マンションのベランダにウッドデッキは置ける?メリットやデメリット、注意点を解説

公開日 2023年10月17日
マンションのベランダにウッドデッキは置ける?メリットやデメリット、注意点を解説

マンションを購入したらベランダにウッドデッキを敷いて、おしゃれにしたいと考える人もいるのではないでしょうか。ただ、マンションのベランダには規約上の制限もあり、大規模修繕時にはウッドデッキを撤去しなければならないなど注意点もあります。また材質によっては、腐りやすかったり、メンテナンスが難しいこともあるため、ウッドデッキの素材にも気をつけなければなりません。

そこで本記事では、ウッドデッキの施工・販売をしているMINO株式会社の杉本康浩さんに、マンションのベランダにウッドデッキを敷くメリットやデメリット、腐らない素材やおすすめの敷き方について伺いました。

そもそもマンションのベランダにウッドデッキを設置していいの?

マンションのベランダは、一戸建てのように好きなように造作したり、ものを置いたりしていいわけではありません。杉本さんは、マンションによって見解が異なるため関知はできないとしながらも「取り外し可能な敷くだけタイプのウッドデッキであれば多くの場合、設置は可能」だといいます。

ベランダ・バルコニーは「共用部」

マンションのベランダやバルコニーは「共用部」にあたります。とはいえ、エントランスやエレベーターのように、誰でも好きに使っていいわけではなく、各居室の所有者が「専用使用権」を有しているのが一般的です。国土交通省の標準管理規約には、バルコニーやベランダなどの専用使用権について、次のように明記されています。

(バルコニー等の専用使用権)
第14条 区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及び別表第4において「バルコニー等」という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。
2. 一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。
3. 区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使用権を有しているバルコニー等を使用することができる。
(引用:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」)

「ベランダやバルコニーは、災害発生時の避難経路にもなるため、経路を塞がないように配慮しなければなりません。マンションの大規模修繕時には工事の妨げになるため、ウッドデッキを敷いておくことはできません。マンションのベランダにウッドデッキを敷くのであれば、取り外し可能なジョイントパネルタイプのウッドデッキほぼ一択になるでしょう」(杉本さん、以下同)

管理規約・使用細則を確認

ベランダなどの専用使用権は、法律で規定されているものではありません。また、マンションの標準管理規約は、あくまで雛形や指針といった意味合いを持つものです。

「ウッドデッキの施工会社や販売会社が、管理規約や使用細則を確認することはないと思います。管理規約や使用細則はマンションごとに異なるため、ウッドデッキを敷く前には必ずお住まいのマンションの規約を確認してください」

工事が伴う場合は申請を

管理規約や使用細則でウッドデッキの設置が禁止されていないとしても、工事が伴う場合は管理会社や管理組合に申請する必要があります。申請書の雛形や提出期限はマンションによって異なるため、あらかじめ規約を確認しておきましょう。

マンションの管理規約
マンションのベランダは共用部にあたるため、設置前には必ず管理規約や使用細則をチェック!(イラスト/杉崎アチャ)

マンションのベランダをウッドデッキにするメリットは?

杉本さんに、マンションのベランダにウッドデッキを敷くメリットについて伺いました。

活用の幅が広がる

「ベランダは一定の広さがありますから、洗濯物を干したり、ゴミや室外機を置いたりするためだけに使っているのはもったいないですよね。とはいえ、殺風景なままでは味気ないものです。ウッドデッキを敷くことで、ベランダに出やすくなり、見た目も華やぎ、第二のリビングやお子さんの遊び場、リフレッシュする場所として活用しやすくなります」

塗膜防水の劣化が防げる

マンションのベランダには、表面に防水用の塗膜が施工されていますが、杉本さんは、ウッドデッキを敷くことで、防水塗膜に陽光や雨風が直接当たることが防げるため、耐久年数を伸ばす効果にも期待できるといいます。

基本的に、共用部にあたるベランダで劣化を要因とする水漏れや雨漏りが発生した場合の修繕責任は、管理組合にあります。ただし、管理組合の負担で修繕してくれるとはいえ、元手となるのは住人から徴収した管理費や修繕積立金です。昨今では、大規模修繕の周期も長期化している傾向にあるため、塗膜防水の耐久性を伸ばし、防水効果を維持できることは居住者のメリットになるともいえるでしょう。

目の錯覚で部屋が広く見える効果も

ウッドデッキは、フローリングに見た目が似ています。ベランダに敷くことで、目の錯覚で部屋が広く見える効果も期待できます。窓を挟んで、室内の床とベランダがひとつながりに見えるため広がりを感じられるのです。

ウッドデッキの活用方法
ウッドデッキを敷くことで、活用したくなるベランダに(イラスト/杉崎アチャ)

マンションのベランダにウッドデッキを設置するデメリットはある?

マンションのベランダにウッドデッキを敷くメリットは多いですが、デメリットはあるのでしょうか?

腐ることも!? メンテナンスは必要!

ウッドデッキは常に雨や風、直射日光にさらされるため、劣化します。とくに天然の木は、水分を含みやすく、季節や昼夜の寒暖の差により伸縮もしやすい素材だといえるでしょう。乾燥と湿潤、膨張と収縮を繰り返すと、ウッドデッキは表面にヒビが入りやすくなり、さらに過酷な環境にさらされ続けることで、ヒビもどんどん広がっていってしまいます。

「そのうえ天然木は腐ります。また、人工のものと比べると虫も湧きやすいので、長持ちさせるには、掃除や苔の除去、塗装の塗り替えを定期的に行わなければならず、手間がかかるというデメリットがあります」

水捌けが悪くなる・ゴミが溜まる

「取り外し可能なタイプのウッドデッキは基本的に排水構造になっているので、ウッドデッキの下も水は流れます。しかし、ベランダにある排水溝を塞ぐように敷いてしまうと、水捌けが悪くなり、ゴミも溜まりやすくなってしまいますので気をつけましょう」

ウッドデッキを敷くときは排水溝を塞がないように注意する
ウッドデッキで排水溝を塞いでしまうと、水捌けが悪くなったり、ゴミが溜まりやすくなるので注意(イラスト/杉崎アチャ)

マンションのベランダに適したウッドデッキは?

ウッドデッキは「天然木」と「人工木」に大別されます。さらに、人工木にはさまざまな種類があり、施工やメンテナンスのしやすさ、性能、耐用年数などは大きく異なると杉本さんはいいます。

天然木の特徴

「天然木は安価ですが、メンテナンス性、耐久性ともに人工木と比較して圧倒的に低いです。夏の暑さにも湿気にも弱く、反り返ってしまうこともあります。また、先述のとおり虫も湧きやすいです。これらを防ぐためには適切なメンテナンスが必要なので、手間はかかりますね。また、天然木はささくれがありますので、裸足で歩くのは危険でしょう」

人工木の選び方

人工木は天然木と比較して値は張りますが、ささくれの心配はなく、強度も高いといえます。しかし、一口に「人工木」といっても、性能や強度、見た目はまちまち。人工木の中でも、素材によっては反り返ってしまったり、強度が低いものもあります。

人工木の中でも、メンテナンスの容易さや見た目の良さ、耐久性、安全性が最も高いのは、ウレタン樹脂とアルミの複合建材である「彩木(あやぎ)」だと杉本さんはいいます。

「ウレタンは断熱材にも使われる素材のため、熱をためにくい性質があります。30度の直射日光くらいなら裸足で歩けるほどです。弊社で、150度以上の温度で2時間熱するというテストをしたところ、一般的な人工木はウッドデッキパネルの中が100度を超え、表面は触れることのできない温度まで上昇し、一部溶けていました。一方、彩木は中の温度は約70度で、熱をあまり溜めていないため表面は手で触れられるほど。実際、150度で熱することはありませんが、人工木の中でもそれだけ差があるということです。夏場にベランダでお子さんとプールなどをしたいと思っている方には、水をまくことで表面温度が下がる上、水を全く吸収しないためとくに彩木をおすすめします。メンテナンスも、軽い水拭きだけでいいので簡単です」

彩木と一般的なウッドデッキの表面温度の違い
熱を与えた場合の彩木と一般的なウッドデッキの表面温度の差は、サーモグラフィーでも歴然(画像/MINO)

人工芝と組み合わせるのも◎

人工芝とウッドデッキを組み合わせて敷くのも、ウッドデッキだけとはまた違った表情が出るためおすすめだと杉本さんはいいます。人工芝も、ウッドデッキと同様、ジョイントパネルで取り外し可能なタイプが販売されています。

DIYでウッドデッキを設置する方法は?

杉本さんによれば、ウッドデッキパネルは基本的にベランダに直接敷いてOKなのだそう。ただ、敷き方については次の点に注意しましょう。

基本的にはカットできるタイプがおすすめ

「ウッドデッキパネルの多くは、ニッパーなどで簡単に切断することができます。好きな大きさ・形に変幻自在というわけではありませんが、カットすればベランダの広さや形、排水溝回りなど避けるべき場所に合わせられるので、基本的にはカット可能なタイプをおすすめします」

パネルの置き方でも表情が変わる

パネルの置き方によっても、表情は変わります。同一方向になるように敷いていけばより広がりを感じやすくなり、縦横互い違いに敷いていけばおしゃれな装いに。人工芝を組み合わせたり、ポイントで色味を変えてみるなど、好みに合わせて配置していきましょう。

DIYするときの注意点

パネル式のウッドデッキは、基本的に自分でDIYすることになりますので、施工時には次の3つの点に気をつけましょう。

  • 排水溝を塞がないようにする
  • 事前に掃除をする
  • 事前にベランダの大きさを計測する

「ベランダには、必ず排水溝があります。この排水溝をデッキで塞いでしまうと冠水や漏水の原因となるおそれがありますので、排水溝回りは避けて施工しましょう。水捌けをよくするためには、ウッドデッキを敷く前の掃除も大切です。枯葉やほこりを取り除いてから敷くようにしてください。また必要なパネルの数を計算するときには、面積で割るのではなく、実際にベランダの縦・横を測り、それぞれ何枚必要かを割り出したほうがいいと思います。排水溝回りなどパネルが不要な場所もあるので、面積から計算すると、多くの場合パネルが余ってしまいます」

マンションのベランダにパネル式のウッドデッキを敷いている様子
ウッドデッキを敷く前には、ベランダを綺麗に掃除し、事前にベランダの縦・横の長さを測っておこう(イラスト/杉崎アチャ)

どんなウッドデッキが好み?施工例写真集

ここでは、ウッドパネルを施工したベランダの事例を紹介します。

ウッドデッキと人工芝を組み合わせる

人工芝と組み合わせることで、ベランダがより一層華やぎます。敷き方によっても印象が変わります。交互に置くのもよし、人工芝もアクセントに使うのもよし。敷き方を考えるのも楽しみの一つになるでしょう。

ウッドデッキと人工芝の組み合わせ
ウッドデッキと人工芝を組み合わせれば表情豊かなベランダに(画像/MINO)
ウッドデッキと人工芝の組み合わせ
複数のウッドデッキと人工芝を組み合わせるのもおしゃれ(画像/MINO)

ルーフバルコニーにウッドデッキを施工

部屋や上層階に多い、ルーフバルコニー。そのままでは殺風景ですが、ウッドデッキや植栽を置くことで、自然な温もりが感じられる庭のような空間に様変わりします。ベランダに面した部屋も、広く感じられることでしょう。

ウッドデッキを敷く前のルーフバルコニー
ウッドデッキを敷く前の窓からの眺め(画像/MINO)
ウッドデッキを敷いた後のルーフバルコニー
ルーフバルコニーにウッドデッキを敷いた後の窓からの眺め(画像/MINO)

ウッドデッキを設置するときの注意点は?

最後に、杉本さんにマンションのベランダにウッドデッキを設置するときの注意点を聞きました。

避難経路を塞がない

マンションのベランダやバルコニーは、緊急時に避難経路になります。隣戸との仕切りにもなっている蹴破り戸を塞ぐように、ウッドデッキやその上に置く植栽や机、椅子を設置してはいけません。また、全ての住戸ではありませんが、ベランダに避難ハッチがある場合は、ここも避けてウッドデッキを敷くようにしましょう。

ウッドデッキを敷く前のベランダ
ウッドデッキを敷く前のベランダ(画像/MINO)
避難ハッチを避けてウッドデッキを敷いたベランダ
避難ハッチを避けてウッドデッキを設置(画像/MINO)

高層階は強風に注意

マンションの高層階は時折、強い風が吹きます。風でパネルがズレたり、飛んでいったりしないよう、重さのあるものを上に置いておくといいと杉本さんはいいます。

「ウッドデッキパネルは連結しているので、全てのパネルに重りになるものを置く必要はありません。机や椅子も風で飛ばされかねませんので、重心の低い鉢植えなどがおすすめです。ただし、マンションによってはベランダに置けるものが制限されている場合もあるので、あらかじめ管理規約や使用細則をご確認ください」

大規模修繕時は基本的に要撤去

マンションは、12年~15年に1回程度、大規模修繕が行われます。この間は、基本的にベランダにウッドデッキを敷いておくことはできません。それは、ベランダの塗膜防水の塗り直しができなくなってしまうからです。管理組合や管理会社から大規模修繕実施のお知らせが来たら、速やかに撤去しましょう。パネルタイプのウッドデッキであれば、重ねて置いておくことも可能なため、保管スペースも最小限で済みます。

マンションのベランダにウッドデッキを敷く場合は、施工や撤去、メンテナンスのしやすさから、パネル式のウッドデッキが採用されるケースがほとんどだと杉本さんはいいます。設置する際には、隣戸との境にある蹴破り戸や、有事の際に階下に降りるための避難ハッチの入口を塞がないよう気をつけましょう。施工前には、マンションの管理規約や使用細則でルールや制限を確認しておくことも大切です。

まとめ

マンションのベランダにウッドデッキを設置すること自体は難しくない

管理規約で制限されたり、大規模修繕時には撤去したりする必要がある

設置する際には避難経路を塞がないようにするなど注意が必要

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取材・文/亀梨奈美(りんかく・realwave) イラスト/杉崎アチャ
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