか。街路樹に加えて、施設や住宅の植栽も緑豊かな街並みを生み出している

住宅の壁に描かれた山手のイラスト地図

住宅の壁に描かれた山手のイラスト地図。住民の愛着の深さが窺われる

南館と北館が独立 意匠に薫る歴史と文化

この街に「ハイコート山手パレ244」が誕生したのは2014年。低層3階建ての建物はモダンで気品があり、街並みにしっくりと溶け込んでいる。

なかでも目を引くのは、重厚感を醸し出す意匠の数々だ。赤煉瓦壁をモチーフにしたハーフボーダータイルの外壁、北欧の伝統様式である「透かし積み」による煉瓦の門、ロートアイアンの門扉……。

マンションが立つのは、かつてデンマーク王国知事公邸があった場所。瀟洒(しょうしゃ)なファサードは土地の記憶を刻んだものであり、街の歴史へのオマージュでもあるのだ。

往年の地番を刻んだハイコート山手パレ244のエントランスのプレート

往年の地番を刻んだエントランスのプレート。マンション名の「244」はこの地番に由来している

北欧伝統の様式の透かし積み

北欧伝統の様式の透かし積み。視線を遮りながら光と風が取り込める

ハイコート山手パレ244の門扉は格調高い雰囲気

門扉のロートアイアンが格調高い雰囲気を醸し出す

ランドプランはユニークだ。約4万2000㎡の敷地に立つのは、北館と南館の2棟。既存樹を中心にしたグリーンヤードを仕切りに敷地を分け、それぞれにエントランスゲートが設けられている。接する道も異なるため、外からはまるで別々のマンションが建っているかのように見える。

「北館と南館は敷地内からも行き来ができないようになり、独立性が保たれています。そのためプライベート感が高く、防犯面でも安心なんです」

こう語るのは管理組合の理事長だ。

共用施設は北館にあるエントランスラウンジのみとシンプル。その分、各住戸の広さがゆったりとられ、100㎡を超えるタイプも多い。

ゆとりの空間に華を添えるのは窓から見える景色だ。向きによって豊かな緑が眺められたり、丘の上の瀟洒(しょうしゃ)な家並みを一望できたり。高台ならではの眺望は居住者の自慢のタネなのだとか。

では、管理組合の活動はどうだろう。

理事長によれば、監事を含めた6名の理事は、両館から3名ずつ選出。植栽や修繕など各館から挙がった問題をマンション全体の課題として解決しているという。

「理事会の活動はマンションの価値を維持することを主眼に行っています。イベントなどは特に開いていませんが、会えば挨拶を交わすような良好なコミュニティが生まれています。良識のある方ばかりなのでスムーズに活動できますね」

ハイコート山手パレ244の北館のエントランスゲート

北館のエントランスゲート。落ち着いた色合いが街の景色に馴染む

桜が美しいハイコート山手パレ244の南館のエントランスゲート

南館のエントランスゲートは桜の木がシンボル。春の開花時期には入口を桜色に染める(写真撮影:杉田賢治)

ハイコート山手パレ244の北館の石畳

北館はエントランスと門を石畳のアプローチがつなぐ。緑が安らぎを与える

ハイコート山手パレ244の北館のエントランスラウンジ

北館のエントランスラウンジは落ち着いた雰囲気。理事会はここで開かれている

ハイコート山手パレ244の北館のエントランスの照明

エントランスの照明にもアンティーク風のデザインを採用

ハイコート山手パレ244の北館の廊下

中住戸にはアルコーブを採用。共用廊下から奥まった位置に玄関があるので、プライバシーが守りやすい。角住戸には門扉のついた玄関ポーチが設置されている

子育て世帯も多く住むインターナショナルな街

マンションの居住者には異国情緒あふれるこの街に憧れて購入を決めた人が多く、理事長もその一人だという。

「以前は同じ横浜の馬車道に住んでいたのですが、いつか山手に暮らしてみたいと思っていたんです。とにかく街並みがきれいなので散歩しても気持ちがいいですね。それにとても静かで、夜は物音一つしません。家族で落ち着いて暮らすことができるんです。周辺には遊具のあるこぢんまりとした公園も多く、わが家のような子育て中の家族にも暮らしやすい環境ですね」

確かに、街を歩くと近所の人と思しきファミリーに多く出くわした。しかも、その顔ぶれは国際色豊か。街にはインターナショナルスクールも複数あり、おのずと国際感覚も身につきそうだ。

山手を歩く学校帰りの子どもたち

夕方の街には学校帰りの子どもたちの姿が多く見られる

さらに、坂道を下れば、ブティック、カフェ、レストランなどが多彩な店が集まる元町ショッピングストリートが広がり、中華街や山下公園も生活圏内。暮らしの楽しみも目白押しだ。

ただし、いささか気になるのは利便性。実は、筆者が通った大学はこの山手にあり、当時は坂道を上るだけで1日が終わったような気分になったのを覚えている。しかも、風致地区である山手には、コンビニやスーパーのような商業施設はつくれない。ちょっとした買い物をするにも丘を下るしかないわけだが、不便ではないのだろうか。住人の一人として、理事長に訊いてみた。

「坂についてはまったく問題ないですね。元町・中華街駅から丘の上まではエレベーターやエスカレーターがあって、歩いて上がらずに済むんです。通勤や買い物も快適にできますよ。家の周りにコンビニが何軒もあるような場所に比べたら便利とはいえませんが、その不便さを楽しめるような人たちが集まるのがこの街なんです」

横浜・山手のアメリカ山公園にある元町・中華街駅の入口

アメリカ山公園にある元町・中華街駅の入口。エスカレーターとエレベーターで改札と直結している

横浜・山手のアメリカ山公園

アメリカ山公園があるのは駅舎の上部。全国初の立体都市公園であり、多くの花と樹木が行き交う人たちの目を楽しませる

山手の丘の下に広がる元町ショッピングストリート

山手の丘の下に広がる元町ショッピングストリート。洋菓子、靴、バッグなどの老舗も軒を連ね、にぎやかな中にも落ち着いた雰囲気がある

異国情緒あふれる美しい街並みとゆったり穏やかな環境は、利便性に代えても余りある魅力だと理事長は言う。そして、この街に刻まれた土地の記憶も唯一無二だ。

「山手という歴史ある街において、私たちマンションの居住者はいうなれば新参者。『住民の1人に加えていただき、住まわせてもらっている』。そういう謙虚な気持ちを持つようにしています」

竣工から5年。このマンションから生まれる人々の暮らしは、街の歴史に新たなページを紡ぎ出している。

構成・取材・文/上島寿子 撮影/中垣美沙

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