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マイホームを検討している人にとって、一戸建てはとても魅力的。一方で、マンションなどの集合住宅にもよさがあります。では、一戸建てと集合住宅の違いは何でしょうか。この記事では、一戸建てや集合住宅、マンション、アパートといったそれぞれの住宅の定義や、一戸建て集合住宅の住み心地の違いをご紹介。また、将来的に売ったり貸したりすることになった場合、どんな一戸建てだったらスムーズなのか、資産価値を維持しやすい一戸建ての条件は何かについて、さくら事務所の山本直彌さん、友田雄俊さんに話を聞きました。
戸建て、一戸建てと呼ばれる住宅は、独立した1棟の建物になっている住宅のことをさします。更地の状態の土地に、ゼロからプランを立てて造っていく注文住宅はもちろん、完成済みまたは完成予定の状態で販売される建売住宅も一戸建てのカテゴリーに入ります。親世帯と子世帯がそれぞれのスペースにわかれて暮らす二世帯住宅は集合住宅のような印象ですが、一戸建てに含むと考えていいでしょう。
■建売住宅
「分譲住宅」とも呼ばれる住宅で、不動産会社などが仕入れた土地とそこに建てられた住宅がセットで販売されます。建築された物件を見て購入できますが、近年は建築中や着工前に販売するケースも多くあります。
■注文住宅
すでに所有、もしくは新たに購入した土地にゼロから建築した一戸建て住宅のこと。建売住宅と比べて購入者の要望にそってプランニングできます。、間取りやデザイン、外装のカラーやキッチンやお風呂などの水まわり設備などもある程度自由に選べます。ただし、オーダーの程度には幅があり、フルオーダーから基本的な仕様などが決まっているセミオーダーまでさまざまです。
■中古住宅(中古一戸建て)
文字通り、過去に人が住んだことがある住宅のことです。主に不動産仲介市場で取り引きされるため、購入時には仲介手数料が必要となります。
※注文住宅の土地売買や新築一戸建て(分譲・建売住宅)においても仲介手数料が生じる場合があります
実は、集合住宅という言葉は法律による定義がありません。一般的には、一つの建物の中に複数の独立した住居があるものを集合住宅といいます。建築基準法では、「共同住宅」「長屋」がそれぞれ定義されていますが、マンションやアパートは、共同住宅に含まれるといえます。
集合住宅にもいろいろな種類があります。代表的な4つはこちらです。
■共同住宅
一つの建築物に2戸以上の住戸がある
共同の廊下やエントランスなどがある
マンションやアパートが含まれる
■長屋
一つの建築物に2戸以上の住戸がある
共用の廊下やエントランスなど共用部分はない
道路や敷地内通路から直接出入りできる
■テラスハウス
独立した住宅が連続してつながっている低層集合住宅
隣家との境になる壁を除き共有部分はない
所有者は自分の住宅部分とその下の土地に対して100%の所有権を持つ
所有権の面で戸建に近い
■タウンハウス
独立した住宅が連続してつながっている低層集合住宅
「建物はそれぞれの所有、敷地は共有で所有」または「建物は区分所有で真下の土地は個人所有」
所有権の面でマンションに近い
集合住宅についてもっと詳しく読む
共同住宅がよくわかる!共同住宅の定義、集合住宅やタウンハウス・テラスハウスの違いは
集合住宅にはさまざまなタイプがあるため、一戸建てとの違いを比較することは簡単ではありません。ここでは、所有している場合の一戸建てと集合住宅(分譲マンション、テラスハウス、タウンハウス)とを比較し、それぞれの特徴をご紹介します。
一戸建て
全方角に窓を設けることが可能。周辺の建物の高さや距離によるが、通風・採光は確保しやすい。
集合住宅
部屋によって外と接する壁の方角や数が異なる。高層階の方が遮るものがない可能性が高いので、通風・採光は確保しやすい。
一戸建て
玄関ドアや窓など開口部が外に接しているため、セキュリティ対策を行わなければならない箇所が多い。
集合住宅
エントランスと、自宅住戸の玄関で二重のセキュリティが確保可能。また中層階、高層階の場合は、外からの侵入がされにくい。
一戸建て
独立した建物なので、隣近所に足音などの生活音で気兼ねしなくて済む。
集合住宅
隣接または棟内の住戸からの音が聞こえるケースがある。自分たちが出す生活音に気兼ねすることもある。
一戸建て
すべて自分で管理する必要がある。
集合住宅
管理組合が管理会社に共用部分の清掃や管理を委託する。ただし、住戸の所有者は管理費を支払う。
一戸建て
増築を含めて、リフォームの自由度は高い。
集合住宅
使用する床材などリフォーム内容に管理規約による制限がある場合がある。リフォームを行う際には管理組合へ届出をするのが一般的。
一戸建て
定期的な外壁や屋根の補修や、住宅設備の更新などはすべて所有者が費用を負担する。
集合住宅
大規模修繕にかかる費用は、毎月支払う修繕積立金でまかなう。
一戸建ては独立して建つ建物なので、壁を隔てたお隣で暮らす人の気配を感じることなく、プライバシーを守りやすい暮らしができます。何よりも、子どもが走り回ったり、ソファから飛び降りたりしても、「階下に響くのでは……」という心配をしなくて済みます。そのほか、主な一戸建てのメリットを挙げてみましょう。
一戸建てで暮らすメリット
さまざまなメリットがある一方で、土地と建物を自分で管理する一戸建てならではのデメリットもあります。戸建を購入してから後悔しないようデメリットを知っておくことも大切です。
一戸建てで暮らすデメリット

集合住宅で暮らす最大のメリットは、やはりエントランスや外廊下など、共有部の清掃や管理を任せられること。草木の手入れや落ち葉の除去、経年劣化した箇所の修繕なども大家や管理会社に委託できます。また、オートロックマンションの場合、簡単に入れる侵入口が玄関のみに限られるためセキュリティ面も安心です。このほか、集合住宅で暮らす主なメリットを挙げていきましょう。
集合住宅で暮らすメリット
セキュリティ面や管理・設備面でメリットの多い集合住宅ですが、デメリットもあります。まず挙げられるのが、ほかの居住者への配慮が必要になること。最近では二重床や二重壁が採用されている物件も多いようですが、足音や声、振動には注意しなければなりません。また先ほど管理や修繕を委託できるのがメリットだとお伝えしましたが、ローン返済額に加えて管理費や修繕積立金を毎月支払う必要があります。デメリットは以下のとおりです。
集合住宅で暮らすデメリット
一戸建てやマンションなどの不動産は購入した人にとって資産、財産になるものです。しかし、どちらも取得してから時間が経ち、建物が古くなっていくと、財産としての価値=資産価値は落ちていきます。ところが、購入する一戸建てやマンションによっては年月が経っても、取得したときと同じくらいの値段で売れたり、場合によっては高く売れたりということがあります。このような物件は「資産価値が維持しやすい物件」「資産価値が高い物件」といわれます。
最近は、新築マンションの価格が高騰し、その影響で中古マンションの価格も上昇しています。都心の駅に近いマンションで「購入したときよりも高く売れた」という体験談も多く聞かれます。マンションの資産価値を測るうえで、重視されるのは駅からの距離や、人気のエリアにあるかといった「立地」です。
では、一戸建ての場合は、資産価値はどんなポイントが影響するのでしょうか。
「一戸建ての場合も、資産価値に影響するポイントは立地です。立地が非常に重要になります」(さくら事務所・山本直彌さん、以下山本さん)。
資産価値を測る物差しは、一戸建てもマンションも基本的には同じだそう。
「ただし好立地といえるのは、マンションの場合は駅から徒歩10分以内。それより遠くなると資産価値として厳しくなってきています。しかし、一戸建ての場合は駅徒歩20分くらいまでの立地なら許容範囲といえます」(山本さん)。

永住しようと思って一戸建てを買ったり建てたりした場合でも、転勤や転職、親との同居などで家を手放す可能性は誰にとってもゼロではありません。そこで将来、売却がスムーズにできる資産価値の高い、または維持しやすい一戸建てを選ぶためのポイントを知っておきましょう。
売却する際に重要になるのが土地の形。
「長方形や正方形の土地に建てられた家の方が売りやすく、資産価値は維持しやすいといえます」(山本さん)。
例えば、道路に接している敷地への出入口部分が細長い通路になっていて、その奥にまとまった敷地がある「旗竿地」と呼ばれる土地や、三角形などの変形している土地はどうしてもニーズが少なく、売りにくく、資産価値は下がってしまうのだそうです。

また、注意したいのが土地の広さ。
「土地は広い方がいいかというとそういうわけではありません。土地面積が大きな家は当然価格も上がりますから、売却しにくくなります。周辺に2階建ての庭付き一戸建てが多くあるファミリー層が好むエリアなら、150m2くらいの広さがいいでしょう。駅や都心に近く利便性を重視する世帯層が好むエリアなら、狭小の3階建てが多く建ちますから70~80m2くらいの土地の戸建が売りやすかったりします」(山本さん)。
自治体の条例で最低敷地面積(敷地面積の最低限度)が定められているエリアでは、分割のしやすさを考えて選ぶことが大切。
「例えば、最低敷地面積が70m2のエリアで140m2の土地を購入して家を建てたとします。将来、売却する際に、この土地は140m2のままでも、分筆(敷地分割)して70m2の敷地2筆にしても利用できる有効活用しやすい土地として売りやすくなります。一方、130m2の土地の場合は分筆しての活用がしにくいため売りにくくなります。わずか10m2の差が資産価値に大きく影響するのです」(山本さん)。
立地や土地の形、広さがよくても、建物そのものに魅力がなければ資産価値は維持しにくくなります。ここでいう魅力というのは、多くの人からニーズがある家、ということ。
「間取りやデザイン、設備などにこだわりすぎた注文住宅などに多いのですが、施主という限られた人にとっては使いやすくとも、一般の多くの人が使いにくい家は売りにくくなります。ずっと住み続ける場合はいいのですが、もし将来、売却する予定があるのなら、奇をてらわない汎用性の高い間取りを選ぶのがいいでしょう」(さくら事務所・友田雄俊さん、以下友田さん)。
一戸建てはマンションと違い、所有者が自分の判断で建物のメンテナンスを行います。メンテナンスは売却のしやすさや資産価値の維持に影響するのでしょうか。
「新築してから12~15年程度で足場をかけて外壁のメンテナンスを行うのが一般的なタイミングなのですが、その時期は、新築時に購入した家電や、給湯器などの住宅設備機器の故障が重なるタイミングでもあります。また家族構成によってはお子さんの進学と重なって、まとまった資金が必要になる時期。家のメンテナンスまで手が回らなくなる、というケースも見受けられます。この繰り返しで、一度もメンテナンスをせずに20年くらい経つと、雨漏りが発生するなど、メンテナンスをしてきた家と建物の状態に差が出てきてしまいます」(友田さん)。
「マンションも一戸建ても同じで、築年数にもよりますが、やはりメンテナンスをしている家の方が売却はしやすいです」(山本さん)。
中古住宅として売り出す際、その家の性能の高さなどが表示できれば、買主も安心です。
「住宅性能評価や長期優良住宅の認定などを受けておき、メンテナンスの履歴も資料として残しておけば、新築時にきちんと建てられていること、性能の高い家であること、その後のメンテナンスも行っていることがわかり、売却しやすいのではないでしょうか」(山本さん)。
住宅の品質を評価する制度は複数あります。建売住宅を購入する場合は、長期優良住宅などの認定基準を満たしているかなどをチェック。注文住宅を建てる場合は評価や認定を受けるためには費用やコストがかかりますから、建築会社と相談して検討しましょう。
住宅の性能を評価・認定する制度についてもっと詳しく読む
住宅性能評価書とは?どんなことを評価するの?メリットや費用も解説

一戸建ての暮らしはプライバシーが確保しやすく、自分たちの生活音に気兼ねしなくていい点などメリットが多い
一戸建てはセキュリティ対策や建物のメンテナンスなどすべて自分の責任で行う負担感がデメリット
集合住宅は共有部の管理を委託できることやセキュリティ面の高さがメリット
集合住宅ではほかの居住者への配慮が不可欠。ローン返済に加えて、管理費や修繕積立金も発生する
一戸建ての資産価値はマンション同様、立地のよさが重要
資産価値が維持しやすい一戸建ての条件は立地と土地の形と土地の広さ
汎用性の高い間取りの方が売却しやすく、資産価値の維持しやすさにもつながる
将来売却の可能性があるなら建物のメンテナンスをしておくことも重要