共同住宅とは?共同住宅の定義、メリット、集合住宅やタウンハウス・テラスハウスの違いは

公開日 2020年09月04日
共同住宅がよくわかる!共同住宅の定義、集合住宅やタウンハウス・テラスハウスの違いは

「共同住宅」って実際に何を指しているのかご存じでしょうか?テラスハウスやタウンハウスなど、住宅の呼び方は昔よりも多様化しています。「長屋って古いイメージがある」「コーポラティブハウスって、聞いたことはあるけれどどんなものなの?」「二世帯住宅は戸建てと読んで間違いない?」そんな素朴な疑問にお答えしつつ、土地活用に必要な、住まいの定義や共同住宅にまつわる基本的な知識をお話していきます。

共同住宅と集合住宅って違うもの?!

「集合住宅」という用語は、建築基準法で使われない

建築基準法では「集合住宅」という用語は定められていません。「集合住宅」に該当する法律上の建築物用途としては「共同住宅」と「長屋(テラスハウス・タウンハウス)」という2種類に分けられています。

「共同住宅」はひとつの建築物に2戸以上の住宅があるもので、「一戸建ての住宅」と区別されています。「共同住宅」は、2戸以上の住宅が、階段、廊下、エントランス、エレベーターを共有している、マンションやアパートを指しています。

タワーマンションのイメージ
低階層マンションのイメージ
(画像提供/PIXTA)

また「長屋」は、2戸以上の住宅が、廊下、階段等の共用部分を持たないもので、各住戸から道路又は敷地内通路に直接出入りが可能な建築物のことをいいます。
建築基準法では「集合住宅」という言葉に規定はありませんが、「共同住宅」とほぼ同じ意味で使用されています。

マンション、アパート、長屋のイラスト
(画像提供/PIXTA)

「共同住宅」はエントランス(集合玄関)や通路・階段、エレベーターなど共有部分のある2戸以上の住宅で、各戸の玄関、出入口の位置、火災報知器や避難器具の設置など、多くの規制がある建物です。一方、「長屋」は共用部分のない2戸以上の住宅で、各戸に独立した玄関があり、避難経路などは個々に確保されています。

(用語一覧)
用語 基準と意味
共同住宅 ひとつの建築物に2戸以上の住宅があり、共同廊下または階段がある建物。
長屋住宅 ひとつの建築物に2戸以上の住宅があり、共用の廊下や階段などの共用部分がなく、道路や敷地内通路から直接出入りできる建築物。
テラスハウス 独立した住宅が、連続してつながる低層集合住宅。隣家との境界となる壁を除いて、建物に共有部分はない。各所有者は、自身の住宅とその下の土地に対して、100%所有権がある。分類としては戸建てに近いイメージ。
タウンハウス テラスハウスと同様に、独立した住宅が境界壁を挟んで連続してつながる低層集合住宅。所有権はマンションに似ていて「建物は個々の所有、敷地は共有での所有」の場合と「建物は区分所有で、真下の土地は個人所有」のバターンがある。分類としてはマンションに近いイメージ。

共同住宅と長屋の違いは?

次に「共同住宅」と「長屋(テラスハウス・タウンハウス)」の違いを見てみましょう。

共用の廊下やエントランス、階段があるかないか

ひとつの建造物に2戸以上の住まいがある場合には、「共同住宅」と「長屋(テラスハウス・タウンハウス)」の2種類に分けられています。

「共同住宅」は階段、共用廊下・エントランス・エレベーター等の共用部分があるマンションやアパートで、外出するときにこれらの共用部分を通ります。住宅内部にも内階段があるメゾネットタイプ、内階段がないワンフロアのフラットタイプがあります。

「共同住宅」の場合、階段や通路が共有部分になるため、消防法で誘導標識、火災報知器などの設置が義務づけられており、50人以上が暮らす場合には防火責任者も必要になります。

外出するときに共有部分を通らない2戸以上の住まいは「長屋」になります。つまり「長屋」は独立した玄関があり、道路や敷地内外部通路に直接出入りできる建物です。

マンションのイメージ
(画像提供/PIXTA)

共同住宅、集合住宅(マンション・アパートなど)のメリット

マンションやアパートなどの共同住宅、集合住宅のメリットについて紹介しましょう。

1.施設やサービスの利用が便利

マンションなどの共同住宅・集合住宅には共用施設やサービスが充実している物件もあります。
例えばプールやフィットネスジム、コミュニティセンター、子ども向けのプレイルームやラウンジ、ゲストルームなどが備わっています。

2.安全性・セキュリティ

管理員が常駐している場合やオートロック、防犯カメラのほかにセキュリティシステムの導入をしているマンションもあり、
安全やセキュリティの面で安心感を持てることがメリットです。

3.メンテナンスの負担が軽減

共同住宅では、共用部分や共用設備のメンテナンスや修繕は管理会社や管理組合が行ってくれる物件があります。
長期修繕計画に沿ってメンテナンス計画が決まっており、費用は修繕積立金や管理費から負担するケースが多く、個別に修理業者を探すなど個人で住宅のメンテナンスに費やす時間や労力を減らすことができます。

4.コミュニティの形成のきっかけがある

共同住宅では、共用スペースやイベントなどを通じて、隣人や他の住民との交流や交友関係を築くことができます。特に子育て中の家庭にとっては、子ども同士の遊び仲間を見つけたり、情報交換の場としても便利です。

5.便利な立地条件

共同住宅は都市部や交通の便の良い場所に建てられることが多いため、買い物施設や公共交通機関へのアクセスが良いことがあります。
また、共同住宅内には商業施設やレストランなどが併設されていることもあり、生活の利便性が高い物件も。
これらのメリットにより、共同住宅や集合住宅は、快適な生活環境や便利さを求める人々にとって魅力的な選択肢となっています。

防災観点での共同住宅・集合住宅のメリット

災害などの有事の際にも共同住宅、集合住宅のメリットがあります。以下にその一部を紹介します。

1.共同防災体制の確立

共同住宅では、管理組合や管理会社が防災対策を行っています。例えば、非常時の避難経路や避難場所の案内、避難訓練の実施などです。
また、共同住宅内には非常用の消火設備やAED(※)や備蓄物資が備えられている場合もあります。
※自動体外式除細動器。心室細動などで全身に血液を送れないときなどに、電気ショックを与えて心臓のリズムを修正するための医療機器

2.共用施設が避難所として利用できる

共同住宅には、避難所としての役割を果たすコミュニティセンターや共用スペースなど非常時に利用できる共用施設を備えている物件があります。これらの施設やまた、玄関エントランスなども災害時に住民が一時的に避難する場所として活用できます。また、共用設備である非常用発電機や給水設備の機能も利用できます。

3.共同体の支援と連帯感

共同住宅では、隣人や他の住民との連帯感が強くなる傾向があります。災害時には、住民同士がお互いを助け合ったり、情報を共有したりすることができます。また、共同住宅内の管理組合やコミュニティ、地域の防災グループなどが支援活動を行うこともあります。

4.管理体制やセキュリティの強化

共同住宅では、管理組合や管理会社によるセキュリティ対策や監視体制があります。災害時には、管理組合や管理員と連携し、住民の安全を確認などが期待できます。

5.緊急情報の共有

共同住宅では、管理組合や管理会社が緊急時の情報共有を行うことがあります。例えば、災害発生時には緊急連絡網や掲示板、メールなどを活用して、住民に対して迅速かつ正確な情報を提供します。これにより、住民は迅速な避難や対策を取ることができます。これにより、孤立感や不安感を軽減し、心理的な安心感を得ることができます。

6.修理や復旧の迅速化

災害によって住宅が損傷した場合、共同住宅では管理会社や管理組合が迅速に修理や復旧作業を行うことができます。専門の業者を手配したり、修繕費用を分担することで、個別の住宅所有者が一人で対応するよりも迅速に問題を解決できます。

これらの要素により、共同住宅や集合住宅は災害時においても、住民の安全と生活の維持を支援する役割を果たすことができます。ただし、災害時には個人の備えや適切な行動が重要であることを忘れずにおくことが大切です。

今人気の「コーポラティブハウス」「テラスハウス」「タウンハウス」とは

「コーポラティブハウス」「テラスハウス」「タウンハウス」といった、おしゃれなイメージのあるこれらの住宅は、どんな建物を指すのでしょうか。

「コーポラティブハウス」は住まいの購入希望者が集まって組合をつくり、土地購入からハウスデザイン、施工まで購入希望者が共同で行います。入居希望者のイメージで家づくりができる自由度の高い集合住宅で、新しい住まいのつくり方として提案されているものです(つまり、建物の構造を示す呼び方ではありません)。

コーポラティブハウスのイメージ
(画像提供/PIXTA)

「タウンハウス」「テラスハウス」は、上記の「コーポラティブハウス」にあたります。どちらであっても、基本的に共有の廊下や玄関があれば「共同住宅」、なければ「長屋」です。

タウンハウス・テラスハウスの違いは、土地の所有区分にあり

「タウンハウス」は、横につながった分譲マンションをイメージするとよいでしょう。土地は共有のもので、建物は各戸で区分所有しています。「テラスハウス」は独立した住まいが壁を接して連続して建っており、建物も土地も区分けして個々に所有しています。カテゴリーでは、「テラスハウス」は「一戸建て」、「タウンハウス」は「マンション」とされることが多いようです。

タウンハウスのイメージ
(画像提供/PIXTA)

おしゃれなイメージで知名度を上げた「テラスハウス」は、庭付きの低層分譲住宅です。庭にガレージがついている場合もあります。不動産の募集では主に「一戸建て」と表記されることが多いです。住まいが連なっていながら、一軒家に近い感覚で住めるという特徴があります。

「集合住宅」の「マンション」と「アパート」の違い

「共同住宅」の代表格である、マンションとアパート。この2つは何を基準に区別されているのでしょうか。

不動産広告ではマンションとアパートの違いは、建物の構造で分けられています。コンクリート造りはマンション、木造や軽量鉄骨(プレハブ)はアパートとなりますが、はっきりした基準はないので、業者さんの判断次第で同じ建物であっても表記が違うことがあります。

ちなみに、マンションの広告などに表記されているSRC造、RC造という用語は、それぞれ鉄骨(S = Steel)、鉄筋コンクリート(RC = Reinforced Concrete Construction)、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC = Steel Reinforced Concrete Construction)を意味しています。

アパートは家賃がリーズナブルですが、築年数が長くてもリノベーションが施されておしゃれに生まれ変わった物件も増えています。また、マンションはエントランスにオートロックがあるなど、セキュリティの面で安心感があり、防音性が高い傾向があるといえます。

マンションのイメージ
(画像提供/PIXTA)

二世帯住宅の定義は、「戸建て住宅」と「長屋」

二世帯住宅は、おおまかに「戸建て」と「長屋」の2種類に分けられます。
建物の内部で行き来が可能であれば、玄関がいくつであっても「戸建て住宅」です。一方、建物内部はつながっておらず独立しており、それぞれの玄関が設けられていれば「長屋」と定義できます。

二世帯住宅における「長屋」は「共同住宅」として扱うこともできますが、あえて「共同住宅」とすることはほとんどありません。これは建築基準法や東京都建築安全条例などにおいて条件が厳しくなるためです。

法規制の厳しさから言えば、最も厳しいのが「共同住宅」。次に「長屋」、「一戸建て住宅」と続きます。

イラスト
(画像提供/PIXTA)

長屋と聞くと、江戸の庶民のイメージがあり、時代劇で見た隙間風が吹き抜ける住宅をイメージされるかもしれませんが、構造的には今注目されているテラスハウスやタウンハウスも長屋なのですね。
長屋は共同住宅と戸建て住宅の中間であり、上手に活用すれば、狭い土地も活用できるうえ、プライバシーも確保できます。二世帯住宅やコーポラティブハウスなど建て替えや住み替えを検討されているなら、長屋のメリットも考慮に入れると良いでしょう。

まとめ

集合住宅は「共同住宅」と「長屋」に分けられる

共同住宅と長屋の違いは、共用の廊下・エントランス・階段があるかないか

二世帯住宅には一戸建ての住宅になる場合も共同住宅、長屋になる場合もある

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取材・文/大竹香織
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