ビルトイン食洗機の種類と選び方、メリット・デメリットからリフォーム費用相場まで解説!

暮らしにゆとりを与えてくれる食器洗い乾燥機(以下、食洗機)は、リフォームで後付けすることが可能です。
令和5年3月末の内閣府消費動向調査によると、食洗機の国内普及率は約29.5%と全体の3割程度になっていますが、共働き世帯の増加やコロナ禍を経て在宅勤務・在宅学習などが当たり前になったことによる家事負担の増加もあり、「わが家にも食洗機が欲しい」と考えている人も少なくないのではないでしょうか。
そう思った時に検討したいのが、食洗機をキッチンに後付けする食洗機リフォームという選択肢。
今回は、一人暮らし向けから大人数の家庭用まで、さまざまなライフスタイルに対応する食洗機を製造しているパナソニック くらしアプライアンス社の井本さん、松浦さん、南さんの3名に食洗機のメリット・デメリットや選び方、費用相場まで詳しいお話を伺いました。
記事の後半では、リフォームで食洗機導入(交換)をかなえた成功事例も紹介しているので、参考にしてください。

ビルトイン食洗機のあるキッチン

(画像提供/パナソニック)

記事の目次

食洗機の主な3タイプと設置費用の目安

食洗機といえば、最近ではシステムキッチンに組み込まれている「ビルトイン食洗機」を見かける機会が増えましたが、その他にどのようなタイプがあるのでしょうか?
それぞれの特徴と費用相場について解説します。

ビルトイン食洗機とは

「ビルトイン食洗機とは、システムキッチンに組み込むタイプの食洗機です。比較的容量が大きく、キッチンをすっきり使えると好評です」(井本さん)。
ビルトイン食洗機にもタイプが複数あるので、ライフスタイルやキッチンのサイズ(間口)に合わせて適切なものを選びましょう。詳しい選び方については、後ほど解説します。

システムキッチンと一体化しているビルトイン食洗機

システムキッチンと一体化しているビルトイン食洗機(画像提供/パナソニック)

ビルトイン食洗機の費用相場

「ビルトイン食洗機本体は約16万円〜31万円程度が相場です。あとは食洗機を設置する条件によって工事の内容・費用が変わってきます。1つ目は、ビルトイン食洗機が元々なく、収納として使っていた場所に設置する場合です。私たちは『後付け』と呼んでいますが、その場合は、既存のキッチンキャビネット撤去、食洗機設置用の電気工事、水道工事など、工事の工程も多くなるので、工事費の相場は約5万円〜8万円程度かかります。一方、すでにビルトイン食洗機が設置されている場合は、必ずしもキッチンごと入れ替える必要はなく、食洗機のみを買い替えることができます。電源や給排水がそのまま使えれば、『後付け』よりも工事費を抑えることができます」(南さん)

海外製の特殊なものなど一部例外はありますが、大抵の場合は、異なるメーカーであっても入れ替えることができます。

卓上型食洗機(タンク給水方式)とは

分岐水栓の取り付けが不要で、購入後すぐに使用できる卓上タイプのタンク給水方式食洗機。
シンクの横やキッチンカウンターの上に置くタイプで、付属のカップや本体の給水タンクに手動で給水して使用します。設置が簡単なため、より気軽に使えるのが魅力です。
サイズは一人暮らし用のコンパクトなものから、ファミリー層向けの大きなものまで幅広くあり、生活環境に合わせて選ぶことができます。

環境を問わず取り入れやすいタンク式の卓上食洗機

生活環境を問わず取り入れやすいタンク給水方式の卓上食洗機(画像提供/パナソニック)

卓上型食洗機(タンク給水方式)の費用相場

「卓上タイプの食洗機の本体価格は、一般的に約4万円〜9万円程度。ビルトイン食洗機と比べると、費用は安く抑えられます」(南さん)
場所を取るというデメリットはありますが、工事をせずに設置できることから賃貸住宅での需要が高い傾向があります。

卓上型食洗機(分岐水栓給水方式)とは

卓上タイプの食洗機には、手動で給水を行うタンク給水方式以外に、自動給水で楽に使える分岐水栓給水方式もあります。使用には、分岐水栓というシンクの水栓に取り付ける専用部材が必要となるので、自宅の水栓に合うものを購入して取り付けます。
なお、タンク給水方式・分岐水栓給水方式どちらも使える2WAYタイプの食洗機もあります。メーカーによって性能も異なるので比較してみてください。

自動で給水してくれる分岐水栓給水方式の卓上食洗機

自動で給水してくれる分岐水栓給水方式の卓上食洗機(画像提供/パナソニック)

卓上型食洗機(分岐水栓給水方式)の費用相場

卓上型食洗機(分岐水栓給水方式)の費用相場は約4万円〜10万円程度。ただし、分岐水栓の取り付けが必要な場合は、本体価格とは別に、分岐水栓本体の費用と取り付け費用を合わせて、約1万円~2万円程度の費用がかかります(分岐水栓の種類や販売店により異なる)。
また、食洗機の設置スペースの調整が必要な場合には、食洗機用の置き台などを使うことも可能です。
食洗機用の台も合わせて用意する場合は、追加で約5千円〜1.5万円程度かかります(メーカーや種類により異なる)。

ビルトイン食洗機の種類と選び方

ここからは、システムキッチンに組み込むことで、キッチンのスペースを有効活用できるビルトイン食洗機について詳しく紹介していきます。ライフスタイルに合わせて機種を選択しましょう。
なお、ここからは主にスライドオープンタイプを例に説明します。フロントオープンタイプでは選び方が異なる場合があるので、詳しくは実際の製品のカタログなどで必ず確認してください。

サイズ・容量で選ぶ

ビルトイン食洗機を選ぶ時は、①ドア幅(45cm・60cm) ②庫内の深さ(深型・浅型) ③ドアタイプ(ドアパネル型・ドア面材型) をチェックしましょう。それぞれにどんな違いがあり、どんな特性を持っているのかご紹介します。

ビルトイン食洗機のタイプ①:ドア幅(45cm・60cm)
「国内では、どのメーカーのビルトイン食洗機も主流はドア幅45cmのタイプですが、ドア幅60cmのワイドタイプもあり、横幅が大きいので人数が多いご家庭に人気です」(井本さん)

ビルトイン食洗機のタイプ②:庫内の深さ(深型・浅型)
「ドア幅45cmでも、深型のディープタイプと浅型のミドルタイプの2つに分けられます。当社製品の場合、機種により異なりますが、ミドルタイプと比べて、ディープタイプは約9.5cmも深く、庫内の幅も約4cm広い設計になっているので、深鍋のほか、菜箸やお玉など長いものを立ててセットすることができ、一度にたくさんの食器・調理器具を洗うことができます」(井本さん)

メーカーや機種ごとに若干の差はありますが、ミドルタイプなら食器収納点数はおよそ40点前後で、約5人分の食器を洗えるサイズ。ディープタイプなら食器収納点数はおよそ48点前後で、約6人分の食器を洗えるサイズとなります。
ディープタイプであれば、鍋やフライパンといった大型調理器具も食器と一緒に洗うことができるメリットもあります。

ビルトイン食洗機のタイプ③:ドアタイプ(ドアパネル型・ドア面材型)
ビルトイン食洗機は、ドアのタイプによっても分けられます。
「ドアパネル型は、その名の通りあらかじめドア面が素地化粧仕上げされているため、別売品のドアパネルなしでも使用することができます。一方のドア面材型はドア面が素地化粧仕上げされていないため、必ず、ドア面材の購入が必要となります。システムキッチンと同時に購入される場合は、扉色を合わせることができますが、後付けや買い替えの場合は、機種によって対応できないものもありますので、注意が必要です。後付け、買い替えの場合は、いずれもドアパネル型を選ばれる方が多いです」(井本さん)

ドアのタイプが異なる2つのビルトイン食洗機

そのままでも使えるドアパネル型と別売品のドア面材が必要なドア面材型(画像提供/パナソニック)

スライドオープンとフロントオープンの違いで選ぶ

また、食洗機のドアにはスライドオープンとフロントオープンの2タイプあります。
スライドオープンは、扉を引き出して上から食器を入れるボックスタイプのこと。フロントオープンは、前扉を手前に開いて前面にカゴを引き出すタイプのことです。
それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

タイプ メリット デメリット
スライドオープン ・国産メーカーの商品展開が豊富で、選択肢が幅広い。
・食器の出し入れで水滴がこぼれにくい。
・浅型の場合、収納キャビネットがある。
・庫内容量はフロントオープンと比べると少なめ。
フロントオープン ・スライドオープンよりも庫内容積が広く、たくさんの食器を収納できる。
・どこからでも入れられる上下2段カゴで食器をセットしやすい。
・鍋や調理器具も丸ごと入れられる。
・国内では製造が少ない。
・海外メーカーの食洗機に多いタイプのため、買い替えが難しい。
・食器の出し入れでかがまなければいけない。
・食洗機下に収納キャビネットは設置できない。

スライドオープンは国内メーカーの商品展開が多彩、フロントオープンは比較的容量が大きいという特徴があります。

リンナイ社製のフロントオープンタイプの食洗機

国内で唯一フロントオープンタイプの食洗機を扱うリンナイ(画像提供/リンナイ)

性能・機能で選ぶ

食洗機はメーカーによって異なる強みがあり、汚れの落とし方や節水・節電効果、排気の温度など各社のこだわりが詰まっています。
どんな性能があると便利か、どんな機能を重視するのか。記事の後半では、食洗機メーカーごとの特徴も紹介しているので、気になるメーカーを見つけたら各社公式サイトで製品情報をチェックしてみてください。

スマホをチェックする女性のイメージ

各メーカーの特長を見比べることから始めましょう(写真/PIXTA)

ビルトイン食洗機導入のメリット

家事に仕事に忙しい現代人の生活を支えてくれるビルトイン食洗機。手洗いでは実現できないビルトイン食洗機のメリットをチェックしていきます。

食器洗いの手間と時間を削減できる

「毎日の家事の負担を少しでも減らしたい」という各メーカーの思いが形となった食洗機。
食器をセットし、スタートしてしまえば自動で食器洗浄・除菌・乾燥まで行ってくれます。就寝前や外出前に稼働しておけばいいだけという手軽さで、毎日の暮らしに余裕を持たせてくれます。

食器を手洗いする男性のイメージ

食器洗いの手間を省く食洗機があれば時間を有効活用できます(写真/PIXTA)

しつこい油汚れや大きいサイズのものも簡単に洗える

ビルトイン食洗機は、高温・高圧洗浄で頑固な油汚れをしっかり落とします。
「しつこい油汚れを落とせるのはもちろん、炒め物などを調理した後のベトベト汚れのフライパンや鍋も洗い上がりの気持ちよさを実感いただけると思います」(井本さん)

洗浄前の汚れた皿のイメージ

しつこい油汚れも食洗機なら高温・高圧洗浄でしっかりと洗い流します(写真/PIXTA)

手洗いよりも綺麗に洗えて衛生的

食器洗いを手洗いで行う場合の水温は20℃〜40℃程度ですが、食洗機なら50℃以上の高温で洗い上げます。食用油が溶ける温度は45℃以上とされているので、なかなか落ちない油汚れに頭を悩ませることもなくなりそうです。
さらに、除菌効果も期待できます。雑菌が繁殖しやすいスポンジやふきんを使用しないので衛生面も安心です。
「食洗機は洗いながら除菌もしてくれるのがうれしいポイント」という井本さんの言葉通り、高温・高圧洗浄で除菌効果もしっかり発揮してくれます。

キッチンで調理をするファミリーのイメージ

食洗機ならではの除菌効果も大きなメリットです(写真/PIXTA)

水道代・洗剤代の節約につながる

「食洗機の最大のメリットは節水です!」と井本さん。日本電機工業会の調査によると、約6人分の食器(48点)を洗うのに手洗いでは約88Lの水を使用するとのこと。メーカーや機種により異なりますが、食洗機なら約9Lと、手洗いの約9分の1程度まで節水できます(機種により異なります。詳しくは各メーカーのカタログなどをご確認ください)。

節約のイメージ

食洗機なら少量の水と酵素入りの食洗機専用洗剤で汚れを効率よく洗い流します(写真/PIXTA)

手荒れを防げる

水仕事による手荒れに悩む人も多いですが、その悩みにも食洗機が応えてくれます。
「食洗機を使えば食器洗いを任せられるので、手洗いによる手荒れを防ぐこともできます。さらにお気に入りのネイルも長持ちするなど、うれしいことがたくさんあります」(井本さん)

皿洗いによる手荒れを気にする人のイメージ

食洗機を導入することで手荒れ防止にもなります(写真/PIXTA)

ビルトイン食洗機導入のデメリット

食洗機にはたくさんのメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。

予洗いの手間がかかる

食洗機使用前の予洗いは必須ではありませんが、焦げ付きやこびりつきといった頑固な汚れを確実に落とすためには、手洗いである程度の汚れを流しておくことも必要です。

「すべて汚れを予洗い(下洗い)していただく必要はありませんが、たとえばグラタン皿に付いた焦げや茶碗蒸しといったこびりつきなどは、手洗い時と同じように少し落としてから食洗機にセットしていただくことをおすすめします。また、ゴマやふりかけは庫内で浮遊して食器にくっついてしまうこともありますので、さっと流しておくと手間を減らすことができます」(井本さん)

食器を洗う女性のイメージ

焦げつきやこびりつきなどのしつこい汚れは予洗いを心がけましょう(写真/PIXTA)

食洗機に対応していない食器は洗えない

食洗機の普及に合わせて「食洗機対応」をうたう食器も増えてきましたが、食洗機に適さない材質のものはまだあります。

「洗濯機でもシルクの洋服は手洗いになるように、漆器やクリスタルガラスなどのデリケートな食器は食洗機では洗えません。ご使用の食器や調理器具の取扱説明書、パッケージなどに表示された食洗機使用可否のマークをチェックしてください」(井本さん)

銅製の調理器具のイメージ

銅鍋やアルミ製の食器など食洗機では洗えないものもあります(写真/PIXTA)

時間がかかるものが多い

食洗機の運転時間はおよそ2時間。手洗いよりも時間はかかりますが、ずっと近くにいなければいけないわけではないため、その時間を他の家事や趣味に使うことができるというメリットになります。

「食洗機はお皿を入れっぱなしにしておくだけで、洗っている間は何をしていても大丈夫です。食器洗いを食洗機に任せれば、時間を有効活用していただけます」(井本さん)

読み聞かせをする男性のイメージ

食洗機の運転中は時間を有効活用しましょう(写真/PIXTA)

定期的にお手入れが必要

毎日使用する食洗機は使用後のお手入れが欠かせません。特に気を付けたいのが残さいフィルターです。大きな食べ残しは食洗機へ入れる前の予洗いで落としていても、運転後のフィルター部分には細かな残さいが残る場合がありますので、毎回お手入れが必要です。

食洗機の残さいフィルターに溜まったゴミを捨てるイメージ

残さいフィルターは使用後に必ずお手入れをしましょう(画像提供/パナソニック)

ビルトイン食洗機を後付けする条件

家事時間の短縮に役立つビルトイン食洗機は、今のシステムキッチンに食洗機がついていない場合でも、既存のキャビネットを取り外して後付けすることができます。ここからは、ビルトイン食洗機を後付けする条件をチェックしていきます。

キッチンにスペースが十分にあること

「ビルトイン食洗機を後付けする場合、システムキッチンの既存キャビネットを取り外して入れ替えます。一般的なシステムキッチンであれば、ほぼ問題なく設置できますが、ビルトイン食洗機を入れるためには、最低でもキッチンの奥行きが65cm以上必要となります(機種によっては60cm以上)。そのほか、ドア幅(間口)が45cmの食洗機であれば45cm以上、ワイドタイプであれば60cm以上。キッチンの高さは、一般的なサイズとなる80cm以上が必要です。キッチンの奥行き・ドア幅(間口)・キッチンの高さ。この3つの寸法がそろっていれば、基本的には取り付け可能となります」(松浦さん)

ビルトイン食洗機を取り付けられる規定のキッチンサイズ

ビルトイン食洗機を取り付けられる規定のサイズを確認しましょう(画像提供/パナソニック)

セクショナルキッチンでないこと

キッチンのタイプには、シンクやコンロが一枚のワークトップで一体になっている「システムキッチン」と、コンロや調理台、シンクがバラバラになっている「セクショナルキッチン」の2タイプがあります。
2つのうち、セクショナルキッチンはビルトイン食洗機の後付けをすることができません。
「以前は主流だったセクショナルキッチンですが、奥行きが55cm程しかなく、ビルトイン食洗機を設置するのに必要な最低サイズ65cmを満たしていません。セクショナルキッチンでビルトイン食洗機を導入したい場合は、システムキッチンへの交換を検討しましょう」(松浦さん)

キッチンリフォームの打ち合わせをしているイメージ

セクショナルキッチンにビルトイン食洗機を後付けすることはできません(写真/PIXTA)

賃貸ではなく持ち家に住んでいること

「ビルトイン食洗機の後付けは、一戸建てでもマンションでも可能ですが、基本的に持ち家であることが条件です。解約時に現状復帰をしなければならない賃貸物件の場合は、電源や配管の問題もあり、工事が難しくなります。どうしても取り付けたいという場合は、管理組合や大家さんに確認をしてください」(松浦さん)

マンションの管理規約のイメージ

配管工事が必要なため、賃貸の場合は食洗機の設置が難しいです(写真/PIXTA)

ビルトイン食洗機を後付けする際の注意点

元々なかった場所に後付けもできるビルトイン食洗機ですが、取り付け工事を行う前に知っておきたい注意点があります。

追加工事が必要なケースがある

ビルトイン食洗機を設置するために必要なキッチンの設備が整っていない場合は追加工事が発生するため、新規取り付け時は設備交換に比べて費用がかかります。
追加工事の可能性があるケースとしては、給湯管に分岐できる部品がない場合(追加費用約8千円〜1万円程度)、取り付け箇所に排水管がない場合(追加費用約8千円〜1万円程度)、コンセントの増設(追加費用約1万円〜)などが考えられます。

キッチン周辺の水栓設備のイメージ

キッチンに設備が整っていない場合は、追加費用が発生します(写真/PIXTA)

家族の人数や使い方に合った機種を選ぶ

ビルトイン食洗機の後付けをする際、家族構成や食器の量、使う頻度など、どのように食洗機を使用していくのか、用途まで考慮した上で最適な機種選びを心がけましょう。
大きな食器やフライパンやボウルといった調理器具の洗浄も行うのであれば、容量の大きいディープタイプがマッチしそうです。

食器を持つ男性のイメージ

家族の人数や食器の量に合ったサイズ選びをしましょう(写真/PIXTA)

ビルトイン食洗機のランニングコストはどれくらい?

毎日使うものだからこそ気になるのが運転費用。ビルトイン食洗機は、どのくらいのランニングコストがかかるのでしょうか。

食洗機のランニングコスト【水道・光熱費など】

「食器洗いをする時にかかるコストは主に、電気代・水道代・洗剤代など。約6人分の食器48点を標準コースで洗った場合、機種により異なりますが、1回あたりの目安は約31円前後(水道代・電気代・洗剤代含む)。手洗いでは約62円前後です。たとえば1日2回365日使用した場合、年間で手洗いよりもおよそ2万2000円程度節約できるので、その差は大きいといえます」(井本さん)
※ランニングコストの算出条件などは、各メーカーのカタログをご参照ください。

ランニングコストを計算するイメージ

手洗いと食洗機では使用する光熱費に大きな差が出ます(写真/PIXTA)

ビルトイン食洗機の寿命はどれくらい?

家事の手間を軽減し、暮らしを快適にしてくれる食洗機。どのくらい使用すると買い替えが必要になってくるのか気になるところです。

食洗機の標準使用期間は約10年

「適切な取り扱いで使用・維持・管理が行われた場合に、安全上支障がなく使用できる標準的な期間は、製造年月より約10年です。ただし、お客さまの使用環境や使用頻度、お手入れの状況によって前後すると考えられます」(松浦さん)

数字を持つ女性のイメージ

食洗機の設計上の標準使用期間は約10年が目安となります(写真/PIXTA)

ビルトイン食洗機の買い替えのサイン

洗浄力や乾燥性能が以前より弱くなった場合など、ビルトイン食洗機に不具合が見られるようになったら買い替えを検討しましょう。

洗われていない食器のイメージ

油汚れが落ちにくくなってきたら不調のサイン(写真/PIXTA)

ビルトイン食洗機を長く使うためのお手入れ方法

「一度使ったら、手放せない!」と感じるほど便利な食洗機。長く愛用するためには定期的なお手入れ・メンテナンスが大切です。

残さいフィルターを毎回掃除する

「残さいフィルターを掃除することは、お風呂や洗面所の排水溝を定期的に掃除するのと同じです。目詰まりしてしまうと次の洗い上がりが悪くなり、カビやニオイの原因になってしまいます。残さいフィルターのお手入れだけは、使用後必ず行いましょう」(井本さん)

食洗機の残さいフィルターについた汚れをブラシでこする様子

汚れが落ちにくい場合は、ブラシでこすり落とします(画像提供/パナソニック)

月に一度ノズルを外して庫内を掃除する

「底面に付いている噴水ノズルに油汚れなどが詰まってしまうと水を噴射する力が弱くなってしまうため、月に一度食洗機から外して洗います。見落としがちな部分ですが、長くきれいにお使いいただくためにもおすすめしているお手入れです」(井本さん)

食洗機をお手入れするイメージ

定期的なお手入れが食洗機を長持ちさせる秘訣です(画像提供/パナソニック)

月に一度食器を入れないで運転する

「月に一度、経路の詰まりなどによる故障防止のために、空運転をして配管のお手入れを行いましょう。食器を入れずに洗剤を多めに入れていただき、一番洗浄力の強いコースで庫内を洗ってください」(井本さん)

井本さんのお話によると、食洗機に水やお湯を直接入れてしまう人もいるそうですが故障の原因になりますので、取り扱い説明書をよく読んだ上で、正しい方法でお手入れを行いましょう。

メンテナンスのため、食洗機を空運転する様子

庫内の水あかなどの汚れには、専用の庫内クリーナーが効果的です(画像提供/パナソニック)

ビルトイン食洗機のメーカー4選

ビルトイン食洗機の性能・機能にはメーカーごとに特徴があります。日本で購入できるメーカーの最新機器からリフォームで後付けできる人気の5機種をご紹介します。

パナソニック

最新の「9 Plusシリーズ」は、洗浄中も洗浄後の食器保管中もにおいを抑制、除菌してくれるナノイーXを標準搭載。業界初※となる液体洗剤自動投入の機能もあり、これまで以上に家事の手間をサポートしてくれます。
AIエコナビが汚れの量や食器量・室温を検知して自動的に節水・省エネ・時短運転をしてくれるのも特徴です。
※国内市場ビルトイン食器洗い乾燥機において、2022年2月1日発売。

パナソニックのビルトイン食洗機

食洗機専用液体洗剤の自動投入機能があるパナソニックの9 Plusシリーズ(画像提供/パナソニック)※画像はイメージ

リンナイ

日本メーカーで唯一フロントオープン食洗機を販売しているリンナイ。「Front Open Dishwasher」は、日本のキッチン仕様に合わせた幅45cmでありながら、56点8人分相当の食器を入れられる66Lの大容量を実現しています。スライドオープンタイプからの取り替え工事も可能。広い庫内を全体的に見渡せる、フロントオープンならではの使いやすさが自慢です。

リンナイのフロントオープン型食洗機

大容量が特徴のリンナイのフロントオープン型食洗機(画像提供/リンナイ)

三菱電機

三菱電機が誇る、全ての先進機能を備えたプレミアムモデルの「EW-45LD1MU」は、タッチセンサーでドアを開け閉めできる「タッチDEラクドア」や、上カゴの形状を用途に合わせて変更できる「マルチラック」など、便利な機能が満載。
人にも室内にも配慮した35℃の低温排気、洗い上がりが美しく仕上がる乾燥仕上げ剤の自動投入で安全にツヤのある仕上がりをかなえてくれます。

三菱電機のビルトイン食洗機

多機能を備えた三菱電機のビルトイン食洗機(画像提供/三菱電機)

ミーレ

ドイツメーカー・ミーレの食洗機は、大容量設計と優れたデザイン性で日本国内でも高い人気を誇ります。
「G 5844 SCU」は、国際電気標準会議規格で9人分、日本電機工業会規格では7人分の食器を一度に洗えるという大容量。
最小使用水量は6L(自動プログラム運転時)と節水性も抜群です。
また、専用の「Mieleアプリ」をを使用すれば、スマートフォンやタブレットからWi-Fi経由で機器の操作も可能です。

ミーレのビルトイン食洗機

フロントオープンで容量が大きいミーレのビルトイン食洗機(画像提供/ミーレ)

ビルトイン食洗機を含むキッチンリフォームの成功事例

ここからは、ビルトイン食洗機の導入(交換)をかなえたリフォーム事例をご紹介します。ビルトイン食洗機の導入だけでなく、キッチン全体のリフォームを行うことで、毎日の家事効率が格段に上がり、毎日の負担を軽減することができます。

造作キッチンで希望の食洗機を設置

奥の窓に面していたキッチンを撤去し、シンクとガスコンロを2つの作業台に分けたII型(2列型)キッチンを採用。
既製のシステムキッチンでは希望するビルトイン食洗機に対応できなかったため、高さや幅を調整できる造作キッチンをチョイス。お気に入りのソファと同じグリーンのタイルを壁面に取り入れ、印象的なキッチンに生まれ変わりました。

グリーンのタイルがかわいいキッチン

造作キッチンで希望のビルトイン食洗機を設置したキッチン(画像提供/stylekoubou(スタイル工房))
【リフォーム前】

リフォーム前の間取り

【リフォーム後】

リフォーム後の間取り

【DATA】
リフォーム費用:1480万円
リフォーム部位:キッチン、リビング・ダイニング、洗面所、浴室、トイレ、廊下、収納、洋室、玄関
設計・施工/stylekoubou(スタイル工房)

機能性にこだわったオリジナルキッチン

和室をなくし、廊下を大きく取り込んだLDKの中央にキッチンを移動。ダイニング・キッチンから死角となるキッチンの裏側に洗面&バスルームをレイアウトしました。
ミーレのビルトイン食洗機に、スマートフォンで制御できるガスコンロも追加し、デザイン性と機能性にこだわったオリジナルキッチンを実現しています。

白で統一されたシステムキッチン

白を基調にした明るいLDK(画像提供/SCHOOL BUS|スクールバス空間設計

キッチンを中心に据えたリビング・ダイニング

最新機器を取り入れた機能性の高いキッチン(画像提供/SCHOOL BUS|スクールバス空間設計
【リフォーム前】

リフォーム前の間取り

【リフォーム後】

リフォーム後の間取り

【DATA】
リフォーム費用:930万円※キッチンは120万円
リフォーム部位:キッチン、リビング・ダイニング、浴室・バス、トイレ、洗面所、収納、寝室、玄関、子供部屋、廊下
設計・施工/SCHOOL BUS|スクールバス空間設計

食洗機付きのシステムキッチンにリフォーム

ベージュの目地に赤いタイルを張り付けたキッチン。
以前は調理台の上に卓上タイプの食洗機を置いて使用していましたが、ビルトイン食洗機付きのシステムキッチンに変えたことで広い作業スペースが生まれました。
正面には造り付けの棚を設置し、使い勝手がさらによくなっています。

ビルトイン食洗機を搭載したシステムキッチン

ビルトイン食洗機の導入リフォームで調理台が快適に(画像提供/アクアラボ)
【リフォーム前】

リフォーム前の間取り

【リフォーム後】

リフォーム後の間取り

【DATA】
リフォーム費用:545万円※キッチンは105万円
リフォーム部位:キッチン、リビング・ダイニング、玄関、洗面所、収納、寝室、その他
設計・施工/アクアラボ

シンプルで使い勝手のいいカフェ風キッチンにリフォーム

カフェの厨房をイメージしたキッチンは、ステンレスでオーダー製作したもの。ビルトイン食洗機もこだわりのコーディネートにすっきりとなじんでいます。
ビルトイン食洗機をはじめとする必要な設備は取り入れつつ、過剰な機能はなくしてコストを削減。壁にはショールームで出合ったお気に入りのモザイクタイルを取り入れ、おしゃれなキッチンに仕上がりました。

カフェのようにおしゃれなキッチン

オーダーメイドしたステンレスのシステムキッチン(画像提供/a.design)
【リフォーム前】

リフォーム前の間取り

【リフォーム後】

リフォーム後の間取り

【DATA】
リフォーム費用:700万円※キッチンは89万円
リフォーム部位:LDK、浴室・バス、トイレ、洗面所、収納、階段、玄関、外壁・屋根、バルコニー・エクステリア、ガレージ
設計・施工/a.design

まとめ

今回は、食洗機について、詳しくお届けしました。
食洗機は忙しい毎日にゆとりをもたらしてくれる便利なアイテムです。特にビルトインタイプであれば、キッチンのデザイン性を損なうことなく、設置することができます。
リフォームを検討する際は、ご紹介した内容を参考にしてみてください。

食卓で会話を楽しむ家族のイメージ

食洗機リフォームで家族の時間にゆとりを(写真/PIXTA)

取材協力/パナソニック
構成/梨本明世(ドコドア)
取材・文/松永春香