門扉リフォームの価格や選び方、工事期間は?施工事例やメリット・デメリットも紹介

門扉リフォームで門扉を交換したり新設したりする際には、住まいにぴったりのデザインや機能のものを選びたいものです。今回は門扉の価格や門扉の選び方のポイントについて、アルミ建材メーカーのYKK APに聞きました。紹介する施工事例も門扉リフォームの参考にしてみてください。

門扉のイメージ

(画像提供/YKK AP)

記事の目次

門扉リフォームのメリット・デメリット

住まいの機能向上

最近では門扉を設置していない、オープンな外構の住まいも少なくありませんが、門扉をつけることは、防犯性や快適性という観点で、住まいの機能を向上させる役割をもっています。

まず、門扉は敷地と道路の境界部分を明確にするため、知らない人などが勝手に敷地内へ侵入しづらくなるというメリットがあります。物理的に入りにくい家になるだけでなく、心理的な効果にもつながるので、門扉があることで、一定の防犯性が住まいに付加されるといえるでしょう。

また、門扉にはさまざまな形状のものがあり、その形状によって、果たす役割も変わってきますが、屋根のある門扉であれば、雨風をしのげたり、日よけになったり、背の高い形状のものなどであれば目隠しの役割も果たしてくれます。

アーチ型の背の高い門扉

アーチ型の背の高い門扉(画像提供/YKK AP)

空間の創造

「敷地内に門扉やフェンス、アーチなどの組み合わせにより仕切りを設けると、空間が生まれます。目隠しの機能をもたせるだけでなく、少しスペースをとり季節感のある植栽を施すことで、四季折々の風情を醸しだすことができます。また、アーチ状の屋根を設けると、利便性がアップすることに加え、隣人との憩いの場として、上質なコミュニティを形成することにもつながります。空間が生まれるということは、行動を誘引したり、生活スタイルの変化に一役買っています」(YKK AP、以下同)

敷地の外側と内側がしっかりと仕切られることで、庭などが利用しやすくなります。ガーデニングを楽しんだり、近所の人と会話をしたりなど、オープンな外構よりも家の外の空間で何かしらのアクションを起こしやすくするような役割も、門扉は担ってくれているといえるでしょう。

庭のイメージ

(画像/PIXTA)

意匠の向上を図ることができる

エクステリアをつくりこむことで、住まいのデザイン性の向上を図ることができますが、門扉を設置することで、住まいの印象を左右したり、デザイン性をアップすることにつながります。

「意匠向上を図った家が何軒か連なることは、街並みを良くすることにもつながります。家だけでなく、ひいては周辺環境の意匠も向上させるというのは、門扉の一つの役割だと思います」

予算の問題で、門扉のない家も増えている

機能性や空間創出、意匠性などのメリットがありながら、最近では門扉のない住まいも増えています。門扉を設置するということ自体にデメリットはあまり見当たりませんが、門扉リフォームを行うとなると、ある程度まとまった予算が必要になるという点が門扉リフォームを行う上でネックになっているようです。

「リフォーム予算の配分として、間取りプランなどには費用をかけるけれども、外構までにはあまり予算をまわせないということも珍しくありません」

防犯面の不安が少ない環境であったり、コスト重視のリフォームを進めている場合、費用のバランスを考えて、門扉をつけないという選択をするケースもあるようです。

門柱

オープンな外構の場合、門柱に表札やインターホン、ポストなどを備える門柱を設置することも多い(画像提供/YKK AP)

外構のリフォーム工事費用の相場を部位別に解説。防犯対策やリフォーム実例も紹介  

門扉の種類・材質やサイズと価格

門扉の素材

門扉の素材にはアルミのほか、鉄や木、樹脂などいろいろな種類がありますが、一般的な住宅で採用されている門扉の多くはアルミ製のものが使われています。

「スチール線材を使った門扉もありますが、一般的な住宅というよりも、公共性の高い施設などで見かけることの多いタイプになります。一般の住宅で採用される門扉の素材の多くはアルミで、アルミの門扉は大きく分けて、アルミ形材とアルミ鋳物という2種類があります」

アルミ形材

アルミ形材は門扉に広く使われる素材で、価格が手ごろなものも豊富にそろいます。アルミ形材にラミネートをした木調のものなどもあり、天然木と違って腐食などに強く、メンテナンスに気を遣う必要もありません。アルミ形材は住まいに合わせたデザインを幅広く選びやすい門扉です。

シンプルなデザインのアルミ形材の門扉

シンプルなデザインのアルミ形材の門扉 (画像提供/YKK AP)

木調アルミ形材の門扉

木調アルミ形材の門扉 (画像提供/YKK AP)

アルミ鋳物

アルミ鋳物は、アルミ形材と同じアルミの素材ですが、曲線を構成しやすく、デザイン性の高いものが多いのが魅力です。鋳物にしかできない形状というものもあり、洋風の住宅や輸入住宅などによく取り入れられています。

アルミ鋳物の門扉

アルミ鋳物の門扉(画像提供/YKK AP)

アルミ形材かアルミ鋳物かという所で、一概にどちらの価格が高いということはありませんが、どちらもそのデザインやグレードなどで価格は変わります。

例えば、重量のある凝ったデザインのアルミ鋳物の門扉は非常に高級なものもありますが、シンプルなデザインのものであれば、手ごろな価格帯のものもあります。

アルミ形材の門扉については、アルミの風合いを活かしたデザインのものよりも木調のものの方が、価格は少しアップする傾向があるそうです。

気になる門扉の付帯機能

非接触式の電気錠を備える門扉など、付帯機能がついた門扉は、一般的な施錠機能の門扉よりも価格は高くなります。

電気錠がついた門扉であれば、非接触式のカードキーなどを近づけるだけで開け閉めができるため、防犯性はもちろん、使い勝手がいいというのも魅力です。

非接触式のカードキー

門扉に近づけるだけでカギの開閉が可能な非接触式のカードキー(画像提供/YKK AP)

門扉のサイズ

門扉を選ぶ際は、素材や付帯機能以外にも、どのようなサイズを選ぶかという点も価格に関係します。

「高さ1200mm~1400mmというのが門扉の代表的なサイズですが、大きなものですと2000mmというサイズのものもあります。

高さのあるものや、アーチ型のようなタイプの方がプライバシー性も確保しやすく、防犯性も高いと思いますが、そのようなタイプの門扉は価格も高額になります。

背の低いタイプの門扉は価格も手ごろなものも多く、門扉をつけないオープンな外構よりは防犯性を担保できます」

近隣からの視線をさえぎるような背の高い重厚な門扉は高級感もあり、防犯性も高いというメリットがありますが、価格が高くなります。一方、背の低いタイプの門扉は、開放感がありながら一定の防犯性も確保でき、比較的手ごろな価格でクローズドな外構をつくることができます。

■素材・付帯機能・サイズによる門扉の価格の違い
素材 電気錠 高さ 1200㎜ 高さ1400㎜ 高さ1600㎜
アルミ形材 なし 15万900円~37万1000円 16万5300円~38万3600円 22万5600円~42万4800円
あり 54万2000円~72万9400円 55万3700円~74万2000円 58万4000円~78万3200円
アルミ鋳物 なし 19万6900円~23万100円 62万9100円~81万3100円 73万9400円~93万6100円
あり - 94万200円~112万4200円 105万500円~124万7200円
(データ提供/YKK AP)
※両開き・門柱セットの価格
※アルミ形材(電気錠なし)はルシアス門扉W01型~W08型/S01型~S04型/K01型/P01型/C01型・C02型
※アルミ形材(電気錠あり)は電気錠付ルシアス門扉W01型~W06型/S01型・S02型/K01型/P01型/C01型・C02型
※アルミ鋳物(高さ1200㎜)はシャローネ門扉SC01型~SC06型
※アルミ鋳物(高さ1400㎜、1600㎜)はシャローネ門扉EA01型~EA10型

門扉リフォームの工事期間

門扉自体の価格に加え、門扉のリフォームには門扉を設置するための工事費用もかかります。工事費用は工事期間が長くなれば、その分人件費などもかかり高額になるものですが、門扉を設置するリフォームの工事期間については、門扉の形状やサイズなどにも左右されます。

例えば、アルミの門柱を立てて金具で門扉を取り付けるようなリフォームであれば1~2日程度で済むものもありますが、意匠を凝らした門扉を造作する場合や、アーチを設けるような大掛かりなものになると、数週間ほど工事期間がかかるケースもあるそうです。

門扉リフォーム、選び方のポイント

外観と門扉の統一感をもたせる

家の顔となる門扉は、建物の外観とマッチするものを選ぶのが、デザインに統一感がでてオススメです。門扉だけでなく、フェンスも一緒にリフォームするのであれば、門扉とフェンスを同系統のデザインでそろえられ、トータルコーディネートできるような製品もあります。

「門扉を設置するときは、建物のバルコニーや手すり、玄関ドアなど、ポイントを決めてコーディネートをすると、バランスよくまとまめられるでしょう。

また、門扉は外構の一部なので、植栽なども含めた外構全体のプランまで考えてプランニングすることで、より意匠性はアップすると思います」

外構全体や家に対して、色やデザインをどのようにコーディネートするかという部分を意識して選ぶと、満足感の高い仕上がりになるそうです。

エレガントなデザインの鋳物門扉

エレガントなデザインの鋳物門扉が洋風な建物の外観にマッチ(画像提供/YKK AP)

住宅とコーディネートした木調の門扉

住宅と同系の木調デザインの門扉をコーディネート(画像提供/YKK AP)

敷地に合わせた門扉を選ぶ

門扉は開き戸が一般的ですが、開き戸には、「片開き」や「両開き」、「親子開き」などがあります。

「両開きと親子開きというのは基本的に同じものですが、両開きは左右の扉の大きさが同じで、親子開きの場合は、片側が小さくなっているものです。親子開きの場合は片方の開口を大きくとることができます。基本的に普段開閉をするのは片側の扉だけになるので、使い勝手を考えて、開口部が広くとれる親子開きの門扉を採用する人が多いです」

一方で、両開きはシンメトリーなデザインになるため、意匠性を重視して選ぶ人も少なくありません。

「片開きはコンパクトなスペースに設置できるため、勝手口や狭小住宅などで使われることが多く、扉が一つの分、価格も比較的安くなります」

片開きの門扉

片開きの門扉(画像提供/YKK AP)

両開きの門扉

両開きの門扉(画像提供/YKK AP)

親子開きの門扉

親子開きの門扉(画像提供/YKK AP)

開き戸の場合、内開きが一般的ですが、外開きのものを選ぶ人もいます。ただし、外開きの場合は通行などの妨げになり危険なため、道路との境界に設置することはできません。外開きにする場合は、開いた扉が道路にでないよう、敷地内の道路との境界からある程度間隔をとった位置に設置することが必要になります。

また、開き戸以外にも、引き戸タイプの門扉もあり、引き戸タイプであれば開閉スペースが不要になるため、狭い敷地でも門扉を取り付けることが可能です。

使う人もポイント

車椅子やベビーカーなどを使う場合、内開きの開き戸が使いづらいということもありますが、そのような場合は引き戸タイプの門扉が便利です。

「開き方で扱いやすさも変わってくるので、車椅子の方なども使用するなら、前後方向に開閉するものではなく、横にスライドするタイプのものがオススメです。

また、開き方だけでなく、門扉のハンドルについても縦長のバータイプを選んでいただくと、小さいお子さんなど、いろいろな人にも使いやすくなります」

縦長のハンドルを備えた引き戸タイプの門扉

縦長のハンドルを備えた引き戸タイプの門扉(画像提供/YKK AP)

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門扉のリフォームの施工事例

次に、実際に門扉のリフォームを行った実例をご紹介します。ぜひ自宅の門扉をリフォームする際の参考にしてみてください。

【事例】和洋折衷の雰囲気にマッチする格子の門扉を採用

敷地内には和風の建物もあるため、外構は和と洋どちらの雰囲気にも合うデザインにし、敷石のれんがの色にもこだわってセレクトしました。門扉は、以前の住まいの面影を残すようなアルミ鋳物の格子の門扉を採用しています。

シャープなデザインのアルミ鋳物の門扉

シャープなデザインのアルミ鋳物の門扉(画像提供/東京セキスイファミエス)

【DATA】
リフォーム費用全体:4410万円(一戸建て・複合リフォーム、リフォーム面積191.88m2
エクステリアリフォーム費用概算:200万円
エクステリアリフォーム施工内容:門扉、門扉そで、タイル、植栽
施工・設計:東京セキスイファミエス

【事例】南欧風の塀とアイアンの門扉で印象的なエントランスに

リフォームでは、憧れだったガーデニングを楽しめるエクステリアを実現しました。外構のポイントは南欧風塗りの塀と門扉の曲線デザイン。流れるようなアプローチも印象的です。

曲線が美しい門扉

曲線が美しい門扉(画像提供/東京ガスリノベーション)

【DATA】
リフォーム費用全体:1085万円(一戸建て・複合リフォーム、リフォーム面積40m2
エクステリアリフォーム費用概算:115万円
エクステリアリフォーム施工内容:門扉、塀、玄関アプローチ
設計・施工:東京ガスリノベーション

【事例】リフォームで門扉を設置し、勝手口があった場所を表玄関に

元々勝手口があった建物の裏側に、フェンスと門扉を取り付けて表玄関にリフォーム。元の勝手口はふさいで、正面に玄関扉を設置し、スムーズな動線に変更しました。

新たに門扉を設置し玄関

新たに門扉を設置して、元の勝手口を玄関に(画像提供/南海不動産)

【DATA】

リフォーム費用全体:1054万円(一戸建て・複合リフォーム、リフォーム面積74.7m2
エクステリアリフォーム費用概算:-
エクステリアリフォーム施工内容:-

防犯性に加え、住まいのデザインのポイントにもなる門扉。リフォームで交換したり、新設したりする際は、さまざまな選択肢の中から、是非ぴったりの門扉を選んでみてください。

門扉のリフォーム費用は素材・サイズ・付帯機能・工事期間などに左右される

門扉リフォームにはある程度費用がかかるため、門扉を取り付けないオープンな外構を選択する人も少なくありませんが、門扉には防犯性などの住まいの機能に加え、意匠性もアップさせるというメリットがあります。住宅で採用される主な門扉の素材はアルミで、アルミ形材とアルミ鋳物がありますが、デザインの特徴などが異なり、アルミ形材の方が比較的コストを抑えた価格帯のものも豊富にそろいます。素材のほかにサイズによっても価格は異なり、電気錠などの付帯機能が付くと、さらに門扉の価格はアップします。また、大掛かりな工事が必要になる門扉の場合、工事期間も長くなり、リフォーム費用も高くなります。門扉を選ぶ際は建物とのトータルコーディネートを意識しつつ、使う人に合わせた形状のものを選ぶのがオススメです。

●取材協力
YKK AP

●画像協力
東京ガスリノベーション
東京セキスイファミエス
南海不動産

構成・取材・文/島田美那子