ローコストの二世帯住宅を建てたい!間取りをつくるポイントは?

ローコストの二世帯住宅を建てたい!間取りをつくるポイントは?

二世帯住宅を建てたいけど、予算に限りがあるのでできるだけ建築コストは抑えたい……と考える方は多いでしょう。そこで、二世帯住宅をローコストで建てるときの間取りのポイントについて、建築士の白崎治代さんに教えていただきました。

二世帯住宅の間取りをローコストでつくるコツは?

【コツ1】二世帯の共有スペースを多くつくる

二世帯住宅の間取りをつくるとき、キッチンや浴室、玄関などを世帯にそれぞれ設けるか、それとも共有するか、迷う方は多いと思います。

「建築コストを抑えたい場合には、可能な限り共有することをオススメします。共有すれば延床面積が有効に使えるため、ゆったりとした空間をつくりやすくなるメリットもあります。

水まわりの一部を共有するなら、料理や片付けは人により好みの方法があることを考え、キッチンよりも浴室や洗面室の方がよいでしょう。年齢を重ねるとお風呂掃除はおっくうになるので、その点でも浴室を1つにする利点は大きいと思います」(シーズ・アーキスタディオ 白崎治代さん。以下同)

浴室・洗面室のほかには、シューズクロゼットと客間も、共有することでコスト以外のメリットがあります。

「両世帯からシューズクロゼットが欲しいと言われたときは、ドアを2カ所設けて共有する提案をしています。シューズクロゼットは靴だけではなく、多様な収納空間として利用されていますが外で使う掃除用具やガーデニンググッズは両世帯が一緒に使うケースが多いので、収納する場所を一つにすると何かと便利です。

客間はあると便利な空間ですが、利用頻度を考えると両世帯で共有してスペースを有効活用した方がよいでしょう。和室にすれば親戚に泊まってもらったり、仏壇を置く場所としても使えますよ」

和室を共有する間取りのイメージ
緑色は親世帯、ピンクは子世帯、黄色は共有スペースの間取り。和室を両世帯のいずれからも出入りできるようにするとより有効活用しやすい空間になります(イラスト/長岡伸行)

【コツ2】家の内部に行き来できる部分を設ける

各世帯が完全に独立した間取りにする場合、家の内部に行き来ができるかどうかで建築基準法での扱いが変わります。

「内部に行き来できる部分があれば『戸建住宅』に、ない場合は『長屋』や『共同住宅』になります。

戸建住宅と比べると、長屋や共同住宅は防火設計の基準が厳しくなります。防火設計の基準を満たすためには、建材や施工手間が増え、その分割高になるので、コストを抑えたい場合には内部に行き来できるドアや居室をつくり、『戸建住宅』にしたほうがよいでしょう。

もし世帯間のプライバシーを確保したいなら、内部を行き来するドアは鍵付きにすることをオススメします」

【コツ3】家の広さ・高さを必要最小限にする

多くの人が「できるだけ広い家が欲しい」と考えますが、広くなると必然的にコストは高くなります。

「建築コストの中では、基礎工事と屋根工事は比較的工事単価が高くなります。さらに、建築地が軟弱地盤の場合、杭打ち工事や地盤改良工事が必要になることもあります。コストを抑えたい場合は、広さは必要最低限としましょう。

ただし、例えばコスト調整のために家の幅を30cm狭めても、大きなコストダウンは難しいかもしれません。というのも、せっこうボードや外壁材、グラスウール断熱材などの建材の幅は約91cm、もしくはその半分の45.5cmが主流なので、家の幅を30cm狭めたとしてもそれぞれカットして使うことになり、必要になる数量は変わらないからです。

一旦決まった間取りを、コスト調整のために狭くするのではなく、最初から91cm単位で設計してもらう方が、材料を無駄なく使いつつ必要な広さを確保してもらえて効率的です」

家の高さについては、一般的な木造住宅で家の広さが同じ場合、2階建てよりも3階建ての方がコストは高くなります。

「防火や構造設計の基準が厳しくなるのに加え、『設計料』が変わります。

家を建てるときには建築確認申請を行いますが、構造に関する審査は、木造2階建てでは建築士が壁量計算をすればよいのに対し、3階建てでは構造計算が必要になります。構造計算は構造専門の建築士が行うのが一般的で、構造事務所に外注することもあります。そのため、構造設計分の『設計料』として数十万程度高くなるケースが多いのです。

ただ、大手ハウスメーカーなどが商品化している3階建住宅で、型式適合認定(※)を取得している場合には、構造設計は必要ありません」

※型式適合認定:建築材料や主要構造部、建築設備などで、「建築基準法に基づく関係法規等に適合する」という認定を国土交通省より受けること。認定を受けることで、個々の建物の建築確認申請時の書類作成や審査を簡素化できる

【コツ4】家の形はシンプルにする

家の形は、凹凸があると外壁面積が広くなるので、同じ広さでも外壁材が多く必要になります。さらに、家の形が複雑だと屋根の形も複雑になりやすく、屋根工事の際に特殊部材が必要になりコストアップしがちです。

「家の中の間仕切り壁よりも、外壁や屋根の方がm2当たりの工事単価は高くなります。理由は、外壁や屋根は、外壁材や屋根材だけでなく断熱材や防水・気密を確保する部材が必要になるからです。最近では断熱性能の要求値が高まっているので、以前より工事単価が高くなる傾向にあります。

コストを抑えたいなら、上下階が同じ広さの『総二階』にして、シンプルな形の屋根をかけるのがベストです。個性を表現したい場合は、窓の位置や外壁の色などで工夫するとよいでしょう」

総二階の家がコスト安であるイメージ
延床面積が100m2の場合、左の総二階の家なら屋根工事は2階部分の1カ所のみ。右の家は屋根工事が2カ所になり、面積も広くなるため、総二階の家よりもコストは高くなる(イラスト/長岡伸行)

【コツ5】水まわりの位置をまとめる

キッチンや浴室などの水まわりの位置は、1カ所や上下階でそろえて配管をコンパクトにまとめるとコストを抑えられます。

「上下階で水まわりの位置が違うと、2階の床下に配管を通す必要があります。上下階でそろえれば配管を上下に通すだけで済むのでコストを抑えやすいうえ、トイレや入浴時などの排水音が気になりにくい間取りをつくれるでしょう」

さらに、水まわりの位置は、道路に近くする方がコストを抑えられます。

「家の水まわりから出る排水は、宅地内の土中配管を流れて公設桝(こうせつます)に集められます。公設桝は宅地と道路の境界付近にあり、道路下の下水道本管につながっています。

土中に配管を埋めるのはコストがかかるので、家から公設桝までの距離をできるだけ短くしてコストを抑えたいですね。

もし、道路近くに水まわりを配置できない場合でも、公設桝へのルートが一系統かつ短くまとまるように工夫するとよいでしょう」

【コツ6】造作家具や収納は控えめに

間仕切りや造作収納は、主に木工事に含まれる費用です。

「スペースに合わせた造作テーブルが欲しい、クロゼットや納戸の中に収納棚や引き出しを造作してほしいなどのご要望は多いのですが、これはオーダーメイドの家具をつくっているのと同じです。

コストを抑えたいなら細かい造作は控え、収納内部はハンガーパイプと棚を1段設置する程度にしておき、収納家具はホームセンターなどで購入した物を使う方がよいでしょう。

さらにコストを抑えたい場合は、扉やドアの設置を控える方法もあります。例えば、子ども部屋や主寝室などの収納の扉はやめてロールスクリーンにする、シュークロゼットやパントリーは壁位置を工夫してドアをつけないなどでしょうか。

収納スペースはドアや扉がない方が出入りはラクなうえ通気はよくなり、臭いや湿気が溜まりにくくなります。ドアや扉の単価はさほど高くありませんが、“ちりも積もれば山になる”という考え方で、検討してみるのもよいでしょう」

クロゼット扉のかわりにロールスクリーンを設けた子供部屋イメージ
コストを抑えるなら、個室の収納の扉をロールスクリーンにするのもよい方法です(イラスト/長岡伸行)

注文住宅の場合、建物の高さや広さ、家の形、キッチンや浴室など住宅設備の数などで建築コストの概算は決まります。この段階で予算内に収まるように、建築会社や設計士とコスト調整を行うのが基本的な進め方です。
もし、さらにコスト調整が必要になった場合、次からご紹介する方法を検討してみましょう。

間取り以外の工夫で、コストを抑える方法はある?

設備や内外装材のグレードを変更する

設備や内外装材のグレードを変更するのは、コスト調整時によく取る方法です。

「最新設備は多機能製品が多く、ライフスタイルによっては必要ない機能が盛り込まれています。
例えば浴室換気扇に乾燥機能がついていても、洗濯物を屋外やランドリースペースに干すなら乾燥機能は不要なので、その分安い製品でも問題ありません。

内外装のグレードも、すべての部屋を変更するのではなく、リビングや玄関などお客様の目に触れる場所はそのままで、個室は安い製品に変更するなど、メリハリをつけてグレード変更をするとよいでしょう」

内外装の選び方を工夫する

次は、内外装の選び方を工夫する方法です。

「壁紙やフローリングなどで天井や壁、床の途中から素材が変わる場合は、木や金属でつくられた細い見切り材を間に挟まないときれいに仕上がりません。この見切り材の費用が必要になります。また、柄物の壁紙だと柄合わせのために無駄が生じがちです。

コスト調整するなら内外装材の種類を絞って、製品の無駄を抑えましょう。素材の種類が少ない方が職人さんの手間も減るので、人件費の面でもコストができます」

見切り材のイメージ
タイルとフローリングを貼り分けるとき、間に「見切り材」を挟んで仕上げます(イラスト/長岡伸行)

また、塗り壁やタイルなどの湿式工事よりも、サイディングやキッチンパネルのような乾式工事の方が、工事職人の作業時間が短く済むため、人件費が抑えられてコストは安くなります。

「珪藻土仕上げは人気が高いのですが、自然素材は材料費も高く、塗り仕上げは職人さんの人件費も高くなりがちです。どうしても取り入れたい場合は、リビングだけにして他は壁紙にするなど優先順位を決めて調整してください」

エアコン設置手配や庭づくりなどを自分で行う

最後に、建築工事に支障のない範囲で、できることは自分で行う方法です。

「電源や照明用ローゼット(照明器具を天井に設置するときに使用するプラグ)は工事で設置してもらい、自分で家電量販店などからエアコンや照明器具を購入し設置手配すると費用が抑えられるケースは多いです。ただ、ダウンライトなどの電線直結の器具は、有資格者でなければ取り付けできないので、建築会社に工事をお願いしましょう。

また、コストを抑えるために外構や庭づくりを自分で行う方は多いですね。入居後に木製フェンスやデッキをつくったり、好きな木や草花を植えたりするのを、二世帯で楽しみながら行うのもよいと思います」

費用と間取り付き。二世帯住宅の実例を5つ紹介!

家の形と間取りをシンプルにして、3階建て2000万円台前半を実現した二世帯住宅

ここからは、二世帯住宅を2000万~3000万円台で建てた実例の間取りを5つ紹介しましょう。

東京都のNさんが建てた二世帯住宅は、1階が親世帯用の1LDK、2、3階は子世帯用の2LDKの間取り。玄関と水まわりを世帯ごとに設けた完全別居のプランですが、家の形をシンプルな正方形とし、間仕切りも最小限に抑えたことで、2000万円台前半で満足できる住まいを実現しました。

二世帯住宅の実例1
延床面積:136m2、建築費:2000万~2500万円、間取り:1LDK+2LDK
二世帯住宅の実例1の外観
家の形はシンプルな正方形で、外壁も2色にまとめています(写真/和田真典)
二世帯住宅の実例1のリビング
広々とした対面式キッチン。背面には収納を充実させ、使いやすさにこだわって(写真/和田真典)

玄関と水まわりを共有して、ゆとりある居住スペースを確保した二世帯住宅

夫の実家を二世帯住宅に建て替えたMさん。せっかく同居するならなるべく一緒に過ごせるような間取りにしたいと考え、水まわりと玄関を共有。すべての部屋が6畳以上とゆとりある居住スペースを確保しながら、キッチンと浴室などコストがかさむ水まわり空間を共有したことで、2000万円台後半での二世帯住宅建築となりました。

二世帯住宅の実例2
延床面積:128m2、建築費:2500万~3000万円、間取り:5LDK
二世帯住宅の実例2の外観
外壁は白がメインカラーで、バルコニーの茶色をアクセントにしています(写真/Mさんご本人)
二世帯住宅の実例2のリビング
白×茶色で統一されたシンプルにしつらえたLDK。対面キッチンは上部につり戸棚をつけずに開放的に(写真/Mさんご本人)

総二階&水まわりをまとめ、広々とした2000万円台後半の家(二世帯住宅)

Iさんが建てた二世帯住宅は、それぞれの暮らしを尊重するために、玄関のみ共有にして水まわりは世帯ごとに設けた間取り。152m2で親世帯2LDK、子世帯3LDKと広い家ですが、総二階にして外壁材を一種類にしたり、水まわりを上下階ともに1カ所にまとめたりすることで、2000万円台後半で希望通りの二世帯住宅を建てられました。

二世帯住宅の実例3
延床面積:152m2、建築費:2500万~3000万円、間取り:2LDK+3LDK
二世帯住宅の実例3の外観
外壁は1種類・1色にして、上手にコストを調整しています(写真/鶴見勝(ピクチュア株式会社))
二世帯住宅の実例3のLDK
子世帯のLDKには、居酒屋の小上がり風のダイニングがあります(写真/鶴見勝(ピクチュア株式会社))

★この実例の写真と住み心地はこちら
みんなの好きが詰まった二世帯住宅で、冬でも暖かな暮らし

部屋数を抑えたシンプルな間取りが特徴、3000万円の二世帯住宅

Nさんは、せっかく同居するのだからお互いの気配を感じられる間取りにしたいと考え、玄関のみ共有する二世帯住宅を建築。1階は親世帯、2階は子世帯で、両フロアとも1LDKと部屋数を抑えて間取りもシンプルに。水まわりの位置を上下階でそろえ、外壁材を1種類にすることで、コストを上手に抑えつつ二世帯が住みやすい家を建てられました。

二世帯住宅の実例4
延床面積:126m2、建築費:3000万円、間取り:1LDK+1LDK+小屋裏収納
二世帯住宅の実例4の外観
壁材に磁器タイルを採用、シックなグレー一色でまとめた外観(写真/本美安浩)
二世帯住宅の実例4のLDK
2階のLDKは天井高を通常より高くしているため、開放感があります(写真/本美安浩)

玄関と水まわりを共有、22畳の広々LDKのある二世帯住宅

Fさんの二世帯住宅は、玄関と水まわりを共有した間取り。1階のLDKは22畳と広々としており、二世帯だけでなく親戚も大勢集えるゆとりの空間。2階の子世帯スペースには、セカンドリビング、シャワースペースと洗面化粧台を設置してプライバシーを確保。外壁材を1種類にしたり、子ども部屋の間仕切りを後で行うなどでコストを調整し、広々とした二世帯住宅を実現しました。

二世帯住宅の実例5
延床面積:172m2、建築費:3660万円、間取り:2LDK+3LDK
二世帯住宅の実例5の外観
落ち着いた色合いの外観。外壁には汚れがつきにくい光触媒塗料を使用(写真/一井りょう)
二世帯住宅の実例5のリビング
22畳の広いLDKは二世帯や親戚が大勢集まってもゆったりとした空間です(写真/一井りょう)

★この実例の写真と住み心地はこちら
親戚もママ友も集う、床暖房をふんだんに入れた二世帯住宅

上手なコスト調整で、予算内で希望通りの二世帯住宅を建てよう

注文住宅は、同じ延床面積でも間取りのつくり方や設備・内外装材の選び方次第で建築コストは大きく変わります。コストを抑えるポイントを知り、設計士や建築会社のアドバイスをもらいながら上手にコスト調整し、予算内で家族の暮らしに合う二世帯住宅を建てましょう。

まとめ

二世帯住宅の間取りをローコストでつくるコツは、共有スペースを多く設ける、世帯間を行き来できる部分をつくる、家の広さや高さを最小限にして形はシンプルにするなど

間取りがおおまかに決まった後にコスト調整する方法は、設備や内外装のグレードを下げる、エアコン設置手配や庭づくりなど自分でできることを行うなど

同じ延床面積でも間取りのつくり方や設備・内外装材の選び方次第で建築コストが変動する、注文住宅ならではの特性を活かしたい

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取材・文/山南アオ イラスト/長岡伸行
公開日 2021年06月09日
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