マンションの共用部ってどこ?破損や迷惑行為などのトラブルは、どう対応すればいい?

公開日 2022年06月22日
マンションの共用部ってどこ?破損や迷惑行為などのトラブルは、どう対応すればいい?

マンションを買うにあたって、自分の責任の範囲と、管理費や修繕積立金で対応する部分の線引きが分からないという方もいるでしょう。共用部分と専有部分がどこかを把握していないと、故障や不具合が発生した場合の修理やメンテナンスをどう行うべきなのか、リフォームする際はどこまで手を加えていいものなのかなど、判断しづらくなってしまいます。今回は、マンションの共用部と専有部について、管理会社の東急コミュニティーに教えていただきました。

そもそもマンションの共用部ってどこ?

分譲マンションの共用部は、住人で共用する部分全般を指します。管理やメンテナンスを行うのは、管理組合です。対して、専有部はマンション購入者が区分所有している部分。いわゆる「住戸内」です。専有部以外は全て共用部となりますから、まずは専有部がどこか把握するとわかりやすいでしょう。

専有部は住戸を囲む躯体の内側

専有部は区分所有者が購入した住戸を指します。
「範囲としては、躯体の内側になりますので、戸境壁などコンクリートの躯体自体は含みません。躯体と床の間、躯体と天井間の空間は、専有部になりますから、この間を通る給水給湯管や電気系統の配線などは専有部になります。ただし、住戸内にあっても、他の住戸とつながっているPS(パイプスペース)の中は、縦につながる配管は共用部、横に延びる各住戸に入る枝管部分は専有部として扱うマンションが多いので注意しましょう」(東急コミュニティー担当者、以下同じ)

住戸に付随していて、共用部なのか専有部なのか判断しづらいのが、玄関ドアや窓(サッシやガラス)です。
「玄関ドアは、外側の面は共用部、住戸側内側塗装部分は専有部として扱われるのが一般的です。外観に影響する外側は勝手に色を変えることはできませんが、内側の色を変えることは可能とイメージすれば分かりやすいでしょう。なお、窓は共用部になります」

共用部と専有部
家の中から見える床や壁だけではなく、躯体までが専有部に含まれる(イラスト/藤井昌子)

共用部は外から見える部分と全体のシステムにつながるもの

専有部以外は全て共用部です。
「専有部のところで触れた窓やドアの外側など、外観に影響するものは全般的に共用部となります。ほかに、エレベーターやエントランスなど住人が共有する設備や施設などは、基本的に共用部と考えて差し支えないでしょう。共用部は区分所有者の共有財産となります」

専有的に使えるので専有部と思いがちですが、ベランダやルーフバルコニー、専用庭、ポーチ、集合ポスト、駐車場や駐輪場なども「専有使用権が設定された共用部」になります。専有的に使うための使用料が設定されている部分もあります。

マンション周辺の共用部
外観、中庭、駐車場など外から見える敷地内にあるものは全て共用部(イラスト/藤井昌子)
マンションのエントランス風景
エントランスや宅配ボックス、オートロックや防犯カメラなどは全て共用部(画像提供/PIXTA)
共用施設・フィットネスジム
大規模マンションにはジムやプールといった豪華な共用施設があることも。通う時間が不要なので、ちょっとした隙間時間に利用できて重宝(画像提供/スカイズ タワー&ガーデン(管理会社/三井不動産レジデンシャルサービス))
共用施設・ゲストルーム
豪華なゲストルームがあると来客に喜ばれるほか、マンション内で気軽にお出掛け気分を味わうこともできる(画像提供/スカイズ タワー&ガーデン(管理会社/三井不動産レジデンシャルサービス))

マンションの共用部の破損、誰がどう対応する?

住んでいるうちに、メンテナンスが必要だったり、故障や破損したりすることもあるでしょう。そんなとき、誰が対応するものなのでしょうか。
「実は、マンションによって少しルールが違う部分なので、一度は自分のマンションの管理規約に目を通していただきたいと思います。専有・共用部分の範囲は第7条、第8条、共用部分の管理については第21条で述べられていることが多いです」

基本的な考え方としては、
①誰が所有者なのか 
②どういう経緯で壊れたのか の2点から責任の所在を判断します。
もちろん、専有部は区分所有者の責任においてメンテナンスや修理を行います。

まず①の観点で言えば、共用部は、住人の共有財産ですから、管理やメンテナンス、修理などは基本的に管理組合が主動となります。費用も、管理費・修繕積立金で賄います。

不具合を見つけたら、まずは管理員・管理会社に状況を伝え、確認してもらい、管理組合に報告してもらいましょう。
「メンテナンスについては、長期修繕計画に組み込まれているマンションが多いと思います。長期修繕計画は、5年に1度程度、状況に合わせて見直すものです。資産を共有するオーナーの一人として、ぜひ確認してみてください」

共用部であっても、修理費用が個人負担になる場合もある

「実は、共用部であっても、修理費用が個人負担になる場合があります。それは、明らかに個人の過失で破損した場合です。例えば、住人が何かを投げたりぶつけたりして壊したと原因が分かっている場合は、原因をつくった本人が負担します」

ただ、費用の負担が個人だった場合でも、ドアや窓、ルーフバルコニーの照明など外観に関わる部分は統一された商品や仕様にするため、手配先が決まっていることが多いです。まずは管理員・管理会社に報告してどう対応したらよいか確認することが大切です。

共用部のトラブル対応ケーススタディ

では、共用部で起きたトラブルについて、誰がどう対応するのか、いくつかのケーススタディを紹介します。

【ケース1】窓ガラスが割れた!どうすればいい?
何かをぶつけたりして割ってしまうなど、故意や過失が原因の場合は本人負担で修理します。

しかし、外を走る車がはじいた石があたってガラスにひびが入った場合など、思いがけない外部からの原因で破損した場合は、管理組合に相談しましょう。

【ケース2】もしも配管目的で壁に穴をあけたらどうなる?
そもそも、躯体に関わるリフォームはできません。エアコンのスリーブが足りないなど個々の判断で勝手に躯体に穴をあけてしまうと、構造が弱くなる可能性があるからです。

なお、リフォームをする場合は、必ず事前に管理組合宛に工事内容を報告し、許可をもらう必要があります。躯体に関わるリフォームは、この許可がおりません。特に壁式構造のマンションの場合は、住戸内に撤去できない壁が多く、配管の関係でできないレイアウト変更も出てくるので、「躯体のコンクリートは勝手にいじれない」と覚えておきましょう。

ちなみに、構造に関わらない間仕切り壁や床、天井については、リフォームで手を加えることができます。

【ケース3】上階からの水漏れ、誰の責任で対応するの?
水漏れの場合は、まずは原因を探らなければ、誰が責任をもって対応するのかが分かりません。水漏れに気づくのは被害にあった住人なので、まずは被害の状況を管理員・管理会社に伝えます。

水漏れの原因を探り、雨漏りの場合は管理組合による対応です。水漏れの場所が共用管の場合も管理組合の対応です。マンションの管理費・修繕積立金を使って修理します。

水漏れの場所がメーターより住戸側に延びる枝管部分の場合や住戸内の設備の不備などの場合は、その住戸の区分所有者の負担で修理となります。

給水管の断面
給水管の「共用部」「専有部」の区分(イラスト/藤井昌子)

「いずれの場合も、トラブルが発生したら、まずは管理員・管理会社に報告し対応の仕方を相談しましょう。マンションによってルールが異なるものですし、問題の発生頻度や修繕積立金の懐具合により、総会決議を経てルールを変更する場合もあります。自分で勝手な判断をしないことが大切です」

マンションの共用部での迷惑行為、どう対応すればいい?

共用部の使い方は、住人のモラルによるところが大きいですが、感じ方にも個人差があります。ロビーで過ごす子どもたちの様子を見て、「活気があってほほえましい」と思う人もいれば、「騒がしくて迷惑だ」と感じる人もいるでしょう。頻度によっても印象が変わります。これが、ロビーでお菓子を食べ散らかしている、という状況であれば、迷惑行為として注意する状況になるでしょう。

このように「迷惑だ」と感じたことは、一旦管理員・管理会社に相談してみると良いです。管理会社から理事会に報告があがり、理事たちの間で意見を交わします。

「迷惑行為については、『そう感じている人がいます』ということを気付いてもらうために掲示板に注意を呼び掛ける掲示をするのが一般的な対応です」

そのほか、共用廊下に荷物があって通りにくい、吐しゃ物などが放置されている、自転車置き場が散らかっている、キッズルームや集会室など共用施設の使い方が悪いなど、困ったことは管理員・管理会社に相談し、注意喚起や清掃などの対応してもらいましょう。

共用部での迷惑行為
共用部での迷惑行為やトラブルは管理員・管理会社に相談を(イラスト/藤井昌子)
専有部で迷惑に感じることがある場合は?

上下階の物音など、専有部で起こった迷惑行為について、対応の仕方に決まりはありません。音の場合は、生活時間帯が違うために気になったり、お互いどんな人なのか知らないため許容できない気持ちになったりするケースもあります。そういった場合は、当事者同士で話をして顔見知りになり、お互いの状況を確認すれば解決できることもあります。

専有部での迷惑行為
他の住人の専有部での迷惑行為。当事者同士で関係性をつくり、コミュニケーションで解決することも(イラスト/藤井昌子)

マンションの共用施設や設備、メンテナンスはどうやって行うの?

「マンションの共用施設や設備は、定期的なメンテナンスが必要です。大がかりな修繕は、管理組合が修繕積立金を使って、長期修繕計画に則って手配します。築25年を超えるようなマンションでは、給排水管やエレベーターの交換、ドアやサッシの一斉改修など大がかりな修繕が増えますので、資金不足で一時金の徴収がないよう修繕積立金の状況を確認しておくことが大切です」

建物や中庭、設備などの管理や清掃などは、契約内容に沿って管理員や管理組合と契約のある委託業者などが日常業務の範囲内で行うことが多いです。これらメンテナンスにかかる費用は、管理費で賄います。手をかけるほど費用がかかりますので、受けたいサービスの内容とマンションの財務状況から、住人にとって良いバランスになるよう管理組合で選択していきます。

共用部のメンテナンス費用の負担を抑えるには

清掃などメンテナンスに関する費用を下げるには、依頼先を変更したり、依頼頻度を下げたりする方法があります。
また、共用部の照明などの電力会社の契約先を変更したり、使っていない施設や設備を見直すのもコストダウンにつながります。

「費用や頻度、サービスの内容は、毎年の総会資料でチェックできます。ぜひ一度確認してみてください。総会に出席して状況を確認するのも、資産を守る大切な行動の一つです」

マンションの総会
総会に出席し、メンテナンス費用が適切なのか確認しよう(イラスト/藤井昌子)

マンションの共用部、おもしろい活用実例

マンションの共用部は、住人全体の財産です。より生活が楽しくなるような活動の拠点となったり、住人同士の交流を生んだりとさまざまな工夫をしているマンションもあります。

住んでから共用部を活用するのは住人ですから、住人のニーズに合わせて形を変えていくことも可能です。例えば、子どもが少なくなって使わなくなったキッズルームをスタディーコーナーに変えたりと、住人の話し合いにより用途の変更も可能です。

新築マンションの場合は、分譲時にデベロッパーがさまざまな工夫をして企画しているものもあります。面白い使い方をいくつか紹介しましょう。

中庭などでガーデニングをサークル化

中庭の花壇や植栽の一部を住人のガーデニングサークルやイベントで手入れをすることで、趣味と実益を兼ねつつ住人同士の交流も図れる取り組みです。住人同士が顔見知りになることは、防犯・防災の面でも効果が期待できます。また、手入れの行き届いた植栽は住人の癒しになるほか、マンションのイメージを良くしてくれるので、資産価値向上にも役立つでしょう。

マンションの花壇と交流会の料理
(画像提供/リブラン)

共用施設というと豪華な施設などハード面に目がいきがちだが、花壇の手入れによるコミュニティーづくりにも役立つ、ソフト中心の共用施設の使い方もある。採採れた野菜を使った料理で住人同士の交流会を開くなど、プラスアルファのお楽しみがあるマンションも。

マンションの空地でキッチンカーのマルシェ

在宅勤務が増える中、注目されているのがキッチンカーや移動販売の車をマンションの空地に呼ぶスタイル。タワーマンションなど空地が多く、世帯数が多いマンションで取り入れやすい仕組みです。食事の用意や出掛けるのが大変な高齢者や赤ちゃんのいる世帯のほか、在宅勤務中のランチなどに重宝します。

キッチンカー
(画像提供/PIXTA)

コロナ禍で在宅勤務が増えてから、調理時間や買い物時間をなるべくかけずにランチの用意ができるキッチンカーは俄然注目を集めている。キッチンカーの種類は変えられるので、飽きずに楽しめるのも魅力。

リモートワークに対応したスタディーコーナーやワークスペース

在宅ワークが一般化したことで、共用施設にスタディーコーナーやコワーキングスペースを持つマンションが増えている。基本は家で仕事や勉強をしている場合も、気分転換などに使えて便利。中には、コピー機やリモート会議に対応できる個別ブースなどを取り入れた、オフィス機能を高めた共用施設を持つマンションも登場している。

スタディーコーナー
(画像提供/スカイズ タワー&ガーデン(管理会社/三井不動産レジデンシャルサービス))

人の目のある静かな空間での仕事は、意外と捗るもの。家の中に家族がいて落ち着かない場合や、十分なワークスペースが持てないときには、共用施設が使えると重宝する。マンション内の移動なので、子どもの勉強スペースとしても安心。

まとめ

マンションの共用部は、住人が区分所有している住戸(躯体の内側)以外全て。外から見える窓やドアの外側も共用部

マンションの共用部の施設や設備のトラブルは、管理組合が対応者。費用は修繕積立金で賄う

共用施設での住人間のトラブルは、管理人・管理会社に報告して管理組合で対応を話し合う

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取材・文/竹入はるな イラスト/藤井昌子
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