『二世帯住宅はデメリットだらけ』は本当? 知りたいメリットも紹介

最終更新日 2026年03月31日
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『二世帯住宅はデメリットだらけ』は本当? 知りたいメリットも紹介

二世帯住宅は気を遣う、生活に干渉される……など、デメリットが多いというイメージがあるかもしれませんが本当でしょうか?新居を二世帯住宅にと考えている場合は、切実な問題ですよね。そもそも、二世帯住宅にするメリットとはなんなのか?よく言われるデメリットは回避できないものか、一級建築士事務所みゆう設計室の中川由紀子さんと、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに伺いました。

二世帯住宅のデメリットとは?

デメリット1 同居世帯との生活時間のズレがストレスに

今まで別々に暮らしてきた世帯が、ひとつ屋根の下に暮らす二世帯住宅。いくら親世帯と子世帯の同居といっても、生活する上である程度ストレスを感じることは想像に難くありません。

子世帯からすると、同居するのが夫妻どちらの親なのか、また、親世帯からすると、同居するのが自分の息子か娘かでは、感じるストレスの内容にも違いがあると思いますが、実際にどのようなケースでも、それぞれの世帯の生活時間のズレによってストレスを感じる人は少なくないようです。

「親世帯と子世帯とで生活の時間帯が違うことで、ストレスを感じることもあります。例えば、若い子世帯は夜遅くまで起きていて、子どもが勉強をしていたり、テレビを見ていたりということがあると、親世帯がストレスを感じることもあるでしょう。逆に、親世帯の朝が早く、子世帯がストレスに感じることもあります」(中川さん)

休日の朝早い時間に体操をする親世帯とゆっくり寝ていたい子世帯のイメージ
休日の朝早い時間に体操をする親世帯とゆっくり寝ていたい子世帯。生活の時間帯が違うとストレスに感じることも(イラスト/いぢちひろゆき)

デメリット2 共用スペースの使い方で気を遣うことも

二世帯住宅の場合、リビングに加えて、キッチンや浴室、トイレなどを共用にしている場合も少なくありませんが、使う人数が増えるほど、自分の使いたいタイミングで使えないという事態も発生します。

例えば、リビングを共用している場合も、親世帯、または子世帯が寝ている時間帯に、リビングでテレビを見たり、深夜までくつろぐのは気がひけるということもあるでしょう。

また、キッチンや洗面台を共用する場合は、料理や洗濯、そうじなど、家事をする際に、誰がどこで、どのタイミングで行うかもストレスの元凶になることもあります。プライベートな空間なのに、お互いに気を遣ってしまうというのは、二世帯住宅でデメリットと感じやすいポイントです。

親世帯と子世帯で洗濯機を使うタイミングが重なって争っているイメージ
親世帯と子世帯で洗濯機を使うタイミングが重なることもある(イラスト/いぢちひろゆき)

デメリット3 水道光熱費など、家計の分担でわだかまりができる可能性も

二世帯住宅に住む場合、水道光熱費を世帯ごとにどう負担するかというのも家庭によって異なります。例えば、メーターを分けて各世帯で負担する場合は、それぞれが使った分を支払うことになるため、特に問題はありませんが、基本料金などを1軒分としてコストカットできるという二世帯住宅のメリットを享受することができなくなります。

一方で、基本料金から折半する場合は、世帯ごとの負担をどうするかというところが悩ましいポイントです。明らかにどちらか一方の世帯の方がお風呂を頻繁に使用していたり、電気をつけっぱなしにしていたりということがあるにもかかわらず光熱費が折半だった場合、一方の世帯が不公平に感じることもあるでしょう。

「家計はまとめてしまうとコストメリットは働きますが、人数が増えるほど、意思の調整という部分で難易度が上がります」(風呂内さん)

お金のことは親族間でも言い出しづらいことが多く、家計をどうするかという部分を発端に、親世帯と子世帯の間にわだかまりができる可能性もあります。

電気代を使いすぎる子世帯に対して腹を立てる親世帯のイメージ
光熱費が折半の場合、どちらかの世帯が電気代などを使いすぎると、もう片方の世帯は不公平に感じてしまうことも(イラスト/いぢちひろゆき)

デメリット4 相続でトラブルになる場合もある

二世帯住宅が親と子の共有名義だった場合、親が他界すると親の共有持分は相続の対象になり、兄弟姉妹などがいる場合は遺産分割の方法を巡ってトラブルになる可能性もあります。

例えば、親の遺産が二世帯住宅の共有持分しかないような場合は、兄弟姉妹の相続する遺産がほかにないため、家を売却して遺産を分配することを迫られることがあるかもしれません。その場合、分配する資金を用意できなければ、親世帯が亡くなった後も子世帯はそのままその二世帯住宅で暮らしたいと望んでいても、住み続けられなくなるかもしれません。

親の遺産が家しかない場合、遺産分割を巡ってトラブルになる兄弟姉妹のイメージ
親の遺産が二世帯住宅しかない場合、遺産分割の方法を巡って兄弟姉妹間でトラブルになる可能性がある(イラスト/いぢちひろゆき)

生活時間のズレや共有スペースの使い方などによって生じる生活する上でのストレスや、家計管理や相続のトラブルリスクという金銭的な部分は、二世帯住宅を検討する場合に、起こる可能性のあるデメリットとして頭に置いておくといいかもしれません。しかし一方で、二世帯住宅にはもちろんメリットもあります。

二世帯住宅のメリットとは?

メリット1 子育てや家事、介護など生活を助け合える

子育て世代にとって、親に子育てを助けてもらいやすくなるという点は、二世帯住宅の大きなメリットです。世帯間の移動負担が減ることで、子育てだけでなく、家事や介護などについても、お互いに生活を助け合いやすくなります。

「二世帯住宅で同居することで、子育てを手伝ってもらえるという点や、高齢の親を近くで見守れるという点にメリットを感じている方は多いのではないでしょうか。最近は妻側の両親と同居するという二世帯住宅のケースも増えているように感じます」(中川さん)

二世帯住宅であれば、いざというときに親世帯に子どもを預けることができたり、親の健康状態などを近くで見守れたりすることは暮らしの安心感にもつながります。

急に病気になった子どもを親世帯に預けるイメージ
子どもが急に病気になっても、親世帯に預けられれば安心(イラスト/いぢちひろゆき)

メリット2 世帯をまとめることで建物のコストカットや予算アップが可能になる

二世帯住宅の場合、2家族が暮らす家と言っても、建築コストが2軒分になるという訳ではありません。建物の共用スペースがどの程度かにもよりますが、共用できる部分が多いほど、建物にかける費用をカットできるメリットがあります。

「お風呂やキッチンなど、それぞれ必要なものを一つにまとめてしまうことができれば、コストカットにつながります。また、世帯をまとめることで、その分規模の大きな建物を建てる選択肢が生まれるというのは二世帯住宅の魅力的な部分です」(風呂内さん)

二世帯住宅の場合は広さなどが必要になる分、一世帯分の家を建てる場合よりは予算はアップするものですが、親世帯と子世帯それぞれがローンを組むなど、資金計画の選択肢も広がります。

また、二世帯住宅の場合は元々親が持っている土地に新居を建てるというケースも少なくありませんが、その場合は、子世帯の負担は建物の建築コストのみで済んだり、親からの金銭的な援助を受けやすかったりということもあるでしょう。

二世帯住宅で共有スペースが多いとコストカットにつながるイメージ
共有スペースが多いほどコストカットにつながる(イラスト/いぢちひろゆき)

メリット3 水道光熱費などを抑えることも可能

デメリットの部分でも言及した水道光熱費ですが、世帯ごとの負担についてきちんと合意が取れれば、メーターをまとめることで基本料金は1軒分になり、基本料金については1世帯あたりの負担は半分にすることが可能です。また、暮らす人数が増えても、水道や電気の使用量などは人数に応じて倍増するわけではないため、2世帯分をまとめることはコストカットにつながります。

「水道光熱費以外にも、通信費やサブスク型の音楽配信・動画配信サービスの料金なども、どちらの世帯も利用しているのであれば、家族プランなどを利用することで、月々の負担を抑えられることもあるでしょう」(風呂内さん)

世帯人数別・水道光熱費の平均
光熱・水道計 電気代 ガス代 他の光熱 上下水道料
1人世帯 1万2816円 6756円 3056円 721円 2282円
2人世帯 2万1120円 1万878円 4497円 1497円 4248円
3人世帯 2万4340円 1万2651円 5121円 1211円 5358円
4人世帯 2万4593円 1万2805円 5015円 747円 6026円
5人世帯 2万6746円 1万4413円 4284円 1204円 6846円
6人世帯~ 3万1619円 1万6995円 4551円 1662円 8409円
世帯の人数が2人から4人になっても、水道光熱費が倍になるわけではない
(出典:総務省「家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)」)

メリット4 別居よりも相続税を抑えられる可能性がある

相続する土地(上限330m2)にかかる相続税の対象となる課税価格を最大80%減額できる「小規模宅地の特例」という制度がありますが、親世帯と別居している場合は適用できる条件が厳しくなります。しかし、二世帯住宅であれば、玄関も住居スペースも完全に分離しているタイプの二世帯住宅であっても、一定の条件を満たしている場合は対象となります。ただし、区分登記をしてしまうと、この特例が使えなくなることがあるので注意が必要です。

例:相続する土地の課税評価額が1000万円
特例を使えない場合 1000万円
特例を使える場合 200万円
※特例を使うことで800万円減
被相続人が住んでいた自宅を相続してそこに住む人の相続税負担を軽減する制度なので、原則としてその家に同居していた親族が対象。別居している場合は適用が難しい

二世帯住宅のデメリットを回避する方法は?

二世帯住宅にはメリットがたくさんあるにもかかわらず、デメリットが気になって前向きに検討できないという場合は、回避できる方法を考えてみるのも手。気になるデメリットの回避策をご紹介します。

自分に合ったタイプの二世帯住宅を選択する

二世帯住宅には、(1)ほぼすべてのスペースを共用する「完全同居型」、(2)キッチンや浴室など、部分的に共用する「一部共用型」、(3)玄関をはじめ、すべての空間を別々にした「完全分離型」と大きく分けて3つのタイプがありますが、生活時間帯のズレや共用スペースの使い方が気になってしまうのではないかという部分に不安を感じている場合は、完全分離型の二世帯住宅がおすすめです。

上下階、または左右で世帯を分けている完全分離型の場合は、共用スペースがないため、それぞれの自立した生活を守りやすく、二世帯住宅の場合でも、プライバシーはしっかりと確保したい人におすすめです。しかし、一方で完全同居型や一部共用型に比べるとコストメリットは少ないという短所もあります。

「コストを考えると、一番メリットがあるのは完全同居型の二世帯住宅になると思います。完全分離型の場合、浴室やキッチンの数が増えるので建築コストはその分上がりますし、広い敷地が必要になります。予算や敷地面積の都合で、完全分離型を希望していても一部共用型や完全同居型を選択するケースもあると思います。

しかし、そのような場合でも“妥協して一部共用型や完全同居型を選択した”という考え方ではなく、“一緒だったら〇〇ができて楽しい”などのメリットを考えながら共用部分をつくることで、住んでからのトラブルやストレスは少なくなると思います」(中川さん)

メリット デメリット
完全同居型 ほとんどの空間を共用するため、ゆとりのある二世帯住宅を建てやすく、建築コスト、ランニングコスト共に抑えやすい 生活時間のズレや共用スペースの使い方などにストレスを感じやすい
一部共用型 完全分離型と比べると、ゆとりある二世帯住宅を建てやすく、コストも抑えやすい 同居型よりは間取りに制約が生じやすく、完全分離型ほどはプライバシーを確保するのは難しい
完全分離型 世帯ごとに自立した生活を送りやすく、将来、片方の世帯の住空間を賃貸に出すなどの活用も可能 両世帯の共用スペースがないため床面積が広くなり、建築費がかかる。広い家を建てるための敷地の広さも必要

間取りの工夫をする

生活時間や生活スタイルの違いによるストレスや、プライバシーの問題などは、間取りを工夫することによっても軽減できます。

「音のトラブルを避けるには、上下のフロアで長い時間過ごす場所が重ならないようにするのがポイントです。例えば、子世帯が2階のリビングで過ごすことが多いのであれば、その真下を親世帯のリビングや寝室にしないようにしましょう。

上下で世帯の空間を分けている二世帯住宅の場合、移動がラクということで親世帯が下の階を選ぶことが多いですが、子どもが走る音などは、一戸建ての場合は思いの外響くものです。子どもが成長した頃に、住むフロアを交代するということもできるので、もし、親世帯が元気なのであれば、最初は親世帯を上の階にするという選択肢を考えてみるのもいいかもしれません。1階を親世帯、2階を子世帯とすると音のストレスを感じることがあるので、各戸に階段を設けて、それぞれ2階建の住戸になるように計画するのも良いでしょう。」(中川さん)

ストレスのない二世帯住宅の上下階で暮らす様子
生活時間のズレや音の問題を考えて間取りをつくでるとトラブルも回避できる(イラスト/いぢちひろゆき)

同居型や一部共用型の場合は、それぞれの世帯がどのような時間帯に家にいて、誰が家事をするのかを考えて間取りをプランニングすることでも、デメリットを回避しやすくなります。

「キッチン、洗面、浴室などを共用する場合、料理、洗濯、掃除などを誰がいつするのかということを考えて間取りを考えましょう。

例えば、子世帯は共働きで、洗濯は全部親世帯にまとめてお願いするというケースでは、洗濯物を干す場所は1カ所でいいかもしれませんが、親世帯と子世帯は別々に洗濯をするのであれば、それぞれの洗濯物を部屋干しするスペースなどを設けておいた方がいいこともあります。

収納についても、最近はファミリークローゼットを洗面所近くに設けることも増えていますが、親世帯のものも子世帯のものも一緒に置くのか、別に置くのかなどは考えて収納スペースを設けるようにしましょう。片付ける衣類を管理する人が世帯ごとに異なるのであれば、収納スペースも分けておく方がいいかもしれません」(中川さん)

親世帯のものでいっぱいの共用納戸のイメージ
季節のものなどをしまう収納スペースなども、分けておいた方がいいこともある(イラスト/いぢちひろゆき)

お互いの世帯の暮らし方や性格について話し合っておく

なんとなくわかっているつもりでも、親子とはいえ、お互いがどういう暮らしをしているかというのは意外と知らないものです。同居をはじめてから気づくことも多いものですが、事前にお互いの暮らし方や気になるポイントなどについてより深く理解しておくことで、住んでからのストレスを軽減することができます。

「共用部の使い方や使用時間などを事前にきっちり決めてしまうと、それはそれでストレスになることもあるので、ルールをすべて事前に決めてしまう必要はないと思います。ただ、生活する上で気になるポイントや、逆に気にならないポイント。また、お互いに、いつ何をしていることが多いかなどについては話し合っておくといいでしょう。誰がどこで過ごすことが多くて、そのときほかの人は何をしているのかなど、具体的に話しておくと、新しい家でもお互いのプライバシーを確保しやすくなります。

さらに、今までどう暮らしてきたのかということだけでなく、新しい家でどういう暮らし方をしたいのかで間取りも変わってくるので、“今の生活”と“これからしたい生活”の両方をお互いにきちんと把握しておくと、暮らしやすい二世帯住宅をつくることができると思います」(中川さん)

また、生活スタイルだけでなく、家計管理についても、きちんと話し合っておくことが重要です。食費や水道光熱費については、完全に各世帯で分けて管理するのか、一定の割合で配分するかで、同居型なのか、一部共用型なのか、完全分離型なのか、選択する建物のタイプも変わってくるでしょう。

「基本的には世帯によって考え方などに違いがあるのは当たり前のことです。ただ、その違いがあったとしても、世帯間で相違があるという共通認識を持っておくだけでもストレスは軽減されると思います。暮らしていく中で気になる部分については、その都度調整しておきましょうという話し合いができていれば、随分と暮らしやすくなるのではないでしょうか」(風呂内さん)

親子間での話し合いのイメージ
親子でも、二世帯住宅で一緒に暮らすのであれば、具体的に暮らし方について話し合うことが不可欠(イラスト/いぢちひろゆき)

相続については事前に兄弟姉妹にも相談する

相続を巡ってのトラブルを回避するためには、二世帯住宅を建てる前に、兄弟姉妹間で話し合いをしておく必要があります。

「相続時の話を事前にするのはなかなか難しいかもしれませんが、二世帯住宅を建てるという話をする際に、将来の話に触れておくと良いと思います。

例えば、二世帯住宅は両親が亡くなった後も住み続けるのか、売却するのか。さらに、親世帯が将来的に介護施設に入る場合はどうするのかなど、将来的な変化に備えて、建物の活用方法なども話し合っておくといいでしょう」(風呂内さん)

ライフステージが変化した時に、どのような判断するのかということを相談しておくと安心です。

それまで一緒に暮らしていなかった世帯が同居する二世帯住宅は、生活する上でストレスも多く、デメリットばかりと感じてしまう人もいるでしょう。しかし、経済的な負担を減らせたり、家事や育児、介護など、お互い助け合って楽しく、より快適な暮らしを手に入れることも可能です。事前にしっかりと話し合い、自分達に合った二世帯住宅をつくりあげてみてはいかがでしょうか。

まとめ

二世帯住宅の場合、生活する上でのストレスや、金銭面でわだかまりが生まれるなど、デメリットを感じることもあるが、間取りの工夫なので回避できることも

デメリットを感じる人もいる一方、経済的な負担を減らせたり、家事や育児、介護などの面で生活上のメリットも得られる

デメリットを回避するためには、事前にしっかりと話し合い、自分達の生活スタイルに合ったタイプの二世帯住宅を選択することが大事

SUUMOコンテンツスタッフ

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