リフォーム・リノベーションでありがちな失敗例と、失敗しないためのポイントは何でしょうか? はじめて家を建てる新築時と異なり、一度暮らしてみて不便や不満が見えているリフォームですから、本来は失敗しないはず!? 意外な落とし穴とはどこにあるのでしょう。リフォーム・リノベーションに詳しい一級建築士の佐川旭さんに、成功するリフォーム・リノベーションの秘訣を教えてもらいました。
記事の目次
リビングのリフォーム・リノベーションで失敗しないための注意点
家族が一緒に過ごしたり、来客を迎えることになるのがリビングです。家の中でも重要なエリアですから、雑誌などを参考に、理想の間取りを思案する人も多いでしょう。しかし、ちょっとしたことを忘れると、あとで悔やむことになりかねないのです。そうならないためのポイントを、ありがちな失敗例から学んでおきましょう。
リビングのリフォーム・リノベーション失敗例
リビングのリフォーム・リノベーションでありがちな失敗は、主に下記の3つあります。
【失敗例1】吹抜けのあるリビングダイニングにしたが、夏は暑くて冬は寒く、冷暖房費がかかる。

子どもが独立し、使わなくなった2階の子ども部屋の一部を吹抜けにして開放感のある空間にしたいという人もいるでしょう。しかし、空間が広ければそれだけ冷やす&温める空気も多くなりますから、何も対策をしないと光熱費がかさみます。
また大きな掃き出し窓などがある場合、冬になると窓からの冷気が足元に流れ込み、足元が冷える「コールドドラフト」が起きやすくなります。
そのため、大空間のリビングで快適に過ごすためには、空間の気密性・断熱性を高めることが欠かせません。例えばリビングダイニングの窓だけでも高断熱窓にしたり、内窓を備えるといいでしょう。またコールドドラフトを防ぐために大きな掃き出し窓がある場合は床暖房を入れるという方法もオススメです。
【失敗例2】せっかく大きな窓を設置したが、周囲からの視線が気になり、いつもカーテンを閉めっぱなしにしてしまい、リビングが暗くなりがちだ。

リビングに大きな窓を備えれば、開放感が増して、外の景色を眺めながらくつろぐことができます。また大きな窓ほど採光も良いため、リビングも明るくなり、風も取り込みやすいでしょう。
一方で「外が」よく見えるということは、何もしなければ「外からも」よく見えるということでもあります。だからといってカーテンを閉めきっていては、せっかく望んだ景観や光、風を遮ることになってしまいます。
では、外から家の中をのぞかれずに、リビングからの眺めを良くすることはできないのでしょうか。1つの方法として、家の周りに高い壁や植栽といった“目隠し”を用意する方法があります。リビングと高い壁の間に庭を設ければ、人目を気にせず、庭の緑と青空を眺めながら気兼ねなくくつろげるのではないでしょうか。
その際の植栽には落葉樹がおすすめです。夏は強い日射しを遮るように葉が生い茂りますが、冬になれば葉を落とすので温かい光がリビングに差し込みます。その分、落ち葉の掃除が必要になりますが、それも“新しい生活”として楽しむようにするといいでしょう。
簡単な「目隠し」の方法としてはカーテンやブラインドを備える方法があります。例えば厚手のドレープと、薄いケースメントの二重カーテンにして、普段はケースメントだけ閉めていれば、人目を気にせず採光できます。またブラインドも、スラットの向きを調整すれば、外からのぞかれずに採光することが可能です。
【失敗例3】子どもがいるのでクッションフロアにしたが、重い物を置いたままだと跡が残ってしまうし、見た目も安っぽく感じてしまう。

幼い子どもがいれば、転んでもケガをしにくく、飲み物をこぼすなど汚しても掃除がラクなクッションフロア。そんなメリットもある上に、他の床材と比べて安価なのが魅力です。
一方で、重い物や鋭利なモノを落とすと、キズが付きやすいというデメリットも。また重い物を置いたままだと跡が残ってしまいます。
しかし、子どもはいつまでも“子ども”ではありません。5年10年もすれば分別のつく年頃になるでしょう。そこで、子どもが幼いときはクッションフロアにして、成長したら床を張り替えるなど、2段階でリフォームを考えておくという方法もあります。
また「安っぽさ」が心配なら、まずは一度ショールーム等で実際にクッションフロアを見てみることをおすすめします。なぜなら、最近は印刷技術の進化によって、フローリング調や石目調など、一見クッションフロアに見えないデザインや模様がたくさんあるからです。「子どもがいるからクッションフロアでいいや」ではなく、種類が豊富なクッションフロアだからこそ、カタログやショールーム等で何がよいか検討してみましょう。
リビングのリフォーム・リノベーションを失敗しないためのポイント
リビングのリフォーム・リノベーションで失敗しないためのポイントは、主に「断熱性」「プライバシーの確保」「床材選び」の3つあります。
まず「断熱性」についてですが、他の部屋と比べてリビングは特に重視したほうがいいでしょう。なぜなら、例え吹抜けなどがなくても、一般的にリビングは他の部屋と比べて広い空間だからです。また人が集まる場所でもありますから、そこが「冬は寒くて夏は暑い」のは避けたいところです。
断熱性を高めるために、高断熱窓や内窓、床暖房等を備える方法があるのは上記で述べた通りです。リビング内に階段を設けるリビング階段を採用した場合は、階段を上がった先にもドアを備えておくなど、気密性の確保も忘れないようにしましょう。
次に「プライバシーの確保」も大切です。リビングには眺望や採光のために大きな窓を備えることが多いですが、その分外から家の中をのぞかれやすくなります。家族みんなでくつろぐ場が外からのぞかれるのは、あまり気持ちのよいものではありません。
大きな窓を備える際には、あわせてどんな目隠しを用意するのか、あるいは道路側に窓を備えなくてすむプランニングができないかなども考えるようにしましょう。
最後に「床材選び」も重要です。リビングは床面積が大きいだけに、床材によって空間のイメージがガラリと変わりやすいからです。
結論としては好みや考え方で選んでも問題ありませんが、その際に目先のことだけでなく、先々のことも考えて選ぶようにするといいでしょう。将来の床の張り替えを検討しておくだけでなく、無垢(むく)材なら日々のメンテナンスのことなど、この先の掃除や手間なども視野に入れて選ぶと後悔しにくくなるはずです。
またクッションフロアだけでなく、最近の床材は種類や色柄がたくさんあります。そのため、まずはどんな床材があるのか調べることから始めることをおすすめします。
さらに、もう1つ、リビングのリフォームで考えておきたいポイントがあります。それは「家具レイアウトの可変性」です。
例えば最初は家族みんなで過ごすために大きなL字型のソファを置いたとします。しかし、長年過ごしていると次第に飽きたり、ライフスタイルが変われば、ソファも変えたくなるでしょう。そうなるとテーブルやテレビの位置も変わるはずです。
もちろん広さに余裕があれば、ソファやテーブル等は自由にレイアウトできるでしょうが、見落としがちなのは、照明の位置です。
特に大きな照明器具や天井に埋め込みのダウンライトを、ソファの上になるように備えておくと、それだけでソファの位置が変えにくくなります。もし別の位置にソファを置きたくなったら、同時にフロアスタンドが必要ですが、コンセントが遠ければリビングの床をコードがはうことになります。
そこで、あらかじめ家具のレイアウトを2~3案考えておき、それらに沿ったコンセントを備えておくことをおすすめします。あるいは照明の位置を自由に移動できるライティングレールにしておくのもいいでしょう。
寝室のリフォーム・リノベーションで失敗しないための注意点
人生の約3分の1を費やすといわれる「睡眠」は大切にしたいもの。そのため寝室のリフォーム・リノベーションでの失敗は避けたいところです。ではどんな点に注意すればいいのでしょうか。まずは主な失敗例から見ていきましょう。
寝室のリフォーム・リノベーション失敗例
寝室のリフォーム/リノベーションでありがちな失敗は、主に下記の3つあります。
【失敗例1】体に直接冷気が当たらないようにと、枕元側にエアコン(室内機)を設置したが、寝るときに頭上にエアコンがあると、なんだか落ち着かない。

確かにエアコンを足元側に設置すると、夏は冷気が、冬は暖気が直接体に吹き付けるので体に悪いと思う人はいます。だからといって、イラストのようにベッドに横になって見上げると大きなエアコンが目に入るのは落ち着かないという人も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめのエアコンの設置場所は、ベッドに対して横に向く位置です。さらにベッドから離すように設置できるといいでしょう。こうしておけば、エアコンのルーバーを上向きにして、一度天井にぶつけてからベッドに冷気や暖気が届くようにできます。
【失敗例2】天井に大きな照明を備えたが、ベッドに入る前に寝室の入り口のスイッチを操作しなければならず、結局暗い中でベッドに潜り込むのは不便。

いちいち入り口のスイッチを操作しなくてもいいように、三路スイッチを備えるといいでしょう。三路スイッチとは、ビジネスホテルによくありますが、入り口のスイッチを押すと照明がつき、枕元に備えたもう1つのスイッチを押すと照明を消すことができるというもの。起床時は枕元のスイッチで照明をつけて、入り口のスイッチで消すことができます。
【失敗例3】夫婦の寝室の隣が子ども部屋。年頃の子どもが夜遅くまで起きている物音がよく聞こえ、逆に夫婦の会話が子ども部屋に漏れないか不安。

1階は家族が集まるパブリックスペースで、2階はプライベートスペースとして夫婦の主寝室や子ども部屋を設けるという間取りはよくあります。その際に夫婦と子ども部屋の部屋を離せばよいのでしょうが、間取り上どうしても離せない場合もあるはずです。
そんな時は、2つの部屋の間の壁を遮音壁にするようにしましょう。また、どちらかの部屋の収納スペースを間に挟むようなレイアウトにするアイデアもあります。
寝室のリフォーム・リノベーションを失敗しないためのポイント
睡眠の質が悪いと体調に影響を及ぼしかねないだけに、寝室はいかに「眠りやすい環境を作るか」が大切です。
そのために、まずは「空調環境」を整えること、具体的にはベッドとエアコンのレイアウトが重要になります。
また、窓の位置も考えたほうがいいでしょう。枕元のすぐ近くに窓があると、冬は冷気が入り込んでなかなか寝付けない、なんてなりかねません。何しろ寝室は他の部屋と比べて、一番薄着でいる場所です。窓を断熱窓にしたり、ベッドと窓を離すなど対策を考えましょう。
ベッドの位置が決まったら、枕元と入り口に三路スイッチを備えると便利です。ベッドに潜り込んで、ウトウトし始めたら手を伸ばして照明を消すことができるので、スムーズに眠りにつくことができます。
就寝後の「睡眠の質」を上げるには、騒音対策が重要です。隣の部屋はもちろん、道路からなるべく離れた位置にするなど、できるだけ静かな環境を作るようにしましょう。
そのほか、睡眠の質を高めるために、天井や壁の色も検討するのもおすすめです。一般的な壁の色は白色ですが、人によっては紺色がよかったり、天井は黒色がいいという人もいるでしょう。せっかくリフォームするのですから、何色が一番落ち着くのか、一度考えてみませんか。
キッチンのリフォーム・リノベーションで失敗しないための注意点
最近は家族の顔を見ながら調理ができる対面式キッチンが人気ですが、ただ対面式にするだけではリフォーム成功とは言えません。料理を快適に作れるキッチンにリフォームしてこそ、初めて成功と言えるのです。
キッチンのリフォーム・リノベーション失敗例
キッチンのリフォーム・リノベーションでありがちな失敗は、主に下記の2つあります。
【失敗例1】料理の動線を考えずにキッチンをレイアウトしたため、調理が面倒に感じる。

調理をする際、冷蔵庫から食材を取りだして、シンクで洗い、ワークトップ(作業台)で食材を切ったり刻んだりしてから、ガス(IH)コンロで熱を加え、ダイニングへと配膳するというのが一般的な流れです。料理や食材によって多少異なる場合もありますが、基本的には「冷蔵庫〜シンク・ワークトップ〜ガス(IH)コンロ〜配膳」とスムーズに流れる動線がベストと言えるでしょう。
しかし、例えば排気しやすいからとガス(IH)コンロを奥の壁側に配置し、その背向に冷蔵庫を置くと、同じ所を何度も往復してしまうことに。
そうならないためにも、キッチンのレイアウトはしっかりと考えるようにしましょう。
【失敗例2】電子レンジやホットプレート、電気ポットといった家電の置き場所をはっきり決めておかなかったため、キッチンに電気の専用回線を作らなかった。おかげで時々ブレーカーが落ちる。

最近は電気を使ったさまざまな調理道具があり、また1000W以上など、W数の高いものがたくさんあります。しかし、1つの回路・1つのコンセントから使える電気は約20アンペアですので、タコ足配線で複数の調理家電を使うと、ブレーカーが落ちかねません。
そのためリフォームする際は、キッチンで使用する調理家電を予め設計士に伝え、必要に応じて、それらの置き場とともに専用コンセントを用意してもらうようにしましょう。
キッチンのリフォーム・リノベーションを失敗しないためのポイント
キッチンのレイアウトというと、「対面式」や「L型」「I型」といった点に気を取られがちですが、忘れてはならないのが「調理動線」です。
調理がしやすくなると、調理の時短になり、料理のバリエーションが増えるとも言われています。まずは調理動線をしっかりと考え、キッチンのレイアウトや、それに伴うレンジフードや収納の位置などを考えましょう。
もう一つ注意しておきたいのが、調理家電についてです。最近は具材を入れてスイッチを押すだけで調理をしてくれる家電など、便利な調理家電がたくさんあります。今や家電を最も使う場所はキッチンだといっても過言ではないでしょう。今後もまだまだ新商品が出てくるでしょうから、先々のことも考えて予備の専用路を1カ所用意すると安心です。
その他、収納についても注意が必要です。皿やグラスなど器だけでなく、キッチンペーパーや洗剤、スポンジ、さらにそのストックといった細かいモノの収納スペースも考えておいたほうがいいでしょう。
お風呂(浴室)・洗面室のリフォーム・リノベーションで失敗しないための注意点
一日の疲れを癒やすお風呂(浴室)と、一日を気持ち良く始めるための洗面室。そこでの失敗はその一日を台無しにしてしまう可能性もある!? まずは失敗例を見てみましょう。
お風呂(浴室)・洗面室のリフォーム・リノベーション失敗例
お風呂(浴室)・洗面室のリフォーム・リノベーションでありがちな失敗は、主に下記の2つあります。
【失敗例1】1.5坪の浴室を勧められたが予算の都合で1坪に。親子で入るには手狭だった。

お風呂(浴室)が1坪、ユニットバスのサイズで言えば1616(1600mm×1600mm)だと、子どもと親が一緒に入浴するには狭く感じる人が多いでしょう。子どもと入浴するのであれば1.25坪(「1620」(1600mm×2000mm)など)や1.5坪(「1624」(1600mm×2400mm)など)が理想です。
【失敗例2】朝のシャンプーもできるよう、洗面室に幅900ミリの洗面化粧台を入れた。その後、ドラム式洗濯機を買ったら、わずかにスペースが足りず、入れられなかった。

最近人気のドラム式洗濯機は、基本的に従来の縦型洗濯機と比べて大きなサイズになります。メーカーにより多少異なりますが、洗濯機の幅は縦型なら600mmを切るものもあるのに対し、ドラム式はたいてい630mm以上あります。
そのため、従来の縦型洗濯機でギリギリだった場合、ドラム式に買い直すことができなくなります。今後ドラム式を置きたいのであれば、洗面室は最低1坪の広さが欲しいところです。
お風呂(浴室)・洗面室のリフォーム・リノベーションを失敗しないためのポイント
お風呂(浴室)・洗面室とも、失敗しないためのポイントは「広さ」です。
まず浴室の広さについてですが、家族構成で適切な大きさが異なります。家族と一緒に入りたいなら浴室を1.25坪以上は取りたいところ。また老後の介護を考えると、やはり広いほうが安心です。
一方で一緒に入る時期は短いし、広いほど掃除が大変で老後の家事負担が増えることも考えれば……という考え方もあります。お風呂(浴室)の広さに関する悩みは尽きませんが、子育てが終わったらリフォームするのかなど、長期的な視点で自分たちにとってベストな広さについて考えてから決めるようにしましょう。
また、浴室の隣に配置されることが多い洗面室の広さは、往々にして浴室の広さに影響されがちです。しかしドラム式洗濯機が置けるかどうかだけでなく、そもそも洗面室の広さはどれだけ必要か、しっかりと考えておく必要があります。
例えば予備のタオルやバスマット、浴室で使うシャンプーや洗剤などのストック、電動歯ブラシやシェーバー、ヘアドライヤーといった家電類のように、洗面室に置きたい小物は意外とたくさんあります。つまり化粧洗面台や洗濯機のサイズだけでなく、収納をどれだけ用意するかによって、選ぶべき広さは変わるのです。
家族構成や使用する家電、小物などをしっかり考えて、お風呂(浴室)・洗面室の広さを決めるようにしよう。
トイレのリフォーム・リノベーションで失敗しないための注意点
リビングなどと比べると、トイレのリフォームについて普段から考えている人は少ないかもしれません。それだけに、見逃してしまいがちなポイントがあるのです。早速、失敗例から見てみましょう。
トイレのリフォーム・リノベーション失敗例
トイレのリフォーム・リノベーションでありがちな失敗は、主に下記の2つあります。
【失敗例1】2階にトイレを設けたが、真下がキッチン。調理中にトイレの流す音が聞こえる。

30坪くらいの一戸建ての場合、水まわりをまとめるためにキッチンの真上がトイレといった間取りを提案されることがあります。平面図で提案されると気付きにくいのですが、2階のトイレが1階のどの位置にくるか、必ず確認が必要です。
また真下がキッチンでなくても、2階にトイレを設ける場合は排水管には防音配管を使用するなど、対策を施したほうがよいでしょう。
【失敗例2】何となくトイレの後ろを少しだけ壁から離して便器を配置した。しかし掃除の際、掃除機のヘッドがその隙間に入らず、そこだけ手で拭くことに……。

最近の便器は、ほこりが便器の外側にたまらないような、スッキリとした形状で掃除がラクなものが一般的です。にもかかわらず、配置の仕方で掃除の手間を増やしてしまっては元も子もありません。便器は奥にピッタリとつけるなど、奥に余計な隙間を作らないほうがいいでしょう。
トイレのリフォーム・リノベーションを失敗しないためのポイント
トイレで注意したいのは「音」と「掃除」です。
トイレで「音」と言えば、水を流す音です。【失敗例1】のように、2階にトイレを設ける場合はその位置に注意が必要です。また1階のトイレでも、リビングや寝室の近くにあり、流す音がリビング等に漏れるのが嫌という人も多いでしょう。防音配管を備えるのも1つの方法ですが、トイレのレイアウトも検討してみてください。
また毎日の「掃除」も、便器を置く位置だけでなく、トイレ空間の幅や便器の選び方、収納の位置などによっても変わります。便器の位置決めは、安易にスペースに合わせて置くのではなく、掃除のしやすさへの考慮も必要です。
まとめ
自宅をリフォームする場合、たいていは「生活動線に合う間取りに」や「もっと掃除がラクになるように」など、施主側の意図が新築時よりも明確になっています。
しかし、上記の失敗例にもあるように「音」「臭い」「風」「光」「熱」といった「目に見えないもの」に関する意図がハッキリしている人は、そう多くないでしょう。
例えばトイレの失敗例にあるように、「2階にトイレがあれば便利だ」と考えて設置したのに、音の問題に気付かなかったりしがちです。
そんな、言わば素人の施主に対して、「費用は少しかかりますが、防音配管にしませんか」だったり、「少し配管を伸ばす必要はありますが、リビングやキッチンからトイレを離しておいたほうがいいですよ」など、経験値で提案してくれるリフォーム会社を見つけることこそが、失敗しないためのリフォームへの近道です。そのためにはリフォーム会社の施工例や実績などをしっかりとチェックしておくことが大切になります。
特に子育てを終えてからリフォームする場合、ついのすみかを作るのと同じこと。そんな大切な住まいを一緒に作ってくれるパートナーをしっかり選んで、後悔のないリフォームをめざしましょう。
監修/一級建築士 佐川旭(佐川旭建築研究所)
構成・取材・文/籠島康弘
イラスト/つぼいひろき
佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。住宅だけでなく、国内外問わず公共建築や街づくりまで手がけている
雑誌「カーセンサー」編集部を経てフリーライターに。中古車からカーシェアリング、電気自動車までクルマにまつわる諸々の記事執筆を手がける。最近は住宅雑誌の記事も執筆していて、自分が何屋なのかますます分からなくなってきた。