長期優良住宅のメリット・デメリットは?減税、ローン金利、補助金について紹介! 

長期優良住宅のメリット・デメリットは?減税、ローン金利、補助金について紹介! 

長く住めるマイホームが欲しいので「長期優良住宅」が気になるけれど、どんな家なのかよくわからない……という方は多いでしょう。そこで今回は、長期優良住宅の概要やメリット・デメリットについて、建築士の井上恵子さんに教えていただきました。

長期優良住宅ってどんな家?

長く安心・快適に住み続けられる住宅

長期優良住宅とは、国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアした住宅のことです。基準には耐震性や劣化対策、維持管理や更新のしやすさ、省エネルギー性などの項目があります。所轄行政庁に申請して認定を受けると「認定長期優良住宅」となり、減税や住宅ローン金利の引き下げなどの優遇を受けることができます。

「日本は住宅の寿命が短く、世代ごとに家を建てて住宅ローン返済しているため、経済面における暮らしの豊かさを実感しにくいと言われています。また、住宅を壊す際には大量の廃棄物が生じますし、新しく建てるためには多くの資材やエネルギーを使います。

暮らしの豊かさを損ない、地球環境へ悪影響を与える『住宅のスクラップ&ビルド』をやめ、『いい住宅を建てて、きちんと手入れをして、長く住む』ために、国が定めたのが長期優良住宅認定制度なのです」(井上恵子さん。以下同)

長期優良住宅認定制度は2009年にスタートしています。一般社団法人住宅性能評価・表示協会によると、認定戸数は年間10万件程度で推移。近年は、新築戸建住宅の約4戸に1戸が長期優良住宅の認定を取得しています。

長期優良住宅のイメージ
長期優良住宅制度の認定を受けた戸建住宅は、年々増加しています(画像/PIXTA)

戸建住宅の場合、7つの評価項目を満たす必要がある

長期優良住宅認定制度は、戸建て住宅/共同住宅のいずれでも利用できますが、満たすべき基準が若干異なります。

「戸建住宅の場合、7つの評価項目を満たす必要があります。高い住宅性能を長期間保つためには、どの性能も重要と言えます。

評価項目のうち、『維持管理・更新の容易性』はイメージしにくいかもしれません。これは、排水管や設備のメンテナンスや交換が容易にできるようにすることです。というのも、住宅は構造躯体よりも給排水管や設備の方が先に故障したり寿命になるため、これらに対処できないと建物自体を壊すことになるからです」

新築一戸建て住宅が満たすべき7つの評価項目等
項目 内容
1. 劣化対策 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること
2. 耐震性 極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化をはかるため、損傷のレベルの低減を図ること
3. 維持管理・更新の容易性 設備配管について、維持管理を容易に行うために必要な措置が講じられていること
4. 省エネルギー性 必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること
5. 居住環境 良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること
6. 住戸面積 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
7. 維持保全計画 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること

申請は建築主か建築会社が、着工前に行う

認定を受けるためには、所轄行政庁に、着工までに申請を行います。申請は建築主か建築会社などが行いますが、建築会社が行うのが一般的です。

「長期優良住宅が求める高い性能は、間取りや設備・仕様に配慮しないと基準を満たせません。プランが固まってから間取りや設備を変えると、修正に手間や時間がかかります。家づくりをスムーズに進めるためには、長期優良住宅の認定を取りたいという意向を、早い段階で伝えましょう」

長期優良住宅のメリットは?

メリット1:快適かつ安心できる家に、世代を超えて住み継ぐことができる

ここからは長期優良住宅のメリットを5つ紹介しましょう。

まずは、高い性能によって快適かつ安心して暮らせる家になり、次の世代も住み継げることです。例えば、耐震性を満たすことで、大きな地震でも家の損傷が抑えやすくなり、住み続けるための改修も容易に行えます。また、省エネ性を満たすと断熱性が高まり、エアコンなど空調機器の効きが良くなるため、少ないエネルギーで夏は涼しく・冬は暖かく過ごせる家になります。

「日本では断熱性が低い住宅が大半のため、冬に自宅で心臓、脳、呼吸器系疾患による死者が、夏の2倍程度発生しているという調査結果があります。断熱性が高い家が当たり前のイギリスの住宅の健康・安全性評価システムでは、室温が16℃以下の住宅では呼吸器疾患や心血管疾患などにリスクを与え、10℃以下では心臓発作や脳卒中などの心血管疾患による冬の死亡率が50%上昇するとしています。

このように、断熱性の低い家は健康に悪い影響を与えることは明らかです。断熱性の確保は、家族が健康な暮らしを送るうえで非常に重要と言えるでしょう」

長期優良住宅で三世代が快適に暮らすイメージ
長期優良住宅なら、全ての年代の人が快適かつ健康に暮らせるでしょう(画像/PIXTA)

メリット2:減税が受けられる

長期優良住宅の認定を受けると、さまざまな税の特例措置が受けられます。いずれも期間が定められた措置なので、利用を検討する際には期限を必ず確認してください。

住宅ローン減税 

住宅ローンを借りて家を建築/購入した場合に、年末ローン残高の1%が所得税・住民税から10年間控除されます。控除限度額は一般住宅が4000万円ですが、長期優良住宅なら5000万円になります。

実際の納税額が控除額の上限になるため、すべての人が限度額上限まで控除を受けられる訳ではありませんが、控除限度額が1000万円もアップするのは大きなメリットになります。

不動産取得税

不動産取得税とは、住宅・土地の購入時に支払う税金です。一般住宅は課税標準から1200万円控除されますが、長期優良住宅は1300万円まで控除されます。

登録免許税

登録免許税とは、住宅・土地の購入時や新築時に、所有権を登記する際に払う税金です。戸建ての一般住宅の税率は保存登記0.15%、移転登記0.3%ですが、長期優良住宅なら保存登記0.1%、移転登記0.2%と税率の引き下げが受けられます。

固定資産税

住宅・土地の所有者が支払う税金です。新築時に税額が1/2に減額される減税措置が受けられますが、その期間が、戸建ての一般住宅は3年間、長期優良住宅なら5年間に延長されます。

メリット3:住宅ローン金利が引き下げられる

長期優良住宅を建てて認定を受ける場合、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携した住宅ローン【フラット35】の、【フラット35】Sを利用することができます。【フラット35】Sは、【フラット35】の借入金利を当初10年間、0.25%引き下げられるため、借り入れ当初の返済負担を軽くすることができます。

メリット4:地震保険料の割引きがある

長期優良住宅の認定を受け、所定の書類を保険会社に提出することで地震保険料の割引きが受けられます。例えば、耐震等級2なら30%、耐震等級3なら50%の割引率が適用。免震建築物でも50%の割引きが受けられます。

地震保険のイメージ
耐震性が高いため、地震保険料の割引きが適用されます(画像/PIXTA)

メリット5:補助金制度を利用できる

性能に優れた木造住宅を新築・購入すると補助金が交付される「地域型住宅グリーン化事業」は、認定を受けた長期優良住宅が利用できる制度です。補助額の上限は110万円となっています。制度の利用には、国土交通省から採択された中小工務店が建てることや、原則として地域材を利用することなどの要件があります。

「地域型住宅グリーン化事業は、地域の木材関連事業者や工務店を活性化できますし、地球環境への負荷も低減できる素晴らしい制度だと思います。地域経済へ貢献したい方や、サスティナブルな家づくりがしたい方は是非利用を検討しましょう」

長期優良住宅のデメリットは?

デメリット1:申請に費用がかかる

長期優良住宅制度を申請するときには、認定申請書や複数の添付書類が必要です。このため、書類の作成や代行申請に別途費用がかかるケースが一般的です。

「住宅性能の良し悪しは見た目ではわかりませんし、一般の方は設計図などを見ても理解が難しい部分があります。申請に費用はかかりますが、住宅は高価な資産ですので『認定を受けることで安心を得る』という考え方もあります」

●申請費用の目安
・設計図書類の作成 20万円程度
・技術審査や認定のための手数料 5万~6万円程度
さらに依頼先によっては代行申請料などが加わる

長期優良住宅の申請費用のイメージ
申請に費用はかかりますが、『安心感』を買うという考え方も(画像/PIXTA)

デメリット2:建築コストが割高になる

優れた住宅性能を確保するには、構造部材や住宅設備はグレードが高いものを選ぶ必要があります。

「グレードの高い構造部材や住宅設備は価格も高いため、一般的な住宅と比べると建築コストは割高になります。しかし、長く住める家になりますし、性能に不安や不満を感じながら住むより良いのではと思います。

政府から今後30年間に震度6以上の大地震が発生する確率が発表されたり、気象庁から日本の平均気温は年々上昇傾向にあるというデータが報じられたりしています。今後の住環境を見据えると、高い耐震性や省エネ性は必須の性能といえるでしょう。

さらに、『建築コストは割高だけど、自然災害後に補修すれば住み続けられる家』と、『建築コストは抑えたものの災害後に建て直さなければいけない家』は、コスト以外の観点でもどちらが良いのか明白ですよね」

デメリット3:メンテナンス履歴の作成・保存が必要

長期優良住宅制度の認定を受けるには、申請時に維持保全計画を立て、建築後はその計画を適切に実施する必要があります。さらに、大きな台風や地震の後には臨時点検の実施も定められています。

「維持保全のための点検・補修は、床下にもぐったり屋根に上ったりするため、家を建てた建築会社に依頼して実施するケースが多いです。つまり、維持保全計画を実施するには、建築会社への依頼や、実施記録を作成・保存する手間がかかります」

ただ、実施記録は所轄行政庁などに提出する義務はなく、求められた際に報告すれば大丈夫です。しかし、適切に実施していないと判断された場合、認定が取り消される可能性もあります。

「長期優良住宅認定制度は、『孫の代まで住める家を建てる』というのが基本的な考え方です。せっかく高性能な家を建てても、メンテナンスをしないと性能は落ちますし美観も損ねます。

メンテナンス実施内容の書類を手元に残せば、メンテナンスを頼む建築会社が変わったときもスムーズに引き継ぐことができます。さらに、売却する際、きちんとメンテナンスされた住宅は高い価格で売ることも可能です。メンテナンスには費用や手間がかかりますが、デメリットにはならないと思います」

長期優良住宅のメンテナンスのイメージ
長期優良住宅を建てるなら、メンテナンスの必要性への理解も大切です(画像/PIXTA)

興味があれば、早めに依頼先に相談しよう

プラン作成前に、利用するか相談したい

長期優良住宅にはデメリットもありますが、快適かつ安心して暮らせる家に長く住めるうえ、認定を受けることで減税や補助金制度が利用できるメリットがあります。さらに、世代を超えて住み継ぐことができるため、サスティナブルな点でも魅力的といえます。

長期優良住宅制度を利用するなら、定められた性能を満たす必要があります。住宅の性能は間取りや設備・仕様により変わるため、興味がある人は出来るだけ早いタイミングで建築会社やハウスメーカー、設計士などに相談しましょう。

一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

国土交通省「長期優良住宅のページ」

まとめ

長期優良住宅とは、国が定めた「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアした住宅のこと。基準には耐震性や劣化対策、維持管理や更新のしやすさ、省エネルギー性などの項目がある

長期優良住宅のメリットは、快適かつ安心して暮らせる家に長く住めること。また、認定を受ければ減税や補助金制度などが利用できる

長期優良住宅のデメリットは、認定申請に費用がかかることや、建築コストが割高になることがある

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取材・文/山南アオ 
公開日 2021年07月08日
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