オール電化リフォーム・リノベーションにかかる費用は? メリットやデメリット、補助金や注意点を解説

オール電化リフォームをする際に取り入れるべき必須設備や取り入れたい設備、リフォームにかかる費用の相場、併せて補助金やオール電化リフォームによる光熱費削減の効果も紹介します。

IHクッキングヒーターの写真

(写真提供/パナソニック)

記事の目次

オール電化住宅とは?ほかの熱源も併用する住宅とどこが違うの?

オール電化住宅はガスなどほかの熱源も併用する住宅とどこが違うのでしょうか? オール電化住宅の定義はあるのでしょうか? そもそもオール電化住宅とはどんな住宅をいうのか、その基本から見ていきましょう。

家庭の熱源を全て電気にした住宅

オール電化住宅は、給湯や調理、暖房など住宅で要するエネルギーを全て電気でまかなう住宅のことです。ガスや灯油などは用いません。
したがって既存の住宅をオール電化住宅にリフォームするには、現在使っているガス給湯器やガスコンロなどを、電気を熱源とする機器に変える必要があります。

調理はIHクッキングヒーターで

調理はガスコンロからIHクッキングヒーターへの切り替えが必要です。

IHクッキングヒーターは今ではすっかりおなじみの調理器具になりましたが、火を使わず鍋を電磁誘導により加熱して調理する器具です。
火を使わないこと、さまざまな調理サポート機能がついて、安全性が高く便利であることから高齢者にも向いているとされています。
また天板がフラットなガラス製なので、掃除がしやすいのも大きなメリットです。

焼き物温度調節機能付きのIHクッキングヒーターの写真

きめ細かな温度設定ができおいしくジューシーに焼き上げる焼き物温度調節機能付きのIHクッキングヒーター(写真提供/パナソニック)

給湯はエコキュート、電気温水器で

家庭で使われるエネルギーの3割以上を占めるのが給湯。それをガスから電気温水器または自然冷媒(CO2)ヒートポンプ式給湯器「エコキュート」に交換します。

電気温水器は電気ヒーターを利用してお湯を沸かして蓄えますが、エコキュートはより効率よくお湯を沸かして蓄えます。それだけ省エネになるので、オール電化住宅では「エコキュート」の採用が一般的です。

高圧力タイプのエコキュートの写真

「ウルトラ高圧 フルオート」タイプのエコキュート(写真提供/パナソニック)

暖房はエアコンや電気式床暖房で

オール電化住宅の暖房は、エアコンや電気式床暖房の利用となります。

電気式床暖房にもいくつか種類があります。
手軽に導入できるのが電気ヒーター式の床暖房で、フローリング一体型のものなどがあります。
温水を使うものは、ヒートポンプ式床暖房または多機能エコキュートを利用する方法があります。
ヒートポンプ式床暖房はエコキュートと同じ方式で、大気熱を利用した熱で循環液を温め、床暖房パネルに循環させて部屋を温める方式です。
ヒートポンプ式床暖房のメリットは、ヒーターを使った床暖房よりランニングコストが安く済むことです。導入費用はヒートポンプ式のほうがヒーター式より高くなります。

ヒートポンプ式床暖房機能をエコキュートに取り込んだものが多機能エコキュートとなります。

どの方式を採用しても床暖房を取り入れるためには床の張り替えなどの工事が必要となります。

オール電化リフォームで併せて導入したい設備

調理、給湯、暖房を電気にすることでオール電化住宅へのリフォームは完成しますが、併せて導入するとメリットの多い電気設備を紹介します。

太陽光発電システム

我が家で電気をつくれる太陽光発電は、オール電化住宅ととても相性がよい設備です。
日中発電した電気はそのまま家庭で使えますし、余った電気は電力会社が買い取ってくれます。蓄電池や電気自動車があれば、電気を蓄えておいて、後で使うこともできます。

蓄電池

太陽光発電でつくった電気を蓄えて必要なときに使えるのが蓄電池。
日中は太陽光発電で発電した電気を使い、余剰電力を蓄電池にため、夜間にためた電気を使うことで電気代を節約できます。
また、災害時に停電しても一定の容量は蓄電した電気を使うことができます。

V2H

V2HとはVehicle to Home(車から家へ)の略で、電気自動車に搭載されているバッテリーで蓄えた電気を家庭で使用するシステムです。

日中、太陽光発電で発電した電気を電気自動車に蓄え、夜間などに住宅内で使うことができます。

V2Hシステムの概念図

太陽光発電でつくった電気はV2Hシステムを経て電気自動車に蓄電、さらに家庭に戻して使える

オール電化リフォームのメリット

オール電化住宅にリフォームすると多くのメリットがあります。経済的な視点を中心にメリットを見ていきましょう。

光熱費が一本化する

ガスと電気併用の場合は、毎月の使用量にかかわらずガス、電気両方の基本料金がかかりますが、オール電化になれば基本料金は1本になります。

オール電化の場合、60A契約が一般的なのでガスと併用の場合より基本料金は高くなりがちですが、それでも1本化されることで基本料金は併用の場合より安くなることが多いです。

割安な夜間電気を活用できる

電力会社は夜間の電気代を安くして日中の電気代を高くするプランを採用しているケースが多いです。
ただ夜間と日中の電気代の差は、年々縮小しているので以前ほどのメリットはないようです。それでもエコキュートのように夜間にお湯を沸かしてためておける機器の場合、夜間割引を活かせば、電気代の節約になります。

ヒートポンプ機器は熱効率がよい

エコキュートや電気式温水床暖房はヒートポンプを活用した機器です。
ヒートポンプは、空気中の熱を集めてエネルギーとして利用する技術で、エアコンや冷蔵庫にも使われています。

ヒートポンプを利用するとエネルギーを効率よく使えるので、省エネになり、電気代の節約になります。
例えばエコキュートは従来の電気温水器に比べて、3分の1の電気代で済むといわれています。

IHクッキングヒーターは熱効率がよい

IHクッキングヒーターは、直火で加熱するのではなく、IHクッキングヒーターの内部にあるコイルに電気を流して磁力線を発生させ、この磁力線が上に置いた鍋の底に「うず電流」を発生させることで、鍋底が熱くなる仕組みです。
そのため直火のように無駄になる熱が少なく、熱効率が約90%と高いのが特徴です。

IHクッキングヒーターが鍋底を熱くする仕組みの図

IHクッキングヒーターは、機器内部に磁力線を発生させ、その磁力線が鍋底にうず電流を発生させて熱くする仕組み

IHクッキングヒーターは燃え移りの心配が少ない

IHクッキングヒーターは直火が出ないので、調理中にそでなどに火が燃え移る心配がありません。とくに高齢者にとっては安心できるでしょう。

IHクッキングヒーターは掃除がしやすい

IHクッキングヒーターはトッププレートがヒーター部分も含めてフラットな強化ガラスでできているので、吹きこぼれなどの汚れもさっと吹くだけで落とせます。
ふだんの掃除がラクなのがIHクッキングヒーターの大きな魅力の一つになっています。

IHクッキングヒーターは汚れ落としが簡単というイラスト

IHクッキングヒーターは吹きこぼれも布巾でさっと拭き取れるし、取れにくい汚れはメラミンスポンジなどでこすれば簡単に落とせます

エコキュートは災害時に貯湯タンクの水が使える

エコキュートは地震などの災害による断水のときに貯湯タンク内に残っているお湯や水を非常用取水線から取り出して、生活用水として使えます。飲料用には使えません。

太陽光発電と一体で省エネに

太陽光発電とオール電化が一体となって、より省エネ効果を発揮するのは、住まいをしっかり断熱して、冷暖房の効率を上げたときです。
より少ないエネルギーで暮らせる空間にリフォームすることで、太陽光発電のあるオール電化住宅は経済的で快適な住まいになります。

オール電化で火災保険が割引になる場合も

オール電化住宅にリフォームすると保険会社によっては火災保険料が割引になる場合があります。
保険会社によって石油ストーブの扱いなどに違いがある場合もあるので、よく確認したほうがよいでしょう。

オール電化住宅のデメリット

オール電化住宅にはメリットだけでなく、デメリットもあります。

鍋など調理器具が限定される

アルミなどオールメタルに対応するIHクッキングヒーターも出ていますが、価格がやや高くなることと、火力が鉄やステンレスに比べてやや弱くなるといわれています。

一般的にはステンレスや鉄のIHクッキングヒーターに対応した鍋しか使えないため、それまで使っていた鍋が使えなくなる場合があります。
また底が丸い形状のものや反りがあるものも使えません。

詳しくはIHクッキングヒーターのメーカーのサイトなどで確認するとよいでしょう。

IHクッキングヒーターに適する鍋と適しない鍋のイラスト

IHクッキングヒーターでは、底が反っていたり丸いものなどトッププレートに密着しない鍋は適しません

停電時には使えない

当たり前のことですが、停電時にはIHクッキングヒーターは使えません。
エコキュートのような貯湯タイプの機器は、まっているお湯を使うことができます。
ただし、停電していると温度調節機能やお風呂への湯はりを行うことはできません。
また、断水時にはシャワーや蛇口からお湯を使うこともできません。

マンションではオール電化にリフォームするのは難しい

マンションの電気容量は建物全体で決まっているので、オール電化にするためには建物全体の電気容量を増やす必要があり、管理組合で協議してもらう必要があります。また、オール電化のための配線や配管工事も共有部に影響します。
一般的には既存のマンションでオール電化にリフォームするのは非常に難しいと思ってよいでしょう。

オール電化に欠かせないリフォーム費用の相場

オール電化にリフォームするためには、基本的には調理、給湯、暖房の機器をガスから電気を熱源とするものに変えればOKです。

具体的には、ガスコンロをIHクッキングヒーターに、ガス給湯器をエコキュートや電気温水器に、暖房を灯油やガス機器を用いないでエアコンにします。

それぞれのリフォーム費用相場は以下のとおりです。
リフォームの種類 費用相場
ガスコンロをIHクッキングヒーターに変える 約25万円~50万円
ガス給湯器をエコキュートに変える 容量370L:約90万円~100万円
容量460L:約85万円~105万円
(工事費を含む)

それぞれの詳細を見ていきましょう。

ガスコンロからIHクッキングヒーターにリフォームする費用

ガスコンロをIHクッキングヒーターに変えるには、既存のガスコンロを撤去して、IHクッキングヒーターを設置し、200V の専用配線工事を行います。ガス配管は閉栓します。
IHクッキングヒーターは機能やサイズによってさまざまなグレードの商品が売られています。どれを選ぶかで費用に大きく影響します。
ガスコンロをIHクッキングヒーターに変えるリフォーム費用は約25万円~50万円です。

ガス給湯器からエコキュートにリフォームする費用の相場

エコキュートは、給湯専用タイプ、オートタイプ、フルオートタイプに分かれ、機能も価格も変わります。

給湯タイプは給湯専用で、追い焚きや沸き増し機能が付いていません。
オートタイプは、自動湯はり、足し湯(手動)、沸き増し、湯はり予約などができます。
フルオートタイプは、自動湯はり、自動足し湯、追い焚き、沸き増し、湯はり予約、配管清浄運転、とフル装備です。

価格は家族3~5人用370Lで、給湯専用約50万円、オート約55万円、フルオート60万円といった相場になります。
家族4~7人用の460Lだと、給湯専用約55万円、オート約60万円、フルオート約65万円といったところが価格相場です。

エコキュートの容量・タイプ別価格相場
タイプ 容量370L 容量460L
給湯専用 約50万円 約55万円
オート 約55万円 約60万円
フルオート 約60万円 約65万円
(工事費は含みません)

設置に伴う各種工事費は諸経費を含めて約30万円~40万円です。
機器代と工事費、諸経費等を合わせたエコキュートのリフォーム費用相場は、ざっと370Lで約80万円~100万円、460Lで85万円~105万円です。

オール電化リフォームの機会に導入したい設備のリフォーム費用相場

オール電化として必須ではありませんが、オール電化リフォームの際に導入しておくと便利な設備のリフォーム費用相場を見ていきましょう。

電気式床暖房にリフォームする費用

暖房はエアコンを使えばオール電化住宅になりますが、床暖房も併せて設置する場合は、電気式を選びます。

●ヒーター式電気床暖房
リフォームで一般的に導入されている電気式床暖房はヒーター式の床暖房です。
ヒーター式床暖房には、電熱線ヒーター式、PTCヒーター式床暖房があります。
このうちPTCヒーター式はシート状の暖房材を床に敷くもので、温度制御機能をもち、無駄に電気を使わないので省エネになり、耐久性も高いという特徴をもっています。
電熱線式もPTCヒーター式も床の張り替えと断熱工事を伴うので、工事費は大きくは変わりません。
断熱工事は床暖房の熱を逃さないために必須です。
すでにきちんと断熱が行われている場合は、再施工するべきかどうかリフォーム会社に相談しましょう。
ヒーター式の床暖房の工事費は、15畳程度の部屋に施工して、80万円~100万円程度が相場。
暖房材の費用が30万円~40万円で、材料費と工事費を合わせて110万円~140万円程度がリフォーム費用相場です。

●ヒートポンプ式温水床暖房
ヒーター式のほかにリフォームで導入できるのは、ヒートポンプ式温水床暖房です。
ヒートポンプ式温水床暖房となると、床の張り替えや断熱工事のほか、床下の配管工事を伴います。
15畳の場合、工事費が150万円~200万円程度が相場です。これにヒートポンプ式熱源機が40万円~90万円程度が相場。合わせると、ヒートポンプ式床暖房のリフォーム費用相場は190万円~290万円程度となります。
すでにガス温水式床暖房を設置していてヒートポンプ式に変える場合は、温水配管をそのまま利用できる場合があるので、リフォーム会社に相談してみましょう。

電気式床暖房のリフォーム費用相場
電気式床暖房の種類 リフォーム費用の相場
ヒーター式 約110万円~140万円
ヒートポンプ式 約190万円~290万円
(約15畳の部屋に敷設する場合)

太陽光発電を導入するリフォーム費用の相場

既存住宅への太陽光発電システムの設置費用は、経済産業省の発表によると平均で1kWあたり30.2万円(2021年)。これを一般的に多い3kW ~4kWのシステムに換算すると、90.6万円~120.8万円となります。

最近では初期費用ゼロ円、月々の定額制で導入できる仕組みもあるので検討するとよいでしょう。

太陽光発電の平均設置費用
発電容量 平均費用
3kW 90.6万円
4kW 120.8万円
機器、工事費含む(経済産業省調べ、2021年)

蓄電池導入費用の相場

蓄電池の価格は年々下がってきています。
経済産業省の統計によると、5kWのシステムで工事費を含めて平均82.5万円、7kWで104.3万円となっています。10kWのシステムで125万円となっています。
したがって蓄電池導入のリフォーム費用は約80万円~130万円といったところです。

V2Hの導入費用の相場

V2Hの機器価格は約50万円~90万円です。これに工事費が約40万円~50万円。
合わせると約90万円~140万円がV2H導入の費用相場。
蓄電容量や配線の状況などによって費用が変わります。
また、電力会社系列の会社による定額制のサービスもあります。

オール電化住宅リフォームに使える補助金

オール電化リフォームは省エネにつながるリフォームとして、国や自治体からの助成制度があります。主な補助金を紹介しましょう。

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業は、断熱などの省エネリフォームを主な補助対象工事として補助金を交付する事業ですが、この事業の補助対象に「エコ住宅設備の設置」があり、オール電化関連の設備「ヒートポンプ式給湯器(エコキュート)」と「蓄電池」が含まれています。補助額はエコキュートが3万円/戸、蓄電池は6万4000円/戸です。
エコキュートや蓄電池の導入を考えている方は、この補助事業に注目しましょう。

オール電化関連設備の補助額
対象設備 補助額/戸
ヒートポンプ式給湯器(エコキュート) 3万円
蓄電池 6万4000円

なお、子育てエコホーム支援事業の補助額は、上限が1戸あたり20万円ですが、子育て世帯※1または若者夫婦世帯※2は上限が以下のように引き上げられます。

※1 申請時点において、2005年4月2日以降に出生した子を有する世帯。
※2 申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯。

子育てエコホーム支援事業の補助額上限
世帯の属性 既存住宅購入・長期優良住宅の有無 1戸あたりの上限補助額
子育て世帯または若者夫婦世帯 既存住宅を購入しリフォームを行う場合 60万円
長期優良住宅の認定(増築・改築)を受ける場合 45万円
上記以外のリフォームを行う場合 30万円
そのほかの世帯 長期優良住宅の認定(増築・改築)を受ける場合 30万円
上記以外のリフォームを行う場合 20万円

子育てエコホーム支援事業の補助対象の全体像を紹介します。

以下の1~3が必須工事で、この中から1つ選びます。

  1. 開口部の断熱改修(窓、玄関ドアの断熱)
  2. 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
  3. エコ住宅設備の設置(エコキュートなどのほか節水型トイレ、高断熱浴槽など)

上記の中から例えばエコ住宅設備を1つ導入すれば、以下の4~8も補助対象になります。

  1. 子育て対応改修(食洗機や掃除しやすいレンジフードなど)
  2. 防災性向上改修(防犯ガラス)
  3. バリアフリー改修(手すり設置など)
  4. 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
  5. リフォーム瑕疵保険等への加入

補助金を活用して、この機会に他の設備の導入も検討してみましょう。

子育てエコホーム支援事業は同事業に登録しているリフォーム会社などを通じて補助金を受け取る仕組みです。

補助金の申請はスタートしており、締め切りは2024年12月31日。 ただし、制度の予算が上限に達し次第締め切られます。着工後なら申請の予約もできます。

出典:子育てエコホーム支援事業(リフォーム)

給湯省エネ2024事業

給湯省エネ2024事業は高効率給湯器への交換を目的とした補助金事業で、補助対象にヒートポンプ式給湯器(エコキュート)が含まれています。
エコキュートの補助額は基本8万円/台で、性能加算額もあり、子育てエコホーム支援事業より多いです。

エコキュートの補助額
ヒートポンプ給湯器
(エコキュート)
基本補助額:8万円/台
性能加算額最大5万円/台

なお子育てエコホーム支援事業と給湯省エネ2024事業は、同じ設備で両方から補助金をもらうことはできませんが、併用することは可能です。エコキュートだけは給湯省エネ2024事業で補助金をもらい、ほかの設備やリフォームは子育てエコホーム支援事業で補助金をもらうといった使い方ができます。

子育てエコホーム支援事業と同様、給湯省エネ2024事業は同事業に登録しているリフォーム会社などを通じて補助金を受け取る仕組みです。

補助金の申請はスタートしており、締め切りは2024年12月31日。 ただし、制度の予算が上限に達し次第締め切られます。着工後なら申請の予約もできます。

いずれの補助事業も早めに決めて、申込みを行うほうがよいでしょう。公式サイトでは予算消化状況も見られます。

出典:給湯省エネ2024事業

自治体の補助金

東京都など自治体でもオール電化関連設備の導入に助成を行っています。
例えば東京都では、太陽光発電やエコキュート、蓄電池の導入に対して補助を行っています。
補助額は以下のとおり。
3.75kW以下15万円/kW(上限45万円)、3.75kW超12万円/kW(50kW未満)です。

東京都の太陽光発電などへの補助金(2024年度)
設備の種類 補助額
太陽光発電設備導入(既存住宅) [3.75kW以下の場合] 15万円/kW(上限45万円)
[3.75kW超の場合] 12万円/kW(50kW未満)
エコキュート・ハイブリッド給湯器
(太陽光発電利用の場合)
22万円/台
蓄電池 蓄電池容量6.34kWh未満:19万円/kWh (上限95万円)
蓄電池容量6.34kWh以上:15万円/kWh
※太陽光発電システムがない場合は最大120万円/戸

東京都の上記補助金は2024年5月31日事前申込開始。予算に達し次第締め切られます。

出典:東京都環境局の太陽光住宅普及拡大事業

そのほかの自治体でも補助事業は行われているので、お住まいの地域の行政機関のホームページなどで検索してみましょう。

オール電化リフォームの注意点

エコキュートの設置場所があるか

エコキュートは設置場所がないと設置できません。
まず購入予定のエコキュートのサイズを調べて、設置できるかをチェックしましょう。その際に、隣家との距離も考慮、騒音対策としてスペースにある程度ゆとりをもたせることも大事です。

エコキュートのサイズの図

エコキュートの設置場所にはメンテナンスや風の通り道なども考慮してある程度余裕を見ておきましょう

200V電源の引き込み工事が必要になると高くなる

エコキュートやIHクッキングヒーターは200Vの電源が必要な機器です。
200V用の配線が屋内の分電盤まで来ているか、軒下や外壁まで来ているか、電線から引き込まなければならないかによって、費用が大きく変わります。
屋内の配線工事は1万円台で済みますが、外から引き込む場合はケースによって5万円~20万円程度かかる場合もあります。
リフォーム会社に見積もってもらう際に、配線のチェックもしてもらいましょう。

オール電化リフォーム後の光熱費は実際どうなの?

オール電化にリフォームするとどの程度の光熱費の削減になるのか、中にはゼロエネルギーになる場合もあるので見ていきましょう。

夜間運転機器の割引は廃止に

以前はエコキュートなど夜間に運転しお湯を蓄える機器は割引がありました。電力会社はこれを見直し、エコキュートなど夜間運転機器の割引を廃止するケースが多くなっています。
また、夜間料金を安く日中の料金を高くするメニューも太陽光発電の普及などに伴い、全般的に料金の見直しが行われる傾向にあります。
一般的にオール電化による電気代の割引は今後あまり期待できない状況といえそうです。

エコキュートのエネルギー削減効果

エコキュートはヒートポンプを利用した電気給湯器で、従来の電気温水器より熱効率がよくエネルギー消費が3分の1程度になるといわれています。
また、従来型のガス給湯器と比べても給湯器1台あたりの年間一次エネルギー消費量は、約28%削減されるという試算データもあります(ヒートポンプ・蓄熱センター)。
エコキュートを導入することによるエネルギー削減効果は大きいといえるでしょう。

光熱費削減効果の高いのは太陽光発電の導入と住まいの断熱

オール電化で光熱費が大きく削減できるのは、太陽光発電を採用した場合でしょう。
しかも蓄電池の採用で、発電した電気を無駄なく活かせます。
また、住まいの床や壁、屋根、窓を断熱することでより少ないエネルギーで冷暖房ができ、エネルギーの削減になります。使用するエネルギーを削減し、太陽光発電で電気を生み出すことで、家庭で使われるエネルギーをゼロに近づけることも可能です。

まとめ

  • オール電化リフォームは調理、給湯、暖房の電化が基本
  • オール電化になじむ設備は太陽光発電、蓄電池
  • オール電化リフォームにかかる費用は、IHクッキングヒーターなどの機器のグレード、太陽光発電や蓄電池まで範囲を広げるかどうかで変わります
  • 光熱費削減のメリットは、太陽光発電の導入で大きくなります

構成・取材・文/林直樹
イラスト/森越ハム