マンションのベランダやバルコニーをおしゃれに活用!空間づくりや収納選びのコツと利用時の注意点などを解説 

最終更新日 2025年06月09日

マンションのベランダをおしゃれに活用!空間づくりや収納選びのコツと利用時の注意点などを解説

「マンションのベランダ・バルコニーをおしゃれに活用したい」と考えていませんか? ベランダ・バルコニーは限られたスペースですが、工夫次第で素敵な空間に生まれ変わります。でも、何から始めればいいのか、どんなことに気を付けるべきなのか、分からないことも多いですよね。

そこで今回は、マンションのベランダ・バルコニーを快適でおしゃれに活用するための方法や注意点、収納選びのコツなどを、さくら事務所の松島伸行さんに伺い紹介します。ベランダ・バルコニーライフを充実させたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

マンションのベランダ・バルコニー活用時の注意点を知っておこう

ベランダ・バルコニーは共用部分であることを認識しておく

マンションには、マンションの購入者が区分所有する「専有部」と、住人全員が共用する「共用部」があります。マンションのベランダ・バルコニーは共用部に該当するため、賃貸した場合はもちろん、たとえ専有部を購入した場合であっても自分の好き勝手に使ってよいわけではないことを、まず理解しておくことが重要です。

「マンションは、定期的に大規模修繕がおこなわれます。ベランダ・バルコニーについても定期的に防水塗装を施したり、防水シートを張り替えたりすることもあり、その際には、出しているものはすべて片づけて部屋に入れなければなりません。ベランダ・バルコニーを活用するときには、そのことを必ず念頭においておきましょう」

避難経路を確保しておく

マンションのベランダ・バルコニーは、災害が発生した場合に、住人の避難経路としても活用されます。そのため活用するときには、非常時において避難の妨げにならないような配慮が必要です。

「地域消防の指導によって異なることもありますが、一般的には避難できる通路として、60cmの幅は確保しておく必要があります。ベランダ・バルコニーの奥行きは、古いマンションだと1m程度しかない場合もありますが、その場合でも通路とする60cmは確保しましょう。

また隣戸との間は、災害時には割って避難する『蹴破り戸(隔て板)』で間仕切りされています。この蹴破り戸の前も、いざというとき避難の妨げにならないよう、60cmは空けておくことが重要です。

さらに住戸によっては、避難ハシゴを下階に降ろす避難ハッチがベランダ・バルコニーにある場合もあります。そのようなケースでも、避難ハッチの開閉の妨げにならないよう配慮が必要です」

マンションベランダの蹴破り戸
マンションのベランダはすべての住人が共用する避難経路であることを認識しておこう(画像/PIXTA)

管理規約に従う

マンションのベランダ・バルコニーは共用部であるため、禁止事項について管理規約に細かに記載されています。ベランダ・バルコニーを活用したいときには、自分がやりたいことが禁止されていないかを、必ず確認しておきましょう。

「管理規約でどのような事項が禁止されているのかは、マンションがある地域の事情やマンションの高さなどによっても大きく異なります。

例えばマンションによっては『ベランダ・バルコニーには一切ものを置いてはいけない』と、管理規約で明確に禁止しているところもあります。ベランダ・バルコニーを活用したいと考えているときには、マンションを借りたり購入したりする前に、管理規約を確認することをおすすめします」

マンションのベランダ・バルコニー活用のアイデアは?

リラックススペースとして活用

ベランダ・バルコニーは、おしゃれなテーブルと椅子を置くなどしてカフェ風に整えることで、リラックススペースとして活用できます。近年は奥行きが広いベランダ・バルコニーも増えており、雨に濡れてもよいタイプのソファを置く人もいます。

「子どもやペットがいる場合には、転落事故が起きないよう、テーブルや椅子は必ず手すり側ではなく室内側に配置してください。

また、ベランダ・バルコニーで火を使ってよいかどうかはマンションにより異なります。禁止されていない場合でも、BBQのように煙やにおいが発生するような使い方は、近隣トラブルの要因になり得る点はよく理解しておきましょう」

ベランダでティータイムを楽しむ女性
マンションのベランダは外の空気を感じられるリラックススペースとして使える(画像/PIXTA)

ガーデニングやミニ菜園を楽しむ

日当たりがよいベランダ・バルコニーであれば、ガーデニングやミニ菜園も楽しめます。なお植木鉢やプランターを床にただ並べるだけだと単調になり、置ける数も限られます。立体感を出してメリハリを付けるには、棚やシェルフを活用するとよいでしょう。

「ただしその場合も、子どもやペットがいるような場合は、転落事故を防ぐためにも手すり側への配置はできるだけ避けることをおすすめします。

なおマンションはだいたい鉄筋コンクリート造なので、重たいプランターを選んでも、建物の強度的には問題になりません。とはいえ大規模修繕の期間や台風シーズンには、プランターも室内に移動する必要があります。そのため鉢やプランターは、土を入れてもご自身で持ち運びできる大きさや重さに留めておくと安心です」

ベランダでキュウリを収穫する女性
日当たりのよいベランダなら、ガーデニングや家庭菜園も楽しめる(画像/PIXTA)

子どもの遊び場として活用

近年、夏には35℃を超える猛暑日になることも珍しくありません。夏に子どもを外で遊ばせるのは熱中症リスクが気になる、けれども家の中だけでは退屈する、といったときにもベランダ・バルコニーは役立ちます。水道があるベランダ・バルコニーなら、小さなビニールプールを出して水遊びを楽しむことも可能です。

「家の中から子どもを見守れるという意味では、ベランダ・バルコニーは子どもの遊び場としては便利です。ただし、子どもの声は、人によっては騒音と感じる場合もあります。集合住宅であることをふまえ、子どもをベランダ・バルコニーで遊ばせるときには、大きな声で騒がないようあらかじめ約束しておきましょう。

またプールの水を一気に流すと一度に排水しきれず、隣戸に水が流れてしまうことも。マンションによっては、排水管が住戸ごとではなく一戸おきに配置されていることもあります。隣戸のベランダ・バルコニーが水浸しにならないよう、十分配慮が必要です」
 
“マンションの管理規約や使用細則にベランダ・バルコニーやバルコニーでのプール遊びを禁止すると明記されていない場合も、遊び方次第では、ルール違反ととられることもあると考えておくのがいいでしょう。自己判断が難しい場合も多いと思うので、ルールがわからない場合は、管理員や管理会社、賃貸の場合は大家さんなどに確認してから行うのが安心です。”
引用:マンションのベランダでプール遊びはOK?ルールや遊ぶ場合の注意点|SUUMO

ベランダのプールで遊ぶ子ども
マンションのベランダを子どもの遊び場として使うときには、近隣住戸に配慮が必要(画像/PIXTA)

ベランダでのプール遊びについてもっと詳しく
マンションのベランダでプール遊びはOK?ルールや遊ぶ場合の注意点

マンションのベランダ・バルコニーをおしゃれに変身させるコツは?

床にウッドデッキや人工芝を敷く

最近のマンションのベランダ・バルコニーは、タイルや木目調の防水シートが張られている物件も増えてきました。しかし、コンクリートにそのまま防水塗装が施されていたり、無機質な防水シートが敷かれたりしていることも少なくありません。そのような場合は、ウッドデッキや人工芝を敷くと、イメージを刷新できます。

「ウッドデッキや人工芝は、ホームセンターで売られているタイル状のアイテムをおすすめします。DIYするのはもちろん、大規模修繕時に撤去するのが簡単であるためです。

なお、安全の観点からは、ベランダ・バルコニーの床から手すりまでの高さは最低でも1.1m確保する必要があります。タイル状のウッドデッキや人工芝は厚さが薄いため問題になるケースは少ないと思われますが、実際に敷いてみたときに手すりまでの高さが確保できるかどうかを、あらかじめ確認しておきましょう」

ベランダの床面と手すりの高さの関係
ベランダに敷いたウッドデッキなどから手すりまでの高さは1.1m以上を確保しよう(イラスト/あべさん)

リビングとの一体感を出す

マンションのベランダ・バルコニーは、リビングとの一体感を出すとよりおしゃれ度がアップします。例えばリビングがモノトーンのインダストリアルテイストなら、ベランダ・バルコニーに置く椅子やテーブルもあわせると統一感が出ます。ベランダ・バルコニーに置くアイテムをそろえるときには、リビングとテイストをあわせましょう。

「とくに床材の種類や色味をあわせると、統一感を出しやすくなります。リビングがフローリングなら、似た色味のウッドデッキを選ぶとよいでしょう」

ラティスやフェンス、室外機カバーを設置する

ベランダ・バルコニーで、床の次に面積が広いのは壁です。壁にラティスやフェンスを設置すると無機質な壁が隠れ、またプランターや雑貨がハンギングできて、おしゃれに見せる工夫をしやすくなります。さらにエアコンの室外機も木製のカバーで囲うと、ぐっと雰囲気がよくなるでしょう。

室外機にカバーをしたおしゃれなベランダ・バルコニー
室外機におしゃれなカバーを設置すると、ぐっと雰囲気がよくなる(画像/PIXTA)

ただしラティスやフェンスも、クロス状になったものだと子どもがよじ登って転落事故につながる可能性があります。子どもの年齢なども考慮して、設置する場所やタイプを考えましょう。

マンションのベランダ・バルコニーを上手に使う収納と家具選びのポイントと注意点は?

収納アイテムは大きさと耐久性をチェック

「マンションのベランダ・バルコニーで使うガーデニンググッズや、普段あまり使わない工具などを入れておく収納を置く場合には、まずは大きさを考慮しましょう。大きな収納はたくさんのものを保管できますが、大規模修繕時にはそれだけのスペースを室内に確保しなければなりません。

またマンションのベランダ・バルコニーは雨風や直射日光にさらされる過酷な環境であるため、サビや紫外線に強い素材であることも重要です」

折りたたみ家具を活用

「テーブルや椅子を選ぶときには、折りたたみ式タイプを選ぶことをおすすめします。そうすれば大規模修繕や台風時に簡単に室内に取り込めますし、広い保管スペースも不要です。

購入時には収納と同様に、もともと外での使用を前提につくられた、雨や紫外線に強いものを選びましょう」

折りたたみ式の木製テーブルとチェア
ベランダに置く家具は、コンパクトに収納できるタイプを選ぶことがポイント(画像/PIXTA)

日除けは固定し強風時には片づけられるものを選ぶ

ベランダ・バルコニーの活用時の日差しが気になり、日除けを検討するときには、まずは風にあおられ飛ばない工夫が必要です。そのうえで、強風時に片づけられるものを選びましょう。

「例えば、ベランダ・バルコニー用のパラソルを置くのであれば、使用するときだけ開くよう心掛け、開きっぱなしにするのは避けましょう。ベランダ・バルコニーに日除けをかけられるフックが付いたマンションもありますが、そのような場合も、台風などの強風時には取り外して片づけることが大切です」

マンションのベランダ・バルコニーをきれいに保つには?

清掃はこまめにおこなう

マンションのベランダ・バルコニーは、月に1回程度の頻度で定期的に掃除をするよう心掛けましょう。「毎月2週目の日曜日」などと決めておき、カレンダーに印をしておけば忘れることがありません。

「定期的に掃除するのに加え、強風が続いてホコリや落ち葉が気になるときなど、気がついたときにできるだけこまめに掃除しておくと汚れがこびりつかずにすみます。

とくに夏の冷房時には、エアコンからの排水がベランダ・バルコニーに流れます。コケやカビが発生してしまうと落としにくくなるので、ひどくなる前にブラシで軽くこすって掃除しておくとよいでしょう」

ベランダのホウキとちりとり
ベランダは月に1回程度、定期的に掃除していると、いつも気持ちよく使える(画像/PIXTA)

排水溝はとくに念入りに清掃する

ベランダ・バルコニーの汚れは、雨で排水溝に流れていきます。とくにガーデニングやミニ菜園を楽しんでいる場合は、枯れた葉っぱだけでなく、水やりのたびに土も流れ出ていってしまいます。

「排水溝は隣戸と共有しているケースも多く、目詰まりしてしまうと隣戸のベランダ・バルコニーの排水が悪くなってしまいかねません。そのため排水溝の汚れはこまめに取り除き、常に清潔に保ちましょう」

マンションのベランダ・バルコニーは避難経路であることを認識したうえで活用しよう

最後にあらためて松島さんに、マンションのベランダ・バルコニーを活用するときのポイントを伺いました。

「マンションのベランダ・バルコニーは、区分所有者の私的なスペースと思いがちですが、あくまでも共用部です。住人全員の避難経路となる場所であることを、よく意識したうえで活用してもらいたいと思います。またお子さんやペットがいるご家庭では、転落事故には十分配慮したうえで、ベランダ・バルコニーを活用してほしいです」

まとめ

マンションのベランダ・バルコニーは避難経路となる住人全員の共用部であることを認識する

ベランダ・バルコニーに家具や棚などを置くときには、子どもやペットの転落事故に十分配慮する

ベランダ・バルコニーダに置くものは、大規模修繕や台風時に収納しやすいかを考慮して選ぶのがおすすめ

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