完全分離型の二世帯住宅なら、別居感覚で同居生活が楽しめる!

完全分離型の二世帯住宅なら、別居感覚で同居生活が楽しめる!

「二世帯住宅」と聞くと、どんなイメージが思い浮かびますか?「安心」「便利」「大変」「ストレス」?建築費や生活費、税金などの面でお得なのはわかっていても、何かと不安要素も多いもの。そんな心配をお持ちの方にオススメなのが、「完全分離型」の二世帯住宅。その魅力を、実際の住み心地やプラン例と合わせてご紹介します。

完全分離型の二世帯住宅ってどんな家?

二世帯住宅を大きく分けると3つのタイプがある

二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一緒に暮らす住宅のこと。子世帯に子どもが生まれて「二世帯・三世代同居」するケースも多く見られます。各家庭のライフスタイルや価値観に合わせて、玄関やキッチンを世帯ごとに設けたり、リビング・ダイニングを両世帯で共有するなど、間取りのバリエーションも様々。大きく3つに分類して、それぞれの特徴をご紹介します。

1)ほとんどの空間を二世帯で共用する「同居型」
2)玄関や浴室など、部分的に共用する「一部共用型」
3)玄関から全ての住空間が別々になる「完全分離型」

「同居型」「一部共用型」「完全分離型」
(画像作成/SUUMO編集部)

各タイプそれぞれにメリット・デメリットがあります。どのタイプを選べば、自分たちの理想の暮らし方ができるでしょうか?「いい二世帯住宅を建てるためには、家族でしっかり話し合うことが大前提です。とはいえ、家族だから言えないことや、一人ひとり心の奥にある思いなどもあるでしょう。そのような隠れたニーズを、ヒアリングの中から拾い上げることも、設計士や住宅会社の大切な仕事です。住まいのプロを交えてじっくり話し合った上で、『うちはこの形がいいね』と選んでみてはいかがですか」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

二世帯住宅のタイプの特徴とメリット・デメリットは?

最も大きく違うのは、建築コストとプライバシーの守られ方。それ以外にもどんな違いがあるか、確認してみましょう。

1)ほとんどの空間を二世帯で共用する「同居型」

玄関や水まわり、LDKなどほぼすべてのスペースを共用する間取り。共用スペースが多いので、効率の良い間取りがつくれる。

◎メリット

・敷地が狭くても、ゆとりある二世帯住宅を建てやすい
・水まわりの設備やスペースが少ないので、建築費を抑えられる
・世帯間のコミュニケーションが取りやすい
・水道光熱費などのランニングコストを抑えやすい

×デメリット

・世帯ごとのプライバシーの確保が難しい
・入浴や食事の時間、生活音などの調整が必要になる場合もある

●こんなファミリーにオススメ

・食事やくつろぎの時間を共にして、大勢でにぎやかに暮らしたい
・建築コスト・生活コストをできるだけ抑えたい

間取り例
同居型の間取りの例(1階のみ)。1階部分には親世帯の居室と、共用スペースであるLDK、水まわりを配置。共用LDKのほかに、親世帯にミニキッチンを用意することも多い。この例では、子世帯の個室を2階に配している(間取図作成/長岡伸行)

「同居型は、二世帯住宅というよりも『子世帯の住まいに、一人の親が同居する』といったパターンが多いように思います。プライバシーの確保が難しいので、それまで別々に暮らしていた家族だとなかなか難しいでしょう。『それぞれが一人でゆっくりできる空間』を、LDK以外につくれるご提案したりしています」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

2)玄関や浴室など、部分的に共用する「一部共用型」

親世帯・子世帯ともに、ある程度独立した住空間を構えつつ、玄関や浴室といった一部の空間を共有する、プライバシーと効率を兼ね備えた間取り。

◎メリット

・敷地が狭くてもゆとりある二世帯住宅を建てやすい
・水まわりの設備やスペースが少ないので、建築費を抑えやすい
・世帯間のコミュニケーションが取りやすい
・水道光熱費などのランニングコストを抑えやすい
・くつろぎの場のプライバシーを確保しやすい

×デメリット

・共用スペースをどこに置くかで間取りプランに制約が生じやすい
・入浴や食事の時間、生活音などの調整が必要になる場合もある
・玄関を共用することで、来客を招く際に気を使うこともある

●こんなファミリーにオススメ

・日常的に交流しながら、プライバシーも確保したい
・建築コストと生活コストを抑えたい

間取り例
一部共用型の間取りの例(1階のみ)。玄関と浴室といった、共用するスペースをはさんで、お互いのプライバシー空間を配置。この例では、子世帯の個室を2階に配している(間取図作成/長岡伸行)

「『同居でも、それぞれのくつろぎ場所は別々に確保したい』と考えると、一部共用型になります。トイレや浴室などを共用するので、同居者の生活時間帯の違いに配慮しておく必要があります。また、共用する部分、特に洗面室などには2世帯分の物が集まるので、収納スペース等にはそれだけのゆとりを持たせておきたいですね。一部共用型は効率的ではありますが、『何をどこまで共有するか』を一つひとつ決めておかないと後で困ることもあるので、特に話し合いが必要です」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

3)玄関から住空間が分かれる「完全分離型」

玄関から全く別の、独立した2つの住居がひとつになった住まい。建物を左右で分けるパターンや、上下で分けるパターンなどがある。

◎メリット

・世帯ごとのプライバシーを守りやすい
・表札やポストを分けられるので、特に名字が異なる場合には便利
・世帯ごとにプランの自由度が高くなる
・税金面での優遇を受けやすい
・将来どちらかの世帯を賃貸物件にできる

×デメリット

・水まわりの設備や空間が2つ必要になるので、建築費がかかる
・広い敷地が必要になり、建築コストも高くなる
・独立性が高い分、両世帯のつながりが疎遠になる場合もある

●こんなファミリーにオススメ

・近くに住んでいたいが、プライバシーは大切にしたい
・転勤など生活スタイルの変化があったときに柔軟に対応したい

間取り例
完全分離型の間取りの例(1階のみ)。すべての住空間が分かれて独立。内部はしっかりと区切りつつ、家の中で行き来できるドアを設けているケースも多い。この例では、子世帯の個室を2階に配している(間取図作成/長岡伸行)

「すべてが別々なので、プライバシーは確保しやすくなります。ただし、玄関ドアをすぐ横に並べると、相手がいつ出掛けて、いつ帰ってきたのかが分かってしまい、窮屈な思いをすることもあります。少し離すか、間に植え込みを入れるなどの配慮をしておくなど、生活音と気配の伝わり方に配慮しておきたいですね」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

現代の親世帯は「交流はしたいが一緒に生活しなくてもよい」

子どもが成人し、独立した後、親子はお互いどのように暮らすことを望んでいるでしょうか? 60歳以上の高齢者に「老後に子どもや孫とどう付き合いたいか」を尋ねたところ、「子どもや孫と一緒に生活できるのがよい」と思う人よりも「ときどき会って食事や会話をするのがよい」人が多く、過半数に及んでいます。現代の親世帯は「子どもと一緒に暮さなくてよいが、常に親しくつき合いたい」と考えているようです。

老後における子どもや孫との付き合い方
老後における子供や孫との付き合い方
出典:「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(内閣府)を基に作成(画像作成/SUUMO編集部)

ただ、40歳以上の8割超の人が「老後に一人暮らしになると不安」と考えています(下グラフ参照)。具体的にどのようなことが不安か、との設問に対しては、「病気になったときのこと」(79.7%)、「寝たきりや身体が不自由になり、介護が必要になったときのこと」(79.1%)、「買い物などの日常生活のこと」(43.5%)「日常会話をする相手がいないこと」(15.8%)と回答(同調査)

老後に一人暮らしをすることになった場合の不安
老後に一人暮らしをすることになった場合の不安
平成28年版厚生労働白書」(厚生労働省)を基に作成(画像作成/SUUMO編集部)
子どもと同居・近居したいと思っている高齢者の割合
子どもと同居・近居したいと思っている高齢者の割合
平成30年度高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果」(内閣府)を基に作成(画像作成/SUUMO編集部)
※60歳以上の、子どもがいると答えた者を対象に調査
※現在、同居や近居をしている者も含む。
※近居とは、住居は異なるものの、日常的な往来ができる範囲に居住することを指す。ここでは具体的には、同一中学校区内程度とする(約6キロメートル以内。車で 15 分以内程度。)

子どもと「同居したい」高齢者が34.8%と最も多く、「近居したい」「同居か近居のどちらかをしたい」の計38.6%と合わせると、73.4%が「子どもと同居か近居をしたいと考えている」ことがわかります。

では、子世帯の気持ちはどうでしょう?下のデータを見ると、結婚して世帯を構えている人は、どちらかの親との近居を希望している人が48.6%と半数近くを占め、同居も含めると実に63.6%の人が「親の近くで暮らしたい」と考えています。女性の社会進出や若い世帯の年収の伸び悩みなどにより、若い世代で共働き世帯が増えていること、また、親世帯が現役を退いても元気で頼れる存在であることから、若い世代にとって親との同居は「安心で便利で、家計と子育てを助けてくれる」という魅力が高まってきているのかもしれません。

子世帯にとっての「理想の家族の住まい方(20 歳~49 歳有配偶者の場合)」
子世帯にとっての「理想の家族の住まい方(20 歳~49 歳有配偶者の場合)」
平成25年度「家族と地域における子育てに関する意識調査」(内閣府)を基に作成(画像作成/SUUMO編集部)

結婚した子世帯が親と「近居したい」は 48. 6%と最も多く、「同居したい」は15.0%。「親と同居か近居をしたいと考えている」子世帯が約63.6%の多数を占め、近居希望が同居希望の約3倍に及ぶ。また、上のデータと比べると、子世帯は親に比べて「同居よりも近居」を希望していることがわかる。

同居しなくていいが近くにいたい→「完全分離型」がオススメ!

親世帯は「子どもの近くで暮らしたい」でも「子どもや孫とは、ときどき会って食事や会話をするのがよい」、子世帯は「近くにいてあげたい」「同居よりも近居がいい」と希望。その両方の思いを実現できるのが「完全分離型」の二世帯住宅です。
「近ごろはマンションでも、親子で隣同士の住戸を買って住む『近居』が増えているそうです。『日ごろのプライベートはそれぞれで独立させながら、なにかあればすぐに駆け付けられる安心感』が支持されているのでしょう。完全分離型は二世帯住宅と言っても、『近居』のようなもの。そういった点で時代に合っているのではないでしょうか。また、同じ家にトイレや浴室を2つつくるのは贅沢なように思えても、コロナ禍のような状況においては非常に便利なもの。家族に病人が出ても、家庭内感染を防ぎやすくなります。完全分離型の良さが、今後さらに認められるようになるかもしれませんね」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

二世帯住宅を建てるときは、最低でも30年後の家族の姿を予想しておくことが大切

たとえば、子世帯の結婚を機に二世帯住宅を建てるとすると、10年後、20年後、30年後、40年後に家族の姿はどうなっているでしょうか?下のモデルケースを見てみましょう。

2世帯住宅で暮らす家族のライフプラン
2世帯住宅で暮らす家族のライフプラン
(画像作成/SUUMO編集部)

住まいの長寿命化が進み、最近では100年の耐久性がある住宅も登場しています。しかし、100年の間には、中で暮らす家族の年齢も家族構成も大きく変化します。「家を建ててから30年間のライフプランについては、ある程度予想しておきたいもの。二世帯住宅の場合は、親世帯が施設に入ったり、亡くなったり、子世帯の子どもが独立したり、変化の可能性がさまざまに考えられます。例えば一部共用型なら、スペースが空いたからと言って、そこを他人に使わせることはまず考えられませんが、完全分離型なら孫世帯に住まわせたり、賃貸に出すなどさまざまな可能性が生まれます」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

建てる前に知っておきたい、二世帯住宅に関係するお金の話

完全分離型二世帯住宅なら、税制上の優遇を受けやすい

二世帯住宅を建てたり居住していると、税金の軽減措置を受けられる場合があります。この場合の二世帯住宅とは、「構造上の独立性」「利用上の独立性」を満たしている、つまり、各世帯が専用の「玄関」「キッチン」「トイレ」を持ち、各世帯をつなぐ廊下などは鍵付きの扉などで仕切られていて、「独立して生活できること」が条件になります。つまり、完全分離型ならほぼその条件を満たせるということ。
ここではどういう優遇措置があるかについて、大まかな内容をご紹介します。※具体的な内容や、二世帯住宅の定義自体も自治体によっても異なるため、建築地の自治体で事前に確認しておきましょう

不動産取得税

50m2以上の家屋(240m2まで)を新築した場合、一世帯ごとに1200万円(長期優良住宅の場合は1300万円)控除されます。つまり、二世帯住宅にすると、控除額が合計2400万~2600万円になります。

固定資産税

新築の建物の場合、3年度分(長期優良住宅の場合は5年度分)の固定資産税が、一世帯あたり120m2まで2分の1に減額されますが、二世帯住宅の場合は240m2まで適用されます。

住宅ローン控除

区分登記、共有登記の場合は、それぞれに住宅ローン控除が利用できます。

相続税

相続税については、二世帯住宅を区分登記すると、通常同居していれば使える「小規模宅地の特例」(相続する土地建物の評価額(330m2まで)が、同居などの要件を満たしてしている場合に限り80%減額される)が使えなくなることがあります。

「相続税について心配される方がたくさんいらっしゃいますが、相続税には『3000万円+法定相続人数×600万円』の基礎控除があります。相続税が発生したのは、亡くなった方のうち1割に満たないというデータもあります。小規模宅地等の特例を使えないと、預金や不動産評価額が基礎控除を大幅に超えてしまうのか、一度確認してみると判断の助けになりそうです」(ファイナンシャルプランナー 風呂内さん)

完全分離型二世帯住宅なら、家計も独立させやすい

「完全分離住宅なら、お財布を完全に分けやすくなります。家計というのはプライバシーと深く結びついています。そこをしっかり守れるということは、プライバシーを大切にする人にとって何よりのメリットではないでしょうか。ただし、交流の度合いによっては食費などがうやむやになってしまうことも多いので、同居後はどういうルールで家計を運営していくか、事前に話し合って進めていきたいですね」(風呂内さん)

イラスト

「完全分離型」にするとどんな間取りになる?

完全分離型にもいくつかのタイプがある

1つの建物を横にふたつに分けるか(横割り)、縦に分けるか(縦割り)によって、使い勝手や住み心地は違ってきます。また、二世帯住宅を3階建てで建てる場合もあります。それぞれの特徴をよく理解して、自分たちの暮らし方に合ったタイプを選ぶようにしましょう。

上下に分かれる「横割り」タイプのメリット・デメリットは?

〇親世帯が1階だけで暮らせるので、高齢でも安心
×上下階の音がお互いに気になることもある

「横割りタイプは、マンションのように2層で暮らすイメージ。親世帯が1階だけで暮らせるので、階段を使わずに生活できる安心感があります。また、階段を2つつくらなくていいので、効率的な間取りがつくれます。気をつけたいのは音の響き方。親世帯の寝室の上に子世帯のLDKをつくらないなどの配慮が必要です。また、横割りの場合、1階の子世帯の玄関スペースを最小限にしてしまいがちですが、収納がなければベビーカーなどの重いものをいちいち持って上がらなければなりません。玄関の位置も、親世帯の玄関とは少し離して、プライバシーを守りやすくしておきたいですね」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

完全分離型二世帯住宅・横割りタイプの間取りプラン例
間取り例
各世帯の玄関を離れた場所につくり、子世帯の玄関には広めの収納を用意。2階のLDKの下には収納を配置して、生活音が気にならないようにしている(間取図提供/ヤマダホームズ 画像作成/SUUMO編集部)

左右に分かれる「縦割り」タイプのメリット・デメリットは

〇横割りタイプよりも独立性を保ちやすい
×親世帯も階段を使って生活することになりやすい

「縦割りの場合、横割りほど音を気にしなくてもいいのですが、例えば階段の音などは意外に響くもの。玄関や階段を、親世帯のLDKや寝室の近くにつくらない、などの配慮は必要です。また、今は元気な親世帯でも、いずれは階段の使用が難しくなってきます。敷地の広さによりますが、親世帯部分は平屋にして、子世帯部分だけ2階建てにするのもオススメです」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

完全分離型二世帯住宅・縦割りタイプの間取りプラン例
間取り例
縦割りの完全分離型二世帯住宅。親世帯は1階だけで、子世帯は1、2階で暮らせるようプランニング。2つの玄関の間に距離を設けてプライバシーを守り、2世帯を分ける壁面には収納を配置して音の響きを防いでいる(間取図提供/ヤマダホームズ 画像作成/SUUMO編集部)

3階建てを2世帯で分ける場合はどうなる?

〇小さめの敷地でも二世帯住宅が建てられる
×親世帯も階段を使う必要性が高くなる

「3階建てにする、ということは、おおむね『敷地が狭い』ということ。しかし、狭い敷地に、玄関も階段も2つずつつくるのは大変です。また、3階建てでも、親世帯はできるだけ1階だけで生活できるようにしておきたいもの。敷地が狭い場合は無理せずに一部共用型にした方がいいかもしれませんね」(ヤマダホームズ設計部 宍戸さん)

●3階建てを縦割りにする場合
3階建てを縦割りにする場合
どちらの住まいも3階建てにする完全な縦割り型【1】と、一部を横割り型にする縦割り型【2】が考えられる(画像作成/SUUMO編集部)
●3階建てを横割りにする場合
3階建てを横割りにする場合
平屋の親世帯と2階建ての子世帯を合わせたような間取り。親世帯の階段移動がないので安心(画像作成/SUUMO編集部)
完全分離型二世帯住宅・三階建ての間取りプラン例
間取り例
3階建てを横割りにし、1階を親世帯、2、3階を子世帯の住居にした例。親世帯は平屋感覚で生活でき、子世帯も3階は個室だけなので生活しやすい(間取図提供/ヤマダホームズ 画像作成/SUUMO編集部)

完全分離型で、コミュニケーションを円滑にする工夫は?
全く別々の暮らしを送ることができる完全分離型二世帯住宅で、多くの親子が望む「ときどき会って食事や会話をする」には、どうすればよいのでしょうか?間取りづくりのコツを、ヤマダホームズの宍戸さんにお聞きしました。
「“ときどき会うのがいい”といっても、その感覚は人それぞれ。特に、お孫さんが小さい間は、ときどきと言いながらもしょっちゅう会いたくなるものでしょう。私たちがよくご提案するのは、親世帯に“実家”の要素を持たせておくこと。2世帯住宅を建てるときには、親世帯はできるだけ荷物を処分して、収納も小さくしがちですが、逆に親世帯側に収納を多めに確保しておくのです。ご両親が小さいころに描いた絵や読んだ本、写真などを親世帯で保管しておくと、いつかお孫さんがそれらを見たがる日が来ます。また、ひな人形やスキー用具などの、子世帯が使う季節用品も預かれます。お孫さんが幼稚園でつくった作品を預かったり、飾ってあげるのもいいでしょう。親世帯に『子世帯から頼ってもらえる』ようにすることで、自然な交流が生まれるのではないかと考えています。同居が初めての方にとっては、『どんな家なら同居がうまくいくか』がわからないと思います。二世帯同居の成功の秘訣は、一般住宅以上に『女性にとっての暮らしやすさ』が重要。例えば当社では、女性活躍推進チームが15年にわたって蓄積したノウハウも入れて、細かなご提案をさせていただいています。ぜひ、二世帯住宅に詳しい専門家とコミュニケーションを取りながら、理想の住まいを実現してください」

成功者に聞く!完全分離型二世帯住宅の魅力とは?!

完全分離でも中の「秘密のドア」で自由に行き来!
この家のおかげで、5人目の子育ても安心です。

家の外観
子世帯側から見た外観。ちょうど反対側が親世帯の玄関になっているので、プライバシーが守られやすい

●家族構成/親世帯(夫婦)+子世帯(夫婦、長男、長女、次男、三男、次女、猫2匹)
●間取り/親世帯2LDK+子世帯4LDK ●同居歴/1年

◆子世帯と親世帯の住まいの問題を、同居で一挙に解決

夫婦と子ども4人の6人家族でマンションに暮らしていたTさん一家。「手狭で収納も足りず、年ごろの長女の部屋を通らなければ夫婦の寝室に行けないような間取りで、『もうここに住み続けるのは無理だな』と、転居を考え始めていました」。妻の両親の家が古くなってきたことが話題になったある日、『二世帯住宅に建て替えるなんてどうかなあ』と、夫がぽろっと口にしたところ、父母の答えは「いいんじゃない?」。両家の希望をかなえるアイディアを気に入った妻の母が、数日後には仮住まいの物件を見つけてきて、話が一気に進みだしたそう。妻の両親もまだ現役で仕事をしていて、Tさん夫妻も共働き。「起きる時間から寝る時間まで、生活リズムがみんなバラバラ。完全同居にするとお互いがストレスになる」と、完全分離型の同居を選択しました。

◆完全分離型の2世帯をつなげる“秘密のドア”を

玄関を真反対の場所に用意し、1階は親世帯、2階3階を子世帯の住空間とする横割りの間取りにしました。ただし、「1階に “秘密のドア”と呼ぶ出入口を用意しました。玄関を出て公道をぐるっと回りこむことなく、直接行き来ができてとても便利。それに、玄関が別々だと分離世帯になって一括相続ができないのですが、このドアがあれば可能になる、というメリットもありました」。水道や電気のメーターはすべて別で、毎日の生活はそれぞれで独立。しかし、同じ家に暮らしていることで、「近所のスーパーへの買い物でも、小さい子どもを3人連れて行くのは大変ですが、同居ならすぐに子どもを見てもらえるのでありがたいです」と妻。子育てがずいぶんラクになったそうです。

◆祖父母と日々交流できる家が、何よりの子育て環境に

実は、同居スタート後に家族が1人増えたTさん。「子ども5人の大家族になり、全く手が足りないところを、両親が時間の許す限り、短時間でもサッと手伝いに来てくれます。遊び盛りの次男も三男も、いっぱい相手をしてくれる祖父母が大好き。次男は階段の登り下りができるようになったばかりですが、“秘密のドア”を通って一人で祖父母に会いに行っています。公道に出ることなく行き来できるので、私たちも安心です。長男や長女は思春期で、親から言われるとつい反発してしまうことでも、祖父母からだと素直に聞けるようです。家族全員が忙しく、都合を合わせることがなかなか大変なので、同居でなければこんなに交流できず、バラバラに過ごしていたと思います。自分たちの時間も大切だし、家族も大切にしたい私たちには、完全分離型の同居はピッタリでした」と、同居生活を満喫するTさんです。

間取り例
玄関を反対側につくった、二世帯住宅の中でも特にプライバシーを確保しやすい間取り。子世帯の玄関を入ったすぐのところに、親世帯につながるドアをつくっているので、土間を経由して小さな子どもたちも自由に行き来できる

【DATA】
土地面積 約110m2
延床面積 約146m2
建築費 3500万~4000万円
間取り 6LLDDKK
この実例を詳しく紹介

姉妹の夫婦と子どもたちで、9人家族のように暮らす
便利で安心で楽しくて「良いところ取り」の二世帯同居

イラスト

●家族構成(建築当時)/姉世帯(夫婦、長女、次女、長男)、妹世帯(夫婦、長女、長男)
●間取り/姉世帯 6LDK+妹世帯 5LDK ●同居歴/27年

◆両親と祖父母が残した土地に、仲良し姉妹で暮らすことに

両親が亡くなったあと、実家と祖父母の家をどうするかを、姉と話し合ったOさん。「父親が昔、『いつかみんなで一緒に暮らしたい』と言っていたことを思い出し、この土地に姉妹世帯で住むことにしました」。別棟で2軒建てることも考えたそうですが、建蔽率や建築費を考えると1軒にした方が有利だとわかり、姉妹での二世帯住宅を建てることにしました。姉妹とその子どもたちはそれ以前から仲が良く、毎日のように交流があったそうですが、「それでも、それぞれの家庭で生活スタイルが違います。それに、お互いの夫が気兼ねせずマイペースで暮らせることも大切だったので、玄関、お風呂、トイレ、キッチンなどすべてが別々の、完全分離型にすることにしました」。深夜帰宅が多かった夫2人は、「頼れる伯母、叔母が近くいることは、子どもたちにとって心強いだろう」と快諾してくれたそうです。

◆平等に日当たりが得られる縦割りにして、真ん中に共通の仏間を

間取りを考える上でこだわったのは、「日当たりを平等に分けること」と「双方の世帯から入れる仏間をつくること」。建物の南側を縦に半分にする形で、姉世帯が東側、妹世帯が西側の、左右対称の間取りにし、その真ん中に、扇形に張り出す仏間を用意。仏間の戸を開ければ、お互いの家を自由に行き来でき、戸を閉めれば完全に分離された住宅になる二世帯住宅が完成しました。「毎日の食事は別でしたが、お誕生日、クリスマスなど、季節行事はいつもこの部屋で一緒に。子どもたち全員が集まり、ワイワイ騒いで大きくなっていきました。子どもが成人した今思い出すと感無量です。娘は『自分は9人家族で、一つの家に住んでいる』とずっと思っていたそうです」とOさん。

◆毎日別々でも、季節行事は仏間でにぎやかに。完全分離型は「良いところ取り」

家計は別で、毎日の生活もそれぞれ。「完全分離型の同居は『良いところ取り』です。仕事をしていた私は、小学校から帰ってきた子どもたちを、専業主婦の姉が出迎えてくれたことがとても頼もしかったです。鍵を忘れた時に、お互いの家から入れてホッとした経験は、子どもはもちろん、夫たちにも何度もあります。調味料が足りないと借りに行き、家族が急に発熱したときは深夜でも枕元に行って相談でき、鍵を閉め忘れたかも?という時はすぐ見てもらえて、旅行に行くときや宅配便の受け取り、ペットの世話もとにかく安心。『同居だと気兼ねするので、スープの冷めない距離での別居が良い』とも聞きますが、たとえ徒歩数分でも大雨などの時は往来が億劫になりがち。でも一つ屋根の下は最強です。子どもが成人した今は、孫が帰ってきて2世帯を行ったり来たりしています」。27年経った今は、また違う形の世帯間交流を楽しむOさんです。

イラスト

2階の仏間という、両家をつなぐ共有スペースで子どもたちが日々交流。同居以前から毎日のように会っていたそうですが、同居後は「遊んだ後、家に帰らなくてよくなった」のが嬉しかったそう。

まとめ

二世帯住宅には大きく分けて「同居型」「一部共用型」「完全分離型」の3つのタイプがある

「完全分離型」なら、現代の多くの親子の希望「同居しなくていいが近くにいたい」をかなえやすい

「完全分離型」には、二世帯の分け方で「横割り」「縦割り」の2つのタイプがある

「完全分離型」だから利用できる税制上のメリットもある

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取材・文/伊東美佳 イラスト/青山京子
公開日 2021年09月28日
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