実際に住んでみて知った「沖縄」の住み心地と魅力

著: miya-nee(みやねえ)

一年中、暖かい場所に住みたい。

寒いのが苦手な私が沖縄に移住したキッカケは、そんな単純な理由からだった。

沖縄へ移住した当時は某大手旅行会社のツアーコンダクターをしていた。ツアーで沖縄県内をぐるぐると観光バスで周遊し、多いときは、4日に1度はあの有名な美ら海水族館や首里城公園に行くくらい、離島を含めた沖縄の観光地を隅から隅まで動き回っていた。その後、現在は沖縄在住フリーライターとして活動している。

今回は、そんな私が独自の視点で沖縄の住み心地、魅力についてつづってみたいと思う。

移住後最初に住んだ「那覇新都心」

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沖縄で最初に住んだのが、再開発で区画整理された通称「那覇新都心」と呼ばれる都会的な街だった。

今でこそ、“天久りうぼう楽市”や“あっぷるタウン”に“サンエー那覇メインプレイス”といった地元の大型スーパーマーケットが立ち並ぶが、引越し当時は空き地だらけで、これから新しい命が吹き込まれていく、そんな場所だった。

新しく生まれる街を目の前にして、何だかわくわくした。これが、住む場所としてこの街を選んだ理由のひとつだったように思う。開発が進むにつれて、日に日に姿を変えていく「那覇新都心」と呼ばれる街がやけに面白く感じた。

新築のアパートが多く、当時は沖縄の中でも家賃が割高で、借りた部屋は家賃4.9万円の1K。地元の人たちにそれを話すと口をそろえて「高っ!」と言われ、家賃の相場を聞いて、ふむふむと納得した記憶がある。(同じ那覇市内でも住む場所を少し変えるだけで、軽く1万円ほど安くなる)

ただ、4.9万円でもこの地域では比較的安かったようで、当初不動産屋さんで「場所は那覇新都心。5万円以内で探してる」と伝え、バストイレ別・最上階・2部屋以上の条件を提示したところ、「那覇新都心だとこの条件で5万円以内はないですよー」と笑われたが、念のため探してもらうと「いや、ありますね……」と不動産屋さんのスタッフが顔面蒼白気味で教えてくれた。いやいや、おっちゃん、デカしたで!

那覇新都心の那覇市安謝で沖縄生活をスタートしてすぐ、沖縄都市モノレール以外に電車のない沖縄では、車やバイクで通勤する人が多く、朝夕の通勤ラッシュ時は道路の渋滞が凄まじいことを知った。

そこに台風もどきの悪天候や車のワイパーが意味をなさないほど視界の悪い豪雨が重なると、通常30分で移動できる場所まで1時間30分かかったこともある。路線バスでの移動は特に時間が読みにくい(バスに乗るときは「運転手さん、頑張ってー」と心の中で応援している)

あるとき、これからはデジタルだわ!と急にパソコンの勉強をしたい欲に駆られ、ツアーコンダクターを辞めてWeb 制作会社に入社した。偶然にも家からオフィスまで片道徒歩10分圏内となって、渋滞に我慢する必要もなく、毎日ギリギリまで寝られる幸せを噛み締めて過ごせるようになった。

那覇新都心周辺はあっという間に人気スポットになり、週末も車の渋滞が激しくなった。だから、近くのスーパーに行くのも徒歩のほうが早いくらい。これはウォーキングに最適!とよく散歩がてら歩いたりもした。

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散歩の途中によく通ったパン屋さんが「秀のパン工房 窯」。3名同時にお客さんが来ると、店内がいっぱいになるくらいに小さなパン屋さんで、揚げたての肉コロカレーパンが私的には一番好きだった。購入後は焼きたて・揚げたてのパンをすぐにほお張った。

再開発された土地柄、那覇新都心には老舗店はないけれど、小洒落た居酒屋やカフェは多く、往復徒歩で夜な夜な飲み歩く!なんてこともできた。

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近くには、オアシス的な存在の那覇新都心公園がある。ここがとにかく広い。健康的なウォーキングをする人から、本気でジョギングをするアスリートまでいた。

石が敷き詰められた足ツボのコーナーがお気に入りでよく立ち寄っていた。

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歩くと足の裏がとにかく痛い。しかし痛気持ちよいから、つい歩いてしまう。そして「痛っ。イタッ!」と声を出すと、周囲の人に笑われる。こんなのどかな光景も何だか沖縄らしいなと思った。

那覇新都心に住んでいたときに、特に気に入っていたのが、映画のレイトショーを観に行くことだ。仕事が終わり家に帰宅後、シャワーを浴びてから上下ラフなスエットを着た寛ぎ状態ですっぴんを隠すために深く帽子を被り、映画館「シネマQ」まで車で繰り出す。

映画館は、サンエー那覇メインプレイスという大型ショッピングモールの中にあるが、立体駐車場からはエスカレーターを経由して、ほぼ誰にもすれ違わずに映画館まで行ける。リラックスした状態で映画が観れるのは至福のひと時だった。家に帰ったあとは寝るだけだし。都心の映画館だとなかなかこうはいかないと思う。

当時、友人との家飲み会場となっていた私の部屋では、料理好きが集まって女子会をしたり、映画好きを集めて映画鑑賞会をしたりしていた。Web制作会社に入ったことで、自由な時間が多くなり、週末や平日の夜は趣味を満喫していたのだ。

フリーランスやノマドワーカーに必須の電源カフェとしてよく利用するのが、那覇市銘苅の「Café English Garden」。店内にはパラソルや、鳥かごのようにぶら下がったランプがある。

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スイーツやランチが、カメラ女子好みのビジュアル。780円のフリードリンクは、セルフでなく注文するたびに新しいグラスやカップでスタッフが席まで運んでくれるからスゴい。

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沖縄県立博物館・美術館も近いので、週末はアート鑑賞に浸り切って趣味を謳歌することもできる。

都会暮らしに少し飽きて「宜野湾市」へ

那覇新都心の都会感に少し飽きたので、宜野湾市に引越してみたら、これが大正解だった。気付いたときには本業がフリーライターになっていた私は、県内のあちこちに取材に行くので、車移動に便利な宜野湾市はとてもありがたかった。

宜野湾市のほぼ全域が、高速道路の西原ICまで車で約20分圏内。高速入口に近いと北部から南部まで移動しやすいのはもちろん、一般道でも那覇〜北谷町・沖縄市方面まで車で片道約30分以内。那覇にいたころは、遠くに思えていた北谷町や沖縄市がとても近くに感じた。

引越した当時は、アクティブに活動してまずは土地勘を掴もうとした。

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朝6時から24時まで営業する温泉施設のエナジック天然温泉アロマは、露天風呂の入浴とリラックスルームでの昼寝を繰り返せる至福の場所だし、時には宜野湾トロピカルビーチで夕暮れ時にビールを飲むといった沖縄ならではの醍醐味にも浸ってみる。

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お気に入りのお店が、1度目の来店時に顔を覚えられて以来、行く度に挨拶している青木夫婦が営む宜野湾市大謝名のパン屋「hoppepan(ほっぺパン)」。購入しやすい価格帯の1個200円前後のパンは、どれも個性的で旬の食材を使っていて美味しい。いつ行ってもにぎわっているお店だ。

電源カフェも多い。「Gwave Cafe」や「トポセシア」、ご飯が食べたくなったら「CAFE UNIZON(カフェユニゾン)」とお気に入りの3カ所を行き来して、たまに知り合いに遭遇するのも楽しい。

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その中でも特に面白いのが、琉球大学北口付近にある学生らも集うコワーキングスペースの「トポセシア」だ。ソファ席の居心地の良さが眠りを誘うし、看板猫・だいふくがカワイすぎる。

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飲食物の持ち込みが可能で自由な感じもいいし、一般人でも利用できる琉球大学の学食を徒歩で利用できるのも魅力的。ソフトドリンク飲み放題で丸1日利用しても最大一律500円(2017年6月1日より)のコスパ最強説は、私の中では今のところ群を抜き、電源が多いのと11時から22時まで営業してるのも素晴らしいから、原価割れして潰れないかが甚だ心配だ。

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好きなイベントが、宜野湾マリーナで年に4回開催される沖縄最大級の食の祭典「OKINAWA FOOD FLEA」だ。ビールを飲みながら海を眺めて、沖縄グルメを食べまくれるという、沖縄を満喫している爽快感がいいが、夏場は暑くて早めの退散を余儀なくされる。

そして、ビーチBBQが楽しめるトロピカルビーチもある。大規模なライブやイベントが開催される「ぎのわん海浜公園」は、東シナ海の西海岸線沿いでリゾート的な開放感を放っている。

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野菜好きの私としては、地元野菜と新鮮野菜の宝箱のような「ハッピーモア市場」で買い物をするのも楽しく、24時間営業する地元のスーパーマーケット「ユニオン」が便利すぎる。

広大な敷地の琉球大学や沖縄国際大学の周辺は、県内外からやってきた学生たちが住み着く学生の街でもある。オスプレイ関連のニュースで認知度を上げた普天間基地のある街だ。

外国人住宅が点在し、レトロで大衆的な店や路地裏、そこにお洒落なカフェやパン屋も多く、新旧が入り混じった宜野湾市という街。住む地域によって雰囲気が変わり、住む人によって見え方や楽しみ方が変わる、そんな街だと私は思う。

お気に入りのドライブコースと沖縄グルメ

沖縄に移住した当初、よく行ったのが沖縄本島南部の海沿いドライブコースだった。カーブが続く道の先にふと海が現れる爽快感は、未だに感動する。その途中、変わった看板やオブジェを発見しては「何だこれ!?」と車を停めて写真を撮るオモシロ探しツアーなることもしていた。

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南城市の奥武島(おうじま)にある天ぷら屋さんが有名で、よく立ち寄った。週末は行列ができる人気店。ちなみに沖縄の天ぷらは本土とは違い、衣がたっぷりのビッグサイズだ。(なぜか写真は上間てんぷら弁当店になっているが、気にしないでほしい)

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ヤシの木の街路樹が南国感全開の佐敷町にある「佐敷ヤシ並木通り」も爽快なドライブコース。

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沖縄グルメでいうと、沖縄料理や沖縄そばが定番の有名どころだが、スーパーマーケットやコンビニでも沖縄グルメが充実していて、例えば沖縄ファミリーマートでは、毎週火曜日に沖縄限定の新商品が登場する。これを知ってる県民は、意外と少ない気がする。(ちなみに沖縄のコンビニは、ファミリーマートとローソンの2つだけ。2018年に待望のセブンイレブンが沖縄進出と昨年ニュースになったので、待ち遠しく思っている県民もいるだろう)

沖縄発のスーパーマーケットはサンエー、かねひで、ユニオン、リウボウストアなどがあり、店内を散策してると未だに新しい発見がある。

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かねひでのフライドチキン「チキンドラム」は、非常にデカくて1本110円。24時間営業のユニオンは、台風時でもオープンする店として地元では知られていて、「ユニオンが閉まったから、今回の台風の威力は半端ないぞ」と言われるくらいだ。

店内に入って焼き芋のいい匂いがするなと思ったら時期を問わず焼き芋コーナーがあったり、なぜか四国・徳島県の「金ちゃんヌードル」が売れていたり、沖縄のスーパーマーケットでは不思議だなあと思うことも多い。

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個人的に語っておきたい沖縄グルメが、「お弁当」である。県内のあちこちに小さなお弁当屋さんが点在し、安いと250円から高くても400円台でお弁当を購入できる。400円台のお弁当になると、ご飯もおかずもぎっしり詰まっており、メタボ真っしぐらの中年層には要注意のボリュームだ。店によっては、価格破壊の「100円沖縄そば」を販売していて、量や具材はそこそこだが、小腹が空いたときには心底重宝する。

オフィス街でもある那覇の久茂地交差点や那覇新都心メディアビルの周辺は、お昼時になると歩道が“お弁当の楽園”に変わる。12〜13時の間、さまざまな弁当屋さんの露店が連なり、沖縄の大衆的なお弁当からお洒落でグルメなお弁当までそろっていて、地元のキラキラOLたちがお財布を片手に、お弁当屋さんを巡っている。お弁当を選ぶ以前に、弁当屋を決めるのにもひと苦労するが、ランチタイムがひと際楽しくなるのは間違いない。

実際に沖縄に住んでみて知ったこと

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沖縄に来た当初は、シュノーケリングやダイビングにもハマり、頻繁に海に行っていたし、夏場に恒例のビーチBBQ も大好きだった。

しかし、3年以上も住むと人は何かと環境に順応していくのか、暑い夏場はクーラーが効いた涼しい場所にいたいよねとか、最高気温15℃の冬場が強烈に寒く感じるとか、GWを過ぎると梅雨入りするからカビ対策が必要だねとか、沖縄の季節感に合わせた思考が常識になっていった。

5月から11月ごろまで暑さが続くため、半袖の服がやたらと大活躍する。しかし夏場は、どの飲食店もガンガンにクーラーを効かせていて下手をすれば風邪を引きそうな寒さでもある。だから、夏場でもカーディガン程度の長袖を持ち歩く。

真夏はビーチに2時間もいると、日焼けして肌がヒリヒリしてくる。だから海水浴をする際には、日焼け対策にと半袖Tシャツやラッシュガードを着るから水着のまま泳いでいるのは「ほぼ観光客」と見ていいだろう。また、11〜12月ごろに海水浴をしてる人たちもほぼ観光客といって間違いない。そこそこ気温があっても冬場の海水はとても冷たいのだ。

そして、気をつけたいのが4階のベランダまで悠々自適に飛んでくるアイツだ。かなりの強者で、しかもデカイ。窓を開け放っていると不法侵入してくるからもの凄く怖い。そう、それは沖縄のゴキちゃんだ。

私の経験則だと、沖縄の蚊もかなりしつこい気がする。草むらや樹木の多い場所では、集団で攻撃してくる。厚手のデニムの上から大量の蚊に刺されまくったこともあるから、彼らの生命力は侮れない。

だから、沖縄では日焼け止めと虫よけスプレーは必須だ。

沖縄に住むことの魅力

今さらながら「沖縄に住むことの魅力」を考えてみると、私的に1番に挙げたいのは「人」かもしれない。快適な生活が送れているのは、やはり人ありきだと思っていて、たまに東京に行ってクールな人が多い都会的な街並みをフラっと散策していると、沖縄の良さをじわじわと実感してくる。

「ゆるい」とも表現される沖縄だけど、私はその面白さにハマったひとりであり、そこに面白さを感じている。沖縄で仕事をしているとのんびりしてるなと感じるときもあるけれど、スピードだけならやり方や考え方次第でどうにでも変えられる。でも、人を変えることは至難の技だ。

人との絆や繋がりをどう生かすかは、自分次第。地元をどう楽しめるのかも、自分次第。地元を知ること、地元を楽しむことで生活を豊かにできるのならば、これは楽しまない手はないだろう、と思っている。

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沖縄には、親戚一同が集う沖縄の行事や風習や、「沖縄は狭い!」と言わしめる横の繋がりもあり、だからこそ仲間意識が強かったりもする。沖縄出身者(ウチナンチュー)の中には、それが面倒臭くもあると言う人がいるけれど、その繋がりに助けられた人たちもきっと多いことだろう。

沖縄県外出身者(ナイチャー)である私のような移住者にとっては「何だか、あったかい繋がり」そんな印象も受けるし、元気なオジーやオバーたちの存在は沖縄を健康にしていると思う。

琉球王朝時代を経て、戦時中は日本で唯一の地上戦が繰り広げられ、米軍の統治時代から本土復帰までの歴史を持つ沖縄。そして、永久に続くとも思える基地問題も山積みで、貧困問題も深刻だ。最低賃金など全国でワースト1位を走り続けている。

しかし、歴史は変えられないが、新たな未来をつくり出すことはできるんじゃないかと思う。例えば、普段行かない場所に行き、普段会うことのない人たちと会話し、自ら行動することで何かしら少しずつ変化が起きていくのではないだろうか。

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沖縄でライターをしていると、沖縄の食材がどのようにつくられて、どのように飲食店に届けられ、調理され、提供されているかなど、その過程や流通までもが気になってくる。生活に必要な衣食住はもちろん、さまざまな沖縄のモノ・コト・ヒトを掘り起こすのが面白くてしょうがない。

ほどよい都会感と大いなる自然が入り混じった沖縄本島の規模感は、自分と相性が合うのだろう。だから、きっと私は「自分らしく生きられる場所」を見つけるために、沖縄に来たんだな、と感じている。

そんな沖縄をこれからも大いに楽しもうと思う。


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著者:miya-nee(みやねえ)

miya-nee(みやねえ)

沖縄と埼玉でデュアルライフ中のフリーライター&編集者。Webと企画が大好物。得意分野は、おしゃべりと昼寝です。Webライティング講座「みやねえ講座」やってます。

Twitter:https://twitter.com/miya_nee3