一戸建てフルリフォーム・部分リフォームの費用相場。築年別のリフォーム費用、適切なメンテナンス時期、実例も紹介!

一戸建ての部分リフォーム、フルリフォーム、また築年数によるリフォーム費用の相場を示すとともに、いつどんなメンテナンスやリフォームを行えば家を長持ちさせられるのかを説明します。併せて一戸建てのリフォーム実例も費用つきで紹介しましょう。

一戸建てリフォームのイラスト

記事の目次

一戸建てリフォームの費用相場

一戸建てリフォームは築年数で費用が変わることが多いです。
築年数による費用相場を知るとともに、一戸建てリフォームの坪単価についても目安を押さえておきましょう。

築年別一戸建てリフォームの費用相場

一戸建てリフォームの費用は築年数で変わることが多いのですが、それは設備の交換や老朽化に伴う建物の劣化によるところが大きいです。
築年数によるリフォーム費用の違いを見ておきましょう。

築10年までの一戸建てはリフォームの機会もそれほど多くはありません。
最もお金がかかるのは屋根・外壁の塗り替えでしょう。
そのほかは設備のパーツ交換など部分的な修理くらいになります。

築10年を超えて20年前後までは、水まわり設備を交換するケースが多いです。
キッチン、バス、トイレ、洗面の水まわり機器の交換だけで300万円前後の費用がかかりますが、併せてLDKリフォームや間取り変更などを行うと、1000万円を超える費用がかかる場合があります。
10年目までと比べるとかなり多くの費用がかかることになります。

築20年を超えて築30年、40年超の一戸建ての場合、耐震補強や断熱性のアップなど性能向上をするケースが増えます。

この時期には子どもが独立するなど家族構成も変わっているので、大きく間取り変更をしたり、スケルトンリフォーム(骨組みを残して解体し、つくりなおす大規模リフォーム)を行うケースもあります。
大規模なリフォームを行うことが多い築年数といえるでしょう。

工事費用を計算する人の写真

(写真/PIXTA)

一戸建てリフォームの坪単価の目安

坪単価は工事費を床面積で割って1坪に換算した数値です。
リフォームの場合、工事内容や工事の規模がさまざまなので坪単価を目安にすることは難しいのですが、下記のリフォーム費用を元に計算してみます。

フルリフォームだとして、約120m2(約36坪)の家を約1500万円でリフォームすると、1500万円÷36坪で、坪単価は約42万円になります。2000万円のリフォームだと坪単価は約55万円になります。

坪単価はあくまで大まかな目安であり、実際のリフォーム費用は工事内容やリフォームの規模によって大きく変わると思っておきましょう。

築年別一戸建てリフォーム・メンテナンス時期の目安とすべきこと

一戸建てはマンションと違って、管理費や修繕積立金は不要です。マンションの場合は、共用部分は修繕積立金でまかない、専有部分は自己負担となりますが、一戸建ての場合は全てが自己負担となります。メンテナンスは自分でしなければなりません。
必要なメンテナンスと時期、かかる費用の目安を覚えておきましょう。

定期的なリフォーム・メンテナンスが一戸建てを長持ちさせる

家が経年変化するのは当然のことです。
とくに雨漏りを放置すると、壁の中の柱など木部を腐らせ劣化を促進します。
設備も年数を経ると故障が発生しやすくなり、交換の時期を迎えます。
また家族構成の変化などによって、間取りが暮らしに合わなくなることもあります。

一戸建てを快適に住み続けこなすためには、適切なメンテナンスやリフォームが欠かせません。新築後何年目でどのようなメンテナンス、リフォームが必要なのか、その目安を次にまとめてみました。

築5年~10年の一戸建てに必要なリフォーム・メンテナンスと費用相場

新築当初は特別に不具合がない限り、メンテナンスの必要はありません。
しかし徐々に建具や設備のちょっとした故障が目につくようになってくるとパーツ交換などの必要が出てきます。

また、床下の防蟻処理も再処理が必要な時期になります。
防蟻処理はシロアリが発生しないように土壌に薬剤を散布するもので、一般的には農薬系のシロアリ駆除剤は5年程度で効果がなくなります。
再処理をしないとシロアリが発生して木材を食い荒らすおそれがありますので、やっておいたほうがいいでしょう。
最近は農薬系に替えてホウ酸塩水溶液を用いることもでき、費用はほぼ同等で、事業者により10~15年の保証が付きます。水で流されない限りホウ酸は木材に残り効果が持続するといわれています。

さらに10年前後では屋根・外壁の再塗装も必要になります。
放置しておくと見た目が悪くなるだけでなく、亀裂などから雨漏りする危険もあります。
サイディングの外壁の場合は、サイディングの隙間を埋めているコーキング材が劣化し、そこから雨漏りの危険が。10年以内には必ずコーキングをやり直すのがいいでしょう。

築5年~10年の一戸建てに必要なリフォーム・メンテナンス費用の相場
部位と内容 費用相場
・建具、設備の修理、パーツ交換 約1万円~20万円
・防蟻処理 約15万円~20万円
・屋根・外壁塗装 約140万円~180万円※1
・外壁のコーキング再処理 約30万円~40万円※2
・雨樋の交換 約15万円~20万円
合計(概算) 約200万円~300万円
標準的な仕様・グレードで試算。延床面積約120m2の家の場合 ※1足場工事約30万円~40万円を含む
※2外壁のコーキングはモルタルの場合不要

外壁コーキング作業中のイラスト

サイディングの隙間を埋めるコーキングの作業中

築11年~20年の一戸建てに必要なリフォーム・メンテナンスと費用相場

築11年~20年の一戸建ては内装の汚れが目立つようになり、キッチンやバス、トイレの設備機器も交換の時期を迎えます。
食洗機や温水洗浄暖房便座、ガスコンロ、IHクッキングヒーター、給湯器などは10年を超えると耐用年数となり交換の時期です。

システムキッチン本体やユニットバス、トイレは20年を超えても本体はまだ使える場合が多いですが(トイレは温水洗浄便座一体のものは全体の交換になります)、デザイン性や使い勝手のよさを求めると、交換を検討する時期となります。

この時期にキッチン交換を行い、併せてLDKリフォームや間取り変更を行うケースも少なくないので、その場合はリフォームの内容に併せて相応の費用がかかります。

外まわりではベランダ・バルコニーの防水処理も必要になってきます。

また、20年目あたりでもう一度屋根・外壁の塗り直しやコーキングの打ち直しが必要になります。

築11年~20年の一戸建てに必要なリフォーム・メンテナンス費用の相場
部位と内容 費用相場
・ベランダ防水 約10万円~15万円
・内装(クロス張り替え)床(フローリング上張り) 約120万円~150万円
・IHクッキングヒーター交換 約25万円~50万円
・ガスコンロ交換 約7万円~30万円
・エコキュート交換 約80万円~100万円(370L)
・給湯器交換 約30万円~40万円
・温水洗浄暖房便座 約7万円~25万円
・設備機器交換(キッチン・バス・トイレ・洗面) 約200万円~400万円
・防蟻処理 約15万円~20万円
・屋根・外壁塗装 約140万円~180万円※1
・外壁のコーキング再処理 約30万円~40万円※2
・雨樋の交換 約15万円~20万円
合計(概算、設備交換をする場合) 約600万円~1000万円
標準的な仕様・グレードで試算。延床面積約120m2の家の場合 ※1足場工事約30万円~40万円を含む
※2外壁のコーキングはモルタルの場合不要
内装や設備のグレードにより費用は増減します

築21年~30年の一戸建てに必要なリフォーム・メンテナンスと費用相場

築21年~30年の一戸建てで多いリフォーム・メンテナンスは、やはり20年目までの項でも述べた設備交換や内装工事でしょう。20年目までにやっていない場合は、ここでやることになります。

加えて、間取りが暮らしに合わない場合は、設備交換・内装一新に伴い間取り変更を行うことになります。
その場合は、比較的大規模なリフォームとなります。

この段階で設備交換や間取り変更を含むリフォームを行うとなると、費用相場は1000万円前後になります。
費用は素材のグレードなどによって上下します。

築21年~30年で必要なリフォーム・メンテナンス費用の相場
部位と内容 費用相場
・ベランダ防水 約10万円~15万円
・内装(クロス張り替え)床(フローリング上張り) 約120万円~150万円
・IHクッキングヒーター交換 約25万円~50万円
・ガスコンロ交換 約7万円~30万円
・エコキュート交換 約80万円~100万円(370L)
・給湯器交換 約30万円~40万円
・温水洗浄暖房便座 約7万円~25万円
・設備機器交換(キッチン・バス・トイレ・洗面) 約200万円~400万円
・防蟻処理 約15万円~20万円
・屋根・外壁塗装 約140万円~180万円※1
・外壁のコーキング再処理 約30万円~40万円※2
・雨樋の交換 約15万円~20万円
合計(概算、設備交換をする場合) 約600万円~1000万円
上記に加えて間取り変更をする場合(概算) 約800万円~1500万円
標準的な仕様・グレードで試算。延床面積約120m2の家の場合 ※1足場工事約30万円~40万円を含む
※2外壁のコーキングはモルタルの場合不要
内装や設備のグレードにより費用は増減します

築30年から必要なリフォーム・メンテナンスと費用相場

築30年を超えた一戸建てで注意したいのは、耐震性や断熱性の欠如です。

耐震補強については1981年の新耐震基準以前の住宅はとくに補強の必要があります。さらに木造住宅の耐震基準は2000年の建築基準法施行令の改正によって、基礎や接合部の仕様、壁配置のバランスのチェックなど対策が強化されました。
2000年より前に建てられた家では、こうした基準が満たされていないことが多く、さらに経年劣化や雨漏りなどの影響で耐震性が損なわれているおそれもあります。

そこでリフォームをする際、事前に耐震診断を行い、必要な補強を行うのがよいでしょう。
耐震補強は壁に筋交いや耐震用面材、金物を追加する工事となります。
必然的に内装を剥がして壁の中の工事をした上で、再度内装をやり直すことになります。

耐震補強と併せてやっておきたいのが断熱性の向上です。
古い一戸建てでは断熱性が低いことが多く、かなり古くなると無断熱の場合もあります。
断熱工事も内装を剥がして行う必要がありますから、耐震補強と同時に行うのが望ましいのです。断熱性については「UA値(外皮平均熱貫流率)」という基準があります。地域にもよりますがUA値0.87を達成するレベルがオススメです。リフォーム会社に相談してみましょう。

耐震補強費用はそれだけを抜き出すと150万円~200万円程度かかります。
断熱は内窓設置による窓断熱も含めると、300万円~400万円程度(内装の再仕上げ含む)かかります。

築30年から必要なリフォーム・メンテナンスと費用相場
部位と内容 費用相場
・ベランダ防水 約10万円~15万円
・IHクッキングヒーター交換 約25万円~50万円
・エコキュート交換 約80万円~100万円(370L)
・ガスコンロ交換 約7万円~30万円
・温水洗浄暖房便座 約7万円~25万円
・給湯器交換 約30万円~40万円
・設備機器交換(キッチン・バス・トイレ・洗面) 約200万円~400万円
・防蟻処理 約15万円~20万円
・屋根・外壁塗装 約140万円~180万円※1
・外壁のコーキング再処理 約30万円~40万円※2
・雨樋の交換 約15万円~20万円
・耐震補強 約150万円~200万円
・断熱(床・壁・天井・窓、内装工事含む) 約300万円~400万円
合計(概算、設備交換、耐震・断熱工事をする場合) 約1000万円~1500万円
上記に加えて間取り変更をする場合(概算) 約1500万円~3000万円
延床面積約120m2の家の場合 ※1足場工事約30万円~40万円を含む
※2外壁のコーキングはモルタルの場合不要
内装や設備のグレードにより費用は増減します

耐震補強をしている写真

(写真/PIXTA)

フルリフォームの時期の目安

フルリフォームは設備交換や内装一新、間取り変更などを含めて全面的にリフォームをするものです。フルリフォームの適切な時期を知っておきましょう。

築20年前後にフルリフォームを検討

フルリフォームといっても設備と内装を一新するものから、耐震や断熱など性能にかかわる工事や間取り変更まで行うもので、工事の規模も費用も違います。
いつぐらいを目安に検討をするのがいいのでしょうか。

最初にフルリフォームを検討するのは、家族構成の変化や設備交換の時期ではないでしょうか?
キッチンやバスは10年から20年の間に交換の時期がきます。その際にキッチンを移動したり、内装を変えたりといったリフォームを行う人も多く、併せて他の部屋のクロスを張り替えるといったリフォームもよく行われています。

子どもの独立などで暮らしが変わるとき

子どもが独立すると部屋が余るので、その機会に間取り変更を伴う大規模リフォームを検討するケースも多く見られます。
築30年を超えた一戸建てに多いケースです。

その機会に耐震補強を行い、断熱性もアップして長く安心して快適に暮らせる家へとリフォームをする傾向も見られます。

老後を見据えてリフォームした夫婦のイラスト

家族構成が変わったらそれに合わせて広々した空間にリフォームをするケースが多い

部分的なリフォーム・メンテナンス費用の目安

ここではクロス張り替えや床のリフォームなど部分的なリフォームについて個々に解説し、費用相場を見ていきます。

クロス張り替えリフォームの費用相場

ビニールクロスの張り替えリフォームは、既存のクロスを剥がして、下地を平滑にするなどの処理をしてから新しいクロスを張ります。
張り替え費用は目安として6畳の部屋の壁・天井で約6万円~8万円です。

クロスを剥がしてから珪藻土など塗り壁にすると、これよりかなり高く、6畳の部屋の壁だけで約15万円~20万円です。

壁のリフォーム費用相場
施工方法 費用相場
クロス張り替え(壁・天井) 約5万円~8万円
珪藻土塗り(壁) 約15万円~20万円
約6畳の部屋の場合

床のリフォーム費用相場

床のリフォームは、フローリングの場合、既存の床に上張りする方法と、既存の床を解体して張り替える方法があります。
既存の床がキシミやタワミがなくしっかりしていれば、上張りをすることで床がきれいになりますし、リフォーム費用も張り替えよりは割安で済みます。

複合フローリングを上張りすると6畳で約7万円~12万円、むく材を上張りすると樹種にもよりますが約10.5万円~17.5万円です。

張り替える場合は、既存の解体費などが加わりますので、6畳で複合フローリングの場合約11.5万円~16.5万円、むく材だと約15万円~22万円になります。

床のリフォーム費用相場
施工方法 費用相場
フローリング上張り 複合フローリング約7万円~12万円
むく材約10.5万円~17.5万円
フローリング張り替え 複合フローリング約11.5万円~16.5万円
むく材約15万円~22万円
約6畳の部屋の場合

フローリングを上張りするイラスト

既存のフローリングに新しいフローリングを張ると張り替えより割安に

キッチンリフォームの費用相場

システムキッチンはI型、L型、アイランド型などのタイプがあり、それによって機器の価格が変わります。サイズが大きくなることでI型よりL型が、さらに奥行きの深い高級タイプが多いことなどからアイランド型が高くなります。

また、壁付けを対面にすると配管やダクト工事、内装など関連工事が増えて費用がアップします。

単純にキッチン交換だとリフォーム費用は約120万円~150万円(I型キッチン標準グレード、関連工事費含む)。
壁付けキッチンを対面キッチンに変えると、キッチンのグレードは同じでも約200万円~300万円になります(I型キッチン標準グレード、関連工事費含む)。

工期は約1週間~2週間です。

対面キッチンのイラスト

壁付けから対面キッチンに変えると家族と会話しながら料理ができます
キッチンのリフォーム費用
工事の種類 費用相場
キッチン交換 約120万円~150万円
壁付けを対面に 約200万円~300万円
I型間口255cm、標準グレード、解体等関連工事費含む

バス・浴室リフォームの費用相場

バス・浴室リフォームは、ユニットバスの交換、在来工法からユニットバスに変える、在来工法で浴室をつくるという方法によって費用が変わってきます。

ユニットバスを交換するだけなら工事の手間はほかの方法より少ないので、工事費は割安になります。
リフォーム費用は1坪(1616)タイプで、約100万円~150万円。
在来工法からユニットバスに変えると既存の解体費用が加算され、約110万円~180万円になります。
また、在来工法で浴室を造作すると自由につくれますが、最も工事手間がかかるので割高になります。費用は材料や仕様で大きく変動しますが、1坪だったら約200万円以上見たほうがよいでしょう。

工期は約1週間~2週間です。

バスリフォームの費用相場
工事の種類 費用相場
ユニットバス交換 約100万円~150万円
在来工法からユニットバスへ 約110万円~180万円
在来工法で造作 約200万円~
1坪(1616)タイプ、標準グレードの場合

トイレリフォームの費用相場

トイレリフォームは、タンク付きトイレよりタンクレストイレが高く、さらに温水洗浄暖房便座のグレードによって費用が違ってきます。

タンク付きトイレの場合、温水洗浄暖房便座付きで約20万円~30万円(解体等関連工事費含む)。
タンクレストイレの場合は、温水洗浄暖房便座一体型で約28万円~40万円(解体等関連工事費含む)。

工期は約1週間です。

トイレリフォームの費用相場
機器のタイプ 費用相場
タンク付きトイレ 約20万円~30万円
タンクレストイレ 約28万円~40万円
(関連工事費、内装費含む)

屋根リフォームの費用相場

屋根リフォームは、築年数などに応じて以下の3とおりの方法から選んで行われます。
対象は主に一般住宅でよく使われる化粧スレート、鋼板屋根です。陶器瓦は塗装の必要はなく、カバー工法の対象にはなりません。

・塗り替え:高圧洗浄をして汚れを落とし、再塗装を行います。周期は10年ごとくらい。

・重ね葺き(カバー工法):既存の屋根材がフラットな場合に、その上から新しい屋根材を施工します。屋根材が傷んできたものの屋根の下地には問題がない場合にできる方法です。築20年を超えた住宅で屋根材の劣化が進んでいる場合に行います。

・葺き替え:劣化が進んで下地まで傷んできたら、既存の屋根材を撤去し、下地からつくりかえ、新しい屋根材で葺きます。築30年超で屋根からの雨漏りが発生して、屋根下地に腐食が見られるような場合に行います。

上記の費用は、塗り替え→重ね葺き(カバー工法)→葺き替えの順で上がっていきます。

塗り替え費用は使用する塗料によっても変わりますが、約80万円~100万円(足場工事30万円~40万円含む)。
工期は約1週間~10日です。
外壁も同時に塗り替える場合は2週間程度です。

重ね葺き(カバー工法)は新規に採用する使用する屋根材のグレードによっても変わりますが、約150万円~300万円(同)。
工期は約1週間~10日です。

葺き替えも同様に新規に採用する屋根材によって変わり、約250万円~350万円(同)。
工期は約2週間~3週間です。

屋根重ね葺き(カバー工法)のイラスト

既存の屋根に防水シートを敷き、その上に新しい屋根材を施工する重ね葺き(カバー工法)
屋根リフォームの種類と費用相場
リフォーム方法 費用相場
塗り替え 約80万円~120万円
重ね葺き(カバー工法) 約150万円~300万円
葺き替え 約250万円~350万円
延床面積約120m2の家の場合、足場工事費約30万円~40万円含む

外壁リフォームの費用相場

外壁リフォームも屋根と同様に、塗り替え、重ね張り(カバー工法)、張り替えの3つの方法があります。

塗り替えは屋根と同様に10年ごとの周期で行います。足場工事が一度で済むように同時に行うのがよいでしょう。塗り替え費用は約80万円~120万円(足場工事費含む)。 工期は1週間~10日です。
屋根と外壁を同時に塗り替える場合は2週間程度見ておきましょう。

重ね張り(カバー工法)は、既存の外壁に雨漏りなどの問題がない場合にできる方法です。既存の外壁に胴縁(どうぶち)という下地材を取り付けてその上に新しい外壁材を施工します。重ね張り(カバー工法)の費用は、約200万円~350万円(足場工事費含む)です。
工期は約2週間~3週間です。
なお、重ね張り(カバー工法)に多く用いられるのはガルバリウム鋼板です。

外壁の張り替えは、既存の外壁材を剥がし、必要に応じて断熱材の再施工や耐震補強を行い、下地工事と新しい外壁材の施工を行います。既存の状態によって工期も費用も変わってきます。約300万円~を見ておきましょう。
工期は約3週間~4週間です。

外壁塗装中のイラスト

外壁塗装は養生シートで建物を囲み、近隣に塗料が飛び散らないように配慮して塗っていく
外壁リフォームの方法と費用相場
リフォーム方法 費用相場
塗り替え 約80万円~120万円
重ね張り(カバー工法) 約200万円~350万円
張り替え 約300万円~
延床面積約120m2の家の場合、足場工事費約30万円~40万円含む

間取り変更を伴う費用

間取り変更を伴うリフォームは、その規模によって費用が変わってきます。
例えば隣室を取り込んでLDKをワンルームにするといった部分的なリフォームと、住まい全体をリフォームするといった大規模なものでは違ってきます。
LDKだけなら300万円程度からできますが、キッチンや収納、内装のグレードしだいで、費用が上がります。
フルリフォームになると1000万円を超える事例もめずらしくありません。事例を参考に、どのようなリフォームがいくらでできるのか調べてみることをオススメします。
なお、間取り変更については耐震性を確保するための耐力壁という取り外せない壁があることを考慮しましょう。

耐震補強の費用

耐震補強は壁の中に筋交いや耐震用面材を追加していくリフォームです。補強に加え、制振装置を取り付けるケースもあります。
部分的に補強する場合もありますが、フルリフォームの際に全体的に補強をするケースも多いです。
耐震補強費用だけを抽出すると約150万円~200万円で、フルリフォームの際にその分が追加されると見てよいでしょう。

断熱リフォームの費用

断熱リフォームは家全体を断熱すると約300万円~400万円かかります。
コストパフォーマンスよく断熱するには、窓だけを行うのもよいでしょう。
それもサッシ交換ではなく、既存の窓に内窓を設置します。
内窓は外壁を解体しなくてもできるので工事費が安く、かつ断熱効果が大きいです。

内窓設置は窓のサイズにもよりますが、平均で1カ所あたり約10万円~15万円を見ておけばいいでしょう。
内窓設置だけなら工期は全部の窓をやっても3日~1週間程度を見ておけばよいでしょう。
内窓に加えて最上階の天井裏にだけ断熱材を入れると、低コストで断熱効果を上げることができます。

窓の断熱性を上げる内窓のイラスト

既存の窓の内側に内窓を取り付けて窓の断熱性をアップ

一戸建てをフルリフォームする工期

一戸建てのフルリフォームは、その工事内容によって変わってきますが、最短でも2~3カ月は見ておきましょう。
工事内容によっては4~6カ月、あるいはそれ以上かかる場合もあります。

次に紹介する実例を参考にしてください。

一戸建てフルリフォームの実例

ここからは一戸建てでのフルリフォームの実例を紹介します。

【築23年】暮らしの中心を2階から1階に移すために間取り変更

家族構成の変化から暮らしの中心を1階に集約することにし、それまで細かく区切られていた間取りを再構築し、3LDKから1LDK に。愛犬専用の洗面スペースを備えた開放的な空間にしました。

【After】

広くなったLDKの写真

隣室をとりこんで広さを確保したLDK

内装一新した和室の写真

和室との仕切りは引き戸に変え、畳など内装も一新しました
【Before】

間取り図

【After】

間取り図

【DATA】
リフォーム費用(1、2階):1,456万円
リフォーム面積:178.00m2
工期:2.5カ月
家族構成:夫婦+子ども1人
設計・施工:アートリフォーム

【築20年】無駄を省いて費用を抑えながら快適な住まいに

子どもの誕生を機に築20年の一戸建てを購入。間取り変更は少なめにし、床の上張りや既存の建具を活用してコストを抑えながら、設備機器は交換、床の段差を解消するなど暮らしやすい家にリフォームしました。

【After】

内装を一新したリビングの写真

壁と床に明るい色を選んで内装を一新したリビング

屋内の自転車置き場の写真

サービスルームの土間はひび割れを補修して趣味の自転車置き場に
【Before】

間取り図

【After】

間取り図

【DATA】
リフォーム費用(全面):812万円
リフォーム面積:135.80m2
工期:1カ月
家族構成:夫婦+子ども1人
設計・施工:朝日住宅リフォーム

【築38年】細切れの間取りからキャットウォークも備えた高齢者にも愛猫にも優しい住まいに

中古住宅を購入しフルリフォーム。不要な部屋を撤去し、各居室にゆとりをもたらすとともに、直線階段を緩やかなU字階段に変えるなどバリアフリーにも配慮しました。また、断熱材を全て交換、高性能樹脂サッシに窓を変えるなど断熱性もアップ。キャットウォークを設置するなど愛猫たちと楽しく暮らせる住まいになりました。

【After】

キャットウォークを張り巡らせたリビングの写真

キャットウォークを張り巡らせたリビング。壁・天井・収納内部まで珪藻土を採用して、爽やかな室内環境を実現

アイランドキッチンを設置した開放的なLDKの写真

アイランドキッチンにしてカップボードを背面に設置し、配膳や片付けをしやすいキッチンにしました
【Before】

間取り図

【After】

間取り図

【DATA】
リフォーム費用(全面):3343万円
リフォーム面積:112.78m2
工期:4カ月
家族構成:夫婦+猫2匹
設計・施工:One's Lifeホーム

【築50年】耐震補強、断熱も行い暮らしに合う間取りに

母の家で同居を始めるのを機にリフォーム。介護をしながら夫婦の暮らしも大切にできるようにとプランニング。間仕切りを減らし、明るく広々したLDKを創出、各間仕切りを開けると、玄関ホールから全てつながる大空間のある住まいへと変身しました。

【After】

南に面した明るいLDKの写真

和室の多かった間取りから、南に面した明るいLDKへと一新

広くなった玄関ホールの写真

和室をつぶして広々した玄関ホールに
【Before】

間取り図

【After】

間取り図

【DATA】
リフォーム費用(全面、増築含む):2835万円
リフォーム面積:207.35m2
工期:6カ月
家族構成:母+夫婦+猫一匹
設計・施工:ズーデザインハウス

【築70年】基礎や構造部から修復して好みの住まいに

周辺環境を気に入り購入した築70年の古民家を基礎から修復し、柱や梁(はり)も補強、安心して暮らせる快適な住まいにリノベーション。増改築を繰り返して傷んでいた家を、本やレコード、観葉植物に囲まれて暮らすセンスが詰まった住まいに生まれ変わりました。

【After】

玄関から奥まで土間が続くLDKの写真

玄関から奥まで土間が続く開放的なLDK

趣味のものに囲まれたリビング・ダイニングの写真

趣味のものに囲まれたリビング・ダイニング。補強した柱もあらわしに
【Before】

間取り図

【After】

間取り図

【DATA】
リフォーム費用(全面):2300万円
リフォーム面積:82.00m2
工期:8カ月
家族構成:夫婦+子ども1人
設計・施工:SCHOOL BUS|スクールバス空間設計

費用を抑えて一戸建てをフルリフォームするには

多額の費用がかかりがちな一戸建てのフルリフォーム。費用を抑えるポイントを挙げておきましょう。

重ね張りなど施工方法に工夫する

屋根や外壁の既存の材料を残して、重ね葺き・重ね張りをするといったカバー工法を採用すると、解体費用が不要でその分、コストダウンになります。
内装でもフローリングを上張りする、クロスの上に珪藻土を塗るといった方法があります。

一度で全てのリフォームを済ませる

屋根と外壁リフォームを同時に行うと足場工事が一度で済みます。
また、耐震工事と断熱工事を一度で行えば壁の解体や再仕上げ工事が一度で済みます。
無駄な工事が発生しないように計画的に行いましょう。

一戸建てのフルリフォームのローンは「住宅ローン」か「リフォームローン」か

フルリフォームの費用をローンでまかなうとき、有担保の「住宅ローン」と無担保の「リフォームローン」の2種類から選べます。その違いを知っておきましょう。

高額借り入れに有利な「住宅ローン」、借り入れしやすい「リフォームローン」

「住宅ローン」は住宅の売買や建築に利用されるローンと同じものです。
低金利で固定や変動などの金利タイプがあります。
融資額も1億円程度までと多額の融資が可能で、返済期間は一般に35年または50年まで可能です。
その一方で融資の審査は厳しく、手数料もかかります。

「リフォームローン」は、リフォーム専用に用意されているローンです。
借り入れがしやすく、手数料も少ないというメリットがあります。一方で、住宅ローンに比べると高金利で、融資限度額が500万円~1000万円程度の金融機関が多く、返済期間は10年か15年と短くなっています。

借り入れしたい額などによってどちらを選ぶか決めるとよいでしょう。

中古購入+リフォームなら「【フラット35】リノベ」も利用できる

中古住宅購入と併せて省エネや耐震性など一定の要件を満たすリフォームを行う場合に利用できるのが【フラット35】リノベです。
要件に応じて、当初10年間年0.5%、または0.25%の金利引下げメニューがあります。

まとめ

  • 一戸建ては築年数に応じて必要なリフォーム・メンテナンスがあり、実行するほど家の耐久性が向上します
  • 築年数を経た一戸建てほど家族構成の変化による間取り変更や性能面の向上などやるべきことが増えます
  • 一戸建ては築年数を経るほどリフォーム費用も多額になるので、相応の資金を準備しておくのがよいでしょう

4号特例縮小でリフォームも建築確認申請が一部必要に。2025年4月の建築基準法改正を解説 

監修/一級建築士 柏崎文昭さん(甚五郎設計企画)
構成・取材・文/林直樹
イラスト/むらたゆか